• 検索結果がありません。

第35回 日本肺および心肺移植研究会

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "第35回 日本肺および心肺移植研究会"

Copied!
36
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

記録

第 35 回 日本肺および心肺移植研究会

日時:平成 31 年 1 月 26 日 会場:長崎大学医学部 良順会館 会長:永安 武(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科腫瘍外科学)

16

§ 1.症例・手術手技

9:00~10:10

座長:杉本誠一郎(岡山大学 呼吸器外科)    早稲田龍一(福岡大学 呼吸器・乳腺内分泌・小児外科)

1.急速に進行した生体部分肺移植後遠隔期発症の中枢神経系リンパ増殖性疾患の一例

大阪大学 呼吸器外科 大瀬尚子、南 正人、舟木壮一郎、狩野 孝、神崎 隆、新谷 康 中枢神経系移植後リンパ増殖性疾患(CNS-PTLD)は稀な疾患であるが、臓器移植後患者におい て頭蓋内病変を鑑別する際に重要な疾患で、CTや単純MRIのみでは脳血管障害と鑑別に苦慮する症 例もある。確定診断には髄液検査では診断が困難とされ脳生検を要することが多い。治療法について は免疫抑制剤の減量や放射線療法、化学療法、リツキシマブなどが有効とされているが、いずれの治 療が最適かは議論の余地がある。今回我々は生体部分肺移植後9年目に発症し、急速に進行したCNS-PTLDの1例を経験したので報告する。 症例は66歳男性。9年前に原発性肺高血圧症に対し生体部分肺葉移植を施行。維持免疫抑制は、シ クロスポリン(CyA)、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、メチルプレドニゾロン(MP)。微熱、見当 識障害が出現し他院受診。頭部MRIで多発性両側白質病変を指摘され当院受診。初回MRIから8日後 の頭部造影CTで病変増大を認め、入院となった。頭部MRIでは両側大脳半球にリング状の造影増強 効果を呈する多発性病変を認め広範な脳浮腫を伴っていた。入院時のGCSはE4V4M6で見当識障害 はあるが覚醒良好で神経学的脱落症状は認めず。血液検査ではs-IL2Rが1875U/mlと高値であり、EB ウイルスの抗EADR-IgGとIgAの上昇を認めた。確定診断のために入院後6日目開頭腫瘍生検を施行し ベタメタゾンを開始した。病理組織診断ではCD20陽性を示すB細胞型lymphoid cellを認め移植後リ ンパ増殖性疾患と診断した。他臓器には病変は認めず中枢神経限局型と判断した。術後4日目に意識 状態が悪化、6日目の頭部CTで右側頭葉腫脹と脳幹圧迫を認め、術後8日目から全脳照射を開始した。 しかし意識障害の悪化は徐々に進行し、術後18日目に呼吸停止に至り死亡した。

(2)

17

2.脳死肺移植待機中の特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)患者に対する胆嚢摘出術

  の1例

1)大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器外科、2)消化器外科、3)国立循環器病研究センター 内科  松井優紀1)、南 正人1)、神崎 隆1)、狩野 孝1)、大瀬尚子1)、舟木壮一郎1)、新谷 康1) 岩上佳史2)、浅岡忠史2)、江口英利2)、大郷 剛3) 【はじめに】薬物療法の発展により、肺動脈性肺高血圧症(PAH)の予後の改善が見込まれ、手術適 応を考慮すべき疾患の合併も経験されるようになってきたが、方針決定には総合的な判断が必要であ る。今回、脳死肺移植待機中のIPAH患者に対する胆嚢摘出術の周術期管理を経験したので報告する。 【症例】40代女性。16年前に意識消失発作でIPAHと診断され内服治療、6年前からエポプロステノー ルが開始されたが、1年前から増悪、喀血も出現し肺移植適応と判定された。エポプロステノール 140ng/kg/min、マシテンタン、タダラフィル、シルデナフィル投与下に、PAP (35) mmHg、RAP (2) mmHg、CI 4.2 L/min/m2、PVR 5単位。今回、食後の心窩部痛を自覚して1週後に疼痛が増強し救 急搬送となった。腹部CT検査で胆嚢炎または胆嚢内血腫を疑い、緊急入院とし、1週間の保存療法で 改善なく、手術が必要と判断。専用シリンジポンプを用いMRCPで評価。血小板8.3万/mm3のため 術前に血小板輸血。エポプロステノールの持続静注と血管拡張剤内服は継続しV-V ECMOスタンバ イで腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した。麻酔はAOSで緩徐導入し、SGカテーテルを透視下に留置(PAP (35) mmHg)。気腹開始時にmPAPは40 mmHgに上昇したが、NO開始で30 mmHgまで低下し、鏡 視下手術を継続。mPAPは肝床部圧迫で約5 mmHg上昇、逆Trendelenburg体位で約5 mmHg低下。 経過は順調(手術時間201分)で、気腹終了時にNOも中止して手術室内で抜管。術後9日目に退院した。 【考察】本症例は保存療法に限界があり、やむをえず手術適応となった。気腹によるPAPの上昇時、 NO投与や体位の工夫で鏡視下手術が完遂できたが、経過によっては開腹手術への移行も考慮すべき であると考えられた。

(3)

17

2.脳死肺移植待機中の特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)患者に対する胆嚢摘出術

  の1例

1)大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器外科、2)消化器外科、3)国立循環器病研究センター 内科  松井優紀1)、南 正人1)、神崎 隆1)、狩野 孝1)、大瀬尚子1)、舟木壮一郎1)、新谷 康1) 岩上佳史2)、浅岡忠史2)、江口英利2)、大郷 剛3) 【はじめに】薬物療法の発展により、肺動脈性肺高血圧症(PAH)の予後の改善が見込まれ、手術適 応を考慮すべき疾患の合併も経験されるようになってきたが、方針決定には総合的な判断が必要であ る。今回、脳死肺移植待機中のIPAH患者に対する胆嚢摘出術の周術期管理を経験したので報告する。 【症例】40代女性。16年前に意識消失発作でIPAHと診断され内服治療、6年前からエポプロステノー ルが開始されたが、1年前から増悪、喀血も出現し肺移植適応と判定された。エポプロステノール 140ng/kg/min、マシテンタン、タダラフィル、シルデナフィル投与下に、PAP (35) mmHg、RAP (2) mmHg、CI 4.2 L/min/m2、PVR 5単位。今回、食後の心窩部痛を自覚して1週後に疼痛が増強し救 急搬送となった。腹部CT検査で胆嚢炎または胆嚢内血腫を疑い、緊急入院とし、1週間の保存療法で 改善なく、手術が必要と判断。専用シリンジポンプを用いMRCPで評価。血小板8.3万/mm3のため 術前に血小板輸血。エポプロステノールの持続静注と血管拡張剤内服は継続しV-V ECMOスタンバ イで腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した。麻酔はAOSで緩徐導入し、SGカテーテルを透視下に留置(PAP (35) mmHg)。気腹開始時にmPAPは40 mmHgに上昇したが、NO開始で30 mmHgまで低下し、鏡 視下手術を継続。mPAPは肝床部圧迫で約5 mmHg上昇、逆Trendelenburg体位で約5 mmHg低下。 経過は順調(手術時間201分)で、気腹終了時にNOも中止して手術室内で抜管。術後9日目に退院した。 【考察】本症例は保存療法に限界があり、やむをえず手術適応となった。気腹によるPAPの上昇時、 NO投与や体位の工夫で鏡視下手術が完遂できたが、経過によっては開腹手術への移行も考慮すべき であると考えられた。

18

3.肺高血圧を伴った新生児慢性肺疾患(bronchopulmonary dysplasia)に対する

  脳死両側肺移植の経験

1)東北大学加齢医学研究所 呼吸器外科学分野 2)東北大学大学院医学系研究科 発生・発達医学講座 小児病態学分野 3)東北大学病院 臓器移植医療部、4)東北大学大学院医学系研究科 外科病態学講座 心臓血管外科学分野 松田安史1)、大田千晴2)、木村正人2)、大石 久1)、平間 崇1)、佐渡 哲1)、野田雅史1) 桜田 晃1)、秋場美紀3)、呉 繁夫2)、安達 理4)、齋木佳克4)、岡田克典1) 背景)国際心肺移植学会(ISHLT)のレジストリーデータでは、10歳以下のレシピエントに対する 肺移植数は非常に少なく、2016年の1年間で約30例となっている。小児症例の多くは嚢胞性肺線維 症(CF)に対する肺移植であり、2000年から2017年までにbronchopulmonary dysplasia対して行 われた肺移植は10歳以下の肺移植症例のうち2.6%(425例中11例)であった。術後合併症としては 成人に比較して移植肺機能不全の頻度が高い。 症例)9歳女児。2008年12月に在胎23週4日(体重507g)で自然経膣分娩により出生。新生児慢性 肺疾患のため呼吸不全となり出生直後から人工呼吸管理が開始された。生後15 ヶ月で人工呼吸器を 離脱したが、肺高血圧があり在宅酸素療法が行われた。2013年(4歳時)低酸素血症が増悪し、気管 切開の上人工呼吸器管理となった。カテーテル検査では肺動脈圧95/60(70)mmHgと著明な肺高 血圧が認められた。胸部CTでは両肺野のブラや間質影が増悪し、人工呼吸器からの離脱は困難とし て2013年10月に脳死肺移植待機登録を行った。以後人工呼吸器を間欠的に使用し在宅酸素療法にて 待機をしていたが、2018年7月(9歳時:体重21kg)にドナーが出現し、人工心肺下に脳死両側肺移 植を行った。手術時間9時間28分、麻酔時間12時間30分、出血量317ml。術後仮閉胸でICUに入室し、 移植肺機能不全と考えられる呼吸不全が認められたためV-V ECMOを装着した。術後2日目にV-V ECMOから離脱して本閉胸を行った。術後30日目に急性拒絶反応と考えられる陰影が出現し、ステ ロイドパルス療法と抗CD25モノクローナル抗体(basiliximab)の投与を行い治療した。術後117日 で退院となった。 まとめ)肺高血圧を伴った新生児慢性肺疾患に対して脳死両側肺移植を行った。術後移植肺機能不全 や拒絶反応が認められたが、回復して退院することができた。小児症例では待機期間が長くなり手術 中術後管理の困難があるが、他科連携により治療を行うことが可能であった。

(4)

19

4.4歳児に対する一側生体肺移植 ~術後12年の経過~

1)福岡大学 呼吸器・乳腺内分泌・小児外科、2)福岡大学病院 臓器移植医療センター 3)福岡大学 呼吸器内科 宮原 聡1)、白石武史1)2)、永田 旭1)、諸鹿俊彦1)、早稲田龍一1)、平塚昌文1)、當房悦子2) 串間尚子3)、石井 寛3)、藤田昌樹3)、岩崎昭憲1) 2006年、造血幹細胞移植後にGVHD-BOを発症した4歳児に対し、造血幹細胞ドナーでもあった母 を生体肺提供者とした左下葉移植を実施した。この生体肺移植は、①幼児期における片肺移植であっ たこと、②造血幹細胞と生体肺移植のドナーが同一であったこと、の2点において稀有な状況の肺移 植であった。 患者は肺移植から順調に回復し、間もなく免疫抑制剤からの完全離脱が可能であった。小学校時期 までは極めて健康な生活を享受できほぼ正常水準の身体成長が得られたが、これには「免疫抑制剤不 要」の環境が大きく影響したと思われる。 中学校入学頃より、左右肺のコンプライアンスの相違を原因と推測する側彎が発生した。同時に肺 高血圧を伴う急速な酸素化能が低下したため酸素療法が必要となった。14歳時には人工呼吸器装着 が必要となり、再移植が必要と判断された為「右片肺移植」を予定とした脳死肺移植登録を行った。 その後、人工呼吸開始を契機に側彎が急速に進行し、再移植が困難な胸郭変形を来したためやむを得 ず15歳時に側彎矯正術を実施した。この胸郭矯正により移植肺の換気効率は劇的に回復し、人工呼 吸を離脱することができたため脳死肺移植はIn-activeとした。『幼児生体片肺移植症例における、肺 移植後の身体成長が移植肺機能に対する影響』に着目し、この症例の12年間の経過を報告する。

(5)

19

4.4歳児に対する一側生体肺移植 ~術後12年の経過~

1)福岡大学 呼吸器・乳腺内分泌・小児外科、2)福岡大学病院 臓器移植医療センター 3)福岡大学 呼吸器内科 宮原 聡1)、白石武史1)2)、永田 旭1)、諸鹿俊彦1)、早稲田龍一1)、平塚昌文1)、當房悦子2) 串間尚子3)、石井 寛3)、藤田昌樹3)、岩崎昭憲1) 2006年、造血幹細胞移植後にGVHD-BOを発症した4歳児に対し、造血幹細胞ドナーでもあった母 を生体肺提供者とした左下葉移植を実施した。この生体肺移植は、①幼児期における片肺移植であっ たこと、②造血幹細胞と生体肺移植のドナーが同一であったこと、の2点において稀有な状況の肺移 植であった。 患者は肺移植から順調に回復し、間もなく免疫抑制剤からの完全離脱が可能であった。小学校時期 までは極めて健康な生活を享受できほぼ正常水準の身体成長が得られたが、これには「免疫抑制剤不 要」の環境が大きく影響したと思われる。 中学校入学頃より、左右肺のコンプライアンスの相違を原因と推測する側彎が発生した。同時に肺 高血圧を伴う急速な酸素化能が低下したため酸素療法が必要となった。14歳時には人工呼吸器装着 が必要となり、再移植が必要と判断された為「右片肺移植」を予定とした脳死肺移植登録を行った。 その後、人工呼吸開始を契機に側彎が急速に進行し、再移植が困難な胸郭変形を来したためやむを得 ず15歳時に側彎矯正術を実施した。この胸郭矯正により移植肺の換気効率は劇的に回復し、人工呼 吸を離脱することができたため脳死肺移植はIn-activeとした。『幼児生体片肺移植症例における、肺 移植後の身体成長が移植肺機能に対する影響』に着目し、この症例の12年間の経過を報告する。

20

5.肺移植手術手技を応用した自家肺移植

1)岡山大学病院 呼吸器外科・臓器移植医療センター、2)がんセンター東病院 呼吸器外科 塩谷俊雄1)、大谷真二1)、青景圭樹2)、黒崎毅史1)、岡﨑幹生1)、杉本誠一郎1)、山根正修1) 豊岡伸一1)、坪井正博2)、大藤剛宏1) 【背景】2010年以降、当科では肺移植の経験を生かして、中枢型進行肺癌に対し自家肺移植を行って いる。今回、当科で施行した自家肺移植手術の1例を供覧し、当院の経験を踏まえた考察とともに報 告する。 【症例】70歳男性。胸部CTで右上葉主気管支から気管分岐部までの浸潤を認める42 mmの右上葉肺 癌に対して右下葉自家肺移植を行った。手術は、仰臥位の第4肋間セミクラムシェル開胸で行った。 腫瘍は気管軟骨まで浸潤していたため、気管の一部を合併切除した。縦隔リンパ節郭清および肺門剥 離を施行後に全身ヘパリン化して、右肺全摘を行った。摘出肺はバックテーブルにてEP-TUでフラッ シングを行い、右下葉をグラフトとして切離した。バックテーブルで気管支・肺血管カフのトリミン グを行い、気管支断端陰性を病理学的に確認した。気管支・肺静脈の順で吻合を行い、最後に、圧排 した大動脈と上大静脈の間で肺動脈を吻合した。術中、術後に特に問題は認めていない。 【考察】中枢型進行肺癌は気管支・肺血管に広く浸潤することがあり、ダブルスリーブ切除で対応で きない場合、肺全摘を余儀なくされる。しかし、肺全摘、特に右側肺全摘は術後急性期のmorbidity/ mortalityは高く、術後残存呼吸機能低下による遠隔期Quality of Life(QOL)の低下も問題の一つ である。現在までに当院で行った自家肺移植の検討では、morbidity/mortalityは低く、断端再発は1 例も認めていない。また、術後呼吸機能低下は最小限であり、術後補助療法導入も可能なことが多い。 【結語】肺移植手術手技を応用した自家肺移植は、根治性と術後QOL維持を両立できる方法であり、 中枢型進行肺癌において有用な治療選択肢の一つとなり得る。

(6)

21

6.脳死肺反転移植を行った2例

獨協医科大学 呼吸器外科  西平守道、有賀健仁、梅田翔太、伊藤祥之、井上 尚、荒木 修、苅部陽子、前田寿美子、 千田雅之 【はじめに】ドナー不足を背景とするわが国では片肺移植が多い。レシピエント肺に明らかな左右差が ある場合、悪い方の肺の移植が望ましい。しかし、どちらかの側指定での待機では移植のチャンスを 逃す場合もありうる。当科では高難度新規医療技術として異所肺移植を申請し認可されている。片肺 移植を施行するに際し、提供を受けた脳死肺を反転移植した2例を報告する。 【症例1】50代男性。骨髄移植後GVHDに対し、脳死肺移植待機登録となった。左肺の提供を受ける機 会を得たが、繰り返す気胸にEWSが充填されアスペルギルス感染していた右肺を摘除し、左肺をレシ ピエント右胸腔へ移植することが望ましいと判断した。手術時間9時間14分、総虚血時間9時間10分、 術中から2日後までV-A ECMOを要した。4日で人工呼吸器を離脱、73日目に独歩で退院した。術後3 ヶ 月目に吻合部とその末梢に気管支狭窄を生じ、内視鏡治療を継続している。 【症例2】50代男性。Fibrotic NSIPの線維化の進行を認め、脳死肺移植待機登録となった。右肺の提供 を受ける機会を得たが、レシピエントは肺血流比が右:左=97: 3と著明な左肺機能の低下を認めてお り、機能廃絶した左肺を摘除し、右肺をレシピエント左胸腔へ反転移植することが望ましいと判断し た。手術時間8時間22分、総虚血時間7時間56分、V-A ECMO時間2時間25分。4日で人工呼吸器を離脱、 66日目に独歩で退院となった。 【考察】解剖学的に左右の肺門は位置関係が異なり気管支や血管の吻合に工夫が必要となるが、技術的 な問題は解決可能である。レシピエント肺の状態に明らかな左右差がある場合には、反転肺移植は有 効な治療になり得ると考えられた。

(7)

21

6.脳死肺反転移植を行った2例

獨協医科大学 呼吸器外科  西平守道、有賀健仁、梅田翔太、伊藤祥之、井上 尚、荒木 修、苅部陽子、前田寿美子、 千田雅之 【はじめに】ドナー不足を背景とするわが国では片肺移植が多い。レシピエント肺に明らかな左右差が ある場合、悪い方の肺の移植が望ましい。しかし、どちらかの側指定での待機では移植のチャンスを 逃す場合もありうる。当科では高難度新規医療技術として異所肺移植を申請し認可されている。片肺 移植を施行するに際し、提供を受けた脳死肺を反転移植した2例を報告する。 【症例1】50代男性。骨髄移植後GVHDに対し、脳死肺移植待機登録となった。左肺の提供を受ける機 会を得たが、繰り返す気胸にEWSが充填されアスペルギルス感染していた右肺を摘除し、左肺をレシ ピエント右胸腔へ移植することが望ましいと判断した。手術時間9時間14分、総虚血時間9時間10分、 術中から2日後までV-A ECMOを要した。4日で人工呼吸器を離脱、73日目に独歩で退院した。術後3 ヶ 月目に吻合部とその末梢に気管支狭窄を生じ、内視鏡治療を継続している。 【症例2】50代男性。Fibrotic NSIPの線維化の進行を認め、脳死肺移植待機登録となった。右肺の提供 を受ける機会を得たが、レシピエントは肺血流比が右:左=97: 3と著明な左肺機能の低下を認めてお り、機能廃絶した左肺を摘除し、右肺をレシピエント左胸腔へ反転移植することが望ましいと判断し た。手術時間8時間22分、総虚血時間7時間56分、V-A ECMO時間2時間25分。4日で人工呼吸器を離脱、 66日目に独歩で退院となった。 【考察】解剖学的に左右の肺門は位置関係が異なり気管支や血管の吻合に工夫が必要となるが、技術的 な問題は解決可能である。レシピエント肺の状態に明らかな左右差がある場合には、反転肺移植は有 効な治療になり得ると考えられた。

22

7.反転肺移植術の可能性 ―当院で経験した3症例―

1)岡山大学病院 呼吸器外科、2)臓器移植医療センター、3)麻酔蘇生科 山本治慎1)、大谷真二2)、日笠友起子3)、黒崎毅史2)、三好健太郎1)、岡﨑幹生1)、杉本誠一郎1) 山根正修1)、豊岡伸一1)、小林 求3)、大藤剛宏2) 肺移植はドナー不足により依然として制限されており、様々な術式で柔軟に対応することでレシピ エントとドナー肺のマッチングを増加させ、移植の機会が増える可能性がある。可能性のある新規術 式の一つとして反転肺移植が挙げられる。反転肺移植は世界的にも報告は少なく、限られた条件下の 症例で適応となりえる。当院では現在までに片肺または肺葉レベルの反転移植を3例施行し,術後吻合 部合併症や術後早期死亡は認めていない。今回3例の症例提示を行い、適応、手術手技、問題点につい て考察する。 症例1は、59歳男性。右肺優位に間質性病変を認める特発性肺線維症の患者に対して、脳死ドナー より左肺が提供された。レシピエントの呼吸状態が悪いため早期の移植が必要と判断し、反転した左 肺を用いた右片肺移植を施行した。肺静脈吻合に際してカフの延長が必要であり、心膜導管を用いて カフを形成して肺静脈吻合を行った。 症例2は、18歳男性。急速に呼吸状態が悪化した間質性肺炎の患者に対して生体両肺移植または片 肺移植+剥皮術を予定して手術に臨んだ。レシピエントの両側胸腔は胸膜炎により強固な癒着、胸膜 肥厚が認められ、両側の壁側・臓側胸膜剝皮術が必要であった。レシピエントの術前の全身状態は低 下しており、術中判断で両側移植の手術侵襲は高くなりすぎると考え、また、レシピエント左肺は胸 膜剥皮術により肺拡張の改善が認められたため、右片肺移植を行う方針とした。ドナーとなる父親の 右肺は下葉に高度分葉不全があり、十分なvolumeが確保できる左下葉を右胸腔へ反転して移植した。 症例3は、54歳女性。肺気腫に対して右片肺脳死肺移植後32 ヵ月のレシピエントであったが、残存 左自己肺の気腫悪化に伴い急速に呼吸状態が悪化していた。他施設が断った、溺水で両側下葉に広範 な浸潤影を認める脳死ドナーからの肺提供があり、比較的傷害の少ない両上葉を用いて2度目の肺移植 となる左片肺移植を施行した。

(8)

23

§ 2.臨床研究

10:10~11:10

座長:舟木壮一郎(大阪大学 呼吸器外科)    大石 久 (東北大学 呼吸器外科)

8.肺移植が必要と判断された重症肺動脈性肺高血圧症患者の予後不良予測因子

1)東京大学 循環器内科、2)重症心不全治療開発講座、3)呼吸器外科 原 済1)、波多野将2)、齊藤暁人1)、皆月 隼1)、牧 尚孝1)、網谷英介1)、細谷弓子1)、長山和弘3) 佐藤雅昭3)、安樂真樹3)、中島 淳3)、小室一成1) 背景:肺動脈高血圧症(PAH)の治療において、高用量非経口プロスタノイドや経口薬剤の初期併 用療法などによりPAHの予後は顕著に改善した。しかし、重度のPAH症例においては今なお肺移植 が必要である。本邦では肺移植に関しては登録順であり、移植待期期間が欧米と比して長いことから、 移植登録に至る時期についての検討が必要と考えられる。 方法:肺移植が必要と判断され当院に紹介された31人のPAH患者(肺動脈閉塞性疾患を含む)の当 院紹介時点での特徴とその後の転帰について遡及的に分析した。 結果:31人のうち17人(55%)が女性であり、紹介時の平均年齢は30.6±11.8歳であった。特発性/ 遺伝性PAHが26例、結合組織病関連PAHが4例、肺静脈閉塞性疾患が1例であった。彼らはPAH診断 後2144±1701日で当院に紹介された。また1例を除く他の全ての症例で非経口プロスタノイドが併用 されており(平均投与用量は92±59 ng / kg /分)、導入後955±881日で当院に紹介された。平均肺 動脈圧は51.1±11.6 mmHgであったが、心係数と6分間歩行距離はそれぞれ3.63±0.98 L/min/m²、 394±174 mと比較的良好であった。 2人の患者が社会的理由で肺移植の候補者として登録されなかっ た。3人が肺移植に成功し、8人が待機中に死亡した。当院紹介後の3年生存率は67%であった。多変 量解析では心拍数(HR)および肺血管抵抗(PVR)が死亡群で有意に高かった(p = 0.013およびp = 0.049)。 結論:心拍数高値およびPVR高値は、肺移植を待つPAH患者の全死亡の独立した予測因子であると 考えた。高用量非経口プロスタノイドは、PAH患者の血行動態を改善したが、高心拍出状態および 比較的維持された運動耐容能は、肺移植の検討を遅らせたかもしれず、より早い段階での専門施設へ の紹介が望ましい可能性があると考えられた。

(9)

23

§ 2.臨床研究

10:10~11:10

座長:舟木壮一郎(大阪大学 呼吸器外科)    大石 久 (東北大学 呼吸器外科)

8.肺移植が必要と判断された重症肺動脈性肺高血圧症患者の予後不良予測因子

1)東京大学 循環器内科、2)重症心不全治療開発講座、3)呼吸器外科 原 済1)、波多野将2)、齊藤暁人1)、皆月 隼1)、牧 尚孝1)、網谷英介1)、細谷弓子1)、長山和弘3) 佐藤雅昭3)、安樂真樹3)、中島 淳3)、小室一成1) 背景:肺動脈高血圧症(PAH)の治療において、高用量非経口プロスタノイドや経口薬剤の初期併 用療法などによりPAHの予後は顕著に改善した。しかし、重度のPAH症例においては今なお肺移植 が必要である。本邦では肺移植に関しては登録順であり、移植待期期間が欧米と比して長いことから、 移植登録に至る時期についての検討が必要と考えられる。 方法:肺移植が必要と判断され当院に紹介された31人のPAH患者(肺動脈閉塞性疾患を含む)の当 院紹介時点での特徴とその後の転帰について遡及的に分析した。 結果:31人のうち17人(55%)が女性であり、紹介時の平均年齢は30.6±11.8歳であった。特発性/ 遺伝性PAHが26例、結合組織病関連PAHが4例、肺静脈閉塞性疾患が1例であった。彼らはPAH診断 後2144±1701日で当院に紹介された。また1例を除く他の全ての症例で非経口プロスタノイドが併用 されており(平均投与用量は92±59 ng / kg /分)、導入後955±881日で当院に紹介された。平均肺 動脈圧は51.1±11.6 mmHgであったが、心係数と6分間歩行距離はそれぞれ3.63±0.98 L/min/m²、 394±174 mと比較的良好であった。 2人の患者が社会的理由で肺移植の候補者として登録されなかっ た。3人が肺移植に成功し、8人が待機中に死亡した。当院紹介後の3年生存率は67%であった。多変 量解析では心拍数(HR)および肺血管抵抗(PVR)が死亡群で有意に高かった(p = 0.013およびp = 0.049)。 結論:心拍数高値およびPVR高値は、肺移植を待つPAH患者の全死亡の独立した予測因子であると 考えた。高用量非経口プロスタノイドは、PAH患者の血行動態を改善したが、高心拍出状態および 比較的維持された運動耐容能は、肺移植の検討を遅らせたかもしれず、より早い段階での専門施設へ の紹介が望ましい可能性があると考えられた。

24

9.肺移植における間質性肺炎に対する抗線維化薬投与の安全性

1)京都大学医学部附属病院 呼吸器外科、2)呼吸器内科 中島大輔1)、半田知宏2)、谷澤公伸2)、山田義人1)、豊洋次郎1)、濱路政嗣1)、大角明宏1) 陳 豊史1)、伊達洋至1) 【背景】特発性肺線維症に対する抗線維化薬の使用が推奨され、移植待機中に投与される頻度が増加し ている。しかしながら副作用として、出血、創傷治癒遅延が発現する可能性があり、移植前投与の安 全性は確立されていない。 【目的】自験例の間質性肺炎に対する移植後早期成績を解析し、肺移植前の抗線維化薬使用の安全性を 検討した。 【方法】2008年6月から2018年9月に、間質性肺炎に対し、当施設にて施行した肺移植71例を対象とした。 移植前に抗線維化薬を投与した治療群27例(ピルフェニドンが22例;ニンテダニブが3例;両方が2例) と、投与しなかったコントロール群44例の早期移植後成績を後ろ向きに比較検討した。抗線維化薬は、 脳死肺移植では移植前日まで、生体肺移植では移植が決定されるまで(移植17 ± 11日前まで)投与さ れた。 【結果】治療群(脳死15例、生体12例)と、コントロール群(脳死24例、生体20例)に術式の差はなかっ た。術後の出血や創傷治癒遅延の頻度は、両群で同等であった:術後出血による再開胸を治療群で2例 (7.4%)、コントロール群で2例(4.5%)に要した。外科的処置が必要な創部離開や感染は、両群で認 めなかった。気道合併症は、治療群で4例(14%)とやや多かったが、コントロール群で4例(9.1%) に認め、有意差はなかった。治療群の気道合併症の内訳は、ステント留置や、laser焼灼、バルーン拡 張を要した気管支狭窄が3例で、いずれもインターベンションにて軽快した。吻合部の虚血壊死による 離開を、術後早期に1例に認めたが、経過観察にて自然治癒した。術後30日以内に死亡した症例は認め なかった。在院死は両群共に1例で、治療群では移植3 ヶ月後に誤嚥性肺炎によるものであった。 【結語】肺移植前の抗線維化薬投与は、術後出血や創傷治癒遅延のリスクを助長することなく、良好な 早期移植後成績を示した。

(10)

25

10.肺非結核性抗酸菌症を合併した患者の肺移植術中術後マネジメントプロトコール

1)東北大学 加齢医学研究所 呼吸器外科分野

2)Lung Transplant program, Division of Respirology, Toronto General Hospital

3)Nontuberculous Mycobacteria Program, Division of Respirology, Toronto Western Hospital 4)Multi-Organ Transplant program, Division of Infectious Diseases, Toronto General Hospital

平間 崇1)2)3)、Lianne G. Singer2)、Theodore K. Marras3)、Shahid Husai4)、秋場美紀1) 大石 久1)、松田安史1)、佐渡 哲1)、岡田克典1) 背景:肺移植は、他に有効な治療がない進行した呼吸器疾患において、生活の質を高めかつ生存期間 を延長させることができる唯一の治療法である。間質性肺炎やCOPDなどの呼吸器疾患は肺移植の適 応疾患である一方、肺非結核性抗酸菌症(NTM)の危険因子でもある。肺移植前後の肺NTMについ て報告はわずかにあるが、活動性の肺NTMを移植前後どのように管理するのか報告はない。そのた め、移植時に肺NTMと診断された患者への治療プロトコールを設立し、治療群と非治療群とに分け、 術後経過を比較した。 方法:2013年1月から2014年12月までトロント総合病院で肺移植を受けた全患者230名を対象とし、 2017年12月まで経過観察をした。 結果:全対象中9% (20/230)が肺組織学的所見と肺胞気管支洗浄液から移植時に肺NTMと診断され た。治療プロトコールに伴い、全例がマクロライド、エタンブトール、フルオロキノロンで移植後 12 ヶ月治療された。肺NTMを合併していなかった210名と比較し、移植後の肺NTM発症率(10.0% (2/20) vs 6.7% (14/210))、慢性肺移植片機能不全罹患率、死亡率に有意差を認めなかった。 考察:治療プトロコールで管理すれば、移植時に肺NTMを合併する患者であっても、合併しない患 者と同等の術後予後であり、肺NTMが移植登録の障害となるべきではない。東北大学病院の肺移植 プログラムでの移植患者の管理にも本プロトコールを活かしていくことを検討する。

(11)

25

10.肺非結核性抗酸菌症を合併した患者の肺移植術中術後マネジメントプロトコール

1)東北大学 加齢医学研究所 呼吸器外科分野

2)Lung Transplant program, Division of Respirology, Toronto General Hospital

3)Nontuberculous Mycobacteria Program, Division of Respirology, Toronto Western Hospital 4)Multi-Organ Transplant program, Division of Infectious Diseases, Toronto General Hospital

平間 崇1)2)3)、Lianne G. Singer2)、Theodore K. Marras3)、Shahid Husai4)、秋場美紀1) 大石 久1)、松田安史1)、佐渡 哲1)、岡田克典1) 背景:肺移植は、他に有効な治療がない進行した呼吸器疾患において、生活の質を高めかつ生存期間 を延長させることができる唯一の治療法である。間質性肺炎やCOPDなどの呼吸器疾患は肺移植の適 応疾患である一方、肺非結核性抗酸菌症(NTM)の危険因子でもある。肺移植前後の肺NTMについ て報告はわずかにあるが、活動性の肺NTMを移植前後どのように管理するのか報告はない。そのた め、移植時に肺NTMと診断された患者への治療プロトコールを設立し、治療群と非治療群とに分け、 術後経過を比較した。 方法:2013年1月から2014年12月までトロント総合病院で肺移植を受けた全患者230名を対象とし、 2017年12月まで経過観察をした。 結果:全対象中9% (20/230)が肺組織学的所見と肺胞気管支洗浄液から移植時に肺NTMと診断され た。治療プロトコールに伴い、全例がマクロライド、エタンブトール、フルオロキノロンで移植後 12 ヶ月治療された。肺NTMを合併していなかった210名と比較し、移植後の肺NTM発症率(10.0% (2/20) vs 6.7% (14/210))、慢性肺移植片機能不全罹患率、死亡率に有意差を認めなかった。 考察:治療プトロコールで管理すれば、移植時に肺NTMを合併する患者であっても、合併しない患 者と同等の術後予後であり、肺NTMが移植登録の障害となるべきではない。東北大学病院の肺移植 プログラムでの移植患者の管理にも本プロトコールを活かしていくことを検討する。

26

11.脳死片肺移植における自己肺合併症

京都大学医学部附属病院 呼吸器外科 峯浦一貴、陳 豊史、中之坊亮、磯和賢秀、山梨恵次、豊洋次郎、中島大輔、山田義人、大角明宏、 濱路政嗣、磯見真希、伊達洋至 背景:脳死片肺移植における自己肺合併症は一つの大きな課題である。国際的には、すべての適応疾 患に対して、両肺移植を第一選択にしている国も多いが、本邦では、脳死ドナー不足から、肺高血圧 症や感染症などがない限り、移植の第一選択術式は片肺移植である。したがって、脳死片肺移植にお ける自己肺合併症の実態について調査・検討することは重要である。 目的:脳死片肺移植の自己肺合併症について、自験例の後ろ向き検討を行った。 結果:2018年11月までに当科で実施した脳死肺移植は115例(片肺移植59例、両肺移植56例) であった。移植待機期間は、片肺移植が両肺移植より有意に短かった(中央値669.0日 vs 885.5日、 P<0.01)。片肺移植は、男性42例、女性17例、平均年齢48.7歳で、両肺移植(男性26例、女性30例、 平均年齢37.7歳)より男性が多く、移植時年齢が高かった(ともにP<0.01)。片肺移植の適応疾患は、 特発性間質性肺炎24例、その他の間質性肺炎12例、肺気腫12例、LAM6例、造血幹細胞移植後肺障害2 例、生体肺移植後CLAD1例、ランゲルハンス細胞組織球症1例、Castleman病1例であった。片肺移植 における自己肺合併症は25例(42.4%)で認め、4例で合併症の重複があった。内訳は、気胸12例、感 染症(肺炎)11例、過膨張5例(全例肺気腫)、肺癌1例であった。29例の合併症に対し18例で入院加療、 5例(気胸4例、肺癌1例)で手術加療を要したが、自己肺合併症の有無により、生存率に有意差はなかっ た(5年生存率54.3% vs 60.9%、P=0.628)。 結論:自験例では、脳死片肺移植において半数近くで自己肺合併症を認めたが、現時点で生存率に有 意な影響を与えていない。片肺移植は両肺移植と比較し、有意に待機期間が短かく、移植時年齢が高かっ た。

(12)

27

12.自施設における肺移植術後 Surveillance Bronchoscopy による拒絶反応モニタ

  リングに関する検討

1)大阪大学 呼吸器外科、2)病態病理学 狩野 孝1)、南 正人1)、舟木壮一郎1)、神崎 隆1)、大瀬尚子1)、和田直樹2)、新谷 康1) 【背景・目的】肺移植後の急性拒絶反応は急性期のみならず遠隔期成績にも影響する可能性のある合併 症である。拒絶反応の診断に関しては気管支鏡下肺生検がgolden standard であり、また臨床症状の有 無にかかわらず定期的に施行する Surveillance Bronchoscopy (SB) は多くの肺移植施設にて実施され ている。自施設では脳死肺移植患者に対し、SBの肺生検により拒絶反応を移植後長期にわたり監視し てきたので、その結果を報告する。 【対象・方法】対象は2000年から2017年の期間に脳死片肺および両肺移植を施行した50例。SBは、原 則的に移植後1、2、3、6、12か月、およびその後1年ごとに5年まで施行している。肺生検組織におけ る拒絶反応のグレードは、2007年版ISHLT分類に基づいて診断した。 【結果】これまでに309件のSBを施行し、44件(14%)に急性拒絶反応 (Grade A0-A3)の病理所見を 認めた。内訳はGrade A1:21、A2:16、A3:7 件であった。またリンパ球性細気管支炎 (Grade B0-B2) は 67件 (21%)に認められ、 Grade B1: 63、 B2: 4件であった。移植後12か月以内/ 12か月以降 におけるSBの件数は198 / 111件であり、拒絶反応は Grade A1-3: 26件(13%) / 18件(16%)で、 Grade B1-2: 35件(17%)/ 32件(28%)であった。治療介入は拒絶反応のグレードに応じて行って おり、内訳はステロイドパルス療法20件、カルシニューリン阻害薬またはミコフェノール酸モフェチ ル投与量変更10件であった。 【結語】肺移植後長期間のSBによる拒絶モニタリングは、急性期のみならず肺移植後1年以降に発症す る拒絶反応の診断と治療方針の決定に有用であると考えられた。

(13)

27

12.自施設における肺移植術後 Surveillance Bronchoscopy による拒絶反応モニタ

  リングに関する検討

1)大阪大学 呼吸器外科、2)病態病理学 狩野 孝1)、南 正人1)、舟木壮一郎1)、神崎 隆1)、大瀬尚子1)、和田直樹2)、新谷 康1) 【背景・目的】肺移植後の急性拒絶反応は急性期のみならず遠隔期成績にも影響する可能性のある合併 症である。拒絶反応の診断に関しては気管支鏡下肺生検がgolden standard であり、また臨床症状の有 無にかかわらず定期的に施行する Surveillance Bronchoscopy (SB) は多くの肺移植施設にて実施され ている。自施設では脳死肺移植患者に対し、SBの肺生検により拒絶反応を移植後長期にわたり監視し てきたので、その結果を報告する。 【対象・方法】対象は2000年から2017年の期間に脳死片肺および両肺移植を施行した50例。SBは、原 則的に移植後1、2、3、6、12か月、およびその後1年ごとに5年まで施行している。肺生検組織におけ る拒絶反応のグレードは、2007年版ISHLT分類に基づいて診断した。 【結果】これまでに309件のSBを施行し、44件(14%)に急性拒絶反応 (Grade A0-A3)の病理所見を 認めた。内訳はGrade A1:21、A2:16、A3:7 件であった。またリンパ球性細気管支炎 (Grade B0-B2) は 67件 (21%)に認められ、 Grade B1: 63、 B2: 4件であった。移植後12か月以内/ 12か月以降 におけるSBの件数は198 / 111件であり、拒絶反応は Grade A1-3: 26件(13%) / 18件(16%)で、 Grade B1-2: 35件(17%)/ 32件(28%)であった。治療介入は拒絶反応のグレードに応じて行って おり、内訳はステロイドパルス療法20件、カルシニューリン阻害薬またはミコフェノール酸モフェチ ル投与量変更10件であった。 【結語】肺移植後長期間のSBによる拒絶モニタリングは、急性期のみならず肺移植後1年以降に発症す る拒絶反応の診断と治療方針の決定に有用であると考えられた。

28

13.肺移植における抗体関連型拒絶患者に対するrituximab投与の経験

京都大学 呼吸器外科 山梨恵次、陳 豊史、豊洋次郎、山田義人、中島大輔、大角明宏、濱路政嗣、磯見真希、伊達洋至 【背景と目的】近年、抗体関連型拒絶(AMR)に関するコンセンサスステートメントが国際心肺移植 学会から相次いで出され、肺移植におけるHLA抗体の注目が増している。しかしながら、肺移植に おいて、ドナー特異的抗HLA抗体(DSA)陽性患者に対する導入療法や術後のAMR発症患者に対す る治療法に関しては一定したコンセンサスが国際的にも得られていない。今回、当院における肺移植 後のAMRに対してrituximab投与を行った患者の治療成績を検討した。 【対象】2008年6月から2018年10月までに当院で施行した肺移植症例196例のうち、AMRのため rituximab投与を行った8例(4%)を対象とした。 【結果】年齢中央値:43歳 (19-54歳)、男性/女性:4/4例、原疾患は特発性肺線維症/膠原病関連間 質性肺炎/過敏性肺臓炎/特発性肺動脈性肺高血圧症:2/3/2/1例、術式は脳死(片側)/脳死(両側) /生 体( 両 側 ):5/2/1例、HLAミ ス マ ッ チ 数 は4/5/6:3/2/3例、preformed DSA/de novo DSA: 1/7例、AMR発症までの観察期間中央値は8.2 ヶ月、clinical AMR診断はpossible/definite:6/2例で あった。CLADの診断が得られたのは4例(50%)であった。AMRの治療は全例で免疫グロブリン大 量静注療法および血漿交換療法後にrituximab(375 mg/m2)投与を行い、ステロイドパルス療法は 3例、ATG投与は1例に行った。AMR発症からrituximab投与までの期間の中央値は20日であった。 rituximab投与による有害事象は1例(13%)のみに認め、Grade3の白血球減少および好中球減少で あった。rituximab投与によって4例(50%)で抗体価の低下を認め、うち1例においては呼吸機能 の著明な改善を認めた。術後観察期間中央値は30.5 ヶ月で4例(50%)が死亡し、累積5年生存率は 40.0%であった。抗体価の低下および呼吸機能の改善を認めた症例は、現在、AMR発症後約3年経過 するが無増悪生存中である。 【結語】肺移植後のDSA陽性AMR患者に対してrituximab投与を行い、半数の症例に明らかな治療効 果を認め、長期無増悪生存症例も認めた。AMR診断後の速やかなrituximab投与は、症例によっては 十分な治療効果が期待できる可能性がある。

(14)

29

§ 3.基礎研究

11:10~12:10

座長:安樂真樹(JR東京総合病院 胸部外科)    松本桂太郎(長崎大学 腫瘍外科)

14.肺脱細胞化におけるラウリル酸カリウムの有用性に関する検討

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 腫瘍外科学 小畑智裕、土谷智史、谷口大輔、土肥良一郎、渡邉洋之助、畑地 豪、宮﨑拓郎、松本桂太郎、 永安 武 組織脱細胞化の技術は、細胞増殖に必要な因子を含んだ細胞外マトリックス(ECM)を得ること が可能で、肺再生時の足場骨格の作成に有用である。一方でこれまで脱細胞化に使用されてきた界面 活性剤は、脱細胞化過程においてECMを障害した。本研究では従来の界面活性剤であるドデシル硫 酸ナトリウム(SDS)と比較し、天然物由来の新規洗剤ラウリン酸カリウム(PL)の肺の脱細胞化、 再細胞化の工程における優位性を検討した。 それぞれの薬剤で脱細胞化された肺を、組織学、免疫 組織化学、走査型電子顕微鏡、DNA定量、硫酸化グリコサミノグリカン(GAG)分析を行うことで 脱細胞化の質を評価した。結果は、PL群においてECMタンパク質、GAG、Cytokine含有量が有意差 をもって多く、構造もより自然に近い状態で保存されていた。また、残存DNA量はPL群でも十分に 減量されており、脱細胞効果は従来法と同程度であった。免疫原生評価のために、脱細胞化肺のドナー 腹腔内への移植を行い、免疫反応を観察した。H&E染色、CD68免疫染色ではPL群で明らかな免疫 反応の低下を認めた。脱細胞化肺内のECM蛋白の細胞増殖に与える影響を調べるため、in vitroの実 験系で細断した肺組織骨格を培養液中に加えると、PL群の組織骨格は細胞増殖を促進させた。さらに、 ex vivoの再細胞化された肺組織骨格上で、PL群で細胞生着率および増殖率の増加が認められた。再 細胞肺の同系統ラットへの移植を行ったところ、移植後30分で、SDS群は肺胞出血を認め、移植肺 全体が鬱血していたが、PL群においては肺胞出血を認めるものの、緩徐なものであった。PLは肺脱 細胞化過程においてECM保持に非常に有用な界面活性剤と言える。

(15)

29

§ 3.基礎研究

11:10~12:10

座長:安樂真樹(JR東京総合病院 胸部外科)    松本桂太郎(長崎大学 腫瘍外科)

14.肺脱細胞化におけるラウリル酸カリウムの有用性に関する検討

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 腫瘍外科学 小畑智裕、土谷智史、谷口大輔、土肥良一郎、渡邉洋之助、畑地 豪、宮﨑拓郎、松本桂太郎、 永安 武 組織脱細胞化の技術は、細胞増殖に必要な因子を含んだ細胞外マトリックス(ECM)を得ること が可能で、肺再生時の足場骨格の作成に有用である。一方でこれまで脱細胞化に使用されてきた界面 活性剤は、脱細胞化過程においてECMを障害した。本研究では従来の界面活性剤であるドデシル硫 酸ナトリウム(SDS)と比較し、天然物由来の新規洗剤ラウリン酸カリウム(PL)の肺の脱細胞化、 再細胞化の工程における優位性を検討した。 それぞれの薬剤で脱細胞化された肺を、組織学、免疫 組織化学、走査型電子顕微鏡、DNA定量、硫酸化グリコサミノグリカン(GAG)分析を行うことで 脱細胞化の質を評価した。結果は、PL群においてECMタンパク質、GAG、Cytokine含有量が有意差 をもって多く、構造もより自然に近い状態で保存されていた。また、残存DNA量はPL群でも十分に 減量されており、脱細胞効果は従来法と同程度であった。免疫原生評価のために、脱細胞化肺のドナー 腹腔内への移植を行い、免疫反応を観察した。H&E染色、CD68免疫染色ではPL群で明らかな免疫 反応の低下を認めた。脱細胞化肺内のECM蛋白の細胞増殖に与える影響を調べるため、in vitroの実 験系で細断した肺組織骨格を培養液中に加えると、PL群の組織骨格は細胞増殖を促進させた。さらに、 ex vivoの再細胞化された肺組織骨格上で、PL群で細胞生着率および増殖率の増加が認められた。再 細胞肺の同系統ラットへの移植を行ったところ、移植後30分で、SDS群は肺胞出血を認め、移植肺 全体が鬱血していたが、PL群においては肺胞出血を認めるものの、緩徐なものであった。PLは肺脱 細胞化過程においてECM保持に非常に有用な界面活性剤と言える。

30

15.マウス気管移植後の上皮下血管の再潅流とヘモグロビン小胞体投与について

1)東海大学 医学部外科学系呼吸器外科学、2)慶應義塾大学 医学部外科、3)さいたま市立病院 呼吸器外科 4)奈良県立医科大学 医学部化学教室 小野沢博登1)、橋本 諒1)、大岩加奈1)、中川知己1)、河野光智1)、増田良太1)、渡辺真純2) 堀之内宏久3)、酒井宏水4)、小林紘一2)、岩崎正之1) 輸血代替として開発されたヘモグロビン小胞体(hemoglobin vesicle; HbV)は、期限切れ輸血用 ヒト赤血球からヘモグロビンを抽出精製し、リポソームに内包、膜表面をPEG修飾した径250nmの 微粒子である。血液中での酸素運搬体としての機能や、出血性ショックの蘇生における有効性、安全 性が様々な動物モデルで確認された。血液型に関係なく使用でき、感染のおそれがなく、室温で2年 以上の備蓄が可能であり、救急医療や大規模災害時、或いは離島やへき地で赤血球輸血の代替として の使用が見込まれ、AMEDの支援を受け臨床試験の準備が進んでいる。外科手術中の大量出血に対 しても遅滞なく投与出来ると考えられ、我々は肺切除動物モデルで、HbVの投与が急性期では呼吸 循環動態を安定させ、長期的には術後回復に重篤な影響を及ぼさないことを確認した。一方、赤血球 より粒径が小さいHbVは虚血に陥った組織の微小血管をいち早く灌流して微小循環を改善させる効 果を有し、虚血性疾患に対する有効性も示唆されている。また、P50を9Torrに低下させた高酸素親和 型HbVや、強力な抗酸化、抗炎症作用を発揮する一酸化炭素結合型HbV(CO-HbV)も作成出来る。 このようなHbVは微小循環不全に陥った移植組織の酸素化に有効である上、付加的な効果も得られ る可能性がある。マウス気管並走移植モデルでHbVを投与し、気管上皮下の血流を観察した。ドナー の輪状軟骨下から分岐部までの気管を摘出し、同系レシピエントの気管に2カ所で端側吻合した。尾 静脈からHbV液(Hb濃度10g/dL) 0.3mlを投与した後、3、6、12、24時間で犠牲死させ、気管を切 り出しHE染色して気管断面を観察した。 術後、6時間後までに上皮下血管内に赤血球を認めるよう になり、再潅流を確認した。HbVと考えられる微粒子も観察された。

(16)

31

16.肺移植後閉塞性細気管支炎進展におけるNK細胞の役割

  ―マウス異所性気管移植モデルを用いて―

1)藤田医科大学 呼吸器外科学分野、2)東北大学加齢医学研究所 生体防御学分野、3)呼吸器外科学分野 川上 徹1)、伊藤甲雄2)、松田安史3)、野田雅史3)、桜田 晃3)、星川 康1)、岡田克典3) 小笠原康悦2) 【目的】肺移植は、臓器移植の中で最も予後が悪いものの一つであり、その最大の要因は、肺移植後 の閉塞性細気管支炎(BO)である。肺移植後のBOは、慢性拒絶反応の一つであり、繰り返される細 気管支上皮細胞の傷害に起因すると考えられている。これまでの報告ではT細胞の関与が示唆されて いるが、依然として難治性・進行性の病態を呈しており、BO発生過程におけるNK細胞の役割を解明 することを目的に研究を行った。 【方法】BOの動物モデルとして多用されているマウス異所性気管移植モデルを作成し、遺伝子改変マ ウスや抗体等を投与し、閉塞性気道病変(OAD)を評価することで、BOにおける免疫機構を検討した。 【結果】isograft に比べOADが進展するallograftにおいて、NK細胞の集簇を認めたため、NK細胞の 役割に着目した。レシピエントマウスに抗体を投与しCD4+T細胞、CD8+T細胞もしくはNK細胞を 欠損させたところ、今まで明らかにされてきたT細胞だけでなく、NK細胞欠損時においてもOADが 抑制された。また、OAD進展時にはNK細胞の活性化リガンド、NKG2Dリガンドの一つであるRae-1 の発現が、mRNAレベルおよびタンパク質レベルで亢進していた。BOマウスモデルにおいても、 Rae-1強発現気管graft はOADを進展させ、 NKG2D抗体はOADを改善させることが明らかになった。 さらに、NK細胞単独でのOAD形成を評価するため、T細胞やB細胞を持たないSCIDマウスをレシピ エントマウスとしてBOマウスモデルを作成したところ、NKG2DL強発現graftでOADが進展すること が明らかになった。

【考察】BOマウスモデルにおいて、NK細胞はBOの進展に重要な役割を担っており、NKG2Dを介し て活性化されたNK細胞は単独でOADを進展させることが明らかになった。

(17)

31

16.肺移植後閉塞性細気管支炎進展におけるNK細胞の役割

  ―マウス異所性気管移植モデルを用いて―

1)藤田医科大学 呼吸器外科学分野、2)東北大学加齢医学研究所 生体防御学分野、3)呼吸器外科学分野 川上 徹1)、伊藤甲雄2)、松田安史3)、野田雅史3)、桜田 晃3)、星川 康1)、岡田克典3) 小笠原康悦2) 【目的】肺移植は、臓器移植の中で最も予後が悪いものの一つであり、その最大の要因は、肺移植後 の閉塞性細気管支炎(BO)である。肺移植後のBOは、慢性拒絶反応の一つであり、繰り返される細 気管支上皮細胞の傷害に起因すると考えられている。これまでの報告ではT細胞の関与が示唆されて いるが、依然として難治性・進行性の病態を呈しており、BO発生過程におけるNK細胞の役割を解明 することを目的に研究を行った。 【方法】BOの動物モデルとして多用されているマウス異所性気管移植モデルを作成し、遺伝子改変マ ウスや抗体等を投与し、閉塞性気道病変(OAD)を評価することで、BOにおける免疫機構を検討した。 【結果】isograft に比べOADが進展するallograftにおいて、NK細胞の集簇を認めたため、NK細胞の 役割に着目した。レシピエントマウスに抗体を投与しCD4+T細胞、CD8+T細胞もしくはNK細胞を 欠損させたところ、今まで明らかにされてきたT細胞だけでなく、NK細胞欠損時においてもOADが 抑制された。また、OAD進展時にはNK細胞の活性化リガンド、NKG2Dリガンドの一つであるRae-1 の発現が、mRNAレベルおよびタンパク質レベルで亢進していた。BOマウスモデルにおいても、 Rae-1強発現気管graft はOADを進展させ、 NKG2D抗体はOADを改善させることが明らかになった。 さらに、NK細胞単独でのOAD形成を評価するため、T細胞やB細胞を持たないSCIDマウスをレシピ エントマウスとしてBOマウスモデルを作成したところ、NKG2DL強発現graftでOADが進展すること が明らかになった。 【考察】BOマウスモデルにおいて、NK細胞はBOの進展に重要な役割を担っており、NKG2Dを介し て活性化されたNK細胞は単独でOADを進展させることが明らかになった。

32

17.マウス肺内気管移植モデルにおけるCTLA4-Igによる気管の線維性閉塞抑制効果の

  検討

東北大学加齢医学研究所 呼吸器外科学分野  鈴木大和、大石 久、兼平雅彦、松田安史、佐渡 哲、野田雅史、舟橋淳一、桜田 晃、岡田克典 目的:CTLA4-Igは関節リウマチの治療薬として承認されており、その治療効果の機序として、IL-10 を分泌するLAG3陽性制御性T細胞 (LAG3+Treg) が関与することが報告されている。近年は腎臓移植 患者におけるCTLA4-Igの投与による良好な長期成績が報告されており、肺移植においてもCTLA4-Ig 投与が移植肺機能不全(CLAD)の予防や治療に有用である可能性がある。本研究の目的はCLADの モデルであるマウス肺内気管移植 (Intra pulmonary tracheal transplantation:IPTT)モデルを用い、 CTLA4-Igの効果を検討することである。

方法:C57BL/6マウスをレシピエント、BALB/cマウスをドナーとし、IPTTを行った。CTLA4-Ig群 (n=13)には、移植直後、術後7、14、21日目にAbataceptを500µg腹腔内投与した。Control群に はHuman IgG 500µgを同様に投与した。レシピエントは28日目に犠牲死させ、気管切片のMasson’ s trichrome染色を行い、気管の線維性閉塞の閉塞率を求めた。また摘出肺の遺伝子発現をRT-PCRに より検討した (CTLA4-Ig群:n=9、Control群:n=7)。 結果:気管の閉塞率は、CLTA4-Ig群で有意に減少していた(63±7.51% vs. 90.1±2.22%、p=0.004)。 遺伝子発現の検討ではLAG3 / CD4の比率が、CTLA4-Ig群で有意に増加していた (2.81±0.71vs. 0.98±0.12、p=0.041)。 結論:CTLA4-IgはIPTTモデルにおいて線維性閉塞を優位に改善した。またLAG3+Tregがそのメカ ニズムに関与していることが示唆された。

(18)

33

18.同所性肺移植後の抗体関連型拒絶反応マウスモデルの作成

千葉大学大学院医学研究院 呼吸器病態外科学 椎名裕樹、鈴木秀海、山中崇寛、由佐城太郎、内藤 潤、越智敬大、伊藤祐輝、海寶大輔、大橋康太、 佐田諭己、畑 敦、豊田行英、山本高義、森本淳一、坂入祐一、和田啓伸、中島崇裕、吉野一郎 【背景】移植医療における抗体関連型拒絶反応(AMR)は急性期・慢性期ともにグラフト不全に関与 し、臓器移植の成否にかかわる重要な課題である。腎移植など他臓器と比較し肺移植においては知見 が限られている。機序解明や新規治療法の探索には動物モデルが必須であるが、これまでに肺移植に おけるAMRモデルは報告されていない。 【方法】ドナーにBALB/c(MHC H2d)、レシピエントにC57BL/6(MHC H2b)を使用した肺移植 モデルにおけるAMRの検出および増強を試みた。レシピエントに肺移植前にドナー皮膚を移植して 感作した群(感作有群)と肺移植のみの群(感作無群)を作成し、移植後2、7日後に犠牲死させ(各 n=5)、病理組織診断および免疫染色による拒絶反応スコアとC4d沈着、血清中のサイトカインとド ナー特異的抗原(DSA)の評価を行った。感作有群では肺移植14日前にドナーの皮膚φ1cmを移植し、 両群に同所性左肺移植を行った。コントロールとしてC57BL/6 isograft肺移植モデルを用いた。 【結果】感作無群では移植後7日目に移植肺の拒絶反応スコア高値(3.75±0.25, コントロール 0.1± 0.06;p<0.001)と血管内皮・周囲間質へのC4dの沈着、血清中DSAを認め、AMRの診断基準を満た した。感作有群では移植後2日目・7日目ともに拒絶反応スコア高値(2.40±0.40;p=0.004, 3.75± 0.25;p<0.001)・C4d沈着・DSAを認めた。サイトカイン解析においては感作有群において移植後2 日目・7日目ともにIL-21高値を認めた(4.37±1.15; p=0.033, 5.22±0.85; p=0.007)。 【結語】同種同所性肺移植マウスモデルにおいてAMRが検出され、移植前の皮膚移植による感作にて 増強された。このモデルは、今後のAMRに関連した基礎研究に有用と考えられる。

(19)

33

18.同所性肺移植後の抗体関連型拒絶反応マウスモデルの作成

千葉大学大学院医学研究院 呼吸器病態外科学 椎名裕樹、鈴木秀海、山中崇寛、由佐城太郎、内藤 潤、越智敬大、伊藤祐輝、海寶大輔、大橋康太、 佐田諭己、畑 敦、豊田行英、山本高義、森本淳一、坂入祐一、和田啓伸、中島崇裕、吉野一郎 【背景】移植医療における抗体関連型拒絶反応(AMR)は急性期・慢性期ともにグラフト不全に関与 し、臓器移植の成否にかかわる重要な課題である。腎移植など他臓器と比較し肺移植においては知見 が限られている。機序解明や新規治療法の探索には動物モデルが必須であるが、これまでに肺移植に おけるAMRモデルは報告されていない。 【方法】ドナーにBALB/c(MHC H2d)、レシピエントにC57BL/6(MHC H2b)を使用した肺移植 モデルにおけるAMRの検出および増強を試みた。レシピエントに肺移植前にドナー皮膚を移植して 感作した群(感作有群)と肺移植のみの群(感作無群)を作成し、移植後2、7日後に犠牲死させ(各 n=5)、病理組織診断および免疫染色による拒絶反応スコアとC4d沈着、血清中のサイトカインとド ナー特異的抗原(DSA)の評価を行った。感作有群では肺移植14日前にドナーの皮膚φ1cmを移植し、 両群に同所性左肺移植を行った。コントロールとしてC57BL/6 isograft肺移植モデルを用いた。 【結果】感作無群では移植後7日目に移植肺の拒絶反応スコア高値(3.75±0.25, コントロール 0.1± 0.06;p<0.001)と血管内皮・周囲間質へのC4dの沈着、血清中DSAを認め、AMRの診断基準を満た した。感作有群では移植後2日目・7日目ともに拒絶反応スコア高値(2.40±0.40;p=0.004, 3.75± 0.25;p<0.001)・C4d沈着・DSAを認めた。サイトカイン解析においては感作有群において移植後2 日目・7日目ともにIL-21高値を認めた(4.37±1.15; p=0.033, 5.22±0.85; p=0.007)。 【結語】同種同所性肺移植マウスモデルにおいてAMRが検出され、移植前の皮膚移植による感作にて 増強された。このモデルは、今後のAMRに関連した基礎研究に有用と考えられる。

34

19.MEK阻害剤トラメチニブはラット肺移植後の胸腺機能を温存しつつ遅発性拒絶を

  抑制する

1)京都大学医学部附属病院 呼吸器外科、2)血液内科 合地史明1)、高萩亮宏1)、陳 豊史1)、齊藤正男1)、岡部 亮1)、山岸弘哉1)、栢分秀直1) 上田聡司1)、徳野純子1)、池田政樹1)、尾田博美1)、横山雄平1)、中島大輔1)、濱路政嗣1) 毛受暁史1)、佐藤寿彦1)、園部 誠1)、伊達洋至1)、進藤岳郎2) 【目的】MEK阻害剤トラメチニブはマウス骨髄移植で移植片対宿主病(Graft-versus-Host Disease: GVHD)を抑制するが、抗腫瘍免疫を温存する(Itamura, Shindo, JCI Insight 2016)。今回我々 はラット肺移植で同剤が拒絶反応を抑制するか、検証した。

【方法】MHC 不適合ペア(ドナー:Brown Norway; RT1n、レシピエント:Lewis; RT1l)およびマイナー 抗原不適合ペア(ドナー:Fischer 344; RT1l、レシピエント:Lewis)を用いて、ラット同所性片 肺移植を行った。同系移植を陰性対照として治療介入を行い、28 日目に肺拒絶とレシピエント免疫 系を評価した。MHC不適合移植ではday 0-14にシクロスポリン、day 15-28にはシクロスポリンも しくはトラメチニブ(0.1mg/kg,0.3mg/kg)を投与した。マイナー抗原不適合移植ではday 0-28に シクロスポリンもしくはトラメチニブを投与した。 【結果】MHC不適合移植において、トラメチニブの単剤投与は無効であった。しかしシクロスポリ ンの後にトラメチニブを投与することで移植肺の炎症細胞浸潤が軽減され、呼吸機能も保持された。 またトラメチニブは血液や末梢組織におけるT細胞の機能分化と液性免疫の活性化を抑制したが、 Foxp3 陽性の制御性T 細胞を温存した。注目すべきことにシクロスポリンの投与で胸腺内T 細胞分 化は顕著に抑制されたが、トラメチニブ投与群では温存された。これらの移植で、ドナー由来B 細胞 は14 日目までにほぼ枯渇していた。一方マイナー不適合移植ではトラメチニブ単剤の28日間投与で 拒絶の抑制をみた。 【考察】MEK阻害剤トラメチニブはレシピエント由来抗原提示細胞による間接的抗原提示を選択的に 抑制することで、移植後の遅発性拒絶を抑制すると考えられる。ヒト肺移植において同剤は、CLAD を抑制する可能性がある。

(20)

35

§ 8.レシピエント選択

14:30~15:10

座長:陳 豊史(京都大学 呼吸器外科)

20.脳死肺移植における新たなレシピエント選択システム構築に向けて

1)東京大学医学部附属病院 呼吸器外科、2)東京大学 大学院医学系研究科 外科学専攻(呼吸器外科) 3)東京大学医学部附属病院 臨床研究支援センター 生物統計部門 安樂真樹1)2)、上村夕香理3)、勝井恵子2)、福元健人1) 2) 、唐崎隆弘1)、北野健太郎1)、長山和弘1) 佐藤雅昭1)、中島 淳1) 2)  現行のレシピエント選択基準では、血液型や肺のサイズなどの医学的諸要件の次に、待機期間が優 先順位決定に影響する。現行の基準では、個々の患者の医学的緊急度等は優先順位決定に考慮されて いない。移植待機期間の長期化は、臓器提供数の少なさのみならず、選択基準も影響していると想像 される。

 一方米国では、個々の移植待機患者の基礎疾患や医学的緊急度等をLung Allocation Scoreとして 算出し、レシピエント選択の基準とする施策が2005年に施行された。導入前と比較して、待機中死 亡のリスク低減、移植待機期間の短縮化(2015年時点で平均待機期間3.4か月)といった成果を上げ ている。このような米国での取組は欧州にも波及し、その効果が報告されている。  欧米諸国のスコア制導入後の効果や傾向を背景に、我が国の肺移植の実情に合う新たなレシピエン ト選択システム構築に向けた取り組みとして、本邦肺移植実施9施設のご了承とご協力をいただき、 2018年11月末に日本医療研究開発機構(AMED)の事業公募に申請するに至った。  本発表では、脳死肺移植待機登録時の適応審査データシートを元にしたデータベース構築の必要性、 それを用いた現状の待機中死亡状況の把握、そしてレシピエント選択のアルゴリズム作成・検討等に ついて、研究方針を共有したい。また、新たなレシピエント選択システムの社会実装を考える際に検 討されるべき課題についても言及したい。

参照

関連したドキュメント

man 195124), Deterling 195325)).その結果,これら同

血は約60cmの落差により貯血槽に吸引される.数

 肺臓は呼吸運動に関与する重要な臓器であるにも拘

ァルベシ.Martini02ニハー側ノ肺動脈幹或ハ両側ノ第1分枝二於ケル栓塞ニョリ数分ニシ

今回completionpneumonectomyを施行したが,再

リポ多糖(LPS)投与により炎症を惹起させると、Slco2a1 -/- マウス肺、大腸、胃では、アラキ ドン酸(AA)およびエイコサペンタエン酸(EPA)で補正した PGE 2

医学部附属病院は1月10日,医療事故防止に 関する研修会の一環として,東京電力株式会社

1) Aberle DR, Adams AM, Berg CD, Black WC, Clapp JD, Fagerstrom RM, Gareen IF, Gatsonis C, Marcus PM, Sicks JD. Reduced lung -cancer mortality with low-dose computed tomographic