不法行為法における「胎児の被害法益」 : わが国および英法系諸国の問題状況概観(その二)〔承前〕
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(2) 不法行為故における「胎児の被書法益」. ひとつは興味深-思われる点であり、先例論や法系論研究上の関心を そそるが、この点を論ずる力量と紙幅を筆者は欠-0 そもそも、このレイモン判決は、コモン・ロウのル-ルの下で突然 変異をみせた崎形児であったのか'それとも若干の変質をみせた通常 児であったにすぎないのか。つまり従前の先例的法規範との対比にお いて、本判決の先例的価値をどのように認識しうるか。これが、本ル ヴュイエ.ケースにアプロ-チしようとする筆者のさし当りの視角で ある。 このような視角からみて、おのずから浮かび上がって-る1九三二 年以前の判決例の中で'同じカナダの裁判所において、本ケ-スの十 一年前に存在した一判決が'とりわけ筆者の注意を惹-0 それは、1九二二年のス,,,ス・ケースSmithv・Fox[)923]3D・L・. こと、これが当面の本稿の目的である(i;)。. の対応関係に止目しつつ'両者の先例的法規範命題を認識・確認する. ここでは、カナダにおける、この二つの判決を紹介し、事案と結論. れ自体一個の研究課題たるを失わないであろうと思われる。. 先例的機能において'いわば雲泥の差異をみせているわけであり'そ. 価値においてさほどの大差があるようにも思われない両判決が'その. ないのである。その理由が奈辺にあるかば定かでないが'その先例的. (a). (一). スミス対フォックス事件Smithv.F.x[)923]3D・L・R・785・788. スミス対フォックス事件(Smithv・F.x[)923]). クリオ州高等法院の判決である。詳細は別論とする。. ンチン.ケース等々の準則に依拠して'結局は胎児訴権を認容したオン. ス・ケースやルヴュイユ・ケ-ス'さらには'ダナヒユ-・ケ-スヤピ. 本件は'胎児の母胎内侵普を伴った自動車事故の事案であり、スミ. (ontarioHighCourt}Fraser)]・Feb・28,)972)があるO. ル外対スガン外事件Duvaletal・v・Seguine-al・26D・L・R・(3d・)418. をお'この括目すべき二判決に続-、カナダの判決として、デュヴァ. して、若干のまとめを述べる。. 並びに,伽スミス判事の意見の要約を試み'おわりに、(三)小持と. 臼事実審の陪審に対する説示chargeの(適否の)問題'に分ける卜. 因果関係causalrelationないしその証拠elidenceの(存否の)問題、. その中を、E胎児の権利rightの(有無の)問題、II事故と崎形との. ル判事の意見の要約を試み'次に'(二)モント-オ-ル電鉄対ルヴ. さし当り'まず、(1)スミス対フォックス事件の紹介と、-ッデ. 二四. ただし、注意を要するのは'-ッデル判事によれば、右の未出生. 訴求actiontorecovermoneybywayofdamagesしたものである.. 人が原告となり、相手方フォックスF.xを被告として損書賠償を. borninfant〔ここではこれを「胎児スミス」と呼んでおこう〕の三. 申立てによって、その妻の胎内に入っていると称する未出生子unI. smithとその妻ミニィ・スミスMinnieSmithおよび、彼ら両人の. で起きた自動車事故を原因とし、パーシィ・1・スミスPercyJ・. (ontarioSupremeCourt,Ridde)i,)・Oct・18,1922)は'トロント のルヴュイエ・ケースにおけるレイモン判決で一顧だに与与bれてい. ところが、若干奇異に思われるが'この-ッデル判決は、十一年後. ヴュイエ.ケ-スと対比すれば'きわめて示唆に富むものではある。. よって知られているものであり'その判旨の内容と方向性は'前記ル. 最高裁判所・一九二二年一〇月一<日の言渡の-ツデル判事の判決に. R.785である.哀ス,,'ス・ケ-スは、後述するように、オンタ-オ州. ュイエ事件の紹介.
(3) 子、原告. 「胎児スミスL に関しては'「未出生原告に対する侵奪の. asyetunknovmL. 範囲は今の処(やがてそうではな-なるが)、不明であるthee邑ent. oftheinjurytothe[unborn]infantp)aintiHis. とされている点である。 当オンタ-オ最高裁に繋属する前の裁判所は、中間判決inter・. )ocutoryjudgmentをもって'本件原告らの欝求を認容したものの. ようである。 そこで'被告は'この中間判決を破棄setasideし、かつ、未出 「胎児スミス」 の希求に関する限りその訴求を却下dis・. 生の原告. misstheactioninsofaraStheunbornplaintiHconcernedする裁. 命Orderを求める申立motionをなした。 当審の-ッデルRiddel-判事の摘示によれば、「胎児スミス」. ったものらしく、「当該未出生子を、彼の近友パ-シィ・l・スミ. 原告の1人となっているか否かは、必ずしも書面上に明らかでなか. スを通じて訴求する一原告となす趣意であったことは'その訴訟原. Percy).Smith.」という記述がみられ、まさに. 因の文面において疑義のないところであるnodoubtinthestyleof. byhisnextfriend. の有無が当審の争点であったと思. 訴訟原因causeの適否ではな-'そこから窺知しうる訴権rightof action〔いわゆる訴訟適格か?〕 われる。. Co.of(reland()89)).28L.R.Ir.69の二者を援用していたo. suitofan. クラーク--ンゼルのテキストには'母胎内人身侵奪につき「胎児. 訴権」は認められない旨の'次のような簡単な記述があり'ウォ-. カ-・ケ-スが唯一の先例として引用されているだけであった。. infantwhichwasenvertresam6reatthetimeoftheaccident;J. 一九二二年当時の学説水準の全豹をこの一斑をもって卜し得ない. が、このアイルランドの一ケ-スの著名さには驚かされる。. しかし、注目すべきことに、本審の-ツデル判事は、このウォ-. カー・ケースを本件の先例として単純に承認したわけではない。杏、. むしろ'右り・ケ-スの事案が、本件のそれとは重要な点で異なっ. action. case. not. company. wou)d. ているということを、いみじ-も認識していたのではないかと思わ れる節がある。すなわち'. Sofar.Theretheactionaroseoutofarailwayaccident.andit. waslaidincontract.(twasdecidedthatthe. lieat-hesuitof-heinfan-enventre.sam&re--herewasnoex・. three.for. the. pleSSCOntraCtWiththeinfantandnonecouldbeimp)ied,asthe. fant-itwouldbestartlingtothinkthatwhere. even. contractedtocarryonesafe)y.itwasimplied)ycontractingto carrysafe)y"two.or. a. 被告フォックスは、中間判決の破棄、原告の請求却下を求める上. of. mi)waycompanydidnotknowoftheexistenceofSuchanin・ rAs(pointedoutonthehearing,the(rishcasedoesnotgo 「Anactionforpersona)injuries twins."J(3D.L.R.785). be. が. 訴理由を権威づける典拠aufhorityとして、クラ-ク--ンゼル著 「不法行為論L第七版四五頁C)erkandLindsellon Torts.7thed... p.45ならびに'ウォーカ-・ケ-スWa)kerv,GreatNorthernR, 不法行為故における「胎児の被専法益」. itmight. causeitwasintendedtomaketheunborninfantap)ainti#suing.
(4) 不法行為法における「胎児の被書法益」. 右の-ツデル判事の説明は一見明快である。文中の引用は、 ウォーカー・ケースにおけるオブライエン判事の意見からのもので そこでは主に被告会社のいわゆる運送契約上の契約責任が論議され ているのである0惟うに、-ッデル判事は'本ス,i,ス・ケ-スの先. 「区別. 二六. の典拠であるからして. 至難極まることであるとされているの. c.c.346で、かのコ-ク卿を典拠としてontheauthorityofLerd. cokel即ち、彼の. state. being. cripp)ed結果に民事責任civil. ア.ケ-スで立証されたような暴行assaultなどの有無に注意を. 払わずにおれましょうか?--〟 ・胎児は,生まれたものとみなすconsider方がその利益にな. bornという法準則を論ずるに際し、私〔オブライ. るというような場合には'生まれたものとみなされるis sidered. エン判事〕は、いかなる範囲まで'この法準則が適用されて溜. たものであるかを考究し乍ら'ジョ-ジ対-チャ-ド事件. GeorgeandRichard()871).L・R・3Ad・&Ecc・466,atp・480尼. 訴求陳述の中に開示されていないという事を根拠として判断いた. 反したるが故の責任を被告会社に帰し得るようないかなる事実も'. を、ただlつの根拠、すなわち、乗客の運送人としての義務に違. The. ・私〔オブライエン判事〕は、本ケ-ス〔ウォ-カ.-・ケース〕. 定した〕判断をいたしておりました。″. 関する受権権限を'行使し得ないのではあるが、--という. ある、--もっとも--彼は、その子の出生までは、当該主題に. 請求権を有するに至ったのは'その未出生子の代理人pr邑or. た.フィルモア卿は、(いわゆるキャムプベル卿法に基づ-処e). おける,ロバ-ト・フィルモア卿の言葉を確か花想敵いたしまし. con・. responsibi)ityを課すペ-、出生耶のある行為、たとえば右シニ. うなsaythe. いうならば、〔本件のごとく〕ちんばの状態で生まれたというよ. ではあるが)、何故,同じその法が'、出生後に継起するある結果、. Of. 例たるべ凄ものとして被告フォックスがもち出したウ・ケースを、 少くとも契約責任の観点からみる限りでは、必ずしもびったりした 先例とはみておらず、だからこそ「…the(rishcasedoesnotgoso far.Jと述べたのであろう. しかし'それでは'本ケ-スをウォ-カ-・ケ-スから. distinguisFして'被告の主張を斥け、原告「胎児スミス」の請求 -ツデル判事は、ウォーカ-・ケ-スにおけるもう一人のオブラ そこでは'附随的に'被告会社の不. as. を容れるのかというと、そう単純ではない。. イエン判事(首席)の意見. の事案に非ずとされ、被告の胎児侵奪責任は、不法. 課すべく、出生前のある行為の有無に注意を払うものならば'(こ. 出生後に継起するある結果に刑事責任crimina)responsibi)ityを. 対する個々の不法行為をも包摂しているものであり'かつ'法が、. ころか'更に次のようにさえいわれる。〕日-、 〝もしも公益に対する犯罪行為というものが'その中に個人に. ないなどと判断することを'明らかに差控えておられる。〔それど. circumstancesにおいても'不法行為に基-胎児の訴権が認められ. をも慎重に検討する。即ち、 行為法上も否定された 「--ど-タ-・オプティエン首席裁判官卿は'いかなる事態. パスtrespass. 法行為責任が論議されるが'結局の処、右ケ-スはそもそもトレス. -. のことの立証は、国王対シニア事件Rexv.Senior()832),)Moody. 〔限. -.
(5) します。本件は'-レスパスのケ-スではないのであります。″ 〔と、ピ-タ-・オブライエン判事は述べた。〕 --右のような首席裁判官卿 〔オプティエン判事〕 の、不法行為. 〔例えば、トレスパス〕を包摂する犯罪行為なるものについての見. アメ-カ法の先例についてはすでに三己した(前号一七頁以下). が'-ツデル判事が最初に引用したのは、かのディ-トリツヒ・. ケ-スDietrichv.Northamptonlnhabitants()884).)38Mass.)4 であった。. 可能性をもっていることをにらんでいる。このことは'本ケ-スが、. 本件ス,,,ス・ケ-スが'見方によっては刑事法的違法評価を受ける. 第二八五条の適用をうけるものかもしれないのである。」と。 -ッデル判事は、右ウォ-カ-・ケ-スを仔細に検討した結果、. Campbel).sActであるらしいことが、-ツデル判事の判旨から窺知. チューセッツ州の制定法a. る制定法. に死亡したという事案において、出産後死亡児の遺産管理人が、あ. を通行中に右公道の塀症のために転倒して早産. このケ-スでは、原告胎児を懐妊中の母親が、被告町当局の公道. 民事法的違法評価をも受ける可能性も充分あることを意味している. し得た)に基づいて、「町(氏)Lを被告として損書賠償を講求した. 刑法典. わけである。しかしながら、後にとって、まさし-この民事法的遵. 解にてらしてみれば、本件スミス・ケ-スも'〔ケベック〕. 法評価を支援して-れる先例として、外国たるアイルランドのケ-. 処'右死亡児は右制定法にいう処の「人person」. (これは、いわゆるキャムプベル卿法に相当する、マサ. publicstatutecorrespondingto. ではないとして、. Lord. 月)し'娩出後十ないし十五分間は生存したが'結局その未熟の故. (受胎後四-五カ. スが直接の適合性をもっているのかどうか'判断に昔しむ点が多か. その訴権が否定されたのであった(なお、デ・ケ-スに同種の事案. として、ゴ-マン・ケ-スGormanv.Bud)ong()901).23R.:.)69. ったのではなかろうか。けだし、その上、右り・ケ-スは'民事法. 紛違法評価の主張主体たる胎児の訴権rightofactionを'不法行為. があげられている)0. 44)およびその上訴審判決(1900).)84I)I.359であった。. なわち、原審判決JWaileV,St.Luke.sHospita)(1898),76Il).App.. 次に彼が引用したのは、かのアレイア・ケースの二つの判決'す. 法的訴権の枠組でとらえかねただけではなく、契約法的訴権の枠組 でもまた'これをとらえかねたわけであるから。 -ツデル判事としては、ウォ-カ-・ケ-スの射程距離限界(先 例的機能限界)を拡げ得ないとしても、当面するケ-スにおいて'. このケ-スでは、被告病院のエレベ-メ-で負傷した母親を通じ. て侵書をうけた原告胎児が'その損専賠償訴権を主張しえないとさ. この胎児訴権を不法行為法的枠組でとらえ直し得る可能性皆無に非 ず、と脱んだのであろうと思われるのである。まさにそれ故に、不. れたのであった。. ところが、-ッデル判事は'注目すべきことに、このアレイア・. ケ-スにおける、原審判決で反対意見をのべたウインデス. 判事と、上訴審判決で同じ-反対意見をのべたポッグズBoggs判. Windes. 法行為法的違法評価の主張主体たる胎児の訴権の存在を肯定する判 断を支援してくれるような先例を求めて、彼はアメ-カ法の先例の 薮の中に足をふみ入れていくのである。 ×. 不法行為法における「胎児の被書法益」. 二七. ×.
(6) 不法行為法における「胎児の被専法益」. referred. 「The(rishandMas8aChusettscaseswere. ズをしたのであった。. 3udgments.andtheconclusionarrivedat"thatthedoctrineof. itsbeneAt.isamerelega)fiction,which・・・hasnotbeenin・. unbornchi)dmayberegardedasinesseforSomepurposes-when. for. dulgedinbytheCourtsofCommonLaw.totheextentofa))owing. anactionbyaninfantforinjuriesoccasionedbeforeitsbirth・". inthe. がまだ産まれていない.. をうけている、ということであったのならば、彼はこの胎児訴権を. この子が、㈹生きて産まれ'かつ㈱金銭的に見積りうるような侵専. しかし'本ケースでは、「胎児スミス」. であろう。彼はこの少数意見を支えに、本件スミス・ケ-スの原告 「胎児スミスLの訴権を認容する寸前まできていたのである。. にかなり傾斜した志向をみせていることを、一読判然、了知し得る. -ッデル判事が'アレイア・ケ-スにおける二つの反対意見の方. SupremeCourt,J(3D,L,R,787). nothingisaddedofpersuasiveforcebythejudgmentsinthe. cisionwasa諦rmed()900).184()).359.BoggS.)..dissenting‥. ThecasewentinappealtotheSupremeCourt,wherethede・. matteroflaw.whytheactionwi)lnotlie.". decidedcase)iketheoneatBar-thereisnogoodreason,asa. isnoprecedent-no. Windes.)..dissented.inavigorousandab)e]'udgment.and. to. 事の意見を'明らかに重視していると思われる次のようなサマライ. considered(p.454)"thatthoughthere thecivi))awandtheecc)esiastic. 二八. の為に、「代訴人proctor」. GeorgeandRichard(1872),20W・R・245とNelsonv・Galveston. を選任すべきであろうことまで示唆している(この点につい七は'. ろうこと'また、原告「胎児スミス」. その訴権を認める「宣言的決定declaratorydecree」ができたであ. 後であり、かかる令状によって人手した権利に基いた訴状であれば'. び場所tbetesteoftFe∃itLが'原告「胎児スミスLの出生日以. ワッデル判事は'本件の「令状公証部分記載の令状発行日時およ. 787.I).23-35). chratorydecree‥and(thinktheactionpremature・」(3D・L・R・. Thisisnotacase.(think.inwhichthecourtwouldmakeade・. Exceptfor-hepurporeofdec)aratorydecreesandthelike・there. writ.thereiSnocertaintythattherewi)lbeanysuchentity・. chi)d-thatisstillhypothe-ica);andnow,asa-the-es-eofthe. agesun)essandunti)thebirthandseparatee2istenceofthe. pecuniari)y・Consequent)y,therecanbenoassessmentofdam・. isbomaliveand(2)thereisinjuryapab)eofbeingestimated. covermoneybywayofdamagescane2istunless())thechild. 判官の結論だったのである。 r-(canseenoreasoninreasonorinlawwhyitshou)dnot・,. の訴えの時期が少し早すぎる、というのが'この明敏かつ丹念な裁. 認容するのに決して客かではなかったと思われる。「胎児スミス」. HarrisburgandSanAntonioRailwayCo・()890),78Tex・621の二 canbenoactionwithoutrightaccruedatthetesteofthewlit・ butitisnotnecessarytodecideth.
(7) 先例が引用されている)。 結局、本件の本案は. (仮に、中間判決が除去されたときは)'原. t訂 interlocu・. に諸する部. child.. child.without. 告「胎児スミスLに関する訴訟を、彼の出生後に提起されるペき. いかなる請求権をも書することなしに、却下するべきであり. propercourse・・・istodismisstheactionquoadthe. 被告フォックスは'前審の中間判決中、「胎児スミス」 分を破棄させることができるtobeentit)edtohavethe toryjudgmentsetasidequoadthechi)d(ただし、訴訟費用につい ては'中間判決に関する費用はその二分の一'本審の申立に関する 費用はその三分の一を被告が負担すること)とされたのであった。 ロ-h・ツシr(. のちのルヴュイエ・ケ-スのレイ毛ン判決をいわば「ミネルヴァの. という事実をここで我々は認識させられるのである。. はこのスミス・ケ-スによって、ようやく軟化の兆を呈し始めていた. よって'アメ-カでは右アレイア・ケ-スによって'そしてカナダで. コモン・ロウの硬い法準則が'イギ-スでは右キャムプペル卿法に. ように思われる。. ア・ケ-スでの数人の少数意見によって洗錬されて形成されたものの. 立法によって触発され'かつ、アメ-カにおける一九〇〇年のアレイ. ギ-スにおける一八八四年キャムプベル卿法に照応するカナダ諸州の. しかし、同判事の簡潔にして周到、怜側にして情味ある意見は、イ. 論点を論じているのであろうから、当然といえばそうかもしれない。. -ッデル判事の単独審理で、しかも、中間判決によってしぼられた. この一九二二年のスミス・ケースの何と論理的であることよ′.. ×. 不法行為法における「胎児の故事故益」. 鼻」と目すれば'彼が期び立つべき「黄昏」がせまっていることの予. 感を感じさせるのが'此スミス・ケ-スの-ツデル判決である。. 彼此読みあわせれば、このカナダの括目すべき二判決が、英法系諸. 国の判例法体系の中で、期せずしてその先頭を切っていた姿が浮かん. モント-オール電気鉄道珠式会社. 「ルヴュイェ・. ルヴュイエ事件. でくるのである。か-て次は'レイモン判決を吟味すべき順となる。 (二). 「モント-オ-ル電鉄事件」'あるいは. (Montrea)Tramwaysv.Leveil)6[1933]) 本稿で仮に. (原告・被上訴人). ケ-スLと呼んできた事件の概要は、以下のようなものである。. すなわち、一九二九年三月二五日'ルヴュイェ. 氏の妻が、モント-オール電鉄会社(被告・上訴人)の運行する路面. 電車からふりおとされた。この時、彼女は妊娠七カ月になっており、. エビ. この二カ月後の一九二九年五月二五日、女児を分娩する。この女児は. ジャンニーヌと名附けられたが、その足が「鍛足clubfeet」であった 、いわゆる「うちまたL. (「鍛足Lというのは、医家のいう「内反足L. ではないかと思われる)0. そこで原告ル氏は、自ら女児ジャンニ-ヌの後見人tutorともなり'. この子の崎形deformityが'妊娠中の母親をふり落すという侵音符為. をなした処の被告電鉄会社の過失行為の直接的帰結thedirectconse.. quenceoftFeneg-igenceofthecompanyであるとし、因って生じた 損害の賠償を訴求したのであった。. 訴訟は陪審にかけられ、陪審は'原告勝訴・投書賠償額五五〇〇ド. ルの裁決を下したもののようである。そしてこの裁決は'カナダのケ. ベック地方王座裁判所(上訴部)の肯認を得て正式の判決となったも. こ九. ×. 対. prejudicetoanyactiontobebroughtaft.
(8) 不法行為法における「胎児の被書法益」. 証拠が存しないことnoevidencesufncientlypositiveanddehiteを. ルヴェイェ氏の訴訟の. ののようである(ただし'ここで、ドリオン判事とホ-ル判事が反対. であった。. レイモン判事の意見に強-反対する意見を開陳したのが'スミス判事. 却下ないしその黄求の棄却という白判の判決をなすべきであるとし、. であり'原審判決を破棄し'被上訴人(原告). 主たる理由として'上訴人(被告)会社の上訴が認容されるべきもの. Cannon. カナダ最高裁で本件を担当した裁判官は、ランプレRinfret、レイ Lamont、スミスSmith'タロケットCroc打et'カノン. レイモン判事の意見の内容とスミス判事のそれとは'すこぶる際立. 裁判所に登場するたびに、さらにはそれが、司法的解決を求めるのみ. った対照をみせており'この種のケ-スが、のちにコモン・ロウ系の. 四名が上訴人会社の上訴棄却'つまり被告敗訴の結論を支持し、結局. ならず、立法的解決を求めるに至るたびにまきおこす論議の、いわば. 以下'少し詳細に両判事の意見の内容を追ってみよう。. は'四対一で原告の損専賠償請求を認容した原審判決(ケベック地裁. v.Levei))か[)933]4D,L,R,. 原初的形態とでも評し得る内容をもっているもののように思われる。. Tramways. レイモン判事の意見の要約. あり、したがってまた'不幸にも「えび足Lという崎形を具して出生. も、これをまとめて'以下の三つの論点に整理している。すなわち'. なものとして摘示したあと、上訴人電鉄会社からの上訴理由について. レイモン判事は、本件の事実関係と審級経過を'冒頭に記したよう. した女児ジャンニ-ヌの、出生前・胎児期に受けた侵害による損害は、. ルヴュイェ氏の請求が認容されるべきもので. 一定の要件のもとで、加書会社によって賠償さるべきものである等の. による損専の賠償を求めるという訴訟を'出生後に提起する権利the. 胎児期侵奪を受けた子供が、未出生状態においてこうむっていた侵審. 本件の子供の両足の崎形deformityは、その母親の遭遇した事. rightafterbirthtomaintainanacti.nfordamagesを有するか?. 何人かの不法行為wrongfulactないし義務僻怠defau)tの結果、. ことについての、もっとも詳細な理由づけreasoningは、レイモン判. 事は、レイモン判事の意見に同調する旨を述べただけであった。. 故accidentの結果であったということを、陪審が合理的に裁決し得. に対する説示. るについて'よってもって依拠した証拠evidenceが存在したのか?. の陪審jury. accident」と'彼女の「えび足c)ubfeet」という崎形との間に'いわ. 本件の事実審裁判官tria)judge. ゆる因果関係βusa〓inkが欠けており、充分に実証的かつ確定的な. 日. これに対し'ジャンニーヌの胎児期に彼女の母親が遭遇した「事故. 33. って'しかもフランス語で述べられた。ランプレ判事とクロケット判. 事によってなされた。また'これを補足する意見が'カノン判事によ. あり、被上訴人(原告). ところで、上訴人(被告)電鉄会社の上訴が棄却されるぺきもので. 337-371)o. 月八日であった. 判決)が確定したものと思われるo判決言渡年月日は'1九三三年五. この五名の各判事の意見分布は、スミス判事一名を除き、他の判事. の五名の判事たちであった。. モン. 裁判所に上訴する。. 被告会社は'このケベック地裁の判決に不服巷となえ'カナダ最高. 意見であったという点は'注意を惹-が'その内容は詳かでない)0. 三〇 ;. ㈱. (Montreal.
(9) chargeは'法的にみて充分なものであったかc-・ レイモン判事は、この三点を、上訴人会社打提起した問題点としてと り出した。これをさらに簡約にいえば、Hほ、胎児の権利rigbtめ. (存否の)問題'白ば、事実審裁判官の陪審. (有無の)問題、iIば'事故と崎形との因果関係causalre)ationない しその証拠evidenceの に対する説示chargeの(適否の)問題、ということになろう.(なお' これら三つの論点は'フランス語で補足意見を述べたカノン判事の摘. 上訴人会社は、まず'右規定中の「他人another」という語の意味. を問題にする。つまり'胎児childenveniresametreは'実在の1人. 格anexistingpersonではな-'単に母親の1部分onlyapartofits. mothelであるにすぎず、従って、本件胎児は、右民法一〇五三条に. いう「他人」の概念には該当しない、というのである.. そして次に'上訴入会社は、その負うぺき責任が明示又は黙示の契. 約に基礎づけられるぺきなのに'上訴人会社と本件の子供(胎児)と. の間には何等の契約も締結されて寧bないことを問題にする。この点. Quebecによって決せられることになるし'本件訴訟自体が'右民法. isres・. Province. 典の第一〇五三条の規定に基づいて提起されているという。それは' 「およそ法・不法を弁識する能力のある者は'その積極的作為I 軽卒無謀、不注意怠慢あるいは不馴れ不手際(技能の忘失又は欠. 如)などのいずれによるにせよ、彼自身の落度によって、他人に. 生じた損書について貴に任ずる.. ponsib)eforthedamagecausedbyhisfau)ttoanother.whether. という規定である(R). 不法行為法における「胎児の扱者法益」. 三一. さらにまた、上訴入会杜は'アメ-カにおける同種の諸ケース望昌. を摘示している。. は'それら先例・典籍に要領よ-言及しており、レイモン判事もこれ. の側の主張ないし抗弁を当然補強するものである処から、上訴人会社. 典籍の多-は、本モント-オ-ル電鉄事件では、上訴人(被告)会社. そして'いうまでもな-'右ウォ-カ-・ケ-スで引用された先例・. 免責した先例であることを強調したのである。. な注意義務も負うていなかったという理由づけによって、鉄道会社を. 児)自身との間では、そのような契約もな-'したがって、そのよう. whoma).neitowedadutynottobenegligentものの'原告本人(胎. ぅていたthecompanyhadonlycon-rae-ed-ocarrythemotherto. 彼女に対してだけは、僻怠過失あるべからざるよう注意する義務を負. ゥォ-カ-)の母親アニー・ウォ-カ-との間では運送契約を締結し、. を援用し、右判決は、被告鉄道会社が胎児ないし子供(原告マ-ベル・. L・R・(r・69の一八九1年1月二六日の王座部判決(前号注(14)参腰). 事件」Mabe)Walkerv・GreatNorthernRy.Co.ofire)and()891).28. 示によると、もう少し断定的なニュアンスがあり、レイモン判事の摘. よう。. H. は、第・一の問題点が、ケベ>ク州の民法civil)awofthe. レイモン判事は、まず第1の問題点について論じはじめる.同判事. 胎児の権利rigbtの有無問題. 以下'この順序で'レイモン判事の意見を要約的にフォロ-してみ. について'上訴人会社は'本稿にいわゆる「アイルランド大北部鉄道. of. 示はそれに比べて若干緩和的であるように思われる)0. bypositiveact,imprudence.neglectorwantofskin.J Everypersoncapableofdiscerningrightfromwrong.
(10) 不法行為故における「胎児の被害法益L. 与えられてこなかった旨を言い立てているのである。それらの諸ケ-. anactionfordamagesonthepartofthechi)dが、何らの基礎づけも. が'右のローマ法の準則を体化・体現したものであること等をレイモ. 同三田五条には、その権限についての規定があること'これらの規定. 上および財産の管理人curatorの選任についての裁定があり、また'. があげられているが、より以前のいわゆる. スの筆頭には、イ-ノイ州の一八九八年の判決'いわゆるアレイア・. (前号18真参照). ディート-ッヒ・ケースPeterDietrich.Administratorv.(nhabitant ofNorthampton.()884)138Mass.14(前号17頁参照)はあげられて いない。レイモン判事も特にそのことについて釈明してはいない。 ところで、レイモン判事は'以上のような上訴人(被告)会社の主 張ないし抗弁を要約したのち、一転してロ-マ法ないし大陸法の検討 に入る(4D.L.R.341以下)。すなわち、 シゲィル・ロウの下における未出生児の諸権利は、ユスチニアヌス のディゲスタ一巻五章七項と二六項の二カ所の記述に依拠すること、 「七、未出生児は'その子白身の利益が問題になるようないかな る場合にも、あたかも現存するもののようにaSifitwereinexist・ ence取扱われるo. 「二六'未出生児は'シゲィル・ロウの殆ど全分野において'既. 前記ケベック民法第一〇五三条に基-訴訟を維持しえないのではない. り'胎児は母体の1部であり、独立した実在ではないのであるから'. 結局'レイモン判事は'上訴人会社の提起した第一の問題点、つま. は'かかる解釈の妥当性をさらに多-の典籍・先例によって基礎づけ. 上訴人ルヴュイェ側に軍配をあげる前提となるものであるが'同判事. このようなレイモン判事の解釈は、上訴人会社側の解釈を斥け、被. もっているものと解されるべきである旨を述べる。. 未出生でも生存可能態である以上は、「民事的実在civile2istence」を. 能の子)nfantswhoarenotviablewhenborn」以外の胎児は、懐胎後、. ・未懐胎の子Personswhoarenotyetconceived」と、「出生時生存不. する同七七一条、八三八粂などを引用し'これらの権利関係において. そしてさらに'相続に関するケベック民法典六〇<条や、遺贈に関. r...theanswer.inmyopinion.isthat,a)thoughthechildwas. か、という点について、次のように答え、その上訴理由を斥ける。す なわち、. the. about. civi))aw.itisdeemedtobesoifforitsadvantagel. which. its. feet,yet,. notactual)ybornatthetimethecompanybyitsfaultcreatedthe conditions under. Thereforewhenitwassubsequent)ybornaliveandviab)eitwas. to. に存在するものasalreadyexistingとなっている.. thedeformity. ×. Quiinuterosunt.intotopaeneiureciuiliintel)egunturin. brought. ×. rerumnaturaesse.」. る。. Ⅰ戸∽∽¢. ン判事は強調する。. そして、ケベック民法典三三七-八粂には、懐胎・未出生の子の身. 三二. ケ-スAl)airev.St.Luke.sHoSpita)()898).76(u,App,44),aHd,)84. 及し、いずれのケ-スでも'胎児ないし子供の側の損書賠償請求訴訟. ditur.quotiensdecommodisipsiuspartusquaeritul・J Quiinuteroest.perindeacsiinrebushumanisessetcusto・.
(11) c)othed. withallthe. rightsofactionwhichitwouldhavehad. actuallyinexis-encea--heda-e9f-heacciden-・ThewlOngful actofthecompanyproduceditsdamageonthebirthofthechild. andtherightofactionwasthencomplete.J(4D.L.R.344.ll.9・. レイモン判事は、さらにつづけて'もし胎児期侵書について出生後 の訴権を認めないのであれば'我々は「救済なき不法行為」というも のを想定しなければならな-なると嘆じ'敢然この訴権を認めること ば、「自然的正義naturaこusticeLであるとも述べる。 また、上訴入会杜が'ウォ-カ-・ケースを援用して'会社と胎児 との間には'責任の基礎となるべき契約関係の存しないが故に責任を 負う筋合はないと述べた点について、レイモン判事は、この見解を批 判し、本件原告は、契約債務の不履行を理由として救済を求めている. if. lawmustbeheldtobeof deemed. have. generalapp)ication. beenbornatthetimeoftheacci.. relation. ないしその証拠. causa)re)ationがあるということを裁定し得たところの'何か、. の遭遇した事故と子供の両足の崎形との間には1個の原因と結果の関. レイモン判事は、「次の間題は、陪審がよってもって依拠し、母親. evidenceの存否問題. 事故と崎形との因果関係causa). その訴権は'「後見人tutor」を通じて行使し得るとされたのである。. 胎児ば'ケベック民法一〇五三条にいう「他人anotber」に該当し、. 上訴入会杜の上訴は斥けられ、被上訴人即ち、母胎内侵害を蒙った. L.R.346.)).1319). lawitcomeswiーhinthemeaningof"ano-her"inart.)053,andis,. denttothemother・Beinganexistingpersonintheeyesofthe. to. factを支持するペ-、十分得心のい-ような「論証の程度degreeof. ロアバーン卿は'事実からの特定の推断aparticularcone)usionof. その判旨を引用する。すなわち'. アバーン大法官卿Loreburn,L.C.によって述べられているとして、. 件Evans&Co・Ltd・v,Ast)ey[)9)1]A.C.674.atp.678におけるロ. 定される処の一般的原則は、エヴアンズ兄弟株式会社対アストレイ事. そして、この種の問題において、よってもって、証拠の充分性が決. ある。」と述べて、第二の問題点を論じ始める。. 納得のい-ような証拠evi.denceがあったのかどうか、という問題で. たことを理由としてonthegroundthatit[thecompany]committed 係a anindependenttortagainstthechi)d救済を求めており'〔ケベック〕 民法典一〇五三条の要件として、会社・胎児間の契約の存否は勿論、 irre)evantなことである、とし'本件ルヴュイェ・ケ-. 会社・胎児の母親間の契約の存否ですら、全-イレレヴアント(無関 逮)entirely. スにおける損書賠償責任を'契約法上の責任としてではなく、不法行 為法上の責任として理由づけるのである(4D.L.R.p.345). 最後に'レイモン判事は'次のように述べて'いわば上訴理由の第. reasons(amofopinionthatthefictionofthecivil. 一点に対する応答をしめくくる。すなわち、 rForthese. 不法行為法における「胎児の被書法益」. 三三. のではな-、被告会社が本件胎児に対して独自独立の不法行為を侵し. therefore.be therefore,entitledthroughit 33. il図.
(12) 不法行為法における「胎児の被書法益」. proof」というものを計測できるような'何らかの「尺度scale」ない し「規準standard」といったようなものを、言語的に説明することば. 〔しかし〕、彼が、彼のケ-スを. prove. 〔現実に〕実. accident. Thatsuchfaultcaused. was. caused. the. the. of. fault. the. of. the. consequence. ofthe. factionofthejury..-ltiSnotsuEicientthattheevidcnce. due. chi)d. the. 三四. accident・It. apresump-ionorinferencedrawnfromfactsprovedtothesatiS・. estab)ishedbydirectevidence・(tmay,however,beestablishedby. by. notasamereguessor. conjecture,butasadeductionfromthe. company.-・. aHords. cannot.・・・be. evidence,thattheleisareasonab)eprobabilitythatthedeformity. このような証拠法論又は事実認定諭(2). wasduetosuchaccident.J(4D.L.R.347.)I.7-22). な推認へと判旨をすすめる。. た「事実関係の再構成」〕を自らの土台にして'同判事はさらに具体狗. 不法行為構成的にみる際の「判断枠組frameofreference」に当飲め. 〔もっと端的にいうならば、本件ルヴュイェ・ケース類似のケ-スを. かなり抽象的ではあるが」. must. deformity. furtherandbesufacienttojustifyareasonab)emaninconc)uding}. mother's. 不可能である旨を述べてから' 「-申立人は'彼のケ-スを論証しなければならないmust case.このことば. ofcertainty. thejurythatthe. to. bis. caseことを意味する. short. mother.s 側に'斑状出血ecc官osisが生じた。その後'彼女は出産に materia)foraconjecturethatthech. レイモン判事の摘示によれば、本件の事実審における陪審が、証拠. 漏出a)eakageofAuidfromtheuterusがあった.この漏水は、家庭. から出産時まで、軽-かつ間歓的にではあったが'子宮からの液体の. で続いた異常な痛みabnormalpainsになやまされた.また、転倒時. 原告ルヴュイェの母親は、腹部を下にして家例した。その腹部の右. evidenceとして認識しているのは、およそ次のようなことである.. sumiseのそしりをうけ. goto. go. 証しなければならないmustdemonstratehis ものではない。より一層'蓋然性. 〔論証確率性〕 の高い推断more. probab)econc)usionが、彼の主張する処に即しているものであり' かつそのことを指し示す何かが存在しているという場合であれば'. 確証性に欠ける推断conc)usion. その時は'そこに裁判所がのっとるべき証拠evidenceがあるとい うことになるo はすべて、臆測ないし臆断conjecture. るかもしれないが、裁判所もまた、各個人と同様に、習慣的に諸々 の蓋然性〔論証確率性〕のバランスに則って行動しているhabitual・ )yactuponaba)anceofprobabilitiesのである.」 と述べ'事実factと証拠evidenceあるいは、推断conc)usionと臆. evidence. ×. 刺(又は臆断)conjecture(orsurmise)などが、蓋然性〔論証確率性〕 のバランスにかかっているという1般原則を提示したのである. このロア-バン卿の提示を大前提として、レイモン判事は、「証拠 、「合理的蓋然性reaSona・. からの演揮adeductionfromtheevidence」. bleprobabi)ity」などの範噂を措定し、この角度から、「本件上訴入会 、「被上訴人ル 、「本件母親の遭遇した事故accident」 社の落度fau)t」. was. undoubtedly. ヴェイェの崎形deformity」という三つの事態を因果の鎖で-ンクさ rThere. せる。すなわち'. ×. or. to.
(13) sac. see"Lと. inwardsことに気がつい. 「えび足. が存するか. ではな-、証拠の性質についての、レイモン判事の意見であろうと 思われる.-筆者〕. (原告ル氏). 側に有利な証言をし'あとの六人が上訴人. nessesが、事実審で審問されexaminedatthetria)'そのうち'三人 が被上訴人. (被告モ電鉄)側に有利な証言をした。. がある旨も証言した。. ろいろな原因に起因するかもしれないとしながらも、本件の当番状況. 結局、ランジュヴァン博士の推断では、1えび足c)ubfeetLが、い. るであろうという蓋然性〔公算〕. また彼は、かかる圧迫が子宮腔内でみられる場合には'崎形が生ず. た旨を証言した。. 〔両足が〕轡曲した位置のままで石灰化するチャンスが増大してしまっ. oftheutelinecavityに起因する格別な圧迫extrapressureのために、. 灰を必要とするものであるが、〔本件の〕子宮腔内の収縮contraction. 化が大いに進行するもので'この時期には妊娠初期の二十二倍もの石. 妊娠最終期頃、と-に七カ月から九カ月頃には、胎児の骨組織の石灰. 形が、より一層に促進されてしまったものである旨を証言し、さらにI. 強める原因となった処の、子宮腔内の液体の滴渇によって'両足の暗. ねじまげられた位置になっており'子宮壁を縮めて轡曲(ねじれ)杏. ランジュヴァン博士は'母胎内において子供の体〔足〕の一部分が. 博士の三人である。. の、ランジュヴァン博士、ならびに'小児科診療学の医学部教授、レ トンダル博士、ならびに、ルヴュイェ夫人の出産時に立会ったブノワ. であり、産科医obstetricianであり、かつ'キント-オ-ル大学教授. 被上訴人側に有利な璽ゴロをしたのは、婦人科医学者gynaeco)ogist. wit・. 医であるブノワ博士Dr.Benoit-によると、子宮の羊膜から出た羊水 amnioticAuidであると説明された.右医家の所見では'羊膜嚢. bent. con・. の三層の羊膜皮に軽い裂け目が生じておりslight)yfissured、そこか ところで、本件では九人の医学的所見を述べる証人medical ら浸み通って液体が経れたのであるが、それは早産premature 計nementに至るほどのものではなかった. 陪審は'出産に立会ったブノワ博士の証言をもっている。彼ブノワ 博士は、彼女に分娩させる際にその羊膜嚢を破らねばならなかったと 述べた。又'そこから部分的に羊水が漏出し、「出産はほとんど〔いわ 渇水状態でなされた"l'accouchementa6t6presquea. footwas. も述べた。彼は、娩出後の子供を直ちに点検し、その両足が内側に向 かって反り曲っているeach. に、いまだかつて誰も. ほかの証人たちはまた、その子供が産まれた時、鍾に黒い症が一個. 〔父方・母方〕. ab-ackmarkonitsbeelあったと証言した。 また'家族の双方. cFb訂et」だったものはいないという証拠もあった'とされている。. そうだからこそ'この証拠は、そ. 〔事故の日〕 までに、彼女はいか. ジャンニーヌに対する処置も正常であっ. ルヴュイェ夫人の最初の子供は'健康においても容姿においても健 全であり、彼女の'〔胎児〕 たし、また'一九二九年三月二五日 なる事故にも恐怖にも遭遇しなかった. 「この証拠は否定されなかったo. re)ation. れ自体のもつ光と医学的証言の光のもとで'ルヴェイェ夫人の転倒 とその子供のえび足との間に因果関係causal. 〔この部分は、証拠的事実の記述. 否かについて決定するべ-、陪審の手にゆだねられるに適するもの であった。L(4D.L.R.351I352). 不法行為法における「胎児の被書法益」. 三五. ば〕 た。.
(14) 能の意味か'不明. 不法行為法における「胎児の被書法益L. 筆者〕 と述べたのである。. 際上、科学的にはそれ以上の他の説明はない. 〔不存在の意味か'不可. asaconsequencesofthemother.sfal)とする説明であると述べ'実. カ月の胎児すら,その両足は母親の転倒で受傷する-らiに硬化して. によってみる限りでは'ランジュヴァン博士のそれに多-を補足した. sistoaccountforthedeformity.J(4D.L.R.353,I),20・22). tivecharactorandtheycouldnotsuggestanyreasonab)ehypothe・. 述べている。 「Thetestimonygivenbythesewitnesseswaslalge)yOfalega・. これらの証言内容を批判的に縫括して、レイモン判事は次のように. いうことを理由とする者などがあったようである。. これに続いた結果として出来したものであるthedeformityresulted いる筈で、その骨が折れそうなものであるのに'そうなっていないと. の下で、唯一得心のい-説明は'この時形が'母親の転倒を原因とし'. 三六. conjectureをとび越えさせ、よりま. uterinecontractionを蓋然的原因probablecauseと考える考え方. 駿足というものを不可知の原因のせいだとしてみても'子宮収縮. レイモン判事は厳し-批判する。 「私は'そのことをそんな風には考えない。. ともまったく同様に合理的であることになるとする見解、これらを'. なら、同じくそれを不可知の原因unknowncauseに起因せしめるこ. あるとし、又、もしも子供の「えび足Lを母親の転倒に起因せしめる. その子供の両足の崎形deformityとの連結を示すような証拠は皆無で. fau)tの結果で母親の事故accidentが出来したとしても、その事故と、. そして、会社側の為に弁ずる者の見解'即ち、たとえ会社の落度. へと導びき入れて-れるであろうか?」と自問する。. しな、合理納得的な推認の地上区域domainofreasonab-einference. 臆測の天界空域regionofpure. レイモン判事は、「本件における証拠が、我々をして、単純無垢的な. ここまでようやく'当事者双方の証言内容の摘示'検討をすませた. ×. る(尤も'後の、スミス判事の摘示によってみると、このニュアンス は一変し'むしろ'両博士の証言は、ランジュヴァン博士のそれとはI 酪酸ないし矛盾するものとして描き出されるのであるが--)0. さて、他方、上訴人側に有利な証言をした六人の証人については、 その氏名'地位、職業等は省略され証言内容だけが要約されている (スミス判事の摘示によって知見しうるのは'グレイG⊇y'デュベェ Dub6'フェロンFerron、ヌッタ-Nutter'マルティニィ. の五人の医学博士であり'あとの一人は不明である)0. の解明する処となっていない旨を述べ、被上訴人側の証人た. 彼らは'子供一般の「えび足」の原因は'いまだ医家medicalpro・. 足」が生ずる筈がないということを理由とする者、またあるいは'七. 胎児をかかえている母親が転倒したとしても、その出生児に「えび. そうなっていないということを理由とする者'あるいは'当該時期に. 子宮内から羊水の漏出があったのであれば、早産になった筈なのに、. 与しない根拠ないし理由は区々であったようであるが、たとえば、. ちの到達した推断には与しなかった。. fession. Martigny. ×. り'あるいは大きく反したりする部分はないかのように摘示されてい. レトンダル博士とブノワ博士の証言の内容は、レイモン判事の摘示. -.
(15) が消去されるわけのものではない。ここで医学的所見を述べた会社. beyondtherealmofconjectureandintodomainofreaSonablein.. 側の証人逮が、蝦足の原因を不知なりと述べることによって、子宮. ducedintheirmindsaconvictionthatitwasreasonablyprobab)e. frence・inwhichcaseitwasforthe3urytosayiftheevidencepro・. thatthedeformityofthechildresultedasaconsequenceofits mother.sinjury・They,havingsaidthat shouldnotbedisturbed.J(4D.L.R.354・355). その異議は、事実審裁判官が'陪審に対して、「ある事実の推定a. する異議がとりあげられている。. あるべき法(則)にてらしみるに'本件陪審を誤導してしまった'と. 本件事実審裁判官が、「(事実の)推定presumptions」について適用. 異議が出されていたようであるが、そのうちの一つだけ'すなわち,. この説示に関しては'おそら-上訴人(‖被告),側からいくつかの. いう問題であった。. の陪審に対する説示chargeが充分適切なものであったかどうか'と. 事実審裁判官の陪審に対する説示chargeの適否問題 レイモン判事が最後に論じた問題は、事実審の裁判官-1ial)udge. ているのである。. ぺきものではないーheirverdic-shouldno-bedisturbed旨を判示し. ているのであるから、そうである以上'彼らの評決は妨げ覆えされる. して子供の崎形が生じたとする合理的確信に、陪審が到達したと述べ. くれる類のものであるとし'この証拠によって、母親の負傷の結果と. 臆測の領域を越え'合理納得的な推認の領域にまで我々を導き入れて. すなわち'レイモン判事は'原審で示された証拠は'単純無垢的な. was.their. 収縮こそかなり蓋然性〔確率〕の高い原因である旨を感知している. escape. deformityに充分であるのみならず、そのほかに. その全証拠からl個の因果関係を推諾することtoinferfromwho)e evi.dencetheexistence.facausa)re)ationほ'まさに陪審の権能 に属していたのである.」(4D.L.氏.353・354) さらに'レイモン判事は'当陪審が認容し'彼らがそれにより因果 関係ありとの推定を清輝した証拠evidencewhichthejuryaccepted andfromwhich-heydeducedapleSumPtionofcausalrelation. ょって与えられたデ-タは'「推認inference」に関する若干の先例に. に. it. 人々の革言を否定していることにはならないのである。 本件においては'蝦足を生ぜしめた原因が確証的なところまで諭 証され得ないのであるが、法はそれがそこまで論証されるペきであ るとは要求していないのである。これは、至極分り易い、推認とい ぅものの組みたて方(考え方)の問題simp】yaquestionofdrawing aninferenceである。. 彼らの意見として、羊膜からの羊水の溶出. 医学的所見を述べた被上訴人ルヴュイェ側の三人の証人たちは、. amniotic. これら証人たちの推断を認容しaccepニheconc)usionかつは'. は何らの蓋然的原因も見出し得なかったとしているのである。. account. fluidによる子宮収縮c.ntractionが、本件崎形の原因を説述する. of. おけるデ-タよりもなお説得的・可信的であるとし'結局'次のよう に述べて第二の問題点に関する結語とするのである。 rlam,therefore.ofopinionthattheevidenceheredoestakeus. 三七. \. 不法行為法における「胎児の被害法益」. 田. forthe. verdict.
(16) 不法行為法における「胎児の被書法益」. presumption」は'そうすることが「重要'正確かつ符合的grave・. まったと観るか否かo. レイ毛ン判事のこの点に関する判旨の文脈はやや解しに-い。彼は'. う論噸で説明している.しかし、これは、事実審裁判官による「説示. が前述のような異議を差し挟む余地あるものとは観じていない、とい. 結果から逆に,裁判官琴不竺応適切であったと観じ、結局'本. かかる革ホにより陪審が結果的には誤導されてはいないと観じ、その. prかciseetconcordante」であり、「有力かつ重大weightyandseri.us」 であったという場合にのみ、合法的論証として許容し得るadmissib-e aslegalproof旨を説示するぺきなのに、これをせず、そのかわりに'当 該嬰児の崎形と当該母親の遭遇事故との間の因果関係causallelation の存在をただ単に予見ないし予想せしめる処の諸推定presumptions thatrenderedon)ysimplyprobab)eor)ikelyにつき'これを認容す るかどうかの権限を、当該陪審が、もつものである旨をあやまって説 示してしまった、という趣旨だったようである。. 三八 rQuandone2aminelesfaitsdanscettecause,ceu2quirendent. m&mesimplemen-probablelerかsulta-}c'estque1.accidentrend plObablequelespieJsbotssoitlaconsequencedelachute・. there. Sufficientfo1yOutO. PreSumetO. りかえたのではないか、元から正に1プロスペクティ-フprospektivJ. の適否」の問題を1誤導の存否」の問題に従属させ'問題をいわばす. にみるべき問題を、下から逆に1レトロスベタティーフ1etrOSpektivJ. にみることによって、「不適切」の方向へ拡散する可能性のあった「読. は支持できない、とした上で'以下のようにいう。 ・しかし,問題は'彼が陪審に対し、充分に説示したかどうかで. レイモン判事は,まず、事実審裁判官が陪審を誤導したとする異議. についての語感の相異にも一因があるように思われる(a)0. このレトリックが解しに-いのは、英仏両語の法律上の重要な用語. 思わせる節がある。. 示」を,「適切」の枠の中にとじこめてしまったのではないか(琶と 錯誤を如実に示すのだembodyinge-rsin-awという異議である。. その説示の文言は、次のとおりであり、これすなわち、法(刺)の. mere ab)edeductionfromsuchfac-sastheyshallhdtobeestablished. bytheevidenceと.. な諸事実からの'合理的演得であらねばならないmustbealeaSOn・. guess,陪審が証拠によって立証されたとの心証を得たよう. 陪審の側における,単純な推測であってはならずm邑notbe. について裁量権限をもつ処の,推定pres亡mp-ionというものは、. のように説示することが肝要である。すなわち、陪審が論証の認否. ある。私の意見では、かかる事件において'裁判官は陪審に対し次. ヽ. Itis)efttoyourJiscretiontofindoutanddecidewhethelfrom circumstances. causedasadirectresu)toftheaccident・. (nthiscaseyoucoulJnothave・directplOOf・Youmustgoby. inferenceorpleSumPtion・Moreoftenthecontestedpolntisnot demonstrated,butissimplyrenderedpossible,vraisemblabletoa moreor)essdegree.J(4D.L.R,355,))・2)-3)). このような文言で述べられた貌示を'目して、前述のような異議に. ヽ. ヽ. crea-einyour_mindsalikelypresump-ionthattheinjurywas. is. 催するものと観るか否か、つまり'事実審裁判官が陪審を誤導してし. a. al)the.
(17) やや明快さに欠けるが'レイモン判事は'この「説示」の「適否」. 問題では、事実審裁判官の言葉足らずを認めつつも、結局、問題の異. 博学なる事実審裁判官は'さほど多-の言を費さずに、陪審にこ の説示を与えたのではあるが、私の思うには、要するに、彼は'そ. ランジュヴァン博士. に陪審の注意を促し、. 贈与ないし遺言による財産の取得や承継についての胎児の権利に閲. 私の意見では、胎児の後見人curatorstounbornchi)dの選任や. 訴権が、ケベック民法典の下では存在しているということを推断し. る出生後の子供の訴権を否定していること'しかしながら'かかる. へ、コモン・ロウ裁判所の有力な司法的判断が'胎児期侵書に対す. モン判事の見解の批判に入る。 「我が同僚レイモンは'この点に関する先例に詳細な再検討を加. や、素気ない-らいのスミス判事の論調は'ここで一缶して、レイ. R.357-358). 供のための訴訟原因が存するか否か'ということである。」(4D.L.. 本件上訴に対して判断を下すための、最初の問題点ば'かかる子. pe))ant.snegligenceというのである。. ば、上訴人の過失に起因するものとされたwascausedbytheap・. 母親の転倒の結果生じたものであり、かつ右の転倒が、陪審によれ. その子供は'二カ月後に鮫足で生まれた。その申立は、右駿足が右. たと称する侵害を理由として、その子供にかわり訴を提起している0. 社の車輪からすペりおちて転倒したために、その胎内の子供に生じ. スミス判事は、まず本件の事実関係を次のように摘示する。 「被上訴人は、妊娠七カ月の母親〔被上訴人の妻〕. スミス判事の意見の要約. 議を斥ける判断を示したのであった。. conclusionsに対応する. を形成すると. が、上訴人会. れを陪審の心中に伝達したのである。. evidence. 事実審裁判官は'被上訴人(-原告ルヴェイェ)側の証人達の自 家撞着なき証言uncontradicted. and. による例の証言evi.denceから引き出された'推論および推断the reasoning. raisonab)e. その上、次のように述べている。 『あなた方は'もし、証人たちの述べた諸事実があなた方の心 中に一つの合理的な推定pr6somption. いう結論に到達し、かつまた、もし'ご-わずかな言明で我々に 意見を与えた唯1の人であるランジュヴァン博士の証言tかmoig・ nageを採用し、かつその意見に同調するのであれば'あなた方. は'この間題に対して'ウイ(イエス)という返事をしなさい。』 ランジュヴァン博士は、彼の措いた推認inferencesと'その推. 諸に垂った推論reasonsとを陳述し'事実審裁判官は'陪審たちが これと同様な推認を措いたかどうかを問うことばせずに残しておい. deductionであらねばならず、推. て'ただ、論証として受容されるべき推定なるものpresumptionto beadmittedasproofは'演揮a. 測ag亡eSSであってはならない旨を陪審たちに概括的に説示したの であった。 本件の説示を全体としてみると、陪審を誤聾するような説示は何 もなかったという、当審裁判所の多数意見に私は同意するものであ る。」と。. 三九. -. 不法行為故における「胎児の被書法益」. 伽 た。. と。.
(18) 不法行為法における「胎児の被書法益L. するケベック民法の諸規定〔の内容〕は、該法典下の法準則を特に コモン・ロウの法準則から区別するべき何らの手掛りをも与えるも のではない。というのは、まさに該法典下の諸権利は'コモン・ロ ウの下でも存在しているものであり、〔いずれの法準則によるにせよ. not)ie. ということこれである、と断言しているので. ジュヴァン博士(以下'「ラ博士」と略記することあり。)に同調した. だけであって、その証言にさほど重きを置けない旨を述べる。. そして、事故と崎形の関連についてのラ博士の判断や璽自白体に多. くの問題点があるとし'たとえば'母親の上記の如き子宮腔からの羊. に関する専門家でもな-'その原因について何かとくに研究をしたこ. とがあるとは述べておらないこと、〔にもかかわらず、〕その原因は数. 多-あるかもしれないと述べ、しかし'考えうる他の複数の諸原因や、. それらに関して医科学が明らかにしてきたことがらについて'何らの. 説明も述べなかったこと、等々をあげ'さらには'レトンダ-ル博士. やブノワ博士並びに産婦の母ジュステイ-ヌ・テ-アン. The,,ienや産婦の妹ボケ-ユウ夫人DameBeaulieu等の事故後から. 事故直後に産腹の大きさが消失したとしているが、彼のいうその外. ラ証言は'多量の羊水の溶出greatlossoffluidがあったから、. 分娩は完了したのである。. の間、事態はそのように進行せず'自然な時期に'自然な有様で'. イGray、デュベェDub6両博士の璽日による)。しかるに、二カ月. 失があったとすれば、流産miscarTiageが起ったはずである(グレ. ラ証言が基礎とした事実は何か?.例えば、もし羊水の藩出・喪. なり徹底的な批判を展開する。その論調はかなり激越である。. 出産時にかけての諸々の璽白を援用して'ラ博士の証言の信想性. Justine. 水の漏出,子宮収縮'胎児期の骨形成に対する影響などを'単竺個. の可能性であるc・es-unePOSSibili-6,と述べているに止まること、又. これらの諸権利は、本事件において設問された不紘. 行為法上の訴訟の権利therightofactionintortとは、その性質を. いますか、お答え下さい。」という間に対し、「私はそう信じています. その他の諸事実から、結局「事故と崎形との間には関係があると見て. concerningpropertyことであり、本件で申立てられているような〔損 蕃賠償請求権という〕債権的権利に関することではないという。従っ て同判事は'コモン・ロウの下でも'ケベック民法典の下でも、「本 件の如き問題点」に関して、あるべき法準則は先例により明確に確立. does. されてきた処であり'それ即ち本件の如き訴権は認められない action. ある〔ただ同判事も'本件の如き問題点といっても、その間題点自体 が判然としないことば容認するけれども'という留保をつけている〕0 次に、スミス判事は、本件事故と子供の崎形との因果関係の問題に 触れ'陪審が証拠に依拠して'合理的に判断し'母親の被専に起因し て子供の駿足が生じたというのが真相であるとするが、その証拠は何 もないというのが自分の意見である旨を、原審での医学的所見におい て、右の因果関係を肯定した三人(すなわち'ランジュヴァン、レト ンダ-ル'ブノワの三博士)の証言に特に綿密な再検討を加え乍ら、 延々と述べるのである。 同判事は、先ずレトンダ-ルとブノワの二人の証人は'単にラン. the. 様々な引用の中で言及していることば、物権的財産権に関するrights Jelecrois」というだけの答えであったこと、又、ラ博士白身が駿足. スミス判事によれば'レイモン判事がシゲィル・ロウについての. まったく異にするものなのである.」(4D.L.R,358,I),8・)4). 認められ得る〕. 四〇.
(19) 庄は、事故当時から生じたものであろうか?. そうだというならば'. 彼は矛盾している.彼自身が、羊水は除々に渉出gradual1oss fluidした旨を証言しており、だとすれば、渉出はその外圧のあっ 【事故の〕一カ月位以前にあったことにならねば. 〔スミス判事のこの箇所の文意はやや読解しにくい。従っ. た以前'少-とも なるまい て、ラ証言の論理的な矛盾の有無それ自体が判然としない。〕 ラ博士の説明は'もちろん'彼自身と同様に秀れた'被告(上訴. スミス判事の批判はさらに続く。. 被上訴人例の証人である'ブノワ博士もレトンダル博士も、蝦足. というものの原因は'医科学にとって、まだ知られていない旨を述. グレイ'フェロン、 べている。同様の言明は、(上訴人側証人の) 、マルチィニィの各博士によってもなされている。そして' ヌッタ-. このことば、ランジュヴァン博士によっても否定されてはいない。. ラ博士の述べたことのすべては'本件において彼が撃不した唯一個. tFere. are. number. の原因を別とし'その原因一つ一つを命名することなしに'「この. ようなことにはいろいろな原因がある. causes」ということを言ったにすぎない。. 上述したように、彼の意見は、. そうであるなら'ラ博士の意見の中には、何ほどの効能あるいは 何ほどの蓋然性があるだろうか?. 現実経験や医学研究に基づいたものではない。かかる意見が、何某. of. 人)側証人の各博士によって、完全に否定されている。しかし'彼 の意見が評決を支持するのに充分な証拠であるというならば、何を か云わんや。何となれば数々の相魁する諸意見の軽重を決するのは、 陪審の活動領域provinceofthejuryなのだから. しかし、既にその上に評決が築かれてしまった処のラ証言を捨て るためには、人はもっと先へすすまねばならない。. かの価値をもつためには'証拠を有する事実関係という明確な状況. に基づかねばならないのに、ここでは'ラ博士がその意見の基礎と. 四】. 妹によって示唆されている。…彼女が妊婦の事故直後にみた処では、. にだけ依拠したのだ。最強の外圧が妊婦にかかったことば'その. 彼は多分、「黒症」に関する陳述をすべて不問にして、単に「外圧L. うか?. ということの徴証なのだ、というような推断を彼はしたのであろ. っ'この外圧によってbypressureあの位置にくることになった'. きた両脚が'その母親の転倒時の外力に屈し'撤れ、歪められ、か. の件の「〔子供の〕点い癌blackmarks」は、それまで無紋に出来て. して、事実関係のいかなる特有な状況を'その内心に有しているか. 科に関する技傭も精神科に関するそれも似た程度である。もしも本. すでにのべたように、ラ博士は、駿足の専門家ではない。彼の産. a. を語ることはできない。〔が〕彼の質疑における言明からみて、問題. of. 件の子供が白痴idiotで生まれていたら、ラ博士は、これも同様に 「頭蓋骨への外圧pressureonthe に起因せるものなりと信. 不法行為陰における「胎児の被書法益」. 言ってはいないのである。」(4D.L.R.364.I).29-34). のようなケ-スを、かつて見聞したことがあるということさえも. 形成したとかということを申立ててはいないのである。彼は、本件. をしたとか、彼が医科学から学んだ何ものかに基づいて彼の意見を. ててはいないのである。彼は'彼が蝦足に関して、何か特別な研究. の何らかの事柄に基づいて、彼の意見を形成したということを申立. ずる、などと言うであろう。 「彼は'彼自身の実経験experienceにおいて観察し来たった種類. skull」.
(20) 不法行為法における「胎児の被書法益」. 四二. 確定的な証拠evidencesu#icientlypoSi-ive. 判事の意見であった。. 争論開始の道具立とでもいうべき準備が、準ぇたように揃っているで. であり.その第二が、「交通事故と先天性崎形との因果関係」である。. される)、その上、その争点の竺が'「胎児の母胎内被専訴権の. 証人だけで十人前後(その他の証人も数多-登場したであろうと想像. 対「会社Lという色彩を帯び'その審理は、判事五名の合議、医学的. 対立する当事者は、「個人」対1個人」だが、表見的には'「胎児」. この一九三三年のルヴュイエ・ケースの何と争論的であることよ-. ボレ-ミ'シー. 大要,以上が、レイモン判事外三名の多数意見に反対した、スミス. における訴盃費用を負担しっつ'却下さるぺきものとするO. 本件上訴は,認容されるぺきものとし、〔原告の〕訴求は、全審故. しているからである。. thesligbtestprobabi育も存しないということを'私は十分. 含む処の、証拠に基づいて'彼の貌が正しいとする'毛程の蓋然性. ては、一つの安堵である。何故なら'ランジュヴァン博士のそれも. 不正義を為しているものではないと自ら感得することば、私にとっ. 私が,かかる推断に到達しても、本件の不幸な子供に対し'何ら. amereguessなのである.. ないのだと,私は考える。ランジュヴァン博士の貌は'単なる推測. anddefiniteは何も. う事実認定かロdingをした陪審を保証するぺ-、充分に積極的かつ. ・欽上の諸理由の故に、本件事故の結果として娼足が生じたとい. TheappealshoulJbeallowed・andtheactiondis coststhroughout.J(4().L,R・366,))・)819). 大きかった産腹が実際に消えうせていたという。ラ博士は、彼が聞. いたと称するこの証言から、彼の「外圧」説をとり出したのか?. the. 〔羊水の〕. もしそうなら、彼の応答は質疑に対して言明した処に基づいていな. いことになるし、彼は'妊婦の子宮壁の組織層の聞から. 漸次的な漏出gradua))eakagebetweenthepi)esoftissueof. wa))softhesacがあったとする、ブノワ博士の説(明)を否定し. なければなるまい。. また、ラ博士は'産腹の大きさの消失の原因となった、羊水の多量. もしそうなら、プノワ博士のいったような漸. があったとするポウ-ユウ夫人の証拠を捨. ブノワ博士は聞いたけれども、証拠上は不審に思っていたevident)y disbe)ievedという ててしまったのか?. その「外圧L. 次的漏出とならんで、七カ月まで形成された両脚の骨をゆがめる程 に重い「外圧」が、・何時かかり始めたのであるか?. は'当然〔事故後〕二カ月間にわたる'羊水の漸次的漏出に伴って、 漸次的に加わるものであろう。この仮定suppositionに基づけば、 その「外圧」が充分に大きな影響を示すようになる以前の一定期間 内に両脚の骨の急速な「石灰化ca)cification」が生じていなければ なるまい。この両脚の骨をゆがめるのに充分な「外圧」がかかり始 めたということを'何時のこととして彼が考えているのか'私は不 息議に思う。ランジュヴァン博士は、彼の基礎として、多-の異 なった諸条件のうちからある一条件を、その内心において選択する べく自由であり、かつ誰ひとりとして、その上に彼が憩築・構想し. ×. -. た基礎的諸条件が何であったのかということを語りうるものはいる 筈がないのである。. ×. の喪失great)ossoffluid-こ.
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