(馬蝉墜輪錨肩揚)
日本脳炎ウイルスの伝播ご蚊ごの関係第1報
東京女子医科大学細菌学教室(主任平野憲正教授) 申 ナカ小
u西
ニシ林
バヤシ清
キ司千
チ子
鶴
ズ(受付昭和32年10月20H)
当:教室において小山i)がかつて日本脳炎ウイルスが自然にマウスに保有されていることを証明
し,その後睾四ら2)は寝わらに日本脳炎ウイルスを噴霧してハムスターを飼育するとハムスターが
日本脳炎に罹患することを認めた。今回私共は日
本脳炎と蚊との関係を追求するため主としてハム
スターを実験動物として研究を進めた。従来かか
る実験にはマウスが用いられたがマウスには前述
の小山の実験が示すように自然に脳:炎:ウイルスが往々証明されるのでこれをさけたのである。ハム
スターはSchabe15)によって脳炎ウイルスに罹患
することが明らかにされ,当教室におけるこれま
での研究によって自然に日本脳炎ウdルスを保有
するものがないと考えられるので本ウイルスの研
究には適当な動物であると考えられる。
実 験 1
実験方法:昭和29年8月22目より9月23日までの実 験であって,その期間中の室温は最高35・5。C,最低 19・50Cであった。蚊は東京都新宿区原町附近の溝よ りボーフラを集めて羽化させたもので,アカ/ ・=力及 びコガタアカイエカの雌のみを集めて小瓶に小分けし て,その口をガーゼで蓋い,20%糖蜜によって飼育し ナこ。病毒としては日本脳炎ウイ7レス申山株のVウス脳 継代株を用いた。 蚊の有毒化:頻死の状態に陥った病毒罹患マウスの 脳をpH 7.6の普通ブイヨンで5倍乳剤とせるものを 3000r.P.m.15分間遠心し,その上清に滅菌した40%糖 蜜を等量加え,これを約4cm平方の滅菌ガーゼ片に 浸しそのガーゼを予め40時間前後空腹にした蚊のいれ てある瓶内に針金で吊し約2時間吸わせ腹部のふくれ た蚊だけを試験管で集め,その後20%糖蜜で飼育を続回であるが,乳剤とした蚊の数は第1回,
回,第3回共40匹,第4回25匹であって接種液は
毎回無菌であった。接種されたハムスター一はいずれも4∼5日で定型的弓痺:を起して死亡したがそ
の脳は無菌であり,脳乳剤の上清は次代マウスを
・事4日目で艶し,またそれらのマウスの脳1こは菌は けた。 蚊体内におけるウイルスの検査法:ウィルスを吸つ . た蚊の一定数を吸毒直後,吸呑後3日,8目,10日及 び14日に殺し,翅と脚を除いて秤量しpH 7・6の普通 ブ4ヨンで10倍乳剤としペニシリン200u/cc及びスb レプトマ■シン2mg/ccを加えて3000r.p.m.15分間遠 心し,上清の0.05・vO. lcc宛を生後2∼4週後の・・ムス タ・・の脳内に接種した。対照としては,蚊に吸わせた 病毒材料の一部を試験管に入れ,これを蚊が吸ってい る間室温に放置し,後pH 7.6の普通ブイヨンで10倍 に稀釈し,ペニシリンとス1・レプトマィシンを同様に 加えて遠心し,上清の0.05cc宛をノ・ムスPt eの脳内に 接種した。蚊を殺してからその乳剤をハムスターの脳 内に接種するまでに,ウィルスの減弱することを極力 避けるために,充分留意したことは勿論である。接種 後ハムスPt ・一を2週間観察し,その間に死亡した場合 には直ちに脳を無菌的にとり出し,乳剤接種側の脳の 一部分を普通寒天及び」血液寒天斜面に培養して無菌試 験を行い,残りをpH 7.6の普通ブイヨンで乳剤とし, 上清を次代マウス脳内に接種した。他側の脳はフォル マリンで固定して組織学的検査に用いた。次代接種を 行ったマウスが発症した場合には,死亡直後脳の無菌 試験を行い,雑菌による死亡であるか否かを確め,ま た脳の一半を組織学的検索にあてた。実験成績:’吸毒直後の蚊の乳剤上清をハムスタ
…一ノ接種した実験は,第1表に示すように合計4
第2
Kiyoko NAKANISHI, Chizu 1{OBAYASHI (Dept. of Bacteriology, Tokyo Women’s Med. College.) : On the role of mosquitoes in the dissemination of Japanese encephalitis viTus. Part 1.
第1表図心直後,吸雨後3,8,10,14日の蚊乳剤 によるハムスPt e脳内接種試験(実験1,昭和29年) 実験日 17一. .
直後
直後
蚊靴ムス・死亡届次代・・画面
(匹) No.の日数ス発症脳炎病変l
e
ト ・・ 撃撃I
4/4 1 + 4/4 士 40 4 5 4 44f4 +
4f4 ’ +17
直後…401 8
1i l g
4 5 5 4/4 1 4/4 1 一4/41士
」陣後2511
[一 4 4 4f4 1 一 4/4 [ + j 1 一一1 19 3日目奄Q8、8
19
4 4 4 5 4f4 tr ll i 一 ’i l 十 8日目 20 27 28 296
11 4(二三) 4f4 tl /1 十34
35
10目目 2136
37
4 4 4 4 4f4 11 t/ r1 14日目38
18 」 3940
4 5 5 4f4 f/ 17 十 対 照 ± ± 十 10 11 4 4 4/4 t/ 次代マウス発症…分母接種マウス数,分子発症した マウス数。脳炎病変…土は脳炎病変の不鮮明なもの。 回方後3,8,10日の実験は2回行ったが1回の成績 は省略す。認められなかった。なお対照として室温に放置し
た病毒材料をハムスターの脳内に接種した場合もやはりハムスターは4日後に三下を起して死亡
し,その脳は無菌であり,脳をマウスの脳内に接
種したものは4日目に死亡した。脳の組織学的検
査において脳炎の変化の認められるものもあり,認められないものもあった。吸上後3,8,10日の
蚊乳剤接種の実験は2回ずつ行ったが,毎回大体
同様の成績が得られたので,本文では1回だけの
成績を述べ,2回目の実験成績は特に異った結果
が得られた盛合のほかは省略することとした。吸
毒後3日の蚊についての第1回の実験は第1表に
示すように28匹の蚊より乳剤を作り,前と同様に
処理してハムスターの脳内に接種したところ,ハ
ムスターは接種後4∼5日で死亡し,脳は無菌で
あり,次代接種マウスも4日後に死亡した。接種
液には少数の雑菌が存在したが組織学的にも脳膜
炎:の変化は認められず,また後にこの菌のみをハ ムスターの脳内に接種してみたが,ハムスターは死亡しなかったので,第1回実験で死亡したハム
スタ…一は脳炎病毒によるものであると思われる。第2回実験において生残したものは4週後に全採
血し,その血清について補体殴合反応を行った
が,1血清稀釈1:2で陰性であった。第1回実験
のハムスターは4匹中1匹だけが組織学的に脳炎
の変化を示した。吸毒後8日の蚊乳剤は5匹の蚊より作り,前と
同様に処理して,3匹のハムスターに接種したが
全部生残した。接種液には3日後の場合と同様に
少数の雑菌が存在したが実験には影響がないもの
と思われる。4週後全採血しその』虹清について前回同様,補体詰合反応を行ったが血清稀釈1:2
でいずれも陰性であった。第2回目は20匹の蚊よ
り乳剤を作り3匹のハムスターに接種したところ
6日及び11日後に死亡しその脳乳剤上清はマウス
ig 4日後に麗した。即ち,吸毒後8日の蚊乳剤を接種した場合にはハムスターは罹患しないか,吸
毒直後のものに比し死期の延長がある。吸毒後1G日の蚊乳剤を接種した場合にはハムス
ターはいずれも4∼5日後に発症死亡した。死亡
したハムスターの脳はいずれも無菌であり,脳乳
剤上清はマウスを4日目に定型的に発したので,吸毒後10日の蚊の体内には脳炎ウイルスが存在し
ていると思われるが,これを接種して死亡したハ
ムスターの脳の組織学的検索において脳炎の確実
な変化の現れたものは,第2回実験のハムスター
No.37の1匹のみである。
次に吸毒心14日の蚊の体内の脳炎ウイルスの存
否を確める実験を行ったが蚊が少かったので1回
実施したのみである。18匹の蚊の乳剤を接種され
たハムスターは3匹共4∼5日後に死亡し脳は無菌
でありウイルスはマウスに接種可能であった。死
亡したハムスターの脳の組織学的検索は2匹にお
いては不明であった。今回も接種液に少数の雑菌
を証明したが実験に影響はないものと思われる。実 験 H
一29一
この実験は昭和30年8月18日より10月25日迄に行わ れたものであり.この期間中の室温は33.8。C∼14.4。C であった。 実験方法:実験1と大体同様であるが,前回接種液 に雑菌が混在したので今回はこれを除きたいと考え, 蚊乳剤に加える抗生物質をtk・=シリン1000u/cc,ス} レプトマィシン3 mg/ccとした。本実験において雑菌 の混入の少かったのはこのためと思う。この実験にお いては吸毒直後,吸毒後3日,8日,9日,10日,11 日,14口,21日,22日後に蚊の一定数を殺して乳剤と し,これをハムスターに接種した。観察及び実験の方 法は前回と同様なので省略する。但し今回はさらに次 の実験を追加した。安東5)によると三三蚊が吸血する とウわレスが増殖するという。この実験においてはこ れを追試するために,吸毒後8,10,15及び21日の蚊 にハムスPt ・一から7∼8時間吸血させ,その吸血蚊乳 剤をハムスタ 一一脳内に接種し,吸血による生体内の病 毒の増減を試験した。その方法はつぎの通りである。 ハムスターを木板上に固定して金網籠に入れその中 第2表吸毒後8,9,10,11,15122目の蚊乳剤に よるハムスター脳内接種試験(実験H 昭和30年)
興誘幅タ灘弓袋孟「灘嬰
へ蚊を放ち,一夜放馬して吸血きせ,翌朝吸.血により 腹部が赤くなっているものを採集し,それを乳剤とし てベニシ1)ン,ス}レプト .Y・fシンを加え3000r.p.m. 15分遠心し,上清を0.1cc宛4匹のハムスターの脳内 に接i回した。 実験日lsHH1 20
1
64 生
65 生
66 生
9日目… 12 1 74 75 76 77 6 6 7 7 4f4 11 tl tl 十 10日目 18 78 79 80 81 生 生 生 生 4f4 rl I/ rl 第3表吸毒後8,10,15,21日に於てノ・ムスター を吸血した蚊の乳剤による脳内接種実験 (実験H 昭和30年) 吸血した 日 (吸毒後) 8日目 8日目 88 89 90 91 5 5 5 10 10日目 11日目 12 92 93 94 95 6 6 6 13吸血
蚊数
(匹) 22 15日目 15 101 102 103 生 生 生 12 ハムスタ r一” NO・ 22日目 16 67 68 69 70 死亡迄 の日数 5 5 5 5 次代マウ ス発症 4f4 tf ゲ I1 71 72 73 82 83 84 生 生 生 組織学的 脳炎病変 i 12 1 6−P’一ll, 6 旨 〃 6 グ1一
十 十 4f4 rl t/ t/対照8,9,10,11,15,22日の対照全音醗症
85・・蜘・8186
87 7 生 生 96 1 3497 生
98 生 Of4 15目目 16 Of421日目i 13
1g.g…j99 12 13 4f4 .4f4 十 十 対 照 8,10,15,21日の対照全部発症 実験成績:吸毒直後,吸毒後3日(蚊の数11匹), 8日(蚊の数20匹),9日(蚊の数12匹),10日(蚊の 数18匹),11日(蚊の数12匹),15日(蚊の数15匹), 22日目蚊の数16匹)の蚊の体内には8日,10日及び22日を除きウイルスが証明されたが,吸毒した蚊
を健康ハムスターの容器に入れて吸血させその蚊
を乳剤としてハムスターに接種した揚合には次の
ような成績がえられた。淋毒後8日の蚊20匹を乳剤としてハムスターに
注射した揚合ウイルスは証明されなかった。しか
しそのときの蚊をハムスタ・・一一の容器に入れて吸血させた場合には,第1回目の実験ではウイルスは
証明されたが次の実験では逆の成績がえられた。吸毒後10日の蚊についての実験成績も8日の話合
と同様である。吸毒後15日の蚊の体内にはウイル一30一
スが存在したが,それがハムスターを吸」]31.した後 にはウイルスは証明きれなかった。除毒後2ユ日の
蚊がハムスターを吸血した後は体内にウイルスが
証明された。(第2表,第3表参照)
実 験 皿 この実験は昭和31年5月18日より8月15日迄に行つ た.今回は蚊の体内における増減を日を逐うて測定 し,滅少し始める時期及び再び増加する時期などにつ いて詳しく実験を行った。 実験方法=実験丑の場合と同様である。 第1回実験は吸毒直後,吸心後3日の蚊がハムスタ 第4表 吸毒各日数後の蚊乳剤及びハムスターを吸 血させた吸毒蚊乳剤によるハムスター脳内接種試験 (実験皿 昭和31年)蹴欄轡
ノ、ムスタ r一一 NO. 1 31 119 120鎌譲饒i欝
4 1 3f3
4 1 3/3 i + ll i 23 i 123 4 i}7i,}一P
…1 一の血を吸った後,吸融雪4日及び11日にウイ7レスの 消長を追求した。第2回目の実験は吸毒直後,吸毒後 1日,2日,3日,8日,11日の蚊の体内のウ々レスの 消長と,吸毒後3fll,8目の蚊がハムスターを吸血し た後のウィルスの消長を検討した。第3回目は吸毒直 後,吸毒後1日,2日,3日,5日,10目の蚊の体内の ウイルスの消長と,吸二丁3日,5日の蚊がハムスu 一を吸血した後のウィルスについて検討した。第4回 目には蚊の体内のウィルス量を測定した。吸毒直後, 吸毒後3日,8日,10日,14日,21日の蚊の一定数を 殺し実験1と同様の方法で乳剤とし,抗生物質を加え て遠心しその上清を10−1液とし,更に普通ブイヨンで 第5表 吸毒各貝回後の蚊乳剤及びハムスターを吸 血させた吸毒蚊乳剤によるハムスター脳内接種試験 (実験皿 昭和31年)1実験磯離響.鷲.響蘂灘
124 皿 1 20 139 140 4 4 2/2 5 2f2 rv 3212s 1 6
126 6 3f3 1 一 3f3 1 一 p 12 127 128 16 逃 2f2v
12 129 130 生 生W
30 131 132 5 5 3f3 4f4 133 5 2/3 2f2 II 21 20 143 144 5 5 4f4 3f3 皿W
134 皿 23 135 136 5 3f3 5 5 4f4 4f4 27 137 138 4 4 4f4 4f4 1 対 照1 … 121 122 4 4 3f3 3f3 rv 2P“ 145 146 147 [ 20@14s E
6V
23 149 150 6 3f3 1 ,f3 [6 1 3f3
6 3f3 6 生 3f3 18 151 152 153 生 生W
22 154 5 7 ,f3 1 3f3 」 一 40 155 156 5 5 3f3 12 3f3’57 1生
158 生 1対劇
1 141 4(共寝)「142 1 s 1 3f3
実験材料 1…吸毒直後の蚊乳剤,ll:…吸毒1日後の 蚊乳剤,m…吸毒2日後の蚊乳剤, W…吸毒3日後の 蚊乳剤,V…丹毒3日後ハムスPt ・一を吸血した蚊の乳 剤,W…吸毒8日後の蚊乳剤,田…吸毒8日後ハムス Pt 一一を吸血した蚊の乳剤,㍉皿…吸毒11日後の蚊乳剤。 実験材料 1…吸毒直後の蚊乳剤,ll…吸毒1日後の 蚊乳剤,皿…吸毒2日後の蚊乳剤,IV…吸毒3目後の 蚊乳剤,V…吸毒3日後ハムスターを吸血した蚊の乳 剤,VI…無毒5日後の蚊乳剤, W…吸出5EI後ハムス タ 一一 L.吸血した蚊の乳剤,冊…吸毒10目後の蚊乳剤。 T .e^ ’稀釈して10−2,10“’・R,10一4液をイ4三り,0.025cc宛をマ ゥス脳内に接種した。
雲験成績:今回の実験では初夏における蚊の発
生時期に第1回の実験を行ったが,盛夏の候の実
験と同様の威績をえた。即ち,吸毒直後の蚊及び
吸毒後11日の蚊の体内にはウイルスが存在した
が,論調後4日の進め体内にはウイルスを証明し・ えず,吸即興3日の蚊がハムスターを吸!h1した場合は3群の蚊の中1群にのみウイルスが存:在し
た。(表省略)(第2回,第3回の実験成績は第4
表,第5表を参照)。 第6表 吸毒各函数後の蚊乳剤のハムスター及びマ ウスの脳内接種試験(実験IH 昭和31年) 1実験嗣料
1 皿 (匹)雛・ス・」死亡輪裂織脇
一No・の日数僥症蜘病
変致死量
54 1 159 160 163 5 68 164i 165
18 1 166 5 生 生 生 r167
rv i 23 1 . 1 i68 生 4 4 2f2 [ ’ 10−1 3/3 i l ttt t ttt lttt i 生(10一一1)V
1対照 33 15 169 170 171 172 5 173 174 6 6 1生(10−i) 4/4 3f4 2f2 3/3 3f3 1e 1 4f4 6 [ 4/4 6 161@i 4〔共喰・162 i 4
4f4 3f3一1
10−2 10−2 一「』一一u
[ io−2 実験材料 1…吸毒直後の蚊乳剤,H… の蚊乳剤,皿…吸毒8日後の蚊乳剤,IV…吸毒10目 後の蚊乳剤,V…吸毒14日後の蚊乳剤, VI…吸血21 日後の蚊乳剤。蚊の体内のウイルスを日をおうて追求してみる
と吸込直後が最も多く,酒毒後日を経るに従って 減少し3日目には証明されない揚合もあったが,三二後5日,10日置14日において再びウイルスは
増加した。定量的に実験した第4回目の成績によ
ると(第6表参照),増’加する時期のウイルス量は [ 10−4 ..L 吸毒3日後直後のそれより少量であった。今回の実験におけ
るハムスターの脳の組織学的検索においては明ら かに脳:炎の変化の認められたものは少く,わずか に吸毒直後の蚊乳剤を接種したハムスターの1:・匹 の脳に脳:炎の変化を認めたのみである。総括及び考按
私共は昭和29年より31年迄3年問にわたって日
本脳:炎ウイルスを吸った蚊の体内におけるウイル スの消長を迫派した。日本脳:炎が蚊により伝播されるのではないかと疑問がもたれてより多くの人
々によって実験が行われてきたが,その成績につ
いては三田村6・7),Ha㎜on8,ら磁白描定説と
安東4・5、,松本9),Smithlo)らの否定説とがある。私共は従来実験動物として用いられていたマウ
スの代りにハムスターを用い,また実験材料を細
菌濾過器で濾過すると病毒が減少する(大西11, 小材12’,三田村18)ので私共はペニシリンとスト レプトマイシンで雑菌の癸育を阻止して本実験を 行った。マウスに臼本命:炎の不顕性記紀があるこ とは小山1),川村15),三田村7)らにより証明されたが私共の研究によるとハムスターにはない。し
かもSchabe1が述べたように脳炎ウdルスに感受
性が強い。従ってハムスターは日本脳:炎の研究に は適した動物と思う。 人工的に有毒化せしめた蚊の体内におけるウイ ルスの消長に関しては安東4/5)の詳細な実験があ り,それによれば,人工有毒蚊体内のウイルスは一時減少し,後,急激に増加するがこの増加は吸
毒直後の蚊体内ウイルス濃度と同程度かまたはそ
れ以下であるという。松本9)も同様な成績を報告 している。大西ユユ),小林ユ2)らによれば,酒毒後1日,4日,9日,20日において,蚊の体内にはウイル
スは存在しなかったというが,実験:方法の相違に よるものではないかと考えられる。私共の実験においてはウイルス材料を吸わせた直後においては
毎回蚊体内よりウイルスが証明された。大体吸毒
後3日にはウイルスは証明されなくなり,吸病後
8日,10日,14日,21日では,再び体内にウイル
スを証明するようになった。しかし第7表に示す
ように吸毒後3日にもウイルスが証明され,吸心
後8日において証明されず,10日,14日に再び証
明される帳合もあった。淫乱後3日に既に減少を
示しているものでは8日または10日目に増加を示
しているものが多い。しかし,吸毒後11日まで体
一 82 一一等7表 蚊体内に於ける日本脳炎ウイルスの消長 実験年月日 百艦 暴 毒
糠
〈屍 奏橡 十覆 二L. 颪星 蓋髭 泉蚤士 @星 量 照和z麻 Q殆 33’ 市2η 暦騙
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まではウイ.ルスが証明されたが,ユO日目には消失してしまつた黙もあろ。大体において室温の高い
程蚊の体内のウイルスは急に減少し,或期閥後再
び増’加するようであり,この増加した時期に蚊が 伝染力を有するか否かは次の実験に述べる’予定で ある。増’加するまでの期間は気温などによつていろいろであるが大体1週間位ではないかと考えら
れる。 三田村14),野村15),Hammoni6), Reevesi7),Smith10)らは吸毒後7∼25日において伝染が可能
であるとのべていることから考えると蚊の体内の
ウィルスの増加する時期となんらかの関連がある
ように思われる。なお私共の実験に用いた蚊は糖
蜜のみで飼育し血液を与えていないので,安東の
いうようにウイルスの有毒化に.血液を吸うことも必要なのではないかとも考え,吸毒した蚊にハム
スターの血を吸わせて実験してみたが,特に吸1血
後の蚊においてウイルスが増’加したとは考えられ なかつたQ 結 論 Li. 日本脳炎ウイルスを吸つた蚊の体内には, 吸毒鷹後にはウイルスが証明きれる。2.吸毒後3日の蚊の体内においてはウイルス
の証明されない揚合が多い。3. 吸毒後8日,9日,10日,11日の蚊の休内
においては,ウイルスの証明される蜴合の方が多
い。 4. 吸毒後ユ4日の蚊の体内にはウイルスが証明 される。5.吸毒後21日の蚊の体内にもウイルスは存在
すると思われる。6.以上の成績より,蚊の体内に吸われたウイ
ルスは一9’1減少し,後或期閣を経て増加する。し かし吸毒直後のものよりは増.加しない。そして増加するまでの期間は気温などにより種々である。
7.蚊の有毒化に頚1液を吸わせることが必要で
あるとは考えられない。 終りに御指遵,御咬閲を賜わりました平野教授並に 病理学的検査を御指導頂きました病班学,今井教授に 厚く御礼申し上げます。 〔本論交の一部は第.20四唄{京女子医料大学々会総会 (昭和29年)及び第31π1ウイ7レス学会総会(日翫ミロ30.年) において発夫した。) 文 献 1)小山千代:紬菌学雑誌,2,3(昭22) 2)中彌清子他;束京女医大誌,25(8),315(昭30) 3) Schabel, F..M. Jr.:」. ln£ Dis. g8, 32(1949) 4)安東 清他:細菌学雑誌,(559),437(昭17) 5)安東 藩他;細菌学雑誌,(560),481(昭17) 6)蕊田村篤志郎他:東京医.事新誌,3076,42(昭 13) 7)議田村篤志郎他:東京医事新誌,3077,820(昭 13)8) Ham.meR, W.D., et al.:Am. J. Hygiene. 5g,
51 (1949)
9)松本 稔:学術月報別冊資料,19,103(昭27)
10) Smith, M.G., et al.:J. Exp. Med. 87, 2
(1948) 11)大西俊ew:細菌学雑誌,(527),33(昭15) 12)小林六造他;東京医事新誌,3075,4(昭13) 13)]ll村麟也他:東京医事新誌,3128,1(昭14) ユ4)三田村篤志郎他;東京医事新誌,2957,46(昭 10) 15)野村幸男:十全医学会雑誌,57,1540(昭30)
一88一
16) Hainmon, W.’D. :.. Am.・ J. Hygiene. 50, 46
(1946)
17) Reeves, W.C.:J. Exp. Med. 83, 185(1946]
18)罵田村篤志郎他:東京医事新誌,3076,9(昭13: