光学顕微鏡概論
京都大学大学院生命科学研究科
生命科学特論E
2010年4月27日
オリンパス株式会社
ライフサイエンス国内営業部教育研修グループ
田中隆明
目次
光学顕微鏡とは
基本機能・構造
種類
光学顕微鏡の原理
レンズによる結像
顕微鏡の能力
対物レンズ
レンズの収差
対物レンズの種類
油浸対物レンズと水浸対物レンズ
各種観察法
蛍光法
位相差法
微分干渉法
参考文献「ビデオ顕微鏡
共立出版」
参考文献「ビデオ顕微鏡
共立出版」
3 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
光学顕微鏡とは
光学顕微鏡とは
顕微鏡の基本機能
1.倍率
見やすい大きさで見える
2.分解能
見たい部分が十分に精細に見える
3.コントラスト
見たいもの、見つけたいものが明暗や色ではっきり見える
5 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
倍率
見やすい大きさで見える
千円札
分解能
見たい部分が十分に精細に見える
珪藻標本
7 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
分解能
見たい部分が十分に精細に見える
コントラスト
見たいもの、見つけたいものが明暗や色ではっきり見える
9 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
コントラスト
見たいもの、見つけたいものが明暗や色ではっきり見える
コントラスト
見たいもの、見つけたいものが明暗や色ではっきり見える
11 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
顕微鏡の基本構造
1.試料の拡大像を結像させる構造
結像位置、結像倍率を所定の値にする
視野絞り⇒試料面⇒中間像(1次像)⇒網膜(ヒトの眼)
が共役関係
2.試料の像にコントラストをつける構造
瞳の結像関係を使いて光変調を行い、像に明暗や色のコントラストを
つける
光源⇒開口絞り(コンデンサ瞳)⇒対物瞳⇒アイポイント
が共役関係
共役関係とは
レンズを介して物体と像との
関係になっていること
共役関係
とは
レンズを介して物体と像との
関係になっていること
顕微鏡の基本構造
アイポイント
<眼の瞳位置
>
13 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
用途による分類・・・観察対象
生物顕微鏡、金属顕微鏡、実体顕微鏡、測定顕微鏡
(レーザー顕微鏡、電子顕微鏡・・・)
形による分類・・・標本に合わせた形
正立型顕微鏡、倒立型顕微鏡
観察法による分類・・・観察・検出する方法
明視野、暗視野、位相差、微分干渉、
(偏光、蛍光、レリーフコントラスト、
分散染色)
顕微鏡の種類
用途による分類
生物顕微鏡
プレパラート標本や培養容器中の試料観察
標本を光が透過する
15 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
半導体検査用顕微鏡
用途による分類
金属顕微鏡
金属や半導体、ICなど不透明な試料観察
標本で光が反射する
用途による分類
実体顕微鏡
17 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
左右別の光軸があり、
内向きの角度がつけ
てあるので立体視で
きる
ガリレオタイプ
グリノータイプ
用途による分類
実体顕微鏡
用途による分類
測定顕微鏡
試料をXY座標上で計測する
測長機構
座標表示
x y z
19 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
形による分類
正立型顕微鏡
生物用
金属用
21 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
1.25x
1.25x
2x
4x
10x
20x
40x
100x
明視野観察:染色した組織切片
23 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
アオミドロ
アスベスト小体
25 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
NG108細胞
コンゴーレッド染色
簡易偏光観察
腎臓血管
27 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
関節液中の尿酸ナトリウム:鋭敏色観察
核、微小管、アクチン繊維
29 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
ICSI(
Intracytoplasmic
sperm injection)
卵細胞質内精子注入法
建材成分中のクリソタイル(蛇紋岩系)
浸液1.55の分散色
31 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
光学顕微鏡の原理
光学顕微鏡の原理
光学原理:眼の識別能力
眼による結像
網膜への投影
眼の2点識別能力
視細胞の大きさに依存する
250mm:明視距離
33 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
光学原理:レンズによる結像
実像の結像
虚像の結像
(網膜上には実像)
光学原理:レンズによる結像
試料
中間像(1次像)
虚像
網膜上の実像
35 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
参考:無限遠補正光学系とは
光学原理:顕微鏡の能力
分解能
標本上で分解して見える2点間の最小寸法
対物レンズの開口数と波長で決まる
倍率
対物レンズの倍率、接眼レンズの倍率、撮影レンズの倍率がある
コントラスト
開口絞りの開度で決まる、観察法で決まる
焦点深度
開口数、倍率、眼の分解能で決まる
像の明るさ
開口数と倍率で決まる
37 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
光学原理:開口数numerical aperture
乾燥系対物レンズ
油浸系対物レンズ
乾燥系対物レンズの開口数
NA=sinα
実用最大:0.95
液浸系対物レンズの開口数
NA=nsinβ
実用最大:1.49
n:浸液の屈折率
オイル:1.516
水
:1.33
光学原理:分解能resolving power
分解能δ=0.61λ/NA
分解能δ=0.61λ/NA
開口数と波長にのみ依存する
39 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
光学原理:回折像
1光点の回折像
エアリーの円盤(disk)
全光量の84%
直径=1.22λ/NA
回折像の強度分布曲線
直径
光学原理:2光点の回折像
「ビデオ顕微鏡:共立出版」
2光点を2光点像と識別
できる
2光点像と完全に識別
できる
41 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
光学原理:Rayleighの分解能
くびれ
レーレー(Rayleigh)の分解能
δ=0.61λ/NA
レーレー(Rayleigh)の分解能
δ=0.61λ/NA
<条件)
2光点の強度が等しい
2光点の光線がインコヒー
レントである
くびれを考慮すると、
0,61⇒0.5としてよい
この間隔に対応す
る物体側の距離
対物レンズ+撮影レンズによる
CCD上への結像倍率:M
CCD面
δ
⊿
⊿=Mxδ
参考:CCDの画素サイズと分解能
43 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
光軸
CCD面
⊿
1画素を⊿と同じとすると2点分
解できない場合がある
1画素は⊿の1/2以下が
必要
参考:CCDの画素サイズと分解能
光学原理:有効倍率
500NA<M
E
<1000NA
M
E
:有効な倍率(対物倍率×接眼倍率)
NA:対物開口数
開口数と倍率の関係
1000NA以上の倍率をばか倍率、
または無効倍率と呼ぶ
開口数と倍率の関係
1000NA以上の倍率をばか倍率、
または無効倍率と呼ぶ
45 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
光学原理:横倍率と縦倍率
縦倍率は、横倍率の2乗
⇒空気中かつ横倍率が1以外のとき、物体と像とは相似にならない
拡大光学系
X
X’
Z
Z’
球の像は長楕円体
球の像は長楕円体
2
β
=
縦倍率α
横倍率β=
n
n
Z
Z
'
'
X
X'
=
n
n’
一般に「倍率」とは横倍率を言う
一般に「倍率」とは横倍率を言う
光学原理:横倍率と縦倍率
縦倍率は、横倍率の2乗
⇒横倍率が1以外のとき、物体と像とは相似にならない
2
β
=
縦倍率α
横倍率β=
n
n
Z
Z
'
'
X
X'
=
X
X’
Z
Z’
球の像は長楕円体
球の像は長楕円体
縮小光学系
n
n’
47 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
光学原理:コントラスト・・・照明の条件による違い
a 開口絞り全開
b 開口絞り80%
c 開口絞り最小
aは分解能は良いが、コントラストが悪い
bは分解能とコントラストのバランスがよい
cはコントラスとは良いが分解能が悪い
aは分解能は良いが、コントラストが悪い
bは分解能とコントラストのバランスがよい
cはコントラスとは良いが分解能が悪い
注)
%は対物開口数に対する照明開口数の割合
光学原理:焦点深度
焦点深度
開口数、倍率、眼の分解能で決まる
開口数、倍率の反比例する
・開口数が大・・・焦点深度
小
・高倍率ほど・・・焦点深度
小
49 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
光学原理:焦点深度
対物20X
NA0.30
NA0.50
アカガシ切片
同じ倍率でもNAが違うと焦点深度は違う
光学原理:像の明るさ
像の明るさ・・・開口数と倍率で決まる
一般に、開口数の自乗に比例し、倍率の自乗に反比例する
落射蛍光顕微鏡の像の明るさは
開口数の4乗に比例、倍率の自乗に逆比例
落射蛍光顕微鏡の像の明るさは
開口数の4乗に比例、倍率の自乗に逆比例
対物40X
NA0.75
NA1.0
Ptk2細胞
51 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
光学原理:像の明るさ
対物40X
NA0.75
NA0.50
マウス腎臓切片
同じ倍率でもNAが違うと明るさが違う
対物レンズ
対物レンズ
53 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
対物レンズ
レンズの収差
幾何光学的光線収差
アッベの5収差と2つの色収差
計
7収差
(波面収差)
対物レンズの種類
対物レンズの表示
収差による分類
観察法による分類
付属機構・・・補正環
絞り
油浸対物レンズと水浸対物レンズ
特徴と用途
対物レンズの収差:球面収差
レンズの光軸に近い光線と光軸から離れた光線が、1点に集光しない
<球面収差による像の悪化>
・補正環対物レンズの調整不足
・液浸対物レンズの浸液間違い
・カバーガラス厚条件の間違い
<球面収差による像の悪化>
・補正環対物レンズの調整不足
・液浸対物レンズの浸液間違い
・カバーガラス厚条件の間違い
55 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
球面収差:液浸対物レンズの浸液間違い
油浸レンズをドライで使用
球面収差:液浸対物レンズの浸液間違い
油浸レンズをドライで使用
57 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
対物レンズ:色収差
軸上色収差
波長ごとに焦点位置が異なる現象
倍率色収差
波長ごとに倍率が異なる現象
屈折率が波長によって
異なることによる現象
屈折率
大⇒屈折角
大
屈折率が波長によって
異なることによる現象
屈折率
大⇒屈折角
大
n
紫
>n
緑
>n
赤
n
紫
>n
緑
>n
赤
ガラスプリズム
白色光線
入射
対物レンズ:色収差
色収差補正不足
コントラストの境界に
59 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
色収差:ガラス表・・・基準波長の屈折率とアッベ数
nd:λ587.56nmの屈折率
nF:λ486.13nmの屈折率
nC:λ656.27nmの屈折率
アッベ数
)
(
)
1
(
C
F
d
d
n
n
n
−
−
=
υ
屈折率と分散
n
d
大
n
d
小
ν
d
小
ν
d
大
n
d
は同じ
61 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
軸上色収差とその補正原理:光学ガラスの特性
色収差の例
-0.5
0
0.5
1.0
400
500
600
700
800
900
1000
波長(nm)
焦点面
(μm)
焦点深度
スーパーアポクロマート
100×
アポクロマート100×
63 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
対物レンズの表示
名称
倍率
浸液
オイル:Oil
水:W
グリセリン:Gly
多重:Imm、MI
絞り付
カバーガラス厚
UPlanApo
100x/1.35 Oil
Iris
∞/0.17
カラーリングコード(倍率)
カラーリングコード(浸液)
鏡筒長:無限遠
開口数
同焦点距離、作動距離(WD)
同焦点距離
(
胴付き面~試料面)
45mm
胴付き面
試料面
作動距離
65 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
67 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
付属機構による分類
絞り付き
補正環付き
補正環付き対物レンズの像
対物40x:蛍光
補正不十分
(球面収差)
補正環付き:
高NA乾燥系対物、培養用対物、
高NA水浸対物に付属
補正環付き:
高NA乾燥系対物、培養用対物、
高NA水浸対物に付属
69 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
絞り付き対物レンズの像
適正に調整
対物100x:蛍光
絞り付き:高NA対物に付属
絞り付き:高NA対物に付属
対物レンズ
カバーガラス厚条件
対物レンズ先端(先玉)レンズと試料との間にあるものは、対物レンズの
一部と同じ⇒レンズの指定条件から外れると球面収差が発生
対物レンズ先端部
カバーガラス用対物
表示:「0.17」「-」
ノーカバー用対物
表示「0」「-」
空気または浸液
71 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
対物レンズ:油浸レンズと水浸レンズ
油浸対物レンズ
対物先端とカバーガラスの間を、指定のイマージョンオイルで満たす
⇒
カバーガラス直下の標本にピントを合せた時、最高の分解能・コントラ
ストで観察できる
水浸対物レンズ
浸液が水である
⇒
カバーガラス・タイプとノーカバータイプの2種類ある
ノーカバー対物
カバー対物
油浸対物
水浸対物
対物かぶつかる範囲ま
で良好な像が見える
対物かぶつかる範囲ま
で良好な像が見える
30~40μm以上
対物レンズ:油浸レンズと水浸レンズ
油浸オイル
水
生細胞
と
培養液
カバーガラス直下が最も
よく見える
カバーガラス直下が最も
よく見える
73 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
油浸対物
水浸対物
対物レンズ:油浸レンズと水浸レンズ
球面収差が発生
球面収差が発生
球面収差なし
球面収差なし
75 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
各種観察法
各種観察法
各種観察法
3つの特徴
蛍光顕微鏡
:蛍光色素、蛍光たんぱく質の蛍光で試料を観察する
⇒蛍光の発光を利用
位相差顕微鏡
:無染色(透明)試料の形態を、濃淡のコントラスト(位相差コントラスト)
で観察する
⇒直進光と±1次回折光の干渉を利用
微分干渉顕微鏡
:無染色(透明)試料の形態を、立体的なコントラストで観察する
⇒偏光2光束シアリング干渉を利用
77 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
各種観察法の特徴
微分干渉観察
位相差観察
明視野観察
蛍光観察
倒立顕顕微鏡の構成
蛍光用高輝度ランプハウス
透過用
ハロゲンランプハウス
蛍光用投光管
対物レンズ
接眼レンズ
蛍光フィルタ
コンデンサ
79 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
蛍光顕微鏡
蛍光顕微鏡
項目
蛍光顕微鏡の特徴
蛍光顕微鏡の構成
蛍光観察の原理
励起法の種類
蛍光フィルタ
蛍光用対物レンズ
光源
81 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
蛍光顕微鏡の特徴
・
高感度で検出力が高い
特異性が高い検出が可能
検出対象が分解能以下の大きさでも検出可能~たんぱく質1個も可
・
発光、消光の時間分解能が高い
・
定量的な分析にも応用できる・・・細胞内イオン濃度測定など
蛍光の明るさの変化、色(波長)の変化を検出できる
・
複数の対象を同時に検出・可視化できる
多重染色で観察できる
蛍光顕顕微鏡の構成
蛍光用高輝度ランプハウス
透過用
ハロゲンランプハウス
蛍光用投光管
蛍光用対物レンズ
接眼レンズ
蛍光フィルタ
コンデンサ
蛍光フィルタ
83 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
蛍光顕微鏡の構成
高輝度光源
蛍光フィルタ
蛍光観察の原理:蛍光とは
発蛍光には、光の吸収が必要:
absorption ⇒
emission
励起光照射後すぐに発光し、照射を止めるとすぐに消光する
蛍光は励起光より波長が長い
非常に微弱な光(励起光の強度の 約
)
褪色または消光する
紫外線によって生ずる自家蛍光に対する注意が必要である
励起状態
基底状態
励起光
蛍光
1光子励起のモデル図
10
−
6
85 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
Alexa Fluor 488
λ
EX
:
495nm
λ
EM:
519nm
蛍光色素の特性の例
Fluorescence
Emission
Absorption
(Excitation)
蛍光観察の原理:フィルタ暗視野法
励起波長と蛍光波長の違いを利用
励起波長と蛍光波長の違いを利用
励起フィルタ
吸収フィルタ
励起光
蛍光
励起フィルタ:
照明光から励起光の波長のみ
透過
吸収フィルタ:
蛍光の波長のみ透過
励起光は反射
光源
87 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
励起法の種類
・励起光の波長帯域(色)によって大まかに呼び分ける
呼び名
励起波長帯
U励起
紫外線
V励起
紫色
BV励起
青紫色
B励起
青色
G励起
緑色
Y励起
黄色
・励起波長帯の幅で3つの呼び名がある
呼び名
記号
狭帯域:
N
arrow band
W
広帯域:
W
ide band
N
超広帯域:
S
uper
w
ide band
SW
励起法は蛍光フィルタ
(励起フィルタ、吸収フィルタ)
で組合せで決まる
励起法は蛍光フィルタ
(励起フィルタ、吸収フィルタ)
で組合せで決まる
89 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
WU
NU
V
WBV
NBV
SWB
WB
NB
WIB
NIB
SWG
WG
NG
WIG
WIY
NUA
WIBA
NIBA
400
500
600
nm
励起波長帯と観察波長帯の例
蛍光フィルタの働き
吸収フィルタ
:蛍光を透過、励起光を反射
ダイクロイックミラー
:励起光を反射、蛍光を透過
励起光が僅かに漏洩
励起フィルタ
:励起光のみ透過
光源側
対物、標本側
観察側
91 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
蛍光フィルタの波長特性図例:広帯域U励起
励起フィルタ「BP-330-385」の特性
吸収フィルタ「BA420」の特性
ダイクロイックミラー「DM400」の特性
注)フィルタの呼称はメーカーにより異なる
波長
透過率
蛍光色素、蛍光たんぱく質の
光学特性との適合性チェック
に利用する。
蛍光色素、蛍光たんぱく質の
光学特性との適合性チェック
に利用する。
励起法の例
1
細胞の核をDAPIで染めてU励起観察
400
500
600
nm
93 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
励起法の例
2
400
500
600
nm
B励起フィルタを使用
励起波長:495nm 蛍光波長:519nm
細胞の微小管をAlexa488で染めてB励起観察
励起法の例
3
細胞のアクチンをロダミンで染めてG励起観察
400
500
600
nm
励起波長:550nm 蛍光波長:580nm
(
(Rhodamine Phalloidin)
95 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
励起法の例
4
細胞の核をPIで、微小管をAlexa488で染めてB励起観察
400
500
600
nm
B励起フィルタを使用
PI
Alexa488
励起:495nm
蛍光:519nm
励起:530nm
蛍光:615nm
蛍光用対物レンズ
・色収差はセミアポクロマート、アポクロ
マート級以上
・・・色が画像の重要な要素
・高開口数
・・・明るい像の条件
・・・油浸対物レンズと水浸対物レンズ
の使い分け
・広い波長帯で透過率が高い
・・・適用する励起波長、蛍光波長の波
長帯が広い
・(レンズ自体の)自家蛍光が少ない
・・・よいコントラストの条件
97 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
蛍光顕微鏡用光源
一般的に水銀ランプ、
一部キセノンランプ、
99 2010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
位相差顕微鏡
位相差顕微鏡
項目
位相差顕微鏡の特徴
位相差顕微鏡の構成
位相差観察の原理
1012010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
位相差顕微鏡の特徴
無染色標本の観察
・・・細胞の観察
厚い試料の観察には向かない
・・・数μm以上になるとハローが強くなる
薄い試料の形態観察で検出感度が高い
位相差像
微分干渉像
ハロー
上皮細胞
位相差顕顕微鏡の構成
蛍光用高輝度ランプハウス
透過用
ハロゲンランプハウス
蛍光用投光管
位相差対物レンズ
接眼レンズ
蛍光フィルタ
位相差コンデンサ
ユニバーサルコンデンサ
1032010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
位相差顕顕微鏡の構成
リングスリット切換え用
ターレット
位相差観察の原理
原理図
ユニバーサルコンデンサ
位相差コンデンサ
位相差対物レンズ
位相板
リングスリット
観察側
照明側
試料面
1052010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
位相差観察の原理
位相差
コンデンサ
位相差
対物レンズ
位相板
試料
中間像位置
リングスリット
細胞
照明光がリングスリットに入射する
リング状の2次光源から照明
光が標本を照明する
細胞を通過する際に、±1次回
折 光 と 直 進 光 と に 分か れ る。
±1次回折光は直進光より位相
が1/4波長遅れる。
直進光はフェーズプレートで位相が
変わり、±1次回折光と1/2波
長の位相ずれとなる。
3本の光線が、中間像位置で
干渉し、像に明暗のコントラストが
つく
位相差観察の原理
ポジティブ(ダーク)コントラスト
直進光と回折光の位相差が1/2波長
(逆位相)の場合、像の輝度は低くなり、
明るい視野に試料のコントラストが黒く見
える
⇒主に形態観察用
ネガティブ(ブライトコントラスト)
直進光と回折光の位相差が同位相の
場合、像の輝度は高くなり、暗い視野に
試料のコントラストが明るく見える
⇒主に試料の計数用
気中アスベスト
(グリーンフィルタ使用)
1072010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
参考:コントラストの呼び名と特性
ポジティブ
PLL
PL
PM
PH・・・オリンパス
DLL
DL
DM
DH・・・ニコン
ネガティブ
NLL
NL
NM
NH・・・オリンパス
BLL
BL
BM
BH・・・ニコン
コントラスト
弱い
強い
ハロー
弱い
強い
厚い(太い)試料向き
薄い(細い)試料向き
形態観察向き
計数向き
微分干渉顕微鏡
微分干渉顕微鏡
1092010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
項目
微分干渉顕微鏡の特徴
微分干渉顕微鏡の構成
微分干渉観察の原理
シアリング量と分解能、コントラスト(立体感)
コントラストの方向性
微分干渉顕微鏡の特徴
無染色標本の観察
・・・細胞~プランクトン
位相差でハローの強い厚い試料も観察で
きる
位相勾配の検出感度が高い
試料自体に光学的異方性があると本来
のコントラストで観察できない
線虫
上皮細胞
培養細胞
1112010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
微分干渉顕顕微鏡の構成
蛍光用高輝度ランプハウス
透過用
ハロゲンランプハウス
蛍光用投光管
微分干渉対物レンズ
接眼レンズ
微分干渉プリズム
ユニバーサルコンデンサ
微分干渉プリズム素子
ポラライザ
アナライザ
微分干渉顕顕微鏡の構成
ユニバーサルコンデンサ
ポラライザ
微分干渉プリズム素子
切換え用ターレット
1132010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
微分干渉顕顕微鏡の構成
微分干渉プリズム
スライダ
微分干渉観察の原理
ユニバーサルコンデンサ
微分干渉用
対物レンズ
アナライザ
微分干渉プリズ素子
微分干渉プリズム
微分干渉スライダ
ポラライザ
観察側
照明側
試料面
原理図
1152010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
微分干渉観察の原理
微分干渉
スライダ
ユニバーサ
コンデンサ
微分干渉用
対物レンズ
微 分 干 渉 フ ゚ リ ス ゙ ム
素子
ポラライザ
アナライザ
対 物 側 微 分 干 渉
プリズム
試料
中間像位置
細胞
直線偏光にする
振動方向が直交する2本
の直線偏光に分ける
細胞を通過する際に、2
本 の 光線に位相差が生
ずる
位相差のある光線を1本にあ
わせる(楕円偏光になる)
位相差に応じた干渉効果
により、像に明暗や色の
コントラストが付く
シア量
微分干渉観察の原理
シア量:
大きい
⇒
コントラスト大、分解能
低
小さい
⇒
コントラスト小、分解能
高
位相勾配が小さい(薄い)試料
⇒
シア量
大が適する:
高コントラストプリズム
1172010/4/16 No data copy / No data transfer permitted
微分干渉観察の原理:シア量とコントラスト
標準シア量
シア量
小
微分干渉観察の原理:シア量とコントラスト
標準シア量
シア量
大
1192010/4/16 No data copy / No data transfer permitted