返戻への一考察--返戻の解釈上の問題点
著者
高木 武
著者別名
T. Takagi
雑誌名
東洋法学
巻
30
号
1・2
ページ
109-139
発行年
1987-03
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00003579/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止
http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja
返戻への一考察
ー!返戻の解釈上の問題点1
高 木
武
序論
返戻は、本質的には事実行為であろう。それは、申請者等が、行政機関に申請等を行うと、行政機関が、その申請
、 ︵宝︶等とくに申請書等をその申請者等にかえす︵返却する︶ことであろうと思われるからである。しかし実際、裁判にな
ると、行政機関が、返戻は、事実行為又は法律行為的行為であるといえば、これを申請者等は、反対に法律行為的行
為又は事実行為であるとして、返戻の意味を争うのが一般的である。それは、行政機関も申請者達も、返戻の意昧を
それぞれ自己の立場に従って主張するからである。しかも裁判所が返戻を行政機関のいうようなものであるとする多
くの場合、申請者達は、そのために少くなくとも事実上、その自由や権利が侵かされているようである。それは、と
くに返戻が法律行為的行為・処分︵但し不行為︶であることも知らないのが一般であるが、申講者等の多くは、とく
ヤ ヤ ヤ ヤに不知のために、そうした返戻を単に、申請書等をかえされたという事実行為であると思い、その処分は、何時行わ
東洋法学 一〇九
返戻への一考察 一一〇
れたか等も知らないからである。これには、理由・原因のようなものがある。それは、つぎのようなことである。目
︵2︶的論的行政法学からは、返戻は、何故か等と閉視されたり、直接・論稿等によっては、取上げられていないし、間接的
には、取上げられていても、問題の指摘はタブーのようである。又判例もーこれも問題であるが1返戻をさして問題
視していないようである。しかし、もし万一ーことわっていることに注意してほしいー申請者達への返戻が、差別と
︵3︶して行われるとすれば、問題であろう。それは、いうまでもなく、申請等が遮断されるから、事実行為であろうが法
律行為的行為であろうが、結果は、彼らは、何事もできなくなり、その結果、職業選択の自由︵憾に︶、表現の自由︵憾一一︶等を失うことになる。もし万一ーここでも断わるーまして他の判例や学説が、これを漫然と支持すれば、法的技術に
よって、行政は、法律による原則からも、離れるおそれもあろう。しかしこれらは、物理的には容易にいうことがで
きるから、たんなる憶則にすぎないことにもなろう。そこで乏しい判例であるが、これによって、返戻の判例をあげ
て、その全貌を、申請者達の視点に立ち、右を支持する判例・学説や返戻を等閉視する学説をはなれ、視点をかえ
て、紹介しようというのである。しかし学説等も、右のようであるから、直接の引用はできず、これをさける方がい
いようであり、判例が中心的資料となるのは、やむを得ないことであろう。しかもおそらく一般的に考えられる解釈
︵4︶法学的方法をとらないであろうから、お詑びと深謝は、あらかじめしておこう。
︵1︶ 関哲夫﹁地方行政と争訟﹂九五等に返戻が取上げられている。この労作は、行政機関︵擁舩舘歓教︶の実務的接近であり、と くに実務上のことが分り、秀れた労作の一つである、といえよう。︵2︶ ︵3︶ ︵4︶ かつての法実証主義といわれた︵脚艶酌鰍鄭︶人達の﹁その系統﹂は、目的論的解釈論のその系統に合したのであろうか。し かし今臼の行政法学では、法実証主義の存在が貴重であるといえよう。それは、必ずしも今日、目的論的解釈の目的は、 実定規定の目的規定の目的を指すのではなく、法規をはなれ、行政権の解釈に伍しているようであり、法規の不備は、指 摘すべきなのに、これをしないようであるからである︵燃礪爆罎﹂︶。 後出の判例一四は、デモ行進の申請を係職員が返戻した事案であるが、係職員は、むしろ真面目な対応をし、行政機関も 差別等の目的・理由も明確にもっていなかった。結果的には、返戻は、原告の表現の自由︵憾﹂等を奪って了うが、それ だけに、返戻は、行政権の差別等の目的を達成させ又はその理由のための手段として有効であり、限界をこえた行政指導 と同様に問題があるといえる。それは、不作為で、不許可等の処分を行ったとされるからである。 こうした方法論を用いるのも、その方法は法実証的でなければならないとするからであるが、被行政主体の現実は、もっ と厳しく、これを理解しない判断︵桁繊膿舗勧︶は、形式的であり不当よりむしろ違法であるというべきであろよもしかも申 請者達は、主権の源泉であるが︵嫡前︶、許可等を求めるために公務員を信頼して、かつ手数料を納めている。これに対し 行政機関が申請等の返戻ができるというのであろうかと思われる。
e 返戻の判例
返戻は、他の法律問題の前には、事実行為であるためか、法律問題となることは、余りない。したがって、判例の
数も、乏しいが、実際集めてみると、思ったより多くあるともいえよう。年月日︵醐決︶順に、あげれば、返戻の判例は、 つぎのようである。 一 市会議員選挙当選の効力に関する訴︵顔畷欄纐錨聾○○︶東洋法学 二一
返戻への一考察 二二 ︹事実︺原告A外一名は、B県C市会議員選挙の効力に関し、同市長に異議申立てたが、同市会は、当該異議は、申し相立た ずの旨の決定を行った。そこで彼等は、同市長に訴願したが、その外一名は右訴願を取下げた︵昭郭悩︶。しかし実は、原告Aは、 なおこれを取下げず、かつ訴外Dは、原告A名義の訴願取下書を偽造し、これを被告・同市長に提幽した︵桐読︶のである。こ のため、同市長は、療告Aの訴願は終結したものとし、C市会を経由して、その訴願書を返戻したが、原告Aは、この返戻.処 分は、市制第三六条の二の第二項の﹁裁決﹂と同視すべきものであって、真実、原告Aが訴願を取下げないのにかかわらず、被 告同市長が、当該処分をしたことは、不当のみでなく、同市長は所定期間内に、裁決をしないから、所定の期間内に原告の訴願 に対する裁決をしないものである。したがって原告Aらは、その救済を求めるために、本訴を提起したものであり、その真の目 的は、被告同市長の処分を取消し本件選挙のD外七名の当選を求めるところにある。しかしC市々会議員の当選効力に関する行 政訴訟は、府県参事会の裁定を経た後これ髪提起すべきものである︵肺噸一一︶。したがって被告の同市長が原告Aより訴願の取下が あったとして、訴願書を返戻したことは、これを処分と解することは、できず、訴願は、却下すべきである。 ここでは、訴願書の返戻は、錯誤によるが、むしろ処分であるということができるという一般的傾向をうかがうことができ、 この時代から、返戻が法律行為的であるという考えがあることを知らきれる思いがする。ただ裁決前置主義を踏まなかったこと を理由にして、却下すべしとして、錯誤による返戻は、必ずしも、法律行為でなく事実行為であるとしているともいえよう。 二 行政処分取消請求事件︵煉欄騨撃軸”︶ ︹事実︺ 都教育委員会︵鉱杯h畷娯︶は、所管の都下申学・小学校の教職員について﹁刷新基準要領﹂を制定し、原告Aらを含む 二四六名の教職員に奴し、右要領に該当するとして、その所属学校長を通じて、辞職勧告を行う。原告らの一部は、退職願を提 出し、その一部は、一旦、勧告を拒否したので、休職になり、原告Aら他の一名は解職になり、その後、退職願を提出した原告 ら四名を除き右の休職者と解職者は、各処分を取消された︵懸賠晶筋G鵬隙欄源路区︶。そこで右の一部の者の休職処分は、違法であり ︵微慨繍鰍舩鵡施︶、又休職処分の理由︵蜷眸︶は、事実無根であり解職処分も違法であるとして、各処分の取消を求めて出訴する。被 告委員会は、違法なしとして争うことはいうまでもない。返戻については、被告委員会は、本件免職処分は、その意に反して免職 したものでないから、その審査請求を返戻したというが、これに対し原告Aらは、しかし各処分についての審査請求︵邸螺︶は、
審査し裁決すべきものであり、被告委員会の措置︵黙︶は、とりもなおさず審査講求を却下したものないし、これと岡視すべきも のという外はない、したがって出訴期閥は、その返戻のあったときから起算すべきであって、原告等は、その期間内に出訴した ものであると主張する。これに対して、被告教育委員会は、原告の審査請求期間は、休職処分の日︵翻効欄醐︶から三〇日以内であ り、その他二名︵ト囎諏︶は、再び審査請求を提出するが審査請求期間を経過していたので、そのま\返戻したものである。もっと も右三名を含む一部を除く者から審査講求書の提出は、あったが、彼等は、依願免職の辞令を受ける等しているので、受理しな いことに決定し、それぞれその旨の書面を付して、これを返戻したものである︵綱も。 なお一部の者は、格別審査請求をしない し、一名は、調査願を出すのみである、という。 裁判所は、返戻について、被告委員会は、免職処分についての前記審査請求が審査の対象とならないことを理由にして原告ら に返戻したことを認めることができ、原告らの一部の者については、審査請求書の返戻の日をもって原告Aらのいうように裁決 日とみなすことが相当であり、本件免職処分取消の請求は、適法である、と判断する。ここでは、原告Aらが返戻が処分である ことを認識し、主張し、被告教育委員の主張をしりぞけ、返戻を処分であるとしていることが目立つといえよう。 三 行政処分取消請求事件︵諌糊籠灘鱒柾聾︶ ︹事実︺ 本件土地は、原告Aらが、買収され︵飾蟄︶、B県知事によって五力年売渡保留地に指定され︵媚魏磯鮎︶、現在売渡が保 留されている国有農地であるが、最近宅地化される公算が大であるものであるので、原告Aらは、住宅建設事業の具体策をた て、本件土地を占有することができ次第着工するよう備準を整え、本件土地について認定の申請を行久磯馳八︶。補助機関である 京都農地事務局長は、B県知事に対して原告Aらが農地について行った各申請︵綱樋韻鰹のいずれも認めがたい旨を記した関係書 類を同県知事に返送したので、同県知事は、この旨を原告Aらに通知するとともに申請書類を返戻した。そこで原告Aらは、こ の返戻は京都農地局長の申請を拒否する旨の処分であるとし、その取消を求めて出訴した。裁判所は、原告Aらが、農林大臣に 対してその認定を求めたが、被告農林大臣の京都農地事務局長が申請を拒否して書類を返戻した行為は、右認定を行わない旨 の、原告Aら申請を排斥した行政処分であるというべきである、とする。 この判決では、①補助機関の判断で返戻が行われていいのかという問題があり、②その返戻の理由や意思表示的なものが必ず 東 洋 法 学 一ニニ
返戻への一考察
二四
しも明確でないことが問題のようである。①には、形式的審査権しかない補助機関が農林大臣の認定権限を行使できるのか、② については、とくに開確に理由を示きない返戻が果して処分の意味があるか、意思表示的なものがない処分が考えられるか等の 素朴な疑問があり、まさに権力的法律関係とは、これであるかという傾斜関係︵獅緻賠琳⑳曜雛繊︶をみる思いである。 四 仮差押嘱託登記異議申立棄却決定取消請求事件︵諌理一植熱外⑳&︶ ︹事実︺ 原告Aは、債権の執行を保全するため、訴外Dの所有︵蘇登︶の建物︵抹嗜腱物︶について、裁判所に対し仮差押の申請を し︵調一読.︶、同日不動産の仮差押決定をえたので、右仮差押執行のための登記嘱託書をB法務局C出張所に持参した。ところが 同所登記官吏は、同日右仮差押の登記嘱託書を受付けていながら、同年三月一一日受付で訴外Dのため本件建物につき所有権保 存登記をし、他の債権者のための根抵当権設定登記をし、右の仮差押の登記嘱託を、同月一五日受けつけたものとして、仮差押 命令を登記簿に記入した。そのために原告Aは、被告B法務局長に対して異議を申立てた︵噸読ル︶が、債権保全の実効を期しえ ないとして、棄却きれた︵醐掛凱肝聾翻源焙︶。しかし本件嘱託登記は、嘱託書が受付けられた前記昭和二九年三月九日附で行われる べきであり、右の違法な登記官吏の処分を維持した被告の異議申立棄却処分も又違法であるとして、右処分の取消を求めて出訴 した。これに対して被告Bは、原告Aの本件登記嘱託書には課税標準価格と登録税額の記載がなく、所要印紙の貼用もなかった ので、前者の記入と印紙の貼用を、持参者にさせ、仮受付をしたところ、つぎの審査の結果でも、登記義務者と仮差押決定記載 の債務者が符合しなかった。そこで、嘱託宮庁の右裁判所に電話で、これを指摘したら、書類の返送の要請をうけ、当該嘱託書 の返送手配をするが、結局翌日三月一〇日に書留郵便で、返送した。そして右裁判所から、右嘱託書の欠陥箇所が訂正され、再 び該登記所に当該嘱託書が提出された、という。 裁判所は、本件登記嘱託書が本件登記所に提出されてから︵理統.︶、同登記所と本件裁判所︵酬断職閑︶のとった措置の大要を示 し、受理の前提である受付と受理とを区別し、仮受付と本受付︵都燈四︶に分ける慣行の下で当該嘱託の取扱を評価する。返戻につ いては、右のように、嘱託官庁である裁判所から本件嘱託書の返送依頼を認め︵凋痙一一﹀、本件嘱託書が本件裁判所に送付されたこ とも認める。申講書又は嘱託書が登記所に提出されると、受付帳への記載をしないで、まず、書類に日附印と、﹁でか判﹂︵綱晒︶を 押して、一応書類の提出順を定めた上で登記要件の調査に入るが、これを仮受付と称し、右調査の結果、欠陥がなければ、そこで始めて受付帳に所要事項を記帳し、これを本受付と呼び、この時︵綱晒︶に受付がある。もし調査の結果、不動産登記法の申請 又は嘱託に欠歓があるときは、これを申請人又は嘱託官庁に連絡し、即日補正されれば、本受付をするが、即日補正ができない ときは、消印した印紙に未使用証開を付記し、返戻と称して申請人又は嘱託官庁に書類を返還し、申請人又は嘱託官庁が欠歓を 補正して再び申請書又は嘱託書が登記所に提出きれたとき改めて、これを仮受付し、調査の結果、欠歓がなければ本受付けをす る。これは、仮受付の制度と呼ばれ、慣行であるが、昭和二九年九月一六日、法務省民事局長通達がでるまでこれらの登記所で 行われていたものである、とする、別に返送を返戻とし、さらに仮受付制度の下では、返戻は、新たな申請又は嘱託のための、 先になした申請又は嘱託を撤回する行為であったと解するのが相当であるとし、又その撤回を取下として、登記所に対して申講 ・嘱託の撤回︵取下︶の意思表示が弱確に示されれば、必ずしも書面によることを要しないものと解すべきである等とする。 右には、本受付と受理の関係は、必ずしも明確ではないが、受領と受理が開確に分けられている。又はじめは、返送を返戻と し、あたかも、返戻は、事実行為であるとしながら、一転して返戻は、撤回又は取下であるとしているのは、矛盾のようであ り、撤回は、取消とも呼ばれる法律行為的処分であり、取下は、同様なものであるから、いいすぎのようであるが、意思表示が 明確なら書面を必要としないということも理解できよう。これは新判断であるといえようが、原告の対応は、ここでも返戻を知 らないのが一般の申請者達のそれであり、これ︵腿顯の﹀が一般的であるといえよう。 五 宅地農耕廃止不許可処分不服請求事件︵款欄灘伽蕊レニ︶ ︹事実︺ 原告Aが自己の所有する物件・土地について、その農耕を廃止し耕作以外の目的に供するため、法︵趨調︶による許可 申請をした︵欄一瀬ん︶が、被告B県知事は、右申請書に﹁この件現耕作人離作に同意しない限り許可し難いので、一応返戻する﹂ 旨の記載をした附せんをつけ、C所轄農地委員会を経由して、右申請書を返戻した。原告Aは、これは、違法な却下処分である から、取消されるべきである、として出訴した。これに対し被告Bは、事実上返戻したものにすぎず、何ら違法は、ないとした。 裁判所は、許可申請書︵膿調︶の返戻は、附せんの内容から明らかに右申請に対する許否の決定を拒否する意思を明らかにした 意思表示が認められる以上、申請却下処分といってもよく、取消訴訟の対象となる、という。 とくに右の附せんの趣旨は、文字通りで﹁許可し難い﹂としているだけであり、当の行政機関も、決定していないとする、と
東洋法学 一一五
返戻への一考察
コ六
もいえるから、裁判所の判断は、原告Aに偏向しすぎたようである。何らかの意思表示があれぱ、返戻は、法律行為としての行 政行為の意味をもつ、と機械的又は形式的に断定している憾みがある。 六 医薬品販売業登録申請拒否処分︵吠紛欄鉦伽孟乎︶ ︹事実︺ 原告A︵”ト︶は、医薬品全品 販売のため旧薬事法︵担︶に基づき、被告B︵蘇知︶の必要とする医薬品譲受先届書も含 む附属書類を添付し、所定の申請書を被告Bに提出した︵超孟.﹀ところ、同県同地区内の薬種商粗合の原告Aへの医薬品販売反 対・阻止運動が激しく、右の申請でも、D薬局は、原告Aのために、医薬品譲受先の証明書を発したが、直接被告Bに対し原告 Aへの医薬贔譲受先届書の返却を申請した。その理由は、同組合は、もしD薬局が原告Aに薬医品を供給すれぱ同地区の既存業 者をあげてD薬局との取引をしないというものであった。そこで被告Bは、このD薬局の申出を理由に、右の原告Aの申請書等 を、その保健所長に送付し︵週島︶、保健所長は、原告Aに、申請書等を返却きせ、被告Bは、その際、医薬品譲受先届書の添付 のないことを理由とした。そこで原告Aは、F薬局の医薬品受譲先の証明書を添付し、これを同譲受先届書として、再び、これ 以外のききの申請書類を用いて医薬贔販売登録の申請に及んだ︵噸鑑.︶。しかし被告Bは、許否の決定をしないので、原告Aは 、①とくにききの申請の返戻は、登録申請の却下処分であり、却下は、許されないが、②再度目の申請は、受理してすみやかに 登録きれるべきである、と出訴した。これに対して被告Bは、④受理を拒否し、申請書を返却してはいない、◎受理処分の確認 を求めることは、許されないと反論する。 裁判所は、医薬品譲受先届書を欠くことは、登録拒否の理由にはならないが、被告Bには、右登録申請の返戻が認められ、こ の返戻は申請書の不備補正を求めるものでなく覇東された登録義務に違反があるけれど、積極的にこれ︵雛︶を排斥する意図の下 に敢えて行われた黙示の意思表示に外ならないから、関らかに登録申請に対する却下処分であると認めるのが相当である、とす るo この返戻についての判断については、とくにつぎのような聞題がある。a被告Bの返却は、返戻であると断定できるのであろ うか。それは、権限のある被告Bは、同地区内薬種商組合と原告Aとの閥に立って、許否について﹁苦慮﹂︵潮︶して、受理も、 認めて、審査とくに許否の義務があることを自覚し、その許否の決断ができず、今日︵唖耗.︶に至っているからである。これが被告Bの真実であるといえようが、bそれにもかかわらず、原告Aの主張のように、裁判所は返却は、返戻であり、右医薬品譲 受先届書の欠けることが要件︵申講の︶でないことを知りながら、これを理由として、本件申請を返戻したという。しかし右のよ うに、受理して、審査とくに判断の義務があり、とくに許否に苦慮しているとすれば、被告Bは、医薬品譲受先屈書が本件登録 の要件であると信じていたかもしれない。したがって、その受理を拒否し、原告Aあてにその申請書を返却したのではないとい うことは、真実であるかもしれない。cそうであるならば、漫然と申請︵書︶の不備の補正を求めた返却であるといえるかもし れない。dそれにもかかわらず、裁判所は、被告Bの不明確な意思を、悪意の黙示の意思表示とするようである。ここには、偏 見と独断が目立つ。もし被告Bに、そのような意図や意思があるとすれば、彼は、この許否について苦慮することもなければ、 受理を否定し、直ちに返戻に及んだかもしれない。又このように真面目な︵∼︶被告Bからは、こうした意図や意思は考えられ るかもしれない。eそしてこれを理由として特別の事情に基づく返戻は、登録申請に対する却下処分であるという。結局、原告 か被告側に立つかによって決定される判断である、という他はない。なお被告Bのように、権限があるのに、著しく不合理な理 由で、権限を行使しない場合、これが裁量権の濫用又は喩越であるとされる余地も考えられる︵簿灘漱姫ゆ耀糊薩ガ遜艦翻め の江硫伽㈹紅源 康糊蹴り産ん旗贈︶。なお黙示の意思表示は、考えられるであろうか。 七 農地買収不服事件︵欧欄灘伽監靴︶ ︹事実︺ 本件土地︵紬肚鵬幌醤鰍勤嫁鋤胸ポ︶は、原告Aの所有であるところ、被告F委員会︵㎝蚕盤爾廟傍は︶は、本件土地は農地で ある︵臨鰹一一︶として、その一部であるωないし㈱の土地についてこれを第二回買収計画に入れ、同じくその一部の侶 窃の土地を第三 回買収計画に入れ、B土地がDの所有であるところ、これに第二回買取計画を定め、各計画は、公告、異議申立却下、決算等の 手続きを経て承認され、E府知事は、AとDに各買収令書を交付した︵艶硫臆嗣一這σ芭珠α︶。 原告Aらは、この買収計画と政府買 収には、違法があるとして、①買収計画とこれに基づく政府買収の取消と②右の買収計画と政府買収に関する公告、異議却下決 定・裁決・承認・買収令書の発行は、無効であるとして出訴した。返戻については、原告Aらは、返戻の意味も知らず被告B も、又返戻の法的認識もないようである。 裁判所は、 ﹁同原告から適法な期問内に異議の申立がなく、その経過後になってその申立書がC委員会に送付されたが、同委
東洋法学 二七
返戻への一考察
二八
員会で、これを原告に返送したことは、前示の通りである。﹂しかし右返送の際、これに右申立書を添付して原告に送付された ﹁異議申立二対スル回答﹂という書面には、従覧期闘もすでに終了し、同委員会における買収事務も終了したから、同原告の異 議申立書は、受理し難く、とこれを返送する旨が記載されており、右記載によると、右返送行為は、申立人である同原告の同意 をうることもなく、同委員会が一方的に同原告の異議申立を不適法として排斤する趣旨の意思表示を含むものであることは、明 らかであるから、単なる事実行為に止まらず異議申立を却下する旨の決定をしたものと解すべきである、とする。 しかし原告Aらは、一連の手続の個別行為の無効を主張して出訴に及ぶのであるから、異議申立には不服申立期間は、関係が ないとしたーこれは、当然であるtのであろうが、右の返戻は、却下処分であるとする裁判所の判断には、不満であろう。それ ペ ヤ ヤ も、とくにその返戻には、同被告が異議申立書を受理し難い旨の記載の書面をつけて、返送︵?︶し、かつ﹁返送﹂の文字も用 いているから、かえって返戻は、事実行為であると思われ裁判所が、これ︵遜難.︶を処分としたことは、いい過ぎの憾みがある。 八 農業協同組合設立不認可決定取消請求事件︵謙鰯舳離鱒尼∬︶ ︹事実︺ 原告Aらは、B農業協同組合︵舘堺﹄岬彌繊︶の発起入であるが、申請組合の設立認可申請をした︵醐囎た。︶。しかし被告 B︵蘇知︶は、数回にわたり申請手続の補正を命じ、原告Aらは、これに応じたが、右申請は、農業協同組合法︵倣② ○︶に違反する として結局、不認可になった︵翻﹄五︶。そこで、不認可理由がないことなどから、この不認可は、違法であることを理由にして、 原告Aらは、不認可の取消を求めて出訴した。被告Bは、申請地区と同一区域にすでにC農業協岡組合があり︵襯酷韻千︶、申請組 合との間に競業があり、公益に反すると認められる等を理由にして不認可にした。ところが右の申請組合の設立認可申請書類 は、右の理由と、申請手続の不備を理由に、同県知事の補助職員名をもって返戻され︵調壕︶。その後原告Aらは、三回にわたり、 右申請書を一部修正して上申請書等を被告Bに提出した︵浬℃蹴バ桐詔︶、これに対して、被告Bは一部︵細幽一一﹀を除いて、関係 書類を原告Aらに返戻したが、この返戻は、被告Bが原告Aらに各申請を取下げることを勧告したものであり、原告Aらが一部 修正の上再提出したことは、右勧告に黙示的に応じたものであり、又被告Bは原告Aに対して申請手続の補正を命じたものでな く、申請の受理を拒否したものであるから、その期間を経過したものでない︵込︶、という。 裁判所は、この公益もおかしいが、申請組合の認可は、公益に反しているとして、つぎのように返戻に言及する。被告Bの補助職員の名をもって、申請書類を返戻したことは、手続補正を命ずる趣旨の返戻でなく右申請が農業協同組合法の 規定に該当する事由︵駄② ○﹀を含んでいるか否かの審査・認可についての実体的審査を経てなきれた事実を認めることができ、こ うした実体的審査をうけている以上、原告Aの認可申請は、被告Bが受理したものと認めるのが相当である。又右返戻が被告B の補助職員名をもって行われているから、これは法律上の不認可処分でない。右返戻は、原告Aらがこれを放置して、事実上の 取下勧告であるから、法定期間を経過すれば、農業協同組合法の規定の効果︵墜﹀が発生するが、原告Aらが返戻をうけた申請 書類の一部修正の上、再度、被告Bに提出していることに照して、原告Aらが右取下勧告に応じたものであるとすることが相当 である。したがって被告Bの本件不認可処分は、原告Aらがまだ取下けていない申請︵癩囎断.﹀についてであるから、その期問の 徒過はない、とする。 何が公益であるかとくに分からない判断であるという他はないが、補助機関名の返戻は、実体的審査を行った事実を認めるこ とができるという。補助機関が形式的点検を行ったということが、むしろできるから、実体的審査を行うこと自体が問題であろ う。それは、権限の委任があれば別であるが、無権限の補助機関の行為であり、その返戻は、申請者からみれば、補正要請であ るというのが一般的であろう。又むしろ不備の申請書類の黙示の通知と理解するであろう。又まして返戻は、取下勧告であると いうことはいえまい。それは、何らの理由も示されていないようであり、補助機関名の返戻であり彼は取下を勧告できるのであ ろうかと思われるからである。又この事実をもって、受理があると認めるのが相当であるというが、一般に申請書類等が申請者 に返戻きれた場合、これを、受領又は受理の拒否とみるのではなかろうか。したがって原告Aらのいうように、返戻は、事実行 為であり、修正・補正を要求するというべきものであろう。又原告Aらの返戻の対応は、取下勧告に応じたというのは、おかし い。それは被告Bがそのように解し、裁判所がそのように判断しているにすぎず、被告Aらは、返戻を補正・修正の要請である とし、補正の結果、認可を目的として申請書を提繊したものであり、そのうえ被告は、ー勧告に応じたとし、裁判所も応じたも のであるというがー、その返戻の対応のことを﹁一部修正の上再度提出し﹂とし、裁判所も﹁申講書の一部修正の上提出し﹂た、 とするからである。なお、はじめの返戻と後の返戻の意昧は、矛盾するが、補助機関が再度返戻しようが、権限のある行政機関 が返戻しようが、その返戻の事実上の意味も、法律的意味も、作用されることはないであろう。それは行政機関︵嚇鋤繍関︶の行為
東洋法学 二九
返戻への一考察 一二〇 は、表示主義であるべきであるからである。又これは、認可であるから、裁量行為であり、右のような解釈がとれるのかもしれな いが、これは、裁判所が行政機関に偏向し行政機関は、C農業組合に偏向した判断であり、そうした視点に立ってのみ肯かれる ものである、といえよう。もし行政機関がイデオpギー的よりも、政治的配慮からする処分を行ったとすれば、重大であろう。 九 行政処分取消請求事件︵諌欄纐解一一重一一︶ ︹事実︺ 原告Aは、公認会計士であったが、B会社の財務書類に紛飾経理︵照駈飢二輪︶の事実を知悉しながら右書類に、適正 証明を行ったことを理由に、その監督行政官庁である大蔵大臣より公認会計士名薄の登録抹消の懲戒処分をうけ︵癩嬰r︶、その 旨の通知が翌日行われた。ところが原告Aは、それより早く、日本公認会計士協会に廃業屈を提出していた︵媚櫻ぎ﹀。この廃業 届は、即日受理されていたが、同協会は、受理後、右懲戒処分を理由として同月一七日付で原告Aの登録を抹消するとともに、 懲戒処分による登録が抹消きれたので、廃業による登録抹消はできない旨の同協会登録審査会の決定が行われたことを理由とし て、原告Aの右廃業届の書類を原告Aに返戻した︵調も。 これをうけた原告Aは、同協会は、公認会計士の廃業屈については形 式的審査権が与えられているにすぎず、実質的審査権もなければ、返戻の権限もないと主張し、これに対して被告大臣は、弁護 士法の規定をモデルにして、類推解釈して、懲戎手続︵駄︶をうけることの必至な公認会計士は、その手続が終了するまでは、廃 業届はできないというべきであり、原告Aは、同年六月四日懲戒手続としての聴問をうけ、廃業屈当時までその手続は終了して いないから、当該廃業届によってその身分を喪失していないと主張する。 裁判所は、①法の不備をおぎなうために、基本的人権を制限することは、法解釈の域を逸脱するからとして、弁護士法の類推 解釈をしりぞけ、②公認会計士の廃業届は、届書それが形式の点で欠けるところがないものとして日本公認会計士協会によって 受理きれると、届としての効力が生じ、別段の規定のない公認会計士法の下では、廃業届が返戻されても、そのことによって一 旦発生した右効力に消長をきたすものではない、とする。 入は、高くこの判例を評価しないかもしれないが、④とくに法律︵公認会計士法︶の不備を指摘し、法実証的に、受理を解釈 して、弁護士法の類推解釈を排した点が秀れているといえよう。さしづめ被告征政機関︵敷臨︶の解釈は、目的論的解釈であり、 有力説・通説の支持するところであろう。それは、原告Aは、非行を犯し、その非行を理由として、懲戒手続中に、廃業届をし
て、懲戒処分をうけずに、廃業をして懲戒処分の効力の及ばない身分になり、社会正義が貫徹きれなかったからであるが、大蔵 大臣はここでは弁護士法の類推解釈を主張し、有力説・通説は、これを支持するような傾向があるからである。この段階でも、 行政機関は、受理は、されていないと争うことができるが、それは原告A自身も、 ﹁同協会は、形式的審査権が与えられ﹂てい るだけであり、受領のみがあるとすることもできるからである。しかし懲戒も、制裁であり、登録抹消は、日本公認会計士会と ヤ の関係のみでなく、原告Aは、無免許会計士︵?︶になるから︵公認会計士界から放追にもなろう︶、 大蔵大臣のように、弁護 士法の類推解釈するには、公認会計士法には、弁護士法︵導のような規定がなければならないであろう。@有力説・通説も、受 領と受理は、区別しているが、実際には、受領と受理の区別は、つかないようである。とくに受領と受理は、行政組織内部の行 為であり、申請者等にとっては、一般的には区別はつかないから、受領を受理であるとするのが一般的であり、受領を受理であ るとすることもやむを得ないであろう。それは、行政機関の行為は、すべて表記主義・表示主義によるとすべきであるからであ る。又公務員は、行政主体と同じように悪ー誤りを犯かすはずがないといえるからである。 一〇 営業許可取消等請求事件︵畷加購鰯詐能.︶ ︹事実︺ 各審級の裁判所では、つぎのような︹事実︺がある。 ω第一審では、原告Aは、訴外C︵細嚇繍蝶︶の浴場営業許可は、違法であるから、無効又は取消されるべしと出訴したが、被 告B︵縣知︶は、原告Aは、先願者でなく、訴外Cの右の許可は、有効である、とする。返戻については、原告Aの行った公衆浴 場営業許可申請に係る公衆浴場の場所既設訴外Cの公衆浴場から三〇〇米以内にある︵齪蘇畷囎︶ので適正を欠く、これを理由とし 不許可処分に付し、この通知書を同月三〇臼に原告Aに交付した︵源縮獺億ガ昭彫透軌コ獣雛甑蘇縮聯轄繹欝礪紳漏壊騒結麹教剛勧釈行︶。被告 Bは、いずれの許可を行う・行わないは被告Bの裁量範囲であり︵旛酬罵劒肺踊田﹀、その差は、三日であり、その場合はまさにそう である、とする。裁判所は、この偏向的措置をすべて認めて、返戻には触れない。しかし被告Bの偏向の理由や対応の目的が何 辺にあるか明白であり、そのカムフラージュの巧さに、おどろく、という他はあるまい。ここに裁判所の行政権への偏向があ る、といえようQ ③第二審では、第一審と同じような判断が行われるから、その判断が機域的かつ形式的であることはいうまでもなく、まし
東洋法学 一二一
返戻への一考察 一二二 て返戻には、何ら触れることもなく、終わるのである。 ③ 上告審では、上告人Aは、やはり自己の申請は、同月八日に受理されたから確定しているのに、原告Aの先願権を無視し た原判決は、法令に違背する等とし、これについてのみ最高裁判所は、判断するが、返戻については、訴外Cの公衆浴場営業許 可申講書は、添付図面に不備があることを理由として、提出書類全部の返戻を受けたので、同月六日、さらに本件︵傭酬︶公衆浴 場営業許可申請書が提出きれたが、又補正を求めて、添付測量図面をもちかえらせ、他の書類は、そのま\同保健所に保管し た。その後係員がF県知事の指示を求めた結果、さきに持ちかえらせた測量図面の添付を認めるとしてこれを提出きせ、同月一 一日にその受付を手続したという。しかし結局、訴外Cの右の許可申請受理は、同年六月六日であるとする。 ここでは、原告Aが既設業者になるか訴外Cが既設業者になるかが最大の争点であるが、さきに全部返戻された︵魎肘舗ゼ巴糠罐 瀞訟浴︶訴外Cが、一部返戻にあっても︵献.︶、 その受理が有効であるときれるところに問題があるといえよう。その受理は、受 領である。それは、一部返戻が行われているからである。訴外Cに対する偏向は、受理にはじまる。原告Aの申請が行われて も、訴外Cの既設場所の近く︵犯以○齢︶であるからときれて不許可処分になる。 訴外Cの申請が受領であるとすれば原告Aの申請 が受理され、彼が既設業者になる。しかも訴外Cは、漁業協局組合であるから、何らかの被告Bの偏向は、明かであるが、何故 に原告Aは、逆の偏向ー差別をうけるのであるか分からない。それにしても、第一審は、被告Bの偏向の目的等は、分かってい ると思うが、この判例は、上級審に行けば行くほど判断が形式的であるという憾みもおぼえる。 二 買変予約申込書返戻処分取消請求事件︵略欄瀾塑翫恥一一一︶ ︹事実︺ 原告Aは、本件土地の買受予約申込書を被告B︵蘇知︶に提出した︵翻咽畑.︶が、被告Bは、 ﹁売渡予約申込書の交付に ついて﹂という書面を原告Aに送付するとともに、原告Aの売渡予約申込書を返戻した︵調認﹃︶。そこで原告Aは、農林大臣に 審査講求したが、同大臣は、この請求を棄却し、その返戻の理由は、原告Aには買受資格の欠如があるとした。そこで原告A ぺ は、自己は、従来︵郵一読.︶自作農として農業に精進してきたので、右資格はある。返戻は処分で違法の処分である。その理由 は、売渡拒絶は、被告Bの意思表示である、とする。これに対して被告Bは、返戻は、事実行為である等と主張する。 裁判所は、①右申込書の返戻は、売渡予約書の交付を実質的に拒否した行為・処分であり、これは、原告Aの法律上の地位に
影響すべき行政処分であるからである、とし、②原告Aに対して、その買受資格のないことを理由とする本件土地の売渡予約拒 否の本件処分︵売渡予約申込書の返戻︶は、適法である、とする。 この判断については、つぎのようなことがいえよう。とくに予約申込書の返戻が処分であることが目立つが、原告Aは、返戻 が処分であることを知っていて、これに不服があるから、出訴したのであろう。これに対して被告Bは、返戻は、事実行為であ るとしながら、売渡予約申込書の交付の拒否処分︵その返戻︶は、処分であるとする。この点、被告Bは、返戻の意味を自己に 有利にするために示して裁判の途中で変更し予盾する主張をしているようであるが、しかしこれは、行政機関には、許されない ことであろう。返戻があり、 ﹁売渡予約申込書の交付について﹂の送付があったが、これと返戻の意昧は、原告Aにとっては、 必ずしも、裁判所のいうようでなく、返戻を処分と知っていても、なお買受について裁判所を信頼しその希望があることも否め ず、又資格はないことはないとしていたともいえよう。しかし裁判所はその希望をいれなかった。 一二 市長の処分に対する不服申立事件の審判に対する即時抗告事件︵蠣鱗輝駈ぎぬ釜蒙瓢総旛礪塚︶ ︹事実︺ 事実は、つぎのように別れる。 ω 原審々判は、つぎのようである。 申立人は、探偵調査社団の代表である︵繭鳥齢勘雄咽﹀が、Aが同社団に入ることを希望したので、入社規定や定款に定める身元 調査の必要上、B市区長に郵送料・手数料とともに本人の戸籍謄本交付請求書を、郵送し︵激醜踊球罷柳翻継の︶、相手方に到達した ︵醐辺弍む。相手方は、交付請求︵送付講求︶が、差別行為等に利用されるので、同市では、戸籍簿公開制限に関する取扱要領を 定めていて、これによって、この請求に応︵昭潤臨御八︶じられない、として、本人Aの承諾書や確認書の提出がないので、申立人 の本件戸籍謄本確認書に、承諾書の用紙と、使用目的記入欄と婚姻・就職等の調査に使用する場合は、申請に応じられない旨を 記入した確認書を同封して申立人に返戻した。そこで申立入は、Aの戸籍謄本交付請求の受理と交付の審判を求めて、不服申立 を行う。これに対して、原審は、右送付請求につき、本人の承諾書又は確認書の未提出をもって、これを拒んではならないと判 断した。その理由は、この返戻は、﹁正当な理由﹂︵欄萌聴︶の解釈を逸脱した違法な措置であり、この取扱要領の措置は、無効で あるといわざるを得ないとし、この返戻の際、同封した確認書の内容からは、申立人はもはやその確認書の所定の事項を記入し
東洋法学 ごご二
返戻への一考察 一二四 て再度、交付を請求しても、相手方が送付に応じないと考え、本件不服申立に及んだことは、肯認でき、この返戻によって本件 送付請求を拒絶した処分は、不当であるという。 ここでは、返戻が事実行為であり処分の手段であることが、うかがわれる。又返戻の根拠が取扱要領︵の内容にもよるが︶で あり、その法律違反︵帽砺薦﹀が指摘きれていることも、貴重である。 それは、今日わが国では、法規から離れた目的論的解釈法 学が、行政法学分野でも有力又は通説的のようであるが、立法の不備は不備として、法実証的に法規に則した解釈が必要のよう であるからである。 ③ 第二審は、つぎのようである。 右のような原審判の結果は、同入の承諾書又は確認書の提出のないことを理由にしてこれを拒んではならないことになったの で、抗告人は、この返戻を戸籍交付請求の拒絶処分ないしそれに類したものとみる原審々判の認定には、誤りがあり、この点、 原審判は、取消をまぬがれないとして抗告に及ぶ。その理由は、戸籍事務は、画一かつ形式的行う外はなく、個別的処理には不 可能なことが多くあるが、抗告人のとった措置は、たんなる行政指導にすぎず、拒否処分ではないということである。 裁判所は、これらの抗告理由︵観駆に﹀忙立入って審理するが、返戻は、右承諾書又は確認書がなければ、請求に応じられない とするものであり、関らかに右請求への拒否処分であると解することができるとして、棄却する。 しかし返戻をたんなる事実行為でなく、意思の有無によって事実行為・法律行為︵処分︶のいずれにするかどうかを決定する のは、形式的ではなかろうか。それは、行政指導でも意思的行為であり、希求の意思すら、示すであろうからであり又返戻それ 自体は、そうした意思的意味のない動作・手段であるからである。又行政機関が、返戻を事実行為ー行政指導であるとしている ことも目立つようである。 =二 助成金交付申請却下処分無効確認等請求事件︵款欄灘庭冠仏一一﹀ ︹事実︺ 原告Aらは、同和地区保育所の児童とその保護者からなるが、その保育所児童に対する服装と保育用品購入費助成金 支給要綱に基づき、その助成金支給の申請を、市長に対して行う。市長は、申請書の返戻を行う。その理由は、同要綱の定める 要件を具備していなかったからであるが、原告Aらは、これを不服として、申請却下処分の無効確認を求めて出訴した。
裁判所は、この申請は、法令に基づく申請ではないとし︵哨噸噺︶て、その返戻については、つぎのようにいう。被告B︵嬬飾﹀は、 ペ ヤ 原告Aらに対して﹁保育所児童服装品及び保育用品交付申請書﹂が同促進協議会長と地区協議会長の推せんを経ず、つまり彼ら を介していないとして、右の各点につき補正を目的として、同交付申請書を返戻したことが認められるが、返戻は、補正を求め るために行われ、﹁本件助成金を支給しない﹂というものではない。もし本件助成金を支給しない応答であるとしても、本要綱 は、条例・規則でなく、その本質は、被告Bが事務執行権限に基づきその所掌する事務について命令又は示達するため職員に対 して発した訓令文は通達であり︵鋤醜︶、本件助成金に関する私法上もしくは公法上の贈与契約の申込みに対する拒絶又は本件助 成金の支給決定︵行政処分︶をしないという事実上の応答であると解されるが、もし前者であるとすれば、対等当事者間の行為 であり、もし後者であるとすれば、原告らの権利、義務等の法律上の地位に何ら作用するものではなく、したがって﹁行政庁の 処分その他公権力の行使に当る行為﹂︵爺陣訴︶に当らないとする。 この程度・種類の申請は、 ﹁法令に基づく﹂応答行為ではないとするが、この程度・種類の申請は法令に基づく申請ともいえ る。返戻については、返戻は、補正を目的とする事実行為であることを萌らかにしているといえるであろう。しかし要綱を訓令 ・通達であるということは、できないし、又法規性がない。それは、要綱は、形式的にも訓令又は通達でなく、実質的には、こ れら以下の下位規範というべきであるからである。 一四 損害賠償請求事件︵錬癩糊潮ル鷺.﹀ ︹事実︺ 原告Aらは、昭和四八年以来、自衛隊の観閲式に反対してデモ行進を主催して来たが、原告Aは、昭和五一年一〇月 三一日の観閲式のある基地周辺で、デモを行おうとして、デモ・コースの関係警察署に、道路交通法に基づく道路使用許可申請 を行うべく公安条例に基づくデモ行進の許可申請のために、その関係B警察署︵講翻庁︶に就き、申請用紙を求めたが、同署係職員 は、関係C県︵旛融が︶側の進路変更等の場合のことも考えて都内の集合場所等の必要もあるから、C県側の事情が分かってから、 申請してはどうかと勧告し、その申請用紙の交付を拒んだ︵週罰﹀。翌日Aは、自分で申請用紙を作成して、これを提串しようと したが、係職員は、昨日と同じような理由で、受理を拒むので、同署の受付に、右申請書を置いて帰った。係職員は、C県側の 申請の結果を尋ねたところ一部道路使用が不許可になっていて、都内集合場所等の申請も必要になっていた。そこで係職員は、
東洋法学 一二五
返戻への一考察 一二六 これについての指導が必要であると思い、Aの事務所に訪れたが、Aは不在のため右申請書在中の封筒とともに、返戻する旨の メモを郵便うけに入れて帰った。その翌醸、Aは、同警察署に右申請書を持参し提出しようとした。しかし右係職員は、C県側 の道路の一部使用不許可処分を理由に、都内デモ行進を内容とする申講に変更するように指導し、その申請の受理を拒否した。 結局、C県側の道路使用不許可の取消訴訟が棄却になったため、︸部のデモ行進は、これを除いたC県側の許可分部道路上のみ で行われた。 裁判所は、右事前折衝は、あくまで原告Aらの任意の応諾やその勧告に基づく自主変更を前提とすべきであり、原告Aらは、 警備担当者と見解を異にし、事前折衝の際の勧告や要望に応ずる意思がなく、当初予定した通りの内容の申請書を提出する意思 を朋確に表明した場合には、その意思は、充分尊重され、係職員が形式的事項について調査、助言等ができるが、申請内容につ いて実質的な判断を下し、その受理を拒絶することは、許されない、とする。 この判断は、返戻については、直接触れていないが、返戻の許きれる隈界にも言及し、その在り方等を示唆するものと高く評 価できる。この場合、つぎのように、いうだけで充分であろう。係職員の偏向によっても、充分、ヒトの権利や自由が侵かきれ ることが伺われるが、事実行為である返戻が、不許可処分であるとすることが、いかにおかしいか等を浮彫りにし、これを支持 する者の立場は、分からないといえよう。 一五 損害賠償請求事件︵撮糊唖♂︷町︶ ︹事実︺ 原告Aは、賃貸住宅を所有しているが、増築工事のために、建築確認申請を行った︵甥輯訊し。ところが書面で本件建 物が法規に違反するおそれがある旨の通知をうけ、建築確認︵蝿曝嚥噺齢︶のないま\B市C水道局に対して給水装置新設工事を申 込んだ︵綱五︶が、同局課長Dが、その申込書を返戻した。その折、・建築基準法違反を是正し、建築確認をうけた上申込むよう勧 告した。そこで原告Aは、私設水道装置を設け、本件建物を賃貸し、同入は、そこに居住し、その後D課長の後任者Eの指示に よって改めて給水装置新設工事の申込をした︵昭噸きが、申込は、受理されて、工事も完成した。ところでB市は、水道事業給水 条例施行規程一〇条を改正して、前項の規定するもののほか、管理者が必要と認めるときは、当該工事の申込みにかかる建築物 の確認通知書の提出を求めることがある旨の規定を追加し︵醐﹄。﹀、この規定の実施要綱を定めた。そこで原告Aは、同局課長
の行為︵綬朗舗晒⋮︶は、水道法違反であり、その使用者B市は、正規の水道装置のないことによる損害賠償二〇〇万円の支払を求 めて出訴した。これに対して、第一審裁判所は、同水道局課長Dは、右実施要領に基づき他の建築指導員と相談して、その申込を 拒絶したものであり、これは水道法違反の措置であるとしながら、損害の立証がないとして原告Aの請求を棄却した︵欲昭畷魔.︶。 第二審は、正当の理由︵殊鎚︶を、解釈し、Dの行政指導は、その限界をこえるものではない。水道法︵か︶に違反するが直ちに 不法行為法上の違法ということはできないとして、第一審の判決を支持し、控訴を棄却した︵歌縞糊縮殖蛾.﹀。したがって返戻に ついての判断は、期待できない。 第三審の最高裁判所は、水道課長Dが給水装置新設工事申込の受理を事実上拒否し、申込書を返戻したのは、申込の受理を最 終的に拒否する旨の意思表示をしたものではなく、右建物につき存する建築基準法違反の状態を是正して建築確認をうけた上、 申込みをするよう一応勧告したものにすぎないとする。 結局、下級裁判所では、目前の損害賠償問題に争点が集中し、返戻は、一顧だにされなかったといえよう。この意昧では、最 高裁判所の判断は、下級審のそれよりいいといえるが、ここでは、受理も、われわれの前に引き出きれ、受領と受理が混同され ているといえよう。又返戻は対外的動作であり、返戻そのものには、勧告の内容は、ないのが、一般的であり、確認と水道申込 をどのような関係があるのかと思われるが、返戻自体が勧告・行政指導等であるとかとはいえまい。なお反対に課長の変更が、 受理︵∼︶や返戻に作用するとは、一体どういうことであるかとも思われる。又水道利用契約は、本質的には、私法上の法律関 係であるが、何故に、 ﹁受理﹂等の文字が用いられるのであろうかとも思われる。
⇔ 返戻の判例の時代・社会的傾向
﹁返戻の判例の時代・社会的傾向﹂といっても、これには戦前の判例は、判例一しかなく、むしろ返戻、行政指導
東洋法学
一二七返戻への一考察 一二八
等は、戦後のそれ︵判例︶ということになる。戦後は、終戦から今日までの時間であるが、それは、この戦後の時間
!空間︵社会︶を背景とする返戻の判例から、一応老えられる判例の傾向という意味になる。この意味では、形式で
あるといえよう。この観念に対するのが、つぎに予定する日の﹁その実質的傾向﹂である。これは、むしろ返戻の判
例の内容を求心的に明確にしようとするものであり、この時代・社会的傾向には対立するものである。この返戻の判
例の時代・社会的傾向の主なものは、つぎのようである。
右にも、触れたように返戻の判例は、戦前の行政裁判所の判例一が礪矢であるが、それ以前にもあったと思われ
る。しかし学説も判例も、今日以上に注目はしなかったであろう。この項は、わが国は、近代化の経済的支柱である
資本主義が、世界資本主義に伍し、カルテル化と金融資本の支配、独占化に就こうとし、その政治的バ獄メーターの
民主主義は、普通選挙︵強肌稠︶を手にし︵駄︶、はじめて作動したのは、昭和のはじめであった︵詔︶︵繍繍臨枇徽舩囎粉︶。行政法 学では、ようやく美濃部達吉の民権派が出現しはじめていた︵揃醐団ユ︶。したがって返戻の出現は、稀少価値しかないといえようが、その事由の一つは、行政裁判制度にもあったであろう。行政争訴訟ー行政裁判は、とくに訴願前置主
義と列挙主義であったからである。そのために行政訴訟自体は、被行政主体にとっては、困難であったといえる︵欄戴
瑠五踊撤磁﹂︶。したがって行政裁判所が返戻を処分であるといっても、さして一般の被行政主体は、その意味を自覚す
ることもなく、その生活には何らの作用もなかったということができよう。
﹁戦後﹂といわれる日本国憲法の下では、諸事情・環境は、一変した。経済的には、わが資本主義は、アメリカ従
属とアメリカ的軍事化を通じて再建され、独占資本は、きらに強化され、スマートになったが、今一つの近代化の支
柱である民主主義も、男女平等の普通選挙制をもち完成する︵癩噌一︶︵謝隔臨鴫臓舩鷹珍。ここでわが国の近代化は一応実現 することになるが、返戻の判例は、このような運動傾向を示す、といえよう︵胴︶。
OD 返戻の判例の出現多数 戦前では、判例一があっただけであるが、昭二七年に判例二が出現する。これを初め
として昭和三三年に判例三と判例四が出るが、右にみた判例の中には、第三審の最高裁判所の判決一五等もあるか
ら、右に示した乏しい判例に、若干の下級審の、返戻の判決︵・決定︶を加えることができる。昭和二〇年代では判
例二︵癩一一︶が出現し、昭和三〇年代には、判例三︵噸一一︶、判例四︵胴︶、判例五︵曜、一︶、判例六︵遡二︶と判例七︵翅、一︶があり、 昭和四〇年代では、判例八︵詔四︶、判例九︵調四︶、判例一〇︵媚四︶と判例二︵翻瞬︶があり、昭和五〇年代では、判例一 二︵噸五︶、判例二二︵謂五︶、判例一四︵胴Vと判例一五︵畑五︶が出現する。これによれば、昭和三〇年代以来、昭和五〇年代までは、さして増減がないということになるが、昭和六〇年代は、まったくないということにならないであろう。
ω 返戻の処分性 返戻が処分であるという性質をもつことであるが、判例二、判例三、判例五、判例六、判例
七、判例二と判例二二糊臨縣確勤︶は、処分であるとする。しかし、こうした判例は、昭和三〇年代に集中してい
て、昭和二〇年代に判例二が、昭和四〇年代に判例二が、昭和五〇年代に判例二一が拡散している。これは、返戻
の判例が処分であるということになっているとするには、まだほど遠いであろうとすることができる。なお返戻は、
撤回︵醐例﹀又は取下︵欄判糊欝嘱瑚︶の勧告であるというものもある。しかし撤回も取下も、私人の公法行為であり、任意的であるべきものであり、行政権や司法権の関与するものではない。しかし現実には、勧告等といっても、行政指導で
あり、事実上の強制になることもある。こうした判例は、形式的であるが、各年代︵醸と
○鉦嘱︶に各一ずつある。東洋法学 二一九
返戻への一考察 二二〇
⑥ 返戻の事実性 これは、返戻の処分性に対するもので、返戻が事実行為としての性質があるということであ
る。判例一は、錯誤による返戻は、事実行為であるというが、他の判例は、そうでなく、概して返戻は、事実行為で
あるとする︵騨糊鶴紳剛欄黙欄塑ε。時代的にみると、昭和三〇年代と昭和四〇年代に各々一判例であるが、昭五〇年代
は、三判例がある。この傾向は、判例が返戻を事実行為であるとするということにはできないが、概して右の判例
︵躍撲砺為︶は、法実証的である。とくに判例九は、法の不備を補うために、基本的人権を制限することは、法解釈の域
を逸脱するとしている、という。これらの判例によって目的論的解釈論に立つものが、返戻を処分とする判例である
とはいえないが、法の解釈には、限界があり、基本的人権まで犯すことは、許されないことは明白である。
㈲上級審の判断の形式化いうまでもなく判決手続は、第一審と第二審︵離訴︶は、事実審であり、上告審︵趨一一︶は
法律審であるが、ここでは、 ﹁上級審の判断の形式化﹂は、上級審になるに従って審理・判断は、形式的になるとい
うことである。ここで示した判例でも、判例一〇、判例二芝判例一五が上級審で争われたものであるが、前者は昭
和四〇年代であるが、後の二者は昭和五〇年代にある。とくに判例一〇では、原告Aは、訴外Cより三日前、八日に
適法な申請を行う。訴外Cは、全部返戻にあい、六日にさらに申請を行うが、一部書類の返戻にあい、二日によう
やく補正されているから、その受理は一一日である。これが真実であると思うが、行政機関は、訴外Cは申請を六日
に行ったとし、原告Aの申請を不許可処分にした。しかし公衆浴場営業許可申請は、警察許可であり、警察許可は、
羅東的である。競願者がいれば、その許可は、いささかの偏向も許されず、公正に行うべきことは、自明である。と
ころが行政機関は、訴外Cの申請の受理は、六日であるとし、既設業者とした。事実審は、これを支持し、最高裁判
ヤ ヤ 所も、この横車的判断を支持したが、公正を期する方法は、抽せん、僥倖に専ら委ねるもの︵鞭翫灘鵤辮縮鰍じ︶等がある。
ここでも、裁判所が行政権の偏向を見破れないとは考えられないといえよう。
⑥ 返戻の判例の無法規の基準化 法規性のないものの典型例は、要綱・要領等であるが、判例二、判例一二、判
例二二と判例一五にこれをみる。要綱、要領等は、法規性がないことはいうまでもなく、通達・訓令等の下位に立つ
ものである。これに基づく行政指導等を支持する学説もあるが、ここでは、立法の不備をあげることが容易である。
これゑ指摘しないで、解釈として、立法の不備をカバーすることは、法実証的には考えられない。要綱・要領に類す
るものに基づく判例の例は、判例四、判例六と判例七であろう。さきの要綱等に基づく判例は、五〇年代に集中し多
くなるが、要綱等に基づく判例は、三〇年代にない。これらの判例は、目的論的解釈では、肯けるであろう。
⑥ 公選行政機関の偏向性 公選行政機関は、地方公共団体の長である︵墜血王︶が、公選行政機関の偏向は、公選
行政機関であるその長が偏向的処分︵餌灘分︶を行うということである。この例は、判例六、判例八と判例一〇である。判例六では行政機関は、同県同地区の薬種商組合に、判例八は、農業協同組合に、判例一〇は、D市漁業協同組合に
偏向しているが、そのような疑いのあるものをあげれば・判例二をあげることも、できよう。又逆差別的であるが、
判例一四も、そうで南るとすることができよう。これらの判例は、昭和四σ年代には、二判例があるが、戦後の一〇
年を単位とする各時代には一判例がある、と概していえよう。しかも、いずれも、はじめに示した判例六等は、差別
される申請者よりも、多数人からなる団体・組合に偏向している。こうした少数者への差別と同時に多数人の団体・
組合の偏向には、そうした行政機関がとくに選挙を、目的にしているといえないことはないであろう︵路雛劒鞭欄愉珊蠣凝妙東洋法学
一三一返戻への一考察 一三二 諏規嫡、昆肌賛︶。こうした不告不理の原則の下の裁判でも、こうした目的を具体的又は特定することは、可能であるとい