• 検索結果がありません。

IRUCAA@TDC : 「顎骨疾患プロジェクトからの情報発信」 2. 人工多能性幹(iPS)細胞を用いた顎骨疾患病態解明へのアプローチ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "IRUCAA@TDC : 「顎骨疾患プロジェクトからの情報発信」 2. 人工多能性幹(iPS)細胞を用いた顎骨疾患病態解明へのアプローチ"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College,

Available from http://ir.tdc.ac.jp/

Title

「顎骨疾患プロジェクトからの情報発信」 2. 人工多能

性幹(iPS)細胞を用いた顎骨疾患病態解明へのアプロー

Author(s)

小野寺, 晶子; 柴原, 孝彦; 東, 俊文

Journal

歯科学報, 118(4): 293-299

URL

http://hdl.handle.net/10130/4688

Right

Description

(2)

はじめに

本稿は「顎骨疾患プロジェクトからの情報発信」

として本事業の研究内容を含めて顎骨疾患に関する

情報を本誌にシリーズとして紹介する2項目とな

る。この号より「分子・細胞ラボ」,「感染制御ラ

ボ」,「咀嚼嚥下ラボ」,「ファブラボ」から顎骨疾患

のトピックスの概説を行っていく。この号では,生

化学講座,東俊文教授をラボリーダーとする「分

子・細胞ラボ」より人工多能性細胞(iPS 細胞)の概

略と Gorlin 症候群由来 iPS 細胞を用いた解析で現

在までに明らかになった点について述べる。

1.人工多能性幹(iPS)細胞

1)人工多能性幹(iPS)細胞とは

2006年,京都大学の山中伸弥博士はマウス皮膚を

形成する細胞から他の細胞にも分化可能な人工多

能性幹細胞(induced pluripotent stem cells:iPS 細

胞)を世界で初めて作りだし

1)

,その翌年にはヒト

iPS 細胞が誕生した

2)

。多能性幹細胞である iPS 細

胞は再生医療を実現するために重要な役割を果たす

と期待されるとともに,稀少な難治性疾患患者細胞

を元に iPS 細胞を作り疾患病変組織と同じ組織細胞

に分化をさせてその状態や機能をみる研究が可能に

なった。

iPS 細胞は皮膚を形成する線維芽細胞や,血液細

胞などの体細胞に細胞初期化因子(Oct3/4,Sox

2,Klf4,c-Myc など)を導入し,細胞にリプログ

ラミング(脱分化)を行わせることで作りだされる人

工的な細胞である。リプログラミングされた細胞は

もともと持っていた固有の性質が失われ,自分と同

じ細胞を作る能力(自己複製能:Self-renewal)と,

別の種類の細胞に分化する能力(多分化能:pluripo-tency)を獲得する

2)

。他の多能性幹細胞である ES

(Embryonic Stem)細胞と形態学的,機能学的にも

類似しており,自己複製能,多分化能に関しても

歯学の進歩・現状

「顎骨疾患プロジェクトからの情報発信」

2.人工多能性幹(iPS)細胞を用いた顎骨疾患病態解明へのアプローチ

小野寺晶子

1)2)

柴原孝彦

2)3)

東 俊文

1)2)4) キーワード:私立大学研究ブランディング事業,顎骨疾患 プロジェクト,疾患特異的 iPS 細胞,Gorlin 症候群(基底細胞母斑症候群) 1)東京歯科大学生化学講座 2)東京歯科大学研究ブランディング事業 3)東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座 4)東京歯科大学口腔科学研究センター (2018年6月7日受付,2018年7月13日受理) http : //doi.org/10.15041/tdcgakuho.118.293 連絡先:〒101‐0061 東京都千代田区神田三崎町2−9−18 東京歯科大学生化学講座 東 俊文

Shoko ONODERA1)2), Takahiko SHIBAHARA2)3), Toshifumi

AZUMA1)2)4): Report by the Jaw Bone Disease Project 2

: Approaches to pathophysiological mechanisms of jaw bone disease with iPS cells(1)Department of Biochemistry,

Tokyo Dental College,2)Tokyo Dental College Research

Branding Project,3)Department of Oral and Maxillofacial

Surgery, Tokyo Dental College,4)Oral Health Science

Center, Tokyo Dental College)

略字表

iPS 細胞 :induced pluripotent stem cell/人工多能性幹細胞 ES 細胞 :Embryonic stgem cell/胚性幹細胞

MHC :major histocompatibility complex/ 主要組織適合遺伝子複合体

HLA :Human Leukocyte Antigen/白血球型抗原

Hh :Hedgehog/ヘッジホッグ

293

(3)

ES 細胞と同程度の能力を持つことが報告されてい

る。当初は皮膚を形成する線維芽細胞から樹立され

たが,その後生体内ほぼすべての細胞から樹立可能

であることが報告された。またヒト以外にも作られ

ており,マウス,ラット,ブタ,イヌ,ウマなどか

らの iPS 細胞樹立が報告されている

3,4)

。現在では,

細胞提供者に負担の少ない方法として血液検査用の

末梢血や尿中に脱落した細胞から iPS 細胞が樹立さ

れている

5)

1981年,iPS 細胞に先立って樹立されたマウス ES

細胞は疾患モデルマウス作製などにより医学の進歩

に多大な貢献をし,1988年にヒト ES 細胞が樹立さ

れたことにより再生医療のソースとしても期待され

6)

。しかし実際に臨床応用を検討する段階では,

ES 細胞は受精卵の一部である内部細胞塊と言われ

る部分から細胞を取り出してつくられるため,作成

時に受精卵を破壊してしまうという倫理的な問題が

生じ,他人の細胞を使用することよる移植後の拒絶

反応の問題が予想された。これに対し iPS 細胞は自

分の細胞を用いて樹立されるため,倫理的な問題が

少なく移植後の拒絶反応も起きにくいため,新しい

再生医療のソースとして考えられている(図1)。

2)iPS 細胞と再生医療

再生医療を行う上で問題となってくるのが,移植

後の拒絶反応の問題である。白血球の一種である T

細胞が細胞膜上に発現する主要組織適合遺伝子複合

体(major histocompatibility complex:MHC),ヒ

トの場合はヒト白血 球 型 抗 原(Human Leukocyte

Antigen:HLA)と呼ばれる分子を目印にして,自

分以外の細胞を見分けることができる。この仕組み

は自分以外である細菌やウイルス,がん細胞の排除

など生体防御に重要であるが,この反応があるため

他人の細胞を入れる移植の際は拒絶反応を示すこと

が知られている。

iPS 細胞を用いた移植医療を考えるときに,目的

細胞に分化した自己組織由来の iPS 細胞を移植する

場合にはもちろん免疫拒絶反応が起こらないことが

予想される。しかし自分の細胞から iPS 細胞を作製

し,移植に応用できるよう安全面に考慮した細胞を

準備するためには,多大な時間がかかってしまうこ

とという問題点があった。近年サルを用いた研究で

別の個体の細胞でも HLA 型が同じ接合体(ホモ接

合体)細胞の移植を行った場合は他人の細胞であっ

ても免疫応答が弱く移植が可能であることが報告さ

れた

7,8)

。この結果は HLA ホモ接合体ヒト細胞を用

いた実験でも HLA 型を半分一致させた T 細胞で免

疫応答が起こらないことが証明されており,HLA

ホモ接合体細胞は免疫拒絶反応が起きにくい組み合

わせで,より多くの人に適応しうる細胞であること

が示唆された(図2)。

そこで現在では健康な人の HLA ホモ接合体を有

する細胞から iPS 細胞を作製し,あらかじめ様々な

品質評価を行った上で,再生医療に使用可能と判断

できる iPS 細胞株を保存するプロジェクトが行われ

ている。しかし iPS 細胞の臨床応用にはまだ課題も

あり,①目的の細胞へ分化させる際に分化が不完全

で,未分化な iPS 細胞が混入することでテラトーマ

と呼ばれる奇形腫(良性腫瘍)や癌化の可能性がある

こと,②たとえ自己細胞を使用したとしてもはたし

て拒絶反応が全く起きないのかという点,③作られ

た iPS 細胞は本当に全く同じものであるか(クロー

ン間での違いはないのか)という点などがあげられ

る。現在多くの研究者がこれらの解決に向けて研究

が進められている。

図1 iPS 細胞の作製とその応用 小野寺,他:疾患特異的 iPS 細胞の利用 294 ― 34 ―

(4)

3)疾患特異的 iPS 細胞を用いた病態解明

もう1つ iPS 細胞の利用で注目されているのが,

難治性神経疾患や稀少な遺伝性疾患患者の体細胞か

ら iPS 細胞を作り病気の原因を解明する研究であ

る。このような細胞を疾患特異的 iPS 細胞と呼び,

作製した iPS 細胞を病変細胞に分化させ,その患者

の状態や機能がどのように変化するのかを解析する

ことで,病態研究のみならず有効薬剤の探索等に用

いられている。現在,神経・精神疾患,心筋疾患,

骨疾患,がん疾患研究を含め多くの疾患領域で疾患

特 異 的 iPS 細 胞 を 用 い た 研 究 が 報 告 さ れ て い

9,10)

。疾患特異的 iPS 細胞を用いることで,ヒト

細胞特異的な薬剤評価やヒトの多様性の理解が期待

できると考えられている(図1,3)。

2.顎骨疾患プロジェクト

顎骨疾患プロジェクトの分子細胞班では,口腔顎

顔面領域に症状を持つ遺伝性疾患・希少疾患に着目

し研究を行っている。骨組織発生を制御している遺

伝子RUNX2の変異により生じる鎖骨頭蓋異形成症

(OMIM:119600),骨芽細胞増殖分化に必須な成長

因子 FGF2の受容体 FGFR2の変異で生じる Apert

症候群(OMIM:101200)などの症候群患者由来細胞

より疾患特異的 iPS 細胞を作製している

11)

。また正

常 iPS 細胞に対して遺伝子編集技術で遺伝子変異を

導入することで,患部における変異率が低いため患

者由来細胞では作成が困難である McCuneAlbright

症候群の疑似細胞の作製を行っている。ここでは,

図2 HLA の不一致で起こる移植時反応とホモ接合体型 HLA を使用することで 広がる移植可能性の概念

図3 適確医療(precision medicine)・個別医療(personalized medicine)の概念図

歯科学報 Vol.118,No.4(2018) 295

(5)

生化学講座,口腔顔面外科学講座,オーラルメディ

シン・口腔外科学講座の共同研究として行っている

Gorlin 症候群疾患 iPS 細胞についての検討を記載す

る。

1)Gorlin 症候群とは

Gorlin 症 候 群(基 底 細 胞 母 斑 症 候 群,OMIM:

109400)は多発性の基底細胞癌(BCC),石灰化歯原

性嚢胞および異所性の石灰化,二分肋骨,椎骨異常

などの骨形態異常を特徴とし,日本人においては

1/235,

800の有病率を持つとされる常染色体優性遺

伝性疾患である

12)

。この症候群は多発性の石灰化歯

原性嚢胞が85%以上の患者で見られ,歯科診療にお

いて発見,診断されることも多い。上記に記載した

通り症状は複数あり,患者ごとに異なる症状を有す

るため診断は複合的に行われる。診断法の1つとし

ては Kimonos の診断基準が使用され患者によくみ

られる症状を大項目,稀にみられる症状を小項目と

設定し,大項目が2つ以上もしくは大項目1つと小

項目2つ以上が症状と合致する場合は Gorlin 症候

群であると診断される

13)

(表1,図4)。頭蓋顔面領

域に発現する症状も多く,石灰化歯原性嚢胞のほか

両眼解離や唇裂,口蓋裂がみられることがある。

多くの場合,原因遺伝子はヘッジホッグ(Hh)の

受容体遺伝子 PTCH1である。通常,受容体 PTCH

1は Hh がない状態では情報伝達経路を抑制する

が,Hh が結合するとその抑制機能が無くなり,Hh

情報伝達が進行する。PTCH1に変異をもつ Gorlin

症候群ではこのたんぱく質が本来もつ Hh 経路抑制

機能を喪失し,逆に恒常的に活性化することで病態

が生ずると考えられている

12)

。Hh は個体の発生,

体節の極性,パターニング,細胞の増殖・分化など

様々な重要な生物学的機能を担っていることが明ら

かにされている。脊椎動物ではインディアンヘッジ

表1 Gorlin 症候群(基底細胞母斑症候群)判断基準 (ref.13を改変) 大症状2つ,あるいは大症状1つと小症状2つを満たす場合 大症状 1.2個以上,あるいは20歳以下の基底細胞癌 2.顎骨の多発性嚢胞(c,d) 3.3個以上の手掌,足底の小陥凹(b) 4.大脳鎌の石灰化 5.肋骨異常(二分肋骨,癒合あるいは扁平化)(a) 6.第1度近親に Golrin 症候群を持つ(家族性) 小症状 1.大頭症 2.先天奇形(唇顎口蓋裂,眼間解離,前頭突出,粗野顔貌) 3.その他の骨格以上(Sprengel 変形,合指趾症,胸郭変形) 4.X 線検査以上;トルコ鞍骨性架橋,脊椎の異常,手足 のモデリング欠損 5.卵巣線維腫 6.髄芽腫 *括弧内は図4と対応 図4 Gorlin 症候群に生じる典型的症状 小野寺,他:疾患特異的 iPS 細胞の利用 296 ― 36 ―

(6)

ホ ッ グ(Ihh),ソ ニ ッ ク ヘ ッ ジ ホ ッ グ(Shh),デ

ザートヘッジホッグ(Dhh)の3つの遺伝子が発現し

ており,Shh は生体内に広く発現しており,Ihh は

前肥大軟骨細胞に特異的に発現しており,軟骨内骨

化を緻密に制御していると考えられている。

2)次世代シークエンス技術を用いた網羅的な遺伝

子解析

1996年に Gorlin 症候群の原因遺伝子が Hh の受容

体である PTCH1であると同定された

14,15)

。PTCH

1は大きなタンパク質で1447アミノ酸からなる。

Gorlin 症候群患者の遺伝子変異部位は非常に多彩で

あり,症状と変異部位の関係は見つかっていない。

近 年,PTCH1以 外 の Hh 受 容 体 PTCH2お よ び

SUFU における変異での Hh の活性化においても

Gorlin 症 候 群 が 生 じ る と の 報 告 が あ る こ と よ

16−18)

,Hh の活性化に関連する他の遺伝子におい

て変異が存在するか否か,次世代シークエンス技

*1

を用いて網羅的な遺伝子解析を行った。

Kimonos の診断基準により診断が確定し,イン

フォームドコンセント(東京歯科大学倫理審査委員

会 承認番号:527)を得た4名の患者より採取した

ゲノム DNA を解析した。その結果4症例すべてで

原 因 遺 伝 子 で あ る PTCH1遺 伝 子 の 変 異 を 確 認

し,その内3症例は今まで報告のない新規変異で

あった。また,患者の線維芽細胞は変異を有しない

線維芽細胞に比べ Hh 経路が活性化していることを

確認したが,活性化レベルは異なっていた。次に

PTCH1以外の Hh 情報伝達経路の関連する遺伝子

異常が重複して存在する可能性を疑い,Hh 経路に

関連する84の遺伝子のデータを解析した。このとき

Hasegawa D, et al. PLoS One,12:e0186879,2017より改変

図5 Gorlin 症候群患者由来 iPS 細胞の樹立(上) ⅰ)患者口腔内組織より採取した線維芽細 胞,ⅱ)iPS 細胞化因子を感染した後,ⅲ) 感染後25日後コロニー化した細胞がみられ る,ⅳ)iPS 様コロニーの発現。 疾患 iPS 細胞を用いた骨芽細胞分化に対す る応答性(中,下)NiPS,201B7,KD は原因 遺伝子に遺伝子変異がないコントロール iPS 細胞を,G-OFiPS は原因遺伝子に遺伝子変 異を持つ Gorlin 症候群由来 iPS を 示 す。細 胞骨芽細胞に発現しているアルカリフォス ファターゼ活性を染色にて確認しており, Gorlin 症候群由来 iPS 細胞の方が濃く染色さ れている(下)

Ochiai-Shino H et al. PLoS One 9⑹:e99534,2014より改変

Hasegawa D, et al. PLoS One,12:e186879,2017より改変

歯科学報 Vol.118,No.4(2018) 297

(7)

遺伝子変異が機能的異常に関連するか否かを判定す

る変異予測プログラム解析を行い,タンパク質機能

異常が強く疑われる遺伝子変異のみに着目した。す

ると case1には PTCH1と遺伝子が54%相同である

PTCH2にも変異が重複して存在し,case3,4に

は PTCH1,2とは異なる Hh 受容体である BOC

にも変異が存在することを確認した。Case2では

Wnt9b に変異が存在した。前述の通り,Gorlin 症

候群では PTCH2変異単独の報告もある。しかし,

単独遺伝子病として考えられているため原因遺伝子

PTCH1変異が存在した場合その他の Hh 関連遺伝

子については十分調べられていない可能性が高い。

多彩な Gorlin 症候群疾患病態の背景には複数の Hh

関連遺伝子変異が重複して存在し,結果として Hh

経路の活性化の違いを生み異なる表現型を誘導する

可能性もあると結論づけた

19)

*1 次世代シークエンス技術 DNA の配列を短時間で決定する技術である。生物の全ゲ ノム配列決定のような大規模な解析対象に対して用いられ, 時間あたりに解析可能な配列長,配列長あたりのコストの点 で,従来法を大きく凌ぐ効率のシステムが実用化されてい る。遺伝子変異,転写産物の解析,ゲノムの修飾状態の把握 などの手法として応用されている。

3)疾患特異的 iPS 細胞を用いたモデル解析

同時にヘッジホッグ情報経路恒常的活性化がもた

らす Gorlin 症候群骨病変メカニズムの解明のため

に患者由来 iPS 細胞の樹立を行った(図5)。これら

4症例の骨病変と Hh 関連遺伝子異常の関係を明ら

かにするため,iPS 細胞を用いた検討を行った。患

者由来 iPS 細胞は Hh 経路の活性化剤である SAG

に対し高い反応性を有していた。この細胞を用いて

我々が樹立した方法

20)

で骨芽細胞分化を行うと,コ

ントロール iPS 細胞に比べ骨芽細胞で高い発現がみ

られるアルカリフォスファターゼが強く発現してい

て,骨 芽 細 胞 マ ー カ ー で あ る RUNX2発 現 も 高

かった。骨芽細胞誘導を行うと他の骨芽細胞分化に

関連する WNT,BMP 群の遺伝子発現が優位に高

くなることから,Gorlin 症候群では Hh 経路に加え

WNT,BMP 群も協調的に亢進させることで骨芽

細胞誘導に過剰に反応し石灰化が亢進し骨組織病態

を生じさせる可能性が考えられた

21)

おわりに

私たちのグループでは遺伝子探索で症状を示す原

因となるターゲット因子を探索し,iPS 細胞のいか

なる細胞にも分化可能であるという特性を生かし,

症状の発生母地細胞へと分化させて病態解析を行っ

ている。現在は石灰化過剰メカニズムの探索の他

に,Gorlin 症候群 iPS 細胞を基底細胞へと分化さ

せ,基底細胞癌,歯原性角化嚢胞の発生メカニズム

についても検討を重ねている。

本研究は文部科学省私立大学研究ブランディング事業の助 成を受けました。 著者の利益相反:開示すべき利益相反はない。 文 献

1)Takahashi K, Yamanaka S : Induction of Pluripotent Stem Cells from Mouse Embryonic and Adult Fibroblast Cultures by Defined Factors. Cell, 126:663−676,2006. doi:10.1016/j.cell.2006.07.024

2)Takahashi K, Tanabe K, Ohnuki M, Narita M, Ichisaka T, Tomoda K, Yamanaka S : Induction of pluripotent stem cells from adult human fibroblasts by defined fac-tors. Cell, 131:861−72,2007.

doi:10.1016/j.cell.2007.11.019

3)Chow L, Johnson V, Regan D, Wheat W, Webb S, Koch P, Dow Steven : Safety and immune regulatory proper-ties of canine induced pluripotent stem cell-derived mes-enchymal stem cells. Stem Cell Res, 25:221−232,2017. doi:10.1016/J.SCR.2017.11.010

4)Lepage SI, Nagy K, Sung H-K, Kandel RA, Nagy A, Koch TG : Generation, Characterization, and Multilineage Potency of Mesenchymal-Like Progenitors Derived from Equine Induced Pluripotent Stem Cells. Stem Cells Dev, 25:80−89,2016.doi:10.1089/scd.2014.0409

5)Poleganov MA, Eminli S, Beissert T, Herz S, Moon J-I, Goldmann J, Beyer A, Heck R, Burkhart I,Barea Roldan D, Türeci Ö, Yi K, Hamilton B, Sahin U : Efficient Repro-gramming of Human Fibroblasts and Blood-Derived En-dothelial Progenitor Cells Using Nonmodified RNA for Reprogramming and Immune Evasion. Hum Gene Ther, 26:751−766,2015.doi:10.1089/hum.2015.045 6)Smith AG, Heath JK, Donaldson DD, Wong GG, Moreau

J, Stahl M, Rogers D : Inhibition of pluripotential embry-onic stem cell differentiation by purified polypeptides. Nature, 336:688−690,1988.doi:10.1038/336688a0 7)Sugita S, Iwasaki Y, Makabe K, Kamao H, Mandai M,

Shiina T, Ogasawara K, Hirami Y, Kurimoto Y, Takahashi M : Successful Transplantation of Retinal Pigment Epithe-lial Cells from MHC Homozygote iPSCs in MHC-Matched Models. Stem Cell Reports, 7:635−648,2016. doi:10.1016/j.stemcr.2016.08.010

8)Sugita S, Iwasaki Y, Makabe K, Kimura T, Futagami T, Suegami S, Takahashi M : Lack of T Cell Response to 小野寺,他:疾患特異的 iPS 細胞の利用

298

(8)

iPSC-Derived Retinal Pigment Epithelial Cells from HLA Homozygous Donors. Stem Cell Reports, 7:619−634, 2016.doi:10.1016/j.stemcr.2016.08.011

9)Matsumoto T, Fujimori K, Andoh-Noda T, Ando T, Kuzumaki N, Toyoshima M, Takahashi T, Nakanishi M, Ohyama M, Hattori N, Akamatsu W, Okano H : Functional Neurons Generated from T Cell-Derived Induced Pluripo-tent Stem Cells for Neurological Disease Modeling. Stem Cell Reports, 6:422−435,2016.

doi:10.1016/j.stemcr.2016.01.010

10)Matsumoto Y, Ikeya M, Hino K, Horigome K, Fukuta M, Watanabe M, Nagata S, Yamamoto T, Otsuka T, Toguchida J : New Protocol to Optimize iPS Cells for Genome Analysis of Fibrodysplasia Ossificans Progres-siva. Stem Cells, 33:1730−42,2015.

doi:10.1002/stem.1981

11)Saito A, Ooki A, Nakamura T, Onodera S, Hayashi K, Hasegawa D, Okudaira T, Watanabe K, Kato H, Onda T, Watanabe A, Kosaki K, Nishimura K, Ohtaka M, Nakanishi M, Sakamoto T, Yamaguchi A, Sueishi K, Azuma T : Targeted reversion of induced pluripotent stem cells from patients with human cleidocranial dysplasia improves bone regeneration in a rat calvarial bone defect model. Stem Cell Res Ther. 9:12,2018.

doi:10.1186/s13287­017­0754­4

12)Fujii K, Miyashita T : Gorlin syndrome(nevoid basal cell carcinoma syndrome): Update and literature review. Pediatr Int, 56:667−674,2014.doi:10.1111/ped.12461 13)Kimonis VE, Goldstein AM, Pastakia B, Yang ML, Kase R, DiGiovanna JJ, Bale AE, Bale SJ : Clinical manifesta-tions in 105 persons with nevoid basal cell carcinoma syndrome. Am J Med Genet, 69:299−308,1997. 14)Hahn H, Christiansen J, Wicking C, Zaphiropoulos PG,

Chidambaram A, Gerrard B, Vorechovsky I, Bale AE, Toftgard R, Dean M, Wainwright B : A mammalian patched homolog is expressed in target tissues of sonic hedgehog and maps to a region associated with develop-mental abnormalities. J Biol Chem, 271:12125−12128,

1996.

15)Johnson RL, Rothman AL, Xie J, Goodrich LV, Bare JW, Bonifas JM, Quinn AG, Myers RM, Cox DR, Epstein EH, Scott MP : Human homolog of patched, a candidate gene for the basal cell nevus syndrome. Science, 272: 1668−1671,1996.

16)Fan Z, Li J, Du J, Zhang H, Shen Y, Wang C-Y, Wang, S : A missense mutation in PTCH2 underlies dominantly inherited NBCCS in a Chinese family. J Med Genet, 45: 303−308,2008.doi:10.1136/jmg.2007.055343

17)Fujii K, Ohashi H, Suzuki M, Hatsuse H, Shiohama T, Uchikawa H, Miyashita T : Frameshift mutation in the PTCH2 gene can cause nevoid basal cell carcinoma syn-drome. Fam Cancer, 12:611−614,2013.

doi:10.1007/s10689­013­9623­1

18)Pastorino L, Ghiorzo P, Nasti S, Battistuzzi L, Cusano R, Marzocchi C, Garrè ML, Clementi M, Scarrà GB : Identification of a SUFU germline mutation in a family with Gorlin syndrome. Am J Med Genet A, 149A:1539− 1543,2009.doi:10.1002/ajmg.a.32944

19)Onodera S, Saito A, Hasegawa D, Morita N, Watanabe K, Nomura T, Shibahara T, Ohba S, Yamaguchi A, Azuma T : Multi-layered mutation in hedgehog-related genes in Gorlin syndrome may affect the phenotype. PLoS One, 12:e0184702,2017.doi:10.1371/journal.pone.0184702 20)Ochiai-Shino H, Kato H, Sawada T, Onodera S, Saito A,

Takato T, Shibahara T, Muramatsu T, Azuma T : A novel strategy for enrichment and isolation of osteopro-genitor cells from induced pluripotent stem cells based on surface marker combination. PLoS One, 9:e99534, 2014.doi:10.1371/journal.pone.0099534

21)Hasegawa D, Ochiai-Shino H, Onodera S, Nakamura T, Saito A, Onda T, Watanabe K, Nishimura K, Ohtaka M, Nakanishi M, Kosaki K, Yamaguchi A, Shibahara T, Azuma T : Gorlin syndrome-derived induced pluripotent stem cells are hypersensitive to hedgehog-mediated os-teogenic induction. PLoS One, 12:e0186879,2017. doi:10.1371/journal.pone.0186879

歯科学報 Vol.118,No.4(2018) 299

参照

関連したドキュメント

et al.: Selective screening for coronary artery disease in patients undergoing elective repair of abdominal

め測定点の座標を決めてある展開図の応用が可能であ

variants など検査会社の検査精度を調査した。 10 社中 9 社は胎 児分画について報告し、 10 社中 8 社が 13, 18, 21 トリソミーだ

茶道講座は,留学生センターの課外活動の一環として,平

にて優れることが報告された 5, 6) .しかし,同症例の中 でも巨脾症例になると PLS は HALS と比較して有意に

の多くの場合に腺腫を認め組織学的にはエオヂ ン嗜好性細胞よりなることが多い.叉性機能減

を,松田教授開講20周年記念論文集1)に.発表してある

今回の SSLRT において、1 日目の授業を受けた受講者が日常生活でゲートキーパーの役割を実