慢性疾患児の information needs に関する量的及び質的分析の検討
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(2) 目 次. 第1章問題の背景と研究目的 ・・1 第1節 今日の小児医療の動向. 第2節 小児患児のQOL 第3節 教育からのアプローチ:病弱教育の意義と課題. 第4節 慢性疾患児のストレス 第5節 情報の重要性 第6節 本研究の問題と目的. 第2章informationneeds尺度試案の作成 ・・8 第1節 これまでのinformationneedsに関する研究 第2節 プリテスト 1 目的 2 方法 (1) 対象者. (2) 調査方法 (3) 測定尺度. 3 結果 4 考察 5 質問紙の改訂 第3節 本調査 1 目的 2 方法 (1) 対象者. (2) 調査方法 (3) 測定尺度 (4) 分析方法. 3 結果 (1) 記述統計の結果 (2) 質問項目の相関. (3) 欠損値(無回答)について. (4) 因子分析.
(3) (5) 因子の解釈と命名 4 考察 (1) 記述統計の結果. (2) 質問項目間の相関 (3) 欠損値(無回答)について. (4) 因子分析 (5) 尺度試案の作成. 第3章慢性疾患児のinformationneedsの特徴・・26 第1節 informationneedsの分析. 1 目的 2 方法 (1) 対象者 (2) 調査方法. (3) 測定尺度 (4) 分析方法. 3 結果 (1) 対象者全体のinformationneeds得点 (2) 慢性疾患児のinformationneeds得点とデモグラフィッ. ク変数との関係 (3) 疾患別informationneeds得点の分析. 4 考察 (1)対象者全体のinformationneeds得点について (2) 慢性疾患児のinformationneeds得点とデモグラフィッ ク変数との関係について (3) 疾患別inform&tionneeds得点の分析について. 第2節 informationlackの分析. 1 目的 2 方法 (1) 対象者 (2) 調査方法 (3) 測定尺度. (4) 分析方法. 3 結果.
(4) (1) 記述統計量の結果. (2) 欠損値について. (3) 対象者全体のinformationlack得点 (4) 重要項目の算出. 4 考察 (1) 記述統計量の結果と欠損値について. (2) 対象者全体のinformationlack得点について (3) 重要項目の算出について. 第3節 記述質問の分析. 1 目的 2 方法 (1) 対象者 (2) 調査方法 (3) 分析方法. 3 結果 4 考察 第4章informationneedsに関する質的分析の検討 ・・60. 1 目的 2 方法 (1) フィールドワーク (2) 調査方法 (3) 調査内容. (4) 倫理的配慮 (5) 面接対象者. 3 結果 4 考察. 第5章総合考察. ・・. 2. 第1節 慢性疾患児のinformation needs尺度試案の作成にっい て. 第2節 慢性疾患児のinformationneedsの量的分析について 第3節 慢性疾患児のinformationneedsの質的分析について.
(5) 第6章今後の課題 引用・参考文献 謝辞 資料. ・・. 8.
(6) 第1章問題の背景と研究目的 第1節 今日の小児医療の動向. 今日の日本の小児医療は、少子化の急激な進行により疾病構造が 大きく変化し(柳澤2002)、医学の発展と医療技術の向上に伴い多く の疾患群において生存率が向上している。しかしその半面、療養が 長期化し、心身面での負担が増大するなど(厚生労働省2002)の問題 にも直面している。とりわけ、小児難病患者の成人化はキャリーオ ーバーと言われ(小林1998),今後の大きな課題といえよう。例えば、. 小児がんの治癒率においても、20年前までは不治の病とされていた 白血病の7割が治癒するようになったが、フォローアップとして晩 期障害・二次がんの発現チェックなどの医学的側面と、進学・就職・ 結婚・妊娠などの社会的側面についても考慮すべき必要性が生じて いる(加藤1997)。. 以上のことから小児医療も従来の枠組みから踏み出さざるを得な い時期であり、パラダイムシフトが要求されているといえよう。小 児医療におけるパラダイムシフトは、対象を出生後から15歳まで の子どもとした疾病治療中心の小児科医療から、「育つ」という観点 を取り入れた成育医療への転換のことをいう(小林1998)。成育医 療とは、ライフステージの中で展開するとともに、ライフサイクル の中で見直した新しい医療体系のことであり、その根幹となるもの はQOL(QualityofLife)の高い医療の提供である。実際に、患児・ 家族中心医療の理念を取り入れた成育医療のモデルとして、あいち 小児保健医療総合センター・国立成育医療センター・宮城県立子ど も病院などの施設が近年次々に開設され、患児・家族の心のケアや 適切な情報提供を行う機能を整えるなどQOL・アメニティの向上に 力をいれた小児医療が展開されている。. 第2節 小児患児のQOL 近年、患者のQOLを重視する考え方が医療の内部に浸透してい ると言われている(竹中2001〉。いわゆる生物学的視点による医療 から、生物・心理・社会的側面を重視した全人的な医療への転換で. ある(江口2000)。しかし、岡(1997)は、小児患児のQOLは成. 1.
(7) 人とは異なる特殊性をもつと提示している。その特殊性とは、①小 児を発達途上と考慮する上で将来のQOLを配慮することの重要性、 ②発達段階に応じた子ども自身の満足感を把握することの困難性、 ③患児自身からみた評価と医療者や親からみた評価の認知的差異の 可能性などがあげられている。今後は、このような小児特有の特殊. 性と困難性を加味した上で,小児のQOLを高めることが必要であ ろう。. 小児医療の主役は患児である。不自由な入院生活やつらい治療を 受けるのは患児自身である。しかし、患児を主体とした医療を行う のは現実として難しい。「患者の権利」を主張する患者主体の医療の 動向は、米国では1980年代から運動が普及し、日本においても近 年では、患者の二一ズ・情報・コミュニケーションをキーワードと する動きが活発化している(辻本2000・竹中2001)。とりわけ、「情 報提供の在り方」は、インフォームドコンセントの社会的普及など. により非常に関心が高まり、患者のQOLに影響を与える要因とし て取り上げられている(中川2000)。しかしながら小児の場合は、 一般的にr家族と一体」であるとする風潮が強く、小児医療におい. てもr子どもは成人とは違い,autonomousな存在ではない」とい う意見が多く(恒松1997),患児主体としての医療が行われていると は言い難い。. これらのことから、小児のQOLを考える場合、小児の特性であ. る成長・発達的な面に注目し、小児の自律性をrdeveloping autonomy」(恒松1997)として捉えた患児主体としたアプローチが. 必要と思われる。小児のQOLは、患児自身からみたQOLなのか、 医療者や保護者からみたものなのか、常に明確にしてQOLを考慮 する必要があり、原則的には患児本人がみた評価が中心になるべき とされている(岡1997)。そして、患児を主体として捉えるのであれ ば、患児の二一ズを患児自身に問うことが不可欠であり、そのため の方法論の確立することが今後必要とされている(吉峯1gg8)。. 第3節 教育からのアプローチ:病弱教育の意義と課題. 現代の小児医療において、教育・保育を払拭してのQOLは存在 せず 医教一体の対応が必要であると言われており(加藤1997)、二 瓶(1998)においても、教育は学童期の子どものQOLを大きく左右. 2.
(8) し、子ども達は医療medicationと教育education,すなわち meducationが必要であると著わしている。これらのことから、小 児のQOLを根幹とする成育医療を如実のものとするには、教育と しての病弱教育に依拠するところは多く、meducationという言葉 の存在性を大きく意識するのは当然ではないであろうか。 病弱教育とは、病院などに入院している病弱児(病弱・身体虚弱児) を対象とした教育である。病気とともに生きている患児にとって教 育は想像以上の意味をもつ。病弱児の多くは、どんなに重篤な状態. であっても、学習への意欲を持っていると考えられている(横田 2000)。このように、病弱児にとって、教育は生きる糧となる重要 なファクターであることを私達は認識しなければならない。 今日の病弱教育も、児童・生徒の病気の種類の変化や医学の進歩、 治療法などの変化に応じて、教育内容や方法が大きくに変化してい る(横田1995)。このような実情をふまえて、文部省は「病気療養児 の教育に関する調査研究協力者会議」の審議のまとめを受け、平成. 6年12月に、初等中等教育局長宛にr病気療養児の教育について」 の通知を提示した。本通知には病弱教育の意義が明確に記されてお り、①積極性・自主性・社会性の酒養 ②心理安定の寄与 ③病気 に対する自己管理能力 ④治療上の効果 ⑤学力の補償の5点が揚 げられている。中でも、③の自己管理能力の育成は、病弱教育の指 導の中心(病弱教育Q&A2002)とされ、特に重要な項目と思われ る。自己管理能力の育成は、自立活動の中で中心に行われ、「人体の 構造と機能の知識・理解、病状や治療法などに関する知識・理解」 などの指導内容が提示されており、このような病気に関する情報提 供の在り方は今後の重要な課題と思われる。. 以上のように小児のQOLを考える場合、病弱教育に期待すると ころも大きい。しかしながら、実際には入院治療のために30日以 上教育を受けずに学校を欠席している病弱児の数は相当数存在する (武田・笠原2001)などの問題も生じている。その理由として、① 病院などに併設し又は隣接する養護学校などの学級が十分に設置さ れていないこと。②入院中の病弱児に対して治療優先主義の傾向が 強いこと。③教育の必要性の認識が乏しいこと。④教育委員会関係 者が管内に所在する病院などに入院する児童・生徒の教育の機会確 保に関して十分認識せず、その実態を的確に把握していない場合が あること。⑤教育と医療の連携が十分でないこと。などがあげられ. 3.
(9) ており(横田1995)、病弱教育においても、多くの課題が残されて いる。. 文部科学省において、平成13年1月に提示された「21世紀の特 殊教育の在り方にっいて」の最終報告では、rこれからの特殊教育は、. 障害のある児童生徒の視点に立って児童・生徒の特別な教育的二一 ズを把握し、必要な教育的支援を行うという考え方に転換する必要 がある」と述べられている。患児達の「特別な二一ズ」には教育的 二一ズだけではなく、医療的二一ズ・福祉的二一ズなどもあり、そ れぞれの二一ズの中には、医療・教育・福祉の境界にある二一ズが 存在し、病弱教育における自立活動はこの境界的二一ズに対応する 支援的な教育活動とならなければならないとされている(病弱教育 Q&A2001)。また、最終報告第4章においては、「福祉・医療と連 携して理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を特別非常勤講師とし て雇用」「看護婦など非常勤講師として活用」など具体的用例が示さ れており、教育・医学・福祉・心理などの連携の重要性を強調して いる。病弱教育においても、患児を単に一人の個として捉えるので はなく、個を包み込む環境としての家族・教育関係者・医療関係者 などのダイナミクスを踏まえた教育の在り方を今後検討しなければ ならないであろう。. 第4節 慢性疾患児のストレス. ストレスという言葉は、ラテン語から派生したもので、工学の領 域でr外から加えられる力に対するゆがみ」という定義で学術用語. として使用されてきた。その後、生物学者のSelye. (Selye,1936・1976)が汎適応症候群(generaladaptation syndromelGAS)を提唱し、ストレスを「外界からのあらゆる要求に 対する生体の非特異的な反応」とし、その反応を引き起こした刺激 をストレッサーと定義した。. Selye以降のストレス研究で代表的なものは、HomesとRahe (Homes&Rahe,1967)の「ライフイベントストレス」研究とLazarus. とFolkman(Lazarus&Folkman1984)の「デイリーハッスル」研 究である。ライフイベントとは、日常生活に大きな変化をもたらす 出来事のことで、Raheは、ライフイベントの衝撃の程度を、再適 応に要するエネルギー量とみなし、それをストレス値と定義した。. 4.
(10) 対して、LazarUSらは、日常的に経験している比較的ささいな出来 事をデイリーハッスルとし、この日常生活によくあるいらいら事が ストレスの源泉であると提唱している。 現代社会は、ストレスに満ち溢れているといわれ、それは子供た ちにとっても例外ではない。とりわけ、病気と共に生きていかなく てはならない慢性疾患児のストレスは計り知れないものである。 Avisは、入院を余儀なくされる子供たちは、入院するのは自分が悪 いことをした罰と思い込んだり、もう家には帰ることはできないの ではないかという恐れをもっていると述べており、注射や手術の痛 みに対する恐れ、親との別離、行動制限、友人やきょうだいと会え ないなどのストレスを取り上げている(Avis1984)。また、伊藤ら (1999)の院内学級の児童を対象としたストレスの実態調査でも、「外 で遊べない」「友達と会えない」などのストレスを感じている児童が. 多く存在すると述べている。ライフイベントストレス研究領域にお いても、Heise1ら(1973)が外来受診児について、Kashaniら(1981). が入院児について、体験したライフイベント数・ライフストレスを 調査した結果、双方とも、健常児に比して有意に高いことを報告し ており、患児たちは高いストレスをもっていることが示唆されてい る。このように、患児たちのストレスに関する研究は多くあり、ス トレス対処行動の研究も注目されている。例えば、A.Ry&n・Wenger の「慢性疾患児のストレス対処の研究」の中では、病気の子どもの 対処方略1つとしてinformationseekingbehavior(情報入手行動) が取り上げており、今後は「情報提供の在り方」も注目度の高いト ピックとなるであろう。. 第5節 情報の重要性. 近年においては、情報が自己評価の向上やストレス軽減に効果が ある(lshibashi2001)といわれている。Lazarus・Folkman(1984) は、「状況が脅威のものであると、人は、何が起こっているのかをよ り良く理解するために、また、その経験に対して現実的な予期を明 確にするために情報をさがし求め続ける。正確で現実的な情報は、 脅威ある出来事に対して準備をするというアシストの役目を行って いる」と述べている。情報の機能には、①制御力の向上 ②不安の 軽減 ③コンプライアインスの向上④セルフケアの促進と参加⑤安. 5.
(11) 心・安全の感情生成(Mills1999)病気理解の促進(Kerrigan 1993)、などがあげられる。実際に海外のがん患者に対する情報提 供に関する研究では、治療後のコーピング能力の増加やストレスの 軽減などQOL向上に役立つ結果が数多く報告されている。(KarenA, HaHis,MPH 1998)(:Leadbeater2000〉 (Kerrigan et a11993). Poroch1995) 特にDerdiarian(1987)は、情報の重要性をより理解するためにス トレスコーピングプロセスの一つとして情報二一ズのプロセスモデ ルを設定している。これは、情報の欠如としてのinformationlack とその情報を重要と価値付けるinformationneedsを「認知的評価」 として捉え、次段階の情報収集であるinformation seekingを「コ ーピング」として位置づけたモデルである。また、Wenger(1996) は、r理論的にストレスコーピングと病気の間にはpositiveな関係 があり、それゆえに、病気のストレッサーに対する患児のコーピン グを調べることは重要である」と述べている。. 患児のQOL向上過程において、患児が自ら病気に対して積極的 に対処したり、自覚的なストレス反応を軽減することは重要な課題 (武田1997)とされており、今後r情報」は、患児のQOL向上の重 要な担い手になる可能性が伺われる。. 第6節 本研究の問題と目的 上述のことから患児のQOLを根幹とする今日の小児医療の動向 に伴い、患児に接する医療関係者・教育関係者及び患児の家族が患 児に対してどのような「情報提供」を行うかが1つの課題となって くるであろう。一般的に患者は多くの情報を求めたいという情報希 求度が高く、情報が求められなかった場合は不安や恐怖におちいる (中川2000)とされている。対して、医療者側は患者の情報を求める 気持ちを過小評価する傾向があるとされており(Waitzkin1984)、加 えて、患者自身も実際の診療場面では、医師に質問することを躊躇 する傾向があるといわれている(弐木クレイグヒル1999)。このよう に成人の患者でさえも情報を希求する行動に躊躇するという医療環 境で、患児が自身の二一ズを表出する機会を得ることは難しいと思 われる。また、適した情報提供を行うためには、まず、情報を受け 取る側がどのような情報二一ズを持っているかを把握する必要もあ. 6.
(12) る。実際に患者の欲する情報量やタイプは患者によって差異があり、. この差異が医療サイドと患者との間での不一致を生起させている (LesleyF.Degner,B.JoyceDavison 1998)といわれている。とり. わけ、小児の情報二一ズは、発達段階や経験に影響を受けることが 予想され、いつ・何を・どのように情報提供を行うかが重要な課題 となる(lshibashi2001)。病院や学校で患児と接する医療者・教育 者は、情報二一ズに応じるための適したリソース・意識・技術をも たなければならず、この二一ズはポリシーレベルとして示されるべ きではないであろうか。. 以上のことより、患児のQOL向上の一方略として、患児たちの 情報二一ズいわゆるinformationneedsを明らかにし、これらの二 一ズに応じて適した介入を改良する必要があると思われる。本稿で は、患児が学校復帰や自己管理など病気と共に生きていくためには どのような情報を必要としているかというinform&tionneedsを医 療・教育・心理の領域で以下のことを通して総合的に検討し、適し た情報提供に還元できるリソースを構築することを目的とする。第. 1に、慢性疾患児のinformationneedsを測定するための尺度試案 を作成する。第2に、この尺度試案を使用して学齢期に入院経験の. ある慢性疾患者を対象に回答を求め、慢性疾患児のinformation needsの特徴と情報の欠如としてのinformationlackを検討し、さ らなる尺度開発に役立つ資料とする。第3に数量的分析を補完する 目的として実際の医療現場でのフィールドワークを通じて質的分析 でinformationneedsを検討する。. 7.
(13) 第2章informationneeds尺度試案の作成 第1節 これまでのinformationneedsに関する研究. informationneedsは、情報希求度、また情報探索行動 (informationseeking)を引き起こす動因となる欲求(笠本199g)と. 訳され、慢性疾患の患児及び家族が必要とする3つの needs(information needs・social support needs・emotional needs). の1つ(Ross・Alaolmolki1995)(Baker1991)として示されている。 また、Runeson(2002)らの直接観察法による「入院中の子どもの. needsに関する研究」では、脅威としてではない状況でのneedsの 領域に位置づけられており、病院スタッフや両親に質問することに よって、院内での日課や入院計画についての情報を得ていると記述 されている。. 海外においては、数多くのinformationneedsの研究が存在する。 中でもがん患者を対象とした研究は群をぬき、退院患者を対象とし. たPatientLeamingNeedsScaleやがん患者用のThelnformation StylesQuestionnaire、乳がん患者用のTorontolnformationNeeds Questionnaire・Breast C&ncerなど多くの尺度が開発されている。 日本の先行研究ではr日本人の医療行為に関する情報希求度の測定」 (大木・福原1997〉、「患者、家族の病名、治療、予後等医療行為に 対する情報希求度の測定・…疾患別ケースを想定したアンケート調 査」(佐藤ら2000)などが散見されるに過ぎない。大木・福原(1997) の研究では、対象は実際の患者ではなく、健康時の人であり、実際. に病気になった時のinformationneedsが同様であるかは明言でき ない。また、佐藤ら(2000)においても、質問項目が医療に関する項 目のみの内容となった研究である。. 小児を対象としたinformationneedsの研究では、Ohanian (1990)の通院している小児がん患児と親に対するinformational. needs測定やCharmaine&LouAnn(1995)の重篤な状態の患児の rきょうだい」を対象とした研究などがある。 そしてこれら先行研究の理論的枠組みとして最も採用されている のは、Derdiarian(1987)の研究論文である。この論文ではさらに、. Lazarusのストレスコーピング理論・二一ズ理論・Maslowの欲求 段階説を枠組みとして使用している。中でも、LazarUSのストレス. 8.
(14) コーピング理論はマトリックスとなっており、他の理論はL&zarus の理論を補完するものとして捉えている。Laz訓USの理論は、がん と診断されて生じるストレスを描写しており、がんに対する個人の 反応、個人と環境とストレスの関係を表している。これら全ては、 LazarUSのコーピングプロセスにおける情報の役割を理解すること においては重要なことであり、そのためこの理論が採用されたと思 われる。. 第2節 プリテスト 1 目的. 慢性疾患児のinformationneedsを量的に分析・検討する尺度と して妥当な項目を選択し、項目内容の倫理的問題の検討を行う。そ の結果に応じて質問紙を改訂し、informationneeds尺度試案を作 成する。. 2 方法. (1)対象者 筆者が所属するr病気の子どもと家族の支援について語ろう」と いうメーリングリスト上で、プリテスト協力者を募った。協力希望. 者のうち小児期発症の成人慢性疾患患者5名を対象とした。小中 学生時に入院経験のない回答者1名の回答は無効とし、計4名でプ リテストを実施した。疾患の内訳は、先天性心疾患2名・リュウ マチ熱1名・右距骨融合症1名である (2) 調査方法. 協力希望者に対して、調査に対する説明書・質問紙を郵送により. 配布・回収した。期間は、平成14年4月1日から30日までの1ケ 月間である。 (3) 測定尺度. 質問紙の質問項目は、informationneedsの代表的な尺度である PatientLeamingNeedsScale(退院患者用)・TorontoInformation. 9.
(15) NeedsQuestionnaire−BreastCancer(乳がん患者用)を邦訳・参照 し作成した。質問紙は、領域をr医療」・r学校」・r心理」・「生活」. に設定し、共通質問19項目・選択質問4項目・記述質問6項目・ 全29項目で構成した。各項目に対して「全く大切でない0点」「あ. まり大切でない1点」rどちらともいえない2点」r少し大切3点」 「とても大切4点」の5件法で回答を求めた。また、倫理的問題を 検討するために、医療関係者・院内学級教師・親の会メンバー・元 患児【内訳:小児科医3名〈小児神経1 新生児1 血液腫瘍免疫 1〉・看護師2名・院内学級担当教師4名・親の会メンバー2名・元 患児 2名】の査読を経て、プリテストを実施した。. 3. 結果. プリテストは、共通質問全19項目のみを分析した。結果は table2・1に示す。記述質問の結果は以下の通りである。 table2−1 、. 入院回数. 性. 先天 心 患 26歳. 150日. B. C. D. 女 女 女性 右距骨 合症 先天 心疾患 リュウマチ熱 23 30 38歳 3年 30日 20日 1回. 7回. 2回. 3.74. 2.84 3.17 2.67 2.75 2.67. 3.53 3.67. 4 4. 3.5. 3. 3.67. 3.5. 5回. 2.79 3.83 1.67 2.75. 3.5. needs得点 医療needs 学校needs 心理needs 生活needs. A. 3.33. …,SD 29.3 3.75 3.22 3.54 2.88 3.25 3.25. ①医療の領域で知りたかったこと ●何のために検査をするのか、その結果で何が期待できるのか、 治療の方針 ●なぜ、薬を毎日飲まなくてはならないのか. ●薬の効果はあるのか ●どのようなことがあったら医者に相談すればいいのか ●検査・手術など、全ての治療日は前もって知りたかった ●大学病院などで、なぜ多くの医者が自分を取り囲んでいるの か知りたかった。. 10. 6.5. 性別 疾患名 年齢 入院期間. プリテスト結果. 1.38 0.48 0.28 0.92 0.61. 0.57.
(16) ②学校領域で知りたかったこと ●学校を多く休んでいるので、授業の内容をよく知りたかった ●学校の先生全員・生徒全員が自分のこと(病名や非常事態の処 置)を知っているのか。. ③生活領域で知りたかったこと. ●なぜ頻回に部屋を変わらなければならなかったのか知りたか った. ●面会の曜日・時間・場所に制限があるのかわからなかった ●なぜ、自分より後に入院した子が先に退院していくのかわか らなかった。. ●入院中にrきょうだい」がどうしているか ④心理の領域で知りたかったこと ●医師以外で相談にのってくれる人がいたらよかった ●辛くても親や医療者の前では泣かなかったので、「泣いてもい い」と思える援助がほしかった。. 4. 考察. 倫理的問題について、質問紙の内容を医療・教育の専門職が検討 したところ、倫理的に問題になる事項は認められなかった。しかし、 「告知」など、直接二一ズにかかわるとされる重要な言葉を使用し. なかったため、表面的な質問内容の傾向があるように思われた。プ. リテストの結果においては、対象者A・Cの学校に関するneedsの 低さが顕著であった。A・Cは共に大学修士課程を卒業しており、 学校の勉強においては、一人でも十分こなしていけるとのコメント もあり、対象者の教育水準などもinformationneedsになんらかの. 影響をもっている可能性が伺われる。先行研究でも教育水準を. informationneedsの影響要因と捉えているものが多く (Biloudeau&Denger1996)(Brandt1991)、今後の検討を要する変数. である。また、プリテストの領域別のinformationneeds得点の差 異を検討してみると、「医療」の領域が最も高く、この結果は先行研 究(Ohanian1990)と一致するものであった。. 11.
(17) 5 質問紙の改訂 領域に関しては、先行研究を参考に、r学校」r心理」・「生活」は 改訂せず、「医療」の領域を先行研究に従い、r病気j r治療」「検査」 の3領域に細分化した。また、領域数の均衡を図るために、r病気」 の領域で、r進路のことを考えるとき、自分の病気がどのように影響 するのか」という1項目を共通項目として追加した。また、選択項 目では、r治療をする前に、その治療(手術や服薬など)の結果、自分 の体に変化がある(脱毛・ムーンフェイス・手術の傷跡)ということ について」「初めてのカテーテル検査の前に、検査をしている時、ど んな感じがするのかということについて」という2項目を追加した。 よって、共通質問においては、「学校」領域6項目・「心理」領域3 項目・「治療」領域3項目・「検査」領域2項目・「病気」領域3項 目・「生活」領域3項目 計20項目とした。また、選択項目におい ては「検査」領域4項目・「治療」項目2項目・「生活」項目2項目. 計7項目とした。記述質問は、プリテスト時と同様6項目とした。. 第3節 本調査 1 目的. 慢性疾患児のinformationneedsを量的に分析・検討する尺度試 案の作成を目的とする。質問紙の妥当性は因子分析により、また内 部一貫性はCronbachのα係数で検討する。質問項目内容は各質問 項目間の相関により慢性疾患児のinform&tionneeds測定に必要な 質問紙の検討を行う。 2 方法. (1) 対象者 対象者は、患者会に属し、小中学生時に入院経験のある慢性疾患. 患者とした。患者会の選択は、小児難病親の会ハンドブック200 2と患者会のホームページを参考に、医療以外に、心理・教育に関 心があり、アンケート調査経験があるなど対象者をサンプリングす る能力があると思われる患者会を選択した。. 12.
(18) (2) 調査方法 各患者会を経由して、「慢性疾患児の情報希求度に関する調査」と して質問紙調査を実施した。質問紙は、調査に対する説明、質問紙、 返信用の封筒で構成され、無記名で回答を求めた。質問紙は386通 配布し、138通を回収(35.8%)した(table2−2)。学齢期に入院経. 験のない回答は無効とし、最終的に126通を有効回答とした。分 析対象者は、男性48名(38.1%)女性78名(61.9%),平均年齢 28.9(SD=7.4)、対象者概要は、table2・3,疾患別内訳はfig2・1に示す。. table2−2患者会名と回収率 配布数. 患者会名. 回収数. 回収率. 通). 通). %). 全国r腎炎・ネフローゼ児』を守る会. 50. 14. 28. 糖尿病・青森ヤングの会. 25. 11. 22. 50. 15. 30. 全国膠原病友の会・関西ブロック. 50. 24. 48. マルファンネットワークジャパン. 50. 13. 26. 150. 56. 37. 全国心臓病の子どもを守る会・大阪支. 兵庫腎友会 がんの子どもを守る会. 11. 合計. 386. 5 138. fig2・1疾患別内訳 (人). 病名. が5 ん. 糖尿 11. マルファン. 12. 腎炎・ネフ. じ15. 臓病. 59. 2 4 膠. 原病. 13. 40 35.8.
(19) 対象者概要. table2−3. 人数. 項目. 年齢. 性性 男女. 性別. 平均 28,9. 38.1. 78. 61。9. SD:7.4. 26. 20,6. 23∼30歳. 44. 34.9. 31歳以上. 53. 42.1. 3. 1回. 17. 13.5. 2∼4回. 37. 29.4. 5∼9回. 29. 23.0. 10回以上. 35. 27,8. 8. 不明. 疾患名. 48. 12∼22歳. 不明. 入院回数. %. 腎炎・ネフ. 59. 46.8. 糖尿. 11. 8.7. 心臓病. 15. 11.9. 膠原病. 24. 19.0. マルファン. 12. 9.5. 5. がん. 4.0. (3) 測定尺度. プリテストの結果後、改訂した尺度試案を使用した。質問紙は、 Derdiarian(1987)の理論的枠組みに従い、一つの事項に対して、 「知っていましたか」(informationlack)、「知っておくことは大切 でしたか」(informationneeds)、「知りたかったですか」(information. seeking)の3構成とし、本稿のinformationneedsを、r患児が知覚 する情報量に対して病気とともに生きていくために重要か否か価値 づける情報充足度」と定義した。操作的定義としては、質問紙によ って測定され、数量化し、カウントされた得点とした。information. 14.
(20) needsの各項目に対しては、r全く大切でない・1点」「あまり大切 でない・2点」「大切・3点」「とても大切・4点」の4件法で回答を 求めた。. (4) 分析方法. 共通項目全20項目についてのinformationneeds得点(以下 needs得点)を分析対象とした。まず、平均値・歪度・尖度から明ら かに偏りがみられる項目を除外するため各項目の記述統計量を算出 し、次に各項目間で相関係数0.70以上の相関がある組み合わせをチ ェックし、項目の冗長性の高低を検討した。また無回答10%以上の 出現率を示す項目を算出し、欠損値の分析を行った。また、構成概 念妥当性を検討するために因子分析を行い、因子の解釈・命名と下 位項目を設定し,Cronbachのα係数を用いて信頼性を検討した。な お統計処理には、統計パッケージSPSS11.5J for Windowsを使用 した。. 3 結果. (1) 記述統計の結果 各項目の分布を算出し、平均値・歪度・尖度から明らかに偏りが. あるとされる項目は認められなかった。needs得点のMEANとSD はtable2・4に示す。. (2) 質問項目間の相関. 同一内容の質問を問う項目の有無を検討するために、質問紙の質 問項目相互間の相関を算出した。Pearsonの相関係数にて相関係数 0.70以上の高い相関を示す2項は認められなかった。最も高い相関 を示した項目はQ7「飲んでいる薬はどんな効き目があるのか」と Q8の「血液検査の結果はどんな意味があるのか」の2項で、Pearson の相関係数は0.687であった。. 15.
(21) table2−4 informationneedsに関する各項目の記述統計 項目. MEAM(SD). 一一一 一 一一一一一 . Q12 Q13 Q14 Q15 Q16 Q17 Q18 Q19 Q20. 一一脚一一一一一一 一一一 一一一一一一. Qll. 7 9 8 6 6, 70 .9 7。 780 .787888778 000 00 0 00。 0 −9ー■. Q2 Q3 Q4 Q5 Q6 Q7 Q8 Q9 Q10. 0 70 22 0 1 0 9 37 19 4 9 . 8 201 3 3 3 2 ●2 n2 ∠ 2 ■3 3 2 33 3 2 23 2 33. 共通質問 Ql. 歪度 尖度. MEAN SD. 一. 2.98. 0.48 −0.71. 0.54. (3) 欠損値 (無回答)について. 欠損値10%以上の質問項目は、1項目のみであった。この項目は、 Q6『「いつになったら薬を飲まなくてもいいのか」知っておくこと は大切ですか』という項目(10.3% n=13)であった。この項目 において無回答が多かった理由として、質問紙にあった回答者のコ メントが以下の通りである ● 質問5,6については、私の子供のころは、まだこの病気が珍 しくてただ、安静にしているだけで、薬などは一切飲まなかったと. 16.
(22) 思います。(マルファン・女性48歳). ●問5・6・7 薬は飲まなかった。(マルファン・男性・32歳) ●薬の質問は、一生飲むことなので何も思わない。(心臓・女性・ 22歳) (4) 因子分析. (1)∼(3)の結果より、全20項目を分析対象として、統計パッケ ージSPSS11.5J for Windowsにより主因子法・プロマックス回転で. 因子分析を行った。初回の分析では、固有値1以上を基準にして4 因子が抽出された。しかし、第4因子が1項目のみで、また、因子 の解釈が困難であることから、因子負荷量の小さい1項目:Q1「退 院後、どのくらい自宅で療養して、いつから学校へ行くことができ るのか」を削除して、スクリープロット(fig2・3)を参照し、因子数を 3に設定し再び因子分析を行った。なお、欠損値はペアで削除した。. 3因子解において、共通性が著しく低い項目は認められず、因子パ. ターンを検討した結果、この3因子解を採用した(table2・5) (table2−6) (table2・7)。. fig2−3因子のスクリープロット 因子のスクリーフ。ロット 10. 8 6 4 ∩乙 0. 固有値. 1234567891011121314151617181920 因子の番号. 17.
(23) table2−5説明された分散の合計 初期の. 因子. 有値 合計. 1 2 3 4 5 6 7 8 9. 7.45. 回転後の負荷量平方. 抽出後の負荷量平. (a). 和. 分散 %. 39.19. 合計. 累積% 39.19. 6.96. 分散の% 36.63. 累積%. 計. 36.63. 5.90. 1.88. 9.87. 49.06. 1.45. 7.64. 44.28. 5.74. 1.41. 7.42. 56.49. 0.96. 5.05. 49.33. 3.79. 0.99. 5.22. 61.71. 0.97. 5.12. 66.83. 0.81. 4.25. 71.08. 0.69. 3.61. 74.69. 0.67. 3.52. 78.22. 0.61. 3.24. 81.45. 10. 0.54. 2.84. 84.29. 11. 0.50. 2.62. 86.91. 12. 0.47. 2.46. 89.37. 13. 0.45. 2.39. 91.75. 14. 0.37. 1.97. 93.73. 15. 0.32. 1.67. 95.40. 16. 0.27. 1.44. 96.84. 17. 0.24. 1.29. 98.12. 18. 0.20. 1.05. 99.17. 19. 0.16. 0.83. 100.00. 18.
(24) table2−6 information neeasの因子パターン行列(プロマックス 回転後)及び因子相関行列 因子負荷量. 因子. 1 Q7治療 Q5治療 Q6治療 Q8検査. 2. 3. 1.01. 一〇.15. 一〇.05. 0.フ6. 一〇.07. 一〇.04. 0.75. 一〇.09. 0.09. 0.71. 0.07. Q18病気. 0.59. 0.30. Q4生活 Q9検査. 0.54. 0.10. 0.01. 0.48. 0.17. 0.16. Q12生活. 0.29. 0.23. 0.10. Q3心理 Q2心理 Q20病気. 一〇.12. 一〇.05. 0.87. 一〇.05. 一〇.13. 0.73. 一〇.04. 0.68. 一〇.07. 0.15. Q17病気. 0.00. 一〇.06. 0.62. 0.10. Q19心理 Q11生活. 0.22. 0.50. 0.10. 0.44. 0.04. Q13病気. 0.08. 0.40. 0.22. Q14学校. 0.04. 一〇。03. 一〇.14. 0.87. 一〇.08. 0.82. Q16学校. 一〇.02. Q15学校. 一〇.02. 0.23. 0.58. Q10学校. 一〇.03. 0.22. 0.42. 因子間相関. 因子1. 1.00. 0.67. 0.43. 因子2 因子3. 0.67. 1.00. 0.50. 0.43. 0.50. 1.00. 因子1 因子寄与. 6.91. 寄与率%. 36.63. 累積寄与. 36.63. 因子2 因子3 1.45. 0.96. 7.64. 5.05. 44.28. 19. 49.33.
(25) table2-7. I. f tc J:. 6f. l f !i. o. c ,.
(26) table2・8各因子の下位項目 第1因子の下位項目. 因子 MEAN/SD 医療. 3.15(0.52). 下位項目 Q71飲んでいる薬はどんな効き目があるのか Q5:なぜ薬を飲まなくてはいけないのか. Q61いつになったら薬を飲まなくてもいいのか. Q8:血液検査の結果はどんな意味があるのか Q18;あなたの病気の状態について. Q41なぜ入院するのか. Q9:なぜ採尿するのか. Q12:どのくらいの期間入院するのか. 第2因子の下位項目 因子 MEAN/SD 心理・生活. 2.94(0。58). 下位項目 Q3:どのようにすれば心配な気持ちが軽くなるのか Q2:なかなかねむれない時にぐっすりねむれるこつ. Q20:進路を考える時、病気がどのように影響するか Q17:同じような病気の子供がどのように生活しているか. Q19:病気のことで相談できる人 Q11:いつ、風呂やシャワーをすることができるのか. Q13:運動制限があることを友達にわかってもらえるように説明する方法. 第3因子の下位項目. 因子 MEAN/SD 社会(学校) 2.6(0,63). 復帰. 下位項目. Q14:参加できなかった学校の行事の様子 Q16:入院時、自分のクラスはどんな様子か. Q15:入院時、学校ではどんな勉強をしているのか. Q10:入院時、学校の友達はどんな遊びをしているのか. 21.
(27) (5) 因子の解釈と命名. 第1因子は8項目となり、因子寄与は6.91,寄与率は36.63%で因 子の負荷は高かった。項目は、r飲んでいる薬はどんな効き目がある のか」・「なぜ薬を飲まなくてはいけないのか」・「いつになった ら薬を飲まなくてもいいのか」・「血液検査の結果はどんな意味が あるのかj・rあなたの病気の状態」・rなぜ入院するのか」 rな ぜ採尿するのか」 「どのくらいの期間入院するのか」であり、検査 や治療など医療に関する内容が多く、 「医療に対して知っておくこ とが大切だと感じる情報充足度」(以下医療)と命名した。 第2因子は7項目で、因子寄与は1.45 寄与率は7.64%となった。. 項目はrどのようにすれば心配な気持ちが軽くなるのか」・rなか なかねむれない時にぐっすりねむれるこつ」・「進路を考える時、 病気がどのように影響するか」・「同じような病気の子供がどのよ うに生活しているか」・「病気のことで相談できる人」・「いつ、 風呂やシャワーをすることができるのか」・「運動制限があること を友達にわかってもらえるように説明する方法」であり、心理的な 事項や生活に関する内容が多く、 「病気が自分に与える影響につい て、知っておくことが大切だと感じる情報充足度」(以下心理・生活) と命名した。. 第3因子は、4項目で、因子寄与は0.96、寄与率は5.05%となっ た。項目は、 「参加できなかった学校の行事の様子」 r入院時、自. 分のクラスはどんな様子か」・r入院時、学校ではどんな勉強をし ているのか」・「入院時、学校の友達はどんな遊びをしているのかj であり、すべて、学校に関係する内容の項目であった。その結果、 「社会(学校)復帰のために、知っておくことが大切だと感じる情報 充足度」 (以下社会〈学校〉復帰)と命名した。. 以上のように、慢性疾患児のinformationneedsの因子は、 第1因子 「医療に対して知っておくことが大切だと感じる情報充 足度」(医療). 第2因子 r病気が自分に与える影響について、知っておくことが 大切だと感じる情報充足度」(心理・生活) 第3因子 r社会(学校)復帰のために、知っておくことが大切だと 感じる情報充足度(社会〈学校〉復帰)」 の3因子の構成となった。 各因子の下位項目はtable2・8に示す。. 22.
(28) 第1因子と第2因子の因子間相関は、0・67、第1因子と第3因子は 0.43、第2因子と第3因子は0・50であった。(table2−6) (6) 信頼性・内的一貫性の検討. 信頼性、特に内的一貫性の検討には、Cronbachのα係数を指標 とした。Cronbachのα係数は、第1因子が0.89、第2因子0.83、 第3因子0.79となり、各因子の内的一貫性は高い水準を示した. 4 考察. (1)記述統計の結果. 共通質問全20問に対して、needs得点の平均値・SD・歪度・尖 度を算出した結果、明らかに偏りがあるとみられる項目は認められ なかった。needs得点の歪度はほとんどが一を示し、得点が右上が りであることから情報が必要であり、また情報を欲している傾向が ある可能性が示された。. (2) 質問項目間の相関. 質問紙の質問項目相互間の相関を算出した。Pearsonの相関係数 にて相関係数0.70以上の高い相関を示す項目の組み合わせは認め られず、よってこれらの項目の冗長性は低いと判断した。最も高い 相関を示した項目はQ7「飲んでいる薬はどんな効き目があるのか」 とQ8の「血液検査の結果はどんな意味があるのか」の2項で、 Pearsonの相関係数は0.687であったが、これは薬剤の効果・血液 検査の結果の意味はどちらもそれぞれ薬剤・血液検査の一般的な知 識であり、知的探究心の強さと関連しているとの推測も可能である が、この結果の明白な理由を見出すことはできなかった。 (3) 欠損値(無回答)について. 欠損値10%以上の質問項目は、1項目であり、この項目はQ6「い つになったら薬を飲まなくてもいいのか」という項目(10.3% n =13)である。この項目において無回答が多かった理由として、質 問紙にあった回答者のコメントより服薬は、疾患や症状の違いよっ て、有無があるためので、疾患別の質問紙を作成する際には、特に. 23.
(29) 検討をしなければならない項目と判断した。 (4) 因子分析. 共通質問全20問のinformationneedsを対象に、主因子法・プロ マックス回転で因子分析を行ったところ、3因子が抽出された。こ の3因子は、 「病気が自分に与える影響について、知っておくこと が大切だと感じる情報充足度」(医療)・「病気が自分に与える影響. について、知っておくことが大切だと感じる情報充足度」 (心理・生活)・r社会(学校)復帰のために、知っておくことが大切 だと感じる情報充足度」(社会〈学校〉復帰)と命名した。. informationneedsの先行研究においては、Phyllis.MLevenson, (1983)らの思春期のがん患者を対象とした研究では、全30項目で. 11の因子が抽出されている。因子名は「Physicalappearance」 「CuHent treatment concems」「Nonspecific c&ncer information」 「Future outlook」「Teenage id.entific&tion」「Use ofme(lication」. などがあげられており、因子の解釈・命名が仔細で具体的であった。 また、退院患者用のThe Patient Leaming Needs Scale(以下、. PLNS)では、50項目で7因子を抽出、因子名は「medications」 「activities of living」 「feeling relate(l to con(lition」 「enhancing. qualityoflife」などであった。 本研究の第1因子「医療に対して知っておくことが大切だと感じ る情報充足度」(医療)では、PLNSの「medications」に相当し、 Derdiarian(1987)の「categoryofdiseaseconcerns」などにもあ げられるように他の先行研究においても、医療を中心とした領域が 設けられている。よって、第1因子の命名・解釈は妥当であると思 われる。. 第2因子r病気が自分に与える影響について、知っておくことが 大切だと感じる情報充足度」(心理・生活)のついては、PL:NSの. 「Activitiesofliving」や「Feelingrelatedtocondition」 rEnhancingqualityoflifejの因子を包含した内容であり、また、 Derdねrianの「categoryofpersonalconcems」「categoryofsocial concems」に相当すると思われる。 第3因子「社会(学校)復帰のために、知っておくことが大切だと 感じる情報充足度」は、PLNSでの、「Communityandfollow−up」 に相当すると思われる。PLNSは、退院する患者を対象として、患. 24.
(30) 者が病気の自己管理を行うことができるように援助することを目的 として開発された尺度である。本研究においては、対象が学齢期に 入院経験がある患者と定めており、患児たちの社会復帰として、学 校復帰を重要なfactorと考慮し、質問紙を作成した。実際に、患児 たちの学校復帰または、通院しながら学校生活を送る面で、多くの 問題が生起しており(石戸谷・赤塚1995),患児のQOLを考える上で 今後の重要な課題になるものである。そのような点でも、この因子 について検討することは、本研究をすすめる上で大きな意義がある ものと考える。. 因子分析においては、結果的には3因子が明瞭に抽出されている が、因子負荷量をみると、1.0以上を有している項目があり、また、 累積寄与率が49.33%と低い割合になっている。また、因子間相関に おいても第1因子と第2因子の相関が0・67と高く、項目によっても かなりの相関度の違いがみられる(table2−7)。これらのことより、. 今後は項目数の追加とサンプルサイズを大きくし、サンプルの属性 を考慮して再検討する必要があると思われる。 (5) 尺度試案の作成. 本章の目的は、慢性疾患児のinformationneedsを量的に分析・ 検討する尺度試案を作成し、その信頼性と妥当性を検討するもので あった。プリテストで項目を精選した後、本調査において3因子19 項目からなる慢性疾患児のinformationneeds尺度試案を作成した。 全19項目について、それぞれの因子に対して1項目を除いた18項 目が0.4以上の因子負荷量を有していた。ただ1項目のみ因子負荷 量0.29であった項目12については、この項目を採用した場合と削 除した場合のα係数の差がほとんど見られないことと、項目12の 質問内容が本尺度においては重要な内容であることから判断して 項目12を採用し、全19項目の尺度とした。また、Cronbachのα 係数でも、弟1因子0.89・第2因子0.83、第3因子0。79となり、 本尺度が信頼性を有していることが示された。以上のように本尺度 の作成過程や因子の解釈から、本尺度は内容的妥当性と因子妥当性 を有していると判断した。. 25.
(31) 第3章慢性疾患児のinformationneedsの特徴 第1節informationneedsの分析 1 目的. 第2章で作成した慢性疾患児のinformationneeds尺度試案の回 答結果を用いて、慢性疾患児全体のinformationneedsの把握と疾 患別尺度の可能性を検討するため各疾患のinformationneedsの特 徴を探ることを目的とする。 2 方法. (1) 対象者 対象者は、第2章の本調査と同じ対象者で、患者会に属し、小中 学生時に入院経験のある慢性疾患者とした。 (2) 調査方法. 調査方法も第2章の本調査と同じく、各患者会を経由して、「慢性 疾患児の情報希求度に関する調査」として質問紙調査を実施した。 質問紙は386通配布・138通を回収(35.8%)し、学齢期に入院経. 験のない回答は無効とし、最終的に126通を有効回答とした。分 析対象者は、男性48名(38.1%)女性78名(61.9%),平均年齢28. 9歳(SDニ7.38)である。. (3) 測定尺度. プリテストの結果後、第2章で作成した尺度試案を使用した。 informationneedsの各項目に対しては、r全く大切でない・1点j 「あまり大切でない・2点」「大切・3点」「とても大切・4点」の4 件法で回答を求めた。 (4) 分析方法. 分析に先立ち構成概念妥当性を検討するために、第2章におい. て、共通質問全20項目についてのneeds得点を分析対象とした 因子分析を行い、最終的に3因子を抽出した(累積寄与率49.33%)。 本節では、まず対象者全体のinformation needs得点を算出し、 26.
(32) needs得点の3因子および下位項目19項目の得点を算出した。同 様に3因子19項目を対象に、デモグラフィック変数との関係につ いて分析を行った。次に各疾患にinformation needsの特徴があ るか否かを検討するために、疾患別の分析を行った。疾患別の分 析においては、疾患別の尺度作成の可能性を踏まえて、第2章で 採用した共通質問19項目を対象とした統計量による検討と共通 質間20問・選択質問7問、全27問を分析対象とした欠損値分析 を行った。なお、分析にはSPSS11.5J for Windowsを使用した。 3 結果. (1) 対象者全体のinformationneeds得点. 対象者全体のinfomationneeds得点の平均は、table3−1が示す ように 2.90(SD:0.58)で、最も平均が高かった因子はr医療に対し. て知っておくことが大切だと感じる情報充足度」(以下医療)3.15 で、次いで「病気が自分に与える影響について、知っておくことが 大切だと感じる情報充足度」(以下心理・生活)2.94、r社会(学校). への復帰のために、知っておくことが大切だと感じる情報充足度」 (以下社会(学校)復帰)が2.6であった。. needs得点の高かった因子「医療」においての下位項目は、table3−. 2に示すようにQ18rあなたの病気の状態」・Q4rなぜ入院するの か」・Q5rなぜ薬をのまなくてはいけないのか」などがそれぞれ、 3.26、3.24、3.22と高い得点を示し、特にQ18「あなたの病気の状 態」は、対象者全体の全下位項目の中でも最も高い得点を示すもの であった。また、「医療」因子で、最も得点が低かった項目は、Q9 「なぜ採尿をするのか」という項目で、得点は2.93であった。 「心理・生活」の因子では、Q20「進路を考える時、病気がどの ように影響するか」・Q3「どのようにすれば心配な気持ちが軽くな るのか」・Q19「病気のことで相談できる人」の下位項目の得点が高 く、3.19、3.09、3.08という結果になった。対して、Q2「なかなか 眠れない時にぐっすり眠れるこつ」2.72とQll rいつ、風呂やシャ ワーをすることができるか」2.79が低い得点を示した。 第3因子であるr社会(学校)復帰」は、因子毎でも最も得点が低 く、特に、Qlo「入院時、学校の友達はどんな遊びをしているのか」 は2.37で、全下位項目の中で最も得点が低い項目であった。 27.
(33) table3・1 対象者全体の因子毎のMEANとSD. MEAN. SD. 医療. 3.15. 0.52. 心理・生活. 2.94. 0.58. 社会(学校)復帰. 2.60. 0.63. 全体. 2.90. 0.58. 因子名. table3・2慢性疾患児のinformation needsを構成する3因子と下位項目の得点 繍糞獺醸はMEANより高い項目 第1因子:医療に対して知っておくことが大切だと感じる情報充足度. 因子 MEAN(SD) 下位項目 MEAN(SD) 医療. 3.15(0.52). Q4:なぜ天院該るのか. 3,24(0.68). Q5:なぜ薬を飲まなくてはいけないのか. 3.22(0.63). Q61いつになったら薬を飲まなくてもいいのか. 3.06(0.76). Q7;飲んでいる薬はどんな効き目があるのか. 3.16(0.70). Q8:血液検査の結果はどんな意味があるのか. 3.04(0.72). Q9:なぜ採尿するのか. 2,93(0。74). Q121ピのくらいの期間入院するのか. 3.18(0.ア1). Q18:あなたの病気の状態. 3.26(0層75). 第2因子=病気が自分に与える影響について、知っておくことが大切だと感じる情報充足度. 因子 MEAN(SD) 下位項目 心理・生活. 2.94(0,58). Q2:なかなかねむれない時にぐっすりねむれるこつ. 2.72(0。92). Q3:どのようにすれば心配な気持ちが軽くなるのか. 3.09(0.87). Q11:いつ、風呂やシャワーをすることができるのか. 2.79(0.70). Q131運動制限があるこどを友達にわかってもらえるようi. 2.97(0。88). に説明する方法 Q17:同じような病気の子供がどのように生活しているか. 2.83(0.85). Q19:病気のこと寮相談できる人. 3.08(0.76). Q20:進路を考える時病気がどの漢うに影響するか. 3.19(0.81). 第3因子:社会(学校)への復帰のために、知っておくことが大切だと感じる情報充足度. 因子 MEAN(SD) 下位項目 社会(学校)復帰 2.6(0.63). Q10:入院時、学校の友達はどんな遊びをしているか. 2.37(0.82). Q14:参加できなかった学校の行事の様子. 2.40(0.78). Q151入院時、学校ではどんな勉強をじているのか. 2.92(0.87). Q16:入院時、自分のクラスはどん捻様子が. 2、60(0,84). 28.
(34) (2)慢性疾患児のinformationneeds得点とデモグラフィック変 数との関係 ① 年齢との関係 本研究は、小中学生時の入院経験という後方視的なデータ分析で ある。そのため年齢や年代による差異を検討する必要があり、因子 別 informationneeds得点の年齢別階層(a群:12∼22歳b群:23∼30 歳c群31歳以上)による一元配置分散分析を行った。結果は、needs 得点全因子間で有意差は認められなかった(table3・3)。これによっ. て、患児の情報に対するneedsは年月を経てどの世代においても同 様のneedsがあると思われる。 table3−3. 因子. 各因子毎の年齢階層による比較. 年齢階層 12∼22歳. 23∼30歳. 31歳以上. F値. MEAN SD MEAN SD MEAN SD 医療. 3,22 0.68 3.14 0.52 3.09 0.46 0,447ns. 心理・生活. 2,96 0.63 2.85 0.65 2.98 0.49 0.568ns. 社会(学校)復帰. 2,58 0.70 2.46 0,68 2.70 0.56 1,66 ns. ② 性との関係 因子別informationneeds得点と性別についての検討を行うため、 t検定を実施した。結果は、第2因子「心理・生活」(tニ2.01、df=104 p<0.05),で女性の得点のほうが、男性より有意に高いことが認め られた。他の因子に関しては、男女間に有意差は認められなかった。 (table3・4). 29.
(35) table3−4 因子毎の性別による比較 因子. 医療. 3。11. 心理・生活. 2.79. 社会(学校)復帰. 2.53. t値. 女性. 性別 男性 MEAN. SD. MEAN. SD. 0。52. 3.17. 0,53. 0.624. 3.03. 0.56. 2.01*. 2.64. 0。62. 0.6. 0.67. 0.84. *p<0.05. ③入院回数との関係 因子別inform&tionneeds得点と入院回数についての検討を行 うため、一元配置分散分析を実施した。入院回数を1回・2∼4回・ 5∼9回・10回以上の4群に分けて分析したところ、3因子全てに おいて有意差は認められなかった。(ねble3−5) table3讐5 入院回数 因子. 因子毎の入院回数による比較 1回 2∼4回. MEAN SD. MEAN SD. 5∼9回. 10回以上. MEAN SD. MEAN. F値. SD. 医療. 3,16 0,46 3,15 0.43. 3,10 0.55. 3.25 0.54 0.419 ns. 心理・生活. 2.79 0.64 3.03 0,53. 2.95 0.65. 2.94 . 2.60 0.64 2。66 0.67. 2,63 0.63. 2.47 0,64 0.533 ns. 0,53 0.56ns. 社会(学校). 復帰. (3) 疾患別informationneeds得点の分析. 各疾患の特徴を検討するために、疾患別のneeds得点の分析を実 施した。まず、各疾患の欠損値を算出し、その後因子毎の統計量を. 算出し、それぞれの疾患の特徴を検討する。欠損値の算出は informationneeds尺度試案の中の、informationneedsに関する項 30.
(36) 目である共通質問20問、選択質問7問、計27項目を分析対象と した。欠損値の度数及び出現率は(table3・6)に示す。各疾患のneeds. 得点については第2章において因子分析の対象とした共通質問19 項目を分析対象とし、統計量により検討を行った。(table3・7). ①各疾患の特徴 ■ 腎疾患 腎炎・ネフローゼ症候群に代表される腎疾患は、何らかの原因で腎 臓が侵され正常な機能を果たさなくなる疾患である。腎疾患におい ては、運動制限・食事制限などが病状管理の上で大きな役割を占め ており、長期にわたり自己管理が必要な疾病である。また、ステロ イド剤などの薬物療法による副作用への不安、低身長や肥満などの ボディイメージヘの劣等感、食事制限・運動制限による欲求不満な どから心理的な問題が抱えやすいとされ,医療・教育が連携して支援 していく必要があるとされている(武田2000)。. ■ 膠原病 膠原病を一言で表すと「慢性炎症疾患」であり、小児の膠原病は、. 個々の臓器症が多彩で障害が重症であること、多臓器に病変が及ぶ こと、成人に比べ罹病期間が長いこと、成長期にあたるため肉体的 にも精神的にも特別のケアが必要なこと、薬剤の副作用に小児特有 のものがあり注意が必要であることなどが特徴としてあげられる。 ステロイド剤などの薬物療法による副作用への不安や免疫抑制剤の 使用による感染症には注意が必要とされている。. ロ 1型糖尿病 糖尿病は、脾臓のβ細胞から分泌されるインスリンの分泌不全、 または、その作用の不足によってブドウ糖をカロリーとして細胞内 に取り込むことができなくなる代謝疾患であり、インスリン依存型 とインスリン非依存型に分類される。1型糖尿病は、脾臓のβ細胞 が破壊されて体内でインスリンが生産できなくなり、インスリンを 外部から補給するためインスリン注射を必要とする依存型である。 また、1型糖尿病(IDDM)は、小児期に発症することが多いため小児 糖尿病とも呼ばれている。H型糖尿病は、β細胞の機能はある程度 保たれているが、インスリンの分泌低下やインスリンがうまく作用 31.
(37) されなくなり発症する。生活習慣病のいわゆるr糖尿病」とは、こ のH型のことをいう。糖尿病の管理においては、食事制限をはじめ、 毎日数回の血糖測定や自己注射など日常生活において多くの制限を 有する(高尾1999)。小児に時期においては、合併症を伴うことはほ とんどないが、高血糖による糖尿病性網膜症や糖尿病性腎症などの 合併症に注意しなければならない。このような合併症を防ぐために は自己管理の育成が重要となる(病弱教育Q&A partH)。 ■ 心臓病 心臓病には、生まれつきの先天性心臓病と生まれた後に何らかの 原因で弁や心筋が悪くなる後天性の心臓病、また、成人になってか ら発病することが多い狭心症や心筋梗塞のような虚血性の心臓病が ある。心臓病は生活上の不注意が生命の危険に直結する場合があり 生活管理の基本は運動制限とされている(村上1993)。そのため、 学校生活の中で、最も問題になりやすいのは、体育の時間・運動会・ マラソン大会・遠足などの行事への参加である。. ■ マルファン症候群 マルファン症候群は、骨格・肺・心臓や血管といった多くの器官 に症状が出る遺伝子疾患である。骨格異常では、身長が高いことに 加えて四肢も長く、両腕を広げた長さがさらに身長を上回ることが 多いとされている。また、眼の異常としては水晶体の偏位や近視な どを伴うことが多いとされている。また、この疾患で最も深刻な症 状は、心血管系の異常で、特に若年での突然死の原因となる「大動 脈解離」が起こる可能性が高いことは留意しなければならない点で ある。. ■ 小児がん 小児がんとは、子どもの時期にできる悪性腫瘍の総称であり、そ の種類には白血病・神経芽細胞種・脳腫瘍・悪性リンパ腫などがあ る。昨今、医学のめざましい進歩により小児がんの治癒率は向上し、. 20年前までは不治の病とされていた白血病も7割が治癒する時代 になってきた(谷川ら2000)。このような治療状況の変化に応じて、. 小児がんの子どものケアに携わる者は、身体面のみならず、治療中 の心理面でのケアや、就職・進学・結婚といった社会的側面を踏まえ 32.
(38) たケアを行うことが必要となっている。小児がんは、長期入院とい う大きな環境移行の他、骨髄穿刺や化学療法など多大な苦痛を伴う 検査や治療が多く、副作用や手術によるボディイメージの変化、治 療終了後においても、いわゆる晩期障害(低身長・頭髪が薄くなる・ LDなど)の問題も検討しなければならない疾患である。慢性疾患と して捉えられるようになった小児がんの子どもたちの生活の場は、 病院から家庭・社会へと移行しつつあるが、病気に対する偏見や差 別が存在し、これらが患児の社会復帰を阻害する要因となっており (東山1997),患児QOL向上の支援体制についての指針を検討するこ とが今後の重要な課題であろう。. ② 結果 ■ 腎疾患 腎炎・ネフローゼ群において、10%以上の欠損値のあった項目は、 共通質問ではQ13:「体育の時間j Q14:「学校行事」Q15:「学校で. の勉強」Q16:rクラスの様子」の4項目であった。この4項目はす べて、第3因子の社会(学校)復帰に関する項目である。中でも、Q14 のr学校の行事」に関する項目は13.6%で最も高い出現率を示した。 選択項目では、Q3・Q5以外は高い欠損値の出現率を示し、中でも、 Q1:rリハビリ」は55.1%・Q2:「カテーテル検査」は66.1%とい う数値になった。. 腎疾患群の統計量においては、第1因子「医療」と第3因子「社 会(学校)復帰」は、慢性疾患児全体の平均値より上位の数値を示し た。第2因子は、全体の平均が2.96に対して、2.93という下位の 数値ではあるが、全因子において平均に類した特徴を示している。. これらのことより、腎疾患群の特徴として、「医療」に関する informationneedsが高いことが示唆された。 ■ 膠原病 膠原病群において、10%以上の欠損値のあった項目は、共通質問 では認められなかったが、選択質問において、Q5:rボディイメー. ジの変化」に関する項目以外はすべて、10%以上であった。特に Q1の「リハビリ」に関する項目は70.8%という高い出現率となっ た。膠原病の統計量では、第1因子「医療」・第2因子「心理・生活」・. 第3因子「社会(学校)復帰」の全因子において、高い平均値を示し 33.
(39) た。このことより、膠原病群は全体に高いinformation needsを持 っていることが示唆された。. ■ 1型糖尿病 糖尿病群では10%以上の欠損値のあった項目は、共通項目におい てはQ7:「飲んでいる薬の効き目」Q13:「体育の時間」であった。選. 択質問においては、Q3:「食べることのできる食べ物」以外の項目 は、高い欠損率を示す結果となった。糖尿病の統計量としては、全 因子において、慢性疾患全体の平均値より上位を示すものはなかっ た。. ■ 心臓病 心臓病で10%以上の欠損値のあった項目は、共通項目においては Q5・Q6・Q7の服薬に関する項目と:Qg:「採尿」Q14:「学校の行 事」に関する項目であった。選択質問に関しては、全項目において高 い欠損率を示した。なかでも、Q1:「リハビリ」に関する項目は70% 以上を示した。統計量は、全因子において慢性疾患全体の平均を上 回る数値は認められなかった。. ■ マルファン症候群 マルファン症候群において、10%以上の欠損値のあった項目共通 質問では、Q5・Q6・Q7の服薬に関する項目のみであった。また、 選択質問では全項目において高い欠損率を示した。 マルファン症候群に関する統計量は、第2因子r心理・生活」・第 3因子「社会(学校)復帰」において、全体の平均値より上位の数値 が算出された。. ■ 小児がん 小児がんでは、倫理的な問題により対象者が5名となり、統計的 には不十分な数値となった。しかし、小児がん患児の問題は、医療・ 心理・教育・社会の領域で、それぞれ大きな課題を残しており,本分 析においても、1つの傾向を示す指標として実施した。小児がんに 関する欠損値は、共通項目では、Q2:r眠れない時に眠れるこつ」 Q19:「病気のときにすぐに相談できる人」が40%の欠損率であった。. 選択質問においてはQ6rカテーテル検査」が80%と高い欠損率を 34.
(40) 示した。. 統計量では、第3因子「社会(学校)復帰」に関する因子において、 全体の平均値より上位の数値を示した。. 35.
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