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大腸癌における神経成長因子の発現

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Academic year: 2021

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大腸癌における神経成長因子の発現

著者 安居 利晃

著者別名 Yasui, Toshiaki

雑誌名 博士学位論文要旨 論文内容の要旨および論文審査

結果の要旨/金沢大学大学院医学研究科

巻 平成12年7月

発行年 2000‑07‑01

URL http://hdl.handle.net/2297/15526

(2)

学位授与番号 学位授与年月日 氏名 学位論文題目

医博甲第1380号 平成11年7月31日 安居利晃

大腸癌における神経成長因子の発現

三輪晃一 渡邉洋宇 磨伊正義 論文審査委員主査

副査

教授 教授 教授

内容の要旨及び審査の結果の要旨

神経成長因子(Nervegrowthfactor,NGF)は,ニューロンの生存維持と細胞分化を調節する代表的な神経栄 養因子である。NGFが,ほかの多くの神経栄養因子と異なるところは,肥満細胞・マクロファージ・リンパ球など の免疫担当細胞に作用し,これら細胞の生存維持・分化誘導や化学伝達物質の分泌促進などにも関わっていることで ある。一方,消化器癌の癌巣にはしばしば免疫担当細胞が浸潤しており,癌細胞はこの免疫担当細胞から,腫瘍免疫 だけでなく,増殖および転移・浸潤などで影響を受けていることが知られている。しかし,これまでに消化器癌と NGFの関係を検討した報告はみられない。本研究では,NGFの遺伝子および蛋白レベルでの発現とその生物学的活 性の有無をヒト大腸癌培養細胞12株(CaR-1,RCM-LSW837,SW48,SW480,SW620,Colo201,Colo320DM,

HT-29,LS174T,HCT-15DLD-1)および外科的に切除された27例の原発性大腸癌で検索した.

得られた成績は以下のように要約される。

1)ヒト大腸癌培養細胞株におけるNGFmRNAならびに蛋白の発現をそれぞれ逆転写‐PCR法,および免疫組 織化学染色により解析した結果,いずれも12株中9株(75%)に発現を認めた。

2)NGF蛋白発現を認めたSW62qCaR-lおよびSW48細胞株の培養細胞上清をPC12細胞へ添加したところ,

PC12細胞の突起を有意に伸長した。さらに,この突起伸長は抗NGF中和抗体により著明に抑制された。

3)原発性大腸癌組織のNGFmRNAの発現を逆転写-PCR法により検索したところ,27例中25例(95%)に陽 性で,その局在は遺伝子組織化学法により癌細胞であることが確かめられた。

4)原発性大腸癌組織のNGF蛋白を免疫組織化学染色により検出した結果,27例中20例(74%)に発現を認めた。

以上より,大腸癌細胞は生物学的活性を有するNGF蛋白を合成・分泌していることが明らかにされた。この成績 より,大腸癌細胞から分泌されるNGF蛋白は,腫瘍組織内に浸潤してきた肥満細胞,マクロファージやリンパ球な どの免疫担当細胞にパラクリン的に作用し,これら細胞を介して,間接的に癌の増殖や浸潤・転移に影響を与えてい る可能性が示唆された。

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