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公正で持続可能な社会から,暮らしを考える

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Academic year: 2021

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要旨  地球温暖化は,その原因の一端をたどっていけば,私たちの「過度な消費と生産」に行きつく。故に, その解決のためには個々人として,まず ①「必要なのか,欲しいのか」を明らかにすること ②「現在・過去・未来という長い時間軸」を活用し,切実な自分事として受け止めること ③従来から持っていた見方・考え方に例えば「効率」と「公正」というような「概念的枠組みからの見 方・考え方」を重ね合わせ,的確な解釈の基に,批判的に思考・判断し,表現する力を身に着けること が重要であると考える。その上で,「公正で持続可能な社会」の形成を目指して,「経世済民」を念頭に, 民主的合意に基づき,誰かが不利益を被っていない社会,「将来世代の幸せを先取りしない(持続可能な) 社会」をキーワードに,骨太のスキームをしっかり確立することが求められているのである。 キーワード: 過度な消費と生産,公正で持続可能な社会,概念的枠組みからの「見方・考え方」, 経世済民,将来世代の幸せを先取りしない社会

Ⅰ.はじめに

 まず,数十年以上前にさかのぼり,筆者がある先輩 教師と交わした次の会話を読んでいただきたい。 先輩:「今日みたいに暑い日が続くと,つくづく 感じるんだよね。最近はどこにでもあるクーラー のこと。部屋は,冷えて快適だけど,外の室外機 のところに行ってみな。何かおかしくないかい。 やがて,東南アジアやアフリカなど赤道の国の 人々の生活も向上するぞ。そうしたら 1 年中使う かも。地球はいったいどうなるんだろうね。」 筆者:「涼しさと裏腹にクーラーは,熱風という 代償をやがて,地球中にまき散らすことになるん ですね。そして莫大な電気の消費も。何とか考え ないといけませんね。」  もちろん,先輩が,今日の地球温暖化をすでに看破 していたということを,申し述べたいのではない。この 話を取り上げたのは,筆者自身が,社会科の授業を創 造するに当たり,いつも念頭に置いている 3 つの重要な ファクターが,含まれているからなのである。それらは ● 身近な日常の中にさえ,常に「なぜ」「どうして」 「どのような」という多くの疑問を感じ,問題から 課題を見出し,探究していこうとする姿勢(心)を もち続けること ● 現代社会の様々な事象をとらえるための概念的枠組 みからのぶれない「見方・考え方」を確立し,思考 力・判断力・表現力を養うこと ● 与えられた情報などを鵜呑みにすることなく,多面 的・多角的に思考し,論理的な対応・結論を導き出 すこと を指しているのである。ここで取り上げているクー ラーを例にとれば,日常生活の中で快適な生活をもた らしてくれる便利な道具として肯定的に受け入れてし まえば,おそらく疑問は湧いてこないであろう。しか し,「普及が進めば,室外機からの熱風が,環境に何

公正で持続可能な社会から,

暮らしを考える

The Journal of Economic Education No.35, September, 2016

Thinking about Life in Terms of Fairness and Sustainability in a Society

Rikimaru, Takeshi

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らかの影響を及ぼすのでは? 大量の電力(資源)消 費が続くのでは?」というように問題を見出すことで, では,「どうするのがよいのか」という探究が開始さ れ,最終的には「こうすべき」という行動につながっ ていくことになる。その過程においては,ジェネリッ クスキルとしての批判的考察力が多面的・多角的思考 を促し,必ずや論理的な「これが最善」という選択が なされていくのである。その際 ⇒トレード・オフ 家電メーカーが次々と新製品を開発し,テレビ CM で,どんなにエコで快適な室内での暮らしを 宣伝しても,やはり熱風は,私たちの家,ビルの 屋上の室外機から出続けていくことになる。環境 にまったく負荷をかけないということはできない。 また,過度な涼しさ(快適さ)を追い求めること は,莫大なエネルギー消費と引き換えである。 ⇒資源の希少性・効率的な配分 エネルギー多消費型の生活スタイルは,資源が有 限であるのと同じように,いつまでも続けること はできない。我々はどのように資源を使っていく のかについて,選択を迫られている。 ⇒グローバル化 人,物,お金が世界中で移動している中,より良 い暮らしがしたい! というインセンティブに よって,地球規模で便利なもの・快適なものが急 速に普及していくという現象がおきている。 という概念的枠組みからのぶれない「見方・考え方」 が,思考力・判断力・表現力を的確にサポートするこ とになる。こうした 3 つのファクターを大切にして創 造した授業こそが,生徒に,一見,遠くにあるように 思える世の中のことを,社会科という教科を通じて, 他人事ではなく自分事として考え,判断し,表現する ことのできる学力を身に着けさせることになる。そし て,地球温暖化という大きなテーマでさえも,身近で, 切実な自身の課題として手元に引き寄せて,論理的に 考察することを可能とする。

Ⅱ.「持続可能な暮らしから社会へ」

 では,地球温暖化に対して「どうするのがよいの か」という探究を始めてみよう。  まず,次の①〜③をヒントに考えていきたい。 ①アメリカでは(家族の)人の数より,テレビの 数のほうが多い。 ②アメリカでは,一人あたりの衣料品購入額は, 1991 年から 2005 年で 2 倍になった。 ③アメリカでは,廃棄物は,1 日一人約 64㎏とい うびっくりする量に達している。[1]  生徒に,これらを伝えると,必ずといっていいほど 「アメリカと日本では,ライフスタイルが違います。」 「日本には,世界に誇る『MOTTAINAI』っていう言 葉もあるくらいですから。」という発言がある。そこ で,筆者は次のような発問をし , さらなる気づきを促 すことにしている。  「今すぐ,自分の周りを見直してみよう。固定電話 と携帯電話を合わせれば家族の数より多い電話機。ク ローゼットの中は何か似通った洋服の数々。ごみ置き 場には,昼食後に捨てられるコンビニ弁当のプラス チック容器の山。日本とは違うと思っているアメリカ のような出来事が,この日本でも,確実に起こってい るんだ。さらに,多くの製品が,わずか数か月単位で, モデルチェンジを繰り返し,広告に導かれるように購 入と廃棄を繰り返している。私たちもアメリカ同様に 過度な消費と生産のスパイラルの中にいることが自覚 できるはずだ。そう! 私たちは,とてつもない消費 と生産を,ずっと続けており,さらに,これからも続 けようとしているのではないだろうか。」  さて,このことを踏まえ,探究のさらなるステップ として,個人の生活のレベルにおいて,次の 2 点を考 えさせることにしている。 ●「必要なのか,欲しいのか」を考えること ● 自分の生活を「現在・過去・未来」という長い時間 軸で,捉え考えること  まず,①テレビの例を考えてみよう。購入する前に, 冷静になって「必要なのか,欲しいのかについてよく 考えて!」というフレーズが,いかに説得力があるか がわかるはずである。ところが,買い物の時「長い時 間軸で考えて!」といわれても,なかなか理解できな い生徒も多い。そこで,②服の例では,自分のおかれ た現在(必要な服はかなりそろっている),さらに過 去(10 年以上も多額の出費をしてきた)を顧みず, 欲しい服を買い続けていく未来(それでも欲しい〜) が,また③廃棄物の例では,1 日 64kg,10 日で 640㎏, 1 か月約 2,000kg,1 年では・・ということが,時間軸 をもってすれば,容易に見えてくる。そこから“え!

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どうして,こんな生活を続けてこれたの?”という違 和感を伴った驚きが生じて当然であろう。こうして時 間軸を活用して,批判的に考えながら,現在を中心に, 過去から未来へと繋げてみると,日常の暮らしぶりか ら地球温暖化に至るちょっとしたストーリーや背景が 描き出されてくる。そこから, ● 自分自身をコントロール(過度な消費に陥っていな いかを常に見直す)し,見通しを持って生活するこ と ● 環境への影響を少なくする方法を考え,負荷の少な い商品やサービスを選ぶこと ● 消費者,生活者として,グローバルな視点から他者 (特に,社会的弱者である子供,障がいのある方, 高齢者など)への,また,環境問題や資源問題への 配慮を形にし,ライフスタイルを工夫し主体的に行 動すること ● そのためには社会的コストを引き受けることも覚悟 すること etc. といった具体的な「こうすべき」私たちの姿が見えて くるのである。  そして,このような「ライフスタイルや行動」が継 続的に積みあがっていくことにより,その変化は,ま ず,個々人・地域などのローカルな中に浸透していく ことになるであろう。しかし,私たちが目指すべきは, 「持続可能な暮らしから社会へ」のグローバルな,す なわち地球規模での展開なのである。そのためには, 電球を LED 電球に換えること,古いエアコンをイン バーターに換えることだけではない。1 人 1 人が,批 判的に思考し,発信し,社会的な自己実現や意思決定 を可能とするよりアクティブな市民として,考え方・ 生活・行動のすべてを再構築することも求められてい るのである。すなわち,地球温暖化の解決に関わりた いと考えている個人は,市民として民主主義のルール にのっとり,「どのような社会を目指すのか」という 政策の議論に積極的に参加し,行動を開始しなければ ならないのである。その結果として「将来世代にわ たって地球上の誰もが,公正かつ思いやりにあふれ, 自然や環境と調和しつつ成長を続ける社会」が,実現 されるなら,例えば,環境問題としての砂漠化やその 進行に伴う飢餓,社会問題としての格差による貧困な どの解決を目指す「公正で持続可能な社会」が形作ら れていくことになるのだから。[2]

Ⅲ.2 つの取り組みから思考力・判断力・

表現力を育てる

 次に前述の内容を具体的に補完するため, 1 概念的枠組みからの見方・考え方を育てる 2 社会の在り方について思考・判断・表現する ということについて,いくつかの例をあげて論述した い。   1 概念的枠組みからの見方・考え方を育てる 「限りある地球の資源を最大限有効に活用しよ う」「経済的な選択」「効率的な資源配分」とい う概念的枠組みから捉える  さて,買い物をする時,「こっちの方が経済的だよ ね。」という言葉を,思わず口にしたことはないだろ うか。その時,私たちは“経済的”ということばを, 限られたお金の中で,価格はもちろん機能などをも比 較して,より活用しやすいものを選ぶという意味で 使っているのである。実は,このことは,希少性や選 択などの基本的経済概念から形成される「限りある資 源を最大限有効に活用する。」という枠組みから見て 考えて,買い物を行っていることに他ならないのであ る。つまり,日常生活における“経済的”な買い物は, “経済的”な枠組みからの“経済的”な選択に基づく 意思決定なのである。  こうして,日常生活で何気なく行っている選択や意 思決定を,概念的枠組みからとらえ直すことで,従来 の「見方・考え方」に新たな枠組みを取り込むことが 可能となる。例えば金融・経済教育の弊害として損か 得かということばかりを考えるような生徒を育てるこ とにはならないか,といわれることがあるが,損か得 かということも,実は費用と便益(コストとベネ フィット)という重要な原則から見て考えて,最少の 費用で最大の便益を得ようとする意思決定であり,ま た,お金を前にして,欲しいものを買うか貯金をする かという惑いも,今の満足と将来の利息というがまん 料のどちらを取るかという時間軸を意識したトレー ド・オフの選択や,効率的な配分,ひいては機会費用 をも考えることにつながっているのである。このよう に,従来から持っていた枠組みに,さらに基本的(経 済)概念を基に形成された概念的枠組みを重ね合わせ, 見て考える「見方・考え方」を自身の中に新たに取り 込むことができれば,より的確な解釈ができるように なる。さて,そこで , このことを踏まえ,さらに,実

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践例として,「電力(資源)問題ついて考える」とい う学習について述べてみたい。  このテーマを取り上げると,真っ先に , 生徒・先生 を問わず,誰もが「節電をしよう!」というメッセー ジを,思い浮かべるのではないだろうか。なぜなら, 家庭や学校,企業,さらに,日本社会全体が,従来か ら共有していた「やり繰り・節約」さら「MOTTAI NAI」という枠組みからの発想であるといえるからで ある。  一方,グローバルな視点に立った「限りある地球の 資源を最大限有効に活用しよう」というメッセージは, 「経済的な選択」「効率的な資源配分」という概念的枠 組みからのものであり,生徒には,習得されてない 「見方・考え方」であるといえる。そこで,従来から 生徒が獲得していた「やり繰り・節約」という枠組に, このような新たな概念的枠組みを重ね合わせることで, 的確な解釈の基に,問題の本質に迫り,そこから課題 を見出し解決への糸口を探り出そうとする思考力・判 断力・表現力を育てることができるのである。  次に,具体的メソッドとして,課題解決を図るため の思考のステップを提案したい。 ① 「どのような姿を目指すのか」-課題解決後に, 達成される暮らしの姿をイメージする。 ② 「現状と達成すべき姿のギャップから問題を洗 い出し,課題を明らかにする」-現状を分析し, 問題点を列挙し,その解決のための課題の明確 化,焦点化を図る。 ③ 「いくつかの進め方を考える」-課題解決に至 る筋道をあげる。 ④ 「何を根拠に考えるのか」-解いていく過程に おいて,思考・判断の根拠となる概念,概念的 枠組みを定める。(③と④は併せて行う) ⑤ 「最適なプロセスとは……」「効率」と「公正」 などを判断基準として,最適なプロセスを選択 し,達成されるべき暮らしの姿を実現しようと する。 ● 達成すべき暮らしの姿をイメージする。その際「エ ネルギー多消費型の生活スタイルから脱却する」な どという明確な目標を掲げてスタートすべきである。 そこから,将来の自分たちの暮らしの姿を想像する ことで,どのような社会を目指すのか,また,これ からの幸福とは・・という新しい価値観の創造とい うきわめて,核心的テーマをも考えさせることがで きる。 ● 電力(資源)問題において,「限りある資源をどの ように最大限有効に活用し,さらに配分していく か。」という経済的な選択や効率的配分,「資源を, どこか(の国)がより多く使えば,他(の国)はよ り少なくしか配分されない。」というトレード・オ フの関係などから分析し,捉えることで課題の明確 化,焦点化を図る。 ● さらに,いくつかの丁寧なプロセスを例示し,どの ような概念,概念的枠組みを根拠に思考するかを明 確にする。さらに,「効率」と「公正」というよう な判断基準に従い社会にとって最良のプロセスを選 択し,課題の解決を通して,新しい社会の実現や価 値の創造を目指す。  これらのステップにおいて,最も重要なことは「何 を根拠に考え,判断するか」ということである。電力 (資源)問題について考える場合も,トレード・オフ の関係は妥当か,選択の結果は妥当かなどの検証を常 に積み重ね必要がある。  2 社会の在り方について思考・判断・表現する1) 「経世済民」「将来世代の幸せを先取りしない」と いう枠組みから考える [図 1](筆者作成) A 国では,パソコンを購入し,仕事に活用してい る人は,年収 1000 万円で,資金がなく , タイプラ イターのまま仕事を続けている人の年収は,200 万円です。 一方 B 国は,国を挙げて,資金援助,技術訓練な どを行い,パソコンの普及を推進し,技術革新に 成功した国です。  「あなたは,どちらの国に住みたい?」この問いに, ある男子生徒は,「A 国に住みたい。資金がなく技術

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革新について行けないことが原因。世の中には,勝ち 組と負け組があるのは,しかたないです。」と格差を 是認する発言を,また,ある女子のように「私は,B 国。特に成功しなくてもいいの。失敗したら大変。」 とリスクを回避する発言が……。授業は,喧々がくが くの展開を迎える。そこで,カメラのフィルム(巻き 取った筒状の物)を見せ,「なんだかわかる?」と, 筆者が質問すると,ほとんどの生徒がわからない様子 で,中には,「新しい電池!」など言うものが出てく る。「カメラのフィルムだよ。」と伝えると,何となく わかるような,わからないような反応を示す(デジカ メが普及して,より,フィルムを見かけなくなってい る)。このようなことが,実は技術革新の 1 つの姿な のである。「もし,A 国で君たちが,フィルム会社の 社員で,デジカメが普及していったら,一大危機だね。 年収 200 万円ということになるのかなぁ〜」と話すと, ちょっと揺さぶられる生徒が出てくる。さらに「世の 中には,自分ではどうしようもないことが,起こるこ とがあるんだよ。実際にこういった技術革新で,置き 去りになってしまう人々,それに伴って消えていく職 業……また個人的にも,病気や老齢など様々な事が待 ち構えているんだよ。」「さぁ〜て,ここからが大事!  これらのことから,人々を救うことこそが経済の本来 の使命なんだ。経済とは,世を経(おさ)め,民を済 (すく)う,という意味だ。」「そこで A 国では,みん なが平等に参加し,議論を重ね,公正な手続きを経て, お金持ちから税金をたくさん取って,所得の少ない 人々に分け与えて,社会の公平をはかることに合意し たんだ。」と締めくくると,大きくうなずく生徒が出 てくる。経済っておかね儲けと考えていた生徒たちが, その思いを大きく変えていく瞬間である。  さて,これからの日本は,世界に類の無い速さで進 む少子高齢社会において,将来世代の喜びを先取りし ない持続可能な社会の形成のために,たとえば,税金 や,社会保障制度をどのようにしていくかという議論 を進めていかなければならない。それは,国の形に関 わるものとなるであろう。当然,対立が生まれ,なか なか合意に至らないということが,起こる。その時に, 大事なことは,経世済民を念頭に,誰もが喜び得る国 を築くために,全ての人が成りたちうる社会,誰かが 不利益を被っていない社会をめざして,政策を含めた 骨太の枠組みを,しっかり確立することなのである。

Ⅳ.終わりに

 社会科の教師である私が,授業で「持続可能な社 会って?どのようなイメージかな」と問うと,ほとん どすべてといっていいほどの生徒から「リサイクルを 進め,資源を無駄使いしない地球にやさしい社会!」 「再生可能エネルギーを普及させ,CO2の排出を減ら して,温暖化を防止する社会!」などという環境に関 する自信満々の答えが返ってくる。ところが,「おま けして,半分だけ正解!」と言うと,自信があっただ けに,筆者の意外な応えに一瞬戸惑ったような表情を 向け,「じゃ先生,もう半分は,どんなこと?」と勇 んで問い返してくる。さて,筆者は,ここでおもむろ に,しかし,ためらうことなく「それは,将来の世代 の人々,つまりあなたたちやその子や孫,さらに続く 人々の幸せを先取りしない社会でもあるんだ。」と, 告げるのである。実は,筆者も何を隠そう,つい数年 前までは,「まず,環境問題に答えを出そうとする社 会だね。」と,語っていたものである。それが,ある 日を境に大きく変わった。きっかけは,ふと見かけた パンフレット。そこにあった“持続可能な社会4 4 4 4 4 4 4とは, ずうっと幸せな暮らし4 4 4 4 4 4 4 4 4 4を続けていける社会,それは, 将来世代の幸せを先取りしないこと!”という文で あった。まさに目から鱗。「そうか,ずっと続けてい ける社会。そのためには,すべてにおいて,子や孫の 幸せを取り崩してしまうようなことはしない!」新た な暮らしの姿を垣間見たようであった。  いよいよ選挙権が,18 歳の若者に与えられる。こ れを機に,将来世代の幸せを先取りせず,誰にも,思 いやりにあふれる制度や仕組みを築き,自然や環境と 調和しつつ成長を続ける“公正で持続可能な社会”を つくり出すため,日々の暮らしについて,家庭で,学 校で,地域で,日本中で,老若男女で,考え,話し合 い,その姿を明らかにしていくことこそが,今,求め られているのではないだろうか。 註 1) 本節は,『第 11 回金融教育に関する小論文・実践報告コ ンクール』(主催 金融広報中央委員会)の小論文部門 優 秀賞受賞作品(筆者執筆)の一部を転載した。 参考文献 [1] アル・ゴア『私たちの選択』ランダムハウス講談社, 2009 年. [2] 伊藤隆・川上和久ほか 23 名 新編『新しいみんなの公民』 育鵬社,2015 年,pp.204-205.

参照

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