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南西諸島の住宅の温熱環境に関する調査研究 : 第一報 奄美大島および喜界島の住宅の温熱環境実測調査

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(1)

南西諸島の住宅の温熱環境に関する調査研究 : 第

一報 奄美大島および喜界島の住宅の温熱環境実測

調査

著者

黒木 荘一郎, 赤坂 裕, 小原 聡司, 二宮 秀與

雑誌名

鹿児島大学工学部研究報告

36

ページ

155-171

別言語のタイトル

A Field Study on the Thermal Environment of

Dwellings in Nansei lslands : Part 1. Field

Measurement on Thermal Environment at Detached

Dwellings in Amami lsland and Kikai lsland

URL

http://hdl.handle.net/10232/12403

(2)

南西諸島の住宅の温熱環境に関する調査研究 : 第

一報 奄美大島および喜界島の住宅の温熱環境実測

調査

著者

黒木 荘一郎, 赤坂 裕, 小原 聡司, 二宮 秀與

雑誌名

鹿児島大学工学部研究報告

36

ページ

155-171

別言語のタイトル

A Field Study on the Thermal Environment of

Dwellings in Nansei lslands : Part 1. Field

Measurement on Thermal Environment at Detached

Dwellings in Amami lsland and Kikai lsland

URL

http://hdl.handle.net/10232/00004623

(3)

Thermalenvironmentsofthreewoodenhousesspecifiedwithdifferentroofinsulationin

Amamiisland(28.23'N,129.30′E)andRC(reinforcedconcrete)housesandtraditional

woodenhousesinKikaiisland(28.19'N,130.00'E)hasbeenresearched・Itwascertifiedthat

thesuitablehouseinthesewarmandhumidregionmustbedevelopedinconsiderationofinsu‐

lation,sun-shading,crossventilationandnightventilationwhentheopeningsareclosed.

黒 木 荘 一 郎 ・ 赤 坂 裕 ・ 小 原 聡 司 ・

二 宮 秀 興

(受理平成6年5月31日)

AFieldStudyontheThermalEnvironmentofDwellings

inNanseilslands

Partl・FieldMeasurementonThermalEnvironmentatDetachedDwellings

inAmamilslandandKikailsland

SoichiroKUROKI,HiroshiAKASAKA,SatoshiOHARA,

andHideyoNIMIYA

第一報奄美大島および喜界島の住宅の温熱環境実測調査

熱・気密化は,冬季の温熱環境の向上には暖房の有無 にかかわらず有効であるが,夏季や中間季には屋内に 熱を閉じ込めて室温をかえって上昇させる場合がある。 特に,夏季の蒸暑が厳しい地域ではこの点を十分に考 慮しなければならない。 このような地域については,告示の断熱基準を満た す構法と,伝統的・経験的な構法や住まい方にみられ る工夫を,生かし合い,融合させることが現実的な対 応であると考えられるが,その具体的な手法は明確と はいえない。そこで,本報告では,夏季蒸暑度の厳し い奄美大島の名瀬市(28.23'N,129。30'E)で,鹿 児島県住宅供給公社の標準仕様の住宅(在来棟)と, 標準仕様の住宅に断熱を施した住宅(断熱棟)の2棟 について,さらに喜界町(28.19'N,130.00'E)の 公営住宅および伝統的民家について,夏季および冬季 に温熱環境に関する比較測定を行い,断熱化と夏季お よび冬季の温熱環境について考察することにした。

1 . 緒

一一一宮 法的にはじめて住宅の断熱基準およびその構法の指 針が示されたのは,昭和55年の建設省・通産省告示 『住宅に係わるエネルギーの使用の合理化に関する建 築主の判断の基準」である。同告示では,住宅のエネ ルギー消費に占める暖房エネルギーの割合が大きいと いう当時の実情に対応して,主に寒地における住宅の 暖房エネルギーを削減する方向性が明確に打ちだされ た。この告示の公布後すでに10年余りが経過したこと と,近年の地球環境問題に関する意識の高揚によって, その基準値の見直しが行われ,熱損失係数の値が引き 下げられて,寒地のみならず全国的に断熱化が推奨さ れるとともに,日射取得係数と気密化の基準も具体的 に示されることになった。 このように法的に断熱・気密化の方向性が強められ たことによって,住宅の断熱・気密構法の開発と改善 が益々重視される趨勢であるが,そこに問題がないわ けではない。例えば,告示によって推奨されている断

(4)

鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 156 25ch ch2Ch 25Ch 一 ◆ ▲ 匡眉字

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…│| ◆I29ch ポ ー チ 酉 図-1 (1F) 第36号(1994) 図−4屋根の断熱構法

◆ (2F) (2F) 在来棟の平面図と測 定 点 図−2.断熱棟の平面図と測定点

2.奄美大島の住宅の温熱環境に関する

実測調査

2.1奄美大島の実測調査対象住宅 実測対象とした在来棟と断熱棟の平面図と測定点を 図−1,図−2に示す。両棟は名瀬市郊外の住宅地に 隣接して,平成3年6月に着工されたが,実測は両棟 共外装までが完了し内装を残した時点で,8月中旬か ら9月初旬にかけて(非居住状態で)同時に行われた。 在来棟とは鹿児島県住宅供給公社の標準仕様の住宅で, 木造在来軸組構法,外壁無断熱,一階床下は板貼部分 のみ有断熱(発泡ポリスチレン50mm),二階天井有断 熱(グラスウール50mm)である。断熱棟では,標準仕 様に対し,外壁に断熱材(グラスウール50m)が追加 され,屋根断熱の仕様(発泡ポリスチレン1001,,m)が 異なっている。断熱棟における壁・床の断熱構法,屋 根の断熱構法を図−3,図−4に示す。また両棟とも 二階軒天井に換気口があるが,断熱棟では実測期間こ れを塞いだ。測定項目を表−1に示す。センサは温度: 0.3mmjT熱電対,湿度:二線式湿度変換器(HMM20, VAISALA),日射量iシリコン光電池(LI-200S, 7スファ 50,4 図−3壁・床部の断熱構法 J O x 9 C 〃

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(5)

LI-COR)で,データ収録は棟別に30チャンネルのデー タロガーを用いた。 2.2奄美大島の夏季温熱環境実測結果 実測期間のうち9月2日から6日に,すだれによる 日射遮蔽(東,南,西の窓全部)の有無と窓開放によ C皿 10 1 : i3 巧 表 − 1 測 定 項 1 1 在 来 棟 〈 断 熱 桟 ) 外 気 温 度 闘 伺 階天ji;炎面協度 外気洲対湿度(水平面令天漁猟〉 lY 南 側 I 階 居 室 空 気 温 庇 東 ( 南 : 側 屋 製 蕊 面 温 陛 耐 、 2 階 借 篭 隊 淡 而 湿 度 # 〔 側 野 地 裂 災 面 侃 匪 南郷2階天井表miHljI 寛 側 、 躍 迩 空 気 温 1 3 20 市 測 : 溌 届 室 苓 気 温 度 蝋側 隣 天 井 災 訂 温 度 南側2階届峯床表lmiHMI 東 側 2 階 階 峯 空 気 槌 度 22 胤 側 居 室 2 階 壁 友 面 温 度 典 側 2 聯 居 室 床 衰 而 温 礎 23 南 側 階 居 峯 駿 麦 罰 温 度

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写 真 1 在 来 棟 西 側 (すだれによるⅡ射遮蔽の実測11') 帯電藷 ]舞曲 写 真 2 断 熱 棟 南 側 る通風(開放できる窓全部)の有無を取り上げ,これ らを組み合わせた4モード(モード①:窓閉・すだれ 有,モード②:窓閉・すだれ無モード③:窓開・す だれ有,モード④:窓開,すだれ無)について温熱環 境の実測を行った(写真1∼6参照)。在来棟と断熱 棟の比較を図−5∼8に示す。

写 真 3 断 熱 棟 東 側 写 真 4 断 熱 棟 南 側 (すだれによる日射遮蔽の実測中) 写 真 5 断 熱 棟 東 側 (すだれによる日射遮蔽の実測中) ■:? 瑠瀦ドル?

(6)

津 一 ・ ・ 軒 | 158 # 2.2.1室温の比較 南側1階居宰空気温度(20ch)の比較を図−5に示 す。窓閉ではすだれの有無に拘らず,終日断熱棟の方 が0.5∼1.0℃程度高い。窓開では窓開の時間中(8: 00∼19:00時)殆ど差が無いが,19:00時に窓を閉める と1℃程度急に上昇し,その後断熱棟の方が高くなっ ていく。 南側2階居宰空気温度(17ch)の比較を図−6に示 す。窓閉では9:00∼16:00時頃断熱棟の方がやや低 いが,それ以外の時間は断熱棟の方が高い。モード② では両棟とも18:00時頃40℃程度に達する。窓開では 開の時間帯は両棟に差が見られないが,窓を閉じると 1.5∼2.0℃程度急激に上昇している。すだれ有では 8:00∼14:00時にかけて外気温より室温の方が低くなっ

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且 L'胃一・一‐'''山とJl1ヂ掘 麺 ¥ 羊 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 3 6 号 ( 1 9 9 4 ) ﹃0] 25.0 写 真 6 断 熱 棟 の 小 屋 製 50mm角の垂木とその間の断熱材が見える。この上部にもう 1段,垂木と直交する50mm角の桟木の間に断熱材彰肺T: さらに野地板。ルーフィング.コロニアル葺きとなる。 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 図−6南側21晴居室空気温腿(17ch)の比較(モードは図−7参照) 5 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 B 2 4 図−5南側11精居室空気温鹿(20ch)の比較(モードは図-7参照) p 5 3 一○一m﹂.︺の﹂“二三四﹄ lLA 30.0 25.0 0 5 3 −口﹄“﹂.︺、﹂“Q二m﹂ 40.0 ' 30.0 ○ 断 熱 棟 ×在来棟

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モ ー ト ゙ ① モ ー ト ゙ ② モ ー ド ③ モ ー ド ④

(窓閉・すだれ有)(窓閉・すだれ無)(窓開・すだれ有)(窓開・すだれ無)

*窓開、すだれ有の時間帯は8:00∼19:00

図−7西側2階居室壁表面温度(24ch)の比較 0 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 9 / 0 2 9 / 0 3 9 / 0 4 9 / 0 6 図−8南側野地表面温度(14ch)と小屋裏空気温度(15ch)の比較 50.0 0 0 4 。●一四﹂.︾、﹂“QE。﹄ 30.0 20.0 ○ 断 熱 棟 × 在 来 棟 A A OO OO 〆 0

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1 Ⅱ / 、 夕 、 (一階) (一階) すなわち十分な日射遮蔽と通風を取れば図−5,図一6 のように空気温は在来棟と断熱棟でそれほど変わらな くなるが,表面温度は断熱棟の方が低くなる。 2.2.3野地表面温度と小屋裏空気温度の比較 南側野地表面温度(14ch)と南側小屋裏空気温度 (l5ch)の比較を図−8に示す。断熱棟の野地表面温 度と小屋裏空気温度はそれほど差が無く,2階居室空 気温度と類似している。屋根断熱の効果が見られ,小 屋裏空間を建築空間として有効に利用できる可能性が ある。在来棟では野地表面温度は最高で55℃程度,小 屋裏空気温度は最高で44℃程度となる。しかし,夜間 には断熱棟の温度以下に低下し,日の出前には野地表 面温度は外気温程度まで下がる。これは天井断熱のた め屋根から外気への放熱が容易なこと,小屋裏換気の 効果等によると考えられる。断熱棟では昼間の小屋裏 空気温度の上昇が)屋根断熱によって押さえられている にもかかわらず,夜間の温度がそれほど低下しない点 が問題である。その影響は無断熱の天井を貫流して2 階居室の温度に及ぶと思われる。したがって,今回の 実測時には断熱棟では小屋裏換気を取っていないが, 2 3 4 5 m 、 / 、 / 、 / × / ・ \ / 、 夕 、

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(二階) ている。 以上を要約すると以下となる。 ①午前中は日射遮蔽の重要性が高く,これにより室 温を外気温より低くすることができ,断熱棟の2階 においては在来棟より室温をやや低くすることがで きる。また午前中は日射遮蔽により室温を外気温よ り低くできる場合もあるため通風の必要性は低いが, 午後以降はその効果は極めて高い。通風量を多くす ることにより,室温を外気温程度にまで下げること が可能である。 ②今回の実測では夜間換気の効果は確認していない が,19:00時の窓閉により室温が急激に上昇するこ とにより,その重要'性が高いことが窺われる。特に 断熱棟では在来棟以上に夜間通風による排熱が必要 である。 2.2.2室内側壁表面温度の比較 西側2階居宰室内側壁表面温度(24ch)の比較を 図−7に示す。南側2階空気温度と類似した傾向を示 すが,モード③で通風と日射遮蔽を行う場合は,断熱 棟の表面温度は在来棟に比べかなり低く保たれている。 図 − 9 在 来 棟 測 定 点 1 4 弔 q q j 弔 勺 申 寺 弓 ﹄ “ q Ⅲ ﹃ ︲ “ V V

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二 階 居 室 空 気 温 度

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夏季 測 定 点 r 11 全天日射量測定点、 図-10断熱棟測定点 (二階)

﹄ 、自存

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(9)

居室同様に,断熱棟では特に夜間の小屋裏換気が必要 であると考えられる。 2.3冬季温熱環境実測結果 冬季実測は両棟とも完成後(断熱棟のみ居住状態) の1992年2月に約1カ月間行った。使用計器は自記温 湿度計である。冬季実測時は,二階軒天井の換気口を 両棟とも開とした。両棟の2階平面図と測定点を図− 9,図-10に示す。 2.3.1室温の比較

冬季曇りから晴れの期間(2月24日∼27日)の,2

階居室空気温度を図-11で比較する。外気温は,現地 から約3.5km離れた名瀬測候所の観測値である。2階 居室空気温度を外気温と比べると,曇天日の最低値は

在来棟ではほぼ同じで断熱棟では2℃程度高く,晴天

日の最低値は在来棟では2℃程度,断熱棟では6℃程 度高い。断熱棟の最低値は測定期間中ほぼ16℃以上を 維持している。いつぽう晴天日の最高値は在来棟で27 ℃程度,断熱棟で26℃程度であり,暑すぎるというこ とはない。 2.3.2小屋裏空気温度の比較 冬季の小屋裏空気温度の比較を図-10∼12に示す。 晴天日,最高値は在来棟で35℃程度,断熱棟で24℃程 度,最低値は在来棟で10℃程度,断熱棟で16℃程度で ある。断熱棟の小屋裏空気温度は晴天日,曇天日とも 2階居室のそれと類似している。 2.4奄美大島の実測結果のまとめ 在来棟と断熱棟の夏季および冬季の温熱環境を実測 比較した。まず夏季実測結果により以下の点が明らか になった。 ①両棟とも日射遮蔽により午前中は居室空気温度を 外気温より低く保てること,特に断熱棟においては 2 / 2 4 2 / 2 5 2 / 2 6 2 / 2 7 図-12小屋裏空気温度(冬季) 夜間換気の必要性が高いこと,等の結果が得られた。 ②今回の実測調査はアクティブクーリングの問題に は触れずパッシブな状態での結果であって,居室空

気温度は1階で日中31∼34℃,夜間26∼28℃,2階

で日中32∼40℃,夜間で26∼29℃程度に達している。 すなわち日中・夜間を問わず‘快適な温度域を逸脱し ており,居住者がいれば冷房を行っていると思われ る。しかしこのことによって,今回の実測により得 られた結果に意味がないということではなく,その 多くはパッシブクーリングが有効な中間季にも適用 できるものと考えられる。 次に冬季の実測結果は以下のようにまとめられる。 晴天日における断熱棟の2階居室空気温度の最低値は 在来棟より4℃程度高かった。また断熱棟では冬季測 定期間中,ほぼ暖房を必要としない程度の室温が維持 されていた。さらに断熱棟の小屋裏空気温度は2階居 室とほぼ同じであるため,小屋裏を居室並みに有効利 用できる可能性があるといえる。

3.喜界島の住宅の温熱環境に関する

実測調査

前章において筆者らは,奄美大島の戸建住宅を対象 として断熱強化した場合の温熱環境について調査を行 い,屋根(または天井)の十分な断熱,日射遮蔽の有 効‘性および夜間通風による排熱促進の必要性が高いこ となどの結果を得た。 30 0 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 25 0 2 [。。]幽岨 [P]幽閣 15 10 0 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 2/242/252/26 図-11南側2階居室空気温度 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 2/27 (冬季) [二・毛へ三]餌蚕、 10

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(10)

訓 紺 構 法 で あ り . 駒 - 0 162 で,6月頃から10月頃まで来襲する。季節風は冬季に 著しく,北北東の風が11月から3月にかけて吹き,風 速10m/sをこえる日が数日間継続することもあり, 台風と共に交通・漁業・農業など多方面に多大な影響. を及ぼす。 3.2喜界島の実測調査対象住宅 調査した住宅のうち,喜界町の公営住宅団地「コー ラル喜界」内のRC造・木造各1棟と伝統的民家1棟 について温熱環境を比較した。住宅の概要は以下のと おりであり,図-14∼16に平面図・断面図と測定点を 示す。測定は居住状態で行い,窓の開閉・エアコンの 使用時間等を調査用紙に記入してもらい考察の参考と した。 ○RC棟(コーラル喜界,RC造平屋,平成3年度竣工) 屋根スラブ(@120+モルタル@30)は発泡ポリス 本章では,喜界島の公営住宅および伝統的民家につ いて調査する機会を得たので,その概要について報告 する。 3.1喜界町の位置と気候特性 喜界島の位置を図-13に示す。奄美大島の東方,名 瀬市より約40kmに位置する喜界島(北緯28.19’;東経 130.00')は北東から南西に長軸を有する典型的な珊 瑚礁の島(周囲48.6km,面積56.9k、i)である。 喜界島の気候は,亜熱帯海洋性で年平均気温22.3℃ (奄美21.3℃,鹿児島17.3℃),月平均25℃以上は3.8 カ月に及ぶ。梅雨は5月上旬に始まり6月下旬に終わ り,湿度は年平均79%であり,夏季蒸暑度の厳しい地 域である。特徴的な気象条件として台風と季節風があ る。台風は8月頃に最も多く1.6個(年平均3.5個) 丑 断 熱 で あ る , 、 外 題 ②20に内装'6 あ る ( 狂 附 T 熱 ) ハ 棟 襖 気 に 1 2 0 。 = 【 』 君 風 経 跨 浄 取 り ‐ 棟 樺 看 側 の 軒 の 出 は 1 4 0 C の 州 、 犀 墓 型 麺 jE800mmである。居住条件は開口部を昼液 五上目H弄り ○ 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 3 6 号 ( 1 9 9 4 ) 霊 ] 産 〕 ハ 置 室 ノ 、 又

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(11)

床高800 図-14 点 図-15木造棟の平面・断面図と測定点

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図−16S邸の平面・断面図と測定点

(12)

164 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 3 6 号 ( 1 9 9 4 )

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り緑MMM糊 西 韓 ■ や 名 亭 哨 アルミ製棟換気(既製品,1920mm長)を設置し,軒天 換気孔からの小屋裏通気を行っている。天井断熱とし てグラスウール50mmを敷き込んでいる。外壁は石綿ケ イカル板@12,内壁は合板@5.5仕上げである。居住 条件は就寝時に防犯のため窓を閉めるが,それ以外は 写真10小屋裏換気孔 (25mm厚屋根断熱材が見える) 写真11RC棟の床下冷気導入 (抑入下無双ガラリと壁下部に有孔ボードが見える)

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写 真 1 3 北 側 門 か ら 見 た S 邸 擦鍵

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写 真 1 4 S 邸 の 東 側 外 観 (測定対象室) にあり,敷地の周囲はサンゴの石垣とガジュマルの防 風林で囲まれ,敷地は道路より低くなっている。海岸 に面しているので台風や季節風の防風対策に主眼を置 いた伝統的民家である。屋根は,近年普及の著しい, 塩害に効果のあるガルバリウムトタン葺きである。開 口部は昼夜を問わず開放している。小屋裏は隙間が多 く気密'性は低い。 3 . 3 測 定 方 法 測定点の位置を図-14∼16の平面図・断面図に◎印 で示す。コーラル喜界ではデータ収録に,RC棟では 30chデータロガーを1台,木造棟では6chのデータ ロガーを2台使用した。センサーは温度:0.3mm#T熱 電対,日射量:シリコン光電池(LI-200S,LI-COR) を用いた。S邸では自記温湿度計を用い,アスマン通 写 真 1 5 S 邸 の 小 臆 裂 内 部

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蛎 嗣 乳 , 写真16室温測定点の│"1記温湿度計 風乾湿計により校正を行った。外気温はRC棟北側軒 下,日射量はRC棟屋根頂部で計測を行った。 3.4夏季温熱環境の測定結果 実測期間のうち7月27日から30日の4日間の測定結 果について,主にRC棟と木造棟の比較を図−5∼9 に示す。居宰空気温度と小屋裏空気温度についてはS 邸の測定結果を併せて示している。前半の2日は晴天 日であり,後半の2日は曇天日である。 3.4.1室温の比較 3棟の南側居室空気温度の比較を図-17に示す。室 温は日中の午後遅くまで外気温より低い。木造棟の室 温の上昇に比べ,RC棟の上昇速度は緩やかである。 夕方以降RC棟で室温が急激に変化しているのはエア コンの使用によるものである。夜間において,開口部 の条件は異なっているが,RC棟が1∼2℃高い。ま

(14)

543210 2 166 50 たS邸では外気温程度まで低くなっている。日中と夜 間の各棟の室温,日射遮蔽,通風,断熱について以下 にまとめる。 (1)図−14,図一15のように,RC棟,木造棟いずれ も軒の出は1400mmであり深く,日射遮蔽効果が大き い。図一17のように,両棟の室温が明け方から夕方 近くまで外気温より低いのは,深い軒の出による日 射遮蔽と通風の効果によると思われる。 (2)夕方以降明け方までRC棟,木造棟の室温は外気 温を上回っている。RC棟では,夕方から就寝時に かけて断続的に冷房が行われている。冷房による室 温低下は急激で不自然である。S邸でも夜間の室温 は外気温より高いが,RC棟,木造棟の室温より3 ℃程度は低い。S邸は開口部が多くまた隙間も多い。 これが夜間の室温低下に貢献している。したがって 気密性の良好な近年の住宅では,十分な夜間通風を とることが重要である。またRC棟では夜間に断続 的に冷房されているに拘らず,室温が木造棟を上回っ ている。その原因の一つは屋根断熱の不足である。 これに加えて,RC棟では木造棟以上に夜間通風に よる排熱が必要であるといえる。 天井室内側表面温度の比較を図-18に示す。木造棟 ではほぼ室温と同じ値を示しているが,RC棟では室 温より全日2℃程度高くなっており,30℃以下に下が ることはほとんどない。 3.4.2野地表面温度と小屋裏空気温度の比較 南側野地表面温度と小屋裏空気温度の比較をそれぞ れ図-19と図-20に示す。RC棟の野地表面温度と小 屋裏空気温度は最低値や曇天日ではそれほど差がない が,日射の強い晴天時には18時頃のピーク時に,野地 表面温度が小屋裏空気温度より3℃程度高くなってい る。熱容量が大きいため野地表面温度,小屋裏空気温 度共に低下が遅く,深夜でも室内空気温度より3℃程 度高い。この影響は天井を介して室内に及んでいるも のと考えられる。木造棟では野地表面温度は55℃程度 まで上昇し,小屋裏空気温度は50℃程度まで上昇する。 しかし夜間になると,小屋裏換気の効果と共に熱容量 が小さく天井断熱のため,屋根から外気への放熱が促 進され温度は急激に低下している。したがって,RC 棟では屋根断熱の強化や小屋裏の強制換気が必要であ ると考えられる。 S邸の小屋裏空気温度を図-20中に示している(△ 35 O 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 7 / 2 7 7 / 2 B 7 / 3 0

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45 木造棟:電気ストーブ(480W×2加湿付き,間欠 使用),家具調こたつ1台 S 邸 : 暖 房 器 具 の 使 用 無 し RC棟・木造棟の開口部は普通アルミサッシであり, S邸は障子のみであり,全日ほぼ閉め切った状態であっ た。 測定装置および測定点は夏季実測と同じである。 実測期間のうち1月26∼27日および2月2∼4日の 5日間の測定結果について,主にRC棟と木造棟の比 較を図-22∼26に示す。居室空気温度と小屋裏空気温 度についてはS邸の測定結果を併せて示している。前 半の2日は曇天日であり,後半の3日は晴天日である。 途中の1月28∼30日は期間中もっとも寒かったときで あるが,RC棟で暖房器具の使い過ぎでブレーカーが 作動し,残念ながら欠測となってしまった。前半の2 日間は徐々に寒くなっていき,後半の3日間は逆に暖 かくなっていく気候変化状態であった。 3.5.1室温の比較 3棟の南側居室空気温度の比較を図-22に示す。朝 や夕方以降に炊事や暖房器具の使用による不規則な温 度変化が窺えるが,この点を考慮して検討を行った。 RC棟と木造棟の室温は,曇天日の夜間ではほぼ同 程度であり,後半の晴天日では2月2日の夜間にRC 棟が木造棟より約1℃低いものの,2月3日,4日で は逆転してゆきその差が大きくなる傾向が認められる。 これはRC棟の熱容量が大きいため日射の蓄熱効果に 起因するものと考えられる。日中の最高室温の出現時 刻は両棟ともほぼ同時刻であり,木造棟のほうが高い 値を示している。しかし,晴天日の続いた2月5日以 降では徐々に逆転してゆきRC棟のほうが木造棟より 高くなっていくのが確認された。 S邸では全日を通して他の2棟より室温は低〈(夜 間で2℃,晴天日の日中で3∼5℃),日中でも外気温 程度までしか上昇していない。 天井室内側表面温度の比較を図-23に示す。木造棟・ RC棟ともに,暖房・炊事などによる温度上昇の影響 を除けば,室温とほぼ等しくなっている。したがって RC棟では,夏の場合と異なり屋根面からの影響によ る室温の上昇はほとんど現れていない。 3.5.2野地表面温度と小屋裏空気温度の比較 南側野地表面温度と小屋裏空気温度の比較をそれぞ れ図-24と図-25に示す。RC棟の野地表面温度と小 屋裏空気温度は,日射の強い晴天日には18時頃のピー ク時に,野地表面温度が小屋裏空気温度より3℃程度 55 20 50

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図−23南側天井室内側表面温度の比較(冬季) 168 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 3 6 号 ( 1 9 9 4 ) 30 了 25 一○●︸①﹂。︾の﹂のニニの﹄ 20 15 ︹二●国くEへつエ︸・匡・の。① RJA﹃︹。︵こA1nU 10 5 0 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4

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(17)

高くなっており,夏の実測結果と同様である。また熱 容量が大きいため野地表面温度,小屋裏空気温度共に 低下が遅い。小屋裏空気温度は,夜間は室温にほぼ等 しく,日中は室温より2∼3℃程度低くなっている。

木造棟では野地表面温度は晴天日に35℃程度まで上昇

し,小屋裏空気温度は28℃程度まで上昇する。しかし 夜間になると,小屋裏換気の効果と共に熱容量が小さ く天井断熱のため,屋根から外気への放熱が促進され 温度は急激に低下している。また放射冷却により明け 方には外気温より低下する場合もある。 以上の結果より,RC棟では室温の上昇に寄与する

のは窓開口部からの日射のみであり,曇天日など日射

の少ない場合には,パッシブヒーティングの効果が得

られず底冷えする室内環境となる。これはRC棟の居 住者からも指摘されている。したがってRC棟では周 壁の断熱強化や暖房設備の充実が必要であると考えら れる。 S邸の小屋裏空気温度を図-25中に示している。隙 間による小屋裏換気が多いため,日中は木造棟ほどの 温度上昇はみられない。しかし夜間の温度低下は木造 棟より小さく2℃程度高い。これはガルバリウムトタ ンの色が銀色であるので放射率が小さいことも一因で あると考えられる。 3.5.3床下空気温度の比較 床下空気温度の比較を図-26に示す。全日をとおし て室温より低く,明け方には両棟とも室温と同程度に 45 ■ 40 35 30 ︷。●]の﹂。↑の﹂の二二四﹄ 25 20 15 10 5

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なっている。日変化が小さいのは夏の場合と同様であ るが,外気温の影響が夏季よりも強く現われている。 これは夏季に比べて冬季の季節風が強いので,床下通 気が促進されるためと思われる。 3.6喜界島の実測結果のまとめ 夏季蒸暑度の高い喜界島において,RC棟・木造棟 および伝統的民家の温熱環境を実測比較した。夏季実 測調査により,深い軒の出による日射遮蔽効果により 午前中から午後にかけて居室空気温度を外気温より低 く保てることが確認された。また,開放的な伝統的民 家との比較により,RC棟・木造棟共に夜間換気の必 要性が高いこと,特にRC棟では屋根断熱の強化が必 要であること等の結果が得られた。 冬季実測調査より,RC棟では日射の少ない曇天日 などに室温が上昇しにくく底冷えする環境となる。一 方,晴天日が続くと蓄熱効果により日較差の小さい良 好な温熱環境となる。伝統的な気密'性能の低い民家で は他の2棟に比べ室温は夜間で2℃,晴天日の日中で 3∼5℃程度低い。したがって,周壁の断熱強化が必 要と考えられる。断熱強化することにより冬季の暖房 はほとんど不必要になる可能性もあると思われる。

4 . 結 語

温熱居住環境に与える断熱の効果は通年で捉えなけ ればならない。今回調査を行った奄美大島では,夏季 に冷房をしない住み方は現実的とはいえない。就寝時 の冷房を考慮し温度制御’性のよい冷房機を設置するの が現実的である。もし冷房し室温を下げれば断熱の効 果が顕著に表れるであろう。また冬季の温熱環境の向 上に断熱が必須であることは既往の多くの研究が示す ところである。奄美大島でも冬季には暖房が必要であ り,断熱が冬季の温熱環境を改善することは明らかで ある。したがって問題は春季や秋季に断熱によって熱 がこもり夜間の温度が上昇する場合があることである が,この問題は日射遮蔽・通風・排熱等の住まい方を 含めたパッシブ手法およびそれを可能にする設計によ り解決することになろう。 また,夜間の排熱促進のため外気に対する開放性は 重要であるが,防犯のため窓等の開口部を閉めざるを 得ない等,地域の社会環境によって制限を受ける場合 が多々ある。また,台風時に軒天換気孔や棟換気孔か ら風雨が侵入し被害が発生することもあるようである。 したがって,このような住まい方や種々の条件を考慮 したパッシブ手法の適用も重要な視点である。 今回の実測結果を上記のような問題点に対する設計 資料として活用し,南方型住宅の開発に役立てたいと 考えている。

謝 辞

本調査は,鹿児島県南方型住宅(南の家)開発研究 委員会(委員長・赤坂裕・鹿児島大学工学部教授) の一環として行われた。委員,幹事の方々には有益な ご助言を頂いた。奄美大島の調査において,鹿児島県 住宅供給公社には実測対象住宅の提供と,公社標準仕 様の設計変更に協力して頂いた。ダウ化工㈱には屋根 断熱材を提供して頂いた。また,住宅の施工を担当さ れた和田建設㈱には手間のかかる屋根断熱を施工して 頂き,実測期間中数々のご協力を頂いた。喜界島の調 査に際しては喜界町建設課および各住宅の皆様に多大 なるご協力を頂いた。その他実測に協力して頂いた院 生・卒論生をはじめ多くの方々に感謝致します。

参考文献

1)石原修他:沖縄における居住環境の実態調査と パッシブクーリング手法の適用に関する調査研究, 日本建築学会九州支部第32号。2,1991年3月. 2)浦野良美編著:住宅のパッシブクーリング,森北 出版,1991年8月. 3)喜界町HOPE計画報告書,鹿児島県大島郡喜界 町,昭和62年3月.

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