Title Physiological responses of plant seedlings and suspension cells toaluminum ions( 内容の要旨 ) Author(s) 本田, 宗央 Report No.(Doctoral Degree) 博士(農学) 甲第078号 Issue Date 1996-09-13 Type 博士論文 Version URL http://hdl.handle.net/20.500.12099/2419 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
氏 名(国籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及 び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 負 本 田 宗 央 (岐阜県) 博士(農学) 農博甲第78号 平成8年9月13日 学位規則第4条第1項該当 連合農学研究科 生物資源科学専攻 岐阜大学
Physiologicalresponses of plant seedlings and suspension cells to aluminu皿ions
授 授 授 授 授 教 教 教 教 教 学 学 学 学 学 大 大 大 大 大 阜 阜 州 岡 阜 岐 岐 信 静 岐 査 査 査 査 査 主 副 副 副 副 原 木 曾 入 江 小 西 高見帝 鎗 茂一 夫 眞 三 毅 裕 論 文 の 内 容 の 要 旨 世界の耕作可能地の約40%を占める酸性土壌においては、リン酸欠乏などの養分 欠乏とアルミニウム(Al)ストレスは主たる植物の生長抑制因子である。酸性土壊 においては、Alが可溶化し植物の根分裂組織に作用し、根伸長を阻害することによ り、生育障害が起こると考えられている。これまで、植物のAl障害に関する生理学 的な研究は、根端分裂組織を実験に供試することで行われてきた。しかしながら現 在においても、植物のAl耐性の生理的なメカニズムは明らかとなっていない。した がって、高等植物の生理的なAl耐性の研究を行うには、分裂組織を用いたより効果 的な手法が必要であると考えられる。そこでこの研究では、個体植物の根端分裂組 織の代わりに、分裂組織の集合体であると考えられる植物懸濁培養細胞を実験に供 試することができるか、また培養細胞におけるAl耐性メカニズムがどのようなもの かについて検討した。
ファルファ品種の根伸長を、2.5uMのAlおよび300LJMのCaを含む水溶液にて比 較し、最も根伸張が良好であった5444と、最も根伸張が阻害されたDupuitsを選抜 した。それぞれの胚軸から誘導した培養細胞の生育は、培地中のAl渡度が上昇す為 のにともない減少し、その相対生育量はすべてのAl処理区において、5444はDu puitsを上回った0細胞中のAl含量は、培地中のAl漉度の増加により上昇し、Du puitsはすべての処理区において5444を上回った0これらの結果より、培養細胞にお けるAl耐性は、個体植物におけるAl耐性を反映しており、懸濁培養細胞を用いた研 究は、植物のAl障害の研究に適用可能であると考えられた。 培地中のAl量を一定にし、ニンジン(βaucuscaroねL.)懸濁培養細胞の移植量を 増加することにより、相対生育量が増加した。また、培地中のAl量と移植量の比を 一定とし、1週間の培養を行ったところ、相対生育量および細胞中のAl含量ともほと んど同じ値を示した。Alを含まない培地での細胞集塊の生育量は3つの集塊サイズと も差がなかったにもかかわらず、Alを添加した培地では最も小さい集塊サイズが最 も阻害を受けていた。小さい集塊サイズはほとんどすべての細胞が、アルミノン法 により赤く染色されたが、最も大きいサイズでは染色されていない細胞が認めら れ、Alが局在していた。対数増殖前期の細胞は定常期の細胞に比較して、Al添加に ょる生育低下が小さかった。しかし、対数増殖前期の細胞をAlを含む培地で低温下 で培養することにより、定常期の細胞と同様にAlに対する感受性が高まった。これ らの結果より、培養細胞系においてAl耐性を評価する場合には、数々の変動要因が 含まれているため、これらの要因を十分考慮する必要があると結論された。 上記の実験で確立されたニンジン培養系において、生命維持に関わると考えられ る部分の呼吸量(維持呼吸)が、100日MのAlの添加により短時間に著しく増加す ることが認められた。また、300日MのAl添加により対照区に比較して呼吸量は50 %、細胞中のATP含量は65%となった。CCCPおよびDNPなどのATP合成阻害剤の添 加、あるいは低温処理をAl処理と同時に行うことより細胞中のAl含量が著しく増加 した。しかし、呼吸阻害剤であるSHAMを添加した場合には、呼吸量は著しく減少し たが、ATP含量およびAl処理後のAl含量はともにAlのみ処理区と同様であった。こ れらの結果は、高いATP合成活性を維持している細胞は、細胞内にAlが進入するの を防ぐメカニズムを有していることを示唆している。
審 査 結 果 の 要 旨 本論文は第1∼3章で構成され、植物のAl障害の研究に対して、個体植物の 根端分裂組織の代わりに、分裂組織の集合体であると考えられる植物懸濁培養 細胞を実験に供試すること.ができるか、また培養細胞におけるAl耐性メカニズ ムがどのようなものかについて検討したものである。 第1章では、個体植物のAl耐性と培養細胞のAl耐性を比較し以下の結果を得 た0アルファルファ(MedLcagosatLYaL・)幼植物の根伸張は、2.5pMのAl水 溶液での栽培により制限され、10HMのAl水溶液では著しく阻害を受けた。_ 10品種のアルファルファ品種の根伸長を、2.5日MのAlを含む水溶液にて比較 し、最も根伸張が良好であった5444と、最も根伸張が阻害されたD。puitsを 選抜した。それぞれの胚軸から誘導した培養細胞の生育は、培地中のAl濃度が 上昇するのにともない減少し、その相対生育量はすべてのAl処理区において、
5444はDupuitsを上回った。細胞中のAl含量は、培地中のAl濃度の増加により
上昇し、Du puitsはすべての処理区において5444を上回った。これらの結果よ り、培養細胞におけるAl耐性は、個体植物におけるAl耐性を反映しており、懸 濁培養細胞を用いた研究は、植物のAl障害の研究に適用可能であることを明ら かにした。 第2章では、懸濁培養細胞の実験における技術的特徴を明らかにした。培地 中のAl量を一定にし、ニンジン(肋ucl∫SCarOねL.)懸濁培養細胞の移植量を増 加することにより、相対生育量が増加した。また、培地中のAl量と柳直量の比 を一定とし、1週間の培養を行ったところ、相対生育量および細胞中のAl含量 ともほとんど同じ値を示した。Alを含まない培地での細胞集塊の生育量は3つ の集塊サイズとも差がなかったにもかかわらず、Alを添加した培地では最も小 さい集塊サイズが最も阻害を受けていた。対数増殖前期の細胞は定常期の細胞 に比較して、Al添加による生育低下が小さかった。これらの結果より、培養細 胞系においてAl耐性を評価する場合には、数々の変動要因が含まれているた め、これらの要因を十分考慮する必要があることを指摘した。 第3章では、培養細胞のAl耐性メカニズムの一端を示した。上記の実験で確量(維持呼吸)が、100pMのAlの添加により短時間に著しく増加することを 認めた。また、300HMのAl添加により対照区に比較して呼吸量は50%、細胞 中のATP含量は65%となった。CCCPおよびDNPなどのATP合成阻害剤の添 加、あるいは低温処理をAl処理と同時に行うことより細胞中のAl含量が著しく 増加した。これらの結果より、高いATP合成活性を維持している細胞は、細胞 内にAlが進入するのを防ぐメカニズムを有していることを明らかにした。 以上の論文構成や内容について慎重審議した結果、得られた知見は植物のAl 障害の研究に培養細胞の実験技術が適用可能であることを示したもので学術的 にも価値があるものと評価された。その結果、審査委貞全点一放で本論文が岐 阜大学大学院連合農学研究科の学位論文として十分価値があるものと認めた。