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原価計算論 の繁明

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(1)

原価計算論 の繁明

福 ・島 吉 春

1

本稿 は

1 8 7 0

年前後 にイギ リスの工学系雑誌 に掲載 された原価計算文献 を検 討す る。

この時代 は一般 に原価計算の文献が ほとん どない時期, ない しは文献 が現れ 時 じめる時期 とみなされて いる。た とえばェ ドワーズによれば

,1 9

世紀 の最初

8 0

年間 は 「工業会計 の発展を証拠 だて る論述 が ほとん ど存在 しなか った

」1 )

時期 であるとい う。

エ ドワーズが, これ以前 に原価計算 を論 じた文献が ほとん どな く, また この 時代 をさかいに原価計算が興味 を引 きは じめた理 由 として指摘 しているのは次

のふたっの時代背景 である

ひとつ はイギ リスの伝統 であ った企業 の秘密主義 である。彼 は 「もし製造業 者が満足のい く方法を開発 したとして も,それ らを公表 して同業者 の恩人 にな ろうとは しなか った

2)と述べている

これにたい して,時代が変わ り,この当 時か ら企業が公表 に向 けて動 き出 した とみ る根拠 と して,「もっと自由な精神 が定着 しつつある」 とす るジョン ・マ ンの

1 9 0 3

年 の論文 を引用す る。3)

1) Ronal dS.Edwar ds , " SomeNot e sont heEar l yLi t e r at ur eandDe ve l opme nt ofCos tAc c ount i ngi nGr e atBr i t ai n

,"

TheAc c o unt ant ,Aug. 2 8 ,1 9 3 7 ,p. 2 8 3 .

2) I b i d.

3) J ohn Mann,J

r.,"

C os t R e c o rd so r Fa c t o r y A c c o u

nting,"in GeorgeLisle

( e d

) , Enc yc l o p ae d i a

o

fA c c o unt i n g,Ⅴ P l ・

ll

, 1 9 0 3 ,p ・ 2 6 0

・マンは原価計算の急速な 発展と改善を認めながらも,「しかしながら‑‑・特に原価数値を集計要約 し,それら

を財務帳簿の数値と一致させるには多 くの問題が残されている」と述べている。

〔 2 1 7 〕

(2)

エ ドワーズが指摘す る第二 の理 由 は,エ ンジニア リングに関す るか ぎり

,

械装置‑の需要 が大 きく, 供給 が限 られていたため」4) 利益 を獲得す るのが比 較的容易であ った ことであ る 確か に,容易 に製造原価以上 の価格 で販売す る

ことが可能 な状況 で は,販売価格 と製造原価 とを比較 しよ うとす る要求 は生 ま れなか ったに違 いない。 しか しその後,競争 が厳 しくな っ七 原価計算 が必要 に な る。 これ を 証 拠 だ て る文 献 と して, エ ドワ ー ズ は

1 8 9 1

年 に雑 誌

En一 gi neer i ng

に掲載 された論文 を引用す る。す なわち

,

競争 の厳 しさと,その結 果 としての利潤 の僅少 さとい う,現在 のエ ンジニア リングおよび製造業 の状況 は, この主題 をます ます重要 な ものに して いる。 ‑‑・大規模 で うま く管理 され ている企業 の多 くで素価計算 が精巧 な システムとして運用 され るよ うにな った のは, ここ

1 5

年 か ら

‑ 2 0

年 の ことであ る」5)・と。

エ ドワーズが掲 げたふ たっの理 由,すなわち企業 の秘密主義 と競争 の激化 は その後 の原価計算発達史 の論述 に影響 を与 えてい く

ソロモ ンズは

1 9

世紀 の最後 の

3 0

年 間を 「英語圏 における原価計算 のルネ ッ サ ンス期」6) と呼 び, その背景 として, ビジネスの規模 が拡大 し, また複雑 に な った ことと, その結果管理 の問題 が重要 にな った ことを指摘 し,つ いで 「お そ らく原価計算 ‑の関心 の増大 を招 くにいた った もっと′も重要 な要因 はエ ンジ ニア リング産業 において, 価格決定が しだいに困難 にな った ことである」7) と 主張 している。

またガーナーは 「なぜ

1 8 8 5

年 まで は原価計算 にかん して,そのよ うにほとん ど何 も書 かれなか ったのか

」 8

) とい う疑問 にたいす る答 え として, 当時 の当事

4) Edwar qs ,o p.c i t . ,p. 2 8 3 .

5) Edi t or i a l

,

" Pr ac t i c al. Pr i meCos t

,

' 'En gi ne e r i n g,De c . 4,1 8 9 1 ,pp. 6 6 5‑6 6 . 6) Davi dSol omons , " Th eHi s t o

rica

lDe vel op

me

ntof

Cos

t i n g , "i n D . S o l o mo ns

( e d. ),St udi e si nCo s t i n g ,1 9 5 2 ,p. 1 7 .

7) I b i d̲ ,pp. 1 8‑1 9 .

8) S・PaulGar ne r ,Ev o l ut i o no fCo s tAc c o unt i n gt o1925 ,1 9 5 4; r e pr i nt e de di t i on

,

1 9 7 6 ,p. 2 9 .

品田誠平他訳 『原価計算の発展』一粒社

,1 9 5 8 ,p. 5 2 .

(3)

原価計算論の額明

219

者 た ちが極 めて実務 的かつ多忙 なひ とび とで あ って,執筆 す る余裕 を持 たな か った点 と, エ ドワーズが述 べた企業 の秘密主義 をあげている。9)

以上 のよ うに, ある程度 の幅 を もった期間 と して, この

、 1 8 7 0

年 か ら

1 8 8 5

とい う時代 を と らえれば, この ころ,原価計算 に関す る論述が さかん にな った とす る点 では意見 の一致 をみているしか し原価計算が活況 を呈す るにいたる 時代 を さ らに絞 ろ うとすれば,当時の,現在 の視点 か らすれば錯綜 していた原 価計算 の実態 を検討 しなければな らない。.

当時の原価計算 には何 が欠 けていたのか, そ して何 をすで に備 えて いたのか

‑ 本稿 で は, か くして盛 んに論 じられ るよ うにな る原価計算 が当初 いかなる ものであ ったか, その内容 を探 ることにす る。

ただ し本稿 は以下 の点 で, 当時 の原価計算 を網羅 的 に検討 す る もので はな

い。 ●●●●●●

第‑ に,当時の実務資料 は扱 わない。「歴史的事実 その もの」の研究 と学説史 研究 とを区別10)す れ ば,本稿 は歴 史 的事実 の研究 を めざ した もので はな く, もっぱ ら雑誌論文 および雑誌 に掲載 された手紙 を考察の対象 にす る。 す なわち 本稿 は 「原価計算論史」 ない し 「文献史に属す るのである

理論 の歴史 と実践 の歴史 とが異 なることは歴史的研究一般 にいえ るところで あ り, 原価計算 において も, この区別 が重要 であることはい うまで もない。11) ただ し,本稿の主題 に関す るか ぎり,両者 の関係 につ いて は注意 を要す るであ/ ろ う。 なぜな ら,以下 でみ るよ うに原価計算 の場合, この当時,原価計算論 と 呼 び うる確固 た る理論 は未だ存在 せず,論文 といろ ど も企業内部 で, あ るいは それを指導す る立場 で原価計算実務 に携 わ っていた論者 によ って執筆 されて い

9) Cf . i b i d. ,p. 3 0 ,『同邦訳 』pp. 5 1‑5 2 .

1 0 )

田中隆雄一管理会計発達史』森山書店

,1 9 8 2

,はしがき

,pp. 1‑2

参照。なお,倭 点は原文。

ll)管理会計における,このふたっの歴史的研究の区別,ならびに両者の関係にかんす る議論は,最近では次の文献にくわしい。岡野浩 「管理会計史方法論序説 ‑ 管理 会計史と管理会計論史との統一的理解 ‑ 」『経営研究

』1 9 8 6 年 7

月。

(4)

るか らである。そq)意味では,文献 と実務 との距離は さほど離れていなか った といえよ う。 とはいえ この当時,すでに原価計算実務 はある程度 O.発展をみて お り12),、個 々の企業 に注 目 した実践 の歴史 も叙述 されているので, それ らの文 献 につ いては別個 に検討が必要 と考え られる。

第二 の限定 として,本稿では会計関係 の雑誌および簿記書 に解説 された原価 計算 について は検討 の対象 に していない。 もちろん,以下で取 り上 げる文献 の なかには会計士 によって書かれた もの も含 まれているが, それ らは技術系の雑 誌 に掲載 された ものに限 ってある

か くす ることによって,本稿では,当時の技術者に とって原価計算がいかな るものであったか ‑ いい換えれば,技術者 か らみた,原価会計 と技術的な原 価の計算 との関係 を探 りたいのである。

2

原価 の見積計算

本節で は,当時の原価計算を知 るうえで興味ある記事 をふたっ, イギ リスの 雑誌

TheEngi neer

か ら紹介す る。

ひとつ は

1 8 6 8

2

2 8

日号 に載 った書評 である。

この当時の刊行物 には文章形式 の書名 を もっ ものが多 く,題名か らある程度 内容 を判断で きるので,最初 に書名をで きるだけ直訳す ると

,

建設業者 および 請負業者 のための価格 リス ト

,1 8 6 8

年版 :建設業 のすべての作業分野 にたいす る最新 の価格 を,参照が容易なよ うに項 目に番号 を付 け,見積一般 に必要な詳 細 な情報 を提供す る表,注記, メモの付録 をつけて示す』13) となる。

書評担当者 は皮肉をま じえなが ら,多 くの科学知識が資料 として利用で きる

1 2 ) Se e ,f ore xampl e ,Sol omons , o p.c i t . ,p . 1 7 .

1 3 ) Th eBui l de r' sand Co nt r ac t o r' sPn' c eBo o kj T o r1868:Co nt ai ni n g t heLat e s t

Pr i c e sfo rWo r ki nal lBr mc he so fBui l di 庭 Tr ade ,Wi t ht heI t e msnumb e r e d

j T o re as y r e f e r e nc eand anAppe ndi xo f Tab l es ,No t e sand Me mwanda ,

a

r

r an ge d t o

a

f f o r d de t ai l ed I n fo m at i o n c o mmo nl y r e qui r 7 e d i n Pr e p ar i n gEs ‑

t i mat e s ,&

C

. ,Loc kwoodandC

0

. , 1 8 6 8 ,r e vi s e d by Ge or geR .Bur ne l l .

(5)

原価計算論の繁明 2 21

ようにな ったが,本当に役だっ資料 は少 ないと指摘 し,書評 の対象である同書 が専門家,熟練労働者,請負業者 ない し研究者 にとって もっとも喜 ばれ る 「 格 リス ト」であると紹介す る書評 によれば,同書 は 「疑問の余地 のない基準 で,見積 ない し仕様 を作成す る迅速 な方法を‑‑・提供す る」14)す るものである。

ただ し短期間に労務費 ない し材料費 に急激 な変動が起 こるはず もな く,若干 の 改訂 はあるものの,同書 の内容 は前年度版 と同一 であると述べている。

なお,同書 の使用法 について,書評担当者 は 「この種 の著述 の最大 の利点 は, 見積 および仕様 の作成 を助 けることにあるのではな く,雇用主 と従業員 とのあ

いだで論争があ ったときに信頼 で きる参考書籍 となることであ る。実際の見積 は,『価格 リス ト』 の諸項 目のみを参照 して作成 された‑‑ 『理論的見積』 を, 経験 と実践か ら得 られた成果 によ って修正すLることによって最良 の ものが作成

され る」 と主張 している。15)

しか し,書評担 当者 がいか なる利用 目的 を主要 な もの と考 えたか はともか く, エ ンジニアが このよ うな資料を使 って各種工事 の見積 をお こな っ、ていた こ とは間違 いない。翌年 の,同 じく

TheEngi neer

誌 にづ ぎのよ うな,当時技術 者が担当 していた原価見積手続 きを解説す る社説 が載 っているか らである。

顧問技術者 による見積」 と題 した この論文 は,「たぶん五十回 に一回,おそ らくは五百回 た‑回 しか,重大 な作業の実際原価 は, エ ンジニアによる事前の 見積 と一致 しない」16) と論述 をは じめている。 実際 には見積以上 に原価が発生 す るため

,

偶発事項 のためのマー ジン」と呼ばれ る金額 を見積 に加算す るので

1 4 ) 以下,引用 は ,Edi t or i al , " Li t e r at ur e , " TheEn gi ne e r ,Fe b. 2 8 ,1 8 6 8 ,p. 1 5 7 . 1 5 ) このような生産要素の価格一覧表は当時の工学系雑誌 に しば しば掲げ られてお り,

かかる情報への需要が多か った ことを示 している。 たとえば Engi ne er i ng 誌 には

" Pr i c eLi s tofMat e r i al s " と題 した原材料一覧表が定期的に掲載 されている。また

1 時間あた りの職種別賃金上昇率 ( En gi ne e r i n g,Nov. 1 9 ,1 8 6 9 ,p. 3 3 7 ) , アメ リカ における職種別賃金データも報道 されている ( En gi ne e r i 作 g,J une 1 9 ,1 8 6 8 ,p.

6 0 3 )

0

1 6 ) 以下,引用 は Edi t or i al , " TheEs t i mat e sofCons ul t i ng Eng ine e r s : 'TheEn gi ‑

ne e r ,Se pt . 3,1 8 6 9 ,p. 1 6 6 .

(6)

あるが,それで も計算 された原価 とマー ジンの合計額以上 に支出が発生す るの が普通である。著者 によれば,「・実際原価 の

2 0

パ ーセ ン ト以内にお さまる 見積 は非常 に良 い見積であ って, エ ンジニアおよび当事者全員の大 きな手柄 と みなされ る。 しか し

2 0

パ ーセ ン トで も,われわれにはかな り不満であって,作 業の原価を見積 る既存の システム, ない し当該 システムの構成要素 の価値 を,

ほとん ど立垂す るものではない」 としているO

見積 と実際の支出はなぜ一致 しないのか ‑ これが社説 のテーマである。著 者 はそゐ理 由をふたつ挙 げている。ひとっは 「どれだけの作業が行われ るのか, 技術者が正確 には知 らない」か らであ り, いまひとっは 「その実行 にどれほど かか るか,彼が知 らない」か らである。 このふたっの原因で, いかに見積 と実 際原価 との不一致 が生 じるか 一一 社説 はボイラーとーエ ンジンを備えた工場 の建 設工事 を例 にあげて解説 し,結論 として

,

現在の見積実践が きわめて不満足 な 状態 にある原因 は,不注意のためではな く,無能 のためである」 と主張す る。

そ して

,

入札 および仕様書 の書式 を掲 げた 『価格 リス ト

』( pr i c ebooks )

は豊 富 にあるが, この主題 について優れた論文 は存在 しない。見積 という技術 は, オ フィスおよび大学 の技術教育 コースに組 み込 まれていない」 と問題 の所在 を 指摘 し

,

数学 を少 し減 らし,どのようなことにどれだけかかるかに関す る教育 ・

を少 し増やす ことが,現在 の技術者 にとって改善 になるであろ う」 と提言 して いる。

以上,

1 8 7 0

年以前 の原価計算 を知 る手掛 か りと して書評 と社説 を検討 した が,両者 に共通す る特徴をい くつか挙 げることがで きる。 ひとつ は原価 とい う 用語が専門用語 としては使われていないことである社説 には原価 なる用語 は い くどか出て くるが, いずれ も一般的な意味合いで使用 されてお り,専門用語 とみな しうるのは実際原価

( ac t ualc os t )

および計算原価

( c al c ul at e dc os t )

である 後者 は見積

( e s t i mat e )

の語 と代替的に使われてお り,む しろ見積 の ほうが,実際原価 との比較対象をさす専門用語 と して頻繁 に使用 されている。

また,いずれの文献 にも簿記 ない し原価会計制度 に触れた論述 はない。

したが って,おそ らく,建設業その他で原価の事前計算 はかな り一般的に行

(7)

原価計算論の翠明 223 われて いたので あろ うが, その担 当者 は技術者 で あ り,会計 とは無関係 に実行

されて いた と考え られ る。 t

3

素価 論争

1 8 7 0 年 に は,す で にい くつか の歴史 的研究 に も紹 介 が あ る素価 に関す る論争 が TheEngi neer 誌 上 で展開 されて い る

きっか けにな っ[ =の は 1

1月

2 5 日号 に載 った J ・B. とい う署名 のあ る手紙 で あ る。短 い もの なので全 文 を再 録 す ると,次 の とお りで あ る

われわれ に は原価額 ( c os tpr i c e ) をみつ けだす良好 な システ ムが欠 けて い るが,す こ しまえ,わ た しは TheEngi neer 誌 で,誰 かが その よ うな シス テムの広告 を して い るのを見 た記憶 が あ る

も し寄稿者 の うち誰 かが知 って いて,詳 細 を教 えて くれ る と大変 あ りがた い。1 7 )

反応 はす ぐに寄 せ られ,翌 々週号 に 「 数 年 の経験 を もっ ェ ン ジニ アの ための 原価係」と名乗 る G.S. か らの手紙 が掲載 されて い る1 8 ) 。彼 は原 価計算 が 「 長期

1 7 )J .B. , " Cos tPr i c e( l e t t e r st ot hee di t or )

,

"Th eEn gi ne e r ,Nov.2 5 ,1 8 7 0 ,p. 3 6 3 . なお ,Cos tPr i c eという標題 は J .B. 本人が付けたものではなく,手紙に使われて いる用語か ら,編集者が便宜的に付けたものと考え られる 。TheEngi ne e r 誌では 同 じ主題を扱 った手紙をまとめて,ひとっの標題のもとに掲載する慣習があり,ま たその後反論などが投稿 されたときも,同 じ標題で載せて参照できるようにしてい る。

1 8 )G.S. , " Pr i meCos t( l e t t e r st ot hee di t or ) fTheEn gi ne e r ,De c .9,1 87 0 ,p.3 9 5 . なお,同誌 1 8 67 年 1 2

1 3 日号 に,同 じく" Pr i meCos t " と題 した手紙が掲載 され ている。寄稿者の名前はGe or geSpar ke s ,ユ un. となっているが

,

「エンジニアリン

グ会社の素価係 として数年の経験をもつ」 と自己紹介 し,素価計算 (ここでは素価

という用語を使 っている)が実践 と経験を必要 とする分野であると主張 しているこ

と, また発信地がいずれ もManc he s t e r になっているところか らみて,G.S. と同

一人物であると推測できる 。Cf .Ge or geSpar ke s ,J un. , " Pr i meCos t( l e t t e r st o

t hee di t or ): 'TheEn gi ne e r ,De c .1 3 ,1 8 67 ,p.5 0 2 .

(8)

間の研究 と実践 によ ってのみ取得で きる,ある種 の知識」であ り

,

蒸気機関そ の他機械装置の個別部分の現実的原価

( r e alc os t )をいかに計算す るかに関 し

て正 しい知識 を もって いる実践 的 な原価係 はほとん どいない」 と述 べ た うえ で,正当な報酬 を支払えば,広告 によって原価係 を雇 うことがで きると忠告す

実際 に

J .

B

.

が求 める情報 を提供 したのは, さらに翌週号 に寄稿 した

Al pha

と名乗 る匿名寄稿家 の手紙 である彼 は 「ごく最近 まで,わた しの工場 での機 械装置の原価 および工場 内で行われた修繕の原価を計算す るさい,おおいに困 難 を感 じていた」19)のであるが ,

TheEngi ne er

誌 で広告 を見てか ら計算が可 能 にな ったと経験 をかた り, その広告主 の住所 を教 え る用意 があると述べてい

彼の原価計算 が今 日い う直接費,間接費 の区別 を含んでいた ことは,次の 引用か ら明 らかであ る ‑ す なわち,「賃金や消費材料 に支払われた金額すべ てが各製品に適正 にチ ャー ジされ,賦課 されなか った賃金 ・材料部分 は各受注 製品の固定的なチ ャー ジとして表示 され る」 と。

さ らに翌週号 には三通 の手紙 が掲載 され, それぞれの立場か ら素価を論 じて いて興味深 い。

雑誌 での掲載順序 とは異 なるが,本稿 では短 いほうか ら紹介す る。

まず,上述 した工場経営者

Al pha

が 「全国か ら多 くの返信があ り,それ らす べてに応 える時間的余裕がない」20) とい う理 由か ら,広告主 に直接問 い合わせ ることを勧 めて, その人物 の

Mont ague Whi t mor e

なる名前 と

London

の住 所を伝えている

同 じ号 に載 った

J . B.

とい うイニ シャルによる投稿 は,すでに紹介 した

G. ■ S.

の意見 に賛同す る内容 の手紙 であるO 彼 は 「機械 の原価 を正 しく計算で きる事

1 9 )

以下,引用はAl

pha

,

" Pr i meCo s t( l e t t e r st ot hee di t p r )

,"

TheEn gi ne e r ,De c . 1 6 ,1 8 7 0 ,p.4 1 3 .

2 0 )Al pha

,

" Pr i meCo s t( l e t t e r st ot hee di t o r )

,"

TheEn gi ne e r ,De c .2 3 ,1 8 7 0 ,p.

4 2 8 .

(9)

原価計算論の繁明 225

務員が ほとん どいない」21)とす る

G.S.

の主張 を繰 り返 してか ら,「わた しは用 い られて いる勘定 およびさまざまな様式 に通暁 してか ら,簿記係 が複式記入 シ ステムを簡潔 かつ正確 に適用 し, また迅速かつ容易 に決算す ることが可能 な, 特 にエ ンジニアのための改良 された帳簿形式 を明 らか に しよ うと力 を注 いで き

た」と経歴 を述 べている。彼 は彼 自身 の方法 を原価 一価格 システム

( cos t ‑ pr i ce s ys t em)

と呼 び,彼 の システムによれば,「行われた各作業 の原価 を,全体 ある

いは明細 として週 ごとに知 ることがで きる。 さまざまな価値 を もっ蒸気力 や工 具 その他 の経費が発生す る場合 には, デー タは元帳勘定 に示 され る事実か ら計 算 され る」 と,解説 して い る。

彼 は原価計算 の重要性 を指摘 して手紙 を結 んでいるが,原価計算 の歴史か ら みて重要 なのは,上記 した引用 か ら明 らかなよ うに,彼 の システムが勘定組織

と結 びっ いていた ことであろ う

さて,

TheEngi ne e r

1 2

2 3

日号 に掲載 された手紙 のなかで,最 も長文 であ り, また内容 に も富んでいるのは

Q. E.D.

な る署名 で投稿 された手紙 で あ る。22)

Q.

E

. D.

はまず,原価 の計算 には経験 が必要 だ と述 べ た

G.S.

を批判 して, 原価 の計算 にはなんの神秘 もないのであ って, それを秘密 めか して独 占 しよ う

とす るのはばかげて いると反論 して いる 手紙 の主要部分 は彼 自身 の方法 の解 説 であ るが, ただ し素価 の計算方法 は非常 に多 く, また要求 に応 じて変 わ る も

のなので,特定 の システムを詳細 に解説す るので はな く,適 当な方法 を設定す るのに有用 な素材 を提供す ると述 べて いる。

2

1)以下,引用はJ

.B. ,̀ ̀ Pr i meCo s t( l e t t e r st ot hee di t o r )

I

: 'TheEn gi ne e r ,De c . 2 3

,

1 8 7 0 ,p. 4 2 8 . なお ,∫ . B . は本節 で検討 している素価論争 の きっかけとな った 1 1月

2 5 日づけの手紙寄稿者 と同 じイニシャルであるが,おそ らく別人 と考え られ る 。l l

月 2 5 日号 の寄稿者 は ,No t t i ngha m に住む ( おそ らく)工場経営者 であ り,それに たい して 1 2 月 2 3 日号 の寄稿者 は Edi nbur gh に住む会計士 ない し原価会計士 であ る。

2 2 )

以下,引用は

Q. E.D. ," Pr i meCo s t( l e t t e r st ot hee di t o r )

,"

The

E

n gi ne e r ,De c .

2 3 ,1 8 7 0 ,p. 4 2 8 .

(10)

例 として挙 げている甲はエ ンジニア リング産業,特 に蒸気機関の製造業であ

エ ンジニア リング工場 での製品別原価計算 の以下 の手続 きは,今 日の原価計 算 とは異 な っているがゆえに, いっそ う興味ぶかい.‑ 彼 は作業 を,契約価格 が決 まっているもの と決 まっていない ものとに分類 し,完全な原価 システムの ためには両者 に異 な った価格

( r a t e s )

を適用す る必要があると主張 している。

すなわち

,

「いわば掛値価格

( f ul lr a t e s )

っまり,特別の取 り決 めがない顧客 に チ ャー ジす る価格 と,掛値 な しの価格

( ba r er a t e s )

っ まり,すべての実践的 目 的に十分なか ぎりで,で きるだけ製造業者 にとっての現実的な原価を表示す る もの」 のふたっである。後者 に もとづ くものが現在 の原価計 算でい う原価であ り,前者 は価格決定 のための計算 とみなす ことが可能であろ う。 ただ し,契約 価格がある場合 に も,「掛値価格」 に もとづ く計算 は原価元帳上 でお こなわれ, 契約がなか った と仮定 した場合の金額 と比較 して,差額 を知 ることがで きると 主張す る

この点をのぞけば,

Q.

E

. D.

の原価計算 はかな り近代的である

たとえば直接費 と間接費 については次 の説明がある。

支出全体 は直接的か間接的であるといえよ うこの区別 は支出が進行中の 種 々の作業 にす ぐさまチ ャー ジで きるか, それ とも単 に暫定的勘定 にチ ャー ジされ るのみで, そこか ら,作業 の実行 に必要 になるつ ど一部分ずっ控除 さ れてい くもの・‑‑に対応 している

また

,

原価 を計算す るのに必要 な掛値 な しの価格 を決定す るさい,困難 に遭 遇す るとすれば, それは比率 その他 の方法で,それ らの項 目 (間接費 ‑ 福島 荏) を適切 にチ ャー ジす ることにある。 なぜな ら,景気 の変動範囲が非常 に小 さい ものでないか ぎり, それ らは他の支出とは等 しくない比率で,年 ごとに変 動す るか らであるとす る主張 は操業度 と固定費 との関係 を論 じた初期 の事例

とみ ることがで きる

O

(11)

原価計算論 の額 明 227

さらに,部門別配賦をすすめた り,製品別の計算を,労務費,材料費を費 目 別 に表示す る勘定の合計 と比較す ることによってチェックす る必要性 について 述べている点 も,今 日の目か らすれば,十分評価できるところである

ただ し,直接費 と間接費それぞれの性質や費 目の範囲については明確ではな い。 また,配賦基準 について も述べてはいない。

とはいえ, この不明確性 は当時の原価計算一般 にいえることなので問わない とすれば,彼の システ ムを上述 したい くつかの手紙 と比較 してみると,彼の方 法が異様 に時代 に先駆 けていたようにみえるo Lか し,当時の一般的実践 より 先ん じていたことは確かだ として も,彼だけがそのような優れた システムを独

占 していたわけではな

い。

これに匹敵す る方法がほかにも存在 していたことは

,1 8 7 3

年,

Newcas t l e

会計士 ゴダー ドの論文 に示 されている。

彼 は 「純原価

( netcos t )

」という用語の もとに,次のような方法を解説 して いる。

純原価 は,特定のエン ジン,注文, ない し契約それぞれに,その製造 に消 費 された原材料 の金額, な らびに正確 な割合 の賃金 および経費 を借方記入 し,かか る材料費 と賃金を経常的に表示す る勘定それぞれに貸方記入す るシ ステムである

。2 3 )

材料費,労務費以外の経費 は,①道具の使用 にたいす る費用 と,② その他の

l

道具の等級を も考慮 して,各作業 についやされた時間にお うじて配賦 され,後

2 3 ) F. R ‑Goddar d , " TheBal anc eShe e t sofManuf ac t ur i ngFi r ms: The i rPr i nc ‑

i pl e sa ndThe or yVi e we dAnal yt i c al l y , " Pr l D C e e di n gso fCl e v e l andI ns t i t ut i o n

o fEn gi ne e r s ,J am. 1 6 ,1 8 7 3 ,p. 9 5 ,C i t e df r om M.C.We l l s ,A Bi b l i o gr a ph yo f

Co s t Ac c o unt i n g: I t sOr i gi nsandDe v e l o pme ntt o191 4,Par tI ,1 9 7 8 ,p. 3 6 2 .

(12)

者 は,ガーナーによれば

,

各作業 の総原価 の一定割合 と して配賦 され ることに な って いた」24)とい う。 ゴダー ド自身がいわゆる製品 の原価 と して材料費,育 務費 に(丑道具 の使用 にたいす る費用 を加 え た金額 を考 えて いたのか, それ と

ら, この金額 にさ らに②賃借料,諸料金・‑‑臨時経費 を加え た金額 を考 えてい たのか不明であるが,少 な くとも貸借対照表上での仕掛品評価 の場合 には,直 接材料費 と直接労務費 の合計額, あ るいはこれに(丑を加 えた原価 を想定 して い

た もののよ うであ る。 すなわ ち ゴダー ドは次 のよ うに述 べている。

この種 の注意深 い システムが運用 されて いるときには,仕掛品 は各 エ ンジ ン,注文,契約 にチ ャー ジされた金額 を控除す ることによ って明瞭 に計算 さ れ, そ うす る ことに よ って貸 借対 照 表 日の純 原 価額 を表 示 す る ことにな

。25)

ゴダー ドの論題 が 『製造業 の貸借対照表』であ ることを考慮すれば, この引 用 か ら彼 自身 の関心 がいわゆる財務会計的 な仕掛畠評価 にあ った ことは明 らか であ る したが って 「素価」 あ るいは(彰までの金額 が重要 であ ったと考 え られ るのであるが,だ とすれば, これ にさ らに② を加 えた原価 はいか なる目的 に使 用 されたのかが問題 にな る 貸借対照表 における評価額 に, さ らにい くつかの 費 目が追加 されて いることか ら, その 目的が販売価格 の決定 にあ った と考 え る ことが本稿 に とって は自然 な推測であ るが, しか し, ゴダー ド自身の説明がな いので, この点 は明 らかで はない。26)

2 4 ) Gar ne r ,o p.c i t . ,p. 6 9 . 『 前掲邦訳

,p. 1 0 1

.

2 5 ) Goddar d

,

o p.c i t . ,p. 9 5 ,ci t e df r om Wel l s ,op.ci t . ,p .3 6 2 .

2 6 )

この, ②の費用を加算 した原価の利用目的については, この論文を考察 している ガーナ二は何 も述べていない。彼はゴダー ドに関する結論として 「この著者は,彼 の制度についてこれ以上の説明もなさず,またなんらの例解 も与えなかった。彼が 明らかに算出しようとしたのは,総原価であったから『正確な割合

( exac tpr opor ‑

t i on)

』と 『総原価の一定の割合

( pe r c ent a geoft ot alc os t )

』とについて,彼は一 体どのようなことを意味 していたか,ということについて知ることには興味がある

(13)

原価計算論 の繁明 229

4

原価の見積および比較計算の発展

ガーナーは,前節で紹介 したゴダー ドを検討 してか ら

,

「ここで議論 の対象 に している時代 において製造業者が もちいた実際の勘定帳簿 についてはこれまで ほとんど研究 されなか ったが,前記の論文 (ゴダー ドの論文を指す ‑ 福島注) にある暖味 さや混乱が,おそ らくその当時の原価計算の実務 に反映 されている ものであろう」27)と要約 して,す ぐさま五年後 に出版 された,

T.

バ タース ビー の著書28)の検討 に移 っている。

確かに,前節で検討 した論争以降,本稿で考察 している工学系雑誌 に関す る か ぎり,簿記機構 を前提 に した原価計算制度 にかんす る論述 は見当た らな くな

る。

しか し制度 としての原価計算 に限定 しなければ,原価 に関す る論述 はむ しろ 増加 している。 それ らは主 として原価の見積や比較を論 じた ものである。

たとえば,

1 8 7 0

年の

Engi neer i ng

誌 には工場で経常的に使用す るエ ンジン の選択基準 に関す る社説が掲載 されている.29)社説 は最初 に,経済的なキ ンジ ンおよびその付属物 について十分な判断が行われていたな らば, もっと経済性

であろ う。おそ らく,彼 は素価 を考 えて いたのであろ う 」( Gar ne r , o p. c i

t

.

,p.69

,

掲邦訳』 ,p. 1 0 1 ) と述べ るのみである

2 7 ) Gar ne r ,i b i d. 『同邦訳』

2 8 ) ThomasBat t e r s by,ThePe r f e c tDo ub l eEnt r yBo o k‑ ke e pe r( ab l i d ge d),andt he Pe r f e c tPr i meCo s tandPr o f 2 ' tDe mo ns i r l at O r( o nt heDe par t me nt alSys t e m) ,

f o rI r o nandBr as sFo unde r s ,M ac hi ni s t s ,En gi ne e r s ,Shi pb ui l de r i , Manu f ac ‑ t u7 1 e r S ,& C ,1 8 7 8 ,本書 の内容 について ここで検討す る余裕 はないので,詳 しくは以 下 を参照 されたい。拙稿 「 1 9 世紀末 イギ リスの予定原価計算論 ‑ T.Bat t e r s by と G.P.Nor t on をめ ぐって ‑ 」 大阪市大論集』第 2 9 号 ( 1 9 7 7 年 1 2 月) 。ただ し本 稿 に関連す 争点 と して,バ タース ビーが彼 自身 の原価計算法 を 「 素価 および利益計 算 システム」 と呼 び,製造間接費の部門別計算 を も含む複式簿記 と結合 した原価計 算 システムを展開 しなが ら,最終的 には販売価格 を計算 す る システムにな って いる ことを指摘 してお きたい。説明 に精粗 の差 はあるが,以上 の諸点 は前節で検討 した 原価計算 と良 く似 た特徴 を備えてい るか らである。

2 9 ) Edi t or i a l , " TheCos tofSt e am Powe r

,

"En gi ne e n' n g,J am. 7,1 8 7 0 ,p. 9‑1 0 .

(14)

が高 まっていた場合が少 な くないと述べて, そのよ うな判断が行われない理 由 と して,使用者 が動力の原価 を構成す る費 目を知 らず,またそれ ら費 目の相互 関係 および環境 による経済性 の変化を知 らないか らであると主張す る。か くし て彼 は考慮すべ き原価 と して次 の六項 目を掲 げて いる ‑ (丑エ ンジン, ボイ

ラー,建物 および付属物 の原価 にたいす る利子,②修繕費 および減価償却費,

⑧操作費,④潤滑油および消耗品の原価,⑤水の原価,⑥燃料費,以上 である そのはか, 目についた記事 を列挙すれば以下 の とお りである

1 870

年,鋳鉄炉 と蓄熱炉 との年次原価比較。30)

1 9 7 2

年, ガスの精製方法の違 いに もとづ く単位原価 の比較

。3 1 )

1 875

年,

Kur r achee

での防波堤工事 の実際原価計算 および見積実際比較

。3 2 ) 1 877

年,各種 「杭打 ち機」別の原価 と利点 の比較。33)

以上 のような例 はあるが,しか し

1 870

年代初期 の原価 の技術的計算 は,かな り粗雑 であ って,資本利子 や減価償却費 を原価 に算入 して はいて も, いわゆる 間接費問題 に触れた ものはない。

粗雑であった ことを示す極端 な例 として,

1 876

年 の

The Engi neer

誌 の記 事がある。 それはイギ リスの

Mi dl and Rai l way Company

がアメ リカ製 の蒸 気機関を購入 したとす る報道である。34) ちなみに, この出来事 は工業国 イギ リ

スにとって,よほど衝撃 であった らしく

,

「おそ らくイギ リス もまた得意先 にな

3 0 )Char l e sCoc hr ane

,

" On t heFur t he rEc onomy ofFue li n Bl as tFur na c e s

,

De r i vabl e f r om t he Hi gh Te mpe r at ur eofBl as tObt ai ne d wi t h Cowpe r ' S l mpr ove dRe ge ne r a t i veSt ove sa tOr me s by,andf r om I nc r e a s e dCapac l yOf Fur nac e

,

&

C

.

,'

'Ty l anS aC t i ' o nso f I ns t i t ut eo f Me c hani c alEn gi ne e r s ,γo l .2 2

,

1 8 7 0 ,pp.6 2‑7 2 .

3 1 )R .Fi s h

,

" Ont heCos tofPur i f yi ngGa s

,

"En gi ne e r i n g ,Aug.3 0 ,1 8

72

,p.1 6 6 . 3 2 )Wi l l i am He nr yPr i c e

,

" TheManor aBr e akwat e r ,Kur r a c he e ,

"

Pr o c e e di n gso f

t heI ns t i t ut i o no fCi v i lEn gi ne e r s ,Vol .4 3 ,1 87 6 ,pp.1I2

1.

3 3 )M.E.Hac quar d/‑ TheCos tofDr i vi ngPi l e s : 'En gi ne e r i n g ,May2 5‑

J

une 8

,

1 87 7 .

3 4 )Edi t or i al

,

" Eng li s handAme r i c anLo c omot i ve s : 'TheEn gi ne e r ,Nov.1 7 ,1 8 7 6 .

(15)

原価計算論 の繁明 231

るであろ う」 とす るアメ リカの雑誌

Rai l way Age

の言葉 をそのまま引用 して いるしか し本稿 の主題 にとっては, この記事 にたい して寄せ られた手紙 のほ うが重要 である

。 Engi neer

と名乗 る匿名 の寄稿家 はこの記事 に関連 して報道 された,Cr

ewe

製 の最新式蒸気機関 の原価が 「実際原価」 (

act ualcos t )

え るか否かを問題 に している。 そ して,彼 は株主総会のや りとりを引用 して, その原価が単 に材料費 と労務費だけか ら計算 され,事業場費 を負担 していない

と批判す るのである。35)

・以上 のよ うに,原価 の計算 を取 り巻 く状況 は

1 8 7 0

年代前半 では,まだ初歩的 な段階 にとどまっていた と考 え られ るこの状況 に変化が現 れ るのは

1 8 7 8

であ って, この年 には前述 したバ タース ビーの著書が出版 され るはか,製造間 接費 の部門別配賦 を詳述 した論文 が現 れる。

それは,鉄道業 の費用 を乗客,貨物,鉱物 とい う各営業分野別 に分析 したフ ランシス

R.

コングーの学会報告 であ る。36)

コングーは,収益 について はこれ ら営業区分別 に把握 されているのに,純利 益 のほうは,同様 には計算 されず,単 に総額 で示 され るにす ぎないと批判 して いる。 い うまで もな く,彼が意図 しているのは,各営業区分別 の売上高利益率 (ただ し彼 の計算 では純利益対総費用比率) および資本利益率の計算である。

さて, コング一によれば, この計算 に必要 な各営業別原価 を知 るにはふたっ の方法がある ‑ すなわち,①通常 の簿記手続 で各営業 それぞれの原価を計算 す る方法,②運転慮価

( wor ki ngcos t )の計算単位 を決 めて帳簿外 で集計す る

方法,以上 のふたっである彼 は第二 の方法 を採用 し,集計単位 として列車 一 走行 マイルを使用 している。37)

3 5 ) Cf .Eng ine e r , " The Co s to fLoc omot i ve s ( l e t t e r st o t hee di t or )

:

'The En gi ne e r ,De c .

i

,1 8 7 6 ,p.3 8 0 .

3 6 )Fr a nc i s R ・Con°e r , " On t heCos to fWor ki ng Di f f e r e ntDe s c r i pt i on90 f Ra i l wdyTr af i c

,"

Tr ans ac t i o nso fI ns t i t ut eo fMe c hani c alEn gi ne e r s ,Vol .3 0

,

1 8 7 8 ,pp.1 8 4‑2 1 5 .

3 7 )Cf . i b i d. ,p. 1 8 4‑8 5 ,

(16)

彼 は以下,営業区分別に分析 したそれ らの計算表を企業別 に比較す るのであ るが,その詳細,および各費 目の具体的内容 については紙面 の都合か ら省略せ ざるをえない。 また彼がどのような費 目を営業別 に分析 し, また,その際いか な る数 値 を配 賦 基 準 と して採 用 したか につ いて は, 次 ペ ー ジに再 録 した

LondonandNor t hWes t er nRai l way

の例を見ていただ 重たい。 ここで注 目 すべ きは間接費の配賦基準が明示 されていることであろうが, ただ し配賦基準

として使われているのは,列車 一走行マイル,収入総額,および,その他の費 用合計であって, いずれ も総合的な基準 にす ぎず,費 目の性質 と配賦基準 との 関係 にかんする議論 は展開 していない。

なお, コング‑の発表以上 に興味深いのは彼の発表 に関連 して展開 された討 論である ここでは,そのなかか ら特 に注 目すべ き議論を三点紹介す る。

その第一 は,減価償却費の取 り扱 いである。 コンダーは機関車および鉄路の 減価償却費をそれぞれの保全費

( mai nt enance)

のなかに計上 しているのであ る。 それ自体 は特 に新 しい主張ではないが,論争の過程で列車のス ピー ドおよ び路線の勾配によって減価償却費が変わ るのか否かが大 きな問題 として取 り上 げ られていることは指摘 しておきたい。38)

また列車 一走行マイルあた りの原価,ない しはこれを収入 と比較 したものが 経済性 の指標 とな りうるか否 か につ いて も大 きな問題 と して論議 されて い

。39)

第二の注 目点 として, コンダーが明 らかに したデータを株主 に公表すべ きか 否かについて議論 されている。40) 発言者 はいずれ も, コンダーが公表を主張 し

3 8 ) Cf . i b i d. ,pp. 2 0 2 ,2 0 4 ,2 0 6 and 2 0 8‑9.

3 9 ) Cf . i b i d. ,pp. 2 0 3‑0 5 . なお,翌年の 1 月にも鉄道業の部門別原価,収益性 を論 じ た論文が掲載 されていて ( R .Pr i c eWi l l i a ms , " On t heEc onomy ofRai l way Wor ki ng

:

'Tr ans a c t i o nso fI ns t i t ut eo fMe c ha ni c alEn gi ne e r s ,Vo l .3 1 ,1 8 7 9

,

pp. 9 6‑1 1 5 . ) , その討論の過程で も配賦基準が問題 になっている ( i bi d. ,pp. 1 4 3

‑4 5 )

4 0 ) Cf . i b i d. ,pp. 2 0 0 , 〜 2 0 2 ,and 2 1 1

.

(17)

原価 計算論 の零 明

YE ARE N . D] NGDE C E MB E R 3 1 : s T. 1 . 8 7 7

2 3 3

AC C OR I DI NGT OTRAI NMI L 耳 AGEORRE C E I P T SASGI VE NAB , 0 , VE .

Lo c o mo t . i V ‑ eE、 Xpe ns e s 1 , 1 4 8 , . 4 8 4 do . . 5 1 6 1 1 1 , . 2 . 6 r 5 . i , . 0 ( 5 1

,

6 6 即 筋B7 ‑ . 2 1 , . ̲ , 7 . , i 6 裂9 r ̲ ) 3 . r ( , 9 / Q ; , I

Re pa i r s . Ca r r i a ge . S ‥‥‥… 1 8 . 4 , 4 壬 9. ‑ r Ac . t u a 1 ̲ a mo u n

.t.

1 8 4 A̲ 1 9 : ‑

‑ Do. Wa go . ns

…‥ . . . . 1 5 5 . , 8 7 0l do ,

T葦 諾 T

.

誓. : 辛 ‑, . .

Tr af e f i c c h E a x n p d e i : e s ? . . 当 t L. I . . ‑ ‑ 1 , 6 0 2

.

6 1 9 , , 6 1 8 3 ̲ 5 9

J.

1 , 6 9 0 . , d. dp a . ? 2 ‑ 4 ; . . ( 1 0 . 0 ) : 6 2 ( 7 3 9 ■ . . 8 7 , . 6 , 2 0 %5 ‑ 4 . 3 : ) . : 7 ̲ ̲

Ge ne r a lCha r ge s ̲ . . . . . . . …‥, . . . i 9 2, 4 4 7 Re c 、 e i p 】 t s .̲ ・1 壬 ̲ 4 , 射 O P .

La wCha r ge s . . . . … …‥‥‥ ‥ 3 . 2 , 1 8 7 do . . 1 3 , . O l 5 ‑ 2 , A, 埠1 3 番

pa il i a , Tn e s n e t s 誓. 7. . ). . ‑I . . . . チ ‑ 1 9 , 5 0 . 0 do ; 7 , 9 0 7 6 1 . 8 1 , 、 . 約1 5 9 3 f

co p m a : s e e n n s g a ! i r o s T . .

+

ド 4 5 , 5 2 0 Ac t u a l a mo u n

t.

4 5 , † 5 2 0 Compe ns a t i on

‑ 一

Go o ds 6 8 , 8 3 1 do . 7 4 , 20 8

Ra t e sa r l dTa Xe s . 7 . . 州. 、 , . … 1 8 2 . , 9 8 ′ 9 . Re . c e i pt s . ・

噸1 1 息詑3 7 : 8 二 6 , .

Gove "i l e 書 r 芸 nme h AVe Z e s r i: ntDut r a a . g c ger : a : fa a i ' y. i t o : i o. . f . s . :十 ‥ . . ̲ ∴. . . . 1 3 2 ( 9 9 1 , , 2 7 0 0 1 7 . 5 4 Ac ) Tr t a u a la i nmi mo l u e r s l t . . ̲ ㌔ 1 ・ ( 3 1 4 , 9 4 5 , , . 2 5 7 ‑ J 1 5 5 . . ) 5 1 ■ ( 申 、 2 5 , ) 二 J o i ntLi neEXp e ns e s 9 1 , 9 3 0‑ 4 2 r , . 0 5 8 4 9 1 8 廃.

Ca na l To Ra t a l t ……‥…‥‥…£ i o. do ∴. . H‥‥….

R a t t . i o RO e f c e % F s T. ヲ 誓∴. . . . . ) 1 2 , 5 3 2 ‑ Ac t u a l a mQ t

mt

. 1 2 , ̲ 5 3 2 二

〔 出所 〕F.

R

. Co n°e r , " Ont heCo s to fWo r ki ngDi f f e r e ntDe s c r ipt i on so fRa i l N Wa y

Tr a f i c , " Tr an s ac t i o nso fl ns t i t ut bo fMe c hani c al En gi ne e r s , γol . 3 0 , 1 8 7 臥p . . 1 9 8 .

(18)

た ことに反対 していて,そのよ うなデー タは企業秘密 に属す ると述 べている

F.W.

ウェッブは 「大 きなェ ンジ与ア リング企業の会計報告書

( publ i s he dac ‑ c ount s )

で も,原価報告書

( c os ts hee t s )

は見 たことがない

」4 1

)と発言 してい

第三 に,原価が技術者 にとって重要であるとす る主張がある. コング‑自身 は明確 に 「原価 は大 きなエ ンジニア リング上 の問題 である

」4 2 )

と述 べている。議 長 も討論 の要約 にあた って最初 に この問題 を取 りあげ,原価が技術者 にと って 重要 な関心事 であることを認 めなが ら, これを企業秘密 の問題 と関連 させて論

,

「いずれに しろ,鉄道業の株式所有者 はすべて,会社 自体 が運送 の原価 を知 り,か くして鉄道の, ある運送の見積 を組 み立て ることが望 ま しい ことには同 意す るに違いない」43'と述べている。いわば,コンターの原価 の重要性 とい う主 張を企業経営者 の私的な計算 に限定 して承認 したのである。 この結論が当時の 一般的な意見だ った と推測で きる

5

前節 までで文献 の検討 は終了 したので,以下本稿 を要約 して

,1 8 7 0

年前後 の 原価計算事情 を明 らかに してお きたい。

まず,原価 の計算 とい う意味での原価計算 は, との当時かな り一般的に実践 されていたとい うことがで きる。各種製品や工事 の原価 を計算す るだけで はな

く,代替的な方法がある場合 には, それ ら代替案 ごとの原価比較 も行われてい

た 。

それ らの計算 は事前計算 と事後的な計算 とに分 けることがで きるが, この当 時 は事前計算 の ほ うに注意 が向 け られて いた。見積 の正確性 が受注 をえ るた め,そ して受注 によって損失 を こうむ らないために重要 であ ったか らである。

4 1 )I b i d. ,p. 2 0 7 .

4 2 ) I b i d. ,p. 2 1 2 .

4 3 ) l a i d . ,p. 2 1 4 .

(19)

原価計算論 の額明 235

また事前計算が困難であること自体,雑誌論文で しば しば問題 として取 り上 げ られた理 由であろ うさらに,事後計算 の場合,採算 を知 ることが目的であれ ば,通常 の簿記記録か らある程度知 ることがで きた ことも,論説 の対象 にな り に くか った理 由 と考え られ る。実際 には,製品別,工事別の原価 を計算 し,採 算 を知 るためには間接費の処理 が必要で あるが,当時 は間接責の製造原価 に占

める割合が低b',った こともあ って,大 きな問題 とは考 え られていなか った。

いっぽ う,簿記 と結 びっいた原価計算, いわゆる原価計算制度 は,実践 され ていた ことは間違 いないに して も,薮 は少 なか った。 ただ し,そのよ うな シス テムの必要性 は認識 されつつあ り,企業家 は有用 な システムを求 めていた。公 会計士 にとっては,原価計算 は簿記 システムの目玉 と して,顧客を引 きつける 手段 に もな りえたのである

本稿第

3

節で検討 した素価 に関す る論争 は,その意味でかな り異例な出来事 であ った。 もともと技術系の雑誌で会計 ない し原価計算 に関す る論争が展開 さ れた こと自体が異例 なのであ って, この論争 は J.B∴という経営者 の呼びかけ

●●

に応 じて,当時原価計算 に従事 していた人 々が彼 ら自身の知識 を披露 したまれ な事件であ った ともいえるのであるが,本稿 の主題 に関 していえば,そのよ う な論争が成立 しえた背景 には,原価計算が実務 にある程度浸透 してお り, また その必要性 が認識 されつつあ った とい う状況 があ った点 に注 目 したいのであ

・ る

さて,原価計算を もっとも必要 と していた業種がエ ンジニア リング,特 に機 械工業および土木工業の分野 であ った ことは以上で検討 したとお りであるが,

1 8 7 0

年代後半 にいたって鉄道業 の原価計算 が議論 の対象 となるに したが って, 計算 は精微化 される。鉄道業 は,多 くの産業 に影響 を与え るとい う意味で当時 の基幹産業であ り,投下 された資本 も大 きか った。 しか も鉄道業 は,その規模 ゆえに公共性 も高 く,財務報告葦 の公表 その他 の法的規制 を早 くか ら受 けてい 。44)本稿 で検討 した,鉄道業 考対象 に した

1 8 7 8

年 の論文 は,簿記 システムと の結 びっ さを示唆す るのみな らず,費 目の性質 に応 じた複数 の配賦基準 を使用 す る点で優れた ものであった。ただ し,鉄道業の場合,明確 な実体 を持 った製

(20)

品 が存在 しな いが ゆえ に,製 品単 位 当 た りの計算 とい う原 価計 算 の要 件 を充 た す に い た らず, 乗 客 およ び貨 物 とい う営 業 区 分 別 計 算 に と ど ま らざ るをえ な か ったので あ る。

以 上 ,要 約 す れ ば,簿記 との整 合,な い し制 度 と して の原価 計算 を離 れれ ば, 当時 の原価 の計算 はか な り進 歩 して いた ので あ り

,45)

また あ る程 度普 及 して い た とみ る ことがで きる。

ソロモ ンズ は 1 9 世 紀 中 葉 の原 価 計 算 に触 れ た会計文 献 をみ る と 「虚弱」 と 感 じる と述 べ

,46

'ガーナ ー は 「この問題 に関係 した人 たち はす こ声ミる実 務 的 で, 多忙 な人 々で あ り, 自分 た ちの問題 や; 自分 たちが いか に して実務 にお いて そ れ らの 問 題 に あ た った か に か ん して執 筆 す る余 裕 を もた な か った よ うで あ る」4 7 )と要 約 して い る。 しか し,い さ さか繁 りが みえ は じめ た とはいえ,当時 の

4 4 ) 鉄道業の会計および原価計算については中村高次教授の歴史的研究がある。その う

‑ち本稿に関係の深い原価の見積計算,法的規制 については以下の文献を参照 された い 。「 1 9 世紀 2 0 年代 イギ リス鉄道業 の見積原価比較 ‑ The Li ve r poola nd Manc he s t e rRai l way l ‑ 」( 中村高次編著 『 原価計算発達史論』国元書房 ,1 9 7 8 所 収) ,「 1 9 世紀 イギ リ如 こおける会社規制の展開 ‑ イギ リス鉄道会計史 との関連」

. ( 『 経済集志』第 5 0 巻第 ・ 1 号 ,1 9 8 0 年 4 月)

4 5 ) 技術的原価計算が盛んに行われ,それが本稿で も検討 した雑誌お便 り欄 に反映 して いることを示す例 として,投資の現在価値を計算する次の公式が解説 されているこ とを紹介 しておきたい ( Robe r tWat s on," TheMe r i t sandDe me r i t sofHe a vy Fi r s tCos t( l e t t e r st ot hee di t or ) , " Th eEn gi ne e r ,Aug. 2 1 ,1 8 6 8 ,p. 1 4 0 . ) 。た だ し公式その ものは誤植を指摘 した他の寄稿家のものを再録 した

0

( ∫ . M.He ppe l ,

" TheMe r i t sandDe me r i t sofHe avyFi r s tCos t( l e t t e r st ot hee di t or ) : 'Th e En gi ne e r ,Se pt .

l

l ,1 8 6 8 ,p. 2 0 4 . )

R ‑1 0 0 + て 器 丁 +一 諾 臣 .& C ・ ・

これは

,

「 長期間使用可能な建造物を建てるのに,どれだけの追加投資が許 されるか を計算する 」( Wat s on ,i b i d. ) 公式である。パーカーによれば,割引キャッシュフ ローは金銭貸借および生命保険への適用例 は古 くか らあるものの,非金銭的な投資

‑の適用 は 1 8 7 7 年のホスコル ドないしは 1 8 8 7 年のウェ リントンにさかのぼれるに す ぎないとしている / ( R .H.Par ke r , Ma na ge me ntAc c o unt i n g: a n Hi s t o r i c al Pe r s pe c t i v e ,1 9 6 9 ,pp. 3 4 and 3 9‑4 0 . ) 。ワ トソンの説明は約 1 0 年,これに先ん じ

るものである。

4 6 ) Cf .Sol omons ,o P. c i t . ,p. 1 7 .

(21)

原価計算論 の繁明 237

先進工業国イギ リスが虚弱であるはず はない。 また当時 エ ンジニア リングの分 野では,各種の雑誌が刊行 され, しか もそのい くつかは週刊で発行 されて多 く の論説を掲載 してお り,活況 を呈 していた。 ただ会計 ない し原価計算 に関与 し ていた人 たちだけが, きわめて多忙で 自分 たちの問題 を執筆す る時間的余裕を

もたなか ったとは考えに くい。

したが って, これ以前 には,会計士 と技術者 の職分 はほぼ完全 に分かれてい て,両者 は他方で行われていることに関心を向けることな く,みずか らの分野 で職務を果た していたと考えるのが妥当であろう。技術者 の関心、はあ くまで も エ ンジニア リングの技術的側面 にあり,そこで計算 され る原価 も会計 とは無関 係なエ ンジニア リングとしての原価の計算であった。

いっぽ う会計士 の関心 は期間損益 の計算 にあり,帳簿か ら事後的に損益 が計 算 され るか ぎり,製品別 ない し工事別の原価 および損益 には無関心 でい られ た。 しか し,企業間競争が激 しくな り,利幅が減少 し,資本利益率が低下 しは じめたとき,会計士 は期間計算 という枠か ら一歩を踏み出 し,製品単位当た り 原価 に注 目 しは じめたのである ここで初めて間接費の製品別配賦が問題 にな

る。

その意味で,本稿で検討 した時代 は会計士 と技術者が接触 を開始 して,原価 計算論の萌芽がみえは じめる時代 といえるのである

4 7 ) Gar ne r , o p. c i i . ,p. 2 9 . 前掲邦訳 』5 1 ペ ー ジ.

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