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日本内科学会雑誌第104巻第10号

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Academic year: 2021

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はじめに:

一般内科診療におけるSLE診断の意義

 膠原病一般について,治療は経験者に任せる のがよいであろうが,診断は,強皮症と筋炎に わかりやすい特徴があり,全身性エリテマトー デス(systemic lupus erythematosus:SLE)に有 用な分類基準があるので,プライマリ・ケアの 範疇と思える.事実,筆者らが診療する膠原病 のほとんどは,前医が診断ないし推定した紹介 例である.問題は逆のことにあり,膠原病を“除 外”するのは疑うよりも難しいので,一般内科 の守備範囲である日常感染症が,しばしば膠原 病疑いとされる.当科への紹介不明熱の多くは 細菌感染症,次いで悪性リンパ腫,残りが血管 炎,Still病,ウイルス性を含む非定型病態,希 少疾患である.SLEは不明熱になりにくいが, 発症時の病態が非定型なSLEの診断,初期SLEと 関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)初期 の区別は容易でないので,SLE分類基準の読み 方を知る意義がある.  SLEは日本で医療扶助申請者6万人,推定有病 率30~50/10万人,男女比1:9,発症ピークは 妊娠年齢の 20~30 歳代にあるが,小児から高 齢者までみられる.小児は高疾患活動性の例が 多いが,予後不良には直結しない.高齢者は腎・ 中枢神経障害が少ない傾向がある.

1.SLE初期の臨床像

 以下の初期臨床像+抗核抗体陽性のとき, SLE分類基準に満たなくても,専門家はステロ イド治療を始めることがあるが,鑑別一覧の知 識が前提になる.冒頭の要旨を補足すれば,i) SLEを疑う軽症病態が分類基準に満たないな ら,経過観察または専門科に紹介,ii)臓器障害

全身性エリテマトーデス

要 旨 三森 明夫  全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)は,

症状・血液尿検査・胸部X線所見が,時期を隔てた所見も含めてSLE分類 基準を満たす場合に診断できる.基準に満たないのであれば保留,または 否定して他疾患を検索する.現行のSLE分類基準は感度・特異度が高く, 診断の肯定・否定にとって実用的である.治療法は,ステロイド用量と減 量日程,併用する免疫抑制薬に選択の幅があり,国際的ガイドラインも概 略ないし総論にとどまっている. 〔日内会誌 104:2118~2124,2015〕

Key words SLE分類基準,ループス腎炎,神経精神SLE

国立国際医療研究センター膠原病科

Diagnostic(Classification)Criteria and Treatment Guidelines of Collagen-vascular Diseases:How to Use and Cautions on Applying Them for General Physicians. Topics:II. Systemic lupus erythematosus(SLE).

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が明瞭な状態で分類基準に満たないなら,迅速 に他疾患を検索,といえる. 1)臨床所見  (1)変動性・移動性の関節炎を,関節の大小 を問わず高率にみる(RA関節炎も初期は変動し 得るので,後述の鑑別が重要である).腫脹圧痛 が遠位指節間(distal interphalangeal:DIP)関 節にあるなら,SLEか乾癬性関節炎を思わせる.  (2)特徴的皮疹を一部の患者にみる:頬部紅 斑・蝶形紅斑(変動や出没もある.経過中の頻 度 集 計 20~60%), 脱 毛(可 逆 的 な 毛 髪 脆 弱 化),円板状ループス(discoid lupus,経過中頻 度 15%;播種性の皮疹はSLEの語源である狼/ lupusの咬み傷様,頭皮で不可逆的脱毛も招く), 爪周囲紅斑,凍瘡様ループス,深在性ループス (無痛性脂肪織炎),口腔鼻腔潰瘍(多くは無痛 性).  (3)発熱,蛋白尿を契機に,下記の検査所見 でみつかるSLEもある. 2)問診所見  (1)Raynaud現象(寒冷などによる短時間の 末端色調変化,白→紫→赤みの回復;集計頻度 30~50%)が,SLE発症まで年余に先行するこ ともある.日光過敏(紫外線による皮疹・熱・ 関節痛の誘発),頬部紅斑の既往を,問診で知る こともある.  (2)SLEとRAを含む膠原病および類縁疾患に は,共通の疾患感受性遺伝子が複数ある.これ らの疾患の家族歴があれば,症状が微熱・倦 怠・筋痛など曖昧でも,SLEを考慮して経過を 追う(逆に,SLE患者の同胞に白血球減少のみ, 抗核抗体のみの未発症者をみた逸話もある). 3)検査所見 (1)血算  白血球または血小板の一過性でない低値,鉄 欠乏性でない貧血をみれば,原因検索を要し, SLEは主要候補である.特発性血小板減少性紫 斑 病(idiopathic thrombocytopenic purpura: ITP)の10%にSLEが続発した集計があるが,一 部のITPまたはピロリ除菌に反応しないITPは, SLE初期症状かもしれない. (2)自己抗体  抗核抗体はSLEのホールマークだが,時期に より低値~陰性もある.臓器障害の時期にも陰 性の例を,SLE患者の数%にみるが,再燃時の 陽転化例もある.  SLEのスクリーニング項目を例示すれば:1. 抗核抗体(蛍光法)・抗SSA抗体・抗リン脂質抗 体,2.抗二本鎖/ds-DNA抗体,3.抗Sm抗体・ 抗RNP抗体,4.Coombs抗体.  区分1~3は次の文献情報に対応する:米軍人 の保存血清多数で自己抗体を測り,SLE発症者 と照合したら,陽性の先行年数は1が最も長く, 次いで 2,3 の順であり,抗核抗体は発症者の 78%で平均3.4年前に陽性だった(N Engl J Med 349:1526, 2003).抗体陽性が常に発症に先行 するのではなく,病勢に応じた抗ds-DNA抗体, 抗Sm抗体の出現はよくある.抗体価一般は変動 するが,抗SSA抗体(SLE,Sjögren症候群で陽 性)の陽性者では,病勢や治療に影響されな い持続陽性をみる.抗RNP抗体(SLE,混合性 結合組織病(mixed connective tissue disease: MCTD),強皮症で陽性)測定も望ましいが,抗 RNP抗体陽性のSLEは抗Sm抗体も陽性(共通エ ピトープに反応)という経験則がある. (3)尿検査  SLE患者の40~50%にループス腎炎を伴うと 集計され,ループス腎炎の7割はSLE初期から存 在すると推計される.SLE初期の尿異常は,一 過性で前医の情報に頼ることもある.尿沈渣異 常(細胞円柱,赤血球,無菌性の白血球),蓄尿 1 日蛋白または尿蛋白濃度/尿Cr濃度比で評価 する.異常が軽度でも,SLEを疑う場合は腎生 検の意義がある.

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4)抗体検査と経過観察による関節炎の鑑別  関節炎主体のSLEなら,迅速治療を要しない ので,鑑別に時間をかけても不利益はない.6 週以上固定した関節腫脹,または抗CCP抗体陽 性ならRA(早期での陽性率 5 割)を考える.抗 B19-IgM抗体陽性ならパルボウイルスB19 感染 症(伝染性紅斑)であり一過性の筈である.リ ウマトイド因子(rheumatoid factor:RF)また は抗核抗体が陽性なら,SLE,Sjögren症候群, RAいずれもあり得る.ヒト免疫不全ウイルス (human immunodeficiency virus:HIV)による 関節炎,クラミジアまたは溶連菌による反応性 関節炎にも抗体検査が役立つ.

2.SLEが診断されるときの臨床像

 SLEは,前項に記した病初期には必ずしも診 断できず,年余の後に分類基準を満たす例もあ り,進行して初診する例もある.それらの時間 差が難治化に直結しないことも病歴分析で知ら れる.様々な病態(表 1)は通常,診断後の維 持中にみるから再燃SLEとわかるが,初診時は わかりにくい. 1)患者群の大半を占める典型的なSLE  関節炎で来院し,前項の皮膚所見を見るか既 往を聴取し,白血球/リンパ球減少に気づいて抗 核抗体を検査したら陽性,低補体もありという 経緯が定型的である.尿蛋白または沈渣血球, および炎症性貧血をみる頻度も高い(溶血性貧 血は高頻度でない).  初診時に,胸膜炎・心外膜炎(胸痛),高度の 血小板減少(免疫性なら出血傾向は低率),急性 ループス肺炎(咳,息切れ)を認める例もある. これらがSLE初期像からどのくらいの年月を経 て現われるかは不明である.妊娠・出産・中絶 を契機に顕在化するSLEも定型的である. 2) 初診SLEとして非定型な例, または重症病態の初診例  この群は,i)進行後の受診,ii)脳血管障害 を含む重症病態で初発した稀な例であり,迅速 診断が容易といえないが,迅速治療を要するの で臨床的に重要である.  痙攣と脳血管障害は経過中に稀でないが,初 診時は稀である(痙攣はふつう軽症病態に対す る中等度治療中に,SLE病勢が高まって続発す る).ネフローゼ症候群,急速進行性糸球体腎炎 (rapidly progressive glomerulonephritis:RPGN)

の初診例も存在するが,検査異常は長期に潜在 したと想像される.  上記のため,神経内科,腎臓内科を初診する ほか,以下の病態で循環器科,血液科,眼科, 外科・消化器科,泌尿器科を初診するSLEもあ る:心筋症(心不全,心原性ショック),血栓性 血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocyto-penic purpura:TTP),網膜症(視力障害),ルー プス腸炎(下痢,偽性腸閉塞,下血,腸穿孔, 急性腹症),ループス膀胱炎(頻尿,膀胱萎縮, 水腎症:ループス腸炎と共存しやすい). 表1 SLEの病態一覧 関節炎,発熱,リンパ節腫脹,日光過敏,皮疹(表3,4),および下記の臓器所見 神経精神 神経精神ループス(脳,脊髄,末梢神経:表5参照)TTP 腎・尿路 腎炎 ネフローゼ症候群 RPGN TTP ループス膀胱炎 胸部 胸膜炎 心外膜炎 肺胞出血 間質性肺炎 肺高血圧症 肺塞栓症 心筋症 腹部 ループス腸炎 蛋白漏出性胃腸症 抗リン脂質抗体による虚血性腹痛腹部血管炎 ループス腹膜炎 急性膵炎 眼 網膜血管炎 視神経炎

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3)前項2)の病像をSLEと診断する過程  熱性または若年者の脳血管障害は,細菌性心 内膜炎,抗リン脂質抗体症候群,SLEを示唆す る.腎障害,心筋症,血算異常,眼底所見では, 各科医師がSLEを候補に入れるから,抗核抗体 が検査される.しかし,急性胃腸炎様,イレウ ス様,急性腹症では問題がある.強い炎症は白 血球を上昇させ,炎症性の補体産生が消費性低 下を相殺してSLEらしさを隠し,紅斑や蛋白尿 が共存しなければ診断に迷う(CRP陰性の高熱 は,一部のSLEとウイルス性髄膜炎を特徴づけ る).間質性膀胱炎は,泌尿器科でよく知られる が,SLEによる頻度は低いので考慮されにくい. 無菌性の頻尿が,一般内科で長らく心身症とみ なされた例もある.

3.分類基準を用いたSLEの診断(

表2,3

 米国リウマチ学会(American College of Rheu-matology:ACR)の項目は(表2),出現頻度でな くSLEと他疾患を区別するよう選ばれた.出現 時期の一致を問わないという注釈は重要であ る.症状や検査異常は変動するので,既往の問 診,データ再検に努める.血球減少はウイルス 感染症でも一過性にみるので,項目 9 は 2 度以 上の条件がつく.パルボウイルス感染症(頬部 紅斑,関節炎,血球減少),クリオグロブリン性 血管炎(Raynaud現象,関節炎,低補体,腎障 害)はSLEと似るが,4 項目は満たしにくい. Sjögren症候群は 4 項目を満たし得るが,治療は 臓器障害に応じるので,軽症SLEとの鑑別に困 ることは少ない.薬剤性ループス(発熱+表 2 の1,5,6,9,11 )を疑えば,まず被疑薬(pro-cainamide,hydralazine,isoniazid,methyldopa, 抗甲状腺薬など)を中止する.  ACR基準と別に,新たなSLE分類基準(表 3) が提案され1),「多彩な皮膚ループス,多彩な神 経精神所見,脱毛,Coombs抗体,低補体」を取 り入れ,また「免疫複合体性腎炎の病理+血清 抗核抗体または抗dsDNA抗体陽性ならSLEと診 断する」としているが,国際的合意には達して いない.日本では,抗β2-GP1抗体(免疫項目の 4)でなく,β2-GP1 依存性抗cardiolipin抗体を 測っているという相違がある.

表2 ACR(American College of Rheumatology)SLE分類基準(1997年改訂版)

  1 頬部皮疹 頬部の紅斑.鼻唇溝より下に及ばない.鼻根部を含めば蝶形紅斑という   2 円板状皮疹 discoid lupus:頭頸部,四肢の丘疹(紅斑性,角化鱗屑,毛嚢塞栓,萎縮)   3 日光過敏 紫外線曝露による異常反応としての皮疹,ときに発熱,関節痛を伴う   4 口腔潰瘍 口腔,鼻咽喉に生じ,無痛性のことが多い   5 関節炎 2領域以上の末梢関節の圧痛,腫脹.非破壊性   6 漿膜炎 a.胸膜炎,b.心外膜炎 のいずれか   7 腎障害 a.尿蛋白>0.5 g/dayまたは>3+,b.細胞円柱 のいずれか   8 神経障害 a.痙攣,b.精神症状 のいずれか(他の誘因がないもの)   9 血液異常 a.溶血性貧血,b.白血球<4000 /μl(2度以上),c.リンパ球<1500 /μl(2度以上),d.血小板<10万 /μl(薬剤によらない)のいずれか 10 免疫異常 a.抗二本鎖(double strand,ds)DNA抗体,b.抗Sm抗体,c.抗リン脂質抗体(抗カルジオリピンIgGまたはIgM,ループスアンチコアグラント,または梅毒反応偽陽性)のいずれか 11 抗核抗体 蛍光抗体法による.どの時点で陽性でもよい 上記11項目中,4項目以上陽性ならSLEと分類する.出現時期は一致しなくてよい.

(5)

4.ループス腎炎

2)

表4

 ネフローゼ症候群はclass IV,V,RPGNはIVで 生じる.以下の対応は不確実なので生検が望ま しい.I;尿正常.II;尿正常または軽度蛋白and/ or顕微鏡的血尿.III;蛋白・沈渣異常あり,血 清Cr上昇は軽度.IV;蛋白・沈渣異常は明確, ネフローゼ例,血清Cr上昇例がある.V;蛋白・ 沈渣異常は軽度~明確,ネフローゼ例は多い が,腎機能は低下しにくい.

表3 SLICC(Systemic Lupus International Collaborating Clinics)SLE分類基準(2012年)1) 臨床項目(各項目中どれかがあれば,その項目を陽性 1 項目と数える)   1.急性皮膚ループス(皮膚筋炎または亜急性皮膚ループスによるものを除外する) 頬部紅斑(頬部の円板状ループスと重複算定しない) 中毒性表皮壊死,toxic epidermal necrolysis variant of SLE 斑点状丘疹,macropapular lupus rash 光線過敏   2.慢性皮膚ループス 古典的円板状ループス(頭頸部または全身性のdiscoid lupus erythematosus/DLE) 増殖性(疣贅性)ループス,hypertrophic lupus 深在性ループス,lupus panniculitis(profundus) 粘膜ループス,mucosal lupus 腫瘍性紅斑性ループス,lupus erythematosus tumidus 凍瘡様ループス,chillblains lupus 円板状ループス/扁平苔癬重複,discoid lupus/lichen planus overlap   3.口内潰瘍または鼻咽腔潰瘍(Behcet病など他疾患を除く)   4.非瘢痕性の脱毛(細く脆い毛が特徴,ほかの明らかな原因によるものを除く)   5.2ヶ所以上の関節炎 滑膜炎;腫脹,または圧痛+30分以上の朝のこわばり   6.胸膜炎,心外膜炎(一過性でもよい.ほかの明らかな原因によるものを除く)   7.蛋白>0.5 g/日(尿蛋白/尿Cr比または24時間蓄尿による),または赤血球円柱   8.神経学的異常 痙攣 精神症状,psychosis 複合性単神経炎(血管炎症候群によるものを除く) 脊髄炎 末梢神経または脳神経障害(血管炎症候群,感染,糖尿病などによるものを除く) 急性錯乱(中毒,代謝性,尿毒症,薬剤など,ほかの原因を除く)   9.溶血性貧血 10.白血球<4000,またはリンパ球<1000,1回の測定でもよい(ほかの明らかな原因を除く) 11.血小板<10万,1回の測定でもよい(ほかの明らかな原因によるものを除く) 免疫項目   1.抗核抗体陽性   2.抗dsDNA抗体陽性(ELISAの場合は,基準値の2倍以上)   3.抗Sm抗体   4.抗リン脂質抗体陽性 lupus anticoaglant陽性 梅毒反応(rapid plasma reagin)偽陽性 抗cardiolipin- IgA,IgG,or IgM中等度以上の陽性 抗β2-GP1-IgA,IgG,or IgM陽性   5.低補体値(C3,C4,or CH50)   6.直接Coombsテスト陽性(溶血性貧血と重複算定しない) 臨床項目,免疫項目の両者の少なくとも1つを含み,計4項目陽性ならSLEとする. (臨床だけで4つ,免疫だけで4つという算定はしない.所見の出現は同時でなくてよい)

(6)

5.神経精神SLE

3)

表5

 中枢神経障害(表 5 の 1)はいずれも髄液蛋 白・細胞数上昇を伴う.細胞・蛋白上昇,糖正 常 ~ 低 下,IgG index(髄 液IgG/Alb÷ 血 清IgG/ Alb)>0.8,IL-6上昇,IFNα上昇がみられ,髄液 細胞は好中球優位,リンパ球優位いずれもあ る.病原体検査提出と同時に全体像でSLEを迅 速判断する.痙攣と横断性脊髄障害は,とくに 迅速治療を要する.脳MRIは,急性期の可逆的 な虚血性浮腫または梗塞を示す.脳X線CTで低 頻度にみる石灰化は,血管病変の痕跡を示す.  精神症状は,しばしばMRI・髄液異常を欠く. 錯乱や精神病様症状(統合失調症様,双極性障 害様)は高率でない.認知障害は,活動期の軽 度異常も含めれば頻度が高い.

6.SLE治療の概略

 軽症(皮疹,関節炎,白血球減少),中等症 (胸膜炎,免疫性血小板減少症),重症(class III・IV・V腎炎,神経精神SLE,諸臓器障害), 最重症(RPGN,痙攣)に応じたステロイド用量 で初期治療し,以下の免疫抑制薬を併用する4) カルシニューリン阻害薬tacrolimus(T細胞抑 制),cyclophosphamide間欠静注(細胞毒),抗 CD20 モノクローナル抗体rituximab(B細胞除 去),mycophenolate mofetil(リンパ球抑制). 日和見感染症の予防,監視が必須である.活動 期の病的リンパ球増殖とサイトカイン産生を, 高用量ステロイド治療で抑えると,あとは漸減 して少量で低活動性を維持できる経験則があ る. 欧米グループが推奨する治療目標(Ann Rheum Dis 73:958, 2014)は再燃防止を重視 表4 ループス腎炎/LNの生検病理class分類

(International Society of Nephrology/Renal Pathology Society,ISN/RPS,2003)2)

Ⅰ 微小メサンギウムLN:光顕正常,免疫染色で免疫複合体沈着あり Ⅱ メサンギウム増殖LN Ⅲ 巣状(focal)LN:A,A/C,Cを付記する Ⅳ びまん性(diffuse)LN:全糸球体50%以上がsegmental病変ならⅣ-S,50%以上がglobal病変ならⅣ-Gとし, A,A/C,Cを付記する.例;Ⅳ-S(A) Ⅴ 膜性LN Ⅵ 糸球体硬化 注釈:全視野中の罹患糸球体率<50%はfocal(class Ⅲ),≧50%は diffuse(class Ⅳ)とする.或る糸球体で,病変範囲が毛細血管 壁(係蹄)の半分までなら分節性(segmental),病変が全面的なら全節性(global)と呼び,class Ⅳを表記の基準でS,Gに区分する. class Ⅲ,Ⅳで糸球体病変を,Active;増殖性,Chronic;硬化性,A/C;混在に分類する.壊死性病変は活動性であり,管内細胞増 殖から管外増殖(細胞半月体形成)へと連続する. class Ⅲ,Ⅳにおいて,膜性病変(Ⅴ)を糸球体毛細血管壁(係蹄)の>50%に認める糸球体が,全視野糸球体の>50%にあれば, Ⅲ+Ⅴ,またはⅣ+Ⅴと記す. 表5 神経精神(neuro-psychiatric)SLE;ACRの病態区分3) 1.中枢神経障害 頭痛(>50%) 痙攣(10%) 脳血管障害(10%) 不随意運動(2%) 脊髄障害(2%) 脱髄症候群(稀) 髄膜炎(稀) 2.末梢神経障害 多発神経障害(25%) 脳神経障害(5%) 単神経障害・多発性単神経障害(4%) 3.精神症状 認知障害(80%) 気分障害(30%) 不安障害(20%) 錯乱(4%) 精神病様/psychosis(3%) ( )内に諸文献のおもな頻度を挙げた.

(7)

しているが,減量速度と維持治療を終了できる 目安は確立していない.

まとめ

 SLEの治療は専門性が高いので,本稿では診 断の実際を述べた.SLEの診断は,血算,尿, 日常の自己抗体検査,胸部単純X線でなされる ので,一般内科で十分に可能と思われる. 著者のCOI(conflicts of interest)開示:本論文発表内容 に関連して特に申告なし 文 献

1) Petri M, et al : Derivation and validation of the Systemic Lupus International Collaborating Clinics classification criteria for systemic lupus erythematosus. Arthritis Rheum 64 : 2677―2686, 2012.

2) Weening JJ, et al : International Society of Nephrology/Renal Pathology Society. The classification of glomerulo-nephritis in systemic lupus erythematosus revisited. J Am Soc Nephrol 15 : 241―250, 2004.

3) The American College of Rheumatology nomenclature and case definitions for neuropsychiatric lupus syndromes. Arthritis Rheum 42 : 599―608, 1999.

4) 三森明夫:膠原病診療ノート.第 3 版,日本医事新報社,東京,2013, 93―223.  

参照

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4) American Diabetes Association : Diabetes Care 43(Suppl. 1):

10) Takaya Y, et al : Impact of cardiac rehabilitation on renal function in patients with and without chronic kidney disease after acute myocardial infarction. Circ J 78 :

[r]

38) Comi G, et al : European/Canadian multicenter, double-blind, randomized, placebo-controlled study of the effects of glatiramer acetate on magnetic resonance imaging-measured