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生徒の力学学習における潜在カリキュラムについて

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(1)平成10年度学位論文 生徒の力学学習における潜在カリキュラムについて. 教科・領域教育専攻 自然系(理科)コース. M97626B. 宮地浩幸. 主任指導教官 指導教官. 廣瀬正美教授.

(2) 目次. 第1章序論. 1. 1・1理科教育の現状. 1. 1・2 1・3 1・4 1・5. 2 3. 中等物理教育における問題 研究の動機 研究の目的 調査結果の簡単な要旨. 第2章調査について 2・1 調査の意図 2・2 事象面接法 2・3 インタビュー・に用いる設問について. 2・3・1 調査用紙 2・4 質問紙法について. 2・4・1調査用紙 2・5 調査の実施(事象面接法) 2・5・1 調査対象 2・5・2 調査時期 2・5・3 調査方法 2・5・4 設問の仕方について 2・5・5.インタビューの例(プロトコル). 第3章調査の結果 3・1力学を既習の生徒についての調査結果 3・1・1 プロトコルの分析 3・1・2 中世の科学観 3・1・3 設問1に対する全体的結果 3・1・4 設問1に対する全体的考察 3・1・5潜在カリキュラム 3・1・6 設問1における潜在カリキュラムの構造図 3・1・7 設問2に対する全体的結果 3・1・8 設問2における潜在カリキュラムの構造図 3・1・9 設問2に対する全体的考察 3・1・10 設問3に対する全体的結果と考察 3・2 力学を未学習の生徒についての調査結果 3・2・1設問1に対する全体的結果 3・2・2 設問1における潜在カリキュラムの構造図 3・2・3 設問1に対する全体的考察 3・2・4 設問2に対する全体的結果 3・2・5 設問2に対する潜在カリキュラムの構造図 3・2・6 設問2に対する全体的考察 3・2・7 設問3に対する全体的結果 3・2・9 設問3における潜在カリキュラムの構造図 3’・2・10 設問3における全体的考察 3・2・11潜在カリキュラムに見られる子どもの科学のパラダイム構造. 3. 4. 5 5. 5 6 7. 8 9 11 11 11. 12 12 13. 14 14 14 19 20 23 24 27 30 36 37 38. 46 46 47 49 49 52 52 53 58 59 59.

(3) 3・3設問4、5について. 61. 3・3・■設問4について全体的結果 3・3・2 設問4に対する全体的考察 3・3・3 設問5について全体的結果 3・4質問紙法について 3・4・1質問1(ボールの投げ上げ)について. 61 61 63. 3・4・2 質問紙法全体に渡っての集計 3・4・3 全体的考察. 第4章教科書について. 65 65 67 67. 70. 4・1教科書の内容について 4・1・1静力学について. 70 70. 4・1・2 動力学について 4・2教科書が子どもの既存概念にどう影響するか?. 72 76 76 77. 4・2・1設問1での例 4・2・2設問2での例 4・3 教科書カリキュラムの構造 4・3・1 ひとつの力の性質について(教科書の内容の検討) 4・3・2 複数の力の相互作用について(教科書の内容の検討) 4・3・3設問1における教科書カリキュラムと潜在カリキュラム 4・3・4 運動と力について(教科書の内容の検討) 4・3・5設問2における教科書カリキュラムと潜在カリキュラム. 第5章総合的考察と提言 5・1結論 5・1・1 子供の科学と教科書の科学のずれ 5・1・2子供の科学における認識の具体的なずれ 5・1・3 子供の科学と教科書の科学の違い(問題の焦点化). 5・2提言 5・2・1子供の潜在カリキュラムに乗る方法 5・2・2 中学校力学内容の見直し 5・2・3衝突問題からの示唆 5・2・4 静的自然観を打破する教材の提案 5・2・5教科書カリキュラムへの提案 5・2・6 補足 5・3 まとめ 5・3・1 中学力学教育における基礎基本をどう捉えるべきか 5・3・2力学教材開発への視点の提案. 77 77 80 83 84 88. 90 90 90 91 94 96 96 96 97 98 99 100 102 102 105. 第6章全体的結論. 107. 補章. 109. 脚注. 111. 参考文献. 112. 謝辞. 113.

(4) 第1章 序論. 1・1 理科教育の現状 私は十数年中学校の理科の教師を続けてきたが、小学校では理科が好きだたという生徒た ちがかなり多いにもかかわらず中学校へ来て理科が嫌いになったという生徒が増える。そし て『先生、ちっとも理科が分からない』と怒りをぶつけてくる。理科の教師として、最もつ らい瞬間であり多いに責任を感じる。理科離れの傾向は私が目にした現実だけに限られたこ とではなく、全国的な問題であるようだ。理科離れが多いのはその授業が面白くないからで ある。もっと子供たちに興味を持たせる工夫をして子供をひきつける授業を心掛けねばなら ない。だからといって子供たちが面白いと思う事ばかりを取り上げるわけにはいかないだろ う。確かに子供中心の授業でなければならないが、子供の興味に任せて子供が感じたように,. 思うままに結果を出させそれをまとめるというのであるならば収拾がつかず、自然科学の求 める客観性とはほど遠いものとなり科学的な思考というのは養われないだろう。子供に伝え. たい事は1つであるがそれを教える教材は沢山ある。それを子供の興味にあわせていかに選 ぶかが難しい。得てして教師の興味が中心になって教材を選びがちだからである。. 教師が面白いと思ってもそれを子供が面白いと感じ、それから教えたい内容を正しく把握 してくれることに必ずしもつながらないからである。ただ単に子供が面白いと思っても、本 質的な内容に対する理解が行われやすくなるとは言い難い。子供は得てして初めて体験する ような内容には飛びつきやすいが現象にだけ興味を持ちそれを深く考えさせると、とたんに 難しさを覚えあきらめてしまう傾向がある。ましてや今の指導要領には『日常生活とのかか わりを重視する』という一文があり彼らにとって平凡なものの中に興味あることを見つけ出 すのはますます難しくなる。. それではどうずればよいのか。真船はその著、理科授業論の中で『理科学習についての本. 質的な興味は教師の援助や指導の下で理科を学習していく中で生まれてこなければならな い』という。つまり興味は教師が呼び覚ますものでありどのような教材を選んでもそれがで. きるのだと主張する。そして多くの教師たちは正しい内容を分かりやすく系統的に1つ1つ 階段を上がるように教えていけば、子供は正しくその内容を理解できると信じている。適切 な教材と正しいカリキュラムがあれば教師の努力次第で理解させる事は十分に可能であると. 思い込んでいる。教えることを可能にする教材は無数にある、しかし教える内容はひとつで. 1.

(5) ある。どの教材を用い、どういうカリキュラムがいいのか子供の立場にたって考えているつ もりであるがやはりそこには教える側の主観があり、教師中心であることが現状である。. 1・2 中等物理教育における問題 中学校理科は大きく1分野、2分野に分けることができる。1分野は物理、化学、2分野 は生物、地学の題材で構成されている。すべて同じ自然科学の範疇に入っても子供たちの受. け入れ方は違う。彼らはよく『2分野は分かるが、1分野はちっとも分からない』という。 実際に試験で評価していくと、確かに彼らの言う通りの結果が出る。2分野の教科は子供に 受けがよく、彼らも理解できたという表情をする。わかるというのが意欲を起こす原因にも なる。教師は子供がわかる授業をしなければならないのである。. ではもう一方の1分野の方に目を向けると物理関係の内容をかなり苦手にする子供が多 い。『力』、『電流』は子供の理科嫌いの象徴とも言うべき内容であるというのは、物理学を大. 学で学んだ私にとっては最も残念なことである。両者とも目に見えずに抽象的で概念がつか. み難くイメージがわき難いというのが共通の特徴ではなかろうか。それに対して2分野の内 容は比較的に実物的であり概念がつかみ易い、また生活体験の中で見たまま感じたままの内. 容と学習する内容が大体一致する。2分野では観察が中心になっていることがその証拠であ る。. ふたたび物理の内容に目を転じてみる。この不利な状況を克服するためにそこにはどのよ うな工夫がなされているだろうか。『電流』を例に取ると代表的な水流モデルなどにより概念. を他のもので具体化しようとするメタファー、アナロジーなどの手法を施し、なるべく実体 論的イメージを高めようとする試みがある。その有効性は認められていてもそこにはやはり 限界がある。. さて私の研究テーマは『力学』を題材にした物理教育についてである。『電流』と同じよう に概念がつかみ難いのは先に述べたとおりである。しかし、『電流』の時もそうであったよう. に『力』というものを教える時にその教材がかなり工夫されている。そのテーマはrいかに して力を見せるか』である。その多くは物体の変形に関したものが多く力が働いていること を示すものであった(例えばニュートン環などがそうである)。しかしここで『電流』の水流. モデルなどと異なる点は水流モデルが直接『電流』に関わったものであり『電流』を代わり のもので具体化しようとする試みがある。これに対する『力』そのものを類似した題材を少 なくとも私は知らない。つまり『力』そのものをどうイメージさせるかは非常に難しい問題 なのである。従って教師たちの大いなる努力にもかかわらずなかなかその成果が表れない。. 2.

(6) それでは、力学の内容がなぜそんなに子供たちに受け入れられにくいのか。教師の方から見 れば、それほど多くの内容が盛り込まれているわけではないし、さほど難しい数学を使うわ けでもない、ましてや『力』という言葉は日常用語として使われるものであり馴染みのない ものではないはずである。また彼らは『力』をいつも体験している。それなのになぜこれほ どまでに分かりにくい内容となっているのか。それを考えなければならない。. 1・3 研究の動機 日常的に、一見常識的ともいえる『力』という言葉、しかしそこには多くの意味での想像 があり、はっきりしない部分がある。特に文学的にも『力』という言葉はよく使われる。『力』. というもの②実態はどのようなものか。本質的にはそれを探ろうとするのが力学の中心課題 ではなかろうか。ニュートン力学はそれをF==maという第二法則で以って定義した。. オズボーンは『教師たちが力と運動についての子供たちの直感的な考え方を知ることが最 も重要である』と述べている。F・・maという式は、はたして子供たちの直感的な考え方とど う食い違いがあるか。どうやらそこら辺に子供たちに力学が受け入れられ難い原因があるか. もしれないと考えることができる。もちろんF=maという式は中学校の力学教育には現れ ないのであるが、その下地はここで形成されるべきである。また本格的な力学学習という点 では中学校理科が最初の舞台である。しかもその中で取り扱う現象は、日常生活において体 験しているので彼らの直感的な考え方が大いに影響する。. 子供たちの力学に関する知識が、教科書で力学を学ぶ前と後でどのような差が出てくるは 興味深いところである。また、『子供中心の』授業展開をしていくためにも、彼らの素朴概念. 1)や直感的な考え方を知る必要がある。我々は今までどうしても教える側を主体とした考え 方で授業を構成してきたことを否めない。こういう状況を打破し,今後の教師生活に大いに 役立てたく『力学に対する子供の概念形成』に付いての研究に取り組むことにした。. 1・4 研究の目的 本研究では子供たちの力学現象に関する直感的な考え方がどのようなものかを明確にする ことが目的である。また、力学を学習する前と後の子供たちを対象にすることで、教科書の 内容がどう彼らの考え方を変容させたかが明らかになる。このことは学校教育の成果がどの ように表われているかのバロメーターともいうべきもので、今後の我々の活動に大いに役に 立つ。. この時に学習後の彼らの内容が大半教科書の内容に近い考え方であれば、従来の教授方式. 3.

(7) を特に変える必要もなく、子供たちの興味を大いに引き出すような教材の開発に努力し、理 科離れを少なくするという、いわば現行のカリキュラムをあまり弄る必要もないという結論 が出る。もちろんここでは子供たちの考え方の基盤になっているものを知りたいわけで、計 算などを含めたテストのように点数を付ける調査をするつもりはない。考え方が分かってい れば実体論的なイメージは形成されていると考えられるからである。. しかしそうでない場合はかなり厳しい現状として受け取らねばならないだろう。特に学習 後の生徒たちの考え方が教科書の内容に近いものでなければ高等学校での物理学へのスムー ズな受け入れがかなり難しくなる。なぜなら、そこではニュートン力学のイメージが捉えら. れないと考えられるからである。そうすればF=maの単なる計算式に頼らざるを得なくな り、結局は完全に数学に依存してしまうことになるのだ。もちろんニュートン方程式を立て るときにイメージがわかないので、どうしょうもなくなるのが先にくるのであるが。 いずれどのような結果が出るにしても、本研究を進めることで力学教育の今後のカリキュ ラムへの示唆が伺えると思うし、また今日よく言われる基礎基本という基準が力学に限って は見えてくるかもしれない。そのことをつかむことができると思われる。. 1・5 調査結果の簡単な要旨 今回の調査により、力学を学習後に教科書の教える考え方に則した、物理現象への理解が 基本的にできているかという疑問に関しては否定的な見解を取らざるを得ないことがわかっ た。. つまり彼らの直感的な考え方である先行知識はかなり根強いものがある。そのことは力学 教育が彼らの中に非常に受け入れられ難いことを示す。もちろん彼らの先行知識は経験主義 的であり、運動を見たままに解釈すれば納得のいくところであり、それは常識とでもいえる ものかもしれない。逆にいうとニュートン力学は生活経験の中では決して確証されることが なく、いわば摩擦力や重力がない理想的な世界での話であるかもしれない。 私は今回のデーターからわかる子供たちの概念、そして子供の科学2)(子供たちが独特に 持っている彼らが意味付けた科学)のパラダイムを考え、何が今、力学教育に重要な問題なの. かを捉え、力学における基礎基本とは何であるか。そしてそれらを踏まえてどのような教材 やカリキュラムを考えれば教科書の科学としての力学を彼らに浸透できるか。可能性のある と考えられることを提案したいと思う。. 4.

(8) 第2章調査について 2・1調査の意図 子供の力学概念に関する直感的な考え方をまず知りたい。現在、中学生の力学教材のカリ. キュラムは、1年次において『力とその表わし方』と題し1つの力そのものの性質を明らか にしょうとする試みがある。. そこでは力の表わし方、力の種類を捉え、力の大きさの基準を重力とし、フックの法則で 定量化しようとする。そういうことを踏まえて3.年次で静力学と動力学を学ぶのである。今 回の調査では静力学および動力学の学習と子供たちの直感的な考え方や先行知識について、 それらの関係を明らかにし、今日、中学校力学教育が抱えている問題に対する解決の糸口を 見つけたい。. 2・2 事象面接法 子供の概念を調べる方法としていくつか有効な手段があることは認知構造の参考書3)を見. れば書いてある。例えば事例面接法、事象面接法、概念地図法などがそれである。私は事象 面接法を参考にした面接法と質問紙法を使って子供たちの概念を知る方法を選択した。その 理由は質問紙法でよく行われるように単にアンケート用紙や問題用紙を介して、会話もなく 子供たちの根底にある知識を知ろうというのは難しいものであり、アンケート用紙などでよ. く行われるいくつかの選択肢から1つないし幾つかを選ばせるというのは、すでにそこで調 査する側が限定したものになっているわけで、主観的な要素が強いといえる。つまり調査し た側の型にはめる傾向が強いと感じたからである。もちろん面接をして、会話として受け取 るのは機械ではなく人間であるから主観的であるわけだが、なるべく子供に先入観を与えず に彼らの内側にある概念を引き出すためには彼らの会話の流れや言葉のニュアンスなども読 み取ることが大切だと考えたからである。. 面接法には事例面接法と事象面接法がある。両者とも特定概念について生徒の理解の実態 を詳しく調べるのに適しているのであるが、前者が特定概念の適用可能な事例を適切に判断 できるかを調べるためのものであるのに対して、事象面接法は現象を説明する能力を問うも のである。オズボーンの著書4)などにある簡単な質問シートを参考にしながら、生徒の理解. の実態をどこまでも追求していった。また子供たちに許可を取って面接の時の会話はすべて テープに録音させてもらった。. 5.

(9) 2・3 インタビューに用いる設問について 今回、事象面接法で調べるものは静力学的内容を1つ、動力学的内容としては、摩擦力の 働く直線運動と放物運動に関するものを1つずっとし、これらは、オズボーンの著書4)など. から参照させてもらった。それが設問1、2、3である。しかし、彼らはこれらを事例面接 法で使っており使用の仕方が多少違う。なぜこの設問を用いたかは、まず第1の条件として 力の掛かる方向と運動の方向が一致しないものを選んだ。その理由は多くの書物5)に『一般. 的に速度の方向に常に力を認めようとする傾向がある』と書かれているからだ。第2の条件 はその設問の内容が、日常生活の中で誰でも経験があること。その経験は直接的であっても、. 間接的であってもよい。そして、その理由は面接していくときに実際に自分が設問に出てく るその人の立場で、より現実的に考えることができるようにするためである。だからもちろ んすべての設問には人がかかわっている。そこには人が与える力が『力』として最も象徴的 だからである。そういう意味で今回の設問は選ばれた。. 放物運動については中学校で学ぶことがない内容であるが、日常的に、例えば野球やサッ カーなどでは体験していることが多く先行知識として彼らの中に概念が形成されている可能 性がある。このような意味での現象について中学校で力学を学ぶことにより、学習の前後で、. その概念形成がどのように変容するかは興味深いことであり,高等学校での物理教育への何 かの示唆を与えてくれることが期待される。. さらに人が力を物体に働かせる場合にも、さまざまな働かせ方をするものを選べばそこに も違いが見られる可能性がある。そこで、r人が押す』、 r人が自転車をこぐ』、 r人がクラブで ボールを打つ』などを選んだ点でもこのシ■一一トを用いた価値がある。. 設問4、5については独自に考えた。設問4については人が『内から外へ力を出す』とい うことに対して子供たちがどのような考え方を持っているかを調べようとしたものである。 『人が出す力』は基本的にすべてのものが感じ取れるものであり、共通な筋肉の緊張の体験. があるはずである。その感覚とでもいうべきものを彼らはどのように『力』という言葉と結 びつけようとするのか。そこにテーマを絞った設問である。. 設問5については,あらかじめ子供たちの経験的な力学の概念の中にアリストテレス的な 考え方が存在していると仮定すれば、速度と力の混同を起こしている傾向が予測される。そ. の解決方法として相対速度を使うことが可能かどうかを調べるために用いた。この設問5に ついてはやや見切り発車的な要素があり、いわばカンとでも言うべき理由で用いたものであ る。. 6.

(10) 2・3・1 調査用紙 設問1 エンジンはかかっていません。人が. D. 自動車を動かそうとしていますが車 は動きません。. θ働車1ごカが動6Dτ61 まヲ『か? 設問2. ブレーキをかけていません。ペタルを こいでいません。だんだんスピードが 落ちていきます。. β、転:車/=カ、が勧6Dτ6Dま プ:か. 設問3. ゴ:ルフ77klr一/b1ごカな働6て61ま銃か9. ゴルフボール o. /. 一一 /一 一1//. 1 iiiilll i. 一一 t. / 7.

(11) 設問4 人が走っています。. この入にカが勧いていますか?. 設問5. B As/vesi£xXteeo’z−fitillilglllllllllllilillli]IIIGilillllllil]illlts’zis lme/v一(fLNg−g一.B?is,,vearkwheclllll−1.1’II−zl:d,rk.,,一cv,s{.d一.. Aさんにカは働いていますか? BさんはAさんから見てどのように見えますか? Bさんにカは勧いていますか?. 8.

(12) 2・4 質問紙法について 今回の調査においては質問紙法も、事象面接法と併用して行ったが、質問紙法は補助的な 要素として捉えている。質問(1)の内容は『ボールの投げ上げについての力の掛かり方』 についてで、これもオズボーンの著書4)などを参考にした。運動の方向と力の方向の関係に ついてどのように考えているか。垂直方向での質問である。もちろんこの質問で重力のイメ ージもどうなのか捉えることができると考えた。質問(2)についてもその意図は質問(1)と同. じであるが水平方向の内容とした。地球上で物体の運動を経験する場合は垂直方向と水平方 向では違っているので、子供たちの考え方も違っていると考えられる。. 質問(3)は重力についての簡単な質問である。教師は重力の性質について、子供たちは常 識的にわかっていると断定して授業を進める傾向がないか。このような疑問がわいたので、 もう1度、彼らの概念を確かめるために用いた。. 2・4・1調査用紙 質問紙法(1). o. ある人がテニスボールを真上に軽く投げ上げています。. ボールにどんな力がかかっているか質問します。. ・もしも、ボールが上に上がっていく途中ならば、ボールにかかっている 力はどちら向きだと思いますか?下の図から選んでください. お. 力がかかっていない. (a). (c). (b) 9.

(13) ・もしも、そのボールがちょうど一番高い所にまで上がった(一瞬ボ ールは止まっている)とすると、ボールにかかっている力はどちら向きだと思いますか?下の 図から選んでください。. お. o 力がかかっていない. (b). (a). (c). ・もしも、そのボールが落ちてくる途中にあるとすると、ボールにかヵ・って いる力はどちら向きだと思いますか。下の図から選んでください。. s 力がかかっていない. (b). (a). (c). 質問紙法(2). 水平で滑らかな床の上をボールが左向きに進んでいます。. 1,このボールに力は働いていますか? (a)はい. (b)いいえ. 2.はいと答えた人は図中に力が働いている方向を図示してく ださい。. 10.

(14) 質問紙法(3). 高い所から落下する物体の速さはどうなりますか?次の中から選んでください。. ①だんだん速くなる ②だんだん遅くなる ③.一定で変化しない. そう思う理由を書いてください。. (. ). AとBは同じ質量の物体で、Bの方がAよりも高い所にあります。 Aにかかる重力とBに かかる重力を比べるとどうなりますか次の中から選んでください。. ①、Aの方が大きい. B. ●. ②、 Bの方が大きい. ③、 どちらも同じ. A. そう思潮由を答えてください。. ● ). (. 2・5 調査の実施(事象面接法). 2・5・1調査対象 今回の調査は佐賀県佐賀郡のある公立中学校の3年生1クラスを対象として行った。静力. 学,動力学の学習は3年次の9月∼11月に行われるので平成9年度の3年生は力学学習後. の平成10年2月号、平成10年度の3年中1クラスは学習前の5月から6月に実施した。 平成9年度3年生(既学習) 平成10年度3年生(未学習) 合計. 男子. 女子. 合計. 18 23. 22. 40 40 80. 17 39. 41. 2・5・2 調査時期 調査時期 平成9年度3年生(既学習) 平成10年度3年生(未学習). 平成10年2月5日∼平成10年2月24日. 平成10年5月25日∼平成10年6月15日 11.

(15) 2・5・3 調査方法 事象面接法については、設問1∼5までのシートを用い、簡単な日常生活の中で体験した. ことのある物理現象について質問していく。インタビュー形式をとるために1人あたり30. 分程度の時間を要するので昼休みに1人、放課後に2人、合計1日3人のインタビューを実 施した。この場合極力、授業や学校行事に迷惑が掛からぬよう、また最大でも5時30分ま でということで担任に許可をもらい行った。インタビューの実施にあたっては個人面接を行 うので教育相談室を貸していただいた。さらに子供たちに了解を得てインタビューの全部を 録音させてもらい,録音したテープを用い、後に詳しく分析する方法をとった。 インタビューをするにあたっては、試験などのように生徒自信の知識を試すものでないこ と、何が正しくて何が間違いなどと指摘するようなものないこと、気軽に自分が思うように 答えてもらいたいことを子供たちに伝え、自由な雰囲気の中で実施した。. 2・5・4設問の仕方について 設問1∼5について、シートに書いてある物理現象のイメージがつかめるように詳しく説 明した後『∼に力は働いていますか?』という発問で始まる。そしてその理由を尋ね『どこ に?』、『どのような働きをする力が?』、『いつ働く?』、『どのようにしてその力はでき. た?』など基本的には5WIHを使って、彼らが考えている力の概念やそれにかかわる運動 (物理現象)の概念を探っていこうと試みた。なるべく生徒に考えてもらい、生徒に多く答え. てもらおうと努力はしたが,こちらが子供の概念がつかめない時は質問を加え、子供の考え. にこちらが納得できたところで次の設問へ行く、また1つの設問について、必ず彼らに力を 図示してくれるよう頼み、その図示されたシート、その図の説明などは彼らの概念の分析に 大いに役立った。. 12.

(16) 2・5・5 インタビューの例(プロトコル) 自転車(既習)男10 質問者 自転車に力は働いていますか?. 働いています。. どうしてそのように考えるのですか?. 車輪が回る力と摩擦力が働いています。. 車輪が回る力はどんな働きをしますか?. 自転車を前に進める力です。. 摩擦力はどんな働きをしますか? 車輪が回る力はどうしてできたのですか? 今はこいでいませんけど?. 生徒. (自転車が)前に進むのを妨げる力です。. 人が(自転車を)こいだ時にできました。. タイヤが回っているから(その力は)働い ています。. その力はいつまで働くのですか?. 自転車が止まるまで働きます。. 自転車のスピードが落ちているのはどうし. (自転車を)こがなかった事により車輪が 回るスピードが遅くなり摩擦の方がだんだ んと車輪が回るスピードより大きくなるか. てですか?. らです。. 車輪が回る力は変化するのですか?. 変化します。. 摩擦力は変化しますか?. 変化しません。. 人が(自転車を)こぐと車輪にどのような 影響を与えるのですか?. 人がこぐと車輪の力を大きくします。. 13.

(17) 第3章 調査の結果 3・1力学を既習の生徒についての調査結果 3・1・1プロトコルの分析 ここではインタビューの幾つかの例をあげて、具体的に彼らの概念を考察した例を提示す る。. (1) 設問1について. 自動車(既習)男10 質問者 自動車に力は働いていますか?. 働いています。. どうしてそう思いますか?. 人が自動車を動かそうとしています。. 人は具体的にどうしているのですか?. 自動車を押しています。. どんな力が自動車に働いていますか?. 自動車を動かないようにする力です。. 図示してください。. 生徒. (自動車の中心から下向きの矢印を引く). これはどんな力ですか?. 重力です。. 他にありませんか?. (人から車へ、またその反対に車から人へ長 さが同じで逆向きの矢印を描く). これが押しているのに対して反作用が働い ています。人が押した力が自動車に働くので はなくその反作用が車に働いています。 この反作用はどうやってできていますか?. 人が押したときにできます。. 反作用と重力は関係がありますか?. 人が押す力より車に掛かる重力が大きいか ら車は動かないのです。. ). まずこの生徒との会話のやり取りであるが、生徒が車に働く力を認めたので、その理由を 問うた。そこで彼が人の押す行為を答えたので、その力について質問をして行こうと思った が彼は重力に目を向けたのである。そして予期せぬ展開になった。 この生徒の考えによれば、まず人の押す力は認めているが、その力は車には働いていない。. ほとんどの子供が認めるように人の押す力が車に働けば車は動かなくてはならないのである。. 車は動いていないので車に人の押す力は効いていない。そこで人の押す力を否定するほかの. 14.

(18) 力が働いていると考えたようだ。私が質問することもなく彼はそのことについて話してくれ ている。それが反作用である。そして反作用が働く理由は車の重力が人の押す力よりも大き いためである。つまり車が動かないので反作用が働くのである。こうした考え方の根拠は、 想像することができる。彼はもともと多くの子供が持つ潜在的な車の重力が人の押す力より も大きいので動かないという考えを持っている。これに教科書の反作用という内容が相互作 用したと考えればっじつまが合う。子供の科学を教科書の科学が強化した例である。. 自動車(既習)男2 生徒. 質問者 自動車に力は働いていますか?. 働いています。. どうしてそう思いますか?. 人が自動車を押しているからです。. どんな風な力がどんな風に働いています. 人が押す力が自動車に働いています。. か?. その力を図示してください。. もしも自動車にこの力が働かなければどう. (人から車へ矢印を描く). 自動車は止まったままです。. なりますか?. 力を加えても自動車は止まったままですね。 それはどうしてですか?. 自動車の重さよりも大きな力が(自動車に) 掛かったら自動車は動き出します。今は自動 車の重さよりも小さい力が掛かっているの で動きません。. 自動車の重さは力ですか?. 力ではありません。. 自動車の重さはどんな働きをするのです. 地面に(自動車を)押さえつける力です。. か?. この生徒の考えは比較的簡単に把握することができる。彼の概念へのアプローチはあらか じめ予測できるために、『人が押しているのになぜ車は動かないのか』ということにポイント. を置き質問を行った。子供の科学の中にある典型的な静力学の概念が形成されている。また 子供特有に力という言葉を2種類の意味で使っている。(最初は重力が力ではないと答え、最 後に力とする). 15.

(19) (2) 設問2について. 自転車(既習)男7 生徒. 質問者 自転車に力は働いていますか?. 働いています。. どうしてそう考えるのですか?. こぐ前までこいでいたのでその力が残って います。. どんな力が働いていますか?. 自転車全体に、前に進む力が掛かっていま す。. 自転車のスピードが落ちているのはどうし. もうこいでいないからその力が小さくなっ. てですか?. ています。. この自転車はやがてどうなりますか?. 止まります. 自転車が止まった時その力はどうなります. なくなってしまいます。. か?. 人がこぐ力と自転車に残っている力の関係 はどうなっていますか?. こいだ時に出来た力はこぐ事によって大き くなります。しかしこいでいないと小さくな っていきます。こぐ力が小さいと一応は進み ます。. 子供の科学が運動方向の力に注目する傾向にある事を考えればその概念が予測できるので 運動方向への要因を尋ねそれがどのようなものかを質問していき、減速の原因である負の要 因を探る方向で進めていった。この生徒は典型的なビス・インプレッサ(次の節で説明する) の概念を持つ。. 自転車(既習)男10 生徒. 質問者 自転車に力は働いていますか?. 働いています。. どうしてそのように考えるのですか?. 車輪が回る力と摩擦力が働いています。. 車輪が回る力はどんな働きをしますか?. 自転車を前に進める力です。. 摩擦力はどんな働きをしますか?. (自転車が)前に進むのを妨げる力です。. 車輪が回る力はどうしてできたのですか?. 人が(自転車を)こいだ時にできました。. 今はこいでいませんけど?. タイヤが回っているから(その力は)働いて います。. 16.

(20) その力はいつまで働くのですか?. 自転車のスピードが落ちているのはどうし てですか?. 自転車が止まるまで働きます。. (自転車を)こがなかった事により車輪が回. るスピードが遅くなり摩擦の方がだんだん と車輪が回るスピードより大きくなるから です。. 車輪が回る力は変化するのですか?. 変化します。. 摩擦力は変化しますか?. 変化しません。. 人が(自転車を)こぐと車輪にどのような影 響を与えるのですか?. 人がこぐと車輪の力を大きくします。. この生徒も中世の科学者の考え方に近い。力が働く理由のところで、進行方向の要因と、. 減速の要因を具体的な力として表現したので、それらに関して具体的な概念を探ろうと質問 を意図していった。動力源は、こがない事によって小さくなっていくので、摩擦によって削 られるという概念ではなく、自然に小さくなる感じであり、ビス・インプレッサである。そ してこれが摩擦力より小さくなった時に減速すると考え、正と負の量的な関係によって力学 を納得しようとする深い考え方を持っていることになる。. (3) 設問3について. ゴルフボール(既習)男10 質問者 ゴルフボールに力は働いていますか?. 力は働いています。. どうしてそう思いますか?. ゴルフボールは進んでいます。. 力を図示してください。. (ボールの進行方向への矢印、進行方向と逆 向きにくる矢印、下向きの矢印を描く). それぞれどういう力ですか?. 進む力、空気抵抗、重力です。. ゴルフボールが進む力はどうしてできたの. 打たれることによってできます。. 生徒. ですか?. 空気抵抗はどうしてできたのですか?. 空気にぶつかって妨げられる力です。. 重力はどうしてできたのですか?. 普通に働きます。. それぞれいっ働きますか?. 打たれた時から前に進力はずっと働きます。 重力はいつも働きます。. ゴルフボールは上がって落ちますがそれは. ゴルフボールは位置エネルギーが最も高く なったところまで前に進力が働きます。. どうしてですか?. 17.

(21) 一番高くなるところまで働いてその後はど. 後は重力だけになって落ちていきます。. うなりますか? 一・. ヤ高いところでなくなるのですか?. この前に進力は変化するのですか?. いやまだあります。. 一番上にいってもまだあります。ボールが止 まるまであります。. 山なりの軌道をボールが描くのを3つの力 で関係づけられますか?. 力は時間とともに変化するのですか?. ボールが進もうとする力が最も高くなった 時に風の抵抗と重力と等しくなります。そし てボールが進もうとする力よりだんだんと 重力と抵抗が大きくなります。 空気抵抗はボールのスピードによって変わ りますが重力は変わりません。. 前に進力は変化しますか?. 変化します。. どこが一番強いですか?. 打った時が一番強いです。. 3次元的な運動になると教科書には出てこないので、子供の潜在的な考えが力学を学ぶこ とによってどのように変容しているのかが分かるはずであるが、この生徒は3つの力を考え ている。考え方の発想はやはり進行方向への力が第一でありその変化を考えるビス・インプ レッサである。質問の方向性はそれぞれの力の性質とボールの軌道の関係をどのように捉え ているかをつかもうと思った。. ゴルフボール(既習)男16 質問者 ゴルフボールに力は働いていますか?. 生徒 働いています。飛ぼうとする力が働いていま す。. 図示してみてください。. (ボーールの進行方向の矢印を描く). 飛ぼうとする力は誰が作ったのですか?. 打った人によって作られました。. 飛ぼうとする力はいつ働いていますか?. 飛んでいる時にずっと働いています。. いつまで働くのですか?. 打たれた瞬間からボールが落ちるまでずっ と働いています。飛んでいる時はずっと働い ています。. どうしてボールは落ちるのですか?. 重力に引き寄せられるからです。. ボールに重力も働いているのですね?. 働いています。(下向きの矢印を描く). 18.

(22) ボールが山なりの軌道を描くのを詳しく説 明してください。. 飛ぼうとする力が重力より大きいと上がり ます。飛ぼうとする力が重力より負けると落 ちます。. 飛ぼうとする力は変化しますか?. だんだん少なくなっていきます。. 最後は飛ぼうとする力はどうなりますか?. なくなってボールは止まります。. 力が働かなければボールはどうなります. ボールは止まったままです。. か?. その時重力は働いていますか?. 働いています。. 重力の働きはどういうものですか?. 下にいこうとします。. 重力と止まっているのは関係ありますか?. わかりません。. やはり進行方向への動力源を考え方であるが、ここでも軌道と力の関係をどう関係づけて いるかを探ろうとした。この時動力源の種類を重力の働きによって見分けようとした(最後 の方の質問)。ニュアンスから考えて、ビス・インプレッサである。. 3・1・2 中世の科学観. 中世における力学の発展は主に2っの面からなされた。1つはアリストテレスの運動の法 則、その一般化ともう1つは放物運動と自由落下運動の領域でなされた。 今日的に見ればアリストテレスの運動法則は摩擦力が大きく左右する条件での物体の運動、 つまり力学的な仕事の考察を基に一般化された経験則であり、摩擦力の少ない放物運動や自 由落下運動にまでこの法則を適用することは無理があった。. そしてその後運動体そのものの中に動力が与えられ、それでもって運動体は運動を持続す るという考え方を発展させ、地上と天体の運動について統一的な理論を展開したのがインペ. トゥス理論6)である。インペトゥス理論を最初に体系的に展開したのは14世紀、パリ大学 の学長ジャン・ビュリダンである。 インペトゥスとは動かすものが運動体そのものに与えた動力(源)である。天体の運動にも. 彼は『天体が永久に等速で回転する運動をしているのは、最初の原動者である神が天球にイ ンペトゥスを刻みつけ天界には抵抗も反対の性質もないのでインペトゥスが減衰しないため である。』とした。. 19.

(23) インペトゥスとは刻み込まれた動力(源)という意味であり、このインペトゥスは摩擦力や 空気抵抗などの負の要因がなければ減衰することはない。また時を同じくしてこれと同じよ うな意味で使われたビス・インプレッサという動力(源)がある。これの意味は『蓄えられた 力』である。ビス・インプレッサもインペトゥスも動力(源)であるが両者の違いはビス・イ. ンプレッサは自然に消滅し、インペトゥスは負の要因がなければ決してなくならないことで ある。. この論文においてこのような意味でこれからインペトゥス、ビス・インプレッサという言 葉を使っていく。. 3・1・3設問1に対する全体的結果 設問1について 既習 (1)車の動きに注目する 車が止まっているので力は働いていない @ (9人). (2)人が押している力を打ち消すものを考. 人が押す力はどうなっているか? 車に吸収される(1人) 車を通りぬける、ぼやける(2人) 自分に戻って来る感じ(3人) どうなっているか分からない(3人) 打ち消す原因は何か?. ヲる 車に力は働いている i人が押す力とそれを打ち消すもの) @ (30人). 反作用(4人) 慣性(車が動こうとしない力)(2人) 車の重さ(量的関係はわからない)(3人) 車の重さ(人が押す力く車の重さ)(12人) 車の重さ(人が押す力=車の重さ)(2人) サイドブレーキ(2人) 摩擦力(人が押す力く摩擦力)(2人). 車特有に持つ動かすために必要な力に達し トいない(3人) 人より車が重い(4人). ※4人は複数回答 表から分かるように大きく分けて2つの考え方がある。この場合に全ての生徒は、人が押 す力は認めるが、車が動かないことによりこれがどうにかなっているという(1)のパター ンと押しても進まないのは押す力の他に何か原因があるだろうとする(2)のパターンであ る。これらを少し考察してみる。. 20.

(24) 子供の思考の考察 (1)車の動きに注目する(車が止まっているので力は働いていない) 人が押している力がどうなっているか?. 人が押している力を認めているが車が動かないことによりそれがどうにかなっていると独 自で考え、力の変化、変形を考えたものである。しかしはっきりとした回答ではなくどうな っているか分からない状態である。. 「わからない」という回答を除けば、「力が吸収される」とか「力が通りぬける」などの独 自の考えを示し、これは物体と力が相互作用して変化するという、力そのものの変化を考え. ている。力そのものが見えないために理科の中で学習する他の現象(例えば生物学的な消化 吸収、物質の溶解における拡散など)などにリンクして考えた結果だと考えることができる。. 「力が自分に戻ってくる」というのは作用反作用の類似で作用反作用の理解の下方に位置付 けられると考えられる。. (2)人が押している力を打ち消すものを考える. この場合も人が押している力を認めるが車が動かない原因があるはずと考え(1)の車の 動きだけに注目したものよりも発達した考え方をしていると考えることが出来る。. 打ち消している原因は何か?. ①サイドブレーキ 人の押す力を打ち消すものとしてサイドブレーキを考えたものは車の機能をブラックボッ クス的に考え、力学的内容でそれを納得しているわけではない。力を加える対象が車になっ ていたために出てきた回答であり、力を打ち消す原因としては最も低次に位置すると考えら れる。全く量的な考えに至っていない。. ②人より車が重い これを回答した生徒は次の様に話した。「お相撲さんと一般の人では、一般の人がお相撲さ んを押せないのと同じ。」この話しで典型的に見られ様に力の大きさが体重に依存するという. 考えを比較的に多くの生徒が持っている。定量的な考え方はしているものの生活の中で感じ たことが優先し、先入観が入っている。車の重さが人の押す力を打ち消すというものの下の 方に位置する考えのようだ。. 21.

(25) ③慣性(車が動こうとしない力)、人の押す力が車特有に持つ動かすために必要な力に 達していない これらは、車固有に持つとどまるための能力という考えに到達したものとして同じものと 考えることが出来るだろう。両者の違いは前者がとどまるための力に押す力が勝っていない と考えるのに対して、後者はそれを回答した生徒の回答に見られる様に『容器の中に水が満 ちる様にその力が従属されていない』と考えることにある様だ、つまり力の性質が異なった ものとして捉えられている。. 前者の考え. 轡 どまるための力. 後者の. 動かすために必要な力(ここではまだ満たっていない). ベクトル的な捉え方という点では前者が上位である。また前者を回答した生徒の一人は『合. 力=0』をベクトル的イメージとして持っていた、量的な考え方をしているが定量的ではな い(測定することがあいまい)。. ④車の重さ 量的な考え方ができない(人が押す力に対する大きさの関係がわからない)生徒は重さが 力ではないと考えむしろ慣性の考え方に近い。量的な考え方として「『押す力く車の重さ』だ. から静止」の考え方が最も多くこれは日常体験から来る最も子供たちにとって納得できる論 理であるということになる。この時にある生徒は車の重力を下向きの矢印で書き込み向き的 な『合力二〇』は無視していることが分かる。そして量的な『合力=0』も考えきれていない。 またある者はそれを矢印で表すこともできなかった。「『押す力=車の重さ』だから静止」は. 量的に正しく捉えている(教科書の内容を)が向きは下向きの矢印、人が押す力と逆向きの 矢印と様々である。. ⑤ 反作用 ベクトル的に『合力=O』を考えた時に到達した考え方だと思われる。この時、反作用は. 22.

(26) 重力によって車(物体)がそこにとどまっているために起こると考えているものが3名であ った。この場合に車が動かない原因は重力であると考えているが、人が押す力とベクトル的 につりあうには下向きの重力ではありえず反作用となるのである。前の車の重さに向き的な 考え方、量的な考え方を加えた高等なものとなっている。. ⑥ 摩擦力 ニュートン的な考え方であるが「『摩擦力〉押す力』だから静止」と向き的な考え方は正し く捉えているが量的な考え方は潜在的な内容になっている。. 3・1・4 設問1に対する全体的考察 全体的に見て『合力=0』を定量的にまた向きを含めた考え方、つまりベクトル的な考え 方として全ての生徒が教科書の内容を正しく当てはめる事がでいていない。そこでまず力の ベクトル的性質、『合力=0』の実体論的イメージをつかませる事が重要課題とされる。もち ろん彼らは、教科書の中の事例にはそれを当てはめることが出来るだろう(子供は教科書の 内容を試験の時とそれ以外の時では区別して使う傾向にある7))しかし指導要領で掲げてい る『日常生活との関わりを重視する』ということを考えた時にこの現状は大きな問題といえ る。. 今回の調奪では『合力=0』についてどのくらい子供の理解があるかと分析したつもりで あるが『人が車を押す』という現象が教科書の『合力=0』と対応できずに、日常生活の経 験やその他の事に多くリンクした傾向がある。別の内容で『合力=0』を調べた場合はこれ と違った結果を生む可能性もある。. しかしはっきりいえることは、教科書の内容が断片的にしか出てこなかったことがショッ. キングなことであり、教科書の内容は適応できずに、その中でしか使うことの出来ないもの になっていることは多いに考えねばならない。『合力=0』は静力学(中学3年の内容)の最 初に出てくるものでほとんどの生徒は簡単に理解できると教師側は考えていたが現実はそう ではない様である。. また、彼らがテストなどの定量的な練習問題が出来たとしても、これはそこだけの評価し か示さず、生徒が得た本当の理解の度合いをつかむ手段とはなり得ないのではないかという. 気がする。教師は部分的に見たいものしか見えないのではないだろうか。またこの調査で生 徒の潜在カリキュラム8)(このことに関しては次の節で詳しく述べる)での段階的な生徒の. 理解の階層をつかむことが出来る。それは教科書の理科(物理)で決して教えている内容で. 23.

(27) はなく全く違ったものであるにもかかわらず分析してみると理解の高等化というものが子供 の中にできている(それはあたかも教科書による学習における成績の差に値するようなもの)。. また教科書のr合力=0』の考え方は子供の科学の柱とはなることが出来ずに、それは子供 にとって諮問的なものであり、その事を考えた生徒が子供の科学をより発達的に考えたもの になっていることは驚くべきことである。これを図に書くと. 図. 子 供 の. 科 学. ぐ. 教科書の科学 (合力=0). ただここで人の押す力と車の重力を考えた生徒がほとんどであり、摩擦力を重力の反作用 (抗力)に関係があるとさらに展開をしてやればニュートン力学的概念への転換ができる方 向性は見える。. 3・1・5潜在カリキュラム 設問1∼3を用い、子供たちとの面接を行い彼らの力学現象における概念を把握していく (プロトコルを分析していくと)と40人の子供のデーターがあるにもかかわらず、それは 40種類ではなくいくつかのグループに分けが出来ることに気づく。またそれらは学校の中 の集団として学んだ力学概念とは全く違う。蛇足ながら、集団学習によって子供の概念があ る方向に集合かされるならば不思議な事ではない。. しかしそうでなく日常生活における体験の中で培われたものが潜在的に子供の中に潜む 知識としてあるならば興味深いことである。だから私はそれを潜在カリキュラムと呼ぼうと. 24.

(28) いうのである。そしてそのカリキュラム的構図をここでは見つけてみようとパズル解き的な ことを試みようと思う。. そこで1っの物理現象を示されたいくつかのグループ化された子供たちの力学概念である がそれらを見ていくとある考えに沿った幹を見つけることができることに気づく。具体的に. 事例を取り上げて説明するのがわかりやすい。例えば設問1に関していえば次のような考え の概念を見つけることができた。この概念は彼らのグループ分けしたものを代表し、再構築 した文章であるが内容に問題はない。. ①車は止まっているので力は働いていない。人が押している力はあるが車は動かないので 効いていない。その時、人が押している力はどうにかなっていると思うがどうなってい るのかよく分からない。(図の中でこれは『力がどうなっているか分からない』に対応す る). ②車は止まっているので力は働いていない。人が押している力はあるが車は動かないので 効いていない。その時、人が押している力は自分にもどって来る感じがする。(図の中で これは『力ははね返ってくる』に対応する). ③人が押しているので車に力は働いているが、車が重いので車は動かない。(図の中でこれ は『車の重さ(量的には分からない)』に対応する。. ④人が押しているので車に力は働いているが、押している力より車の重さが大きいので車 は動かない(図の中で『車の重さ(押す力く車の重さ)』に対応する). ⑤人が押しているので、車に力は働いているが、押している力と車の重さが等しいので車 は動かない(図の中では『車の重さ(押す力=車の重さ)』に対応する). そこでこれらの概念の①、②は極めて近いものである。しかし押している力そのものの何 かわからない、変化があるのではないかと思う部分で共通するが、①は全くそれを想像する ことができず、②はそれを感じてイメージしているのである。. 思考の点からすれば①より②の方が深い考え方であるがニュートン力学の体系から見れ ば共に浅い概念だと価値付けることができる。また発達的な心理状態から考えていけば分か らない部分を②は自分勝手ながら明らかにしている。そしてこのような状態は思考能力が低 い低年齢の時代には誰にでも起こる部分であると考えることができる。 そこで①から②への概念の発達があると考えるのである。③、④、⑤は典型的な例であり. そのパラダイムは同じである。数量的な内容を取り入れまた『合力=0』というニュートン. 25.

(29) 的概念により近づいているのは③より④、④より⑤であるので③、④、⑤への発達が考える ことができるのである。. 子供たちの中心概念つまり最もその考え方が多かった概念は④(全体の30%)であるの でこれを中心にして先に述べた幹(これを潜在カリキュラムと呼びたいのであるが)を考え れば『人が押す力認めるが車が動かないのはなぜだろう』という問題解決をどのようにでき るかと考え、その解決の考え方が合理的でしかもニュートン的概念に類似するものが多いも のをより深い考えだとし、潜在カリキュラムなるものがあると仮定すれば、そして教科書の カリキュラムにおいて様々な理解の度合いの子供たちがいるのと同じようにこの潜在カリキ ュラムにおいても様々な段階の理解の子供たちが確率的に存在するとすれば、それは、まる. で発掘された恐竜の様々な部分の骨を用いて全体の骨格を復元する様に(この場合に10 0%の実物の骨により復元されるわけではないことも類似していると思うが)概念のパズル は解くことができる。そして結果的に見ると、潜在カリキュラムはあると結論付けることが できる。そこでこれからはそのような意味で潜在カリキュラムという言葉を使用する。 前述のようにして潜在カリキュラムの構図は作っていった。①∼⑤は容易にそのつながり を納得できる部分であるがそのようなものばかりではない。少数ではあるが違ったものが出. てくる。ここでは1人でも違う概念が存在する場合にはそれを取り上げ、どこのパーツとし て当てはまるかを試みてみた。1つの例を取り上げて説明してみよう。次のような概念があ った。. ⑥人が押している力があるが人が押す力より車に掛かる重力が大きいので車は動かない。 車は動かないので反作用が働き、その反作用が車に働いている。. この内容だけではニュートン的概念に照らし合わせてみてもその内容がよくつかめない。. ③、④、⑤の線から外れていることは明らかである。そこでこの概念の持ち主が書いた力の 図示(車の中心から下向きの重力、人から車への作用、人から車への反作用)そして⑥から 得られるキーポイントを探すと、『人の力』、『車の重さ』、『反作用』というつながりを考えれ. ば『人が押している力は作用となりその反作用で打 ち消されている』と解釈するすることができる、ま た力がはね返ってくるは反作用の前段階であるわけ だから(壁を押して押し返されるような人の例が教 科書9)にはある)『力がはね返る』、『車の重さ』、. 『反作用』という図式はつながっていく。. 26.

(30) この様にして面接の結果、子供の概念からわかるつながりがあるものは矢印で結んでいく。. 1っでもあれば結んでいく。数が多い少ないを問わずに同じ矢印で結んだ理由は2つある。 1っはデーターをとった対象が少ないために統計的な内容には触れないこと。2つめは恐竜. の骨を復元する例で示したが、今回のデーターは潜在カリキュラムの骨格の100%を占め ているものではないこと。そうであるからこそデーターに現れたものは1つでも書きこむ必 要がある。なぜならこの図の中に出てこないデーターのパーツや矢印はもっと多数存在する と言えるからである。. 設問1と同じようにして設問2、3についても潜在カリキュラムの構図を示すことができ る。その場合どのようにデーターとして出てきた概念のパズルを当てはめるかの基準である が次の様に大まか考えた。. 設問1 進行方向へ動かそうとする力(この場合は人の押す力でありすべてのものが認めている)→ 進行方向へ動かない要因(負の要因)→進行方向へ動かそうとする力と負の要因の数量的関 係. 設問2、3 進行方向の要因(正の要因)→進行方向以外の要因(負の要因)→正の要因と負の要因の量 的関係としての相互作用. 子供の概念が各段階のものを捉えているかどうか、またそれがニュートン的パラダイムに. 近いものかどうかで判断し図式化する。この様にして設問1∼3の潜在カリキュラムの構造 図を作った。. 3・1・6設問1における潜在カリキュラムの構造図 前述のような内容で具体的に設問1に対する構造図を以下にあげる。. 設問1における構造図の見方 設問1は静力学における問題である。この場合すべての生徒は『人が押している力』は認 めている。すべてに共通しているのでこの項目は当然の内容として図には記載していない。. そこで最初の段階であるが『人が車を押している力はあるが車は動いていないのでその力は. 27.

(31) 車に効いていない』と考る。. では『なぜ人が押している力は効かないのか?』これが次の段階になることは先に述べた 通りである。そしてここから構造図には記載した。考え方が幼稚な場合(多分年齢が低い場合 には皆がそう考える時期があると思うが)は単純に人の押す力そのものがどうにかなってい ると考える。全くの初期の段階では『力がどうなっているか分からない』の段階である。こ れが構造図の最も浅いところにある。そしてその力の変化を独自(自分勝手に)に考えようと. する『吸収されると』か『跳ね返ってくる』という考えが生まれる。蛇足ではあるが跳ね返 ってくるは反作用を感じたものであり感覚的な内容からすればこの段階における最終的なも ののようである。. その後の段階では人が押すそのものの変化よりも、人が押す力を打ち消す要因を他のもの に見つける段階へと入る。その負の要因(進行方向への要因を静の要因とする)が『サイドブ. レーキ』や『車の重さ』などになるのである。図の中では完結にするために『人が押す力は あるがそれが効かないのは次のもののためである』という文を省いている。 さらにそれらを量的に意味づけようとする者ほど図では下の方の深い考えになっていて、 それを等号又は不等号で記載している。. なお注意してほしいことは構造図において最も下のほうに直方体に囲まれた概念はニュー トン力学的なものであるがすべての設問に対してこの概念に至った者はいない。. 28.

(32) 設問1における潜在カリキュラムの構造図. 既習 力がどうなっているかわからない. 力が吸収される. 力ははね返ってくる. サイドブレーキ. 人より車が重い. 人が押す力が車特有に持つ、動かすため. ノ必要な力に達していない. 車の重さ i量的内容はわからない). 慣性 摩擦力 車の重さ. i押す力く摩擦力). i押す力く車の重さ). 車の重さ i押す力=車の重さ). ll麟灘…. 反作用. 29.

(33) 3・1・7設問2に対する全体的結果 (1) 進行方向への力を考える(動いているから力は働いている) (16人) そしてこの場合自転車のスピードが遅くなっているのはなぜか考えることになる。. ①進行方向への力は? インペトゥス(4人置. ビス・インプレッサ(10人). 摩擦力(1人) その他(1人). ②減速の原因は? 摩擦力(2人) 人の重さ(2人) 摩擦力(2人) ひとこぎのエネルギー消費(1人) 自然に止まる(6人) 空気の抵抗(1人) 分からない(1人). 子供の思考の考察 進行方向への力はビス・インプレッサの考えが大多数である、またこれは自然に小さくな っていく力であるため、減速の原因は特に考える必要はない。しかし、進行方向への力が自. 然になくなるものではないと考えるならばその負の要因が必要になる。中世の科学と同じよ うにビス・インプレッサからインペトゥスへの高次な転換がなされれば、それを打ち消す摩. 擦力、人の重さが考えられたことになる。そして子供たちの思考は双方を量的な関係で結び つけ運動を納得しようとする深い考えへと発展する。. (1)一1 進行方向の力と減速の原因の量的関係を考える 進行方向の力と減速の原因を考えることができた者は次の高次な段階としてそれらを量的 に捉え、力と運動の関係を考える事が出来るようになる。ここではビスインプレッサ、イン. ペトゥスをまとめて動力源という言葉で考えることにする。動力源と摩擦力の量的関係で力 学を納得したものが3名ありそれらを以下で具体的に考察する。. (1)一1−1 r動力源=摩擦力1で静止(1人) 大前提として、動力源が0でないので自転車は進行している事を考えないといけない。そ うすればこれが意味するところは「動力源=摩擦力」で動力源は0にならなければならない。 設問1(車)のところで考察した様に教科書の内容が子供の科学に諮問的に働くとすれば「動 力源=摩擦力」で静止は教科書の『合力=0』が効いたものである。つまり動力源と摩擦力が. つりあっていることになる。しかしこの場合、摩擦力が0でないので両者が等しくなった時 に双方が消滅すると考えなければならず。矛盾することになる。これを回答した生徒によれ. 30.

(34) ば「インペトゥスー摩擦力」理論であり、摩擦力は一定であると回答した。中世の科学者の. 考えでは、インペトゥスは摩擦力によって削られていくが、それに付け加えてこの生徒の論 では両者が等しくなった時に相殺されるという特異な事態が起こるのである。. (1)一1−2 r動力源く摩擦力」で減速する(1人) 静止のときに動力源が0にならなければならないことを考えると『「動力源=摩擦力」で静. 止』よりも深い考察をしたことになる。摩擦力は動力源と逆向きに一定の大きさで働き動力 源はだんだん小さくなる力なのである。ビス・インプレッサはその性質から自然に小さくな る力であり、インペトゥスは負の要因により小さくなっていく力であるため矛盾は起きない。. これらはまさに中世の科学者達の考えそのものである。これをニュートン的パラダイムで 見なおすと「ビス・インプレッサー摩擦力」理論は、一方は小さくなる力をまた一方は一定 の力を考え、力の性質そのものが違う。「インペトゥスー摩擦力」理論は一方の力が一方の力. を削るという異質な力の関係が生まれている。これを回答した生徒は「ビス・インプレッサ ー摩擦力」理論であり、摩擦力は一定の大きさである。. (1)一1−3 「動力源〉摩擦力」で進行(1人) このの理論では、摩擦力が存在すれば動力源は0とはならない。つまり自転車は止まらな いことになって実際の現象とは矛盾が起こることになる。そこで、この論では『「動力源』摩. 擦力」で静止』という論に暗に含まれることになるのである。この生徒は「ビス・インプレ ッサー摩擦力」理論で摩擦力はだんだん大きくなると答えた。これによれば両者が等しくな った時に相殺しなければならないことを考えると先の生徒の考えよりも特異なものになって いる。. 以上のことを考えると動力源と摩擦力の量的考えは『「動力源く摩擦力」で減速』、『「動力. 源=摩擦力」で静止』の2つになるわけで、特異性がなく中世の科学に全く一致する前者の 方がより高度な考え方と結論付けることが出来る。. これまでのところを図示すると次の構造図の様に表せる。 子供の科学の最も深い考え方『「動力源く摩擦力」で減速』では摩擦力が動力源を削るとい う力の同等でない考え方が起こっている。これはニュートン的パラダイムから見ると速度と. 力の混乱(動力源を速度に置換すればよい)であり、これができれば教科書が意図する概念 へと転換できることになる。. 31.

(35) 構造図. 進行方向に力が働く 一 一. 暉 ・一 一 一 一 一昂 暉■ o●一 ・ 一 一 一 . 一 ・一 ・ 餉■ 一 ,一 〇. 一 ■ . 一 胴 一 昌 一 〇 弓 ■ 一 ● 一 ● 一 ● 一● 一 ● 一 ● o 一 一 一. ■ 一 一 一 昌 鴫 ■ 一 ● 一 , 一 ● 一 ● 一. 摩擦力. 「劉 ビス・インプレッサ l. @. I. i. i宙. l. 一一 一一 .一. インペトゥス. 罵「. 二=:慧二二=二=二一一.一_. ● 一 6− o畠。−〇 一・ 椰 ・一 ・ 一 ■. ………一・一…一・. ¥一・一…一. ゥ然になくな. 読i I. 驕A消費. 人の重さ. I. 一 一 一 “. 摩擦力 一 昌 一 顧 一 鼻 一 昌 一 ■ 一 〇 鱒 ● 一 〇一 ● 一 ●一 ● 一■ 一 ■ 一 甲 一 員 一 ●. 園. . 需 ・ 一 ● 一 ・ 一 ● 一 幽 一 ● 一 ・ 一 . 一 ■ 一 . 一 一 一 ■ ■ ■ 一 一 甲 墨 一 〇 欄 ” 輌 輪 一 ● 顧 . 一 ●. 『動力源=摩擦力』で静止. L圭」. 『動力源く摩擦力』で減速. (2)人が与える力を考える(人がこいでいないので力は働いていない) (17人) この設問においては、人の与える力のみを力とみなす傾向がある。しかしここでも自転車. 32.

(36) が進行している原因と、スピードが遅くなる原因を考える。. ①進行する原因 人がこいだ時の何かが残っている(8人). 慣性(1人) 分からない(7人). ②減速の原因 自然(4人) 人の重さ(1人) こいだ時にできたものが消費される(2人) 分からない(1人) 自然(1人) 人に掛かる空気の抵抗(1人) 自然(5人) 人の重さ(1人). ※回答に不明が1名. (2)一1 進行しているが減速する自転車の現象に対し、力学的な何かを意味付ける 進行力としての動力源を考えた時と同じように進行、減速それぞれの要因についての相互 関係について量的に捉えようとするものである。. (2)一1−1 力学的な考察ができない 進行の原因を考える事が出来ずに、力が加わっていないので自然に止まるとする考えであ り、完全な静的自然観10)(止まっているのが当たり前とする考え方)である。彼らにとって、. これは当たり前の現象であり特に力学ということで議論するのに値しない。これは日常生活 でいう自然に起きる現象なのである。. (2)一1−2 動力源的なものを考える。それらは自然に小さくなるので減速する 人が力を加えていないので力は働いていないが自転車を進行させるような動力源的何かが 存在する。これは彼らにとっては力の男呼には入らないが、その話から性質はビス・インプ レッサである。また慣性により進行しそれが自然になくなるとか、こいだ時にできたものが. 消費されるなども、この類に入れることができる同じものである。動力源を力とみなした生 徒たちと合わせるとかなりの生徒がこの同じ考えに立ち、ここでもまさに静的自然観の基盤 が見え、物体のうちに秘められた力を感じることができる。. (2)一1−3 動力源的なものを考える。それらを打ち消すものが存在する。 人がこいだ時にできた何かが人の重さなどによって、小さくなってなくなる。これはイン ペトゥス的な考え方である。ここでも彼らの考え方は中世のいきおい理論と同じものになっ ている。動力源を力とみなすか否かの違いで概念的ものは同じであることが伺える。. 33.

参照

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