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長崎大学教育学部における風環境

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(1)

長 崎大学教 育学部 におけ る風環 境

荒 生 公 雄 ・田 中 俊 子*

長 崎 大 学 教 育 学 部 地 学教 室 (平成3年10月31日 受理)

General Features of the Surface Wind at the Main Campus of the Nagasaki University

Kimio ARAO and Toshiko TANAKA

Department of Earth Sciences, Faculty of Education

Nagasaki University, Nagasaki 852, Japan

(Received October 31, 1991)

Abstract

The surface wind at the main campus of the Nagasaki University is studied for the purpose of obtaining a deeper understanding of the wind environment.

The data used in this study are the hourly wind directions and wind speed of three years from 1988 to 1990. A brief summary of this investigation can be given as follows.

(1) The direction of the prevailing wind is N to NW in winter and S in summer mainly due to the topolographical condition that the observation site is open to the N-S line.

(2) The mean wind speed is strongest in spring (March and April) and weakest in the late autumn (November and December ) . The strong wind in spring is brought from the storm passing from west to east. The weak wind condition in autumn is associated with the travelling anticyclone from the continent.

(3) The sea wind in daytime sets from S at the early stage and turns from W at the mature stage of early afternoon. On the other hand, the land breeze in night is brought from NE which corresponds to the direction of the upper stream of the Urakami River.

*現 在 長崎市 立東長崎 中学校

(2)

1.はしがき

 地上の風は重要な気象要素の一つであり,気圧傾度がある程度大きければ,その風向は ボイス・バロットの法則に従うが,風向風速計の環境により微妙な特性を示し,比較的代 表性に乏しい性格をもっている。さらに,気圧傾度が小さい場合には,海陸風や山谷風が 卓越し,局地的な性格が一層顕著となる。長崎市のような起伏に富んだ地形では,測器が 適正な位置に置かれたとしても,周辺の地形の影響を受け,風向・風速はかなり複雑な様 相を呈するはずである。本研究では,このような地上風の局地性に着目して,長崎大学教 育学部本館屋上の風向風速計の記録により,長崎大学文教キャンパスにおける風向・風速 に関する特性を考察する。測器は風車型自記風向風速計(光進電気工業,KD−llO型,3 要素出力形式)であり,1987年4月に据え付けられたものであるが,本研究においては 1988年1月から1990年12月までの3年間の記録を対象とした。

2.風向風速計の立地環境

 第1図に長崎大学教育学部周辺の地形を示す。本学部は長崎港の北約4kmに位置し,南 北には比較的開けているが,東西方向の距離2〜3kmに標高200〜300mの丘陵が連なって

人村湾

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鴫鼓岳 時津町

長与町 ぎノ  

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角力灘

長蝸大学 教育学部

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 長崎市

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燐談山

第1図 長崎大学教育学部周辺の地形

等高線は200m間隔で,本図の範囲は東西13.2km,

南北17.lkmである。

(3)

おり,東西断面でみれば谷地形の底部に位置する。西側の山々のくぼみ(峠)の海抜高度 は約200mとやや低いが,東側は峠のようなものがなく標高300m程度の帯状の壁を形成し ている。最も仰角の高い山頂は,南東方向の2.4kmにある金比羅山(標高366m,仰角 7.9。)であり,西側の岩屋山(距離3.3km,標高475m,仰角7.6。)がこれに次ぐ。また,

第1図では等高線を200mごとに示しているために,北側の時津町や長与町はかなり平坦 な印象を与えるが,実際には標高150m程度の小山が点在し,かなり起伏に富んでいる。

 ところで,地上気象観測法(気象庁,1988)によれば,「風の測器は平らな開けた場所 で地上10mの高さに設置することを標準とし,開けた場所とは測器と障害物の距離が障害 物の高さの10倍以上あること」と定められている。しかし,地上10mという標準的な条件 は都市部では実際上不可能であり,たとえば,18.7m(長崎海洋気象台),24.4m(福岡 管区気象台),74.6m(気象庁,東京)など,気象官署でも相当高い位置に設置されてい る。本学部の測器は,6階建の校舎の屋上(21。9m)から7.lmだけ突き出た塔屋最上部 からさらに0。9mの高さの柵に設置しており,プロペラの地上高は30.2mである。また,

本学部の標高は約15mであるから,標高では約45mとなる。本学部本館は大学構内で最も 高い建物であり,測器の周辺に障害となるような建物はない。大学の外側の周辺市街地に おいても,測器の高さにまで及ぶ建築物はなく,理想的とは言えないまでも,全方位に開 けた比較的良好な設置環境にある。また,第1図からわかるように,本学部の周辺2kmの 範囲には,高さ200mの等高線はほとんどかかっていないから,上に述べた山頂部を除け ば,地上気象観測法の「障害物の高さのIO倍以上」という条件はおおむね充足している。

3.解析の方法と3年間の気候特性

 本学部の自記風向風速計の記録は,瞬間風速(通常,0〜35m/sレンジ),10分間平均 風速(通常,0〜25m/sレンジ),瞬間風速(16方位レンジ)の3要素がアナログ出力さ れる形式であるから,毎正時の平均風向とその時刻の平均風向(10分問平均値)を読み取

り,1日あたり24個のデータから成る月原簿を作成した。10分間平均風速は,刻々のIO分 問平均値が演算されて出力されるから,その時刻の記録値を直ちに読み取ればよい。一 方,平均風向については平均化機能が付加されていないから,正時の前10分間のペン書き 瞬間風向を目測により平均し,16方位で整理した。これらの月原簿から各月ごとのData Fileを作成し,実際の統計的な処理はすべてパソコン(PC−9801VX)上で行なった。な

お,今回のデータ整理は上の2要素のみで,瞬間風速については整理していない。

 第1表は,3年間の長崎海洋気象台における月別気温偏差および本学部における風向・

風速の欠測率である。このうち,月別気温偏差は,長崎海洋気象台における月別平年値

(1951〜80年の30年平均値)に対するその月の平均気温の偏差であり,長崎県気象月報

(長崎海洋気象台刊行)に基づいて表示した。月別気温偏差はその月の気候特性を反映さ せる代表的な情報と考えられるから,各月の寒暖の傾向とともに概略的な気圧配置などの 特徴を表わしている。たとえば,この表から,1988年の1月は平年に比べてかなり暖冬で 寒気の流入が弱かったこと,3月は平年よりやや寒冷な状態にあったことなどがわかる。

しかし,1988年は全体として月別気温偏差は小さく平年並の気候であったと言える。一方,

1989年は1・2月の高温が著しく,次いで,6・7月の低温傾向が目につく。さらに,

(4)

第1表 3年間の月別気温偏差と長崎大学教育学部における昼夜別の欠測率

   気温偏差は長崎海洋気象台における各月の平年値(1951〜80年)との差を示す

1988年 1989年 1990年

気温偏差

(℃)

欠測率(%)

中 夜間

気温偏差

(℃)

欠測率(%)

中 夜間

気温偏差

(℃)

欠測率(%)

中 夜間

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3 一〇.6 0.0  0.0 0.6 0.0  0.0 1.9 1。8  2.7

4 一〇.4 0.0  0,6 1.3 0.0  0.0 一〇.1 0.0  0.0

5 0.9 0.7  0.0 一〇.3 1.2  0.0 0.2 0.0  0。O

6 0.3 6.2  1.5 一〇.5 0.0  0。0 1.4 0.0  0.0

7 0.4 2。0  0.6 一〇.5 8.4  7.9 1.2 0.0  0.3

8 一〇。6 2.7  0.0 O.1 9.9  10。6 1.6 5.7  0.0

9 0.0 0.0  0.0 0.4 0.6  0.0 1.6 2。4  0.0

10 0.4 0。0  0.0 一〇.3 4.4  3.2 0.6 0.0  0.0

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12 0.3 0.0  0.0 1.1 0.0  0.2 0.3 0.0  0.0

1990年では,2・3月,6〜9月およびll月の高温が顕著で,年間を通じて非常に温暖で あった。一般的に言えば,高温は平年に比べて晴天が多かったこと,低温は曇天が多かっ たことと対応するが,そのことはその月の高・低気圧の配置や前線の位置の平年からのづ れに強く影響されている。従って,月別の風配図の特徴を考察する場合には,このような 各月の気候特性にも十分な留意が必要である。

 次に本学部の欠測率について述べる。本学部の測器は通常の100V交流電源を用いてい るから,停電時には記録が得られない。停電は年間計画に組み込まれている電源系統の定 期検査時には避け難く,さらに落雷,強風などによる突発的な原因でも発生する。また,

電源が供給されていても,記録紙上のインクが非常にうすい場合には読み取り不能となり,

さらに,1か月巻き自記紙の交換がおくれた場合にも時間的な空白を生じる。このような 種々の理由による欠測率を各月の日中と夜間に分けて表示した。なお,日中と夜間の時間 区分は第2表および第3表に示している。ひと月を30日として1日(24時間分)が欠測に なれば,その欠測率は3.3%となるから,欠測率が最大であった1989年8月の場合で,お よそ3日間に相当する欠測があったことになる。

4.風配図の特徴

 第2〜4図に3年間の2か月ごとの風配図を示す。長崎地方の季節区分は3か月ごとの 四季に分けるよりも,2か月ごとの6季に区分する方が季節感覚的に優れているから(た

とえば,荒生,釘山l l982),冬(1・2月〉,春(3・4月〉,初夏(5・6月),夏(7・

8月),初秋(9・10月),晩秋(ll・12月)というように分類した。なお,これらの図で は昼夜の区別をしていない。

(5)

 これらの図に現れた特徴的な概況をまとめる。

(1)冬・春における卓越風向は北であり,非常につよい指向性がNにみられ,風配図上 でN方向に鋭い「くさび型」を呈する。Nに比べてNEおよびNWの頻度はかなり低下し ているが,平均風速では,NW側で強く,N E側では非常に弱い。後で示すように,N〜

NWが冬の季節風に対応する強風をもたらしている。冬と春の風配図はよく似ているが,

春にSの頻度がやや高くなり,S〜S Eの方向の風速が強いために,平均風速は春のほう が大きい。春は1年のうちで最も平均風速の大きい時期でもある。

(2)初夏の風向は春よりもS〜SW方向への伸びが目立つものの,Nの頻度が依然とし て顕著である。ただし,この時期のN〜NWの平均風速は冬・春よりも弱い。夏の卓越風 向はNとS〜SWの2方向に分極し,その勢力はほぼ互角である。ただし,1990年では,

初夏,夏ともにS〜SWが非常に卓越し,その分だけNが先細りになっている。これはこ の年の猛暑が優勢な太平洋高気圧によってもたらされたことを反映している。

(3)初秋・晩秋においては,Sの頻度が著しく低下し,N〜NE方向に張り出している。

特に,NEの頻度が顕著に増大し,NNEの出現率がやや小さいためにNとNEの二山型 を示す。NNWは初秋では低頻度であるが,晩秋になると冬なみの高頻度となる。また,

N〜NWの平均風速も初秋より晩秋で強く,冬の風速に近い。しかし,比較的頻度の大き いNNE〜N Eの風速が弱いために,この時期の平均風向は1年のうちで最も弱く,その 理由は秋の比較的広い範囲を覆う移動性高気圧にある。

 第5図は1989年における,2か月ごとの昼夜別風配図である。さらに,第2〜3表には昼 夜別・月別の卓越風向,その風向の平均風速等を示す。これらの図表からも上で述べた概 況は当然読み取ることができるが,ここでは日中と夜間に着目してその特徴を述べること

にする。

(1)冬・春の日中の風はNとNNWに著しく偏っており,平均風速も非常に強く,冬の 季節風の主力となっている。NやNNWに比べてNWの頻度が非常に小さいことは,本学 部の立地条件に関係し,北西方向の山によってこの風向の風が抑えられたり,あるいは北 よりに偏向させられることを示唆している。1年を通じてNWの風が少ないのもこのため であると考えられる。しかし,頻度は小さいながら,冬・春のNWの風速は十分に強いか ら,強風時には山を越えてNWが直接流入する傾向も読み取れる。また,夜間にもN〜

NNWの強い風があり,昼夜を通して北よりの季節風が吹いている場合も少なくない。こ のように,昼夜を分かたず優勢な風によって,その時期の卓越風向を識別できる。

(2)一方,冬・春の夜間にはNと同程度に風速の弱いN Eが出現する。これは昼夜を分 離しないで示した第3図(1989年)では検出困難であったが,夜間だけでみると,その卓 越性はきわめて明瞭である。これは比較的穏やかな日の陸風に対応し,全シーズンを通し て夜問にのみ顕著に現れる。特に,高気圧に覆われることが多い初秋・晩秋の夜間には,

大半がNEの風向で占められる。このようなNE風については,次の節で詳述する。

(3)南よりの風に注目すると,初夏・夏・初秋において夜間よりも日中の頻度が高く,

かつ,平均風速もやや強い。しかし,夜間の南よりの風は日中の強さとそれほど大きな差 ではない。昼夜を通して吹く夏の季節風はあるはずだから,その分を考慮すれば,昼にの み現れる南よりの風の存在が検出できる。このシーズンの昼夜の比較から,日中にのみS

〜SW〜Wで頻度が大きく,暖候期の季節風は主としてSの風向であること,および,穏

(6)

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(1・2月)

1988

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(3・4月〉

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(5)

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第2図長崎大学における1988年の2か月ごとの配置図

実線は風向の百分率,破線はその風向の平均風速を表し,円の中は静穏の割合(上)

と期間全体の平均風速(下)を示す。

(7)

1989

(!・2月)

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第3図長崎大学における1989年の2か月ごとの配置図

実線は風向の百分率,破線はその風向の平均風速を表し,円の中は静穏の割合(上)

と期問全体の平均風速(下)を示す。

(8)

1990

(1・2月)

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(3・4月)

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(ll・12月)

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(男)

S 第4図 長崎大学における1990年の2か月ごとの配置図

実線は風向の百分率,破線はその風向の平均風速を表し,円の中は静穏の割合(上)

と期間全体の平均風速(下)を示す。

(9)

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(10)

第2表長崎大学教育学部における日中の風の月別主要統計表

  風向のCLMは静穏(平均風速0.0〜0。2m/s)を示し,時刻は日中として整理した時刻を示す

時刻 平均風速m/s)  卓越風向とその平均風速(m/s)および出現率(%)

1位      第2位      第3位      第4位

第4位までの 計出現率 1988 09−17 2.0 N 22 39。8 NNW2.724.4 CLM− ll.l NNE L6 5.4 80.7

209−17 3.1 N  2.843,9 NNW3。5 24.4 NW4,6 6,7 NNE l.3 5.9 80.9

3 08−18 2.7 N  2.8 48.4 NNW2.7 22.6 NNE2.0 6.5 S  3.8 4.4 8L9

4 07−18 3.0 N  2,8 28,9 S 4,2 14.2 W 3.4 9,2 NNW3、1 7.8 60.1

507−19 2.7 N 2.729。5 S 3.2 11.5 NNW2.4 9。2 SW 2.9 8。0 58.2

6 07−19 2.1 N  l。8 23.8 SW 2.7 13.l S  2.5 12.3 SSW3.4 11.5 60.7

707−19 2.6 N 2.623.3 SSW3.220.3 SW 2。9 19,7 WSW2.8 7。3 70.6

807−19 2.2 N  2.2 18.6 SW 2.6 11.O S  2.7 9.4 SSW2.7 8.7 47.7

908−18 2.4 N  2.7 50.O NNE l.6 1L8 NNW3。3 4.9 NE 1,3 3.6 70.3 10 08−18 2.2 N  2.842.5 NNE l。7 15.O NNW2.7 10,6 NE l.6 6.7 74.8 11 08−17 2.4 NNW3.4 22.7 N  2.6 22.3 NW3.3 9.7 NNE LO 7.0 6L7

12 09−17 2.2 N 2.628.7 NNW3.l l9.7 CLM− 11,5 NNE1.3 6.8 66.7

1989 109−17 2.7 N  3.136.6 NNW3,5 14.3 NNE1.6 13。6 NW3.0 5.4 69.9

209−17 2.6 N 2。534.9 NNW3.125.4 S 3.7 7.9 CLM− 7.5 75.7

308−18 2.8 N  2,8 34.O NNW3.4 12.9 NW4.2 12.6 SW 3。1 6.7 66.2

4 07−18 2.5 N  2,923.l SW 3.O ILl NNW2。9 8.6 S  2.6 8.1 50.9

5 07−19 2.2 N  2.129.6 SW 2.9 10.l S  2。0 8,8 NNE l。5 8.5 57.0

607−19 2.4 N  2.622.3 S 3,7 13.3 SW 2.8 10.8 SSW2.9 9.5 55.9

707−19 2.9 N  l,9 16.3 S 4,l l4,l SSW3.5 13。3 SW 3.5 9。2 52.9

807−19 2.7 N  2.9 23.7 SW 3.4 11.O S  3.4 9.4 NE 2.0 7。7 51.8

908−18 2.1 N 2.422.9 S 3。3 13.l NNE LO 9.8 CLM− 9.1 54.9

10 08−18 2.2 N  2,733.1 NNE L9 14.l NNW2.9 10.l NE 1.4 8.3 65.6

11 08−17 2.3 N  2.8 29。7 NNW3.4 11.3 NNE L6 1LO CLM− 10.7 62.7 12 09−17 1.7 N  1,927,2 NNW2,9 19.4 CLM− 14,0 NNE1.3 1L8 72.4 1990 109−17 2.3 N  2,532.l NNW3.2 22,9 CLM− 8.4 NNE l.5 6.5 69.9

209−17 2.3 N 2.534.9 NNW2.6 15.l NNE l.2 8,7 CLM− 6.8 65.5

308−18 2.8 N  3.122.I W 2.9 11.9 S  3.0 1LO NNW3.4 10.7 55.7

4 07−18 3.0 N  3.0 17。2 S 3.2 9.2 NNE L9 8,l SW 3,6 7,8 42.3

507−19 2.5 S 2。915.9 N 2,2 1L2 SW 2,7 9.9 WSW2.8 9,7 46.7

607−19 2.8 S 4.O l7,7 SW 3.5 15,9 SSW4.3 13.l N 2,2 11.8 58.5

707−19 3.2 SW 3.525.3 SSW3.5 19.4 S  4.7 18。9 WSW3.1 6.5 70.1

807−19 2.2 SW 2.914.2 S 2.7 1L6 N 2.l lO.5 CLM− 7.9 44.2

908−18 2.7 N  3.132,6 NNE1。7 10.2 SW 3.2 8.4 SSW4,0 7,5 58.7 10 08−18 2.1 N 2.740.8 NNE l,8 14.7 NE 2.1 1Ll CLM− 9,1 75.7

ll 08−17 2.1 N 2.637,3 CLM− 14。3 NNW2。9 9.7 NNE L5 8,0 69.3

12 09−17 2.1 N 2。224.O NNW3.4 16.5 CLM− 14.O NW3.2 10.8 65.3

(11)

第3表 長崎大学教育学部における夜間の風の月別主要統計表

  風向のCLMは静穏(平均風速0.0〜0.2m/s)を意味し,時刻は夜の終りと始りの時刻を示す

時刻 平均風速m/s)  卓越風向とその平均風速(m/s)および出現率(%)

1位      第2位     第3位      第4位

第4位までの 計出現率 1988 108/18 L2 CLM− 34,2 N L7 18.5 NNW2.5 13.6 N「NE1.O ll.2 77.5

208/18 L7 N  2.1 27.9 NNE l.1 16.9 CLM− 15.4 NNW3.O l4.3 74.5

307/19 1.7 N 2.136,0 NNE L4 18。6 CLM− 12.7 NNW2.2 10.9 78.2

406/19 L6 CLM− 26.3 N 2、4 18.7 NE O.8 14.O S 3.4 9.5 68.5

506/20 1.4 CLM− 23.2 N 2.120,5 NNE1.O l6。3 NE O.6 1L4 71.4

606/20 1.4 CLM− 27,0 N  L6 21.2 NNE O.7 10.6 S  2.5 10.3 69.1

706/20 L6 N  2.1 22,l SSW2,2 16.5 S  2.1 14。7 NNE Ll 14.2 67.5

806/20 0.9 CLM− 37.8 NNE O.9 15.5 N  1.3 9.l NE O。9 8.8 71.2

907/19 L4 N  2.5 25.9 NNE L2 24.l NE Ll 17.2 CLM− 17。2 84.4

10 07/19 1.1 NE 1.1 29。O NNE L3 23.8 CLM− 23.8 N 2.l l4.1 90.7

ll 07/18 1.3 NE O.9 26,4 CLM− 25,7 NNW2.7 15。5 NNE l,0 9.5 77.1 12 08/18 L1 CLM− 34.4 NE O.9 18.3 NNW2.9 15.3 N  L8 13.6 81.6 1989 108/18 1.7 N 2,6 25.4 NE l.O l9.6 NNE l.2 16.6 CLM− 12.0 73.6

208/18 L5 CLM− 26.4 N 2。0 23.1 NNE l.0 12.4 NNW2.5 10.0 71.9

307/19 1.7 CLM− 22.6 N 2、2 21.6 NE l.3 15.4 NNE l2 10、2 69.8

406/19 1.3 NE l。0 20.6 CLM− 19、7 N  2.2 17.5 NNE LO l7,2 75.0

506/20 1.2 CLM− 29.O N l。8 18.2 NNE Ll l3.2 NE O.8 10.6 7LO

606/20 1.6 CLM− 24.6 N 2.2 20,0 S 3.2 1L8 NNE LO lL2 67.6

706/20 L7 CLM− 22.3 NNE l.4 14.O S 2.7 13.4 SSW4.0 9.2 58.9

806/20 L4 N  2.3 2L6 CLM− 21.O NNE Ll l9.7 NE O.8 10。2 72.5

907/19 1.O CLM− 33.l NE O,9 13.6 N  l,3 1L5 S  2.9 10.5 68.7 10 07/19 1.2 NE l.0 35.9 NNE l.3 19.5 CLM− 19.5 NNE2.2 !2。8 87.7 ll 07/18 1.3 NE Ll 24.8 CLM− 2L7 NNE LO l6.O N  2.2 12.1 74.6 12 08/18 1.0 CLM− 30.6 NE O.921.6 N  l.8 14.2 NNE O。8 12.5 78.9 1990 108/18 1.3 CLM− 27.7 N 2.120.4 NNE l.O l3.4 NE l.0 12,1 73.9

208/18 1.4 N  2.4 22.6 NNE LO 20.5 CLM− 19.8 NE O,9 14、5 77.4

307/19 1.4 CLM− 29.l N 2.5 17.l NE O.8 13.8 NNE l.2 12。8 72.8

4 06/19 L7 CLM− 21.7 N 2.6 14.2 NNE L3 13.9 NE O.8 10,8 60.6

506/20 L1 CLM− 23.2 NE O.720.2 NNE l.0 14.7 S 2,0 7.0 65.1

6 06/20 2.0 CLM− 26.1 S 3,6 22.4 SSW3。7 13.9 NE O.7 9.7 72.1

706/20 L9 S 3.3 30.6 CLM− 23.5 SSW3。O l4.7 SW 2.0 11、5 80.3

8 06/20 1.2 CLM− 29.O NE O.8 15.O S  2.9 10,6 NNE l,l lO.6 65.2

907/19 1.7 N  2.8 24.6 CLM− 16.4 NNE l.1 15.6 NE O.9 15.1 71.7 10 07/19 L3 NE 1.1 33.5 N 2.2 25.3 NNE1.4 16.9 CLM− 16.9 92.6 11 07/18 1.2 CLM− 28。6 NE 1,12L9 NNE l,2 18,3 N 2.2 12.4 81.2 12 08/18 L2 CLM− 32.5 NE O。8 16.8 N  l.6 15.9 NNW3,0 11.8 77.0

(12)

やかな時の海風は南からやや西よりに入っていることがわかる。なお,紙数の都合で図示 はしていないが,猛暑であった1990年の初夏および夏の夜問のSの頻度は20%を超えるほ ど突出していた。このことは第2〜3表の中からも1990年の優勢な夏の季節風の存在をはっ きりと検出できる。

(4)第5図および第2〜3表に表わされているように,日中と夜間においては,平均風 速と静穏の頻度にも大きな違いがある。月ごとの平均風速についてみると,夜問の日中に 対する比は,最大0。71(1990年6月),最小O.41(1988年8月),平均0.57となっており,

平均的な夜間の風速は日中の約6割程度であった。気圧傾度が大きければ,昼も夜も同じ 程度の風速を生じさせるはずであるから,この違いの最大の要因は気圧傾度のゆるい場合

の昼と夜の風速の大小にある。そしてそれは,日中と夜間の静穏の出現頻度と密接に関係 している。静穏の頻度は日中ではせいぜい10%程度かそれ以下であるが,夜間では20〜30

%を占め,日中の3倍程度の頻度を示す。最も静穏が多いのは昼夜とも晩秋の頃であり,

初秋がこれに次ぐ。第3表に示した夜間の月別風向頻度から明らかなように,晩秋の静穏 とNEおよびNNE(ともに静穏に次いで弱い)の頻度の合計は60%以上にもなり,広い 意味で穏やか状態が多い。

5.海陸風の特徴

 海陸風は気圧傾度のゆるい時に発達する局地風である。1988〜1989年の2年間の7・8 月および10・ll月のデータを用いて,天気図の気圧配置を参考にしながら,海陸風の発達

したと考えられる日を抽出した。ここではこの2か月のことを夏および秋と呼ぶことにす る。抽出された日数は夏,秋とも15日である。これは案外少ない印象を与える。しかし,

朝に陸風から海風への交替があっても,夕方の交替が不明瞭であったり,その逆のケース もあるし,また夜間の風が静穏で風向を定めにくい場合もあるから,1日のなかに2回の 交替が明瞭にみられた例のみを慎重に選んだためと考えられる。

 第6図に海陸風に伴う代表的な風向および風速変化の例を示す。上段は夏の例であり,

下段は秋の例である。夏の場合,それまでの北よりの風が08時に南風に変り,海風に交替 した。海風は風速4m/sにもなるほどに発達し,風速の増加にともない西風が卓越してい る。22時にようやく北東風に転換し陸風となった。海陸風の発達は,ほとんど日変化しな い海面温度と,陸地の日射による昇温および夜間の放射冷却による降温によって引き起こ されるものであるから,夏の夜は陸海の気温差が小さく,陸風は非常に弱い。そのために 夜の風向も秋ほどには定まっていない。一方,秋の場合は当然のことながら,朝の交替時 刻が遅く(この場合,12時),夕方の交替時刻が早い(19時)。そして,海風の最盛期は14 時頃で夏とあまり変わらないものの,その風速は3m/s程度に留まっている。さらに,夜 間の風向は主として北東で,その風速はl m/s程度の強さあるが,海風を挟むように風速 の弱い「なぎ」の状態があり,風向もやや乱れている。

 この図から読み取れる海風の特徴の一つは,朝方の海風は徐々に風速が強まっていくに つれて,南風(浦上川の谷沿いに入ってくる風)から西風(西側め丘陵を越えて海から直 接入ってくる風)に転向することである。すなわち,海風の開始時には長崎港からの風と なり,最盛期には角力灘方面からの風となる。この転換時の風速は2〜3m/sのあたりで

(13)

ll !亥1;5 10 15 20 (h)

ε4

2

0

\↓\〆/→↓↑↑\\→/■→ノ」心〆↑→↑//〆

       風向

(a)1989年7月17日

20 (h)

8   6   4   2   0    0   2    4   6   8(回》

時 刻    5 一〇 15

 〆/〆〆〆へ〆−〆\\↑→→N\ノメやル・〆〆〆

       風向E

)4

2

      (b)1989年10月27日0

第6図 長崎大学における海陸風の風向と風速    の日変化

   (a)は夏,(b)は秋の場合で,風向は上を    北とし,矢印の先端が風下側を示す。

時 閏 7−8 8−9 9・10

  秋 ユ0・11月)

10−11

 夏 7・8月)

11・12 12−13 13騨14 14・15

(a)海風の吹き始めの時間

δ   b   4   孟 時 聞

夏(7・8月)

16・王7 17・18 18−19

 秋 ユ0・11月)

19・20 20・21 21−22 22−23

8 6 4 2 0 0 2 4 6 8(回)

起こっている。一方,陸風にも非常に顕著

      (b)海風から陸風への交替時間 な指向性がある。第6図の夜の時間帯で,

      第7図 長崎大学における海陸風の風向転換時間 ある程度風が吹いている場合には(静穏で

       の度数分布

は風向が特定しにくい)・ほとんど北東風    (1988_1989年の夏,秋ともに15例の場合)

となっている。これは第1図に示したよう

に,浦上川に沿って上流方向から吹く風である。すでに述べてきたように,北東風は夜間 にのみ顕著な風であり,穏やかな天候のもとでの陸風の主成分となっている。

 ところで,須田(1990)は山間部における夜間の風向特性を調査した結果, (風の)方 向性に関して,風速の大小がそれぞれ地形スケールの大小に対応していることが確認でき,

山間地域では,風速l m/sの風向と10km四方の地形,風速4m/sの風向と35km四方の地形 の対応が比較的よかった と報告している。この指摘は本地域のように複雑な地形におけ る風の特性を考察する場合にも有力な示唆を与える。須田の研究は夜間の風に対して行な われたものではあるが,本研究における夜問の陸風(風速l m/s)や,開始直後の海風

(風速1〜2m/s)は浦上川に沿う比較的小スケールの地形に対応し,最盛期の海風(風 速3〜4m/s)はそれより大きなスケールの海陸分布に対応していると考えることができ

るからである。

 第7図は,上で述べた夏と秋のそれぞれ15例における,朝方の海風の開始時刻と夕方の 陸風の開始時刻の時問別頻度分布である。平均的にみれば,夏の海風は09時頃に始まり21 時頃に終る。また,秋の海風はll時頃に始まり18時頃に終る。これは夏では「日出の3時 間後から日没の1時間半後まで」,秋では「日出の4時問後から日没時まで」にほぼ対応 する。それでも,1日を通して穏やかな日を選び出している割には,開始や終了の時刻は やや分散しているようにみえる。このことについて若干の考察を示しておきたい。

 気圧傾度の非常に緩やかな日とは言っても,当然ある方向に気圧は傾いており,理想的 な状態はそれほど多くはない。その傾き方もそれぞれ.に異なり,一様ではないし時間的に も変化する。しかし,一般的に多いと考えられる傾きの走向は,夏は北に低い南方高気圧 型であり,秋は南に低い北方高気圧型である。すなわち,穏やかな日でも夏は南風,秋は 北風の弱い成分を含んでいる場合が多いと考えることができる。このような気圧配置のも

(14)

とで,南北に開いた谷地形の場合には夏の海風は増強され,秋の海風は抑制される傾向を もつ。もちろん,夏の陸風は抑えられ,秋の陸風は強まる。すでに述べてきた本地域の海 風や陸風の特性もまたこのような傾向を十分示しており,この種の考察と矛盾はない。従っ て,本地域では夏の海風はやや長寿命で,秋の海風はやや短命であると考えられる。そし て,海風の開始や終了の時刻のやや大きい分散は,微妙な気圧傾度の方向や時間の変化に 支配されていると考えることができる。

参考文献

荒生公雄,釘山正二郎,1982:長崎市における1978年から1980年までのパスキル安定度,長崎大学  教育学部自然科学研究報告,No.33,65−76.

気象庁,1988:地上気象観測法,第7章(風の観測),79−91.

須田芳彦,1990:山間部において夜問の風向を決定している地形スケール,天気,37,343−350。

長崎海洋気象台,1988−1990:長崎県気象月報(月刊)

参照

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