南西諸島の住宅の温熱環境に関する調査研究 : 第
一報 奄美大島および喜界島の住宅の温熱環境実測
調査
著者
黒木 荘一郎, 赤坂 裕, 小原 聡司, 二宮 秀與
雑誌名
鹿児島大学工学部研究報告
巻
36
ページ
155-171
別言語のタイトル
A Field Study on the Thermal Environment of
Dwellings in Nansei lslands : Part 1. Field
Measurement on Thermal Environment at Detached
Dwellings in Amami lsland and Kikai lsland
URL
http://hdl.handle.net/10232/12403
南西諸島の住宅の温熱環境に関する調査研究 : 第
一報 奄美大島および喜界島の住宅の温熱環境実測
調査
著者
黒木 荘一郎, 赤坂 裕, 小原 聡司, 二宮 秀與
雑誌名
鹿児島大学工学部研究報告
巻
36
ページ
155-171
別言語のタイトル
A Field Study on the Thermal Environment of
Dwellings in Nansei lslands : Part 1. Field
Measurement on Thermal Environment at Detached
Dwellings in Amami lsland and Kikai lsland
URL
http://hdl.handle.net/10232/00004623
Thermalenvironmentsofthreewoodenhousesspecifiedwithdifferentroofinsulationin
Amamiisland(28.23'N,129.30′E)andRC(reinforcedconcrete)housesandtraditional
woodenhousesinKikaiisland(28.19'N,130.00'E)hasbeenresearched・Itwascertifiedthat
thesuitablehouseinthesewarmandhumidregionmustbedevelopedinconsiderationofinsu‐
lation,sun-shading,crossventilationandnightventilationwhentheopeningsareclosed.
黒 木 荘 一 郎 ・ 赤 坂 裕 ・ 小 原 聡 司 ・
二 宮 秀 興
(受理平成6年5月31日)AFieldStudyontheThermalEnvironmentofDwellings
inNanseilslandsPartl・FieldMeasurementonThermalEnvironmentatDetachedDwellings
inAmamilslandandKikailslandSoichiroKUROKI,HiroshiAKASAKA,SatoshiOHARA,
andHideyoNIMIYA
第一報奄美大島および喜界島の住宅の温熱環境実測調査
熱・気密化は,冬季の温熱環境の向上には暖房の有無 にかかわらず有効であるが,夏季や中間季には屋内に 熱を閉じ込めて室温をかえって上昇させる場合がある。 特に,夏季の蒸暑が厳しい地域ではこの点を十分に考 慮しなければならない。 このような地域については,告示の断熱基準を満た す構法と,伝統的・経験的な構法や住まい方にみられ る工夫を,生かし合い,融合させることが現実的な対 応であると考えられるが,その具体的な手法は明確と はいえない。そこで,本報告では,夏季蒸暑度の厳し い奄美大島の名瀬市(28.23'N,129。30'E)で,鹿 児島県住宅供給公社の標準仕様の住宅(在来棟)と, 標準仕様の住宅に断熱を施した住宅(断熱棟)の2棟 について,さらに喜界町(28.19'N,130.00'E)の 公営住宅および伝統的民家について,夏季および冬季 に温熱環境に関する比較測定を行い,断熱化と夏季お よび冬季の温熱環境について考察することにした。1 . 緒
一一一宮 法的にはじめて住宅の断熱基準およびその構法の指 針が示されたのは,昭和55年の建設省・通産省告示 『住宅に係わるエネルギーの使用の合理化に関する建 築主の判断の基準」である。同告示では,住宅のエネ ルギー消費に占める暖房エネルギーの割合が大きいと いう当時の実情に対応して,主に寒地における住宅の 暖房エネルギーを削減する方向性が明確に打ちだされ た。この告示の公布後すでに10年余りが経過したこと と,近年の地球環境問題に関する意識の高揚によって, その基準値の見直しが行われ,熱損失係数の値が引き 下げられて,寒地のみならず全国的に断熱化が推奨さ れるとともに,日射取得係数と気密化の基準も具体的 に示されることになった。 このように法的に断熱・気密化の方向性が強められ たことによって,住宅の断熱・気密構法の開発と改善 が益々重視される趨勢であるが,そこに問題がないわ けではない。例えば,告示によって推奨されている断鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 156 25ch ch2Ch 25Ch 一 ◆ ▲ 匡眉字
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◆ (2F) (2F) 在来棟の平面図と測 定 点 図−2.断熱棟の平面図と測定点僻
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2.奄美大島の住宅の温熱環境に関する
実測調査
2.1奄美大島の実測調査対象住宅 実測対象とした在来棟と断熱棟の平面図と測定点を 図−1,図−2に示す。両棟は名瀬市郊外の住宅地に 隣接して,平成3年6月に着工されたが,実測は両棟 共外装までが完了し内装を残した時点で,8月中旬か ら9月初旬にかけて(非居住状態で)同時に行われた。 在来棟とは鹿児島県住宅供給公社の標準仕様の住宅で, 木造在来軸組構法,外壁無断熱,一階床下は板貼部分 のみ有断熱(発泡ポリスチレン50mm),二階天井有断 熱(グラスウール50mm)である。断熱棟では,標準仕 様に対し,外壁に断熱材(グラスウール50m)が追加 され,屋根断熱の仕様(発泡ポリスチレン1001,,m)が 異なっている。断熱棟における壁・床の断熱構法,屋 根の断熱構法を図−3,図−4に示す。また両棟とも 二階軒天井に換気口があるが,断熱棟では実測期間こ れを塞いだ。測定項目を表−1に示す。センサは温度: 0.3mmjT熱電対,湿度:二線式湿度変換器(HMM20, VAISALA),日射量iシリコン光電池(LI-200S, 7スファ 50,4 図−3壁・床部の断熱構法 J O x 9 C 〃;
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写 真 1 在 来 棟 西 側 (すだれによるⅡ射遮蔽の実測11') 帯電藷 ]舞曲 写 真 2 断 熱 棟 南 側 る通風(開放できる窓全部)の有無を取り上げ,これ らを組み合わせた4モード(モード①:窓閉・すだれ 有,モード②:窓閉・すだれ無モード③:窓開・す だれ有,モード④:窓開,すだれ無)について温熱環 境の実測を行った(写真1∼6参照)。在来棟と断熱 棟の比較を図−5∼8に示す。誇
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写 真 3 断 熱 棟 東 側 写 真 4 断 熱 棟 南 側 (すだれによる日射遮蔽の実測中) 写 真 5 断 熱 棟 東 側 (すだれによる日射遮蔽の実測中) ■:? 瑠瀦ドル?織
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津 一 ・ ・ 軒 | 158 # 2.2.1室温の比較 南側1階居宰空気温度(20ch)の比較を図−5に示 す。窓閉ではすだれの有無に拘らず,終日断熱棟の方 が0.5∼1.0℃程度高い。窓開では窓開の時間中(8: 00∼19:00時)殆ど差が無いが,19:00時に窓を閉める と1℃程度急に上昇し,その後断熱棟の方が高くなっ ていく。 南側2階居宰空気温度(17ch)の比較を図−6に示 す。窓閉では9:00∼16:00時頃断熱棟の方がやや低 いが,それ以外の時間は断熱棟の方が高い。モード② では両棟とも18:00時頃40℃程度に達する。窓開では 開の時間帯は両棟に差が見られないが,窓を閉じると 1.5∼2.0℃程度急激に上昇している。すだれ有では 8:00∼14:00時にかけて外気温より室温の方が低くなっ
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(窓閉・すだれ有)(窓閉・すだれ無)(窓開・すだれ有)(窓開・すだれ無)
*窓開、すだれ有の時間帯は8:00∼19:00
図−7西側2階居室壁表面温度(24ch)の比較 0 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 9 / 0 2 9 / 0 3 9 / 0 4 9 / 0 6 図−8南側野地表面温度(14ch)と小屋裏空気温度(15ch)の比較 50.0 0 0 4 。●一四﹂.︾、﹂“QE。﹄ 30.0 20.0 ○ 断 熱 棟 × 在 来 棟 A A OO OO 〆 0、
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1 Ⅱ / 、 夕 、 (一階) (一階) すなわち十分な日射遮蔽と通風を取れば図−5,図一6 のように空気温は在来棟と断熱棟でそれほど変わらな くなるが,表面温度は断熱棟の方が低くなる。 2.2.3野地表面温度と小屋裏空気温度の比較 南側野地表面温度(14ch)と南側小屋裏空気温度 (l5ch)の比較を図−8に示す。断熱棟の野地表面温 度と小屋裏空気温度はそれほど差が無く,2階居室空 気温度と類似している。屋根断熱の効果が見られ,小 屋裏空間を建築空間として有効に利用できる可能性が ある。在来棟では野地表面温度は最高で55℃程度,小 屋裏空気温度は最高で44℃程度となる。しかし,夜間 には断熱棟の温度以下に低下し,日の出前には野地表 面温度は外気温程度まで下がる。これは天井断熱のた め屋根から外気への放熱が容易なこと,小屋裏換気の 効果等によると考えられる。断熱棟では昼間の小屋裏 空気温度の上昇が)屋根断熱によって押さえられている にもかかわらず,夜間の温度がそれほど低下しない点 が問題である。その影響は無断熱の天井を貫流して2 階居室の温度に及ぶと思われる。したがって,今回の 実測時には断熱棟では小屋裏換気を取っていないが, 2 3 4 5 m 、 / 、 / 、 / × / ・ \ / 、 夕 、’
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(二階) ている。 以上を要約すると以下となる。 ①午前中は日射遮蔽の重要性が高く,これにより室 温を外気温より低くすることができ,断熱棟の2階 においては在来棟より室温をやや低くすることがで きる。また午前中は日射遮蔽により室温を外気温よ り低くできる場合もあるため通風の必要性は低いが, 午後以降はその効果は極めて高い。通風量を多くす ることにより,室温を外気温程度にまで下げること が可能である。 ②今回の実測では夜間換気の効果は確認していない が,19:00時の窓閉により室温が急激に上昇するこ とにより,その重要'性が高いことが窺われる。特に 断熱棟では在来棟以上に夜間通風による排熱が必要 である。 2.2.2室内側壁表面温度の比較 西側2階居宰室内側壁表面温度(24ch)の比較を 図−7に示す。南側2階空気温度と類似した傾向を示 すが,モード③で通風と日射遮蔽を行う場合は,断熱 棟の表面温度は在来棟に比べかなり低く保たれている。 図 − 9 在 来 棟 測 定 点 1 4 弔 q q j 弔 勺 申 寺 弓 ﹄ “ q Ⅲ ﹃ ︲ “ V V│
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夏季 測 定 点 r 11 全天日射量測定点、 図-10断熱棟測定点 (二階)桐
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CO 、冬季居室同様に,断熱棟では特に夜間の小屋裏換気が必要 であると考えられる。 2.3冬季温熱環境実測結果 冬季実測は両棟とも完成後(断熱棟のみ居住状態) の1992年2月に約1カ月間行った。使用計器は自記温 湿度計である。冬季実測時は,二階軒天井の換気口を 両棟とも開とした。両棟の2階平面図と測定点を図− 9,図-10に示す。 2.3.1室温の比較
冬季曇りから晴れの期間(2月24日∼27日)の,2
階居室空気温度を図-11で比較する。外気温は,現地 から約3.5km離れた名瀬測候所の観測値である。2階 居室空気温度を外気温と比べると,曇天日の最低値は在来棟ではほぼ同じで断熱棟では2℃程度高く,晴天
日の最低値は在来棟では2℃程度,断熱棟では6℃程 度高い。断熱棟の最低値は測定期間中ほぼ16℃以上を 維持している。いつぽう晴天日の最高値は在来棟で27 ℃程度,断熱棟で26℃程度であり,暑すぎるというこ とはない。 2.3.2小屋裏空気温度の比較 冬季の小屋裏空気温度の比較を図-10∼12に示す。 晴天日,最高値は在来棟で35℃程度,断熱棟で24℃程 度,最低値は在来棟で10℃程度,断熱棟で16℃程度で ある。断熱棟の小屋裏空気温度は晴天日,曇天日とも 2階居室のそれと類似している。 2.4奄美大島の実測結果のまとめ 在来棟と断熱棟の夏季および冬季の温熱環境を実測 比較した。まず夏季実測結果により以下の点が明らか になった。 ①両棟とも日射遮蔽により午前中は居室空気温度を 外気温より低く保てること,特に断熱棟においては 2 / 2 4 2 / 2 5 2 / 2 6 2 / 2 7 図-12小屋裏空気温度(冬季) 夜間換気の必要性が高いこと,等の結果が得られた。 ②今回の実測調査はアクティブクーリングの問題に は触れずパッシブな状態での結果であって,居室空気温度は1階で日中31∼34℃,夜間26∼28℃,2階
で日中32∼40℃,夜間で26∼29℃程度に達している。 すなわち日中・夜間を問わず‘快適な温度域を逸脱し ており,居住者がいれば冷房を行っていると思われ る。しかしこのことによって,今回の実測により得 られた結果に意味がないということではなく,その 多くはパッシブクーリングが有効な中間季にも適用 できるものと考えられる。 次に冬季の実測結果は以下のようにまとめられる。 晴天日における断熱棟の2階居室空気温度の最低値は 在来棟より4℃程度高かった。また断熱棟では冬季測 定期間中,ほぼ暖房を必要としない程度の室温が維持 されていた。さらに断熱棟の小屋裏空気温度は2階居 室とほぼ同じであるため,小屋裏を居室並みに有効利 用できる可能性があるといえる。3.喜界島の住宅の温熱環境に関する
実測調査
前章において筆者らは,奄美大島の戸建住宅を対象 として断熱強化した場合の温熱環境について調査を行 い,屋根(または天井)の十分な断熱,日射遮蔽の有 効‘性および夜間通風による排熱促進の必要性が高いこ となどの結果を得た。 30 0 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 25 0 2 [。。]幽岨 [P]幽閣 15 10 0 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 2/242/252/26 図-11南側2階居室空気温度 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 2/27 (冬季) [二・毛へ三]餌蚕、 10420
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W m、, 図 − 1 3 喜 界 島 の 位 置 床高は800mmである。居住条件は開口部を昼夜と チレン25mm打込であり,天井は無断熱である。外壁は RC@150+モルタル@20に内装仕上げは塩ビパネル である(無断熱)。棟換気に120#塩ビ管2本を3カ所 設置している。また,押し入れ下部に木製無双ガラリ (高さ115mm),壁下部に同じ高さで有孔ボードを設け 床下冷気の導入を計り,天井換気レジスター(150× 200)4カ所より小屋裏へ通風経路を取り,棟換気筒 からの小屋裏換気を行っている。南側の軒の出は1400 同じである。屋根は寄せ棟(石綿セメント板葺)で 在来木造軸組構法であり,軒の出・床高はRC棟と も開放しており,エアコン使用時のみ閉められる。 ○木造棟(コーラル喜界,木造平屋,平成3年度竣工) , 位 置 図 ■、1L、国向 ■■■。!
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床高800 図-14 点 図-15木造棟の平面・断面図と測定点2守函国
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図−16S邸の平面・断面図と測定点164 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 3 6 号 ( 1 9 9 4 )
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写 真 7 木 造 棟 外 観 (実測対象としたのは向こう側) 4 b P -写 真 8 R C 棟 (1棟は2戸分.対象住戸は右側) R眠瞬却謬
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写 真 9 R C 棟 の 棟 換 気 (写真10の小睦製換気孔に通じている) 四 爵 = ■ ■ − 』 』織
り緑MMM糊 西 韓 ■ や 名 亭 哨 アルミ製棟換気(既製品,1920mm長)を設置し,軒天 換気孔からの小屋裏通気を行っている。天井断熱とし てグラスウール50mmを敷き込んでいる。外壁は石綿ケ イカル板@12,内壁は合板@5.5仕上げである。居住 条件は就寝時に防犯のため窓を閉めるが,それ以外は 写真10小屋裏換気孔 (25mm厚屋根断熱材が見える) 写真11RC棟の床下冷気導入 (抑入下無双ガラリと壁下部に有孔ボードが見える)鱗
雌蹄、.*・璽 鋤農霞
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写 真 1 3 北 側 門 か ら 見 た S 邸 擦鍵…遥手繍職
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写 真 1 4 S 邸 の 東 側 外 観 (測定対象室) にあり,敷地の周囲はサンゴの石垣とガジュマルの防 風林で囲まれ,敷地は道路より低くなっている。海岸 に面しているので台風や季節風の防風対策に主眼を置 いた伝統的民家である。屋根は,近年普及の著しい, 塩害に効果のあるガルバリウムトタン葺きである。開 口部は昼夜を問わず開放している。小屋裏は隙間が多 く気密'性は低い。 3 . 3 測 定 方 法 測定点の位置を図-14∼16の平面図・断面図に◎印 で示す。コーラル喜界ではデータ収録に,RC棟では 30chデータロガーを1台,木造棟では6chのデータ ロガーを2台使用した。センサーは温度:0.3mm#T熱 電対,日射量:シリコン光電池(LI-200S,LI-COR) を用いた。S邸では自記温湿度計を用い,アスマン通 写 真 1 5 S 邸 の 小 臆 裂 内 部ー再議
蛎 嗣 乳 , 写真16室温測定点の│"1記温湿度計 風乾湿計により校正を行った。外気温はRC棟北側軒 下,日射量はRC棟屋根頂部で計測を行った。 3.4夏季温熱環境の測定結果 実測期間のうち7月27日から30日の4日間の測定結 果について,主にRC棟と木造棟の比較を図−5∼9 に示す。居宰空気温度と小屋裏空気温度についてはS 邸の測定結果を併せて示している。前半の2日は晴天 日であり,後半の2日は曇天日である。 3.4.1室温の比較 3棟の南側居室空気温度の比較を図-17に示す。室 温は日中の午後遅くまで外気温より低い。木造棟の室 温の上昇に比べ,RC棟の上昇速度は緩やかである。 夕方以降RC棟で室温が急激に変化しているのはエア コンの使用によるものである。夜間において,開口部 の条件は異なっているが,RC棟が1∼2℃高い。ま543210 2 166 50 たS邸では外気温程度まで低くなっている。日中と夜 間の各棟の室温,日射遮蔽,通風,断熱について以下 にまとめる。 (1)図−14,図一15のように,RC棟,木造棟いずれ も軒の出は1400mmであり深く,日射遮蔽効果が大き い。図一17のように,両棟の室温が明け方から夕方 近くまで外気温より低いのは,深い軒の出による日 射遮蔽と通風の効果によると思われる。 (2)夕方以降明け方までRC棟,木造棟の室温は外気 温を上回っている。RC棟では,夕方から就寝時に かけて断続的に冷房が行われている。冷房による室 温低下は急激で不自然である。S邸でも夜間の室温 は外気温より高いが,RC棟,木造棟の室温より3 ℃程度は低い。S邸は開口部が多くまた隙間も多い。 これが夜間の室温低下に貢献している。したがって 気密性の良好な近年の住宅では,十分な夜間通風を とることが重要である。またRC棟では夜間に断続 的に冷房されているに拘らず,室温が木造棟を上回っ ている。その原因の一つは屋根断熱の不足である。 これに加えて,RC棟では木造棟以上に夜間通風に よる排熱が必要であるといえる。 天井室内側表面温度の比較を図-18に示す。木造棟 ではほぼ室温と同じ値を示しているが,RC棟では室 温より全日2℃程度高くなっており,30℃以下に下が ることはほとんどない。 3.4.2野地表面温度と小屋裏空気温度の比較 南側野地表面温度と小屋裏空気温度の比較をそれぞ れ図-19と図-20に示す。RC棟の野地表面温度と小 屋裏空気温度は最低値や曇天日ではそれほど差がない が,日射の強い晴天時には18時頃のピーク時に,野地 表面温度が小屋裏空気温度より3℃程度高くなってい る。熱容量が大きいため野地表面温度,小屋裏空気温 度共に低下が遅く,深夜でも室内空気温度より3℃程 度高い。この影響は天井を介して室内に及んでいるも のと考えられる。木造棟では野地表面温度は55℃程度 まで上昇し,小屋裏空気温度は50℃程度まで上昇する。 しかし夜間になると,小屋裏換気の効果と共に熱容量 が小さく天井断熱のため,屋根から外気への放熱が促 進され温度は急激に低下している。したがって,RC 棟では屋根断熱の強化や小屋裏の強制換気が必要であ ると考えられる。 S邸の小屋裏空気温度を図-20中に示している(△ 35 O 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 7 / 2 7 7 / 2 B 7 / 3 0
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45 木造棟:電気ストーブ(480W×2加湿付き,間欠 使用),家具調こたつ1台 S 邸 : 暖 房 器 具 の 使 用 無 し RC棟・木造棟の開口部は普通アルミサッシであり, S邸は障子のみであり,全日ほぼ閉め切った状態であっ た。 測定装置および測定点は夏季実測と同じである。 実測期間のうち1月26∼27日および2月2∼4日の 5日間の測定結果について,主にRC棟と木造棟の比 較を図-22∼26に示す。居室空気温度と小屋裏空気温 度についてはS邸の測定結果を併せて示している。前 半の2日は曇天日であり,後半の3日は晴天日である。 途中の1月28∼30日は期間中もっとも寒かったときで あるが,RC棟で暖房器具の使い過ぎでブレーカーが 作動し,残念ながら欠測となってしまった。前半の2 日間は徐々に寒くなっていき,後半の3日間は逆に暖 かくなっていく気候変化状態であった。 3.5.1室温の比較 3棟の南側居室空気温度の比較を図-22に示す。朝 や夕方以降に炊事や暖房器具の使用による不規則な温 度変化が窺えるが,この点を考慮して検討を行った。 RC棟と木造棟の室温は,曇天日の夜間ではほぼ同 程度であり,後半の晴天日では2月2日の夜間にRC 棟が木造棟より約1℃低いものの,2月3日,4日で は逆転してゆきその差が大きくなる傾向が認められる。 これはRC棟の熱容量が大きいため日射の蓄熱効果に 起因するものと考えられる。日中の最高室温の出現時 刻は両棟ともほぼ同時刻であり,木造棟のほうが高い 値を示している。しかし,晴天日の続いた2月5日以 降では徐々に逆転してゆきRC棟のほうが木造棟より 高くなっていくのが確認された。 S邸では全日を通して他の2棟より室温は低〈(夜 間で2℃,晴天日の日中で3∼5℃),日中でも外気温 程度までしか上昇していない。 天井室内側表面温度の比較を図-23に示す。木造棟・ RC棟ともに,暖房・炊事などによる温度上昇の影響 を除けば,室温とほぼ等しくなっている。したがって RC棟では,夏の場合と異なり屋根面からの影響によ る室温の上昇はほとんど現れていない。 3.5.2野地表面温度と小屋裏空気温度の比較 南側野地表面温度と小屋裏空気温度の比較をそれぞ れ図-24と図-25に示す。RC棟の野地表面温度と小 屋裏空気温度は,日射の強い晴天日には18時頃のピー ク時に,野地表面温度が小屋裏空気温度より3℃程度 55 20 50
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号一圏閥 7 / 2 7 7 / 2 8 7 / 2 9 7 / 3 0 DateandTime{h) 図-21床下中央空気温度(夏季) O 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 B 2 4 6 1 2 1 8 2 4 7 / 2 7 7 / 2 8 7 / 2 9 7 / 3 0 OateandTimeIh1 図-20小屋裏中央空気温度(夏季) 35 ■■■▽■守U一▼ 0 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 − 3 0 印)。最高でも38℃程度までしか上昇していない。こ れは隙間が多いため小屋裏換気が多いことによるもの と考えられる。 3.4.3床下空気温度の比較 床下空気温度の比較を図-21に示す。日変化は小さ く27∼28℃程度で一定している。室内温熱環境の改善 の一手法として,日中は床下冷気の導入,夜間は外気 導入といったことも効果的であると思われる。 3.5冬季温熱環境の測定結果 冬季調査は夏季実測と同じ住宅(3棟とも居住状態) を対象として,1993年1月21日から2月12日まで3週 間行った。暖房器具の使用条件は以下のとおりである。 RC棟:セラミックファンヒーター(1120W,寒い ときに間欠使用),こたつ2台,※押入換 気ガラリは閉,内壁下部有孔ボードは開, 天井換気レジスタは開 一一 木適檀 RC彼 ハ 八 # I 11‘ 、川
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図−23南側天井室内側表面温度の比較(冬季) 168 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 3 6 号 ( 1 9 9 4 ) 30 了 25 一○●︸①﹂。︾の﹂のニニの﹄ 20 15 ︹二●国くEへつエ︸・匡・の。① RJA﹃︹。︵こA1nU 10 5 0 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 4 6 1 2 1 8 2 41/272/022/03
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木造棟では野地表面温度は晴天日に35℃程度まで上昇
し,小屋裏空気温度は28℃程度まで上昇する。しかし 夜間になると,小屋裏換気の効果と共に熱容量が小さ く天井断熱のため,屋根から外気への放熱が促進され 温度は急激に低下している。また放射冷却により明け 方には外気温より低下する場合もある。 以上の結果より,RC棟では室温の上昇に寄与するのは窓開口部からの日射のみであり,曇天日など日射
の少ない場合には,パッシブヒーティングの効果が得
られず底冷えする室内環境となる。これはRC棟の居 住者からも指摘されている。したがってRC棟では周 壁の断熱強化や暖房設備の充実が必要であると考えら れる。 S邸の小屋裏空気温度を図-25中に示している。隙 間による小屋裏換気が多いため,日中は木造棟ほどの 温度上昇はみられない。しかし夜間の温度低下は木造 棟より小さく2℃程度高い。これはガルバリウムトタ ンの色が銀色であるので放射率が小さいことも一因で あると考えられる。 3.5.3床下空気温度の比較 床下空気温度の比較を図-26に示す。全日をとおし て室温より低く,明け方には両棟とも室温と同程度に 45 ■ 40 35 30 ︷。●]の﹂。↑の﹂の二二四﹄ 25 20 15 10 5O61218246121824612182461218246121824
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