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<総説>三叉神経痛及び半側顔面痙攣例の圧迫血管描出法の歴史的変遷 利用統計を見る

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三叉神経痛及び半側顔面痙攣例の

圧迫血管描出法の歴史的変遷

永 関 慶 重 山梨医科大学脳神経外科 キーワード 核磁気共鳴,三叉神経痛,半側顔面痙攣,神経血管減圧術 はじめに  本態性三叉神経痛(以下:三叉神経痛)及び 半側顔面痙攣(以下:顔面痙攣)に対しての治 療法として神経血管減圧術(Microvascular decompression)の有効性が数多く報告されて いるH1>.この治療法は1962年にGardner3)が 三叉神経痛および顔面痙攣の発症機構を報告し て以来,1967年からJannettaらがこれら患者 への顕微鏡下手術を施行して,術中に圧迫血管 の確認およびこの血管の神経よりの減圧によ り,症状が軽快することが判明した5).以後, 脳神経外科領域で同手術法が行われ,他の治療 法に比し1’4・10)本手術法の有効性が確認され, 集計された報告例の残存率は三叉神経痛2,400 例中22%,顔面痙攣543例申15%であり!l),そ の治療法も確立された,この発症原因として, 血管の圧迫部位が中枢神経の髄鞘であるoli−

godendrogliaと末梢神経の髄鞘である

Schwann ce11との移行部(neurilemmal lunc− tion)であることも判明した3辱5・11 13).この部 は軸索自体が髄鞘による被覆の欠落した部であ り,互いに隣接し合った軸索が圧迫による接触 のため,電気生理学的に短絡を生ずることによ るとされている.しかし,これら病態の術前診 断は臨床症状が主体で,X線学的補助検査法に 〒409−38山梨県中巨摩郡玉穂町下河東!110 受付:1994年12月25日 受理:!994年12月30日 て病因論的に神経と血管との関係を明らかにし ょうとの試みがなされてきたが,双方の同時描 出が不可能であった.近年MRIの導入により, こうした神経と血管との関係を描出する画像診 断の報告例が散見されるようになり,我々も MRIの利点を生かし,撮像条件および撮像方 向を工夫することで,これまで不可能であった 問題を解決する糸口を見いだすことができた. 今回,従来施行されてきた各種検査法の報告例 をreviewして,圧迫血管を描出するためにど のような工夫が成されてきたのかを歴史的変遷 および我々の方法と共に考察する。 1 頭蓋単純X−P  本検査法では,文字通り頭蓋骨のみの評価し かできず,神経および血管に関する情報は皆無 に近い.しかし,岡村ら14)は屍体脳12例を用 いて,三叉神経および顔面神経の脳幹より5 mmの部にマイオジールを浸した綿シートを取 り巻き,これを標識として頭蓋骨X−Pを各方 向から撮影し,種々の頭蓋骨基準線から一定し た領域にこれら神経の起始部が位置しているこ とを確認した.この結果を元に椎骨動脈撮影の 動脈および静脈所見より仮想した神経近傍部の 血管所見を元に圧迫血管を推定しようと試み た.本法での問題点は,標識した神経部位が病 因論的にneurilemmal lunctionより末梢である ことや椎骨動脈撮影の血管走行が頭蓋骨X−P の錐体骨や乳突蜂巣などにマスクされ判読しに

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くいことである.更に岡村らの方法では,椎骨 動脈撮影が必須であり頭部単純X−Pのみで は,圧迫血管の想定は不可能であった. H 脳血管撮影(椎骨動脈撮影)  椎骨動脈撮影のみでは血管のみの情報しか得 られないが,その血管の走行を元にして圧迫血 管であろうと推測する報告例が幾つか散見され る15備17).Jannettaらは術前の椎骨動脈撮影は 無用であるとして,その有用性を否定してい る2)’5).しかし,Wagaらは三叉神経痛例の脳 底動脈の拡張蛇行像が,圧迫血管を有する例の 有用な所見と報告した15).更に,近藤ら16)は 顔面痙攣例の椎骨動脈撮影で片側性に拡張した 椎骨動脈のhair pin状走行あるいはS訴状に蛇 行した脳底動脈とその分枝の走行状態が,圧迫 血管の有無を予測するのに有用であると報告し ている.しかし,Carlosらは,術中に圧迫血 管を認めた51例の顔面痙攣において,術前の椎 骨動脈撮:影にて前下小脳動脈(AICA),後下 小脳動脈(PICA)および椎骨動脈のanomaiy and variationは正常例に比して有意に多いが, これらは個々においては正常あるいは正常の variantと判断されるだろうと報告している18)。 こうした脳血管撮影のみで圧迫血管の有無や圧 迫様態を予測するのは,肝心の神経が描出され ないことより,あくまでも間接所見であると言 わざるを得ない.三叉神経痛および顔面痙攣は 正常血管の圧迫による機能障害であることを考 えると,手術は勿論のこと,付随する補助検査 法も全て安全かつより確実に行うべきである. 脳血管撮影が造影剤や手技の向上と共に安全性 が高くなったとは言え,被検者にとっては苦痛 と不安は避けられない問題である.しかし,三 叉神経痛あるいは顔面痙攣(まれに双方を同時 に合併するtic convulsif)を呈する他の血管性 病変(椎骨脳底動脈のectasia19),脳動脈瘤20’21), 脳動静脈奇形21−23),遺残動脈24))を除外する ための補助検査法としての意義は大きい. Tsubakiらは,三叉神経痛として神経血管減圧 術を目的に手術を施行した1,257例中,臨床的 に典型的三叉神経痛にも関わらず,術中に cryptic angiomaを三叉神経周囲に認めた7例 を報告している23).しかし,これら7例中,

術前脳血管撮影を施行した6例の内5例が

negative丘ndingで,更に術前のCTにては全 例negative伽dingであった.こうした極めて 稀で特異な血管異常{脳動静脈奇形による三叉 神経痛の頻度は1/414(0.24%)25),2/112 (1.7%)26)}を除外するために,脳血管撮影を routineに行う必要性はほとんどないものと考 える.そこで,非侵襲的な信磁性の高い他の有 効な検査法の必要性が出てくるのは当然とも言 える, 皿 CT scan  CT scanにより頭蓋内占拠性病変の診断率が 格段に上がったことは周知である.しかし,太 い視神経や三叉神経以外の脳神経系の描出不 良,撮影方向のHexibilityの乏しさ,後頭蓋窩 の骨によるアーチファクトの問題等,この領域 における診断機器としての評価は低い.Sobe1 らは24例の顔面痙攣患者に椎骨動脈撮影とCT を行い術前の圧迫血管の同定は不可能であった と報告した27).しかし,Digreらは46例中38例 で異常を検出し,内36例が椎骨脳底動脈系の Dolichoectasiaを認め,この所見は患側で92% に認められたと報告している28).また脳底動 脈本幹の圧迫による三叉神経痛45例を報告した 宮崎らは,術前造影CTを施行した43例全例に prepontine cisternの病側に遍在した1inearに 造影される椎骨脳底動脈像を確認した.しかし, 脳底動脈以外の血管圧迫による300例では,こ のような所見は一例も認めなかったとしてい る29).圧迫血管が拡張蛇行した椎骨脳底動脈 の場合には造影CTでその描出は可能として も,神経の描出は不可能であり,相互関係把握 のためのCTの役割は極めて乏しいと言える. しかし,症候性の三叉神経痛あるいは顔面痙攣 のscreeniH9の検査法としての役割は残されて いる30・31).

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IV Gas(Air)CT cisternography  上記の神経描出が不良なCTの欠点を補うた め,Unsoldはthin section CTを用いて, met. rizam重deあるいはairをくも膜下腔に注入する と,ほとんどすべての脳神経の描出が可能であ り,造影剤の静注により神経と血管との鑑別も 可能としている32).また,内耳孔内の聴神経 腫瘍の例で小脳橋角部に充満したair像内に顔 面神経を描出しえた報告33)や,逆に動静脈奇 形による症候性三叉神経痛に対して,血管陰影 がnet work状の創1ing defectとして描出され た報告鋤がある.しかし,三叉神経痛や顔面 痙攣例に対してAir CT cisternographyにより 血管と神経の同時描出が可能であったとの報告 例はない.本法はmetrizamideあるいは空気を 腰椎穿刺にて注入するという侵襲的な方法であ り,侵襲の程度に比して得られる情報が乏しい ため,神経と血管との関係の描出法としては確 立されなかったと思われる.

V MRI

 以上述べてきた種々の検査法では,神経と血 管を同時に描出することは困難で,CTや脳血 管撮影は症候性三叉神経痛や顔面痙攣の器質的 病変を除外するための画像診断法としてのみ位 置づけられてきた.MRIの機能の特殊性は, 水平断面像のみならず前額断あるいは矢状断を 随意に撮像できる撮像方向の多様i生,従来の検 査法では困難であった脳神経や血管をも描出可 能にした撮像条件の多様性および空間分解能に 優れた解像力をも持ち合わせていることによ る.  三叉神経痛のMRIによる神経と血管との関 係を描出しえた報告はWongら35)とCruccu ら36)の各1例,およびTashら37)の6例があり, これらはいずれもT1強調前額断像を用いた例 であった.これらの報告では神経の描出が出口 の一部のみで認められ,また血管を思わせる所 見は,How voidとして描出されはするが髄液 腔の低信号域と判別しにくく,結局神経と血管 との関係は椎骨動脈写との総合的判断によって いた.Hutchi鵬らは29例の非定型的,定型的 三叉神経痛および30例の正常人に対してMRI を施行し,三叉神経の脳幹からの出口を前額断 および水平断にて撮像した.この結果,神経へ の血管接触を示した割合は57%,正常人のそれ は27%であったとしている.この神経への血管 接触は正常群と比較しても有意差はなく, MRIによる手術患者の選択には有用ではない と述べている38).  顔面痙攣例の圧迫血管をMRIにより描出し えた報告は,Tashらの拡張蛇行した椎骨動脈 による1例39),樫らの12例中3例の椎骨動脈 による圧迫所見40),およびTashらの12例全 例41)などである.Tashらの撮像方向および条 件はT1強調前額断像であり,三叉神経痛のそ れと37)同様に髄液腔が低信号域のためspotty How voidを判別しにくい欠点がある41).また

樫らの報告では,AICAあるいはPICAなど

椎骨動脈に比し明らかに細い血管の描出は MRIにおいては困難であったとしている.こ の原因として,血管の描出条件に問題があると 思われる.福島によると顔面痙攣例の椎骨動脈 による圧迫は18%にすぎず(AICA65%,PI− CA 16%)2),圧迫血管の画像診断としてMRI をより有用なものとするためには,残る72%を 安定して描出する工夫が必要である.  これまでの報告例によるMRIの問題点を以 下に列挙する. 1.従来の撮像方向(水平断,矢状断あるいは 前額断)によるため,一定して神経の全貌が描 出されておらず,血管の圧迫位置を面でなく点 で捉えていたこと. 2.撮像条件としてT1強調画像では,血管の 描出が低信号域となり髄液腔との判別がつきに くい.T2強調画像では髄液腔は高信号域で How voidは判別し易いが,神経は高信号域に maskされてしまうこと.

3.AICAあるいはPICAなど,椎骨脳底動

脈に比し細い血管の描出率が明らかに不良で あったこと,等である.  我々は,これらの問題点を克服すべく,圧迫

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血管の大小あるいは圧迫方向に関わらず一定し て圧迫血管と神経との関係を描出しうる撮像方 向及び撮像条件を報告したので42−44),以下そ の方法についての概略を述べる.詳細は該当文 献を参照されたい.        A.撮像方向  血管の圧迫方向に関わらず神経と血管を同時 に描出可能とするには,図1に示したschema のような断面が上記1の問題点を克服すると思 われる.我々はこの撮像方向を斜位矢状断 (oblique sagittal view:以下OS view)と呼 ぶことにした42−43).  三叉・顔面各神経を安定して描出するため に,当院の坂本らの顔面神経の安定描出法のた めの検討がある45). a.水平断にて一定した神経の描出法の確立  正中矢状断の脳幹の背側に一致する線と橋延 髄移行部(顔面神経の出口)において腹尾側方 向の線と105。の角度で水平断をscanすること である(図2A, B).これにより顔面神経が95% の確率で安定して両側性に描出されることが明 らかとなった. b.この水平断の顔面神経の走行にcursorを一 致させて(図2C)撮像することで容易にOS viewがえられる(図2D) 図2.顔面神経の斜位矢状断の撮像法   A,T1強調正中矢状画像;aは105。   B.Aより得られたT!強調水平断像;arrow   headsが顔面神経large arrowは手術の進   入方向   C.Bで描出された神経の走行にcursorを一   致させる   D.Cより得られたT1強調斜位矢状断像;   arrow headsは顔面神経および聴神経    (文献42より引用)        よムは

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ぞ 畢 .幽メ∼ソζ 図1.顔面痙攣(左)および三叉神経痛(右)にお   ける斜位矢状断のschematic illustration(文   献43より引用)

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図3.三叉神経の斜位矢状断の撮像法   A.T1強調正中矢状断像;tは105。   B.Aより得られたT1強調水平断像の三叉神経の走行に一致させてcursorをおく. double arrow   headsは三叉神経   C。Bより得られたT1強調斜位矢状断像;arrowは三叉神経(錐体骨を越えている)    (文献42より引用)  また,三叉神経の場合も同様に,正中矢状断 の橋のまん中に脳幹の背側線と同様の角度で cursorをおくことにより(図3A),水平断(図 3B)およびOS viewが得られ,三叉神経の REZから錐体骨を越えて中頭蓋窩に至るまで の走行が描出された(図3C).  上記abの2つの条件によりOS viewの撮像 法が確立し,図2のように手術時に小脳を圧排 して深部に到る時にその正面にこのOS view に一致した術野を観察できることになり,神経 と圧迫血管との関係を面で捉えることができる ようになった.         B.撮像条件  次の問題点である圧迫血管の描出条件につい ても,坂本らの検討からより鮮明な圧迫血管の 描出法が確立された.  図4に示すようにT1一強調(A),T2一強調(B), proton density(C)およびgradient echo画像 (D,E, F)により各撮像条件を同一sliceにて 比較した結果,表ユのようにgradient echo画 像が神経と血管の同時描出に優れ,更には血管 陰影がhigh intensity line/spotとして描出され 表1.各撮像条件と神経および血管の描出能    十十;excellent, 十;acceptable, 一;poor,    Tl;T1強調画像, T2;T2強調画像, PD;プ    ロトン密度強調画像,GR;gradient echo像 撮像条件   T1 T2

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臨 図4.斜位矢状断の同一sliceにおける各撮像条件    との比較.DEFは連続sliceでgradient echo   画像で撮像.A対D, B対EおよびC対F   が各々同一slice   A.T1強調画像;10ng arrowが顔面神経   B.T2強調画像;short arrowが且ow voidで   血管を示す   C.プロトン密度強調画像;short arrowが   How voidで血管の横断面を示す.    D.gradient echo画像(以下同条件)llong    arrowが顔面神経short arrowが高信号域    の血管を示す    E.short arrowが高信号の血管陰影. B.に    比し血管陰影がよりsharpに描出されてい    る.    F.short arrowが高信号の血管の断面を示    す    (文献42より引用) るため,より確実な判断が可能になった.  これらの結果より,圧迫血管の有無及び圧迫 方向を確認するためには,OS viewとgradient echo法の組合せ(OS−GR法)が最も有効な撮 像法と言える.また,圧迫血管の口径がどの程 度までMRIにて描出されるかに関しても,術

中にAICAあるいはPICAに相当する血管径

を測定した結果,本法による圧迫血管の描出能 は径1mm程度であることが判明し, AICAお よびPICAの描出能が格段に上昇した42 44).  三叉神経痛例の術前画像と術中所見を図5に 示す.三叉神経痛の場合,圧迫血管は上小脳動 脈の尾側方向への下垂による吻側方向からの圧 迫が多く,これを減圧(神経と血管の間に TeHon meshを肉置する)することにより三叉 神経痛は軽快した.  同様に半側顔面痙攣例のそれを図6に示す. 顔面神経の脳幹からの出口の腹尾側に同様に高 信号の弧状の1ineを認め,手術の進入方向に 直面する術野とOS viewが極めて類似してい ることがわかる.  既述の通り,神経血管減圧術は,S状静脈洞 の後方から小脳を圧排して橋延髄移行部(顔面 痙攣の場合)あるいは橋外側部(三叉神経痛の 場合)に到るアプローチであり,その進入方向 の正面に見える術中所見が,斜位矢状断に一致 している.術前のOS−GR法と術中所見との一 致率は三叉神経痛例5例中4例80%,半側顔面 痙攣18例中16例(89%)であった44).また, OS−GR法により術前に圧迫血管の有無および 圧迫方向を予見し実際に術中所見と一致してい た割合は,三叉神経痛40%,半側顔面痙攣では 55.6%であった44).これまでの報告例に比し, OS−GR法は神経と血管との関係の描出率が高 く,更に手術野の方向性が一致していることよ り,術前に圧迫血管の有無やその方向性をも予 見できる点で有用性があると思われる.この OS法を利用して,圧迫血管の描出を試みた報 告例はFuruyaらによ.るものがある.彼らの撮 像条件は3D time Hight法であり,水平断で得 られた画像をMultiplanar reconstruction algor一

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   ヤ .徽. .;、. 魁− 図5.三叉神経痛例の術前gradient echo斜位矢状断と術中所見   A.三叉神経の出口の吻側に接して高信号の弧状のline(double arrow)を認め,橋の腹側にも高信   号の弧状line(long arrow)が認められる. short arrowは三叉神経を示す.   B.術中所見でも三叉神経(short arrow)の吻側に上小脳動脈(double arrow)が,その後方にも動   脈(long arrow)が認められ, MR像と極めて相似している.    (文献43より引用) ithmにて,斜位矢状断に画像再構成を行って, その圧迫血管の診断率は12例中9例(75%)で あった46).我々の方法では,画像を再構成す ることなく,直接斜位矢状断を得ることができ る点で,より簡便であると言える.Linskeyら は,この斜位矢状断は神経と血管との関係を見 るための解剖学的見地から最も優れた方法で, より細い圧迫血管の描出もこの方法により改善 するかも知れないと考察している47).実際, この方法は術前に患者へのeducationにも有用 であり,手術への決断がつかず長期間悩んでい た患者が,この所見を見て手術を受けることを 納得したことも経験している.  Nagahiroらの報告によると,手術成績が不 良な因子として,複数血管による圧迫,顔面神 経と聴神経との間に入り込んだ血管をあげてお り,これらを顔面神経障害や聴神経障害を来さ ずに確実に減圧することは非常に困難であった としている48).本法では,こうした複雑な圧 迫血管を術前に予測することは困難と思われ, こうした複雑血管をも描出しうることが今後の 課題とも考える.神経と圧迫血管との関係を安 定して描出するためには,先ず斜位矢状断を得 るための基本的事項を遵守して撮像することが 原則である.読影に関しても,水平断で神経の 走行に一致したcursorに対応したOS像を確 認し,健側の当該面と比較しながら,顔面痙攣 の場合は,神経の出口の腹尾側部に,三叉神経 痛の場合には,神経の吻側部にhigh intensity line/spotの有無を確認する等の基本的事項を 念頭におくことが大切である.しかし,判定不 能な例やあいまいな所見も時には見られ,こう した例の診断率を如何に向上させるかが問題で ある。Adlerらは, MR angiographyの画像再 構成によるMR tomographic angiographyなる 新しい方法により,gradient echo法より圧迫 血管をより鮮明に描出しえた報告をしてお り49),今後,更により良い方法が開発される

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  ・.・ .・滋    滋菰 A.顔面神経(double arrow)の出口の腹尾側面に高信号の線状line(large arrow)が脳幹に食い込 む形で認められる. B.術中,屈曲した後下小脳動脈(white arrow)が脳幹に食い込み顔面神経(black double arrow) の出口を圧迫した後並走しておりMR像と極めて一致している. と思われ,我々もより普遍性のある方法につい ても検討していきたい.  ご校閲頂いた当脳神経外科貫井英明教授に深 謝いたします. おわりに 文  献  以上,我々の自験例も含め,神経血管減圧術 の術前検査法を歴史的変遷から振り返ってみた が,現時点では,非侵襲的,撮像方向の多様性 かつ画像の精度の高さからMRIが最も有効な 方法と結論される.三叉神経痛および顔面痙攣 は薬剤に対しても治療抵抗性があり,ブロック 療法では,充分な効果を得るために,顔面の知 覚脱失(三叉神経痛)や顔面神経麻痺(顔面痙攣) が必須であることを考えれば,MRIにより圧 迫血管の有無を確認し,手術の有効性を知るこ とにより治療方針も変わっていくものと思われ る. 1)Bederson JB, wilson CB. Evaluation of mic−   rovascuiar decompression and partial sensory  rhizotomy in 252 cases of trigeminal neural−  gia. Neurosurg l989;71=359−367. 2)福島孝徳.顔面痙攣,三叉神経痛に対する後頭  蓋窩血管減圧術qannetta法).脳神経外科   1987;10:1257−1261. 3)Gardner WJ. Concerning the mechanism of  trigeminal neuralgia and hemlfacial spasm. J  Neurosurg l962;19:947−958. 4)Iwakuma T, Matsumoto A, Nakamura N.  Hemifacial spasm. Comparison of three diffe−  rent operative procedures in l lo patients. J  Neurosurg l982;57:753−756. 5)Jannetta RI, Abbasy M, Maroon Jc,καz.  Etiology and definitive microsurgical treat.

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