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鋳鉄の応力-歪線図の歪成分について

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(1)

鋳鉄の応力一査線図の歪成分について※

On the strain components of stress-strain diagram of cast irons. Toshio SHIOTA 鋳鉄の弾性的性質の挙動を別報で明らかにしたが,本報告は別報で得た黒鉛形状分 布の異なる各種市販鋳鉄に繰返し荷重を加えた場合の応力一歪線図をもとに歪成分 を解析したものである。鋳鉄の応力一歪線図において, 引張荷重を受ける歪成分は Gilbertが試みたように, 引張荷重を加えた場合は縦の歪,圧縮荷重を加えた場合は 横の歪を基地の弾性歪,基地の塑性歪,空隙による回復歪,空隙による永久査の 4つ の成分にわけることができる。その結果は片状および共晶状黒鉛鋳鉄では空│療による 歪成分は荷重初期から見出され,強度の低いものほど空隙による歪成分が多く,球状 および塊状黒鉛鋳鉄ではそれが小さいことが知られた。また荷重時および除荷時の黒 鉛部の空隙(亀裂〉の挙動を観察し,黒鉛部の空隙による歪成分を確認した。

1

.

緒 日 鋳鉄の応力一歪線図は比較的荷重初期から曲 線を描く,これは金属地中に黒鉛が折出分布し ているためで, こ の 黒 鉛 部 が 引 張 荷 重 を 受 け る 場 合 は 空 隙 と し て 作 用 す る と 考 え ら れ て い る1〉J〉O 鋳鉄に引張荷重を加えた場合,縦弾 性係数およびポアソン比が応力の増加と共に減 少する。 Gilbert2)は縦弾性係数やポアソン比 が応力の増加と共に減少するのは黒鉛に空隙が 形 成 さ れ る こ と を 仮 定 す れ ば 説 明 し う る と 述 べ,片状黒鉛鋳鉄の全縦の歪を基地の弾性歪, 基地の塑性歪,黒鉛部の空隙による回復歪,黒 鉛部の空隙による永久歪の4成分にわけで解析 している。 本報告は別報3)で行った繰返し荷重を加えて 求めた応力一歪線図および諸弾性係数の測定結 ※ 日本鋳物協会講演大会に発表 (67,73回) 果にこの Gilbertの考えを導入し,黒鉛形態の 異なる各種市販鋳鉄の歪成分を解析し,主に黒 鉛の形状分布ならびに鋳鉄の強度とこれらの歪 成 分 と の 関 係 に つ い て 行 っ た 結 果 お よ び 考 察 で,さらに空隙による歪成分を顕微鏡で観察し たものである。

2

.

供試材料および解析方法 実験に用いた供試材料は別報と同ーの片状, 共晶状,球状および塊状黒鉛鋳鉄で,顕微鏡写 真は省略し,その化学分析成分,機械的性質, 基 地 組 織 お よ び 黒 鉛 形 状 の み を Table 1に示 した。 歪成分の解析は繰返し引張および圧縮荷重を 加えて得られた履歴ループならびに諸弾性係数 と応力の変化との関係などの測定結果を用いて Gilbertが試みた方法を導入, 引張荷重を加え た場合の全縦の歪を基地の弾性歪,基地の塑性 歪,黒鉛部の空隙による回復歪,黒鉛部の空隙

(2)

鋳鉄の応力一歪線図の歪成分について - 73一 Table 1. Chemical compositions, mechanical properties and graphite shapes of specimens

Chemical composition

%

Mechanical properties Specimen T.0 1 G. 0 1 Si 1 M n 1 p 1

s

TstmensgilL│Flonga

叫│

Structure of Shraapphe of 立latnx graphlte Kg/mm2 1

%

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A-1 3.52 3.04 2.26 0.52 0.220 0.119 16.5 0.61 157

l

mllteHIltferriteB+D tFlake (A+ ype) A-2 3.50 2.90 2.47 0.71 0.086 0.073 21.7

o

.

75 177 /1 /1 /1 11 A-3 2.96 2.20 2.21 0.72 0.056

o

.

103 32.6 0.66 230 Pearlite F(A tlakeype) A-4 2.92 1.92 1.47 0.74 く0.01 0.072 38. 7 0.67 245 /1 /1 /1 /1 B

3.1412.0811.11 1 O.1

41 22.8 C13.6413.3212

咋判。ゆ州

55.2 D 11.9611沌 10

31 1 0.0301 0.1231 36.6 0.48 201 │pearlithl tferrite

I

.t:..urec的 tIIor町1 6.0 181 /1 /1 1 Spheroidal 11.9 104 による永久歪の 4成分に分けて解析した。いま 全 歪 Eは回復歪を En 永久歪を Epで表わせば E=Er十Ep で定義される。またしと Epは ) 4E よ , , , , ‘ ‘ 、 、 Er=Erm十Erv (2) Ep=Epm十fpv (3) で表わされる。ここにErmは基地の弾性歪ん・vは 空隙による回復歪, EPmは基地の塑性一歪,Epvは空 隙による永久歪を示す。すなわち荷重を取り去 った後に残る歪を永久歪,全歪と永久歪の差を 回復歪とし,荷重初期の縦弾性係数が一定値を 示す値を基地の弾性歪と考え,全回復歪と基地 の弾性歪との差を空隙による回復歪とした。ま た基地の塑d性歪は塑性変形下では容積が一定で あると仮定すれば,縦の基地の塑性歪は横の基 地の塑性歪の2倍に等しくなり,基地の塑性歪 は求められる。したがって空隙による永久歪は 30 戸

H

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o

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E

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5

.

15

.

.

..... CIl ~ 10 Uつ 口

5 全永久歪と基地の塑性歪の差によって求めた。 しかし横の歪は回復歪線と弾性歪線が一致する ため空隙によるた歪成分は認められなかった。 圧縮荷重を加えた場合の縦の歪は回復歪と基 地の弾性歪が一致するため,空隙による回復歪 は見出せなかった。しかし横の歪は引張荷重を 加 え た 場 合 の 縦 の 歪 成 分 と 同 様 に 基 地 の 弾 性 歪,基地の塑性歪,空隙による回復歪,空隙に よる永久歪の 4成分に分けられる。

3

.

解析結果および考察

3

.

1

.

引張荷重を加えた場合の縦および横の歪 成 分 引張荷重を加えた場合の応力一歪線図の縦お よび横の歪の解析結果をFig.lに示した。同図 から明らかなように縦の歪は片状および共晶状 黒鉛鋳鉄では

o 0

.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50 0 0.05 0.10 0.15 Longitudinal strain,

%

Latral strain,

%

(a) A-l

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犯25 も5 ωU』d 31 20 2 ドω ロω 15 10 5 近 畿 大 学 工 学 部 研 究 報 告No. 2. 30

o

0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50 0 0.05 0.10 0.15 Longitudinal strain

%

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(b) A-2

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6

Latral strain

%

(c) A-3

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0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50 0 0.05 0.10 0.15 Longitudinal strain,タ

6

Latral strain

%

(d) A-4

(4)

5 n u q ム 司 ム 悶

E

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5 40 35 ¥ 伺凶Ebz E 3 0 25 も 5』UJ つ 20 2 ド5 ω 15 10 5 日 U R J n u 円 3 ワ ム 円 L 目

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切 凶 ul む 15 ~ . , _ , c/l ぷ 10 c/l 口

5 鋳鉄の応力一歪線図の歪成分について 30

γ

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0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50 0 0.05 0.10 0.15 Longitudinal strain

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% Latral strain,タ

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0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50 0 0.05 0.10 0.15 0.20 Longitudinal strain,タ

6

Latral strain, % (g) D Fig. 1 Total tensile strains separated into components. ε : T otal strain er: Recoverable strain εrm: Elastic strain due to matrix Erv: Recoverable strain due to voids ep: Permanent strain

εpm: Permanent strain due to matrix εpv: Permanent strain due to voids

(5)

ライトによって非常に異ってくる。),弾性歪線 と回復歪線の分離は全歪線がわん曲し,応力が 相当高くなってから初めて行われる。 2)空隙による永久歪およば回復歪が生じる 応力は片状および共晶状黒鉛鋳鉄の場合より高 応力側に移動する。 3)永久歪のうち,基地の塑性歪は片状およ び共晶状黒鉛鋳鉄に比較して著しく大きく,空 隙による永久歪が非常に小さい。 ことなどが知られた。 横の歪は片状および共晶状黒鉛鋳鉄の場合は 一般に回復歪線と弾性歪線が一致し,空隙によ る査成分は認められない。したがって永久歪は 基地の塑性歪を表わし縦方向の負荷応力と横方 向の回復歪の比で定義した横弾性係数は一定に なる。これは別報で報告した横弾性係数の測定 結果とよく一致する。しかし試料A-1,A-2の ように強度の低いものでは回復歪線と弾性歪線 が分離し,回復歪は弾性歪より小さくなる傾向 にある。したがって横弾性係数は一定値を示さ ず,応力が高くなると増加する傾向にある。こ れは別報で指摘したように強度の低い鋳鉄では 組織中に粗大な黒鉛片が多量に存在し,応力が 増加すると共にこれらの黒鉛片は圧縮荷重に対 して抵抗を示し,基地の弾性歪おも妨害するた めに回復歪は基地の弾性歪より小さくなったも のと推察される。 球状および塊状黒鉛鋳鉄の場合は回復歪と基 地の弾性歪は一致し,空隙による歪成分は認め られないが,永久歪量が片状および共晶状黒鉛 鋳鉄に比べて極めて大きく,基地の塑性歪も大 きいことが知られた。

3

.

2

.

圧縮荷重を加えた場合の縦および横の歪 成 分 圧縮加重を加えた場合の応力一歪線図の縦お よび横の歪の解析結果をFig.3に示すが,圧縮 荷重を受ける縦の歪は回復歪と基地の弾性歪が 一致するため,引張荷重を加えた場合のように 空隙による回復歪は見出せなかった。したがっ て全縦の歪から弾性歪を差引し、たものは基地の 塑性歪を表わす。また基地の弾性歪と全歪が分 離する応力は低強度のものは比較的荷重初期に 起こり,やはり低応力で永久歪が存在する。 研 究 報 告 No. 2. 近 畿 大 学 工 学 部 1 )弾性歪線と全歪線との分離は応力の極め て低い点から,弾性歪線と回復歪線との分離も 比較的荷重初期から始まり,低応力ですでに永 久歪が存在する。 2)空隙による永久歪および回復歪はいづれ も低応力で生じ,黒鉛部に空隙が形成される。 3)縦弾性係数を別報で述べたごとく負荷応 力と回復歪との比で定義すれば,縦弾性係数の 低下は弾性歪線と回復歪線が分離する点から始 まり,縦弾性係数の測定結果とよく一致する。 4)永久歪のうち,空隙による歪の占める割 合は強度の低い鋳鉄ほど大きく,引張強さ15- -20kgJmm2程度のものでは全永久歪の大部分が 空隙による永久歪で占められているが,強度が 高くなると空隙による永久歪と基地の塑性歪に よる歪量の差が小さくなる。 5)引張強さが高くなるほど全歪と回復歪が 分離する応力も高くなり,高強度のものほど弾 性的性質を示す領域は大きくなる。永久歪およ び基地の塑性歪が0.01%生じる応力と引張強さ との関係を Fig.2に示したが,強度が高いもの ほど永久歪および基地の塑性歪が生じる応力も 高くなっていることが知られる。 76 -30 20 AU - - E A 10 20 30 40 Tensile strength, Kg/mm2 Fig. 2 Relation between tensile strength and stress at permanent strain 0

訓,%

of flake and eutectiform graphite cast lrons 50 15 5 F h J 円 ノ

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凶 小 沢

5

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判 的 判

555

む 仏 百 回 目 E

また球状および塊状黒鉛鋳鉄では 1 )弾性歪線と全査線との分離は比較的荷重 初期から行われるが(基地がフェライトかパー

(6)

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40 bD 凶

i

30 <I..l 10-. ~ 20 ω 』

10

ζミ 鋳鉄の応力一歪線図の歪成分について

o

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 世司 自 50

40 bD 凶

i

30 <I..l 」 rn ~ 20 52 < I..l 』

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10

Q Longitudinal strain,

%

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(a) A-l

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0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 70 60

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bD 凶 40 <I..l ω30 〉 ω

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10 Longitudinal strain,

%

Latral strain,

%

(b) A-2

o

0.1 0.2 、0.3 0.4 0.5 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 Longitudinal strain,

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-77

(7)

78 -E司 自 8 50 、 ¥ bD 凶 '" 40 ' "Q) 』 . . . . , ' " ω 3 0 〉

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10

U 近 畿 大 学 工 学 部 研 究 報 告 No. 2. 70 60 ハ U l

o

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0-5 Longitudinal strain

% Latral strain

% (d) A-4 70 60 10 Ul O~ U3 U4 U5 Lοngitudinal strain

%

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0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 Latral strain,タ

6

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0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0 Longitudinal strain

% (f) C Ql O~ 03 Q4 U5 Latral strain,

%

(8)

- 79ー 鋳鉄の応力一歪線図の歪成分について 50 30 10 20 40 n g E ¥ 凶 , E E M 凶

2 5

ω

﹄ 仏 記 。 Q 0.5 0.1 0.2 0.3 0.4 Latral strain, %

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 Longitudinal strain

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D Total compressive strains separated into components. 50 ハ υ ー ハ U ハ U ~l 5 “自 己'---ωbD

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.

0

5

5

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百 E E H H b 門 凶 百 五 七 三 百 口 。 ︻ 百 回 目 ω ぷ ∞

(9)

近 畿 大 学 工 学 部 研 究 報 告 No. 2. - 80-40 35 30

h

」 防自E 温 25 4cEVn d 3 20

ド百ωω 同 15 10 5

0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 Volume change,

%

Fig.6 Volume change under tensile stress

3

.

3

.

容積変化と黒鉛部の顕微鏡観察 歪成分の解析は空隙が形成されることを仮定 したもので,すで、に荷重を加えた場合の黒鉛部 の顕微鏡観察は2.3報告的町内され黒鉛部に空 隙が形成されることは明らかにされている。ま た別報で測定した縦および横の歪から容積の変 化を計算することができる。すなわち引張荷重 を加えた場合,弾性変形下で、は荷重の増加と共 に容積は近似的に Vc=1-2νEZ +EZ (4) の関係で増加する。ここにVcは容積変化, νは ポ ア ソ ン 比

EZは縦の歪で、ある口塑性領域に入 ればνは弘となるからVc=lとなり,容積変 化は起こらなし、。 しかし実際には Fig.6に示 すように塑性域に入れば急速に増大することが 知られるo これは Gilbert2) およびCloughと Shunkりらも指摘しているように空隙の形成に よるものであると考えられる。圧縮荷重を加え た場合は荷重初期の弾性変形下で、は次式により 容積は減少する。 Vc=1+2νEZ-EZ (5) 塑性変形領域に入れば引張の場合と同様に容積 は一定となるはずであるが, Fig. 7に示すよう に片状および共晶状黒鉛鋳鉄の場合は急激に増 70 60 C'I i 5 0 ‘、、、. 切3 ...!:<i ~ 40 ω . . . . . .... CIl ~ 30 CIl ぴ3 ω 』 0.. E

ζ主 n u l

-0. 1 0 O. 1 0.2 0.3 Volume change

%

Fig. 7 Volume change under compressive stress

大する。すなわち圧縮荷重を加えた場合も荷重 が増加すると引張荷重を受ける横の査に空隙が 形成されることが知られる。しかし球状黒鉛鋳 鉄の場合は応力一歪線図が相当わん曲するまで 直線的に減少し,塑性域に入れば計算による容 積変化はばらつきが大きいが,片状および共晶 状黒鉛鋳鉄のような容積の増加は見られなかっ た。

(10)

鋳鉄の応力一歪線図の歪成分について - 81 -こ -こ で 空 隙 に よ る 回 復笠 および永久歪につ いてどのように考えるかということが問題であ る。そこでFig.8に 示 す 曲 げ 破 壊 試 験装置を Photo. 1に示すように顕微鏡に取付け,一定曲 げ荷重を増加させるごとに除荷し,試験片が破 断するまで繰返し, 400倍の顕微鏡観察で荷重 時と除荷時の黒鉛部の空隙の挙動を観察した。 片状黒鉛鋳鉄(引張強さ 43kgjmm2)の引張側 の観察結果を Photo.2に,球状黒鉛鋳鉄(ヲ│張 強さ 71kgjmm2)の観察結果を Photo.3に示す が,これらの結果から明らかなように片状黒鉛 鋳鉄では荷重時に形成される黒鉛部の空隙(亀 裂〉は,荷重を取り除くと小さくなり,一部は 回復し,一部は永久歪として残ることが観察さ れ,応力が増加すると共に黒鉛部の亀裂による 空隙の永久歪および回復歪は増大することが知 られる。また黒鉛先端で、の応力集中も明らかに 認められる。このことは黒鉛部の空隙形成が鋳 鉄の変形に対する重要な役割をはたしているこ とを証明するものであるが,空隙が回復したり Fiεe.8 Bending rupture test apparatu

.

(11)

-82- 近 畿 大学 工 学 部 研 究 報 告No.2

で え

Bending stre s s σ B =-1-2. I kg/mm:!

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σB=52.9 kt'/mm:! り “

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n D σ 事 σB=73.6 kg/mm:3 Loaded σs= 0 σs= 0 泊 跡 事 σB= 0 奪 σB= 0

Photo. 2 Microstructuresofloaded and unloaled Aake grephite castiron.(x 512)

(12)

鋳鉄の応力一歪線図の歪成分について ‘ ・ 叫 Bending stress σB=72.5 kg/m m!J σB =83.6 kg/m m!l

r

.

、、四略 司ぬ 》 司r ‘r

.

.

σB =94.7 kg/m m!J ぬ康 弘、 1f σB = 105. 9 kg/m m2 Loaded n o

ミ逮 σB= 0 σB= 0 σB= 0

U

R

.J 明仲

.

.

' 司. σB= 0

Pho旬.3 Microstructures of loaded and unloaded spheroidal graphite cast iron (x 512) Unloaded

(13)

-84- 近 畿 大 学 工 学 部 研 究 報 告 No.2. 永久変形するということ自体大きな矛盾を含ん でし、る。しかしこの空隙が形成される起因を考 察すれば,金属地中に折出分布している黒鉛片 は引張荷重を受ける場合空隙としてのみ作用 し,基地の応力伝達を阻害し,黒鉛片の先端等で 局部的な応力集中が起り,この黒鉛先端の基地 部の塑性域での弾性変形および塑性変形成分が 空隙による回復笠および永久子

E

に該当すると推 察すれば理解できる。球状黒鉛鋳鉄ではPhoto.3 に示すように荷重時に形成された空隙は除荷し でも殆んど変らず,空隙による回復笠が見出し がたかった。したがって笠成分の解析でも相当 高応力になってはじめて空隙による主成分が見 だされたが,圧縮荷重を加えた場合の横の歪の ように空隙による歪成分が見出せないことなど まだ不明な点が多い。 圧縮側の黒鉛部の挙動はPhoto.4に示すよう に黒鉛は圧壊されているが,引張荷重を受ける 場合に見られるような黒鉛先端の応力集中は見 られず,黒鉛を復雑な形状をした密閉した鋼の 容器の中につめられた非圧縮性の物体と考えれ ば,当然大きな抵抗を示すことになり,引張荷 重を加えた場合と圧縮荷重を加えた場合では強 度に大きな差が認められることは充分理解でき る。 x400

Photo. 4 Microstructure ofAake graphite cast ironunder compressive stress.

4

.

結 区ヨ 黒鉛形状分布の異なる数種の市販鋳鉄に繰返 し荷重を加えて得られた応力一歪線図をもとに して,その歪成分を解析し, あわせて黒鉛部の 荷重時と除荷時の挙動を観察した結果を要約す ると次のようである。 l. 引張荷重を加えた場合,縦の歪成分は基 地の弾性歪と塑性歪,空隙による回復歪と永久 歪にわけられるが,横の歪は空隙による歪成分 は見出せない。

2

.

圧縮荷重を加えた場合,縦の歪は空隙に よる歪成分は見出せなかったが,横の歪は引張 荷重を加えた場合の縦の歪と同様に4つの成分 にわけることができる。 3. 引張荷重を加えた場合の縦の歪成分およ び圧縮荷重を加えた場合の横の歪成分のうち, 全歪と基地の弾性歪,基地の弾性歪と回復歪が 分離する応力は全般に低く,片状および共晶状 黒鉛鋳鉄では引張強さが高いほど高荷重側に移 動する。また引張荷重を加えた場合より圧縮荷 重を加えた場合の方が分離する応力は高い。 4. 引張荷重を加えた場合の片状および共晶 状黒鉛鋳鉄においては比較的荷重初期から空隙 による歪成分が見出され,空隙による歪成分の 占める割合は強度の低い鋳鉄ほど大きく,強度 が高くなるにつれて空隙による永久歪と基地の

(14)

鋳鉄の応力一歪線図の歪成分について - 85-塑性歪との差は小さくなるo球状および塊状黒 鉛鋳鉄の場合は空隙による歪成分の占める割合 が片状および共品状黒鉛鋳鉄よりはるかに小さ

5

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圧縮荷重を加えた場合の横の歪の空隙に よる成分は引張荷重を加えた場合の縦の歪の空 隙による成分に比較して小さく,球状および塊 状黒鉛鋳鉄は空隙による歪成分は見出せなかっ た。

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鋳鉄の荷重時の容積は空隙形成により増 加 す る 。 ま た 荷 重 時 と 除 荷 時 の 黒 鉛 部 の 空 隙 (亀裂〉の顕微鏡観察により,荷重時には黒鉛部 に空隙が形成され,除荷すると一部は回復し, 一部は永久歪として残ることが確認できた。 終りに本研究に当って本学理工学部教授石野 亨博士の御指導におうところが大きいのでここ に深く感謝致します。 文 献 1) H: T. Angus : Physical and Engineering Properties of Cast Iron p68 (1960) 2) G. N.

J

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ilbert : BCIRA.

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vol.11, No. 4, p512~524 (1963) 3) 塩田, 小松:近大工学部研究報告, No. 2, p58~71 (1968) 4) 石野,塩田:鋳物 vo.l36, No. 6, p570~579 (1964) 5) 石野,塩田:鋳物 vol.136, No. 7, p663~ 669 (1964) 6) 草川,中田;鋳物 vol.35, No. 6, p354~363 (1963) 7) W. R. Clough, M. E. Shank : Trans. A S M, vo1.49p241~262 (1957)

Table 1 .   Chemical c o m p o s i t i o n s ,  m e c h a n i c a l  p r o p e r t i e s  and g r a p h i t e  s h a p e s  o f  s p e c i m e n s   Chemical c o m p o s i t i o n ,  %  Mechanical p r o p e r t i e s 

参照

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