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慢性疾患児のinformationneedsの特徴 第1節informationneedsの分析

1 目的

 第2章で作成した慢性疾患児のinformationneeds尺度試案の回 答結果を用いて、慢性疾患児全体のinformationneedsの把握と疾 患別尺度の可能性を検討するため各疾患のinformationneedsの特 徴を探ることを目的とする。

2 方法

(1) 対象者

 対象者は、第2章の本調査と同じ対象者で、患者会に属し、小中 学生時に入院経験のある慢性疾患者とした。

(2) 調査方法

 調査方法も第2章の本調査と同じく、各患者会を経由して、「慢性 疾患児の情報希求度に関する調査」として質問紙調査を実施した。

質問紙は386通配布・138通を回収(35.8%)し、学齢期に入院経 験のない回答は無効とし、最終的に126通を有効回答とした。分

析対象者は、男性48名(38.1%)女性78名(61.9%),平均年齢28.

9歳(SDニ7.38)である。

(3) 測定尺度

 プリテストの結果後、第2章で作成した尺度試案を使用した。

informationneedsの各項目に対しては、r全く大切でない・1点j

「あまり大切でない・2点」「大切・3点」「とても大切・4点」の4 件法で回答を求めた。

(4) 分析方法

  分析に先立ち構成概念妥当性を検討するために、第2章におい  て、共通質問全20項目についてのneeds得点を分析対象とした

 因子分析を行い、最終的に3因子を抽出した(累積寄与率49.33%)。

 本節では、まず対象者全体のinformation needs得点を算出し、

needs得点の3因子および下位項目19項目の得点を算出した。同 様に3因子19項目を対象に、デモグラフィック変数との関係につ

いて分析を行った。次に各疾患にinformation needsの特徴があ るか否かを検討するために、疾患別の分析を行った。疾患別の分 析においては、疾患別の尺度作成の可能性を踏まえて、第2章で 採用した共通質問19項目を対象とした統計量による検討と共通 質間20問・選択質問7問、全27問を分析対象とした欠損値分析 を行った。なお、分析にはSPSS11.5J for Windowsを使用した。

3 結果

(1) 対象者全体のinformationneeds得点

 対象者全体のinfomationneeds得点の平均は、table3−1が示す ように 2.90(SD:0.58)で、最も平均が高かった因子はr医療に対し て知っておくことが大切だと感じる情報充足度」(以下医療)3.15 で、次いで「病気が自分に与える影響について、知っておくことが 大切だと感じる情報充足度」(以下心理・生活)2.94、r社会(学校)

への復帰のために、知っておくことが大切だと感じる情報充足度」

(以下社会(学校)復帰)が2.6であった。

 needs得点の高かった因子「医療」においての下位項目は、table3−

2に示すようにQ18rあなたの病気の状態」・Q4rなぜ入院するの か」・Q5rなぜ薬をのまなくてはいけないのか」などがそれぞれ、

3.26、3.24、3.22と高い得点を示し、特にQ18「あなたの病気の状 態」は、対象者全体の全下位項目の中でも最も高い得点を示すもの であった。また、「医療」因子で、最も得点が低かった項目は、Q9

「なぜ採尿をするのか」という項目で、得点は2.93であった。

 「心理・生活」の因子では、Q20「進路を考える時、病気がどの ように影響するか」・Q3「どのようにすれば心配な気持ちが軽くな るのか」・Q19「病気のことで相談できる人」の下位項目の得点が高 く、3.19、3.09、3.08という結果になった。対して、Q2「なかなか 眠れない時にぐっすり眠れるこつ」2.72とQll rいつ、風呂やシャ ワーをすることができるか」2.79が低い得点を示した。

 第3因子であるr社会(学校)復帰」は、因子毎でも最も得点が低 く、特に、Qlo「入院時、学校の友達はどんな遊びをしているのか」

は2.37で、全下位項目の中で最も得点が低い項目であった。

table3・1 対象者全体の因子毎のMEANとSD

因子名

MEAN

SD

医療 3.15 0.52

心理・生活 2.94 0.58 社会(学校)復帰 2.60 0.63

全体 2.90 0.58

table3・2慢性疾患児のinformation needsを構成する3因子と下位項目の得点 繍糞獺醸はMEANより高い項目

第1因子:医療に対して知っておくことが大切だと感じる情報充足度

因子    MEAN(SD)    下位項目       MEAN(SD)

医療 3.15(0.52) Q4:なぜ天院該るのか

Q5:なぜ薬を飲まなくてはいけないのか Q61いつになったら薬を飲まなくてもいいのか Q7;飲んでいる薬はどんな効き目があるのか Q8:血液検査の結果はどんな意味があるのか Q9:なぜ採尿するのか

Q121ピのくらいの期間入院するのか Q18:あなたの病気の状態

3,24(0.68)

3.22(0.63)

3.06(0.76)

3.16(0.70)

3.04(0.72)

2,93(0。74)

3.18(0.ア1)

3.26(0層75)

第2因子=病気が自分に与える影響について、知っておくことが大切だと感じる情報充足度 因子    MEAN(SD)   下位項目

心理・生活 2.94(0,58) Q2:なかなかねむれない時にぐっすりねむれるこつ Q3:どのようにすれば心配な気持ちが軽くなるのか Q11:いつ、風呂やシャワーをすることができるのか Q131運動制限があるこどを友達にわかってもらえるようi   に説明する方法

Q17:同じような病気の子供がどのように生活しているか Q19:病気のこと寮相談できる人

Q20:進路を考える時病気がどの漢うに影響するか

2.72(0。92)

3.09(0.87)

2.79(0.70)

2.97(0。88)

2.83(0.85)

3.08(0.76)

3.19(0.81)

第3因子:社会(学校)への復帰のために、知っておくことが大切だと感じる情報充足度 因子      MEAN(SD)  下位項目

社会(学校)復帰 2.6(0.63) Q10:入院時、学校の友達はどんな遊びをしているか Q14:参加できなかった学校の行事の様子

Q151入院時、学校ではどんな勉強をじているのか Q16:入院時、自分のクラスはどん捻様子が

2.37(0.82)

2.40(0.78)

2.92(0.87)

2、60(0,84)

(2)慢性疾患児のinformationneeds得点とデモグラフィック変   数との関係

① 年齢との関係

 本研究は、小中学生時の入院経験という後方視的なデータ分析で ある。そのため年齢や年代による差異を検討する必要があり、因子 別 informationneeds得点の年齢別階層(a群:12〜22歳b群:23〜30 歳c群31歳以上)による一元配置分散分析を行った。結果は、needs 得点全因子間で有意差は認められなかった(table3・3)。これによっ て、患児の情報に対するneedsは年月を経てどの世代においても同 様のneedsがあると思われる。

table3−3 各因子毎の年齢階層による比較

因子 年齢階層 12〜22歳 23〜30歳 31歳以上 F値 MEAN  SD   MEAN  SD   MEAN  SD

医療 心理・生活 社会(学校)復帰

3,22   0.68   3.14   0.52   3.09   0.46  0,447ns

2,96    0.63    2.85    0.65    2.98    0.49   0.568ns 2,58    0.70    2.46    0,68    2.70    0.56   1,66  ns

② 性との関係

 因子別informationneeds得点と性別についての検討を行うため、

t検定を実施した。結果は、第2因子「心理・生活」(tニ2.01、df=104 p<0.05),で女性の得点のほうが、男性より有意に高いことが認め られた。他の因子に関しては、男女間に有意差は認められなかった。

(table3・4)

table3−4

因子

因子毎の性別による比較   性別     男性

MEAN SD

女性

MEAN SD

t値

医療 心理・生活 社会(学校)復帰

3。11

2.79 2.53

0。52

0.6

0.67

3.17 3.03 2.64

0,53 0.56 0。62

0.624 2.01*

0.84

*p<0.05

③入院回数との関係

 因子別inform&tionneeds得点と入院回数についての検討を行 うため、一元配置分散分析を実施した。入院回数を1回・2〜4回・

5〜9回・10回以上の4群に分けて分析したところ、3因子全てに おいて有意差は認められなかった。(ねble3−5)

table3讐5 入院回数 因子

因子毎の入院回数による比較   1回     2〜4回

MEAN SD MEAN  SD

5〜9回

MEAN  SD

10回以上

MEAN SD

F値

医療 3,16  0,46    3,15    0.43 3,10    0.55 3.25    0.54   0.419 ns

心理・生活 2.79  0.64     3.03    0,53 2.95    0.65 2.94    0,53   0.56ns

社会(学校)

復帰

2.60  0.64     2。66    0.67 2,63    0.63 2.47    0,64   0.533 ns

(3) 疾患別informationneeds得点の分析

 各疾患の特徴を検討するために、疾患別のneeds得点の分析を実 施した。まず、各疾患の欠損値を算出し、その後因子毎の統計量を 算出し、それぞれの疾患の特徴を検討する。欠損値の算出は informationneeds尺度試案の中の、informationneedsに関する項

目である共通質問20問、選択質問7問、計27項目を分析対象と

した。欠損値の度数及び出現率は(table3・6)に示す。各疾患のneeds

得点については第2章において因子分析の対象とした共通質問19

項目を分析対象とし、統計量により検討を行った。(table3・7)

①各疾患の特徴

■ 腎疾患

 腎炎・ネフローゼ症候群に代表される腎疾患は、何らかの原因で腎 臓が侵され正常な機能を果たさなくなる疾患である。腎疾患におい ては、運動制限・食事制限などが病状管理の上で大きな役割を占め ており、長期にわたり自己管理が必要な疾病である。また、ステロ イド剤などの薬物療法による副作用への不安、低身長や肥満などの ボディイメージヘの劣等感、食事制限・運動制限による欲求不満な どから心理的な問題が抱えやすいとされ,医療・教育が連携して支援 していく必要があるとされている(武田2000)。

■ 膠原病

 膠原病を一言で表すと「慢性炎症疾患」であり、小児の膠原病は、

個々の臓器症が多彩で障害が重症であること、多臓器に病変が及ぶ こと、成人に比べ罹病期間が長いこと、成長期にあたるため肉体的 にも精神的にも特別のケアが必要なこと、薬剤の副作用に小児特有 のものがあり注意が必要であることなどが特徴としてあげられる。

ステロイド剤などの薬物療法による副作用への不安や免疫抑制剤の 使用による感染症には注意が必要とされている。

ロ 1型糖尿病

 糖尿病は、脾臓のβ細胞から分泌されるインスリンの分泌不全、

または、その作用の不足によってブドウ糖をカロリーとして細胞内 に取り込むことができなくなる代謝疾患であり、インスリン依存型 とインスリン非依存型に分類される。1型糖尿病は、脾臓のβ細胞 が破壊されて体内でインスリンが生産できなくなり、インスリンを 外部から補給するためインスリン注射を必要とする依存型である。

また、1型糖尿病(IDDM)は、小児期に発症することが多いため小児 糖尿病とも呼ばれている。H型糖尿病は、β細胞の機能はある程度 保たれているが、インスリンの分泌低下やインスリンがうまく作用

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