教 育 実 践研究 論 文 日 本 教 育工 学 会 論 文 誌 35(2)
,
135−
145,
2011創
発 的
コラボ
レ
ー
シ
ョン
を促す
ワ
ー
ク シ
ョ ップデザ
イ
ン
†安 斎 勇樹
*⊥・森 玲 奈
*2・
山 内祐
平*2 東京 大学大学 院学際 情 報 学 府*L・
東 京大学 大 学 院 情 報 学 環親本研究の 円的は
,
協同 制 作 を 課 題 と し た 大学生 向 けの ワー
ク シ ョ ップに おい て,
創発的コ ラボ レー
シ ョ ン を 促すた めのプ 卩 グラムデザ イン の指針 を 示 す こ とである.
本 研 究で は,
創発の源 泉 とし て の 「矛 盾」 の効 果に着目 し , 「作品の 制 作課 題に,
相反 す る イメー
ジを 持 ち な が ら 多 様 な 解釈の 可能性 を持っ た 2つ の条 件を 設定する一
とい うデザイン原 則 を仮説 と し て設 定 し た.
デ ザ イン原 則に基づ く実 践 を4
回 (全⊥5
グルー
プ),
比較 対 象 とし てデ ザ イン原 貝1」に基づ かない 実 践 を4 回 (全U グルー
プ〉 行い,
各 グルー
プの制 作プロセ ス を質 的に分析し た,
その 結 果,
デザ イ ン原則に基づ く実 践に おい て は, 制 作 中 に 提案され たアイ デアや 制 作 物に対 する視 点に揺さ ぶ り が か か り,
創 発 的コ ラボレー
シ ョ ンが促 され るこ とがわか っ た.
た だ し、
参 加 者が 設 定 し た2
条 件を 「相 反 するもの 」 として解 釈しなかっ た場合は,
視 点の揺 さぶ りが かか ら ない た め に創 発 的 コ ラボ レー
ショ ン は起こ り に くい こと が わ かっ た.
その 点に留意 すれ ば,
本研究で提案したデ ザ イン原則は有 効であるこ と が 示 された.
キー
ワー
ド:ワー
クシ ョ ッ プ,
デ ザ イン原 則、
創発,
コ ラボ レー
シ ョ ン1.
は じ め に 近 年,
ワー
クシ ョ ップ 実践が行わ れ る領域は多岐 に わ た る が (lll野 20Q⊥),
大 学 生の 創 造 性 育 成の た めの 手段 と し て も 注 目されて お り,
コ ラボ レー
シ ョ ン に よ るア イ デア 創 造 を 課 題 としたワー
ク ショ ップ実践など が多く 報 告 されて い る (c.
g.
中 西 2006,
東 京 大 学i.
school2010
),
大 学 生の 創 造 性の 育 成は,
社会的にも 求め る声 は 大 きい (口本 経 済 団 体 連 合 会2011
).
そ うした声 を受け,
大学教育で は工 学 教 育 や 看 護 教育を中心に,
もの づ く り体 験 を通 し て創 造性を育成す るプ ロ ジェ クト形 式の 実 践が多 数 報 告 さ れてい る が,
専門教 育と して行われ るこ とが多く,
ま た 授 業 内であるた め 時間の制約 など2011
年4月11日受 理 †Yuki
ANzA
[
*
L,
Reina
MoR
[*2 arld Yuhei YAMA しCHI*2:
Design N
’
lodel for Workshops toGenerate
Emergent
Collaboration
*1Graduute
School
oflnterdisciplinary
InfbrmationStudies
,
The University ofTokyo
7−
3−
l Hongo,
Bunkyo−ku,
Tokyo,
113−
0033Japa
冂*2
1nterfaculty
Initiative
in
Infor〔nation
Studies
,
The
LJniversity of Tokyo
7−3−
1HQngo ,
Bunkyo−
ku,
Tokyo
,113−OO33
亅apanの 問題があ る(e
.
g.
石井・
三輪 2004,石井ほか2007
),
創 造 性 につ い て は,
これ まで 数 多くの 研究がな さ れ てき た.
かっ ては, 創 造 性は個人 が発揮 するもの だと 考え られて きた が,
近 年で は コ ラ ボ レー
シ ョ ン の 重 要 性へ の 認識が高ま り (e.
g.
SA、〜YER 2003),
創 造 性 育 成 に おい て もコ ラ ボレー
シ ョ ン 体験 を 重視 する声は多い.
S
獄 〜YER (2006) は, 創 造 性育成のた めに は,
学 習 者同 士 が 即 興 的に ア イデア を連 鎖させなが ら 新しい ア イデ ア が創 発するような,
コ ラ ボレー
シ ョ ン に よ る 知 識 創 造XE
動の 体 験の 必 要 性 を指 摘し てい る.
また,
次世代 の 大学教育に おい て も, 新 た な価 値や知識を協 働で創 造 す る体験の 重要 性は指摘 さ れて い る (林 2008).
本 研 究で は,
SAWYER が指 摘 するよう な,
複 数 人の アイ デ アの 連 鎖 に よっ て新 た なア イデアの 創発 が導か れ るコ ラボ レー・
シ ョン の プロ セ ス を 「創発 的コ ラボレー
シ ョ ン 」 と呼ぶこ とにする.
しか し, 制 約の 多い授 業 内におい て,
学 習 者 に 創 発 的コ ラ ボレー
シ ョ ンを 積 極 的 に 体験させ るこ とは難し く,
その 理由と して,
限 ら れ た 授 業 時間で学 習目標を 達 成 す るた めに は 自由度の 高い プ ロ グラム が 実 現し に くい点 な ど が指 摘されてい る (SAWY ビR 2006),
一
方で,
ワー
クシ ョ ップは 目的合理的プロ グラム か Vol.
35,
No,
2 (2011)135
ら解 放された 「意 味生成の 自由な学びの 揚」と も 呼 ば れてい る (広石
2005
).
広石 によると,
ワー
クシ ョ ッ プ は 参 加者同 +の 即 興 的 なコ ラボレー
シ ョ ンか ら.
入 で は思い付かなかっ たア イデアが 生 み 出され る創 造 的 な 場であ り,
創発 的コ ラボ レー
シ ョンの 体 験の 場 と し て も有効 な 手 段 だ と 考 え ら れ る.
し か し な が ら,
その 方 法 論に関 す る 実 証 的 な 研 究 は いま だ 少 な く,
実 践家の経 験や 勘に頼ら ざる を得ない の が現状で ある.
2.
問 題 の 所 在 と 研 究 の 目 的2
.
1
.
ワー
クシ ョッ プ研究におけ る課題 ワー
クシ ョ ッ プの 実 践 方 法に関する研 究 をみ て み る と,
ワー
クシ ョ ッ プデ ザイン に 必 要 な 要 素 を 検 討 して い る研究がい くつ か あ る.
石川 (2003
)は,
学 習者の リ フレク シ ョンを支援 す る学 習 環 境のデ ザイ ン原則を仮 説と し て提 案し,
ワー
クシ ョ ッ プ実 践 と質 的 な 分 析 に よっ て仮 説の 検 証 を 行 っ てい る.
木村 (2000)は,
実 践の 考 察を通して,
「空 間」 「活 動」 「メディ ア 」 「参 加者ごとい う4
っ の学 習 環 境の要 素を有機的に組み合わせ て ワー
クシ ョ ップデ ザ イン を 行 うこ と を 提 案 してい る.
森 (2008) は,
ベ テ ラン実践 家と初心者の 比較に よっ て,
ベ テ ラン 実 践家 の ワー
ク シ ョ ップのデザイ ン過 程に おける思 考の特 徴 を 明ら か に し てい る,
一
方で,
ワー
クシ ョ ッ プに お け るコ ラ ボレー
シ ョ ン や 創 発に関 す る 先 行 研 究は少 ない.
中 西ほ か (2009) は,
ア イデアの創発を日的と し た ワー
ク シ ョソプを4
名の 工学 系 研 究 者を対 象に実践を行っ てい る,
その 結 果,
参 加 者の研 究 開 発観が 変 容 し たこと を 評価してい る.
宮 崎ほ か (2005) は, アー
ティ ス トに よる幼 稚 園 で の ワー
ク シ ョ ッ プ に お け る,
アー
ト作品の 協働 的 な 制作過 程 を 詳細に分 析 し てい る.
その結果,
フ ァ シ リ テー
ター
の何 気 ない彳∫為 が 制作活 動に影響を 与 えてい たこ と を確 認 し てい る.
以上,
ワー
クシ ョ ッ プデ ザ インに 関 す る研 究 やワー
ク ショ ップにお け る創発 を扱っ た研究はい くつ かあ る が,
ワー
クシ ョ ソブにおい て 「創 発 的コ ラボレー
シ ョ ン」 を促 すための ワー
クシ ョ ッ プ デ ザイン の 指針につ い て は,
ま だ明ら か に なっ てい ない.
2
,
2
.
本研究の目 的 そこで,
本 研 究で は,
ワー
クシ ョ ッ プに おい て創 発 的 コ ラ ボレー
ショ ン を 促 す た めの プロ グ ラム デ ザイン の指針 を 示 すこ とを 目指す.
具体 的に は,
先 行研究 を136
参 考 に し な が らデ ザ イン原 則を仮説 とし て設 定し,
ワー
クシ ョ ップ実践と分析を 通 し て その効 果の検 討 を 行 う.
そし てその結 果か ら,
創発的コ ラ ボレー
シ ョ ン を 促 すた めに有効 なプ ログ ラム のデザ イン原 則 を 提 案 す るこ とを 研究の 目的 とす る.
3
,
研 究 の 方 法3.1.
デ ザイン原 則の仮 説 デ ザイン 原 則の 仮 説を 提案す る に あ たっ て,
創発の 源 泉 とし ての 「矛盾」の効 果に着目した.
活 動に お け る矛 盾によっ て創発が導かれるこ と を 主 張 し た指 摘は い くつ かあ る,
例 え ば,
IL’
ENKOV (上977) は,
矛 盾 は,
単なる活動に不 可 避の 特 徴 なの では な く,
自己運 動の 原 理であ り,
発 展 が も た ら される形 式であると指 摘し て い る.
エ ン ゲス トロー
ム (1999 )は,
質的に新しい 活動や道 具は,
集団的にダブル バ イン ド (矛 盾 ) を 解 決 するもの と し て N’
/lち現 れ ると指摘 し てい る,
以上の 議 論 を 参 考 に しな が ら,
ワー
クシ ョ ソプにお けるコ ラ ボ レー
シ ョ ン におい て も 「矛 盾 した要 素」 が源 泉 と な っ て新たなア イデアの創発を導く可 能 性があ ると考え,
ワー
ク シ ョ ップの 活 動に矛盾し た要素を含ませるこ と を 円標 とした デ ザ イン原 則の構 築 を 試みた.
ワー
クシ ョ ップ実 践におい て 汎用 性の あ る デ ザ イン 原則 を 考え るうえで,
美馬・
山内 (2005
)の指 摘が参 考になる.
美馬・
山 内に よ る と,
教 育・
学習 系の ワー
クシ ョ ッ プに は,
「つ くっ て・
語っ て・
振 り返 る」とい う3段 階の 活 動 デ ザ インが共 通 して い るこ とが指 摘 さ れてい る.
すなわち,
まず 「作晶の制作」 を 行い,
出 来上 がっ た作 品を素材に し て,
発表し た り振り返っ た りす る 形 式であ る.
3
段階の うち,
創 発的 コ ラボ レー
シ ョ ンが起こ りう るの は 作 品 を 制 作 す る 「つ くっ て 」 の 段階であ り,
これ はワー
クシ ョ ップ に おい てメイン とな る 活 動でもあるだろ う,
こ の 「つ くっ て 」の 段 階 に 矛盾した 要 素 を含ませ るため に は,
作品の 制作課 題 自体に 「矛 盾の ある条 件」を設定するこ と が最 も容 易 かつ 汎 用 的 な 方 法だ と考え られ る,
し か しなが ら、
厳籍に 矛 盾する条 件の も とでは 制作 が不可能になるた め,
矛盾した要 素を含み な が らも,
そ れを乗り越 えるための思考 錯誤の余地は残 さ な くて は な ら ない.
そこ で,
ワー
クシ ョ ップに お け る 創 発 的 コ ラ ボ レー
シ ョ ン を 促 す た めの指 針 と して,
「作 品の 制 作 課 題 に,
相 反 す る イ メー
ジ を 持 ち なが ら多様 な解 釈 の 可 能 性 を持っ た 2つ の 条 件を 設定す る」 とい うデ ザ イン原則を仮 説とし て設定した,
日 本 教 育工 学 会論文 誌 (Jpn.
」.
fiiduc.
γb・hnoZ)
3
,
2
,
ワー
クショ ップ実 践の概 要 (1
)プログラ 厶 の概要 大学生向けワー
ク シ ョ ッ プ を実 践 するにあた り,
架 空の カフ ェ を 企 画 し,
その ミ=一
チュ ア を制 作 するこ と をデ ザイン課 題 と し たワー
クシ ョ ッ プを 企 画 した.
ワー
クシ ョ ッ プの テー
マ は,
人 間へ の 影響を意識 し な が ら空間の デ ザ インを行 う体 験を 通 し て,
外 部 環 境と人 間の相互作 用につ い ての 理 解 を 深めるこ と を ね らい と し てい る.
制 作に用い る素 材は,
ワー
ク シ ョ ップで広 く 般 的 に 用い ら れてい るレ ゴブロ ック を 使 用 した.
プロ グラム の タイム テー
ブル は 表 1の通 りで ある.
[1
]ア イ ス ブレイ ク :1
人 あた り30
秒 間の 自己紹介後,
ラン ダムで 3名 1組の グルー
プ に分かれる.
[2
]ミニ ワー
ク : 白分が よ く 利 用 す る 場 を3っ 挙 げ,
そ れ ぞ れの 場 が 自分に とっ て ど んな場 で あ る か,
形 容 詞で表 現 す る.
次 に,
提 示 され た 形 容 詞 (例 :居 心 地 が良い)にっ い て 思い浮かべ る 具 体 的 な 場 を 挙 げる.
記入後,
記入内容を グルー
プ 内で共有する.
[3]作品の制 作 :グルー
プ ごとに,
カフ ェ 作品の 制 作 を60
分間で行う (図 1 ).
ス ケ ッチブック,
ポス トイ ッ ト,
マー
カー
,
レ ゴブロ ッ クな どの 道 具は各 グルー
プの テー
ブル に あ ら か じ め 用 意 してお き, 制 作の 進 め 方は グルー
プに任せ る,
[4
] プレゼ ンテー
シ ョ ン :出来上 がっ た作品の 作品名 とコ ンセプ トにっ い て 各グルー
プ 3分 ずつ の プ レゼ 表1
ワー
ク シ ョ ップの タ イム テー
ブル 13:30−
13:50 13:50−
14:30 14:30−
15二30 15:30
−
16:1016
:10
−
17:00
[1]ア イス ブ レイ ク [2] ミニ ワー
ク [3]作 品の 制 作 「4]プ レゼンテー
シ ョ ン 匚5]リフ レ クシ ョ ン VoL 35,
No.
2 (2011 ) ンテー
シ ョン を 行 う.
プ レゼンテー
シ ョ ン終 了 後 に は質 疑 応 答,
自 出 鑑 賞の 時間 を 設 け る.
[5
]リフ レ クシ ョ ン : ワー
クシ ョ ソプを 通 じて得 た 学 び や気 付 きを用 紙に記入 し,
グルー
プ間で共有を行 う.
気 付 きの共 有後,
グルー
プ ご とに外部 環 境と人 間の相彑 作 用に関し て 自 由にデ ィ スカ ッシ ョ ンを 行 う,
(2
) 制 作 課 題の条 件前 節で 仮 説 的 に 設 定 し たデ ザイン原 則 に 基づい て, 具体 的な
.
「相反する イ メー
ジ を持ちながら多様 な解 釈 の ・∫能 性 を 持 っ た 2っ の 条 件」 (以 下, 矛盾 条件と 表 記)を 設定し た.
条件の 設 定の 仕 方 は 様々 あ る と 考 え られ る が,
今回の ワー
クシ ョップの 制 作 課 題で あ る 「カ フ ェ 」 その もの が持っ てい る特 性 と あ ま りに無 関 係 な 条件 を設 定 して し ま うと,
本 研究の 意 図 以上 に条 件が 複 雑になっ て しま うことが考えら れ る.
そ こ で,
カ フ ェ の利 用 者が カ フ ェ に対 し て持っ てい る一
般 的 なイ メー
ジに [居心地の 良 さ」が含まれ る と考え られ る (e.
g.
兼平・
亀谷2008
)こ と か ら,
1っ 目の 条 件を 「居心 地 が良い 」 と 設 定した.
そ れに対 し て,
2つ 目 は一
危 険」 とい う条 件を設 定 し た.
危険とい う言 葉は,
危 害 や 損 失 が 生 じ る 可能 性 を示す否定 的な意 味だが,
危 機 的 事 態の 捉え方は個人の 性 格 や 経 験によっ て 異 なる (広 瀬 ほ か1993
).
また,
ロ ッ ク クラ イ ミン グやス カ イダイ ビ ン グの ように,
ス リル を味わうた め に あ え て危 険を 冒 す 場 合 も あ り,
肯 定 的 な 側 面 も含んで い る (広瀬 2005 ).
以 上か ら,
「危 険」 と 「居心地が良い 」 は,
相 反する イ メー
ジを持ち なが らも多様 な解釈の 可 能 性 を 持つ 2っ の条 件 とし て適 切である と考え,
「危 険 だけ ど 居 心 地の 良いカフ ェ をっ く る」 とい う制作課 題 を設定 した,
(3
) 実 践の ス ケ ジュー
ル 2010年 9月か ら11刀 にわたっ て,
大学生を対象に合 計 8 同の ワー
クシ ョ ッ プ実 践 を 行っ た.
前 述の 「危 険 だ け ど屠心地 の 良い カフェ 」 の 条件で 4 回の 実 践 を 行 い,
「矛 盾条件」 の影 響 を見 るた め に,
比較対象と して 「居 心 地の 良い カフ ェ 」 とい う 条 件 (以 卜.
,
通常条件 と表 記)でも4 回の実 践 を 行っ た.
参 加 者はウェ ブE
で公募によ り集め た.
実 施 場所は, 周辺 の大学生 がア ク セス しや すい 東 京 大学 情報 学 環・
福 武ホー
ル (以 下,
東 京 と表記),
同志 社 大 学寒梅 館 (以 卜,
京 都 と表 記 ), 福 岡 大 学セ ミナー
ハ ウス (以 下,
福岡と表 記)の 3 つ の 会 場で実 施した.
実 践のス ケ ジュー
ル と参加 人数を 以 下の 表 2 に 示 す.
137
表
2
実 践の ス ケジュー
ル 口付 会 場 条 件 参 加 人 数 グルー
プ数 分 析対象 9月2 日 東 京 通 常 9月 7 目 東 京 矛盾 10月16日 京都 通常 10月17日 京 都 矛盾 10月23日 福岡 矛 盾 田 亅60
福岡 通常 11月 3 凵 東 京 矛盾 ]1月27日 東 京 通 常 11人 16人 ll人 15人 17人 11人 11人 9人4
グルー
プ 3グルー
プ 5グルー
プ 4グルー
プ 4グルー
プ 3グルー
プ5
グルー
プ 4グルー
プ 6グルー
プ 4グルー
フ 4グルー
プ 3グルー
プ 4 グルー
プ 3グルー
プ 3グルー
プ 2グルー
プ 本 研 究では 3人 グルー
プ を分析対 象とし て い る た め,
端 数がで て 2人,
あ るい は 4 人 グルー
プになっ て し ま っ たグルー
プは分 析 対象から 除い た.
それ ぞれ の グルー
プ に は 通 し番 号を振 り,
<矛 盾 グ ルー
プ 番 号〉 〈通 常 グルー
プ 番 号〉とし て表記する.
いずれの 日程 も複数の大 学に所 属 する参 加 者 が 集 ま っ た.
参力冂者に は研.
究の 目的は 伏せ,
ワー
クシ ョ ッ プ の ね らい の み を伝 えた.
実 践の 際の フ ァ シ リテー
ター
は, 研 究の 目的を 知ら ない 第=一
者に依 頼 をし た.
東京で の 実践はフ ァ シ リテー
ター
歴3
年H
のY
氏 (大学研究 員,
女性 ) に,
京 都 は フ ァ シ リ テー
ター
ZZ
2
年 目の1
氏 (大学生,
女性 ) に, 福 岡 はフ ァ シリテー
ター
歴6
年目のH
氏 (大 学 教 員,
女性 )に依 頼 をした,
依 頼にあ たっ て,
フ ァ シ リ テー
ター
や 条 件ご とで働きか け に 差 が 出 ない よ う,
フ ァ シ リ テー
ショ ンマ ニ ュ アル を作 成 し,
参加者が制 作 中に困っ たこ と が あっ た 時の み の必 要最 低限の働きか けに留めた.
依 頼の 際はマ ニ ュ アル に従っ て教示 を 行 い,
研究の 目的 や デ ザイン原 則が伝 わ ら ない よ う配 慮 を した.
実 際の フ ァシ リ テー
ター
か らの 参 加者へ の働 き か けの 発 話 は, 矛 盾条 件で は1
グルー
プ あ たり平 均 1.
4回,
通常条 件で は 1グルー
プ あ たり平 均1.
6
回 で あ っ た,
発 話内容 は 進 捗 状 況の確 認 と 参 加 者 か ら 出 た 質 問へ の 対 応が主であ り,
条 件間で フ ァ シ リ テー
ター
の 働 きかけに差は でなかっ た もの と考えられ る.
3.
3.
創発 的コラボ レー
ション の分 析 方 法 (1
)デー
タ の 取 得 とコー
ディ ングビデオ カ メラと IC レ コ
ー
ダー
を 用い て 作 品の 制 作 中 (60
分 間〉の映像 デー
タ と音 声 デー
タ を 取得した.
取 得デー
タ か らコ ラボレー
シ ョ ン のプ ロセス を分 析 す る た め,
発話デー
タの コー
ディ ング を行っ た.
まずグ ルー
プ ご とに,
参 加者の発話プ ロ トコ ル を全て書き起 こ し,
ユ ニ ッ ト (意 味の ま と ま り)に区 切っ た 上で,
その 発 話の意 味 を分 析した,
例 え ば, 「船のE
にあるカ フ ェ は ど う?」 とい う発 話 は,
アイデアの提案を 通 し138
て作 昂に対 し て新たな 働 き か け してい ることか ら [提 案 ] とい う カテ ゴ リに分 類し,
「船の上 だと,
揺れる か ら 居 心 地悪い よ.
」とい う発 話は, 制 作 条件と照らし合 わ せ な が ら既に出た アイデアの 妥 当性 を吟味 してい る こ とか ら [検 討]とい うカ テ ゴ リ に分 類 した.
ま た,
「居心地の 良 さ か.
難 しい.
」とい う発話は,
条件を意 識 し な が らもア イ デア が 出 ずに悩んでい るこ とか ら [葛 藤 ]とい うカ テ ゴ リ に分 類 した,
この よ うに,
制 作に おい て発 話内容が持つ 機 能 に よ っ て 分 類 を 行い,
コー
デ ィン グ カテ ゴ リ を デー
タ か ら ボ トム アップで作 成 し た.
コー
デ ィン グカ テ ゴ リ は,
全ての 発話がいずれか1
つ の カ テ ゴ リ に 属 す る よ うに,
網 羅 的か つ 排 他 的である よ うに作 成し た.
ま た,
単 体 で は意 味の ま と ま り を 持 た ない 発 話は,
分 析の対 象か ら外 し た,
行 動 記 録は,
全て 書 き 起こ さず, 作品の ア イ デア に影 響し て いる と判 断出来る もの の み 書 き 起こ し, 分 析の 対 象 とした,
今回 設 置 し た カ テゴ リと カ テ ゴ リ基 準は 以 下の 表 3 の通 りであ る,
[検討 ]と [葛 藤 ]の カ テ ゴ リは,
どち ら も 制 作の 条 件 に 対 し て言及する カ テ ゴ リ であ るが,
[検討]は 提 案 さ れたア イ デア を指 し て吟味 を行 う発話であるの に 対 し,
[葛 藤] は,
条件 に よっ て アイ デアが 出 ない こ と に関し て迷っ た り悩ん だ りす る 発 話で あ り, ア イ デア の展開に は直接は影 響 しない発話であ る.
表3
コー
ディ ン グ カ テ ゴ リの詳 細 カテゴ リ 解説 (コー
ディ ング 某準 ) 提 案 槌 認 相 承 促 進 針 想 方 連 解 釈 検 討 修正 葛 藤 談 装 雑 実 作 品に対 する そ れ ま で になかっ た新 しい特徴 を 持つ 働き か け,
他 者の発話に 対 して相 槌を 打っ こ と,
他 者の [提 案 ]に 刻 し て肯定 的な評価をする こ と.
他者の意見を引 き 出 す 問い かけ や 働 きか け を すること.
議 論 や 制 作の進め方に関し て言 及するこ と.
[提 案 ]に対し て,
新 た なアイデア を着 想し,
展開するこ と.
匚提案 ]に 対 し て,
別 の言葉で 表 現 し直 す こ と.
あるいは,
提 案 内 容につ いて確認する こ と.
[提 案 ]に対し て,
課 題の 条件や 制約 と照ら し合わせ ながら妥 当性 を吟 味・
検 討 するこ と.
条件 や :検 討 ] を踏まえて,
アイデア を 修正 し て 提案す るこ と.
課 題や 条 件の厳 し さや,
ア イデア が 出 ない こ と につ い て迷っ た り悩ん だ りするこ と.
制 作と は直 接 関 係の ない世 間 話.
そ れ まで 出 たア イデア を 元 に,
素 材を 用い て 作 品に制 作 するこ と.
日本 教 育工学 会 論 文 誌 (.
加.ZEduc .
Techno/.
)著 者 がコ
ー
デ ィ ング を 彳亅っ た後, コー
ディン グの信 頼性 を確認する た め に,
著 者以 外の第三者 (教 育系 大 学院生) 1 名が デー
タの約 20 % (矛盾 条件か ら3
グルー
プ,
通常 条件 か ら2グルー
プ) を ランダム で選 んで コー
ディ ン グ を 行っ た.
ま ず 1 グルー
プ分の サンプル デー
タ を 用い て トレー
ニ ン グを行っ たH
で,
著 者の コー
デ ィン グ結 果は参 照せ ず,
コー
デ ィン グ 基準の み を 参照し て コー
ディ ング を 行 っ た,
評 定 者 間で不一
致 箇 所の協 議は行わず,
コー
ディン グ基 準に関する事実 確 認 程度の 質 疑 応 答 に 留 め た,
その 結 果,
評 点者 間の一
致率 は84%で あっ た.
こ の こ と か ら,
今 回 実 施 したコー
デ ィ ン グ は妥 当 な もの であると判 断し た.
(2
)コ ラボレー
シ ョ ン展 開 図の作 成 「コ ラボレー
ショ ンに よ る ア イデアの 展 開の 仕 方」 とそれに対 す る 「条 件の影響」 を分析する た め に,
前 述したコー
ディ ン グ カ テゴ リの う ち,
[提 案 ]:連 想] [検討] [修正] [実装 ]の 5っ の カ テ ゴ リ を 取 り 出し て分 析 を 行っ た,
制 作 開 始 か ら制 作 終了 まで,
上記の 5 カ テ ゴ リに分類 さ れ るユ ニ ッ トを 上か ら順に 配 置し てコ ラボレー
ショ ン の展 開 図 を 作成し た,
ユ ニ ッ ト内 に は,
「発 話 者 (A・
B・C
で表記);発 話 内容の 要 約」 とい う形式で 表 記 した.
展 開 図 上で は, ア イ デア生成 の基 礎 と なる [提案 ]は 四角い ブロ ッ クで 示 し,
アイ デアの深 ま りに関わる [連想 ] [検 討 ] [修正]は,
直 前の ユ ニ ッ トにつ なげる形でイ1にず らし て 配 置を し た.
[連 想]と 匚修正]は角丸の ブロ ック,
[検 討 ] は 破 線 の ブ ロ ッ クで示 した.
[実装 ]を行っ てい る箇 所は 「実 装」 と表 記 し た,
(3
)創 発的コ ラボレー
シ ョ ンの判定 方法 先 行 研 究 (e.
g.
SへWER 2006 >を参 考に しなが ら,
本 研究に お け る 「創 発 的コ ラ ボレー
ショ ン 」を,
「2人 以H
が関わっ たユ ニ ッ ト([提 案 ],
[連 想 ] , [検討 ], :修 正 ])の連鎖で,3
連鎖目以降で新しい概 念が生ま れて い る 場 合」 とし て操 作 的に定義し,
コ ラボレー
シ ョ ン 展 開 図上 で判 定 を 行っ た (図 2).
田浦
・
永井 (2010 )の デ ザイン に お け る概念の議 論 を 参 考に,
こ こでい う 「概 念」 は 「作 品に対 する意 味 付 け や 作 品が持つ 機 能」 を指 す もの と し た.
ま た
,
創発 的コ ラ ボレー
シ ョ ンに よる概 念の 形 成の 仕方はい くつ かの パ ター
ンが 考え られ る.
個 人の ア イ デア の連 鎖か ら新 規 な 概 念 が 牛成され る揚合に 加 えて,
過 去 に 生 まれた既 存の概 念 を後に引 き継 ぎ なが ら,
別 の文脈の中で概 念 自体を 「変形」 させ るこ とに よっ て 新 しい概 念 を 生 み出す 場合 や, 2
つ 以E
の 概念 を 「 結 Vol.
35,
No.
2 (2011) 合」 させ なが ら新しい概 念を生み 出 す 場合も考え られ る (FINKE et al.
1992).
以上か ら,
創発 的コ ラボ レー
シ ョ ン を 以 下の 3つ の バ ター
ン に 分 類 し た.
創 発 的コ ラ ボレー
シ ョ ン 1 (概 念 生 成 ):制作 中に生 ま れ た概念 を 基 盤 と しない 創発的コ ラボレー
シ ョ ン,
創発 的コ ラボ レー
シ ョ ンH
(概 念 変 形 ):制 作 中に生 ま れた 1っ の 概念 を 引 き 継 ぎ,
再 構 成 し な が ら,
新 しい 概 念 が 生成した場 合の 創発的コ ラボレー
シ ョ ン.
創発 的コ ラ ボレー
シ ョ ン 皿 (概 念 結 合 ):制 作 中に生ま れた 2っ 以
E
の 概 念同上を結 合させ ながら,
新 し い概念 が 生 成 し た 場合の創発 的コ ラボ レー
ショ ン.
以上の 手 順 に よっ て,
コ ラボレー
シ ョ ン展 開 図 上で 創発的コ ラボ レー
シ ョ ン の 判 定 を 行っ た例 とし て,
〈矛 盾 6 > の展 開 図の一
部 を 図3
に 示す.
曝 寒鏈蹇一
一
=
割 発的コ ラボレ
ー
シ ヨ ン 寞.
装 c 提 案 内 容稔 蟄
醗 二
)
図 2 創 発 的コ ラボレー
ショ ン判定の例 Ai罵酔 瀬嫐宀丿
厂亀 陵 の嵐 簽雛 灘 穏 驫 概 慧←
蛮纜
:
譲幽
) 図 3 <矛盾6
> の 展 開 図の一
部1
擁1 概 葺彡 1394
.
分 析 の 結 果4.1.
創発 的コ ラボ レー
ション の判 定 結果 矛 盾条 件の 全15
グルー
プ の コ ラボレー
シ ョ ン展 開 図 を作 成し,
創発的コ ラボレー
ショ ン の判定を 行っ た結 果,
創 発 的コ ラ ボレー
シ ョ ン の回数の平均は4,
1
回 であ っ た (表 4 ).
<矛 盾 7 > < 矛 盾12> <矛 盾13> <矛盾14
> は0
回〜 2
回 と低い 数 値を 示してい たが,
残 りの11
グルー
プ (73
% )は4
回 〜7
回の 創発的コ ラボレー
シ ョ ンが 生 み 出 されてい たことが わ かっ た.
一
方,
通常 条件の 全 ll グルー
プの創 発 的コ ラ ボレー
シ ョ ンの 回数の’
1
鞠 は1.
5回で あっ た (表5 ).
〈通 常 3 > の 1 グルー
プの み7
回 と 高い 数 値を 示 し て いた が,
その他の 10グルー
プ (9
工% ) は0
回〜 2
回 を 示し て い た.
発話の コー
ディン グと 同様に,
著者以 外の 第マ者(教 育系の 大学 院生 )がデー
タの約20% (矛 盾 条 件 から3 グルー
プ, 通 常条件 か ら2
グルー
プ)をラ ンダムで選 んで創発的コ ラボレー
シ ョ ン の判 定 を行 っ た とこ ろ,
評 点者間の一
致 率は90%で あっ た.
こ の こ とか ら,
今 回実 施 した 判 定 結果は妥 当 なもの である と判断 し た.
矛 盾 条 件 グルー
プ と 通常 条 件グルー
プで の創 発 的コ ラボ レー
シ ョ ン の判定回数の 合計 値 を ウィ ル コ クソ ン 表4
創発的コ ラボレー
シ ョ ンの 集 計 結果 (矛 盾 条 件 ) グルー
プ1
皿 皿 合 計 矛盾1
矛 盾2
矛盾3
矛 盾 4 矛 盾 5 矛 盾6
矛 盾7
矛 盾 8 矛 盾 9 矛 盾10 矛盾11
矛 盾12
矛盾 13 矛盾14
矛 盾15222431224411103
211223032230002
211100010000000644754266641105 平 均 2.
1 ⊥.
5 0.
4 4.
⊥ 中央 値 2 2 0 4 標 準 偏 差1.
2
上0.
6
2
140
表5
創発的コ ラ ボ レー
シ ョ ン の集 計 結 果 (通 常 条件 ) グルー
プ1
ff
1皿 合 計 通常1
通常2
通 常 3 通常4
通 常 5 通 常6
通常 7 通 常8
通 常 9 通 常 10 通常⊥1
11102010202
00500010000
00100000000
11702020202 平 均 0.
9 0.
6 0.
1 L5 中央値 1 0 0 1 標 準 偏 差 0,
8 1.
40,
3
1.
9
の順 位 和 検 定を用い て検 定 した結果,
有 意差 が 認めら れ た (検定 統 計量,
pく.
05
).
ま た,
創発 的コ ラ ボレー
シ ョ ン の パ ター
ン 1〜
皿ご とに同 様に検定 を彳iっ た と こ ろ,
パ ター
ン 1とパ ター
ン H で は 有 意 差が認めら れ (検 定 統 計量,
pく.
05
),
パ ター
ン皿 では有 意差が認 め られ なか っ た (検 定 統 計 量,
n.
s,
).
以 ヒか ら
,
「矛 盾 条 件」が,
創 発 的コ ラ ボレー
シ ョ ン1
お よ び 且を促 すこ と が示 唆 された.
4
.
2
.
条 件がコ ラ ボレー
ショ ン に与える 影響 矛 盾 条 件 が どの よ うに創発的コ ラボレー
ショ ン を 促 して い るの か,
創 発 的コ ラボレー
シ ョ ン の パ ター
ン ご と に 発話 分 析に よ る検 討 を 行っ た.
4
.
2
.
1
.
創 発 的コ ラボレー
ショ ン1
へ の影響 創 発 的コ ラボレー
ショ ン1
は,3
パ ター
ン の中で も 最 も 発 生 率の 高い タ イ プであっ た.
1
グルー
プあ た り の 平 均で み る と, 通 常 条 件で0.
9回, 矛 盾 条 件は2.
1回 とい う数 値を 示し た.
条 件に よる 影 響 を みてい くた め に,
「条件と照 らし合わ せ なが ら ア イデアの 妥当性 を吟 味 す る」 n ニ ッ トで ある [検 討 ]が,
創発 的コ ラボレー
シ ョ ン 1の 中 に含ま れる かど うか によっ て内訳を集 計した とこ ろ,
[検討]が含ま れ ない もの は,
通常条 件 で平均0.
8回,
矛 盾条 件で0.
9同と,
ほぼ 同 程度の 同 数 を示 し た.一
方,
[検 討 ]が含まれ るもの は,
通常条 件 で平均0.
1
回,
矛盾 条件で1.
3
回 と,
明確な違い が ある こ と が わ かっ た.
こ こ か ら,
矛 盾 条 件で は,
条 件に基 づ く [検討 ]が誘発 され, そ れ によっ て創発 的コ ラボ レー
ショ ン1
が増 加し てい た ことが示唆 された.
日本 教 育工学会論文誌 (,
伽..
f
,
Educ.
TechtioZ
):検 討 ]を含む創発的コ ラ ボレ
ー
シ ョ ン1
は全部で 19事 例 あり,
全て類 似 し た 事例 と考え ら れ る た め,
こ こで は代表的な 1 事例 を 紹介す る.
<矛 盾6
>グルー
プ.
で は,
検 討を含んだ5つ の ユ ニ ッ トの 連 鎖 か ら,
「危 険から解 放され た 居 心 地の 良さ」 とい う概 念が 生成された.
C :単 純 に 崖のE
に あ る,
カフ ェ.
単 純に.
すっ こい ソフ ァ居心地良い け ど
,
ちょっ とこ う, ず れ る と死ぬ,
み たい な,
ソフ ァ 自 体は良い け ど,
ソフ ァ に辿 り着 く まで が狭い,
みたい な (笑 ) [提 案 ]A
ア ドベ ン チ ャー
し て く ぐり抜 けた人だけが到 達 出 来る カフ ェ,
みたい な,
冒険し て一,
み たい な.
細い 道とか通っ ちゃ っ た り,
森の 中 通っ て….
選 ば れし者だけが.
[連 想 ]B
お お一.
これっ て,
この 道が危 険 なの か こ の 場 自体 が 危 険 ? [検 討 ]A
ああ,
けど居心地がよ く ない と ダ メ だ か ら一.
カフ ェ は居心 地 が良い け ど行く ま で が危 険,
そ れ か反 対か.
行 く まで は居 心 地 が 良い から,
心 も ド キ ドキ し てウキウキするけど,
行 っ たら 危 険, と か,
[修 正] B あ は は (笑)あ,
なん かで も,
危 険 を,
危 険か ら解 放され た居心 地の 良 さみたい の を 利 用 し て,
行 く まで はすっ こい 危険だけ ど,
あ あ,
解放され た !っ て い う 時 に すごい 居 心 地 が 良い のが 待 っ て る,
っ てい うの は良い かもしれない,
[連 想 コ 発 話 を みて み る と,
コ ラ ボ レー
シ ョ ン の前半で は,
C
に よる 「崖の1.
1、
とい う [提 案 ] や,A
による 「ア ドベ ン チャー
して くぐり抜け る」 とい う二連 想]な ど,
「物 理 的 な 危 険 性」 とい う視 点か らア イデアを 展 開し て い た.
とこ ろが,
B に よる 「こ の 道 が 危 険 なの か,
この 場 自体が危 険? 」 とい う条 件の :検 討 ] を 境に, 議 論の 視 点 が 「居 心 地」 に 向き始めて い るこ と が わ か る.
その 結 果, 「 危 険 か ら解 放され た盾心 地の 良 さ」 と い う新しい概 念が生成さ れた.
こ の事 例 を含む19 事例は,
連 鎖の 前半で 「危険」 あ るい は 「居 心 地」 の ど ち らか一
方に偏っ た視点か らア イデア を 展 開して い た とこ ろに, も う一
方の条 件に照 ら し合 わせ た [検 討 ]が人 るこ と に より,
議 論の視 点 が変化し,
そこか ら新たな概 念生成にっ な がっ てい た,
以上 か ら,
制 作 課 題 に 「矛 盾 条件」 を 設定 する と,
矛 盾 に基づ くア イデアの [検 討 ]が誘発 さ れ,
それに Vol.
35,
N⊂〕.
2 (2011) よっ て議 論の視 点 が 変 化 し,
アイ デアが 吟 味・
再 構 成 さ れ るこ と に よ り,
新た な概 念生成 (創 発 的コ ラ ボ レー
シ ョ ン1
) が 促 され る ことが わか っ た.
4.
2.
2.
創発 的コ ラボレー
ション[へ の影響 通常 条件の グルー
プで は,
合計で 6回の 創 発 的コ ラ ボ レー
シ ョ ン Hが 起 きてい た が,
その う ちの 5 回 は く通 常 3 > に よ る もの で あっ た,
〈通 常3
> グルー
プ につ い て は次節で考 察するこ と にする.
.
方で, 矛 盾 条 件 の グルー
プで は合 計23
回 (グルー
プ 平均約1.
5回)の創発的コ ラボレー
シ ョ ン IIが起 きて い た,
こ れ らの 串二 例の発 話を分 析 し た と こ ろ,
「矛 盾 条 件」 が影 響 し てい た 事 例 は21事 例 あ り,
その生 成の仕 方に よっ て分 類 し た とこ ろ,
(1)議 論 展 開 後の [検 討 ] による変 形 (8
事 例) (2
)制 作 後の 意 味 付け に よる変 形 (13事例 〉 が ある こ とが わかっ た.
(1
) 議 論 展 開 後の [検 討 ] に よ る 変 形 これは,
既存の概念 を 引 き 継 ぎ ながら議 論 を 展 開 し てい る 際 に,
改め て [検 討 ]が入 り,
概 念 変 形につ な がっ た事 例で あ る.
8
事例の うち代 表 的な 1 事例 を 紹介す る,
<矛 盾 6 > グルー
プ で は,
既に生成されていた 「危 険か ら解 放された居心地の良さ」 とい う概 念 を 引 き 継 ぎ,
「居 心 地の 良い 空 間に危 険 な人間がい る 」 とい う新たな 概 念.
へ
の変 形 を 行っ てい た.
B
なん か,
例え ば,
こ うい う崖があっ て,
で,
な んか こ う行 く までの道 が あっ て,
め っ ちゃ危険,
み たい な.
[提 案 ]A
バ ラン ス.
あ ん ま り人が 入っ ちゃ う と落 ち ぢゃ う,
み たいな.
[連 想 ] C こ の へ ん がス カス カ になっ て る,
み たい な ね.
[連 想 ] A :並 しね え,
こ の とこ に さ, 命の危 険 をお か し て 行 く・
⊃て,
相当居心 地 良くない とダメ じゃ ない ? [検 討 ] B うん う ん.
[相 槌 ]C
そ う だ ね,
[相 槌 ] A 何 が その居 心 地 良い の を決め る もの なの か,
ソ フ ァ,
おい しい もの と,
良い 家具と….
そ こに集 ま る人の ク オ リテ ィ とか ? :修 正 ]C
:だっ た ら も う単純に,
こ うい うの は 全 然 ない け ど, 店 自体は居 心 地良い け ど,
居 る人がなぜ か知 ら ない け ど 新 宿 歌 舞 伎町 に い る よ うな人 た ち と か.
[連 想:141
発話をみ てみ ると
,
既 に 生成されてい た 概 念 を 引 き 継ぎな が らアイ デアを 展 開 し てい た が,
A の 「命の 危 険を お か して行 くっ て , 相 当 居心地 良 く ない と ダメ じ ゃ ない ? 」 とい う条件の [検 討 ]に よ り,
居心地の 度 合い が 不 足 し てい る こと が吟 味されてい た.
その 後,
A の [修正] や,
C に [連 想 ]によっ て 「居 心 地の 良 い 空間に危険な人 間がい る」 とい う新 し い概念に再構 成 さ れて いたこと が わか る.
これ らの 8 事例に共通 する点は,
一
度生成 され た概 念に 基づい て議 論 を 展 開 してい く が,
後になっ て から 改め て条 件に基づ く [検 討 ]がな されてい た 点である.
生成され た 段階で は 「危 険だけど居心 地が良い 」 とい う条件 を満た し てい た よ うに思わ れ た概 念も,
議論が 進 む につ れて,
た と え ば 「これで は危 険の度 合い が 強 過 ぎる 」,
あ るい は 「居心地が足 りない 」 とい っ た, 条 件に基づ く吟 味がなさ れて いた ので ある.
そ もそ も, 制作の 途中で生成され た概 念は,
必ずし も 矛盾 条 件を 「完全に」 解決 してい る わ けでは ない.
そ こで 生成された概念は,
あ る 側 面か ら 見 た ら矛 盾が 解決 さ れ たように見 えて い ても,
別の ある側 面か ら見 た 時に は他の 矛盾を孕ん で い る ような 概 念で ある.
ゆ え に,
議 論 が 進 み,
文 脈 が 変 遷 してい く につ れて,
ま た別の 新た な矛 盾が姿を 現し始め, 改めて 条 件 に 基づ く [検 討 ]がなされ るこ と に よ り,
既存の 概 念がよ り 条件に合う形で再構 成され てい くと考えられ る.
以 上 か ら,
制 作 課 題 に 「矛 盾 条 件」 を 設 定すると,
既 存 概 念に基づい て議 論が展 開 した 後 に, 条 件に基づ く 再検 討が誘発され,
そ れ によっ て概 念が よ り条件 に 合 う形に吟 味・
再構 成 され るこ と に よ り,
概 念 変形 (創 発 的コ ラ ボレー
シ ョ ンH
)が 促 さ れるこ とが わかっ た.
(2
) 制 作 後の意 味 付 けに よ る 変 形 これ は,
既存の概 念に基づい て 制作した 「制 作 物」 に対 し て,
あ と か ら意 味付け す る 形で概念変形 にっ な がっ た 事例である,
13事例の うち代 表 的な 2 事例を紹 介 する.
〈 矛 盾 10> グルー
プで は,
「野 外 に あ るカフ ェ 」とい う既 存の 概 念に基づ い て制 作 を逃めた が,
出 来E
がっ た 作 晶 に あ とか ら意 味付けする形で 「雲の 上の カフ ェ 」 とい う 概 念へ 変 形した.
A
:(制 作 中の作品 を見て)危 険要 素ゼ ロ (笑 ) [検討 ]C
:机 が 1つ と, 野 外, が 危 険,
[修 正 ] B ああ,
野外 的 な.
[相 槌 ]142
二 ABC 海 に す る? (笑 ) 空で もい い よ,
[連 想 ] あ一
!そ う し よ !こ こ 空 ! [承 認 ] こ こ空 !ふ ふふ (笑) 良い じゃん.
雲の上.
[連想 ] こ こでの発話を み て み る と,
既存の 概 念に 基づ い て 制 作 を進 めてき た が,A
の 「危 険 要素ゼロ」とい う[検 討 ]をきっ か け に,
一
度制 作の手 を止 め て,
作 品が 「危 険」とい う条 件 を十 分に満た してい る か ど うかの 吟 味 が 行 われ た.
そ こ か ら,A
に よ る 「空 」,
C に よる 「雲 の ト」,
と [連 想 ] が 続 き, よ り危険度 が高く なるよ う に意 味付け がな され,
新たな概 念の へ の 変形が起 きて い た.
続い て、
<矛 盾 5 > の 事 例 を紹介 する,
A (出 来上 がっ た作品 を見て )コ ン セ プ ト・
強 く な りた け れ ば,
登っ て こ い.
違うか (笑 ) [提案 ] C :開 放感を味わい た け れ ば.
コ ンセプ ト.
[連 想 ]A
:頑 張っ た ら嬉しい.
頑張っ た ら気 持ち良い.
頑 張っ た ら気 持 ち良い ! [連想 ] B :頑 張っ た ら気 持 ち 良い (笑 ) [相 槌 ] A : つ ま り,
頑 張っ て 登っ た 人 は ,・
番 良い 眺 め を 手に出 来る.
[連 想 ] 発 話 をみ て み る と,
こ の グルー
プ は そ れまで,
既 存 の概 念 に 基づ い て高い タワー
型の 作 品 を 制 作 し てい た.
し か し,
制 作を終えた後になっ て,
A の 「コ ン セ プ ト・
.
強 くな りたければ,
登っ てこ い.
」 とい う発 話 によ る [提 案 ] を きっ かけに,
居 心 地の観 点か ら作品 が捉 え直 され,
意 味を 後 付 け す る 形で 「危 険 な 塔 を 登 り切 っ た人 だけが良い 眺めを 手に出来る カフ ェ 」 とい う概 念へ の変形が行われてい た.
これ らの13
事 例はすべ て,
明確なコ ンセプ トに従っ て制 作 を 行っ た とい う よ り も,
既に作 り進 めて いた 制 作物 やパー
ツ に対 して,
あ とから条 件 に 合 う意 味 付 け や修正 を彳f う形で コ ンセ プ トを 再 構成 してい た亊例 と い えるだろう.
これ は,
「矛盾条 件」 が設定さ れ て い る こと に よ り, 制 作 物を捉える視点 が2
つ の条件の 間を 揺 れ 動 き,
既に出 来 上 がっ た 制作物 を 別の視点か ら捉 え 直 す 機 会 が 生 ま れ,
結 果 と して新 た な 「見 え 方」 が 導かれて い たこ とが原因だと考 え られ る.
以 トか ら,
制作課 題 に 「矛 盾条 件」 を 設定す る と,
制作物を様々 な視点か ら 捉 え直す機 会が 生 ま れ,
制 作 日本 教 育工学 会 論文誌 (.
/pn..
/.
h’
duc’
.
7と・chiioL )物 に 後 か ら意 味 付 け する形で の概 念 変 形 (創発的コ ラ ボレ