長崎大学工学部研究報告 第28 巻 第51 号 平成1
0年
7月
229長崎市域 におけ る熱環境 の動態調査 とその解析
松 尾 俊 志* ・古 本 勝 弘**
薦 田 鹿 章**・赤 城
Obs e r va t i onsofThe r ma lEnvi r onme nt i nNa ga s a kiMunl ●● C l pa lAr e aa ndi t sAna l ys ュ ● s
by
SatoshiMATSUO*,KatsuhiroFURUMOTO** HiroakiKOMODA**,MakotoAKAGI***
誠***
Inurbanarea,apeculiarclimateisformedreflectingthecharacteristicofthecityandahumanbeing activity.Aheat‑islandphenomenonisconspicuousinclimatechangesbytheurbanizatiom
Inthispaper,theobservationsoftemperaturethroughayearatnumerouspointsinNagasaki municipalareaanditsanalyticalresultsaredescribed.Moreover,thenumericalsimulationisconductedto beclearonaheat‑islandinthisarea.
I.はじめに
都市では人 口集 中や都市機能集約 な どの人間活動の 高密度化 に伴 い,立地条件や規模 を反映 しなが ら,そ の都市 固有の気候 ( 都市気候)が発生 してい る との報 告が世界各地 でなされ, これにまつわ る問額が惹起 さ れてい る。 この人問の意志 に よらない都市化 による気 候変化の中で,都市域 におけ る気温 が郊外 と比 して著 しく高 くな る現象 をヒー トアイラン ド現象 とい う。 こ のヒー トアイ ラン ドの成因 として,冷暖房 や 自動車か らの排熱 な ど,エネルギー消費 が郊外 に比 して都市域 の方 が際立 って大 きい こと,人工構造物 や舗装道路 に よる太陽熱の蓄熱 ,緑被率の減少 に よる水分蒸発量の 低減,大気汚染物質等 に よる温室効果な どが考 え られ る.複雑 な都市の熱環境 を把捉 す るりは非常 に困難で はあ るが,調査研究 を進めてゆ くこ とは,施設 や住宅 地の配置 な ど快適 な都市空間の形成 に際 して必要 であ
る。
長崎市 は リアス式湾入の長崎湾 を抱 くように して,
山腹の急傾斜 にまで市街地 が発達 してお り,周縁部 は 金比羅 山,稲佐 山な どの標 高400m前後の小高 い山 々 に囲廉 されている。 この ような地形特性 を有す る長崎 市域 において,年間を通 して気温の同時多点観測 を行 った。本報文 は,その解析結果 と考察 お よび地形 を考 慮 した風 と気温 の
3次元数値 シ ミ ュレー シ ョン に よ
り,長崎市域の勲環境 を明 らかに した ものであ る。
2.
観測概要
本観測 は図
1に示 す全
20地点 において, 自記温度計
(MDL :株式会社
IBC製)を用いて気温の同時観 測 を行 った。一部 の測定点 または期間 を除 き,1
995年
10月か ら一年 を通 して,1
0分間隔で連続的 に記録 した。
気温測定す るにあた っては,放射の影響 を小 さ くす るように発泡 スチ ロールの容器 を加工 し,センサー部 の通風 を よ くした もの を,電柱 や樹幹 の地上
2.5m程 度 に設置 した。 また,
MDLは標準温度計 との検定 を 行 ってい る。
平成1
0年
4月24
日*国際水道 コンサル タン ト
㈱ (KOKUSAISUIDOU Consultant.LTD)**社会開発工学科
(DepartmentofCivilEngineering)***大学院修士課程社会開発工学専攻
(GraduateStudents,DepartmentofCivilEngineering)230
松尾 俊志 ・古本 勝弘 ・薦 田 鹿章 ・赤城
誠測定 した気温 デ‑ タは,気温減率
6.5×10 3℃/mを 用いて標高補正 し,さらにスムージングを施 した。
市街化 された都市中心部は,測点 P4
,Plo
,P13,
P17地点が配置 されている辺 りである。
pl:愛 宕 p6
:神 の 島
pll:長峰 港 p16:春 木 p2:稲佐 山 P7:木 鉢 p12;中の谷 P17:古 川 p3:清 上釈 P8:小 ケ倉 p13:限 町 P18:本河 内 p4:穐 町
P9:桜 馬場
p14:西 山
P19:茂 木 p5:勝 山 PIO:中央棟 p15:浜 平 P20:療養所図 1 長崎市域 における測定点
3.観測結果 と考察
図 2は横軸 に 日平均雲量1 0分比 ( 長崎海洋気象台), 縦軸 に気温 日較差 を とり,都市域 ( 能町) と郊外 ( 春 木) とで 1年間にわた ってプロッ トした ものであ る。
これによる と,雲量が小 さ くなるほ ど気温 日較差が 大 き く,都市域 よ りも郊外の方がその較差が廟著であ るといった相関関係が認め られる。 これは上下方向の
一一 '一 l O9 tD .一
(a)判さ一書日
平均 暮暮
10分 Jt 月平均暮*1 0
分比‑( . ) ■ 巾 暮 【P
4:暮rr) (b)弗外tP1 6:
事木】図
2雲量 と気温 日較差の関係
放射を遮 る雲が少ない ときほ ど放射冷却が顕著 に,漢 た夜間人工排熱の少ない郊外ほ ど気温較差が大 き くな ったため と思われる。 よって,雲量はヒー トアイラン ド現象の指標 に適 している と考え,晴天 日曇天 日の選 出には票量を採用す ることに した。
図 3,4は,それぞれ晴天 日と曇天 日におけ る都市 域 ( 能町 ・古川) と郊外 ( 春木 ・療養所)の気温変化 である。どち らも秋期 におけるものである。両国 よ り, 昼間 日照のあ る ときは,夜間都市域 と郊外で
2℃程の 差があ り,都市域が高温状態 にある。 日照のない曇天 日では,都市域郊外で形状 にそれほ ど違 いは見受け ら れないが,一 日中,都市域の方が
1℃程高温状態 にあ る。太陽放射のない曇天 日においては,地覆物の違い に よる地表付近の気温 に対 す る影響 はない と考 える と,都市域 と郊外の人工的な放熱量の差が表れた もの と思われ る。
表
1は都市域 と郊外 におけ る月別平均 日長低気温で ある。 これ よ り,年間を通 じて都市域 ( 能町 ・古川) の方が郊外 ( 中の谷 ・療養所)に比べ高 くなっている のがわかる.表
2では年間を通 して曇天 日 ( 雲量 >
9)24 22 20 sJ
^ 18、 16 癌 14
」
瞬 12 10 8 6 412:00 18:00 0:00 10/25 10/26
30 28 26 3 24、一■22 癌20 ポ 18 16 14 12 10
6:00 12:00
図
3時天 日におけ る気温変化
12:00 10/28
18:00 0:00 6:00 10/29
図
4曇天 日におけ る気温変化
12:00
長崎市域におけ る勲環境の動態調査 とその解析
のみを取 り出 し, 日長低気温 を平均 した。表
1と同 じ く,都市域が郊外 よりも高温 となっていたが,その差 は表
1より小 さい。図
4と同様 に,太陽エネルギーの 地表面への直接供給のない秦天 日には,気温への地覆 の影響は小 さい筈であるか ら, この裏か らも人工的放 熱量が都市の高温化の‑要田であるといえる。
表 1 都市域 と郊外 における
月別平均 日長低気温
(単位 :℃)徽 町 育 / 中の谷 療養所
3 月 呈 塑 . . . 6. 86 7. 08 4 月 ず ̲ ̲ ̲
̲ <. 8.85 8.935 月
i⊥l.. .■ 15.88 15.586 月 i < 主 i I蒙 20. 99 20. $ 0 7 月 u ■
x.. I‑ 24.13 23.82 8月 I++ ̲:d=.. 24.75 24.54 9月 l◆吏妻20. 9
4 20.541
0月 a‑;議; :lI 16.14 15.841 1
月 hi. 9.08 9. 26 12 月
≡竜三̲:1X. T+ 4.93 4.$81月
敷'窮‑≡ .:i̲奮 3.964. 02 2 月
3.52 3.6番匿 ヨ : 1 番大 きな
値 Eヨ :祷 日に大 きなせ 蓑 2 都市域 と郊外におけ る年間
曇天 日のみの平均 日長低気温
(単位 :
℃) 日 徽 町 古 川 中の谷 療養所
9 2
15.14 15.06図 5,6は,中央橋 と賑町におけ る48時間気温変化 である。 この
2地点は都市域に位置 し,数十
m程度の 距離 しか離れていない。但 し,中央橋は交通量の多い 大通 り沿いの街路樹の中に
MDLを設置 してお り,逮 りの先には川があって 日射 を遮 るものがな く陽当た り が良い。一方,賑町はビルに囲まれた電柱 に設置 して お り, 日照の少ない地点である。
図 5よ り, 日没後は 2地点の変動 にそれほ ど違 いは ないが, 日の出 とともに中央橋の方が急激 に気温上昇 しているのがわかる。 これは陽当た りの良い中央橋の 方が先に陽が射 し始めるためであろう。つ ぎに,両地 点 ともに 日照のあ る 日長高気温 の出現 す る時間帯 で は,賑町の方が高温 になっている。 これは中央橋の方 の
MDLを街路樹 に設置 したために,植生の蒸散作用
231
による気温上昇抑制効果が生 じた もの と考 えられる。
図 6か ら曇天 日におけ る 2地点の違 いはほ とん どな いことがわかる。曇天 日には植物の蒸散は起 こりに く い筈であるか ら,図
5の ところで述べた植生効果が, 都市の高温化抑制に効果的であるといえる。
42 40 38 36
i〜3‑)1
d 32 1只30 28 26 24 22
12:00 0:00
7/30 12:00 0:00 7/31
図
5晴天 日の中央橋(
Plo)と賑町(
P13)の気温変化
26 24 22 20 e l°
d 16 蝶 14 12 10 8 6
12:00 0:00 3/29
12:00 0:00 3/30
12:00
図
6曇天 日の中央橋
(Plo)と賑町
(P13)の気温変化 以上の図表か ら,都市の熱環境 を改善する手段 とし て,人工排熱の削減,つま り省エネルギーの推進 と街 路樹や公園な どで植生地を増や し,且つ上手 く配置 さ せることな どが考 えられる。
従美音分布 図の凡例
1● 3仙
( 人)
●2W
+ )(榔
● 50W
●2000
・ low
発 以後 この凡例は省略す る
図7‑図1
1は,実測 値に基づいて描いた等 温線である。同国の背 景に従業者分布図を描 いているが,従業者数 の多い所 を都市化 され た地域 と考 えてよい。
従業者分布図の凡例
を左 に示す。
232
松尾 俊志 ・古本 勝弘 ・薦 田 鹿章 ・赤城 誠
●
● ●
● ●
● ‑
‑ ● ‑ ● ●
●
● ● ● ■ ●
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:● ‑
● l ● ● ●
●●● ● ●:● ●
●● ●;
●● ● ● ●
● 王●
:
●● ● ● ● ● ● ● ●
● ‑ ●
●
図
7従業者分布 と等温線 [ 単位 :
℃]晴天 日
('95.10.20 2 :00)・ 三. ‑
● ●● ●
●
● ‑ ● ‑ ●● ‑ ‑ ■
● ● ●
●
王● ● ● ●● ● ● ●●●
王● ●三● I●;
●●●● ●● ●
●● ●; I ●
■ ●
●王●
● ●
● ● ●
● ‑ ●
●
図
8従業者分布 と等温線 [ 単位 :
℃]晴天 日
('95.10.20 5:00)図
7は秋期晴天 日の夜間,図
8はその
3時間後の等 温線である。両国 ともヒー トアイラン ドが出ている。
図
7の段 階 で既 にヒー トア イ ラン ドが形成 されてお り,その後全領域 が形状 と強度 をほぼ維持 しなが ら, 緩やかに気温 を低下 させた もの と思われる。
図
9は冬期曇天 日の夜間における等温線で,昼間 日 照がなかったに もかかわ らず,都市域が多少高温化 し ている。 これは,先 に も述べた ように,人工的な要因 が考 え られる。
図1
0は冬期晴天 日の夜間 日出前の等温線であ る。左 側 に高 温 域 が あ る。 稲 佐 山付 近 で逆 転 層 の報 告
1)‑ ● ●
● ●
● ● ● ● ● ■ ●
● ● ● ■ ●
● ●
f 3 .
■
こ● ●三 ●‡ ・ ● ● . I ● ● ● ● ●
● ●●● ● ● ●
● ● ●●
●● ●
● ● I ● ●
●‑ ● ● ●
●● ● ●
●
●●● ●;● ● ● ●
● ● ●三 .
●;
図
9従業者分布 と等温線 [ 単位 :
℃]曇天 日
('96.1.15 0 :00)● ●
● ● ●
●: ●:●
● ● ●●
● ● ■● ●● ■
● ● ●
● ' ● 一 f
‑ ●●; q ●l;●
●…●
● ●● ● ● ● ● ●
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●:
●
● ●
●
●‑● ● ● ●
●
図1
0従業者分布 と等温線 [ 単位 :
℃]晴天 日
('95.12.27 5 :00)がされていることを考 える と納得で きる。但 し,逆転 層は鉛直方 向で比較 しなければな らないので,標高補 正済みの この図に表現 された逆転層の規模ほ ど,実際 はそ こまで大 きな ものではない。それで も,逆転層が 発生する と大気汚染 に繋がる恐れがあるので十分注意 が必要である。
図1 1は夏期晴天 日の 目出前の等温線である。 これ よ
り,夏期 に もヒー トアイラン ドは形成 されることがわ
かる。 しか し,雲量の面か らみて も,快晴 日といえる
日は秋冬期が多 く,一般的にいわれるように,ヒー ト
アイラン ドは秋冬期 に顕著 になる。
長崎市域 におけ る熱環境 の動態調査 とその解析
図11 従業者分布 と等温線 [単位 :℃]
晴天 日 ('96.7.31 5 :00)
4.数値モデルの概要
都市の熱環境 が注 目され る中,その特性 を分析 ・評 価 す るためには,都市の気温分布 を把握 す るこ とがま ず必要 となる。 しか し,実際 には,観測点の数 や頻度 な どに限界があ り,気温の面的分布 を作成す るに足 る 数の観測点 を設 け気温分布 を得 るのは,多大 な労力 と 時間を妻す る。 そ こで,地形 の起伏の効果が反映 され る ような鉛 直座標Z事を導 入 した3次元 モ デル を用 い て数値 シ ミュレーシ ョンを行 った。
基礎方程式 は,Navier‑Stokesの運動方程式 ,連続 式 お よび熱 の輸 送 方 程 式 で あ る。 空 間的 にはstag‑
gered gridを用 いて離散化 した (中間差分)。計算対 象領域 は,北経 32055′00〝,東経129041'15〝の点 と北 緯32035′30",東経130003′00〝の点 を対角 に もつ39km
x291皿の矩形領域であ る。水平方 向の各格子間隔は, それぞれ一様 にlb とし,39×29の格子 を有す る格子 網 を配 した。但 し地表面標 高 に関 しては,500tnメ ッ シ ュ間隔で入力す る。鉛直方 向の大気層 については, 接地境界層の厚 さを50mとし,その上部 に30メ ッシ ュ のエクマン層 を配 した。 エクマン層 は最下層の メ ッシ ュの厚 さのみ100m,それ よ り上部 の メ ッシ ュ厚 さは 一様 に150mとす る。 したが って,鉛直方 向の計算領 域の上限は4500mとな り,計算対象領域の大気層の格 子点総数は地表面 を含めて40×30×32であ る。一方 , 地 中の鉛直格子 は,5C恥 15C恥 35cmの位置 に置 き,75cm の深 さでは地温 の変動 はない もの とみなす。 また初期 条件 としては,快晴で無風状態の静止成層大気 を考 え, 海水面温度 は秋季 (10月下旬) を想定 して昼夜 を問わ ず一定 (22℃) と仮定す る。地表面温度は以下 に示す
7才,
^ L
I ;
‑ . ノ ー
一台
ヽ ■ ●
+ ∴
∫
・
g 4‑ 垂
ー ̲ : ̲ ■ l 一 ■
L233
S
図12 計算対象領域
熱収支式 に よって決定 す る。
Rs+RLl‑RL†‑H‑EE‑G+QA‑ 0
ここに,Rsは太陽か らの短波放射量,RLJは大気 か らの長波放射量,札 †ほ地表面 か ら上空 への長波放 射量 ,Hは顕熱輸送量
,C E
は潜熱輸送量,Gは地 中 への熱輸送量,QAは人工排熱 に よ り地表面 へ加わ る 熱量 であ る。接地境界層では熱の鉛直方 向の輸送量 が 高度 に よらず一定 とみな し,その層 内におけ る風速 と 温度の鉛直分布 にMonin‑Obukhovの相似則 を適用 さ せ る。平均風速 お よび平均温度の鉛直勾配は,普遍関 数中を用 い,仮 の安定度 スケールLを決定 す る。 これ らの値 を もとに,上式 をNewton‑Raphson法 で収束 計算 を行 い,地表面温度Tsを補正 す る。境界条件 は,地表面 で u,Ⅴ,W*‑ 0とし,計算領 域 での上限では,水平運動 はない もの とみな し,u, V,∂W'/∂Z',e',n:'‑Oとする. また,対象領域の 外側境界 では法線方 向に各物理量の変化はない もの と す る. u,V,W'はそれぞれの風速成分, 0',A:'はそ れぞれ温位 お よびExner関数 の平均値 か らの変動 量 であ る。
短波放射量の計算 に必妻 な太陽の天頂角は,10月下 旬の視赤緑 ,長崎市の緯度 を用 いて計算 した。
時 間積 分 に関 して は3段 階 のIeap‑frog法 を採 用 し,時間差分間隔は6秒 とした。
人工排熱 については,正確 に把握 す ることが困難 な ので ,人 口が多 い都市域 または住 宅地 域 は どエネル
234
松尾
俊志 ・古本 勝弘 ・薦 田鹿章 ・赤城
ギー消費量 が大 きいであろ うとい うこ とを考慮 して, 以下の ように して与 えた。
11
皿メ ッシ ュ内の消費 エネルギーを,その メ ッシ ュ 内の居住者数 と従業者数の和 ( P :最大 で約
45,000人)
と仮の消費量係数
(cc‑0.0005 W/諺/ 人)の積 で与 えた。 よって,時間変動 は考慮 されてい. ない。
土地利 用状況 を人 口
(P)分・ 布 よ り推定 して
3区分 し,潜熱 ・顕熱の割合
(Bowen比)で差 をつけた。
5.
計算結果 と考察
06:00LST
を計算開始時刻 とし
,48時間の計算 を行 った。最後の
24時間の値 を もって計算結果 とした。 出 力 された気温値 か ら,図
12の着色範 囲 ( 図
1と同 じ範 田) を取 り出 し,観測 デー タ と同様標高補正 を施 して 評価 す る。一例 として
,00:00LSTと
05:00LSTの等 温線 をそれぞれ図
13,14に示 す。 また,同時刻 の土地 利用状 況 を考慮 しない場 合の等温線 を図
15,16に, さ らに,土地利用状況 ・人工排熱 を考慮 しない場合の等 温線 を図
17,18に示 す。但 し,土地利 用状況 を考慮 し ない とい うのは,一様 に植生地 であ るこ とを示 す。
図
13,14よ り,夜 間 におけ る気温 の分布状況は,形 状の面 ではおお よそ表現で きてい るように思われ る。
値 に関 しては,人工排熱の与 え方,土地利用状況の分 け方 お よび潜熱顧熱 の割合の決定方法 を細 か く設定す ることがで きれば,再現精度 は向上す るであろ うO
図
15,16を図
13,14と比較 す る と,郊外 ではそれほ ど 違 いはみ られないが,都市域 では約
1℃は ど気温 が下
が っている。
図13 00:00LST
におけ る等温線 [ 単位 :℃]
誠
図14 05:00LST
におけ る等温線 [ 単位 :℃]
図15 00:00LST
におけ る等温線 [ 単位 :℃]
※土地利用区分けな し
図
16 05:00LSTにおけ る等温線 [ 単位 :℃]
※土地利用区分けな し
長崎市域 におけ る熱環境 の動態調査 とその解析
図17 00:00LSTにおけ る等温線 [単位 :℃]
※土地利用区分け ・人工排熱 な し
図18 05:00LSTにおけ る等温線 [単位 :
℃]
※土地利用区分け ・人工排熱 な し
図17,18では,都市域の高温化はな くな っている。
実際の現象で も, この ように省エネルギー .緑地の 増大 を推進 すれば,都市域高温化 を抑制 で きるであろ う。ただ,人工排熱 と緑地 の減少の どち らが都市の高 温化 に よ り寄与 してい るかは明言 しかね る ものの, ど ち らとも都市の熱環境 において重要 な要素 といえる。
6.
まとめ
今回の観測か ら,都市域 では郊外 に比 べ 日長低気温 が高 くな る傾 向が明 らかにな った。 これは,ヒー トア
235
イラン ド現象の特徴 の一つであ り,等温線 よ り確認す ることがで きた。但 し,条件 が揃 えばの話であ る。逆 転層の発生な どを考 える と,鉛直方 向の観測 も必要 で あろ う。規模 に関 しては,対象領域 が狭いため判断は 難 しいが,大都市 に比べれば小 さい ものであ る。
現在 まだ開発中ではあ るが,秋期の長崎市域 におけ る気温の シ ミュレー シ ョン計算 を試 み,大雑把 ではあ るが気温の分布状況 を再現 した。複雑 な都市の気温 に 対 す る影響 を把握す るのは非常 に困難 ではあ るが,そ れを計算上 に どう表現 し反映 させてゆ くかが今後の課 題 といえる。
一般的 に もいわれてい るこ とであ るが,今回の観測 お よびシ ミュレー シ ョン結果 か らも,都市の熱環境改 善策 として,街路樹 や公園な ど緑地 を上手 く配置す る こ とや省エネルギーの推進 な どが有効 な手段 であ る と 考 える。
参 考 文 献
1)荒生公雄 ・西永 優 ・横 山秀敏 :長崎 におけ る接 地逆転層の気象学的特性 ,長崎大学教育学部 自然 科学研究報告 第31号 (1980) 別冊,pp.33‑47
2
)荒生公雄 ・松崎秀信 ・近藤 功 ・松 田真人 :長崎市の気温逆転層 とその解消過程 ,長崎大学教育学 部 自然科学研究報告 第33号 (1982)別冊,pp.57
‑64
3)平成二年 国勢調査 に関す る地域 メ ッシ ュ統計地 図 一世帯総数 ・人 口総数 ‑ (西 日本編),総務庁統 計局,p.31
4
)平成三年事業所統計調査 に関す る地域 メ ッシ ュ統 計地 図 一全産 業事 業所 数 ・従業者 数 ‑ (西 日本 編),総務庁統計局,p.315)薦 田鹿章 ・古本勝弘 ・武政剛弘 ・吉永哲典 :長崎 県南西地域 におけ る風の 日変化特性 ,第14回風工 学 シンポジウム論文集,pp.37‑42,1996 6)薦 田鹿章 ・古本勝弘 ・武政剛弘 ・吉永哲典 :長崎
県南部地域 におけ る夏季の地表風の特性 ,水工学 論文集 第41巻 ,土木学会 ・水理委員会,pp.329
‑336,1997
7)榊原保志 :越谷市 に見 られるヒー トアイラン ド強 度 一郊外 が水 田の場合 ‑,天気