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日本内科学会雑誌第106巻第5号

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Academic year: 2021

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はじめに

 ヒトの腸管内には約 100 兆個の腸内細菌が常 在し,腸内細菌叢を形成している.腸内細菌は 宿主であるヒトにとって栄養面や免疫制御をは じめ,種々の有益な機能を果たしているため, その破綻は様々な疾患を引き起こしたり病態を 修飾したりし得る.近年,次世代シークエンサー を用いた菌叢解析や代謝物の網羅的メタボロミ クスなど解析技術の飛躍的向上によって腸内細 菌に関する研究はめざましく進歩しており,腸 疾患以外にも全身の病態との関与が続々と報告 されてきている.腎臓病との関連も例外ではな く,腸内細菌および腸管機能はその病態に深く 関与していることがわかってきた.本稿ではこ の腎疾患と腸管の連関である「腸腎連関」につ いて主に慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)との観点から,今後の臨床に与えるイン パクトの展望を含め述べる.

1.CKDが腸内細菌と腸管に与える影響

1)ディスバイオーシス  疾患に関連するような好ましくない腸内細菌 叢の状態を「ディスバイオーシス(dysbiosis)」 と呼ぶ.CKDにおいても腸内細菌叢が変化して ディスバイオーシスが生じていることが患者検 体や腎不全モデル動物の糞便や腸管内容物を用 いた検討から報告されてきた.各報告により菌 種の差はあるものの,CKDにおいては健常人と 比較して腸内細菌叢に変化が出ることは明らか なようである.中でも,CKDにおける腸内細菌 叢の変化としては,Lactobacillus,Prevotella, Bifidobacteriaなどいわゆる“善玉菌”と呼ばれ る菌種の割合が減少しているという報告が多

見えてきた腸腎連関の存在

要 旨 三島 英換1) 阿部 高明2)  腸管と腎臓の連関「腸腎連関」が近年明らかになりつつある.腸管およ び腸内細菌叢は腎臓病の病態に相互に関与する.慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)では腸内細菌叢や腸管機能が変化しており,こ の変化は腸内細菌由来尿毒素,炎症反応,免疫制御などを介して腎臓病の 病態に影響を及ぼす.そのため,プロバイオティクスやバイオティクス, 緩下剤などにより,腸内細菌を含む腸内環境を是正することが腎臓病の新 しい治療介入になる可能性が期待されている. 〔日内会誌 106:919~925,2017〕 Key words 腸腎連関,腸内細菌叢,尿毒素,便秘,慢性腎臓病 1)東北大学病院腎高血圧内分泌科,2)東北大学大学院分子病態医工学分野

Treatment of Kidney Disease from the View of Organ Crosstalk. Topics:II. Unveiled insights of gut-renal axis.

Eikan Mishima1) and Takaaki Abe2)1)Division of Nephrology, Endocrinology and Vascular Medicine, Tohoku University Graduate School of

Med-icine, Japan and 2)Division of Medical Science, Tohoku University Graduate School of Biomedical Engineering, Japan. Ⅱ. 見えてきた腸腎連関の存在

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い.一方,CKDの腸内細菌叢で増加する菌種と

しては,腎不全患者サンプルの検討から

Brachy-bacterium,Catenibacterium,Enterobacteriaceae

などが増加していることが報告されている1) CKDでディスバイオーシスが生じる機序は明ら かではないが,合併する代謝性アシドーシス, 尿毒症状態,頻用される経口治療薬(鉄剤やイ オン交換樹脂など)の影響,便秘,栄養障害な どがその原因として推定されている.このよう な腸内細菌叢の変化は尿毒素,炎症反応,免疫 機序などを介してCKD病態に悪影響を及ぼして いることが明らかになりつつある(図 1)2) 2)leaky gut  CKDの腸管内では腸内細菌叢に加えて腸管壁 自体にも変化が生じる.CKDでは尿毒症,腸管 の浮腫や虚血性変化などにより,腸管上皮のタ イトジャンクション関連蛋白質の発現が低下す ることで,“leaky gut(漏れやすい腸管)”と呼 ばれる腸管壁の透過性が上昇する変化を起こし ている2).その結果,腸内に本来とどまるべき 細菌群が腸管壁を透過してしまい,全身循環へ と侵入し,慢性炎症を惹起し得ることが報告さ い血中エンドドキシン値を認めるため,腸管の バリア機能障害の存在が示唆される3).CKDの腎 障害の進行には腎内局所および全身の慢性炎症 が 1 つの増悪機序であるため,腸管壁障害に起 因する炎症もCKDの慢性炎症病態に寄与してい る可能性がある.

2.腸管と尿毒素

1)腸内細菌由来尿毒素  さらに腎臓病と腸管をつなぐ重要なキーワー ドは「尿毒素」である.腎機能低下時には,本 来腎臓から尿へと排泄されるべき尿毒素と呼ば れる種々の代謝物が血中や体内に蓄積し,蓄積 した尿毒素が腎機能をさらに悪化させるという 悪循環が存在する(図 2).また,尿毒素は心血 管合併症,骨代謝異常,筋萎縮,神経症状など CKDで出現する諸症状にも関与する.この尿毒 素の中でもインドキシル硫酸,p―クレシル硫 酸,トリメチルアミンN-oxideなどCKDの増悪や 血管合併症に強く関与する尿毒素はいずれも食 事由来の成分をもとにして腸内細菌代謝を介し て産生されるものである(図2).食事成分のう ち,トリプトファン,チロシン,カルニチンは 小腸で吸収されきれずに大腸に到達すると腸内 細菌の代謝によりそれぞれインドール,p―クレ ゾール,トリメチルアミンへと変化する.その 後,肝臓で代謝を受けてインドキシル硫酸,p― クレシル硫酸,トリメチルアミン―N-oxideの尿 毒素へと変化する.腸内細菌を有さない無菌動 物では,腎不全にしてもインドキシル硫酸やp― クレシル硫酸が全く蓄積しないため,これらの 尿毒素は完全に腸内細菌代謝に依存したもので あることを我々は示している4)  CKDでは尿中クリアランスの低下に加えて腸 管機能や細菌叢の変化がこれら尿毒素の産生量 および蓄積に影響を及ぼす.CKD患者では腸管 図1 CKDにおける腸腎連関 腸腎連関 CKD 腸内環境悪化 Leaky gut,便秘 腸管由来尿毒素の増加 短鎖脂肪酸産生の低下 慢性炎症惹起 球形吸着炭 プロバイオティクス プレバイオティクス 緩下剤 腸管をターゲットとした 治療アプローチの可能性 腎線維化 ・炎症の悪化

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内での吸収障害が起きているため,食事中蛋白 質成分が小腸で吸収しきれずに大腸に到達する 量が増加すると腸管由来尿毒素の基質となる材 料が増加する.また,蛋白質発酵を行う細菌叢 が増加するため,尿毒素の前駆体となるイン ドールやp―クレゾールの腸管内産生がCKD患者 では増加する5).さらに,これらの尿毒素の材 料となる蛋白質を多く含む食事をとると,腸管 由来尿毒素の産生量が増加する.逆に低蛋白食 で腸管由来尿毒素の産生が減少することがCKD 治療のオプションとして行われる低蛋白食療法 の腎保護機序の 1 つと考えられている.尿毒素 産生に関与する腸内細菌叢の具体的な菌種とし て はBacteroides属 の 中 で もB. thetaiotaomicron やB. ovatusが腸管内でのインドール産生を行っ ていることが最近報告されており6),他の腸管 由来尿毒素に関しても責任菌種の同定が待たれる. 2)球形吸着炭(クレメジンⓇ  上述した理由から,腸管由来尿毒素を減少さ せることはCKDの治療となり得る.腸管由来尿 毒素の産生を減少させる方法として尿毒素の材 料となる物質を腸管内で吸収する方法がある. 球形吸着炭(クレメジン®)はこの機序に基づい て「慢性腎不全における尿毒症症状の改善およ び透析導入の遅延」を適応としている治療薬で ある(図2).本薬剤は腸内細菌によって産生さ れたインドールやp―クレゾールを腸管内で吸 着することで,腸管由来尿毒素の産生を減少さ せるものである.臨床的エビデンスとしては, 国内で行われた保存期CKD患者を対象にした RCT(randomized controlled trial)(CAP-KD試験) ではeGFR(estimated glomerular filtration rate) 低下速度は投与群で有意に改善がみられていた (図 3)7).しかし,近年欧米で行われた大規模 RCT(EPPIC試験,中等度~重症の保存期CKD患 者を対象,平均 2 年観察)ではクレメジン投与 群はプラセボ群と比較して腎イベント減少効果 (クレアチニンの倍化,透析導入)は認めること ができなかった(図 3)8).この研究では国別に 透析導入となる基準に大きな隔たりがあったと されており,米国のみを対象としたサブ解析に おいては,糖尿病性腎症が原疾患,かつ服薬遵 守された患者においては,腎イベントの低下 (HR 0.7;95%CI 0.49~0.99)を認めている(図 3)9). 今後はどのような患者でクレメジンが CKD進行予防に特に恩恵を与えられるか,つま り,腸管由来尿毒素がそのCKD病態に大きく寄 図2 腸内細菌由来尿毒素 A:産生と排泄経路.球形吸着炭の作用部位 B:尿毒素蓄積がもたらす影響 トリプトファン チロシン 大腸 カルニチン・コリン インドール p―クレゾール トリメチルアミン 腸内細菌 肝臓 インドキシル硫酸 p―クレシル硫酸 トリメチルアミン-N-oxide 尿中へ排泄 A B 腎機能の低下 尿毒素の蓄積 CKDの悪循環 腎内局所での 細胞障害 心血管病変・骨代謝異常 貧血・倦怠感 サルコペニア・神経症状 腎不全関連症状 球形 吸着炭

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与している症例を選択するための方策の開発が 望まれる.なお,クレメジンはその服用量と食 感の影響から内服アドヒアランスがあまりよく ない薬剤であるため,処方する際は服薬遵守さ れているか確認することが日常臨床においては 重要である.

3. 短鎖脂肪酸,プロバイオティクス,

プレバイオティクス

 CKDに対して腸内細菌は炎症や尿毒素を介し た負の側面のみならず,腎保護的な正の側面も 有している.腎保護作用の正体としては,腸管 由来の短鎖脂肪酸がその 1 つとして考えられて いる.短鎖脂肪酸は宿主によって分解されない 難消化性の食物繊維を腸内細菌が炭水化物発酵 することで産生される酪酸,酢酸,プロピオン 酸などの有機酸である.この腸管由来の短鎖脂 肪酸は宿主のエネルギーとして使用されること に加え,腸管免疫の制御など様々な生理活性作 用を示す.しかし,CKDではディスバイオーシ スにより腸管内短鎖脂肪酸の産生が低下してい る4).短鎖脂肪酸が腎臓病へ与える影響は,短 鎖脂肪酸の投与または腸管の短鎖脂肪酸産生を 増加させるような高食物繊維食による腎保護効 果が動物モデルから示されている10).このよう に腸管が有する腎保護作用を同定し,その働き を促進させることも腸管からのアプローチによ る腎臓病の治療ストラテジーになると考えられる.  CKDで変化する腸内環境や腸内細菌叢を是正 することを目的としてプロバイオティクスやプ レバイオティクスを治療に応用することが臨床 図3 球形吸着炭(クレメジンⓇ)の腎保護効果に関する臨床研究(それぞれ文献7,8,9をもとに作成) A:CAP-KD試験,B:EPPIC試験,C:EPPIC試験のサブ解析 CAP-KD試験 1.0 0.9 0.8 0.7 1.0 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0.0 80 70 60 50 40 30 20 10 0 EPPIC試験サブ解析(米国,糖尿病患者) コントロール群 期間(週) 0 8 16 24 32 40 48 56 0 12 24 36 48 60 72 84 96 108 120 132 144 156 168 180 192 204 eGFR 変化 (ベースラインとの相対比) 期間(週) 累積腎イベントフリー割合 クレメジン群 プラセボ群 HR,0.91(95%CI,0.74-1.12) P=0.37 HR,0.70(95%CI,0.49-0.99) P=0.041 EPPIC試験 クレメジン群 期間(週) 0 24 48 72 96 120 144 168 192 216 クレメジン群 プラセボ群 A B C 腎イベント発生率 (%)

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的にも検討されている.プロバイオティクスと は人体によい影響を与える腸内細菌,またはそ れらを含む製品や食品のことであり,プレバイ オティクスは生体に有益な腸内細菌叢の増殖を 促進させる作用を有する難消化性食品成分(食 物繊維など)の総称である.これらによる腸内 細菌叢への介入は腸管由来尿毒素の軽減や短鎖 脂肪酸の産生増加効果が期待される.CKDの腸 内細菌叢で減少するLactobacillusや Bifidobacte-riumなどの菌種を含むサプリメントを保存期 の患者や透析患者へ投与することで尿毒素の血 中濃度減少や腎機能低下の部分的な進行抑制効 果の報告がある.食物繊維による腎機能への影 響をみた臨床試験の結果は効果の有無にばらつ きがあるが,システマティックレビューでは短 期間の観察ではあるものの,保存期CKD患者に おける血中尿素窒素やクレアチニンを低下させ たと報告されている11).今後はより大規模かつ 長期間の検討での臨床エビデンスの蓄積が期待 される.

4.CKDと便秘

1)便秘がCKD進行に与える影響  CKD患者,特に維持透析患者では便秘の有病 率が高い.便秘を高頻度で合併する機序として 腸管への血流障害,神経障害による腸管蠕動機 能低下,薬剤の影響(イオン交換樹脂や経口鉄 剤),食事制限(カリウム制限による食物繊維摂 取の減少),腸内細菌叢の変化などが関与する (図4).CKD患者における便秘はQOL(quality of life)を低下させるだけでなく,イレウスや消化 管穿孔などの重篤な合併症の要因ともなるた め,適切な排便管理は日常診療として重要である.  さらに便秘はCKDの合併症のみでなく,CKD の悪化要因となる可能性もある(図4).便秘に よって結腸内通過時間が延長することは,腸管 内容物の大腸内滞留時間が延長し,腐敗反応を 増長させるため,腸管由来尿毒素の産生を促進 さ せ て し ま う. 実 際 に 非CKD患 者(eGFR> 60 ml/分/1.73 m2)を対象とした疫学研究では, 便秘を合併している群は非便秘群と比較して CKDへの移行率および末期腎不全に陥る危険性 がより高く(それぞれHR1.13,1.09.図4),さ らに便秘の重症度とeGFR低下速度の相関性が 図4 CKDと便秘 A:相互の関係性 B:便秘の重症度別の末期腎不全への移行率(文献12をもとに作成) 粘液分泌低下 腸管蠕動運動低下 治療薬の影響 食物繊維摂取不足 ディスバイオーシス CKD 便秘 血流障害 神経障害 電解質異常への悪影響 腎機能低下促進の可能性? A B 末期腎不全移行率 フォローアップ期間(年) 便秘の重症度別 0 1 2 3 4 5 6 7 1.00 0.80 0.60 0.40 0.20 0.00 0.006 0.004 0.002 0.00 0 7 P<0.001 Absent Mild Moderate/Severe 6 5 4 3 2 1

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秘への介入によって排便管理を適正化すること が腎臓に対する治療オプションになる可能性が ある.緩下剤の中でもルビプロストン(アミ ティーザ®)は小腸の腸管上皮細胞に発現するCl (クロール)チャネルを活性化させることで腸 管内への腸液分泌量を増大させ,腸管内容物の 移動を促進させることで緩下作用を発揮する既 存の薬剤とは異なる作用による非刺激性緩下剤 である.我々は腎不全マウスを用いた研究か ら,このルビプロストンは腎不全における悪化 した腸内環境を改善させ,腸内細菌由来の血中 尿毒素の蓄積を軽減させることでCKDの進行抑 制効果があることを報告している13).ただし, これは動物実験としての結果のみであり,臨床 的エビデンスは存在しない.そこで現在,我々 はルビプロストンの腎機能低下抑制効果の有無 を臨床的に評価するため,AMED(Japan Agency for Medical Research and Development)橋渡し 研究の支援のもと,便秘治療に使用するより も少ない用量のルビプロストンを使用して保存 期CKD患者を対象とした二重盲検多施設共同の 医師主導治験を現在進行中である(試験ID: UMIN000023850). 2)CKDにおける便秘の管理  酸化マグネシウムは日本で最も頻用される緩 下薬であるが,高度腎機能低下者では酸化マグ ネシウムの連用は高Mg(マグネシウム)血症使 用のリスクとなるため,添付文書上でも慎重投 与となっている.この背景のため,透析患者や 進行したCKD患者の便秘管理は刺激性下剤で管 理されることが多いが,連用で耐性ができて効 果不十分な例も少なくない.そのような例にお ける適切な排便管理にはD―ソルビトールやル ビプロストンなどの非刺激性下剤も考慮した方 がよい場合がある.  体内の電解質恒常性は腎臓が主に担うため, 腎機能低下時に高カリウム血症や高リン血症な どの電解質異常が生じるが,この面でも腸管が 関与する.過剰なカリウムの排泄経路は尿への 排泄が主な経路であるが,腎機能が高度低下し たCKD患者では体外へのカリウム排泄として腸 管から糞便を介した排泄経路が担う役割が大き くなる.そのため,緩下剤の投与は透析患者に おける血中カリウム値を下げる効果がある14) 高リン血症についても透析患者に緩下剤である ルビプロストンの治療は排便習慣の是正ととも に血中リンを減少させることが報告されてお り15),同様に腸管からのリン排泄の重要性が示 されている.したがって,電解質管理の面から もCKD患者では適切な排便管理が重要である (図 4).

おわりに

 今後,腸腎連関のさらなる解明,そしてそれ をもとにした新たな腎臓病治療薬の開発が期待 される.プロバイオティクス,プレバイオティ クス,緩下剤などによる腸内環境の改善はCKD 治療のオプションとなることが期待されてい る.しかし,腸管をアプローチとしたCKD治療 のこれまでの臨床研究は尿毒素をサロゲート マーカーとしたものが多く臨床的に重要な腎機 能保持や心血管イベントを評価した臨床的デー タはまだ乏しい.したがって,今後は質の高い 臨床研究が行われ,腸内環境調整薬によるCKD 進行抑制効果を評価することが期待される.し かし,腸内細菌叢などをコントロールすること はCKDのメインの治療ではなく,血圧,血糖, 肥満等の明確なリスク因子を厳格にコントロー ルしたうえでのあくまで一助であることを忘れ てはならない.

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著者のCOI(conflicts of interest)開示:阿部高明;講演 料(スキャンポファーマ)

文 献

1) Vaziri ND, et al : Chronic kidney disease alters intestinal microbial flora. Kidney Int 83 : 308―315, 2013. 2) Anders HJ, et al : The intestinal microbiota, a leaky gut, and abnormal immunity in kidney disease. Kidney Int

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3) McIntyre CW, et al : Circulating endotoxemia : a novel factor in systemic inflammation and cardiovascular dis-ease in chronic kidney disdis-ease. Clin J Am Soc Nephrol 6 : 133―141, 2011.

4) Mishima E, et al : Evaluation of the impact of gut microbiota on uremic solute accumulation by a capillary elec-trophoresis-time of flight mass spectrometry-based metabolomics approach. Kidney International(in press). 5) Poesen R, et al : The influence of CKD on colonic microbial metabolism. J Am Soc Nephrol 27 : 1389―1399,

2016.

6) Devlin AS, et al : Modulation of a circulating uremic solute via rational genetic manipulation of the gut microbi-ota. Cell Host Microbe 20 : 709―715, 2016.

7) Akizawa T, et al : Effect of a carbonaceous oral adsorbent on the progression of CKD : a multicenter, random-ized, controlled trial. Am J Kidney Dis 54 : 459―467, 2009.

8) Schulman G, et al : Randomized placebo-controlled EPPIC trials of AST-120 in CKD. J Am Soc Nephrol 26 : 1732―1746, 2015.

9) Schulman G, et al : The effects of AST-120 on chronic kidney disease progression in the United States of Amer-ica : a post hoc subgroup analysis of randomized controlled trials. BMC Nephrol 17 : 141, 2016.

10) Andrade-Oliveira V, et al : Gut bacteria products prevent AKI induced by ischemia-reperfusion. J Am Soc Nephrol 26 : 1877―1888, 2015.

11) Chiavaroli L, et al : Dietary fiber effects in chronic kidney disease : a systematic review and meta-analysis of controlled feeding trials. Eur J Clin Nutr 69 : 761―768, 2015.

12) Sumida K, et al : Constipation and incident CKD. J Am Soc Nephrol, 2016.

13) Mishima E, et al : Alteration of the intestinal environment by lubiprostone is associated with amelioration of adenine-induced CKD. J Am Soc Nephrol 26 : 1787―1794, 2015.

14) Mathialahan T, Sandle GI : Dietary potassium and laxatives as regulators of colonic potassium secretion in end-stage renal disease. Nephrol Dial Transplant 18 : 341―347, 2003.

15) Gen S, et al : Lubiprostone, a novel laxative, might improve hyperphosphatemia without water dilution. Renal Replacement Therapy 2 : 50, 2016.

参照

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4) American Diabetes Association : Diabetes Care 43(Suppl. 1):

10) Takaya Y, et al : Impact of cardiac rehabilitation on renal function in patients with and without chronic kidney disease after acute myocardial infarction. Circ J 78 :

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