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ゲンタマイシン局所投与後モルモット前庭におけるMusashi1の細胞内局在変化

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Academic year: 2021

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審査の結果の要旨 氏名 木下 淳 本研究は現在のところ一定した見解がない哺乳類前庭障害後の有毛細胞自発 的再生の機序を明らかにするため、前庭感覚上皮傷害物質であるゲンタマイシ ンを内耳に局所投与した前庭有毛細胞傷害モデル動物を用いて、神経前駆細胞 の分化・成熟と細胞分裂に関与する Musashi1(Msi1)の前庭組織内での局在変 化および細胞増殖マーカーBrdU の前庭上皮における取込み量変化の解析を試み たものであり、下記の結果を得ている。 1. 傷害後 14 日目でⅠ型、Ⅱ型有毛細胞は傷害前の 5%、29%まで減少し、障 害後 56 日目ではⅠ型有毛細胞の増加は認めず、Ⅱ型有毛細胞は 93%まで増 加していた。一方、傷害後 6 ら 10 日、11 から 15 日に BrdU を取り込んだ支 持細胞を多数認め、これらの結果から傷害後 6 から 15 日目が支持細胞によ る細胞増殖が盛んな時期であることが示された。 2. 前庭上皮傷害後、1)支持細胞の細胞密度が変化しないこと、2)上記有毛 細胞形成が盛んと考えられる時期に非対称性分裂に関与する Msi1 と有毛細 胞マーカーMyosin7a(Myo7a)の二重陽性細胞が最も多くみられたこと、3) DNA 複製が行われたことを示す BrdU 陽性細胞が支持細胞のある基底細胞 層に多くみられ、一部に BrdU と Myo7a の二重陽性細胞を感覚細胞層に認め たことを示し、有毛細胞の自発的再生機序として支持細胞の非対称性分裂が 関与することを示した。 3. 支持細胞における Msi1 の局在について傷害前は核に限局し、障害後 7、14 日目では支持細胞の核・細胞質にびまん性に発現、その後は時間経過と共に

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徐々に核優位なパターンに変化した。一方、有毛細胞では障害 21 日目に Myo7a 陽性/Msi1 陽性細胞が最も多くみられ、その後は時間経過と共にその ような有毛細胞への分化・成熟の初期段階と考えられる二重陽性細胞は減少 し、Myo7a のみ陽性の成熟した有毛細胞と考えられる細胞が増加した。こ れらの有毛細胞再生過程における Msi1 の局在変化は発生過程における Msi1 の挙動と同様の変化と考えられた。 以上、本論文はモルモット内耳ゲンタマイシン局所投与後の半規管膨大部感 覚上皮において、Msi1 蛋白の経時的な細胞内局在変化を初めて報告した。Msi1、 BrdU による免疫組織化学的解析から、有毛細胞自発的再生に支持細胞の非対称 性細胞分裂と分化が関与し、Msi1 がその過程で細胞の運命決定、細胞系譜形成 の制御に関わる可能性を示した。この研究結果より、Msi1 による内因性神経幹 細胞の分化誘導機構の制御が平衡機能障害の治療戦略の 1 つと成り得るものと 考えられ、学位の授与に値するものと考えられる。

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