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カルダーの理論と趨勢の問題について

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(1)Title. カルダーの理論と趨勢の問題について. Author(s). 亀畑, 義彦. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. B, 社会科学編, 23(2): 78-88. Issue Date. 1973-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/4380. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . Vo l .23 No,2. lof Hokka ido Uni ion (Sec ion I B) i t Journa t ver s y of Educat. Februa iy,1973. カルダアの理論と趨勢の問題について 亀. 畑. 義. 彦. 北海道教育大学旭川分校経済学教室. Yos ihiko KAMBHATA :. l ica 1 Examination of i The Ana t. 1 1 Theory lnc dor N, Ka uding the Trend s , ,. 序. 第一章 カルダアモデルについて 第二章 カ レッキーの理論とカルダアの理論 との比較. 第三章 循環と成長. 1 , カルダアにおける循環と成長 2 , カル ダアモデルと成長要因の結合 結びにかえて. 序. ) においては, カレッキーの景気循環モ デルについての論述を行なっ た, そこでは, 投資は 前稿1 短期的には, 活動水準 (国民所得) の増加函数であり, 長期的には, 資本蓄積量の減少函数である という投資決定理論を支柱としていた. このカレッキーと同様の投資函数を想定して, 景気循環理 ) 論 を 説 明 し て い る の に カ ル ダ ア の 理 論 が あ る, しか しカ レ ッ キ ー の場 合 に は, 基 本 的 に は, 前 稿2. 第 (4) , 第 (6) 式に示めされたごとく, 所得増大と生産設備増大とのタイ ム・ラ グにもとずいた 景気循環理論であっ たのに対 し, カル ダアの場合は, 投資と貯蓄との均衡の不安定性によるところ の景気循環理論を説明 している, 本稿においては, このカルダアの景気循環理論について述 べ, そ れとカレッキーの理論との比 較検討を行なっ た上, 循環と成長との包摂という面に ついての考察を 行なうことにする, <註> ) 北海道教育大学紀要 第一部 社会科学編, 第二十三巻 第一号 1 1) 「前掲書」. 第一章 1.. カルダア モデル について カル ダアに よ る景 気 循環 モ デル. 本章の目的は, 投資需要関数と乗数との結合作用 が循環を不可避的にす ることを示めすための必 要に して十分な仮定をたてることにある, カ ル ドア の 景 気 循 環 現 論 は, ポ ス ト・ ケイ ソ ジ ア ソの 景 気 循 環 理 論 を 基 礎 に してい る.. ハロ ッ ドおよびヒ ックスの理論が投資需要関数として加速度原理を採用 したのに対して, カルダ. ー 78 -.

(3) . 第 23 巻 第 2 号. 8年2月 昭和4. 北海道教育大学紀要 (第一部B). ァの理論では投資は 活動水準の関数であると考える, カルダアはまず次の ごとき定式を 前 題 に お ) く1 . S = S ぽ). (1). 1= 1 ⑦. (2). 1= S. (3). , (3) 式は乗数 ここで Sは粗貯蓄, 1 は粗投資, Y は粗国民得所をあらわす. ここで第 (1) , (2) 式を第 (3) の基礎的原理を示めし, 第 (2) 式は投資需要関数を示め している, 第 (1) 式に代入すると (4). S m=1⑦. ) となり, その 点を満足する所得水準が均衡点である, ここでも しS僅 ,1⑦ がリニアであると考え るなら, 次の二つの可能性が考えられる,. (i) まず第1図のごとき場合である, この時には 渋 > 畏 および 渋 く 畏 のいずれの場合. に お い て も 乗 離 現 象 が 生 じる こ と か ら, E は 不 安 定 均 衡 状 態 で ある, 従 っ て こ の よ う な 場 合に. は, 常に完全雇用をともなう超. 第 1. 図 1. 工. S. イ ンフ レ ー シ ョ ンに 急 進 す る か. 叉はゼロ の雇用を ともなう完全 崩壊にむかうかすいずれ かであ る, しか しな が ら, こ の よ う な. 可能性は現実の経済においては ) 却下される2 ,. i) 次に第2図の場合を考 (i. える な ら ば, ケイ ン ズ の 雇用 理. 論で意図さ れたものと同じもの. Y. 。 第 2. が 得 られ る, 従 っ て 投 資 サイ ド. 叉は貯蓄サイ ドのいずれかから はじまる擾 乱は, 活動水準 (国. 図. 亨. 民所得) の安定 水準と共に, 新 しい均衡の再達成を導くであろ. )ことか ら, 第1図よりも現 う3 実 的で あ る, しか しこ こ で, 上. i) のいずれ 記 (i) および (i の場合にお いても, もし加速度 原理の作用 を考慮す る な ら ば. 誉 はdY よりも大きくなるこ. とは出来たが, 誓 榊 Yの分. Y. 数以上には決 して大きくなり得. ない. それ故 1, S の函 数 は, そ の す べ て の 範 囲 に お い てリ ニ ア で あ る とい う こ と は 出 来 な い,. ) そ こ で カ ル ダ ア は, 第 3 図 の ごと き 従 っ て, こ の 一 つ の 仮 定 はい ず れ も 却 下 さ れ る こ と に な る4 , - 79 一.

(4) . vo l ・23 NO .2. d id。 Uni i lof 日0l i ion I B) Journa くa t t ver s on (sec y of Bducat. 非 線 型 の 投 資 経 数 を 想 定 す る.. すなわち, 活動水準ないしは国 民所得のよ り低い水準とより高. 第 3. 工. February ,1973. 図. 融く準に れ・て, 暑 は小さく な る 可 能 性 を 考 え る, そ れ は 次. ・. のような 理 由 に も と ず く. ま ず, 活動水準 (国民所得) のよ. エ. り低い水準において余剰能力が. 存在する時, 活動水準 (国民所 得) の上昇は付加建設を引受け ず, 単に余剰能力を稼動させる のみであり, 投資を誘発しない い. 従っ てこの時には利潤の上昇は投資を上昇しない 次に活動水準 (国民所得) の大 き い 時 に , は, コスト上 昇および借入困難のために, 企業がよ り早い拡大を思いとどまるであろうがために ,. 誉 は小さくなる5 ) ・. カルダアによれば 貯蓄関数も叉非線型でありそねま投資関数と 瞬 まわりする. 誓 は活 動く. 準 (国民所得) のより低い水 準およびより高い水 準で相対的に大きい6 ) , 活動水準 (国民所得) が 上昇ると, 物価が賃金に比して相対的に上昇し, 利潤が賃金に比して相対的に大きくなる このよ . うな所得分配の シフトは, 資本家の貯蓄を労働者のそれよりも大きくする かく して総貯蓄は増加 , する. 叉活動水準 (国民所得) が一定水準を下まわれば 労働者の稼得に比 して利潤が急速に低下 , するであろうから, 活動が特定水 準を超えて低下するならば 貯蓄性向は マイ ナスになる このこ , , とは, この領域においては, 国民所得の増大は貯蓄性向を急速に増大させることを意味する それ , 故 誓 は第4図に示めさ れるごとくになる. そしてこれらの函数を第5図のごとくか 諦 嚇 ,せる な らば, こ れ は 乗 数 の 均 衡. 第 4. S ) 化を 示 すものとな ろう7 .. 図 S. A お よ び B 点に お い て は,. それを境に して・≧sのい ずれをとろう とも, もとの. 点に収鰍す るからこの両点 は安定点である. Cについ てはそれが・≧sをとる場 合左右に対 して不安定 であ る. こ こ で 示 さ れ た 1 ⑦,. Smは現存固定設備の総量 を前提としていたた め短期 期をとるならば, 固定設備が時間で変化するであろうから, 1とS曲線はその状態に応 じてシフト する であろう. 1曲線とS曲線とのシフトのしかたは, Yのより高い水準とYのより低い水準とで は こ と な っ た シ フ トの しか た を す る で あ ろ う. そ して そ れ らは 次 の よ う に 示 す こ と が 出 来 る9 ) ,. 一 80 -.

(5) . 第 23 巻 第 2 号. 北海道教育大学紀要(第一部B) 北海道. (i) Yが大きい時には投資水準は高. 昭和4 8年2月. 第. くなり, 投資水準は しだいに増大する, そ してその結果, 資本蓄積の増大と利潤. 可能な投資機会の範囲の制約とか1曲線 をしだいに低下させる傾向を持つ. ここ で新発明があるとそれは投資機会を上昇 させる傾向を持つが, 活動水準 (国民所 得) の上昇につれて最終的には1曲線の o ) 低下傾向が強力となるl . 他方活動水準. (国民所得) が増大し利潤部分の増大に. よる貯蓄性向の上昇の結果第5図におけ るB点は通常, 左方に移動し, Cは右方 に移動する, かくてBとCは相互に接近 する=)(第6図1) .この動向がなお続行. Y 第・6. 図. せられるならば, やがて1曲線とS曲線 と は 接す る (B 十 C), こ の B + C 点の 近傍においては, い ず れ も Bxante l < Exante S であるから , 下方に対して 不安定であり, 活動水準 (国民所得) は A点にいたるまで低下し, A点で安定す るであろう (第6図n) .. i) 次に経済が不況で活動水準が低 (i 下し従っ てYが低い水準にある場合 (例. えば第5図A点での均衡) を考える, こ. の時もしAに対応する投資水準が十分に. 置換をまかなうことが出来ないな らば, ) 2 純投資は負になる1 . このような状態が 経続するならば, やがて投資機会が. 第. しだいに蓄積されてきて投資曲線は. 上方にシフトする‐ そしてこの傾向 は新しい発明によっ て強められるで. 6 図 n ( b. &. あろう, 叉活動水準 (国民所得の低 下) は貯蓄曲線を下方にシフトさせ 3 ) S曲 線が この よう な るで あ ろ う1 ,. 傾向を持つ限り, Aの右方シフトC の左方 シフトが生じ, AとCが相互 4 ) に接近 し1 , ついに両者は接合点で. 均衡する. この均衡点の左右いずれ の局 面 に おい て も 1 > S で あ る か ら, 均衡点を超えたYの増大は上 方. ○. Y. - 81 -.

(6) . l。f 日直・ Journa ion (Sect do University( f Educat i i ) { a on I B). vo l .23 N0 ・2. Februa l ~,1973. への累積的動向をB点にいたるま で続行させる. (第7図1, 口) , それ故曲線はしだいに第5 図 1 5 ) の状態に復帰 して循環運動が反復される . 不況対策と してカルダアは特に公共政策による私的投 第 7. ′◆. 図 1. I. B. I. . r′ . i -〆 -. 1 S. ′ ′/. Y 第 7. 図 頁. 0. Y. 6 ) 資 の 誘 発 を 考 え て い る1 1)) をもとに して第8図を . カ ル ダ ア は こ れ らの 図 式 (第 5, 6 (1, 1. 考える. ここで RR は完全補填投資線である, それ故これは所与の現存資本を不変に維持する投資 水準であるから, 純投資がゼロの点 である. C点は1=Sであると同時に純投資がゼロの状態を示 す, RR がわずかに右上 向きであるのは, 資本存在高の増大によっ てそれだけ更新のために必要な 投資量が増大するためである, 今Kを出発点とするならば, システムがLに達するま で所得と投資. は増大する. それ以後は設備の引き続いた蓄積により, 投資曲線は下方に シフ トしそれはF点にし ・ たるまで続け られる, そ して下方への累積過程はA点まで続け られそこで落着く. ここでの投資は 置換水準よりも小さい. それ故不安定状態Gに システムが達するまで活動は増大する. そして上方 への累積運動はBに落着く まで続け られる, - 82 一.

(7) . 第 23 巻 第 2 号. 北海道教育大学紀要 (第一部B) 第. 8. 昭和4 8年2月. 図. 艦 点)L. く 1. . R. .. 謝≧. L,. Y) 15rY). C. Y. O <註>. ‘ ・ ’ Bconomi l dor lofthe Trade Cycl 1) N. Ka l cノ cJourna , A Mode .1940 .79 ,p ムo c “ . dor i t 2) N, Ka 8 , 0 , p , ,p “ ldor i 3) N. Ka t” .p.80 , op ,c ” ldor i 4) N. Ka t“ .80 ,c , oP ,P ” ’ p 81 i t’ ) N. Kaldor 5 , op ,c , . “ ’ p 81 ldor i 6) N, Ka t’ , op ,c , . ‘ ’ ‘ l d i 7) N, Ka or t’ .82 ,c , op ,p ” ldor i 8) N, Ka t“ .83 ,p , op ,c ” ’ p 83 l dor 9) N. Ka t’ ,ci , op , . ’ ’ l dor三‘op i 10) N, Ka ,88 ,ct ,p ” l dor 11) N. Ka i t“ ,83 , op ,c ,p ” ldor i 12) N・ Ka t“ p . , oP ,c , 85 “ ’ i 13 ) N. Kaldor t’ .85 , op ,c ,p ” ’ p 85 ldor i 14) N. Ka t’ , op ,c , . dor三‘op 15) N. Kal i t“ .c .85 ,p ”o c ’ ’ ldor 16) N, Ka i t .88一89 , p , ,p. 第二章 カ レッ キーの理論とカルダアの理論との比較 両者の類 似点に ついてはカレッ キーもカル ダアも共に投資による乗数効果( 渋 >o)と資本蓄積. 効果による利潤率低下にもとづく投資抑制効果( 渋 くo)と め ことを考慮した没資関数をえ考て いること, および循環と趨勢についてカ レッ キーは, 「景気循環の中から趨勢が発生するような定 ) 式化が 必要である1 」 と考えているのに対し, その実際のモデルは循環と趨勢とを別個 に 考 際 し て, それをかさねあわせる方法をとっ ており, カル ダアにおいては景気循環を純投資がゼロの定常 状態を中心とする一定 範囲内に限定 したことによっ て趨勢の問題をとりあつかうことが 出来なかっ た, それ故カレッキーもカルダアも循環が趨勢を生み出すという 趨勢の内在性をとりあつかうこと - 83 -.

(8) . Vo l .23 No .2. February ,1973. i i l of Hokka ido Uui i Journa t ver s t on I B) on (Sec y of Bducat. が出来なかっ た. すなわち循環と趨勢の分離という点において両者は同 じであっ た, 次に相異点について述べ ると, カレ,キーにおいては, 投資と貯蓄の変 伽. < 誓 なる傾向. を持っ ていた. 故に短期均衡はすべて安定的であっ た. それ故タイ ム・ラグが存在しないな らば,. 暑 く 誓 なる関係から, 所得効果よりも圧倒的に資本蓄積効果が常に大きいために 資本蓄積効. 果を通 して純投資ゼロの定常状態にむかって進み, そこで安定 し, 循環運動は示されないことにな る. 従っ て景気循環が発生するのはタイ ム・ラ グが存在す るか らであり, かつそれが反復せられる のは不規則的衝撃があ るか らである. こ れに対 してカルダアの場合は, 没資関数 滅hD部を境としてs型でぁることu すな才 つち 滞 >. 薯 であるために, タイム・ラグが存在しなくても景気循環が発生しかっ不規 難勺シ が が存在. しなくて も景気循環 が反復する. これがカレッキーとカル ドアの相異点である, しかしこの故をも. っ て カ ル ダ ア が タ イ ム ・ ラ グを 無 視 して い る と い う こ と に は な らな い で あ ろ う. な ぜ な らカ ル ダ ア. のモ デルはS型の投資曲線を とることにより不安定性というものに 景気循環の不可避性を求めたけ れども, その背景に は, 投資による所得効果の方が投資による資本蓄積効果よりも大きい と仮定す. るか らこそS型の投資曲線がえがかれ, 故に不均衡による解が得られるのである, ところがカ レッ キーの場合に は, はじめから投資による所得効果よりも投資による資本蓄積効果の方が大きいこと を仮定しているがために, なだ らかな投資曲線をえかくことが出来るのである. それ故も しカルダ アのモデルに, カレッキーの ごとく所得の適応速度よりも資本設備の変化の速度の方が早いという 仮定を持ち込むな らば, 均衡化の途中で資本設備の変化が発生しめを上下に移動させ, カ レッキー. のえがいたモデルと同 じものになるであろう, すなわち不安定性のいかんにかかわ らず, 前提条件 に よ っ て カ レ ッ キ ー あ る い は カ ル ダ ア 型 の 変 動 を 生 む こ と に な る の で あり, カ ル ダ ア の 循環 理 論 も. ) タイ ム・ ラ グと 無 関 係 で は な い の で あ る, 1 ,. こ の こ と は カ ル ダ ア 理 論 を 拡 大 し た 森 島, 安 井モ デ. ルにおいて明らかである, それらについては後述する. <註>. “ end and Bus der l i ines cJournall968 es Recons ed” s Cyc ecki 1) M. Kal , Economi , Tr 9年 99‐100頁 2) 早川泰正 『経済変動理論への途』 昭2. 第三章. 循環と成長. 1 . カルダア における循環と成長 力ル ダアの純粋な景気 循環モデルにおいては, 趨勢は導入されていない. しかしこれをもっ てカ ル ダアが趨勢を無視 したと考えることは出来ない. むしろ彼の意図は循環的 成長にあっ た, たとえ l には trend はない. それは循 i c Mode ば, 彼 は こ の こ と に つ い て 次 の よ う に 述 べ て い る, 「Stat. ) 叉は経済的成長を仮定する必要はないこ c Chang e 環的存在を考慮するための動的変化 (Dynami とを 示 し て い る, 各 不 況 極 面 は 資 本 Stock を して, 以 前 の ブ ー ムに お い て 拡 大 せ られ た の と ま さ. に同 じ大きさだけ低下するまで続け られる. 他方, ブームの期間にお ける資本の創造は, 不況期間 の純資本減価の何倍にもなる. それ故, 純粋な循環モデルは ブームのくりかえ しがしだいにより高 い生産水準を達成するというもっとも特徴的性質を持つ実際の世界における 循環運動とはほとんど )」. 「そ して 重 要 な こ と は 純 粋 な 循 環 のメ カ ニ ズ ム を そ こ な う こ と な しに, そ の フ レ‐ 似 て い な いi. ) ムワークの仮定の中に 趨勢を導入することが出来るということである」 と2 , しかし第一章と第二 章で述 べたごとく, カルダアは循環 が成長を生み出すことについての厳密なモデル構築はおこなっ てお らず, 景気循環に趨勢を導 入するためには, 単に人口の増加や技術進歩等の外 生的要因を考慮. - 84 -.

(9) . 第 23 巻 第 2 号. 昭和48年2月. 北海道教育大学紀要 (第一部B). ) とすら述 べており, さらには, 「景気循環と経済成長とは両方とも企業者の すればよいのである3 ) l i i t t c 」 とまで述 べている, a 特殊な態度, さ らに云うならば企業者期待の浮薄性 (Vo y) による4 これらの考えは, これまでみてきた彼の景気循環モ デルとは 関係してこない, では彼の循環モ デル にこの成長要因を導 入するな らば, どのようになるであろうか. このことについては次節でとりあ つ か う こ と に す る,. <註>. ” l l i i l i c Journa caIF1uctuat at c Growth and Cyc on“ on of Fconomi 1) N. Kaldor , , The Re , Economi M 【 arch,1954 ,p . Vol ,LX1 ,61 ’ ”op c ’ p 61 ldor i t 2) N. Ka . . . , ’ ldorゞ‘op i t’ 3) N. Ka c ,62 , ,p ’ ” l dor i t’ 4) N. Ka ,70 ,c ,p , op. 2 , カルダア・モデルと成長要因の結合 長期的な要因を一定とした場合, ブームにおける資本蓄積は投資機会を低下させ, 投資関数の下 方へのシフトが発生し, 逆にスランプにおける資本の食いつ ぶしは投資機会を増大させて投資関 数 ) を上方にシフトさせる. これを今, 森島氏にならっ て, 資本の第一効果と名づけることにする1 . 叉, 資本蓄積 が増加 した場合, 国民経済の生産能力は増大し, 従って生産事情はよくなる, それ 故, 一定 の国民所得を生産するのには, より少ない労働量で十分であり, 雇用量は減少する, かく して一定の国民所得の中に占める賃金部分は減少して, 利潤部分は増大するであろう, ところで 一般に, 賃金取得者の貯蓄性向は, 利潤取得者の貯蓄性向よりも小さいか ら, 賃金が減少して利潤. が増大するような所得の再分配は, 社会全体の貯蓄を増大せしめるであろう. 従って国民所得を一 定として資本が増加した場合, 貯蓄曲線は上方に移動するであろう, これを森島氏にならっ て, 資 ) 本の第二効果と名 づけることにする2 , 3 ) 一効果のみを考慮して ダ デ カル アのモ ルは, 資本の第 , 第二効果について考慮しなかった , と こ ろ で, こ れ ま で は ス ム ー ズ な S 型 の. 投資曲線を想定 してきたが, ここでは, 簡 単 化 の た め に, 以 下 の よ う な 折線 の S 型 を. 第. 9 図. 1. d. れ故, 限界投 資性 印 紙 い しかし国民所 得が Y. に な る と, そ れ 以 上 の 国 民 所 得 を. o. i. l. Y. Y2. Y. ー 生産するためには, 国 定 資 本 の不足が生 じ, 限界投資性向 (流動資本十固定資本の) は急激に増大する, そして Y2 に到ると, 国 民 所 得 は, 現存資本量に対して過剰になる G過剰生産) , それ故, 企業は投資を差 しひかえるから, 限 界. ) 投資性向は低下する4 .. 0図) こ 以上のことに資本の第一効果を考慮するならば, 投資の折線は右下方に移動する, (第1 - 85 -.

(10) . Vol .23 No .2. lof Hokkai do Uni i ion (Sect i journa t ver s on IB) y of Educat. February ,1973. の 場 合, 第11図 の よ う な ケ ー ス も 存 在 す る, こ の こ と に つ い て は, 安 井 モ デ ル の と こ ろ で 説 明 す る こと に す る.. 第 10 図. 第 11. 図. Y. まず最初に, 森島モデルを例にとり投 資曲線 が第12図である場合を考える. S o 0 および Y をそ ,1 れぞぞれ出発点における貯蓄曲線, 投資曲線および出発点の国民所得とすれば, この時の経済状況 は a 点 で 示 さ れ る, こ の 点 で は, 投 資 は 貯 蓄 を 上 回 っ て い る か ら, b 点 (l o=So) に い た る ま で 国. 民所得は増大し (Yo ) , そこで経済は均衡する. この状態においては, 投資は減価 償 却 費 の 水 準 (RR) を上まわっ ているか ら, 資本蓄積の結果により, 投資曲線は, 右下方に移動する ( 1 ) ・ .他 第 12 図 5 , ,. 1. -. -. t. Y,. ヤ. Y. 1 ーS し. S」 ~ S・ s5. Y. 方, 基礎 消費の増大の結果, 貯蓄曲線もまた下方に移動する (S ) . , 今, 貯蓄曲線の移動は, 投資 曲線の移動よりも小さいものとするならば, 国民所得が Yo にとどまる限り過剰貯蓄となり, 国民 所得は 1 司様にして, 投資曲線と貯蓄曲線との下方移動により, ・=S , なる点まで 低下する. 以下1 国民所得はそれに見合っ た均衡点を追っ て下落し続ける, C 点は均衡点ではあるが, この近傍にお いては, 低下する投資曲線と貯蓄曲線とのうち, 投資曲線のずれの方が貯蓄曲線のずれよりも大で あるか ら, 時間の経過は投資曲線と貯蓄曲線とを交わ らせず, 従っ て国民所得はd点にいたるまで. 下落し続ける (Y. ) , 均衡dにおける投資 Y, d は, 減価償却水準 RR よりも低いため, 投資機会 が増大し, 投資曲線は左方に移動する. しかしながら, 消費函数の性質から, 貯蓄曲線はあいかわ. らず下方に移動する. それ故, 国民所得が Y. にとどまる限り, 1>Sとなり, 国民所得は, 新し い均衡点にいたるまで上昇する, 以下同じ過程をく りかえすことになる, すなわち, 経 済 の 変 動. - 86 -.

(11) . 第 23 巻 第 2 号. 北海道教育大学紀要(撚一部B). 8年2月 昭和4. は, 単純な変動ではなく, 好景気に, ブームでの国民所得水準は高まり, スランプ毎にスランプの 底での国民所得水準も叉高まっ ていく, このような循環の右方移動をもた らすものが投資曲線の右 方移動と 貯蓄曲線の下方移動であり, 後者の移動は人口増大と生活水準の上昇によるものであり, ) カ ル ダ ア の 立 場 か らす れ ば, 成 長 (趨勢) の要 因 で あ る5 , しか しな が らこ の森 島モ デ ル に お い て. は, 成長要因が増大したとしても, 投資曲線は循環毎に右下方へ移動するから, 経 済の循環的成長 は示されない. 循環的成長が示されるためには, 投資曲線の右上方移動がなければな らない, これ ) で論 じた加速度原理を採用 したグッ ト を実現させるものが, イノ ベーショ ンである. 以前の論文6 ゥイ ンのモデルの中では, それが示されている。 森島モ デルの立場に立ちながら, その構想を異に した安井モデルのねらいもそこに あった, すなわち, 投資関数はグッ トゥイ ンのそれを若干変更し て. 1好F(Y+★ か きK). とおく. ここでY は産出高 (所得) , kは正常な資本集約度,めは現実の産出高に依存せず, イノ ベ ー シ ョ ンに も と づ く 資 本 額, K は現実の資本量,I N は純投資とおく, そして貯蓄函数は, 長期を. と 掴. 2図 却) ◎ -第・ ,Yの変動の ー)ん 帥 かわらず-定であるが,短期をとればYの変動の. が い か ん に よ っ て変 動 す る も の と 考 え る (第13図, S. , S2 ,S3 ,…), そ して 次 の 二 つ の 点 循環 的成 長. 模型の前提条件となる. (1) ≠ の変動は循環内において発生し 投資函数を変化させる. (2) 所得 (Y) が, これまでに到達した最高水準を越えるときは長期貯蓄関数が, 越えない時 は短期貯蓄関数が問題となる.. 第 13 図. 1 s2s. s. Y 以上の仮定からえがき出される安井モデルによる循環的成長経 路は, 投資曲線が右上方に移動す ) ることにより, 循環毎に投資曲線が右上方に移動する7 .. このように して, カルダアおよび森島モデルにおい ては, 人口増大および基礎的消費の増大が成. 長 の要 因 で あ っ た の に 対 して, グ ッ トウイ ソお よ び 安 井 モ デル で は, イ ノ ベ ー シ ョ ンに 成 長 の 要 因. を求め ており, それによる純投資に対する プラスの効果が, 資本蓄積による純投資へ のマイナスの 効果を相殺してなお上まわる場合に, 経済の成長 が可能となる, 従って, 先にみたグッ トゥイ ソの モデル が, 加速度原理を中心として, 純投資を現実の資本量と必要資量の差の関数であると考えた - 87 -.

(12) . vo . ・23 NO .2. lof 日o l dく d。 Uni Journa i i ion (Sect i t a ver s on IB) y 。f Educat. February ,1973. こと, 換言すれば, 過剰能力ない しは過少能力の存在が純投資におよぼす影響というものを考慮し て理論を構成 したということ, それに対 して, カルダア型の安井モデルが, 利潤原理の立場をとっ. たという相異はあっ たに しても, これらのモデルの内容においては, 本質的には変わりはないであ ろ う.. <註> 1 )森島通夫「資本主義経済の変動理論」昭和3 0年 83頁 2) 森島通夫 「前掲書」84頁 3) 森島通夫 「前掲書」86頁 4) 森島通夫 「前掲書」10 3~10 4頁 5) 森島通夫 「前掲書」10 6~10 9頁. 6 )亀畑義彦「投資決定の理論について」北海道教育大学紀要(第一部B) 「社会科学編」第二十二巻第二号 92~100頁 7) 安井琢暦 『均衡分析の基本問題』19 5 5頁. 結びにかえて 本研究は, クライ ンによるケイ ンズ体系の長期化の問題を出発点に求めて, 「循環と成長」 が共 に包摂される理論の構築にいたるまでの過程を, 代表的なポスト・ケイ ソジア ソによっ てなされた 各理論の分析を通して検討 してきた, しかしながら, それ らのことによっ て, 経 済変動の問題がす べて解決されたわけではなく, むしろ, 未解決の問題が一層明確にされてきたということが出 来よ う.. これまでの論稿の中で, しばしば引用され, かつ重要な仮定の一つとしてとりあつかわれてきた. も の の 中 に, シ ュ ム ペ ー タ ー に よ っ て 建 設 さ れ た 理 論 の 一 部 が あ る. シ ュ ム ペ ー タ ー も叉, 循環 と. 趨勢との関係を真正面か らとりあつかっ ている代表的な一人である, しかしながら, シュ ムペータ ーの景気循環理論における接近方法は, これまで述 べてきたポスト・ケイ ソジア ソの 接近方 法とは ま る で 異 な っ て い る, そ の 相 異 に も か か わ らず, こ れ ま で の ポ ス ト ・ ケイ ソジ ア ソの 論 文 の 中 で, シ ュ ム ペ ー タ ー の 考 え 方 が, 折 に ふ れ て 引用 さ れ て き た, で は 一 体, シ ュ ム ペ ー タ ー の 理 論 と は ,. どの よ う な も の な の で あ ろ う か. そ して さ らに, 現 実 の 経 済変 動 の 問 題 へ の 一 層 の ア プ ロ ー チ の た. めに, 顕著な相異を持 つこの一 つの理論を, 相互に融合 しようとすることは, 不可能であろう か . 次 回 は, こ の こ と に つ い て 論 じて み た い.. - 88 一.

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