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茨城大学教育学部紀要 ( 教育科学金子 渡部 )68: 号アサーショントレーニングに関する実践研究 (2019) コミュニケーションに支援が必要な児童への学級単位のアサーショントレーニングに関する実践研究 TK 式コミュニケーション力を高めるワークを活用した授業づくりを通して

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(1)

コミュニケーションに支援が必要な児童への学級単位の

アサーショントレーニングに関する実践研究

― TK式コミュニケーション力を高めるワークを活用した授業づくりを通して ―

金子 聡

*

・渡部玲二郎

*

(2018 年 8 月 31 日受理)

A Practical Study on Classroom Assertion Training for Children who

Need Support for Communication: Through the Creation of Lessons

Utilizing Work that Enhances TK Style Communication Skills

Satoshi Kaneko* and Reijirou Watanabe*

(Accepted August 31, 2018) 問題と目的  今日,少子化,核家族化,情報化などが急激に進み,子どもたちを取り巻く環境は大きく変化し ている。人とのかかわり方を身に付ける機会の減少と体験不足は,集団の中で人間関係を上手に結 べない子を生みだしている。これらの社会環境に比べると,学校には多くの時間と空間を他者と共 有する場があり,友人関係を始め,そこで様々な人間関係を展開していくことが可能である(渡部・ 江幡,

2015

)。しかし,学校生活という限られた人間関係の中で,教師と児童,児童同士の関係が 良好で,コミュニケーション力を自然と身につけることができる児童がいる一方,友人関係につま ずき,うまくコミュニケーションが取れずに悩んでいたり,自分の思いをうまく伝えることができ ずに,衝動的な言動をとりトラブルを引き起こすことで自己主張をしたりする児童も見られる。児 童の対人関係の未熟さは,不登校や学級崩壊,いじめなどの原因の

1

つとも考えられ,深刻な問題 となっている(藤枝・相川,

2001

)。さらに,社会的スキルの欠如は高い学校ストレスや学校にお ける不適応感に結び付く傾向が明らかにされている。このように社会的スキルの欠如は,現在の適 応状態や今後の問題傾向と結びつくことが指摘されており,特定のスキルの欠如が顕著な子どもに 対してその社会的スキルを教育していく必要がある(山口ら,

2005

)。  本研究では,

TK

式コミュニケーション力を高めるワーク(渡部,

2011a

)を活用して児童の実態 を客観的に把握して,授業づくりを工夫することを通して,不適切な自己表現タイプの児童に対す るよりよい人間関係を築くアサーショントレーニングプログラムを開発し,実践する。具体的には,        

*茨 城 大 学 大 学 院 教 育 学 研 究 科( 〒 310-8512  水 戸 市 文 京 2-1-1; Graduate School of Education, Ibaraki University, Mito 310-8512 Japan).

金子・渡部:アサーショントレーニングに関する実践研究 567

(2)

先行研究(渡部・江幡,

2015

)を参考に,自己表現に関わる「基本的人権の理解と尊重」,「非合 理的な信念」,「対人不安」の

3

要因に関するトレーニングプログラムを開発し,実践するとともに, 通常の授業の中で般化を図るためのコミュニケーション場面を計画的に実施する。本研究に関す る一部の結果,すなわち『学級全体の児童』を対象としたアサーショントレーニング(以下,

AT

) と般化のための授業を組み合わせた効果については,結果から効果的であったことが分かった。詳 細については,教職大学院年報(金子,

2018

)で報告した。簡潔に示すと,コミュニケーション スキル得点と集団活動スキル得点のどちらにおいても,

AT

の実施前と実施後で結果を比較すると 得点の上昇が見られた。そのため,本論文ではコミュニケーション支援群(特に教師の支援が必要 な児童)を対象とした

AT

の効果の検討について報告する。なぜなら,本来,本研究のように学級 全体の児童を対象に

AT

を実施する場合には,これら両群の児童にトレーニングの効果が表れるよ うなプログラムを立てるのが理想である。また,

AT

の効果を検討する際には,両群の結果を同時 に考慮する必要があるためである(渡部・江幡,

2015

)。 方 法 被験者  茨城県内の公立

A

小学校の

5

年生

A

組,

B

組,児童

60

名(男子

30

名,女子

30

名)のうち,事前 調査の結果,自己表現タイプが非主張型な自己表現または自己中心的(攻撃的)な自己表現と判定 された児童

25

名(男子

12

名,女子

13

名)(詳しくは,(渡部,

2011b

)を参照のこと)。  平成

29

5

月上旬に介入前の事前調査として,対象児童に対して,

TK

式コミュニケーション力 を高めるワーク(渡部,

2011a

)を実施した。またその他に,トレーニングプログラムを実施する 事前と事後でのトレーニングの効果の検証をするために,対象児童に対して学校スキル尺度(小 学生版)(山口ら,

2005

;茨城県教育研修センター,

2004

)を活用して記名式の質問紙を作成した。 記名式にすることで,調査後に自己表現タイプが非主張型な自己表現または自己中心的(攻撃的) な自己表現と判定された児童を選別できる。この質問紙を事前調査として平成

29

5

月上旬に, 事後調査として平成

29

7

月下旬に実施した。 トレーニング実施者  各学級とも,担任が

AT

を実施した。トレーニングの内容については,

A

組と

B

組の共通する課題 について中心にプログラムを作成し,同じ内容でそれぞれの学級担任が実施する(詳しくは,表

1

参照)。また各学級の算数は,

A

組の担任が般化をねらいとした授業を行う(詳しくは,資料

7

8

を参照)。 調査日程  事前調査 平成

29

5

月上旬  事後調査 平成

29

7

月下旬

(3)

トレーニング実施期間  平成

29

6

月から

7

質問紙の構成 1.TK式コミュニケーション力を高めるワーク(5,6 年生用)(渡部,2011a)  標準化され,市販されている心理検査である。児童のコミュニケーション能力について,総合的 に診断し,学校での指導に活かすことを目的としている。また,児童一人ひとりの自己表現のタイ プやストレスの状態を診断するとともに,自己表現に影響を与える要因についても診断し,児童の コミュニケーション能力を高めるため方法を検討する際の資料とすることができる。①自己表現 を測定するための尺度,②自己表現に関わる要因を測定するための尺度,③ストレス反応を測定 するための尺度,から構成されている。 (

1

)自己表現測定尺度  

14

場面で構成され,場面ごとにアサーティブな自己表現,非主張的な自己表現,攻撃的な自己 表現の

3

つの自己表現について,児童が自分にもっともあてはまる自己表現を選択する形式である。 得点は,選択した回答が

1

点,他の回答は

0

点となる。これによって,児童一人ひとりの自己表 現タイプや自己表現タイプの学級内分布が明らかになる。 (

2

)自己表現に関わる要因を測定する尺度  自己表現に関わる要因のうち,対人不安,非合理的な信念,基本的な人権の理解と尊重につい測 定する。対人不安については

7

項目あり,各項目について

4

段階(よくあてはまる:

3

点~ぜんぜ んあてはまらない:

0

点)で評定する。非合理的な信念については,

7

項目あり,

4

段階(とても そう思う:

3

点~ぜんぜんそう思わない:

0

点)で評定する。基本的人権の理解と尊重については,

7

項目あり,

4

段階(とてもそう思う:

3

点~ぜんぜんそう思わない:

0

点)で評定する。 (

3

)ストレス反応尺度  児童のストレス反応を測定するための尺度は,

8

項目あり,

4

段階(よくあてはまる:

3

点~ぜ んぜんあてはならない:

0

点)で評定する。 2.学校スキル尺度を活用した質問紙調査  オリエンテーションを含めて全

7

回の介入計画で,学年全体のトレーニング効果の検証するため の質問紙である。学校生活スキル尺度(小学生)(山口ら,

2005

;茨城県教育研修センター,

2004

) の

7

因子の中から,本研究に関係の深い,集団で生活するスキル(集団活動スキル)尺度

8

項目, 友だちとかかわるスキル(コミュニケーションスキル)尺度

9

項目の計

17

項目で構成されている (

4

段階評定,全くあてはまらない~非常によくあてはまる)。

AT

の効果を測定するために,

AT

実 施前に事前調査を行い,

AT

実施後の事後調査としてもこの質問紙を活用した。 手続き  学級開き後,

5

月上旬に

TK

式コミュニケーション力を高めるワーク(以下,ワーク)を実施した。 ワークの分析結果に基づいて,トレーニングプログラムの検討を行った後,

6

月上旬に学年集会で オリエンテーションを行い,約

1

か月間,週

2

回(

1

コマ

45

分間)の

AT

を全

6

回実施した。また, 金子・渡部:アサーショントレーニングに関する実践研究 569

(4)

トレーニングプログラムを実施すると同時に,算数科の授業においてコミュニケーション活動を取 り入れることで,

AT

の般化を図った。  また,学校スキル尺度を活用した質問紙調査(以下,スキル調査)を事前調査として平成

29

5

月上旬に,事後調査として平成

29

7

月下旬に実施した。 トレーニングプログラムの作成  学年全体の児童に対して同じ

AT

を実施するため,

2

つの学級の共通した課題を見いだして,トレー ニングプログラムを作成した。また,教師の支援が必要な児童(要支援群)だけではなく,他の児 童にとっても

AT

が有効にならなければならない。そのため,学年全体のコミュニケーションの特 徴と教師の支援が必要な児童(要支援群)のコミュニケーションの特徴の両方の特徴についてワー クの結果を基に検討を行い,トレーニングプログラムを作成した。  ワークでの診断結果から,アサーティブな自己表現ができるコミュニケーション良好群が

2

クラ ス合計で

12

名(

20.0

%)であった。逆に,自己中心的(攻撃的)な自己表現と非主張的な自己表 現のコミュニケーション支援群が

2

クラス合計で

25

人(

41.7

%)であった。特に,コミュニケー ション支援群の中でも,自己中心的(攻撃的)な自己表現のコミュニケーション支援群が

2

クラス 合計で

21

名(

35.0

%)と多いことが明らかになった。また,自己表現に関わる

3

要因に関しては, 学年全体とコミュニケーション支援群どちらにおいても,非合理的な信念と対人不安に関して問題 があることが明らかになった。その中でも特に,非合理的な信念に関して,低群が

2

クラス合計で

30

名(

50.0

%)と多く,介入が必要なことが明らかになった。  これからの結果に基づき,自己表現に関わる

3

要因関して以下のようなトレーニングプログラム の方針を立てた。 1.自己表現タイプの特徴から

1

)アサーティブな自己表現ができる児童は男女ともに若干名いるが,自己中心的な自己表現を する児童が

A

組,

B

組共に際立っている。自己中心的な自己表現をする児童の多さから,友だち の気持ちを無視したり,軽んじたりして,自分の気持ちや考えを押しつけるような表現をしてい ることが考えられる。そこで,友だちの気持ちを考えたり,自分の気持ちをコントロールして話 したりすることが大切であることを感じ取ったり,そのよさを知ったりすることができるような

AT

を実施する。 (

2

)学年全体として,教師の支援が必要な児童(要支援群)が全国の平均に比べて多く,適切な自 己表現ができる児童が少ない。このことから,よりよいコミュニケーションとはどのようなもの か,体験的な活動を取り入れた

AT

を実施する必要がある。例えば,具体的な実践場面を連想さ せるような課題を設定し,どのような言動をすることが必要なのかロールプレイを通して学ぶよ うな

AT

を,繰り返し行っていくことが効果的であると考えられる。 (

3

)教師の支援が必要な児童(要支援群)の傾向として,非主張的な自己表現をする児童も見られ る。学級全体の傾向だけでなく,要支援群の児童に効果のある

AT

も必要である。これらの児童は, 自己否定的で自尊心が低く,自分の気持ちや考えを表現したがらない傾向があると考えられる。

AT

の中で,自分のよさに気付いたり,気持ちよく友だちに思いを伝える表現方法のよさに気付

(5)

いたりすることで,適切な自己表現ができる場面を設定する。 2.自己表現に関わる 3 要因の特徴から

1

)学年全体と要支援群のどちらも,特に非合理的な信念をもっている児童が多く,「こうでなけ ればならない」などの思い込みを取り除く必要がある。このことから,児童が抱きやすい非合理 的信念を具体的な場面で取り上げたり,その思考の共通点を示したりするなど,児童が非合理的 な信念の特徴について理解しやすい活動を取り入れる。 (

2

)対人不安が高い児童の特徴として,アサーティブな自己表現の得点も高いが,それ以上に自己 中心的な自己表現や非主張的な自己表現の得点が高いという傾向がある。アサーティブな自己表 現をする大切さも分かっているが,対人不安から,自己防衛的に相手の気持ちを配慮しないよう な表現方法をとったり,率直に自分の気持ちを話せないでいたりすることが考えられる。このこ とから,具体的な対人不安場面を想定し,適切な言動についてロールプレイを用いて体験的に学 ぶプログラムを取り入れる。 3.ATの順番やその他の工夫した点

1

)自己表現に関わる

3

要因の特徴のうち,基本的人権の理解度は全国平均に比べおおむね高い傾 向にある。そこで,基本的人権の理解と尊重に関する

AT

を最初に行い,自己表現の基礎となる 考えをしっかりと定着させたい。次に,特に問題のある非合理的な信念に関する

AT

を行い,最 後に対人不安に関する

AT

を行うようにプログラムを構成する。対人不安の要因に非合理的な信 念が関係している場合もあることから,対人不安の

AT

を通して,合理的な信念の定着を図る。 (

2

)小学校での教育活動は多岐にわたり,対人スキルの向上を目指すものだけに時間を割くことは できない。そこで,学校カリキュラムの中で実践可能な授業時間に絞り,短期集中的に,

AT

を 行うことでその効果を最大限に高める。また,複数のクラスにおいて,別の授業者でも同じよう なトレーニング効果をねらうために,トレーニングプログラムのねらいや題材を示すだけではな く,教示入りの学習指導案を作成し,

1

時間ごとの授業の流れと指導内容を明確にする。 コミュニケーション活動を取り入れた授業の計画  トレーニングした行動が,日常場面でも実践できるように授業の中で般化ができる話し合う場面 を意図的,計画的に実施する。この活動を取り入れることによって,実際のコミュニケーション場 面で適切に行動するように促すことができる。  授業では,単元全体で常にコミュニケーション場面を取り入れることは困難である。そこで,単 元全体を

3

つの場面(知識を押さえる授業,コミュニケーション場面を取り入れ思考を深める授 業,練習問題に取り組み知識を定着する授業)に分ける。その中で,コミュニケーション場面を取 り入れ思考を深める授業において,般化をねらいとしたコミュニケーション活動を実施することで,

AT

の効果を高めたい。 研究の内容と実施計画  表

1

は,アサーショントレーニングプログラムの実施計画である。始めに,オリエンテーション 金子・渡部:アサーショントレーニングに関する実践研究 571

(6)

を含めて

2

時間を使って,基本的人権の理解と尊重に関する知識を定着させる

AT

を実施する。人 権についてのワークシートに答えることで,いろいろな人権があることに気づくと同時に,人権は 自分にだけあるのではなく,だれにも等しくあるものだから友だちの人権を侵害してはいけないこ とに気づかせたい。  次に,本校で最も問題があると分析した非合理的な信念に関する

AT

3

時間実施する。

1

時間 目は,非合理的な信念について絵の中の場面を通して知り,合理的な信念の良さに気づかせる。非 合理的な信念は,自分の人権をないがしろにしているだけではなく,他人の人権を侵しているよう な考えであることに気づかせる。

2

時間目,

3

時間目では児童の日常生活の中にある非合理的な信 念の場面において,合理的な考え方に変える方法を話し合わせ,ロールプレイを通して合理的な考 え方,話し方のよさを実感させる。

2

時間目では台詞をつくることで非主張型の児童でも緊張を和 らげて取り組めるようにする。

3

時間目は,台詞をつくることよりもついカッとしてしまう場面を 想起させることを重視し,自己中心的な表現をする児童に対して効果的なロールプレイができるよ うにする。  最後に,対人不安に関する

AT

2

時間実施する。対人不安場面における言動を想起させ,うま くコミュニケーションがとれない理由とその解消方法について考えさせる。また,その方法をロー ルプレイすることを通して,よりよいコミュニケーションの仕方を身につけさせたい。  以上のようなコミュニケーションスキルに関する

3

要因に対する

AT

を実施すると同時に,般化 を図るための授業を

10

時間実施する。本校では,教科担任制での授業を実施していることから, 全教科での実施が困難であるため算数の授業に絞って実施する。授業の中では,意図的にコミュニ ケーションをとる場面を設定することで,

AT

で学んだスキルを実践できるようにする。特に,グルー プでの学習では,主張が強い児童の意見だけで話し合いをするのではなく,全員が意見を出せるよ うな話し合いを行うことで,よりよいコミュニケーションの仕方を定着させていきたい。 結果と考察  

AT

の効果に関する分析は,学年全体と要支援群の児童それぞれ別々に行った。本研究では,要 支援群の児童の結果についてのみ示す。

AT

の効果に関する分析は,学校スキル尺度を活用した質 問紙調査で,集団生活スキルとコミュニケーションスキルを計

17

項目設定し,事前・事後の各尺 度得点について,事前・事後の得点の平均値で比較した。さらに,事前と事後の

2

変数の

t

検定を 実施し,その有意差を検討した。  表

2

は,要支援群における事前・事後でのコミュニケーションスキルと集団活動スキルの得点の 平均値と標準偏差を示したものである。

t

検定の結果,コミュニケーションスキル得点(

t

24

)=

2.77

p<.01

)に有意差が見られ,集団活動スキル得点(

t

24

)=

1.44

p<.10

)に有意傾向が見られた。

(7)

表1 AT実施計画 金子・渡部:アサーショントレーニングに関する実践研究 7 表1 AT 実施計画 NO 日時 実習の内容 具体的な取り組み 1 4月6日 ○学級開き ・教師と子どもたちとの人間関係づくり 2 5月9日 ○事前調査 ・TK式コミュニケーション力を高めるワークを実施する。 ・質問紙を実施する。 3 5月20日 ~6月8日 ○指導計画 の作成 ・事前調査の結果を基にATプログラムと授業実施計画を作成 する。 4 6月16日 ~ 7月4日 ○ATの実 施 (45分× 7回) ① オリエンテーション(6月9日)学活 ・ 3つの自己表現の仕方について知る。 ・ 今後のトレーニングについて知る。 ② プログラム1 (6月16日)道徳 【基本的人権の理解と尊重の向上】 ・ 人権について考える。 ③ プログラム2 (6月20日)学活 【不合理的な信念の低下】 ・ 一方的な思い込みの具体的な場面とその改善方法について 考える。 ④ プログラム3 (6月23日)学活 【不合理的な信念の低下】 ・ 相手の思いを大切にしながら,自分の考えや思いを相手に 伝える表現方法をDESC法を用いた台詞づくりを通して 考える。 ⑤ プログラム4 (6月27日)道徳 【不合理的な信念の低下】 ・ 相手への一方的な思い込みの具体的な場面で,合理的な話 し方を身に付け,問題を解決する。 ⑥ プログラム5 (6月30日)学活 【対人不安の低下】 ・ 対人不安場面でうまく自己表現ができない理由を考え,そ の解消法を見いだす。 ⑦ プログラム6 (7月 4日)学活 【対人不安の低下】 ・ 対人不安場面で自己会話を用いるロールプレイをする。 5 6月12日 ~ 7月14日 ○授業実践 (10回) ・コミュニケーション活動を取り入れた対話的な授業 ① ペア学習で,相手に自分の考えを伝える。相手の考えを否 定せずに受け入れ傾聴する。 ② グループ活動で,お互いの意見を交流することで多様な考 え方に触れ,他者の考えのよさを知る。 ③ グループ活動で,合意形成をする活動を行う。 6 7月18日 ○事後調査 ・質問紙(児童用) 金子・渡部:アサーショントレーニングに関する実践研究 573

(8)

 この結果から,どちらのスキルも時間の経過とともに得点が上昇したことが明らかとなり,

AT

の効果が確認された。すなわち,学級全体における分析結果(金子,

2018

)と同様に,要支援群 においても

AT

の効果が確認され,改めて本研究で開発された

AT

プログラムの有効性が示された。  最後に,学級全体における分析(金子,

2018

)では,紙幅の関係上詳しい

AT

プログラム及び

AT

の般化に関する授業の実施計画を掲載できなかった。そのため,本研究ではそれらを巻末に資料と して掲載した。今後,他の教師が同様の実践を行う際の参考にしていただければ幸いである。 引用文献 相川充.2009.『新版人づきあいの技術-ソーシャルスキルの心理学-』(サイエンス社) 金子聡.2018.「よりよい人間関係と対話的学びを育てる指導の工夫」『茨城大学大学院教育学研究科教育実践 高度化専攻(教職大学院)年報』2, 293-304. 藤枝静暁・相川充.2001.「小学校における学級単位の社会的スキル訓練の効果に関する実験的検討」『教育心 理学研究』49, 371-381. 渡部玲二郎.2011a.『財団法人田中教育研究所編TK式コミュニケーション力を高めるワーク』(田研出版) 渡部玲二郎.2011b.『財団法人田中教育研究所編TK式コミュニケーション力を高めるワーク 利用の手引き』 (田研出版) 渡部玲二郎・江幡綾子.2015.「児童のコミュニケーション能力を高めるための実践研究(2)-小学校におけ るアサーション・トレーニングの試み-」『茨城大学教育学部紀要(教育科学)』64, 371-380. 山口豊一・飯田順子・石隈利紀.2005.「小学生の学校生活スキルに関する研究-学校生活スキル尺度(小学 生版)の開発-」『学校心理学研究』5, 49-58. 表2 学校スキル尺度得点の平均値と標準偏差(コミュニケーション支援群) 茨城大学教育学部紀要(教育科学)69 号(2019) 8 表2 学校スキル尺度得点の平均値と標準偏差(コミュニケーション支援群) 平均値(上段)と標準偏差(下段) コミュニケーションスキル 事前 事後 n=25 n=25 28.56 30.32 (5.11) (4.28) 集団生活スキル 事前 事後 n=25 n=25 25.8 26.84 (4.18) (2.99)

(9)

資料1 AT学習指導案(プログラム 1) 金子・渡部:アサーショントレーニングに関する実践研究 9 資料1 AT 学習指導案(プログラム1) 1 題材名「自分の権利を守ろう」 2 本時のねらい 基本的人権の理解を深め,自他尊重の精神について考える。 3 準備物 ワークシート 4 展開 人権についてのワークシートに答えることで,色々な人権があることに気づくと同時に,人権 は自分にだけあるのではなく,だれにも等しくあるものだから友達の人権を侵害してはいけない ことに気づく。 学 習 活 動 指導上の留意点 ・本時の課題を知る ・ワークシートにある設問に答える。 ・4つの子どもの権利について,設問の内 容と照らし合わせながら,話し合うこと で正しい知識を知る。 ・自分の権利を守ることが難しいのはどん な時か話し合う。 ・友だちの権利をおかしているのはどんな 時か話し合う。 ・振り返りをする。 ・今の生活はたくさんの人権によって守られてい ることを意識させる。 ・1つずつの項目に対して,読み上げて意味を共 通理解して設問に答えさせる。 【生きる権利】 防げる病気などで命を失わないこと。 病気や怪我をしたら治療を受けられること。 【育つ権利】 教育を受け,休んだり遊んだりできること。 考えや信じることの自由が守られ,自分らしく 育つことができること。 【守られる権利】 あらゆる種類の虐待や搾取などから守られるこ と。 障害のある子どもや少数民族の子どもなどは特 別に守られること。 【参加する権利】 自由に意見を表したり,集まってグループを作 ったり,自由な活動を行ったりできること。 ・親からのしつけが厳しい児童などの気持ちに配 慮する。 ・子どもの権利は自分だけではなく,友だちにも あることを気づかせる。 ・友だちの権利も大切にしようとする気持ちをも たせる。 自分の権利をおかしているものに は×,自分の権利をおかしていない ものには〇をつけましょう。 金子・渡部:アサーショントレーニングに関する実践研究 575

(10)

資料2 AT学習指導案(プログラム 2) 69 号(2019) 10 資料2 AT 学習指導案(プログラム2) 1 題材名「見方をかえてみよう」 2 本時のねらい 一方的な思い込みの具体的な場面とその改善方法について考える。 3 準備物 ワークシート 4 展開 非合理的な信念について絵の中の場面を通して知り,合理的な考え方の良さに気づかせる。 学 習 活 動 指導上の留意点 ・本時の課題を知る ・ワークシートに自分の考えを記入する。 ① テストで悪い点を取った絵 ② 自分の意見を押し通した絵 ③ ボールでガラスを割った絵 ④ 友だちの失敗を笑ってしまった絵 ・最近自分の犯した失敗について振り返り,よ りよいものに変えたり,正しくしたりするた めにどんなことをすればよいのか話し合う。 ・失敗をよいものに変えることができたら,自 分をどのように思えるのか考える。 ・絵の中から感じる不合理な信念につい て,意見を出し合うことで,不合理な信 念の認識を共有する。 ①テストは100点(よい点)をとらなけ ればならない。 どうせいくらがんばっても,いい点はと れない。 ②自分の意見は常に受け入れられなけれ ばならない。 自分の意見が正しいに違いない。 ③間違いは起こしてはならない。 先生にいい子と見られていなければな らない。 ④人には優しくしなければならない。 人のミスを笑ってしまうなんてどうし ようもない。 ・あきらめではなく,ポジティブな考え方 でかけるように助言する。 ・自分が前向きになる考えだけではなく, 相手も前向きになれる考えをすること で,お互いの人権を尊重できる考え方に なることを助言する。 ・自分事として捉え,実際の場面で失敗と 考えたことを変えることができるよう に助言する。 ・不合理な信念は合理的な信念に変えるこ とができることに気づかせる。 絵の中のしまのシャツの子どもは, 失敗をしました。枠の中にこの子が どうしたら失敗を生かして,自分の ことをよく思えるようになれるか 考えて書きましょう。

(11)

資料3 AT学習指導案(プログラム 3) 金子・渡部:アサーショントレーニングに関する実践研究 11 資料3 AT 学習指導案(プログラム3) 1 題材名「こんなときどういうの」 2 本時のねらい 相手の思いを大切にしながら,自分の考えや思いを相手に伝える表現方法をDESC法を用い た台詞づくりを通して考える。 3 準備物 ワークシート 4 展開 児童の日常生活の中にある不合理的な思い込みの場面(友達からよく見られなければならない) において,相手の気持ちを考えながら自分の気持ちを伝える方法について台詞づくりを通して考 える(非主張型の児童を意識)。 学 習 活 動 指導上の留意点 ・本時の課題を知る ・ワークシートに自分の考えた言い方を記入す る ①ミナミさんに,楽譜を持って行かれたとき のミホさんはどんな気持ちだったのでし ょう。 ②ミホさんはどうしてほしいと思っていた のでしょう。 ③あなたがミホさんだったら,ミナミさんに 何と言うでしょう。 ・さわやかに伝える台詞をつくる。 ・ペアでロールプレイングをする。 ・振り返りを行う。 ・場面が身近なものになるように考慮す る。 ・ミホさんに友だちに嫌われてはならない という不合理な信念があることに気づ かせる。 ・何も言えなかったミホさんの人権が侵さ れていることに気づかせる。 ・ワークシートには素直に思ったことを書 かせる。 ・言い方によって印象が違うことを気づか せる。 ・言いたくても言えなかったミホさんの気 持ちを考えるように助言する。 ・DESC法について説明し,台詞を作ら せる。 ・台詞を作ることで,非主張型の児童が緊 張を和らげて取り組めるように配慮す る。 ・適切な自己表現を意識させる。 ・ロールプレイングを通して,相手の気持 ちも考えさせる。 ・多様な感じ方があることに気づかせる。 リコーダーのテストが近づく中,ミナ ミさんが,ミホさんの楽譜を「ちょっ と貸してね。」と言って,持って帰っ てしまいました。その場では,何も言 えず,リコーダーの練習をすることが できませんでした。ミホさんは,ミナ ミさんに何と言葉をかけることがで きたらよかったのでしょう。 金子・渡部:アサーショントレーニングに関する実践研究 577

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資料4 AT学習指導案(プログラム 4) 69 号(2019) 12 資料4 AT 学習指導案(プログラム4) 1 題材名「あなたならどう言うの?」 2 本時のねらい 非合理的な信念の具体的な場面で,合理的に考えを変える方法や話し方を身に付け,問題を解 決する力を培う。 3 準備物 ワークシート 4 展開 日常生活の中で,非合理的な考え方をする場面(思い通りにならなければ,怒りを表すのは当 然だなど)を取り上げ,合理的な考え方に変える方法を話し合い,ロールプレイを通して合理的 な考え方,話し方のよさを実感する(自己中心的な表現をする児童を意識)。 学 習 活 動 指導上の留意点 ・本時の課題を知る ・ワークシートに自分の考え,言い方を記 入する。 ・相手の気持ちを考えて,よりよい対応の 仕方について話し合う。 ・グループになり,お互いで役割演技をし て,そのときの気持ちを振り返る。 ・学級全体で話し合う。 ・振り返りを行う。 ・ついカッとしてしまうときの気持ちを思い出 せるように助言する。 ・言い方によって相手の受ける感じ方が違うこ とに気づかせる。 ・自分の怒りや思いを一方的にぶつけること は,合理的な信念ではないことに気づかせ る。 ・割り込んできた友だちにも理由があることを 追加で設定することで,自分が一方的な見方 をしていたことに気づかせる。 ・台詞を作ることよりも,ついカッとしてしま う場面を想起させるのを重視することで,効 果的なロールプレイができるようにする。 ・つい言ってしまう感情的な言葉をコントロー ルするための方法も考えるように助言する。 ・自分とは違う意見があることを理解させ,感 じたことを話し合う中で,よりよい自己表現 の仕方を考える。 ・一方的な自己主張は相手の人権を侵している ことに気づかせる。 順番待ちで並んでいるときに,友だ ちがあなたの前に突然割り込んで きました。あなたは順番を守らない 友だちに何といいますか。

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資料5 AT学習指導案(プログラム 5) 金子・渡部:アサーショントレーニングに関する実践研究 13 資料5 AT 学習指導案(プログラム5) 1 題材名「上手に気持ちを伝えよう」 2 本時のねらい 対人不安場面でうまく自己表現できない理由を考え,その解消法を見いだす。 3 準備物 4 展開 対人不安(特定の他者)場面における言動を想起させ,うまくコミュニケーションがとれない 理由とその解消方法について考える。また,その方法をロールプレイすることを通して,よりよ いコミュニケーションの仕方を身につける。 学 習 活 動 指導上の留意点 ・本時の課題を知る ・役割演技をして,状況を具体的に捉える。 ・ワークシートに自分はどうしたいのか,具 体的な行動を記入する。 ・よりよいコミュニケーションをとるための 方法について話し合う。 ・4人グループで,ロールプレイを行う。 (相手役2人,実践者1人,観察1人) ・振り返りをする。 ・身近にありそうな場面を扱うことで,課題に 対しての興味を高める。 ・役割演技から,場面の雰囲気を共通理解する。 ・人によって感じ方や捉え方が違うことを認識 させる。 ・人に嫌われてはならないなどの不合理な信念 が働いていることや,一方的に自分の感情を ぶつけることで,相手の人権を侵しているこ とに気づかせ,よりよいコミュニケーション の方法について考えられるように助言する。 ・自分が考えた方法でロールプレイを実施し, それぞれの立場(相手役,観察者)から気づ いたことを伝え合う。 ・よりよいコミュニケーションをするために必 要なことについて意見を出し合い共有する。 休み時間トイレに行こうしたとき, 友だちのツバサさんとミナミさん が話をしている横を通りました。自 分が通り過ぎると2人が笑ってこ ちらを見ているように感じました。 あなたは,どうしますか。 金子・渡部:アサーショントレーニングに関する実践研究 579

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資料6 AT学習指導案(プログラム 6) 69 号(2019) 14 資料6 AT 学習指導案(プログラム6) 1 題材名「失敗しても大丈夫」 2 本時のねらい 対人不安場面で自己会話を用いるロールプレイを行い,対人不安を和らげる方法を考えよう。 4 展開 自己会話の仕方について知り,ロールプレイを通して実践して,対人不安を和らげる方法を身 に付ける(不特定の他者に対する不安)。 学 習 活 動 指導上の留意点 ・本時の課題を知る ・緊張場面を克服する方法について話し合 う。 ・自己会話をする方法を知り,台詞を考える。 ・ロールプレイングをして,実際に自己会話 を行う。 ① 台詞を発表する。 ② 自己会話を実施する。 ③ クラスの前で討論をする。 ④ 感想を話す。 ・振り返りをする。 ・多くの人の前に立つ経験を想起させ,対人緊 張場面の設定を理解させる。 ・人によって,緊張する度合いや身体的な反応 が違うことを助言する。 ・失敗してはならないという不合理な信念か ら,失敗しても大丈夫だという合理的な信念 に変える必要性に気づかせる。 ・必ず最後には前向きな結びになるように心が けるよう助言する。 ・自己会話の内容を台詞にして書くことで,自 分の思考を可視化する。 ・自分の思考が不合理な信念になりがちな児童 には,合理的な信念で台詞をつくる児童を参 考にするように助言する。 ・自己会話を言葉にして練習するように助言す る。 ・お互いの自己会話を聞き合うことで,多様な 方法があることに気づく。 ・自己会話をして,前向きな心にすることで, どのように心情が変化したのか振り返る。 全校児童の前で討論をするクラス 代表になりました。とても緊張する ので不安です。どうすれば,役割を 全うすることができるでしょう。

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資料7 コミュニケーション活動を取り入れた対話的な授業の実施計画① 金子・渡部:アサーショントレーニングに関する実践研究 15 資料7 コミュニケーション活動を取り入れた対話的な授業の実施計画① 単元名 小数のわり算 NO 目標 本時の内容 授業の場 面 トレーニン グのねらい 1 小数でわることの意味や整 数÷小数の計算の仕方を理 解し,その計算ができる。 式を立てた理由を,数直線や言葉 の式などを用いて考え,説明する。 【ペアで自分の考えを伝え合う。】 思考を深 める授業 非合理的な 信念の低下 2 小数÷小数の計算の仕方に ついて理解する。 小数÷小数の筆算の仕方をまとめ る。 計算練習をする。 知識を押 さえる授 業 3 小数÷小数の筆算(商が純小 数や,被除数に0 を補う場 合)の仕方を理解し,その計 算ができる。 筆算の仕方を考え,計算練習をす る。 知識を定 着させる 授業 4 純小数でわると,商は被除数 より大きくなることを理解 する。 240 ÷ 1.2 と 240 ÷ 0.8 の 計 算 を し て,商と被除数の大きさを比べる。 知識を押 さえる授 業 5 小数の除法での余りの意味 を理解し,余りを求めること ができる。 あまりのある小数の計算のしかた について考え,説明する。 【ペアで自分の考えを伝え合う。】 思考を深 める授業 非合理的な 信念の低下 6 小数の除法で商を概数で求 めるときの処理の仕方を理 解する。 わりきれない小数の計算のしかた について考え,説明する。 【ペアで自分の考えを伝え合う。】 思考を深 める授業 非合理的な 信念の低下 7 数直線を用いた除法の演算 決定について理解を深める。 4.5m の重さが 0.9kg のホースにつ いて,ホース1m の重さ,及びホー ス1kg の長さを求める式を,数直 線を活用しながら考える。 知識を押 さえる授 業 8 学習内容を活用して,問題づ くりを通して,小数のわり算 について理解を深める 小数のわり算を使った問題づくり 【自分の考えた問題をグループで 発表し合う。】 【友だちの考えのよさに気付き認 め合う。】 思考を深 める授業 非合理的な 信念の低下 9 比較量,基準量が小数の場合 も,倍を求めるときは除法を 用いればよいことを理解す る。 比較量,基準量が小数の場合でも 倍を求めるには除法を使うことを まとめる。 知識を押 さえる授 業 10 倍を表す数が小数の場合も, 基準量を求めるときは□を 用いて乗法の式に表し,除法 を用いて□を求めればよい ことを理解する。 630gが基準量の1.8倍にあたると きの,基準量の求め方を考え,説 明する。 【自分と友だちの考えの違いにつ いて話し合う。】 思考を深 める授業 非合理的な 信念の低下 11 差による比較の他に,倍を使 っても比較できることを理 解する。 150÷120,1530÷1500 の計算を して,値段の上がり方を,倍を使 って比べる。 【自分と友だちの考えの違いにつ いて話し合う。】 思考を深 める授業 非合理的な 信念の低下 12 学習内容を適用して問題を 解決する。 数直線をつかった問題(発展) 【自分と友だちの考えの違いにつ いて話し合う。】 思考を深 める授業 非合理的な 信念の低下 金子・渡部:アサーショントレーニングに関する実践研究 581

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資料8 コミュニケーション活動を取り入れた対話的な授業の実施計画② 茨城大学教育学部紀要(教育科学)69 号(2019) 16 資料8 コミュニケーション活動を取り入れた対話的な授業の実施計画② 単元名 合同な図形 NO 目標 本時の内容 授業の場 面 トレーニン グのねらい 1 「合同」の意味について理解 する。 与えられた三角形,四角形と形も 大きさも同じ図形を見つける。 用語「合同」の意味を知る。 知識を押 さえる授 業 2 頂点,辺,角について「対応 する」の意味を知り,合同な 図形の性質について理解す る。 合同な四角形について考える。 【友だちの考えのよさに気付き認 め合う。】 思考を深 める授業 対人不安の 低下 3 平行四辺形やひし形,長方 形,正方形を対角線で分割し てできた三角形は合同であ ることを理解する。 台形や平行四辺形など,これまで 学習した四角形を1本の対角線で 分割すると,どのような三角形が できるか考える。 知識を押 さえる授 業 4 合同な三角形をかくのに,す べての構成要素を調べる必 要がないことを理解し,合同 な三角形をかくことができ る。 二辺夾角,二角夾辺,三辺のかき 方で合同な三角形をかく 合同な三角形の書き方を考える。 【友だちの考えのよさに気付き認 め合う。】 思考を深 める授業 対人不安の 低下 5 三角形の形と大きさが決ま る要素の違いをおさえ,合同 な平行四辺形のかき方を理 解する。 合同な三角形のかき方を基に,合 同な平行四辺形のかき方を考え る。 【友だちの考えのよさに気付き認 め合う。】 思考を深 める授業 対人不安の 低下 6 学習内容を適用して問題を 解決する。 学習内容を適用して,問題を解決 することができる。 知識を定 着する授 業

表 1 AT実施計画 金子・渡部:アサーショントレーニングに関する実践研究 7 表 1  AT 実施計画 NO             日時実習の内容 具体的な取り組み14月6日○学級開き   ・教師と子どもたちとの人間関係づくり 25月9日○事前調査   ・TK式コミュニケーション力を高めるワークを実施する。 ・質問紙を実施する。35月20日~6月8日○指導計画の作成 ・事前調査の結果を基にATプログラムと授業実施計画を作成 する。46月16日~7月4日○ATの実施(45分×7回)①  オリエンテーション

参照

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