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ABCの変遷と原価配分の視点

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Academic year: 2021

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(1)三ム. 三冊. -Ⅰ 党. ABC の変遷と原価配分の視点 高. 橋. な 情報を提供していない」という 見解がアメリ. 1 . はじめに. カで主張されるようになった.それを. 1980 年代後半より 注目を集めた Activity BasedCosting (ABC) に関する議論も ,ここに きて一段落したようであ る.現在までに,いろ いろな概念上の 変遷を遂げてきているが ,ここ でいったんこれまで 行われた議論を 整理するこ とにも,意味があ るものと思われる・ 筆者は , 先の論文で,直接原価計算の 発展と 原価配分視点との 関係を考察した 1. その際 , ABC の変遷についても 簡単にふれた. あ る原価を原価計算対象に 配分する ( しない ) という場合,そこには 二つの視点があ ると考え. られる.ある明確な目的があ り,それを達成す るために,あえて原価を配分しない ,という場 合があ る.これを筆者は「積極的視点」と 呼ん で い る.一方,配分したりのだが ,合理的な基. 準が見つけられないために 配分しない,. 賢. という. 場合もあ る.これを筆者は「消極的視点」と 呼 んでいる.. この論文では ,原価配分の視点として,「消 極的視点」と「積極的視点」という 2 つの視点 と, ABC の変遷がどのように 説明できるかとい ぅ ことを詳細に 検討する ". D. ABC 論の高揚. 1980 年代における 企業環境の変化に 対して, 「現在用いられている 管理会計手法の 多くは, 現在の経営管理者の 意思決定目的にとって 適切. 象徴する. のが, ジョンソンⅠ キャプランの『 レ レバン. ス・ロスト』であ る・ (JohnsonandKaplan,. 1988J このような動きの 中で,従来の製品原価計算 に対する一つの 批判として注目を 浴びたのが, ActivityBasedCosting:ABC であ る・ 製品単位原価計算としての ABC. 1 .. (1. ). 従来の原価計算に 対する批判と ABC. の. 登場 初期の議論で 有名なのは 1987 年のキャプラ ンニクーパ一の 論文であ る・ (Cooper and. Kaplan,1987.)すでにいろいろなところで. 紹介. されている論文ではあ るが,発表された当初の 意図を明確にするために ,改めてここで検討の 姐上に乗せようと 思う. 彼らは,企業のフィールド・スタディを 行う うちに, この手法を発見した. ABC は,当初 旺㎝ sactioncostingとして提唱された・. ①製品原価の 重要性と現行の 原価計算の限界 キャプランニクーパーは , 3 つの企業. ( マイ. ヤーズ・タップ ,シュレイダー・ベロ ウズ,ロ ッ クフォード ) のケースを取り 上げているが ,. その中で,新製品の導入や価格設定,製品の廃 止といった製品関連の 意思決定には ,製品原価 が重要な役割を 果たすという.ただし,現行の.

(2) 38 は96). 横浜経営研究. 原価計算システムでは ,このような目的を満た すような正確な 製品原価計算はできないと 指摘. する. 2 段階配賦プロセス (two-stageallocation pr0cess Ⅰと呼ぶ,現行の原価計算システムの 間 題 点を次のように 指摘する,製造間接費の 勘定 からコストセンタ 一に原価を配賦する 段階 (第 1. 第 3 号 (2000,. 第 21巻. 段階 ) では様々な配賦基準を 用いているが ,. コストセンターから 製品へその原価を 配賦する 際 ( 第 2 段階 ) に,企業では直接労務時間を 用 いている.非常に自動化が進んでいるにもかか. ぅ. 大きな多様性がでかい 程度に製品種が 少ない. 場合に有用であ る,ただし。 現代の環境はその ような状況ではなく ,もはや直接原価計算は 有 効な解答を示すことはできない ,というのであ る. ・. (め材・, pp.213 る ) ・. ③全部原価計算の 欠陥 経営者達が製品関連の 意思決定に対して 直接 原価計算を利用していないからといって ,現行 の全部原価計算システムに 満足しているわけで はないという・キャプランニクーパーは ,この 不満は , 次の. 2. 点にその原因があ るのではない. わらず,である.. かと考える.. これらの企業では ,製品原価計算やプロセス 管理,棚卸資産評価といった 複数の目的のため. (@) 不適切な配賦基準. に ,このシステムを使っていた・. の第. しかし,もと. もとこれは財務報告のための 棚卸資産評価を 主 目的として生み 出されたシステムであ り,プロ セス管理のためには 情報が遅すぎ ,また集計を しすぎると指摘している・ (fbid.,pp.212-3.). まず第 - の原因として , 2. 2 段階配賦システム. 段階,コストセンターから 製品への配賦. で,直接労務費を 基準にしていることをあ げる. 思決定に使うのは ,会計学者 (academic. この手続は,直接 工によ る作業が,材料の 加工 プロセスにおいて 主要な価値付加的な 活動であ ったような時代に 適合する手法であ る.工場の 自動化が進み ,直接工 がもっぱら段取りや 監督 に従事しているというような 状況では,直接作 業時間は,製品からの資源需要を適切に 表す変 数ではない.むしろ ,機械作業時間などが原価. accountan 健によって提唱されてきたが ,実務. を 帰属させるにはより. 家は依然として 製品関連の意思決定には 全部原 価情報を利用しているという. その理由として ,市場での競争が激しい場合, もし変動費の 情報を持っていると ,販売買は変 動費 近くまで価格を 下げてしまいがちになる. 全部原価は,こういった 行動に歯止めをかける 機能をもつ. また,経営管理者たちは ,変動費. というのであ る.そこで,コストプールごとに. 9. 直接原価計算批判. また,直接原価計算. (彼らは. marginalcosling. と呼んで い るⅠも批判されている.変動費を 意. のみで評価した 製品原価は , 別の製品を採用し た 場合の固定的な. 能力の資源への 需要を反映し. 現実的な基準ではないか ,. 原価の帰属を 適切に表す基準を 組み合わせて 使 うことを提案する. 「複数の配賦基準を 使用することで ,原価の 発生 (incurrcnce) の責任に応じて ,製品に対 するより正確な 原価の帰属 (afinerattribution ofcos 幻が可能となる・」 (7bid.,p.216J ㎝ ) 複雑性に よ る原価 ただし,物量基準 (volumerelatedbase)だけ. ないと感じている.全部原価のほうが 製品によ. では, コスト・ ビヘ イビアを正確に 描写できな. る資源の消費をより. い.物量には関係なく,多様性や 複雑性によっ. 反映しているのではないか ,. と 考えている.. て発生する原価が 多い ,. 製造環境の変化という 点からも,直接原価計 算の有用性に 疑問を投げかけている.直接原価 計算は,全製造原価にしめる 変動費の割合が 比 較的高く,製品によって 製造・販売の 資源にそ. 物量基準によって 原価を配賦する 伝統的な原 価 計算では,製品の多様,性 と支援部門のサイズ との間の関係を 明確にすることができない.伝 統的な原価計算では ,支援部門費は ,固定費に. と 指摘する..

(3) ABC の変遷と原価配分の 視点. 分類されているものであ る.支援部門費は ,製 品の生産量に 対して変動するのではなくて ,製 品の多様性によって 変化するのであ る・支援部 門の活動は,人的活動が 中心であ り,この原価. (高橋. (197) 39. 賢). いるわけではない.支援部門 費 0 タイプによっ. トプットは, どれだけの取引. て異なってくるという.たとえば ,検収費は材 料の受八回数に 関連しているし ,配送部門の活 動水準は,発送致 が主な要因となる・ 取引関連配賦基準へのシフトは ,原価計算シ ステム設計の 哲学に対するより 基本的な変化で. (Ibid.,pp.217-8.). るという.伝統的な 原価計算では ,原価計算 要素 (costingelement)は常に製品であ った・. の 内容は , 主に人件費であ る.支援部門のアウ. 鰭 ansaction)を行 うのか,ということで 表すことができるとする・. あ. ④ transactioncosting 伝統的な原価計算では ,このような支援部門 費を正確に製品に 割り当てることができない. 一方,取引原価計算では,原価計算要素は, ,. 「取引を発生させる 活動を消費する (consume) ものであ る」とする・ (Ibid.,p.220 ) たとえば, 取引が段取りであ れば,原価計算要素は製造ロ ットであ る.各製造ロットにっき 段取りが一回 ・. という.製品単位当たりで 見ると,少量生産の 製品は,大量生産の製品に比べて ,より多くの 取引を生み出す. したがって,支援部門費の 単 位当たりの割当額は ,少量生産品の方が大量生 産品よりも,大きくなるはずであ る, しかし 伝統的な原価計算では ,異なる結果になってし まぅ .それは,原価の 内部相互補助 (crosssubsidization)が行われるからであ り,製品の 生産量に大きな 開きがあ ればあ るほどこれは 大. 殊な部品" を 多く使うような 仕様の少量生産品は ,. きくなる.支援部門 費は ,製品種を増やすこと. よ. に よ る複雑性の増加によって 大きくなる,大量. 象を理解している 企業では,材料関連の製造間. 生産品は,その追加的な原価の 発生にはなんの 責任もないのに ,以前よりも 生産に費用がかか っているように 見えてしまうのであ る. この原 価は,生産量の少ない新製品によって 発生する (triggered)ものであ るが,大量生産品に対し. 接費を,使用材料の 物量や支出金額ではなく. てシステムを 通じて集計されているのであ る.. (Ibid,,pp.218-9.) 支援部門のために 業務を発生させる 取引の多 くは,段取数 (thenumberofsetups)によって 見積ることができる.支援部門は , 様々な活動. (activities) に従事しているので ,支援部門費 の相当な部分が ,各製品に関連する 段取数に帰 属させることができる. この考え方に 基づく 原価計算システムを 取引関連原価システム (transaction-basedcostsystem) と呼んでいるが , これによれば ,従来のシステムでの 結果に比べ. て,少量生産品の製品原価は高く 報告されると い,フ・すべての支援部門 費が 段取数に関連して. ずっ必要になるからであ る.. 伝統的な原価計算では ,部品の共通性という ものが持つ価値が 隠されてしまう , とも指摘し. ている.取引関連基準原価計算では ,共通部品 を多く使い,部品の 種類が少なくなるよう 製品目 を 設計すれば,あまり原価が発生しないが ,特 り高 い 原価を発生させることになる. この現. 部品の種類 数 で配賦しているという・. ,. (fbfd.,. pp.220-2.) ⑤長期変動費の 概念. 以上のような 取引関連基準原価計算を 理論的 に支えているのが ,長期変動費の概念であ る. たとえば,特注品の注文を受けるか 否かとい う意思決定を 考える・従来のシステムでは , ( 短期的な ). 差額原価分析や 変動費分析を 行っ. た結果,受け入れると決定したような 問題でも, 実はその注文を 引き受けたことによって ,支援 部門 費 のような長期的に 変化 (増加 ) する原価. があ ることを見逃していたのであ る.従来の原 価計算システムは 範囲の不経済を 発見し損ねて. いる・製品関連の 意思決定というものは 非常に 長期的なものであ り,従来のシステムでの 短期 的な分析ではもはや 対応できない , いるのであ. る・. (7bid.,p.2224) ぁ. と 指摘して.

(4) 40 (198) 2 。 ABC. 横浜経営研究. 第21 巻. という命名と 概念の整理. 翌 1988 年には,. Activity-BasedCosting という 名称が使われるようになる.その 一例が,クー パ一の一連の 論文であ る・ (Cooper, 1988-9D ABC の具体的な計算体系が 示されたのはこの ころからであ る,基本的な問題意識は,前述の 論文とほぼ同じであ るが,伝統的な原価計算と ABC とを対比させながら 論じている.初期 ABC の構造と計算原理を 明確にしておくため に取り上げる.. 第 3 号 (2000). 活動の原価との 間に完全な相関関係があ る場合 には,活動の原価は一つのコストプールに 集計 され,相関のあ るコストドライバ 一によって製 品目に跡 づけられる, というのであ る・ (Ibid.,. p.358.) ここでは,コストドライバーを 介して 活動の原価と 製品が,ほぼ一義的な関係で 割り 当てられることになる. この ABC. で想定されている 計算構造を図で. 表すと,図1 のようになる.. (2) 活動への焦点 特に parttwo. り コストドライバ 一概念 partone では,おもに伝統的な原価計算と 比 較しながら, ABC による原価計算の 特徴を説明 している. ここでは, コストドライバーという 概念が明確にされている. ABC における製品原価とは ,製品の製造と 配送に必要なすべての 活動の原価の 合計額であ る.そして,そのような 活動の原価を 製品に割 り当てるための 配賦基準をコストドライバー と 呼んでいる.そして ,そのコストドライバー と (. の冒頭で強調されているのが. ABC では,製品ではなくて活動に焦点を 当て る, という指摘であ る.原価を発生させる 活動 を選択し,活動に 原価を集計し ,活動から製品 へ 様々な基準を 使って配賦することで ,最終的. にはより正確な 製品原価に辿り 着く, という.. (3). 計算 例. p 抽 one の計算例を取り 上げる・なお ,データ. の表示方法等一部修正している.基礎データは 図 2, 表 1. 及び表 2 の通りであ. 図. 図ソ 価. 原. 刀. (Zbid.,pp.356-7J. 大. P. P. 低 生産量. 活動原価プール. P4. P. 一局. コストドライバ 一による割当. Ⅰ. る・. サイズ. 活動への割当. 型. "" 仁コ. 表. 1. 製品の仕様 制荻コ 口コ. pi. 生産単位数. 単位 当 材料費. 単位当直接作業時間. 単位 当 機械作業時間. 0. 6. 0 5. 0 5. 100. 6. 0.5. 0.5. P3. 10. I8. 1.5. 1.5. P4. 100. 18. 1.5. P .@. Ⅰ. ,. ・. ・. ニ. ・. 5.

(5) ABC の変遷と原価配分の 視点. G高橋. (199) 41. 賢). 表ソ 製品原価計算のデータ. ロロ 製. 材料費. Ⅰ. 直接作業時間機械作業時間. (. 年間. ). 段取回数. 注文回数. 荷役 数. 3. 3. 3. 3. 部品点数製造間接費総額. Pi. 60. 5. 5. PZ. 600. 50. 50. PS. 180. 15. Ⅰ. P4. 1,800. 150. 150. 3. 3. 3. 3. 消費量計. 2,640. 220. 220. 8. 8. 8. 8. 製造間接費. 8264. $2,200. $3,300. $960. $1,000. Pi. Pz. P3. P4. 5. 50. 15. 150. $2,555.5. $676.65. $6,766.5. 867.66. 867.66. 5. $200. $2,000. $9,924. 表. 3. 製. Ⅱ 目. 直接作業時間 己. 酉. 賦. m. ・. 単位 当 製造間接費. $225.55. 822.55. 822.55. 直接作業時間を 配賦基準として 配賦する. ま ず,配賦率を計算すると, 89,924-220 時間二 845.11/時であ る・これを使って ,各製品に製 造間接費を割り 当てると,表3 のようになる. この結果について ,クーパーは 非常に歪んだ. これを満足させるシステムが , ABC. であ る.. この例では, ①直接作業時間に 関連する原価②段取りに 関連. する原価③部品点数に 関連する原価とに 分類し ている.①は,材料関連の原価,直接作業に関. 状態であ ると指摘する.製品にはサイズと 生産 量に差があ り,また,投入されている 原価要素 の消費の仕方も ,製品によって異なる. しかし, 直接作業時間というたった 一つの基準で 配賦し ているため,これらの 差を計算結果に 反映でき. 達 する原価,機械作業に 関連する原価であ ②は,段取り費 ,注文関連費 ,荷役関連費 であ る.③は,部品関連 費 であ る.それぞれの原価 に,適切なコストドライバーを 選択する.①に. ないのであ る.. 品点数をとる.この際,製品原価を歪めない程 度に,相関の高 い 費目に関しては ,コストドラ. 製品関連の活動が ,営業量 に関連してないよ うな場合には ,上記のような配賦計算をすると , 報告される原価は 歪んでしまう.たとえば, 生. り. は 直接作業時間,②には 段取り回数,③には部. イバーを集約する. ABC. によって計算すると ,. 次頁表 4 のようになる. この結果から ,クーパーは,次のように指摘. 産 量の少ない P, は年に一回の 注文と荷役であ るが,生産量の多い P, は,注文と荷役は年に. する・まず, 両 計算システムでの 間接費の差は ,. 三回であ る・ただし,生産量に 関していえば ,. 大量生産品 問 (P,, P 。 ) よりも,少量生産品間. P2 は PI の 10 倍であ る.. (P,, P,) の方が大きい・また ,その差は, サ. 「営業 量 に関連しない 原価を正確に 割り当て. (P,, P 。 ) よりもサイズ (P,, P,) の方が大きい.そ. ィズ の大きな製品間. (trace)には,原価を製品にではなくて ,活 動に集計するシステムが 必要であ る・」 (Ibid.,. の小さな製品間. p.357.. 製品のサイズ ,製品の複雑性から 生じている.. る. して,製品単位当 原価の歪みは ,バッチサイズ,.

(6) 42 (200). 横浜経営研究. 第2 巻. 第 3 号 (2000). Ⅰ. 表Ⅱ. 配賦率 直接作業時間に 関連する原価. 85,764 - 220 時 = 8 26.2/ 時. 段取りに関連する 原価. 82,160-. 8 回. 部品点数に関連する 原価. $2,000. 4. 直接作業関連 費 製品 P,. 5. 配賦 額 $ 3 Ⅰ. Ⅰ. P .,. -0 D. $1,310. P,. 15. $393. 150. $3.930. P. ABC. 基準 量. 。. 段取り関連 費 基準 量 配賦 額. Ⅰ へ. 3. 二. 8270.0/./ 回. 点 二 8500 . 0 ,・ ,点. 部品関連 費. 製造間接. 配賦額. 賀合計. $270. $500. $90. $810. $500. $270 $8 0. 基準 量. Ⅰ. システムによれば ,従来の原価計算よ. 単位原価. 従来計算と. 0 差異 (% 1. $90.@. 299.5. $2,620. $26.2. 16.18. $500@. $1,163@. $116.3@. 71.88. $500@. $5,240. $52.4. Ⅰ. - 22.55. というのが, ミラ一二 ヴォルマンの 論文の主旨. りも,バッチサイズや 製品サイズ,製品の複雑 性といったものを 反映したより 正確な製品原価 を計算できると 主張しているのであ る.. であ る・キャプラン = クーパーは,これに 注目. 3, 初期 ABC の特徴. という言葉が 使用されるようになる.そして ,. し,正確な製品原価の 計算に応用しようとした のであ ろう. この論文以降,取引に 代われ), 活動 (activity) transaction@costing@ H,@ ABC:@ Actviy-Based. (1. 初期 ABC の論点、 初期 ABC の論点を整理してみよう. まず,彼らのもっとも 重視する原価計算目的 ). は。 製品関連の意思決定であ. る.そのために ,. 正確な製品原価情報を 必要とした.その結果行 き 着いたのは,取引を基準とした原価計算であ った.そこで求められていた 製品原価は,全部 原価計算,それも 製品単位原価計算であ る.全 部原価に基づく 製品単位原価によって 収益性の. Costingと名を変える・そこで 強調されはじめ たのは,原価を 発生させるのは 活動であ り, そ れに焦点を当てることも 重要であ る, というこ とであ る.初期の段階から ,活動に焦点を当て ることの意義について 論じられていることに. ,. 注意しておくべきであ る.. (2) 計算の論 2塁 筆者は,初期ABC. を象徴する言葉として ,. 判断をしようということであ る.その背景には ,. その論文の中で 頻繁に登場した vary. 短期的な視点ではなく ,長期的な視点で意思決. consume. と. があ げられるものと 考える.. 初期 ABC での一つの大きな 焦点は,固定費 「取引」という 用語を用いたのは ,おそらく, を 変動費化することであ る.それは,前述の .ミ 一 フ一 = ヴォルマンの 影響があ るものと思われ 1987 年論文で vary という単語が 頻繁に使用さ る そこでは,取引を 旧封 cal tfansact 泊 n, れていることからもわかる.最終的なアウトプ ット (原価計算対象 ) であ る製品に対していか ba ぬncing transaction, quality transact;on, change にすべての原価を 割り当てるのか ? ということ transaction とに分類している. このように分 定をすべきであ るという意識があ る.. 」. 類,分析することで,原価低減を容易にしよう ,. に腐心している.そこで 得た. 1. つめ 緒論が ,あ.

(7) ABC の変遷と原価配分の 視点 る 原価が原価計算対象に. 対して変動的であ れば,. それを割り当てることができる. ,という考え方. であ る.. そして,活動を媒介とすることにより ,資源 ( 原価 )+. 活動 ヰ 製品というバイアスが 入り込. (高橋. (201) 43. 賢). constraints) であ るという・ キャプランは , TOC を直接原価計算の 極端 な形と考える.これは ,短期的には強力な最適 化のためのツールとかえる・ただし TOC では, ゴールドラットらのいう 業務費用. (opeFationg. みにくいシンプルな 原価割当システムが 実現し. expense)を分析することなく ,一つの塊 とし. たのであ る.. てみるという 点を問題にする・. この考え方を 支えたのが,長期変動費の 概念 であ る.この概念自体は , 1960 年代の直接原価 計算論争でも 用いられたものであ り,特に新し い わけではない.ある意味では,固定費を 製品. しろ,従来の 直接原価計算にしろ ,業務費用や. 結局, TOC. に. 固定費が,企業活動を 行っていくうちに 増大し ていっているということを 見逃してしまうのだ , と 指摘する・. 原価とするための 古典的な論理ともいうことが. (fbid.,pp.2-3. 研究者たちが 意思決定には 固定費を無視しょ. できる.ただしこの概念は,原価と製品との. と 提唱していたにもかかわらず ,実務レベ. 間の関係を明瞭に 表しているわけではなく , 当. ル では依然として 固定費の配賦が 行われている・. 初の意図を反映できていない.この 点に関して は後述する.. キャプランは ,その理由として二つの点をあ げ る .一つの理由は,製品原価計算と 財務会計 目 的の棚卸資産評価とを 調和させるためであ る・. また,初期の論文では,原価計算対象と. 経営. 資源との関係で ,「消費」という言葉がでてく る .経営資源の消費に応じて 原価を原価計算 対 象に割り当てるという 考え方であ る・これも 原価計算的な 論理からかえば ,特に新しいもの ではない,実際の資源の消費関係を 反映できな くなっていた 既存の計算システムを ,より実態 を 反映させたものに 整理し直したのが ,この時 点での ABC であ ったということができる. Ⅱ.製品原価計算から 原価管理へ∼ ABM ] . 原価階層と ABC. 理由として,固定費は ,製. そしてもう一つの. 造 ・販売に何らかの 関係があ るのではないか ,. という経営者の 信仰 (beliefs)をあ げる・ただ し ,従来行われていた原価配賦の手続は ,懇意 的なものであ り,魅力的で有用なシステムでは なかった.. 現代において ,従来の直接原価計算や貢献 利 益接 が役立っのは ,短期的な原価の予測や最適 化の場合のみであ り,その他の 目的,製品ミッ クス の決定や,価格決定,自製 か 購入かの意思 決定といった 製品関連の意思決定目的には ,不 適切であ ると指摘する・. ABC を支える理論のひとつとして 登場したの が ,原価階層のアイデアであ る.これは,キャ プランによって ,貢献利益法 に関するパネルデ イスカッションで 示された・ (Kaplan,19g0J. (fbid.,pp.4-5J. ② ABC と原価階層 従来の直接原価計算・ 貢献利益 法 はあ まり 有. ではない,かといって懇意的な配賦を 行う全 部 原価計算も役に 立たない.そこで,新しいア. 用. プローチとして , ABC. を提唱する.「貢献利益. (1 ) キャプランによる 原価階層の主張. 分析に対する 新しいアプローチが , ABC から 引. ①貢献利益法の 問題点. き 出される」と. 従来,固定費・ 変動費という 原価の 2 分法に 基づいて,変動予算や差異分析,差額原価収益 分析などが行われていた.この 流れにあ るのが,. であ る・. ゴールドラット ニ フォックスの. TOC. (theo り of. 発言していることに 注意すべき. (fbid.,p.5J. クーパーとの 研究の中で,詳細に企業の ケ一. スを 検討して い. く. う. ちに,製品原価の変動性の. タイプを発見しそれを 要約したと. レ. Ⅰ. つ. . それ.

(8) 44 202). 横浜経営研究. て. 第 2¥ 巻. 図. 3. 第 3 号 (2000). 図.. 4. 設備レベル費用. 製品ロライン l. 設備能力. 配賦. プロセス・エンジニアリンバ. 製品仕様. -ECNs 製品強化. 製品レベル費用. 口コ. 衣 制. コ. 総製品原価. 搬文. 投打 購 検. チ. 動 舌. 材 料. が, 次のような原価階層であ る. キャプランが 示した図は,図3 のようなもの であ る.. 以前の論文での 記述に対して ,次のように述 べている,. 「我々は, F 企業の活動のすべては‥・ 製品同 原価だと考えるべきであ る』と述べたが ,これ によって多くの 人が,すべての費用は,製品レ ベルより上位の 活動が原因であ る費用について さえも,製品単位レベルまで 配賦すべきであ る と, 我々がいっているものと 思いこませてきた. ‥・直観的に , 我々は,単位原価の計算は不. 可能であ ることを理解した.. バッチレベル 費用 バ. 単位レベル費用. ッ. チ. 仕 草. 十. 製品単価 X 単位数. それを,この段階では否定しはじめたのであ る. 結局,原価階層上で上位のレベルの 原価を下位 のレベルに割り 当ててしまうことは ,彼らが当 初批判していた「配賦」と 同じ手続になってし まう,ということに 気がついたのであ ろう. さらに,キャプランは 次のように説明する. 「この図は , 北から南に費用を 配賦して い. く. のではなくて ,南から北へ費用を集計して い ということを 示している. mX 益 (価格に生産量 ないしは販売量を 乗じたもの ) からすべての 単 位レベル費用を 差し引くことで ,個々の製品の く. 単位レベル営業マージン. (aunit-leveloperating. margin) が計算される・この 単位レベルマージ. ‥・バッチレベルの 原価あ るいは製品維持し. ンからバッチ 関連費用と製品維持費用を 差し引. ベルの原価を 単位レベルまで 配賦することがで. くと,製品レベルマージンが 計算される. この. きるだろうか. もちろん,それらの 原価を生産 量で割るだけであ る. しかし,製品維持原価を 生産単位数で 割ることは, 明らかに配賦 (allocation) のプロセスであ り,過去60 年にわ たり議論され 続けてきたすべての 弊害 (disadvantages) を伴 う ものなのであ る・」. ような製品 レベルマージンは 製品ロライン 内の各. (Ibbid.,pp.6-7.) この記述は,非常に 重要であ る. これ以前の ABC. の論文では, キャプランとクーパーは ,. 明らかに製品単位全部原価計算を 指向していた.. ロ. 製品に対して 計算される. この製品レベルマー 、ジンの計算には ,配賦はまったく 必要がない.」. (Ibid.,p.7.) つまり,活動を介して原価を 階層化すること で,それぞれの段階での貢献利益を 計算しよう という説明であ る.たしかに, この構造からは ,. 70 年代までに提唱されていた 直接原価計算・ 貢. 献 利益 法によ る多段階計算が 想起される "..

(9) ABC の変遷と原価配分の 視点 ③ ABC 情報の本質の 転換 もう一つ,重要な 論点の転換があ る・それは, ABC の提供する情報の 本質を,問題解決情報 ではなく,注意喚起情報であ るとした点であ る・ ABC 分析は,すべての収益性が悪い 製品 を廃止せ よと 勧告するものではない.どう やっ てそれらの製品が 設計され,製造され,販売さ れているのか ,ということに対する経営者の 注 「. 意を, 引き起こすものであ る・このシステムは , 経営者の注意をひき. ,より詳細な分析をするに. 値する問題領域に 光を当てるものであ る,・‥ ABC 、ンステムは,経営者の注意と行動の 優先 順位を設定するのに 役立っ よう であ る・この ょ うに,我々は,このアプローチを ,分析のため のものではなく ,設計のためのものであ ると見 ている. ABC アプローチは ,問題解決でもな いし,意思決定でもない.これは ,組織のより よい収益創造. (revenue-creating) の活動と費用. 発生 (expense-incurring) の活動を連携させる ようなシステムの 設計に関するものなのであ る (1佛王, p.14. ・」. (2) 製品系列 別 計算の展開 クーパーも,原価階層のアイデアについて 言 及している・ (Cooper, 1990 ) ただし彼の場 合,これを貢献利益法 に適用しょうというより も,原価配賦の 改善のために 用いた. ・. 伝統的な原価計算では ,. どうしても原価配賦. が懇意的になり ,製品原価計算に信頼が置けな くなる.それを回避するために ,階層化した ABC によって原価を 割り当てよう , というの が, 彼の問題意識であ る.それをモデル化した のが,図4 であ る.. 活動の階層を 4 つぼ分ける.の単位レベルの 活動,②バッチレベルの活動,③製品維持. (product-sustaining) の活動,④設備能力維持の 活動,である・ このうち,③と④に関しては, 活動数が増えてもそれに 厳密に比例して 製品の 数や設備の数が 増えるわけではない , る・. と 指摘す. (7bbid 。 p.l0 ) これは,最終的な 原価計算 対 ・. (高橋. (203) 45. 賢). 象 (製品 ) と, ③と④の原価との 関係が一義的 なものではないということを ,暗に示している・ このモデルを 利用した製品原価計算を , ABC 全部原価計算. (ABCFull-AbsorptionCosting). と 呼んでいる.その手順は,まずバッチレベル. の原価をそのバッチの 製品単位数で 除する・そ して製品レベル 及び設備能力レベルの 原価は, 製品単位数で 除する.それらの原価を単位レベ. ル原価に加算する.こうして ,製品の全部単位 原価を計算する. ただし,このような ABc. で計算した単位原. 価は,原価の変動を適切に 表したものではない という.バッチレベルの 原価は,製造単位数を 減少させるだけでは 減少せず,バッチ数を削減 しない限り減少することはないからであ る.. こ. れは,製品レベル原価や,設備能力レベル原価 にもいえることであ る. しかしながら ,バッチ. レベル原価や 製品レベル原価にとって ,それを 製品単位に配賦することは ,数字上の歪みを引 き起こすものではないともいう. なぜならば, その総額は,製品系列としては 変わらないから であ る.この指摘からもわかる よ うに,クーパ 一のこの計算体系では ,積極的に単位原価を 計 算するということよりも ,製品系列別に原価を 適切に集計すること ,つまり,図でいうと ,下 から上に原価を 積み上げていくことに 重点があ るものと思われる.単位原価の 計算は,上から 下 に原価を割り 当てて い く手続になる. また,設備能力レベルの 原価は,懇意的に配 賦するしかなく ,理論的には , ABC ではこの 原価は製品別に 配賦するべきではない ,. として. (Ibid.,p.l0. 設備能力レベルの 原価の配賦分を 含めずに,. い る・. 製品系列別に 積み上げた原価と ,系列別の収益 を対応させれば ,系列別の貢献利益が計算でき る ・一種の貢献利益 法 であ る.ただしクーパ ー自身がそういう 計算を意図しているのかどう かは不明であ る.. いずれにしろ ,原価階層の発見により,初期 ABC の主要な目的であ った製品単位全部原価.

(10) 46 (204). 横浜経営研究. 第 21 巻. 第 3 号 (2000). の計算という 目的は , 脇に追いやられることに. 0 分析方法としては 優れているが ,効率的に顧. なったことは 確かであ る.. 客を満足させるような 組織的活動を 与えてくれ るものではないという・. (Ibid.,pp.47-9.). 2. ジョンソンによる ABC 批判と論点の 転換. (2) キャプランの 反論と論点の 転換 (1. ). ジョンソンの 批判∼「もう ABC. -ヒ 記のようなジョンソンの 批判の - 方で,キ. を. 売り込みすぎるのはやめるときだ」. ャプランは , 同じ ManagemenlAccounting. ABC がその論点の 中心を変えつつあ った 1992. 発表した・その 名も ,. 「もう. (Kaplan, 1992.) それは,様々なABC に対する. を批判する論文を. 質問に対して キ ヤプランが回答するという 形式 を取っている.. ABC を売り込みす. ぎるのはやめるときだ」という 論文であ る. (Johnson,1992.) 、ジョンソンによれば. この論文は ,. の原型は少なくと. Ⅲ ec ㎡。) で採用され. (Ibid.,p27.) 一方で, 1970 年代. から 80 年代にかけて , GE をはじめとするアメ. リカ企業は, 日本の改善競争によって 厳しい問 題に直面した.なぜABC を備えていたアメリカ. 企業は国際競争力を 低下させたのか. ?. 確かに, ABC によれば正確な 製品原価情報が. 7 つの部分から 構成されている.. 特に見出しは 付いていない ), ② 配賦ではなく 見積,③会社への便益,④ABC と 継続的改善,⑤ABC と製品設計,⑥低価格 供給者対 低 原価供給者,⑦総合的顧客満足,で. ・①序文. , ABC. も 1960 年代の GE(General. ていたという・. において, ABC を支持する論文を 発表している.. ". 年,かつてキャプランと『 レ レバンス・ロスト を 著したジョンソンが , ABC. 誌上. (注 :. あ る. これらの見出しからもわかる よう に, ABC 、ン. ステムが工程の 改善や顧客満足に 関する価値あ る経済的情報を 提供していると 主張する.むし ろ注目されるのは ,批判への回答のなかに,. 得られるし, また多くの企業にコスト 削減をも たらした,ただし,それは競争力を 高めるとい. ABC の本質 観や ,. うことにはっながらみ ぃ ・競争力を高めるには ,. ① ABC の本質. 目的の転換が 見て取れるとい. う点であ る.. 顧客を満足させられるような 業務を行うことに. 彼は, ABC マネジメントを ,「単なる会計技. あ る.このような 顧客重視の経営と , ABC の発. 法ではなく,過去・ 現在・未来の 経済状態につ いて経営管理者に 情報を提供するために 設計さ れたシステムであ る」とする・ (ル仮 。 p,584) 「我々は生産システム ,マーケティンバないし. 想とは相容れないものであ る,. と. ジョンソンは. 指摘する. たとえば, ABC によれば,少量のロットを 頻. 繁に配送することは ,間接費を発生させてしま う活動を多く 利用するので ,ロットのサイズを. 販売システム ,あるいはエンジニアリンバ・、ジ. 大きくして大量配送する 方がよいという 結論に. きる.財務および 営業の多数の 情報システム か. なる.ただし,小ロットでの頻繁な配送を 望ん. 80 データを統合した ,組織の経済モデルとし. でい る顧客にとっては ,そのような企業とは取. て ABC を考えることがょり. 引をしないということになる・. U/bid.,pp.31-2 り. また, ABC では, トップダウンの 管理スタイ. ステムとまったく 同様に ABC を考えることがで. 正確であ る.」. {Ibid.,p.58. ABC が過去原価. ( 歴史的原価 ). を対象とし. ルを助長してしまうという.国際競争力を 高め るためには,顧客重視の 経営理俳を持ち ,継続 的 改善活動や TQM に見られるようなボトムア. 過去の情報にとらわれている , という批判に 対. ップの発想を 持つべきであ る. ABC は, 間接費. するものであ ると反論する ,. しては, ABC が予算編成に 有用な情報を 提供す. るということから ,未来に対しても 情報を提供.

(11) ABC の変遷と原価配分の 視点. 「. ABC マネジメントの 熟練した実践者は ,歴. 史的情報を効果的に 将来の原価および 収益性の 見積と結合できる. ARC モデルは財務データと 業務データ (過去,現在,ないし 将来の ) が 経 営 者の行動のもとになる 情報を示すために 結合 される統合的構造を 提供している・」 (肋材・,p.59.) ②配賦ではなく 見積. 理論上の大きな 転換は, ABC は「配賦」シス テムではなく ,「見積」のシステムであ る, と. (高橋. (205) 47. 賢). がそれらの活動と 共存できる,あるいはそれら の活動に対する 注意を喚起するのだ ,. ている.キャプラン. と 主張し. ( およびクーパⅡは. ,ち. ょうどこの時期に , ABC の理論的純化を 進めて. おり,自身でも ABC による製品の 全部単位原価 計算と,その情報による意思決定についての 限 界を感じていた.そこにジョンソンの 批判があ ったわけであ り,それは結果的に ABC の ABCM. への転換を広く 喧伝するのに 一役買ったことに. した点であ る.. 「クーパーが ABC の原価階層を 開発し表明し たとき,我々はABC が『より正確にすべての 原 価を配賦した 単位原価』を 計算するためのもの ではなくて,本当は貢献利益 法 であ ると理解し た」と述べている・ (肋材, p.59.)貢献利益 法 で あ るかどうかは 別として,製品単位原価の 計算. がなされる一方で , 先の原価階層のアイデアを. という目的は , もはや第一の 目的ではなくなっ. 原価管理目的に 適用しようとする 動きがあ った・. ていることを 表明しているのであ る.それは次. それを象徴するのは ,. の 発言からも裏 付けられる.. マイセル,モリッシ一 ,オームの手によるIMA. ABC の役割を組織の 包括的な経済 地図 (comprehensive economic map ofthe. (institute ofManagementAccountants, かつての NAA) の 1992 年の調査報告書であ る・ (Cooper etal., 1992.) ここでは, Activity-Based Cost. 「我々は. organization) であ ると強調するようになった・ ABC 批判者のなかには , ABC を 1985 年になされた 製品原価に関する 最初の研究に 関 しかし. 係させて考え 続けている・」. (Ibid.,p.59.. 善 活動や TOM,. あ. (1 ) @A の実態調査 上記のようなジョンソンとキャプランの 応酬. Management. う. 継続的改. るいは顧客満足の 概念の重. 要性は認めている.その 上で, ABC では, これ. らのプロバラムを 推進する上で ,必要になる原 価情報を提供できるものであ ると擁護している.. (Ibid.,p.60.. クーパ コ キャプラン,. が実際にはどのような 経営環境で,. どのように設計され ,運用されているのか,. いうことを,. 8. スレード, AAI,. ③改善活動への 注意喚起情報の 提供. キャプラン自身もジョンソンのい. 3. 原価管理目的への 展開. 社. ( ファラル,. AMD,. と. WBM,. モチーク, スチュワード ,. ク. 明らかにしようと した.ここにも ,原価階層の考え方が示されて. ラフト ) のケーススタディで. いる.その重点は,活動の分析にある.多様な 製品ライン や 製品種を,製造・ 支援することの 経済性を検討するために 利用している. この 8 社の調査の結果は , 次のように分析さ れている.. (3) 論争の評価 、ジョンソンとキャプランの 論争は,結果的に. ①調査結果の 分析 (i) 活動分析とビジネス・プロセス 分析. 見ると,決して一つの問題の 是非を問うという. 調査対象の企業で 認識された ABCX 分析のべ ネ. ものではなかった.キャプランの 回答は, ジョ. 程 管理活動の重要性を 否定しているわけではな. フィットは,組織の 費用を,職能や部門に集計 することから ,活動に集計することに 変更した ことであ る,これにより ,組織の費用が,活動. い・むしろ,その重要性を肯定した 上で, ABC. やビジネス・プロセスとどのように 関連して ぃ. ンソンの主張する 継続的改善, TQM. などの エ.

(12) 48@ (206). 横浜経営研究. 第21 巻. るのかを明らかにすることができるようになっ た・これにより ,プロセスに関して,アウトソ ーシング,削減,改良といった 意思決定に対し. て有用な,情報を提供できるようになった.. (Ibid.,pp.277-8.) 原価階層 活動の階層化とその 分析については ,調査対 象各社で次のような 発見があ ったという. ㎝). ファラ ル では,費用のうち 単位レベルの 活動. 第 3 号 (2000) に 有用な示唆を 与えたことがわかる・. 特に,組. 織の費用は,より 上位の階層の 活動が原因であ ることも認識されている・もちろん ,より正確 な製品原価の 計算も,調査した各社で必要とさ れていた目的であ るが, ABC の重点は,活動の 管理とそれによる 原価管理目的にあ るというこ とができる. Oi ) バリュー・ランキンバ 五. 製品単位数に 比例していないことがわかった. モチークでは ,間接費の20% 以上が製品維持. 調査対象の企業では ,活動に関して価値分類 な 行うところもあ った. AAI では,活動に2 種類のコード ,付加価値 コードと原因コード ,をつけた・この結果,活 動のうち 4% が企業にとって 付加価値の低いも. レベルで発生していること ,そしてそれが最近. のとして分類されたという.ただし ,このコ一. の 製品種と顧客の 急増によって 高くなってきて. ド付けには,付加価値の 判定が個々のグループ. いることが明らかになった. AMD では,検査・ 組立工場でのほとんどの 活動が,製品単位数に関連していないことがわ かった。 単位数に比例する 活動は,全体の半数. に対するものであ り,用いられた 基準が非常に 限定されたものであ ったため,グループ 全体に 対して付加価値を 生むかどうかということはわ. 以下であ った,. 析 した結果,ほとんどの 活動が経営者の 要求で. に 関わるものは 23% にすぎず,企業で発生する 費用が,伝統的な原価計算で見ていたほどには ,. スチュワードでは ,財務サービス 事業にこの 原価階層を用いた・. 多額の費用が , 個々の顧客. や営業責任者に 関連していることがわかった. 新商品を増やすには ,相当の資金と 人材を投入 する必要があ ること,また,多くの費用が,取 引量が少ないか ,収益率の悪い商品を購入して いる顧客が原因で 発生していることを 理解する. からなか ぢた ・そこで,原因コードをさらに 分 あ ることがわかり , さらにそれらのほとんどは. 価値を生まない 活動であ ったという. ファラ ル では,会社の目的や顧客へ 提供する. 価値に対する 活動の役割に 応じて, 動分類を行った. モチーク と WBM. は,. 5 段階の活. 9 つの測定区分により ,. WBM は,配送業務に関して原価階層を 用い ている.設備維持活動に 集計された費用は 全体 の 22% であ り,ほとんどの 費用は,注文量の段. 活動をコード 化した. 1 は付加価値のない 活動, 9 は付加価値の 非常に大きい 活動であ る.両社 では,約16% の活動が , 「あ る程度はやむを 得 ないが,改善の余地があ る」「顧客満足に 悪影 響を与えずに 完全に削除できるもの」という 5. 階で管理可能なものであ ることがわかった.. 以下の評価を 受けた. これ以下の活動を 改善す. クラフトでは ,工場の活動のほとんど (6070%) が 生産量ないしは 単位レベルによって 変. るか削減するための 目標改善チームを 編成した. 動していることがわかった. このプロジェク・. (iv)コストドライバ 一分析. ことができた.. マネージャーは ,原価階層によって ,従来とは. という・. (乃卍 ・,. PP.284-5.. 調査対象企業では ,. Ⅰ. コストドライバ 一の測定. 異なる原価の 変動パターンが 明らかになったこ. がもっとも困難であ ったという. こうした制約. と,そして,ABC が単なる製品原価計算ではな. があ ったものの,スチュワードでは ,. い ことを確信したという・. ライバ一分析から 多くの知見を 得ている.たと えば,特殊な取引の原価は ,通常の取引の7 倍. け id.,pp.282-目 ほぼすべての 事例で,原価階層が経営管理者. コストド.

(13) ABC の変遷と原価配分の 視点. (207) 49. 賢). ネル. ぷル. 占い. 重. こ. と. 、つ 一丁 スイ @. を. 善. の. 改. ス. ロ. セ. や い. プる. 減て 削れ. かかることがわかった. スレードでは ,適切なコストドライバーが 測. (高橋. 定できなかったため ,必要な2 つの活動センタ ー. (材料管理と保守保全 ). を設定することがで. きなかった.結果として 代替的なコストドライ バーを設定したが. ,これは製品原価計算目的に. は有用であ ったが,活動や業績のより詳細な 測 定・分析には 役立たなかったという. ファラ ル では,材料の移動や購入が ,材料の 種類によってかなり 異なるということがわかっ た.これらの活動に関して 詳細な研究を 行わず, 加重平均によってコストドライバーを 見積もっ た .コストドライバーを , 他の事業単位や 他社. の同様のプロセスとの 比較のためのべンチマー クとし継続的な 改善プロバラムの 目標とした. そこで明らかになったのは ,顧客の要求によっ て技術変更がなされた 場合に多額の 原価が発生 することであ る.これにより ,顧客との交渉で なるだけ技術変更から 原価が生じないような 改 善 が期待されるようになったという. また, 個々の機械に 機械時間コストドライバーを 設定 することによって ,新式の機械と 旧式の機械と の経済性の違いを 明らかになったという. モテーク. と AMD. では,理想的なコストドラ. イバーを求めるのが 困難であ ったため,代用コ ストドライバーを 使用したり,代表的なサンプ. (2) 不倒能力費の 測定と ABC ABC の利用目的は ,不倒能力費の測定と,能 力利用の改善にも 用いられた.キャプランニク ーパ一によって 提唱された, ABC による未利用 キャパシティの 測定であ る・ (C0oper and Kaplan, 1992) ここでは, ABC の本質を資源利 用モデル (resource usage models) であ る点 に求めている. ABC の キ 一概念は「活動」であ るが,その活 動を介してキャパシティの 消費部分と未利用部 分とを認識しようとする.それは ,次の等式で 表される・ (fbbid 。 p.3. 用可 有壱な活動 (ActivityAvailability) 二千Ⅱ用 した活動 (ActivityUsage)十 未利用キャパシティ 本Ⅱ. (UnusedCapacity) これを原価で 表すと, 提供された活動の 原価 (C0st 0f Activity Supplied) 二 利用した活動の 原価 (Cost of Activity Used)+ 未利用の活動の 原価 (Costof. UnusedActivity). ルからコストドライバ 一のデータを 抽出した, WBM. では,異なる製品" 間での取り扱いの 難. 易度の相対性を 反映させるため , コストドライ. バ一に加重平均を 施した.ここでは,ほとんど のコストドライバー 情報が,既存のコンピュー. この利用度は ,実際的生産能力を基礎として 測定する・この 未利用キャパシティは ,伝統的 な標準原価計算における 操業度差異と 次の三つ. の点で異なるという.まず ,伝統的な操業度差. タデータベースから 抽出が可能であ った.. 異は,財務的な数字で集計された 結果にすぎず ,. {Ibid, , pp 285-7.). 提供された資源の 数量がわからない.また,通 常標準原価計算では 配賦率の分母に 予算操業度 を使っている・そして ,伝統的な原価計算にお ける製造間接費の 配賦手続きは ,棚卸資産評価 目的以外の経営目的には 有益な情報が 得られな. ・. ②管理目的への 転換 以上で見た よう に, この報告書では ,. Actjvity-BasedCostManagement という用語を 使 っているとおり , ABC の管理目的への 利用が強. 調されている・ もちろん,正確な 製品原価計算 という目的も ,完全になくなったわけではない が ,活動の階層化や活動分析によって ,原価の. い・. (Ibid.,p.3.. 未利用キャパシティのコストを 測定する上で , キャパシティ・コストの 源泉を次の 3 つのタイ.

(14) 50 (208. 第 21巻. 横浜経営研究. Ⅰ. L. ABC. 表. 5 /t し. 第 3 号 (2000). 損益計算書の 例 20,000. ヤ司. 井. 川 : 利用さ化した.提供された 資源の費用 材料費. 7.600 600 900. 燃料費 短期労務費 貢献利益 差. 別. : 活動費用. Ⅱ 一. : 拘束資源. ". (ACTIVITY@EXPENSES@ :@COMMITTED@RESOURCES) 長期的な直接労務費 (pcrm ㎝ entdirec[lab0r, 機械稼働時間 購入費用. l.400 3.2()0 700 450 1.000 700 800 750 9,000. 受取 ・在庫費用. 製造運用。 producilon. run. ト,. 顧客管理 技術変更. 部品管理 拘束資源費用合計 営甘. プに. き農本. 200 100 -0 コ. 100 200. (100) 150 700. ll. ネた. 分類する. まず,将来にわたる 利用を考え. 9,100 10.900. 9.700 1.200. 4. 管理目的の ABC の論理. て取得された 資源で,その支出が将来にわたり キャプランによる 原価階層の発見以来, ABC. 費用化されるもの.第二に , リースなどのよう な ,必要に応じて契約により資源の 取得が可能. の 主要な目的は ,正確な全部単位原価計算から ,. なもの.第三に ,基本的な雇用レベルを 維持し ておくために 必要な給与・ 人件費, といったも. 管理目的へとシフトしたといえる. もちろん, 初期の ABC においても活動自体に 原価を集計 す. のであ る. ABC に よ る損益計算書では ,資源ご. る. とに消費した 原価と未利用の 原価を分離して 示. の 有用性がそこにあ るということを 鮮明に打ち. と. の意義は意識されていた. しかし, ABC. こういった分類をし ,未利用キャパシティの 属性と量を明らかにすることで ,その有効利用. 出したのは,原価階層の 発見後であ る. ここでの計算の 論理,は,間接費の 直接費化で あ る.製品にすべての 原価を割り当てるために. 図るか,資源の需要に文す @ したキャパシティ. 固定費を変動費 ィヒ するということよりも , 今ま. の 適正なサイズを 決定し,最終的には企業の収. で 間接費として 扱われていた 原価を,活動に対. 養力を高めて い こ. する直接費として. している・. を. (fbid.,p7J. う. ,. というのが,クーバ 一二. キャプランの 意図であ る. このような,未利用. 直 課するということに. 意味を. 見 いだしている.. キャパシティの 測定に対する ABC の応用は ,キ. もちろん,初期 ABC の計算構造も ,本質的に. ャプラシニクーパ 一の別の著書でも 取り上げら. は 間接費の直接費化であ る.ただし初期ABC. れている。 .. で意識されていたのは ,固定費の変動費化であ. この ょう な,利用したキャパシティと. う十赴千. Ⅱ用. キ ャ パシティを分離して 測定しようという 考え. る. 見えてきた, と 考えられる. たかは,能力原価計算 (capacityco㎞ n めとし. W. ABC の目的の変遷と 原価配分視点. て 1957 年にジョーンズによってすでに 提唱され ている ". 測定に ABC の考え方を導入したところ に,クーパーニキャブランの 現代的な意義があ る. .それが理論的純化を 経るに つ れて,本質が. 従来の全部原価計算や 直接原価計算が 適切性 を. 失った伝統的手法として 批判される一方で ,. アメリカ経済を 再生すべく期待を 背負って登場.

(15) ABC の変遷と原価配分の 視点 したのが ABC であ る.そのABC. も,その適用. (高橋. (209) 51. 賢). を 鳴らした点に. ,その価値があるとかえる・. 目的を変化させながら 発展している. ここでは, ABC における計算構造の 変遷をたどり ,そこに. (2) 原価階層のもつ 意味. 存在する原価配分の 視点を探っていくことにす. 問題は,どのような文脈で,キャプラン流の 原価階層モデルが 現れたのか, ということであ る.キャプランは,この原価階層のアイデアに たどり着いた 時点で, ABC システムを「 2 0 正 確に全部単位原価を 計算しょうというのではな く,実は貢献利益 法 なのであ ると理解した」と している・ (Kaplan,1992,叩 c 圧 , p.59.) キャ プランは, ABC に基づいて企業の 原価構造を検 討するうちに ,そこに階層があることに気がつ. る・. 1 . 管理目的への 転換の契機. (1 ) 初期 ABC の全部原価指向 初期の ABC は,全部原価計算を 指向していた・ この背景として ,実務家が直接原価計算のよう. な部分原価計算の 経営内部目的に 対する有用性 を認知していても ,財務会計目的に使用する 会 部 原価に信頼を 置いている, ということがあ げ られよう. カ. .製品種別の貢献利益 法 ではなく. 単位原価の比較を 重視していたのであ る. ABC. によれば少量生産の 製品の単位原価は 高く ,大 量 生産の製品の 単位原価は低いという 結果が得 られるということを 強調していたことからそれ が分かる. 活動を媒介としてすべての 原価を製品単位に 合理的に割り 当てようとしたが ,これを理論的 に 支えていたのが ,長期変動費の概念であ る. 彼らは,固定費を変動費化することができれば ,. 固定費を合理的に 製品に割り当てることができ ると考えた.すべての 固定費を変動費すること が可能であ る (すなわちすべての 原価が製品に 割当可能であ る ) ということに 合理性を与える ための一つの 論理が,長期変動費の概念であ った. しかし,時系列的にみると 変動する原価でも ,. 依然として製品の 生産量に対しては 固定的であ り,変動費化して 製品に割り当てることの 論拠 となるには今一つ 不十分であ る.製品とこのよ うな長期変動費の 間の関係を描写しようとすれ ば,その間に複数の媒介変数が 必要となり,バ. イアスが生まれやすい 状況を作ってしまう. し たがって,当初意図していたシンプルな 原価割 当システムとは 相容れなくなってしまう. むしろ,この長期変動費の 概念は,当時の経 営者が持っていた ,短期的視野への偏重に警鐘. ・. いた.それに貢献利益法の 多段階計算との 類似 ,性を見いだし ,貢献利益法 であ るとした.ただ. し,このモデルには ,明確な利益計算指向があ るのかどうかは 疑わしい.その後の展開を見る. と,この考え 方は活動自体への. 原価割当の改善. に 応用されている.この発言の真の意義は ,後. 半にあ るのではなく ,前半,つまり ,正確な全 部単位原価の 計算という目的を 捨てたこと,に あ ると考えられる. むしろ注目されるのは , この階層化のアイデ アを出した時点で , ABC の本質を,問題解決情. 報の提供ではなく ,注意喚起情報の提供であ る とした点であ る・ (Kaplan,1990 , op.c 肱 , p.14. これは,彼の問題意識の中心が ,意思決定から ほかの問題へとシフトしたことを 示している. 初期 ABC では,すべての原価をコストドライ バ ー を使って製品に 割り当てようという 全部原. 価思考が明瞭に 見て取れる.それを支えていた のが長期変動費の 理論であ る・前述したように ,. この論理はすべての 原価を合理的に 製品に割り 当てるための 根拠となるには 不十分であ る.キ ャプランもそこに 気がつき,・活動と原価の 間に 新しい関係を 見 じ だそうとした.それが原価階. 層につながったのであ る.ただしこれは製品 への原価の割り 当てという意味では ,当初の ABC よりも複雑な 対応関係を描写することにな る・. 初期 ABC が製品という 原価計算対象に 対して.

(16) 52 (210). 横浜経営研究. 第別巻. 活動を媒介としたシンプルな 原価の跡付けを 指 向していたのに 比べると,この階層化は製品単 位原価の計算という 意味では,少々不明瞭なも. 第 3 号 (2000). いった議論は ,管理目的のABC. : ABM. への展. 開に対して重要な 意味合いな持つことになる. のとなってしまっている.たとえば ,階層の中. それを象徴するのが ,キャプランニクーパーと キングとの対談であ る・ (mng, 1991,) この中. で・バッチレベルの 原価を製品単位に 割り当て. では, ABC は資源消費と 資源利用との 相違を明. る 場合を考える・. 単位原価は,そのバッチが何 単位の製品を 擁しているかに 依存する.初期. らかにし,過剰なキャパシティ・コストを 測定 しうるもの,そして ,組織の改善に有用な情報. ABC で考えられていたのは ,. を提供するもの ,. この構造であ る.. - 万,製品レベルの 原価を製品単位に 割り当て る 場合を考える・その 原価は製品レベルでは 直 接的に認識できる・ただし ( 製品レベルより. ,製品の単位数は ,. 下位のⅠバッチ 数 や ,それぞ. れのバッチの 中の単位数に 依存する.そうする と,製品単位と ,製品レベルで集計される原価 との間の関係が ,不明瞭になってくる. このような,原価階層の 上のレベルから 下の レベルへと配分計算し ,製品単位原価を 計算す ることは,誤った 方向に導いてしまうものだと いうことは, 91 年のクーパーニキャプランの 著 (Cooperand. Kaplan. という後の ABM. につながる. 発想が続々と 登場する.これは,原価階層から 発展した見解ではあ るが,当初考えていた 貢献 利益 法 へつながっていくとはいえないものであ る・. その中で注目されるのは ,すべての原価を 製 品 に配賦するための 理論的根拠の 一つとしてい 口. た長期変動費の 概念に修正を 加えたことであ る. 「我々は以双は 長期においてすべての 費用は 変動費であ ると述べていたが ,これはこの問題 を考えるにあ たっては間違った 思考様であ ると 自覚した. この現象を正確に 表現するならば ,. 19 目, p.273.) 初期 ABC が,従来の 2 段階配賦. 長期的には資源消費は 資源利用を追随していく 傾向にあ る, ということができるであ ろう.」. ( 部門別計算Ⅰの. (7bbid.,p.24.). 苦 でも 確ぬ、 されて、) る. ・. -- 種のアンチテーゼであ った. ことを考えると , 殊 製品単位原価の 計算という. 点ではあ る程度退行したといわざるを 活動自体への 原価割当. 得ない.. や ,活動の分析をより. 理. ここでの焦点は ,活動に原価を割り当てるこ とを通じて,提供されている 資源と,利用した 資源とを区別することによって ,資源の管理を. 論的・効果的に 行う過程で,製品単位原価の 計. 行おうというのであ る. これこそ, ABC の目的. 算という当初持っていた 目的を,ある程度後退 させ,断俳したと 考えられるのであ る.その出 発点は ,製品単位原価計算をより 正確にするた. の重点が,製品単位原価計算から ,管理目的へ と転換したことを 象徴しているものであ るとい. めに,活動間の関係や,活動自体への. よる未利用キャパ. 原価の割. 当を検討し直そうとしたことにあ ったのだが, それが結果的に 当初の目的を 断俳させ,別の日 的への適用の 可能,性を開いたということがいえ る. えるだろう. クーパー シ. 二. キャプランの , ABC. に. テ ィ の測定の議論がその 具. 体的な形のひとつであ る.内的な理論的純化の 結果が,初期の目的を捨て , 新たな目的を 見い. だすことにつながったということができる.. だる. へ. へ 計t 圭 の的. 冊目 原理. 口 口 ロ 製. の. 換 転. Ⅱ. 占, 、,、 4 冊 Ⅰ 目 Ⅰ. 2. (2) 外からの転換圧力. (1 ) 内なる転換 原価階層の発見や 注意喚起機能へのシフト. と. -ジョンソンとの 応酬も,論点を転換させる -. つの契機になっている. ABC によって正確に 製品単位原価を 計算しプロダクトミックスを 決 定したところで ,間接費を発生させる 経常資源 が有効に利用されるか ,そのサイズを適正なも.

(17) ABC の変遷と原価配分の 視点. (高橋. (211) 53. 賢). たのが,消極的視点であ った・また, もとも. のにしない限り ,間接費は発生し続ける・製品. っ. の収益性を測定するだけでは 問題の根本的な 解. と活動に原価を. 決にはつながらない.それはキャプランらも. ことは初期 ABC から指摘されていることであ. ABC 論を進めていくうちに 痛感していたことで. が,消極的な視点を契機に 光が当てられるよう になったと考えられる.活動別に 原価を集計 す ること自体を 積極的な視点からの 原価配分であ ると考えると ,「活動を中心として 考える」管 理目的の ABc は,消極的視点を 契機として,潜 在的にもっていた 力が浮かび上がり ,積極的視. あ ったに違いない.限界を感じ,一歩進んで ,. 管理手法として ABC を生まれ変わらせる 必要性 を感じている 最中に投げかけられたのが , ジョ. ンソンの批判であ る.奇しくも ,理論的純化を 進めていく段階で ,転換のために必要な理論は 整 い つつあ った時期であ り,ジョンソンの 批判. 割り当て,焦点を当てるという. 点を伴いながら 発展していった ,. る. ということが. それを広く喧伝するきっかけになったと 考えて. できる.活動に原価を集計することによる 管理 は,最初に彼らが影響を受けたと 思われる双述. よ い だろう.. のミラー. も,結果的には 転換の背中を 押すこと,そして. ニ. ヴォルマンがそもそも 提唱していた. 問題であ る.本来の適用の方向に戻った ,. 3. ABC における目的の 変遷と原価配分の 視点. ぅ. 当初の製品単位原価計算から 次第に管理目的へ とシフトしていった. これを原価配分の 視点か ら見るとどういうことになるのだろうか. 先もふれたように ,キヤプランやクーパーは , ABC での活動と原価の 関係における 理論的純化. ことができるかもしれない. V.. 以上で見てきたように , ABC の目的の中心は ,. とい. むすび. ABC は, 1990 年頃 を境に,次第に変遷してい った.初期ABC はどちらかというと , (狭義の ) 原価計算的な 意味を持つものであ った.長期変 動 費の概念にしろ ,資源消費の 考え方にしろ ,. 原価階層のアイデアであ る.これにたどり 着い たとき,当初ABC が持っていた「より 正確な」 製品単位原価の 計算という目的は 捨てざるを得. 製品原価計算のための 論理であ った. 一方, ABM へと展開していったが ,それは ABC に対してより 管理会計的な 意味合いを強く 持たせるものであ った.その契機は,積極的な 意味では企業内の 経営資源の管理への 適用であ. なくなった・. り,消極的な 意味では計算構造上の 間 題 であ っ. をすすめていった.その過程で出現したのが ,. 活動自体に原価を 集計するうちに ,. 合理的に配賦できない 原価の存在に 気がついた からであ る. これは一種の「消極的視点」であ るといえる.これが結果として,活動間の関係 の 明瞭な構造を 示すことを可能にし ABC の管 理目的への適用の 可能性を広げたことになる. 当初の目的を 捨てても,活動自体に焦点を当て た管理目的への 適用に価値を 見 ぃ だしたのであ る・. したがって, ABC の発展について ,次のよう な流れが推測できるだろう. ABC が広く用いら れ,その有用性が認識されるようになったのは ,. 管理目的へその 適用範囲を広げたからであ い わゆる ABM. る.. への展開であ る.その契機とな. た. 筆者は, ABC は,測定における 一つの考え方 であ り,それ自身が何かを生み出すものではな いと考えている・ 本稿でも見た よ うに,計算の 原理としては ,特に新しい考え方を示している わけではない.ただし 活動別に原価を 割り当 てて い くという ABC に よ る測定の方法は , 様々 な 局面で応用される. ABC の測定方法をどのよ うに既存のあ るいは新しくでてくるシステムに 組み込まれていくのか ,そこに注目していくこ とが必要になるだろう..

(18) 54 (212. 横浜経営研究. Ⅰ. Ⅰ. 第別巻. 第 3 号 (2000). Cooper. 王. ,. R. ・. and@R. , S. ・. Kaplan. , op 、. Cooper , R ,, "The@Rise@of@Activity. 1) 高橋. 賢 「原価配分における 消極的視点と 積極. 的視点. 一 直接原価計算と. 2) 配分という言葉は ,非常に広い意味での原価割 当を含むものとしてつかっている.つまり ,直. You. 1985. 4) この詳細については ,次の論文を 参照されたい ,. 賢. 「米国における. 一 貢献利益法の. 発展と直接原価計算」「千葉大学. 1997 年 9 月, 289-315 ぺージ. 同 1970 年代における 米国直接原価計算の 動向 (2) - 内部報告のための 貢献利益 法 T 干葉大学経済 」. 研究』 1999 年 6 月, 143-78ぺージ.. (Boston:. ・「. Harva,dBu Ⅰ ness SchoolP,ess, 1998). (櫻井通情 調『コスト戦略と 業績管理の統合ジステム』 ダ. 賢 「不倒費の測定一能力原価計算から 1999 年 3 月, 849-. り 1o/C0s. 「. M りれ移どピ斤昭ん. R . S.. KapIan. lheCo. ニ. , S. f,Fall1990. , pp.4-13.. ediled,. A 。CoM. 何 ,,,とと. 蕊 ofRe,()u,ceUsage,"Acc. 。, M"ti,79. ・. 本経済新聞社, 1995 年 り Johnson, H. T 。 "1I.sⅢ me lo St0p OVerselⅡ ng Act@IyBased Concept," Ma,,agc,,,cntACc.oM i,lg,Sepl. れ. J0hnson,T.H.and. る. Zimmerman, J. L., "The Cosl and Benents of C0slAlloc ㎞ ons," 「 cACcoMnri,lgRg),ic.v, Ju@),. 「. 1979,p.504. 研究者が配賦を 批判し,警告を 発し 続けているにもかかわらずなぜ 実務では配賦が 行われているのだろうか , という問題に 対する. 積極的な回答はなされていないという 問題意識 から,彼はこの問題に対する 説明論的研究を 試. 訳、. 「. レ レバンス,ロスト 管理会計の盛衰」白桃. 書房.1992 年.Ⅰ Kaplan,R. S., "Con ㎡bution Margin AnaIy Ⅰ s: No Longer RcleVant/SlrategicC0st Managemenl: The New Pa adigm.". Ⅰ0. Ⅰ. 化 ピ se ク rc 乃 , Fa@. Cooper,R.,"TheRiseofActlvity-BasedCosIingParlone: King, Activity-Based. Cosl. Systems?,". Journ. A4 切れり ど e 用6 れ rACC. ひ仮 れわれ. A . M ., "The. Cuurenl. 仰i. Coslin. Summer I988, pp. 45-54, @n Cooper, R. md R. S. Kaplan, T e Destg o/ Cost. Robert. M. 力7%. は. 乃. S ソnrt ピ胞 s.. Text.. ァ. リアれ乙 J. o/"M. は. Ⅰ. れ. C 援ぶピ s, は れ ば R ピ乙は. ずれど. こ. (N.Y.:PTenhce-HallInc.,1991),pp.355-365. C0oper,R.,"TheRiseofAcdvily-Based CoSlin Pan TWo: W"hen Do INeed an Achv れ y-Based C0St SYstem?,". 1991, れば. 珪:. An. れ り ge/ れピれ. rACc0. はれわれ 9. 1990 , pp.2-14.. Kaplan,R.S.,"InDefenseofACbVit. ばれれ ge 珂e れ t,. T れ eRiJg. イ F ロ Ⅱ げ M Ⅲ7age,7,c 何 AcCo は用れん g (BoSton: HarVard BuSineSs Sch0olPresS, 1988) . 鴨居宏典. みている.. 引用文献. 蕊. R.S.Kaplan,Rc7gva,IccLo. an. ん. は れ口 9% 打 n6%. and@R. ・. 1992.pp.26-35.. 7) これは, ジマーマンの 次の論文で指摘されてい. an. し れはど 6%1e. 用 t,. , R. Cooper,R.,R. S. Kaplan,L. S. Maisel,E. Mo ㎡ ssey,and R. M . Oehm, ルゆ /c/n1e刀山は AC 田, iげ -B 鮎田 Co 甜 沖㎞㎎ cmne/n MoVi/tg升o 砲 Anah.s む toAc ガ 07@ (N.J. : lMA, 1992) . (KPMG ピート・ マ一 ウイック. KPMG センチュリー 監査法人 訳 FABC マネジメ. 72 ぺージ.. WhatIs. tfM. ント革命・米国企業を 再生させた管理手脚日. ABC へ 」『干葉大学経済研究』. of CostM. ご. 卍0 ガ ,0 耶 , Sepl.1992,pp.l-13.. イヤモンド 社 , 1998 年.). 6) この詳細に関しては ,次の論文を 参照されたい. 高橋. ぱ だれ. MeaSuring. 「. がe 。. Co. ア. M",,"9","c,7r, 用,彊 S 肋血 Per 甲 ,。 仮ぬ (Bo 鮭0n: HarVardBuSinessSch0o@Pr ㏄ S,1987) ,pp.204-228. Cooper, R. and R. S. Kaplan, "Aclivity-Based Systems:. 経済研究』. 甜&E. 1o. 1989 , pp , 34-46 , in@Cooper. J. and. 直接原価計算の 発展 (4). 5) Kaplan,R.S.andR.Cooper,Co. lr, れば. , and@How@Do. Co0peF, R. and R. S. Kaplan, "HoW Cosl Accounting SystemahcaⅡ y Disto 血 sPr0ductCosts,"in Bruns, W.. F は clory," H 携 Ⅰ V 援 Ⅰ d B はⅠ lれピ Js ReVz ピル, Sept. =Ocl. 高橋. Ⅰ0 は. 366-374.. pp ,. Kap@an,op.㎡㌔ pp.374-386 Co0per, R., "COst Classification in U nil-Based and Activity-Based Manufacturing C0st System s," 70. "TheHidden. Se@eectThem?,". Winter@. 諫 と 配賦の両方を 含む意味であ る.. 3) Miller,J. G. andT. E. Vollmann,. cit ・,. Based@Costing@Part@Three. How@Many@Cost@Drivers@Do@You@Need. ABC の生成・発展に 関. する一考察」『干葉大学経済研究」 1999 年 9 月 327-73 ぺージ・. ・. in P. L. Rom. ge Ⅲe 抑 t. ルケ. -BaSedMeasurement,". g,NoV.1992,pp.58-63. Slatus of Ac[iVitV-Based. Inlereview. S. Kaplan,". ソ. wilh. Robin. 傍抑 りど ピ抑 ze 抑正. ano. iれ Ac れのれ. Cooper. Acrn. edi[ed,. (N . J.. は. れ ぱれ 9,. Activity.-B :. and Sept. 乙ぶ e は. Institute of. ManagementAccountants,1994),pp.23-27.. 色. 70. は グ れ切Ⅰ. ぜⅡ. C0 rM ぶ. 乙 れり ge 片 Ie れ t、. Fa. Ⅱ. 1988,pp.41-48,in. ( たかはしまさる. 横浜国立大学経営学部助教授. コ.

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