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学童保育における生活や学習上の困難を抱えた児童に係る調査研究 : 小学校との効果的な連携のあり方に向けて(東京都・神奈川県と山梨県との比較) 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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(1)山 梨 障害 児教 育学 研 究紀 要 第 5号 (平 成 23年 2月 1日). 学童保育における生活や学習上の困難を抱えた児童に係る調査研究. -小学校との効果的な連携のあり方に向けて (東京都・神奈川県と山梨県との比較)- 里 見 達 也. *. ・. 榊 原. 剛. **. ・. 松 原. 豊. ***. Ⅰ.はじめに. 少子化や共働き家庭の増加などにより家庭や地域における児童をめぐる問題が複雑化・ 多様化してきたことに伴い,児童福祉制度の見直しが図られ,新たな子育て支援制度とし て,1991年に厚生省により「放課後児童対策事業 」,1998年には「放課後児童健全育成事 業」が実施されてきた。これに伴い,学童保育が本格的に展開され,現在では2007年に文 部科学省と厚生労働省の連携事業である「放課後子どもプラン」のもとに推進されている。 小林(2006)によると,学童保育は「保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校に 就学しているおおむね10歳未満の児童に対し,授業の終了後に児童厚生施設等を利用して 適切な遊び及び生活の場を提供することである」と述べている。 全国学童保育連絡協議会による学童保育の実施状況調査(2010)によれば,1997年の学 童保育の法制化以降,全国の学童保育数は約2倍,入所児童数は約2.4倍となった。こうし た増加を背景としながら,学童保育での障害児の受け入れも増加傾向にある。同協議会に よる実態調査(2007)によれば,学童保育で受け入れている障害児数は,1998年におよそ 3,000人であったのに対し,2007年にはおよそ12,700人と4倍以上に増加した。 こうしたなか,社会保障審議会少子化対策特別部会第一次報告(2009.2.24)において は,学童保育における障害児の受け入れが増加傾向にあること,また,障害児を含めた子 どもとの関わりについての研修機会の確保などの条件整備の重要性が謳われた。さらに, 全国学童保育連絡協議会からの厚生労働省ならびに社会保障審議会少子化対策特別部会へ の要望書においては,障害児の受け入れにおける専任指導員の配置に係る補助制度や,研 修の拡充,専門家による巡回指導や相談員の配置が盛り込まれている。しかしながら,現 在は障害児受入推進事業費(療育手帳もしくは身体障害者手帳を所持する児童や成人を受 け入れている,年間開設日数が250日以上の放課後児童クラブにおいて,障害児を1人以上 受け入れる場合に行われる国庫補助142万1千円)が施策として行われているのみで,具体. * 帝京学園短期大学 ** 聖セシリア女子短期大学 *** こども教育宝仙大学 - 91 -.

(2) 的な人的,制度的支援は行われていない。 一方,同協議会調査(2010)によれば,学童保育の開設場所は「学校施設内」が50.9% と半数を超えている。学童保育が児童にとって家庭,学校と地続きにある「生活の場」で あることをふまえれば,同じ児童に向き合う学校と学童保育が効果的に連携することは極 めて重要である。特に,障害児への支援・指導に関しては,当該障害児の所属している学 校のリソースを学童保育が活用することで(または学童保育のリソースを学校が活用する ことで),より適切な支援・指導が可能になるものと思われる。. Ⅱ.目的. 本研究は,東京都・神奈川県と山梨県における学童保育を対象に,「気になる児童」(診 断・判定を受けている障害児,ならびに診断・判定は受けていないが生活や学習上の困難 を抱えている児童のこと。以下同じ)に係る実態調査を行い,小学校との効果的な連携の あり方を展望するとともに,連携に向けた課題,ならびに指導員の役割と求められる専門 性についての示唆を得ることを目的とする 。(本稿は第1報として,実態調査の結果概要 を報告する). Ⅲ.方法. 東京都(板橋区,江東区,中野区 )・神奈川県(相模原市,横浜市,大和市)と山梨県 (甲斐市,甲州市,甲府市,韮崎市,笛吹市,富士吉田市,北杜市,南アルプス市,山梨 市,市川三郷町,昭和町,富士川町,富士河口湖町,身延町)の計20の市区町の学童保育 に調査票を配布した。 調査票は施設代表者記入用のA票と,指導員代表者記入用のB票に分けた。全体調査で の回収率は,A票49.9%(272/545),B票55.6%(340/611)であった。そのうち,山梨 県での回収率は,A票47.0%(87/185),B票59.5%(110/185)であった。A票は,学童 保育の開設場所 ,「気になる児童」の入所状況 ,「気になる児童」の所属する学校に対し て要望すること等,学童保育における「気になる児童」の実態を把握する調査項目とした。 B票は ,「気になる児童」への支援・指導について困難に感じていること ,「気になる児 童」の所属する学校との連携方法等,学童保育における「気になる児童」への支援・指導 の実際と,指導員の実態を把握する調査項目とした。なお,調査票の作成にあたっては, 伊藤・小嶋(2008),野呂(2008),金子・鎌田(2004),岩崎・高橋(2001)の先行研究 を参考にした。. - 92 -.

(3) 山 梨 障害 児教 育学 研 究紀 要 第 5号 (平 成 23年 2月 1日). Ⅳ.結果と考察. 調査結果は次項の通りである。調査内容は多岐にわたるため,代表的な結果のみを示す こととする。東京都・神奈川県と山梨県の20の市区町の学童保育における全体調査の結果 と山梨県の結果の双方を示す。. 1.A票 (1)開設場所 ① 全体調査 学童保育を開設している場所を調査したところ ,「児童館内」の開設(24.1%)が最も 多く,次いで「その他の公的施設 」(21.9%),「学校施設内 」(17.8%)となっている。 さらに「民家・アパート」での開設(13.6%)や「学童保育専用施設 」(12.6%)で実施 しているところもある。東京都・神奈川県と山梨県の20 の市区町の学童保育は ,「児童 館内」での開設が多く, 「学校施設内」での開設は,全国値(50.9%)を大きく下回った。 ② 山梨県 山梨県の場合は ,「その他の公的施設 」(35.6%)が多く,次いで「児童館内」の開設 (28.7%)や「学童保育専用施設 」(17.2%)であった。「学校施設内」(13.8%)は,全 体調査同様に全国値(50.9%)を大きく下回った。一方 ,「民家・アパート」での開設は なかった。 ③ 考察 全体調査の結果と山梨県の結果を比較すると,双方とも「児童館内」や「その他の公的 施設」での開設が多いことがうかがえる。これは,学童保育そのものが「放課後子どもプ ラン」に基づく福祉的な政策として,比較的広い場所でかつ公共性の高い施設が選ばれて いると思われる。しかし ,「学校施設内」での開設が全国を下回っていることは,厚生労 働省が打ち出した定員制による補助金打ち切り政策から学童保育の分散化がうかがえる。 一方,東京都・神奈川県では「民家・アパート」などの活用が見られるが,山梨県は活用 が見られないところから,都市部は民間委託が徐々に進んでいるが,山梨県ではまだ,市 町村の公営が運営主体となっているところが多いことに起因しているのではないかと推測 される。 (2)「気になる児童」の入所状況 ① 全体調査 「気になる児童」の入所状況についてである 。「現在入所している 」(81.6%)と「現 在は入所していないが,以前は入所していた 」(8.3%)を合わせると約9割に上り,学童 保育には「気になる児童」が多く入所している現状が見える。 ② 山梨県 山梨県の場合は,「現在入所している」(72.0%)もしくは「現在は入所していないが,. - 93 -.

(4) 以前は入所していた 」(12.2%)と多く,山梨県でも「気になる児童」が多く入所してい る現状が見える。 ③ 考察 全体調査の結果や山梨県の結果の双方とも,ほとんどの施設で「気になる児童」の入所 している様子がうかがえる。これは,文部科学省の調査で通常の学級にも約6%の割合で 「気になる児童」の存在を発表していることから,学童保育へ入所する割合も多いことが 想定される。また,障害児に対する指導員の加配制度などが整備されつつあるためとも考 えられる。この点からも,都市部と山梨県の地域差はなく,どの施設でも「気になる児童」 を受け入れているのではないかと思われる。 (3)「気になる児童」が所属する学校に対する要望 ① 全体調査 現在入所している,または以前入所していた「気になる児童」の所属する学校に対する 要望(複数回答)については次のとおりである(図1参照)。 所属している学校に対する要望としては ,「『 気になる児童』に関する情報の共有」 (87.0% ),『 「 気になる児童』に関する支援・指導ノウハウの共有 」(64.9%),『 「 気にな る児童』の担任教諭等との懇談機会の確保 」(56.5%)が多く挙がっている。一方 ,「指 導員による授業参観等の機会の確保」(28.5%)や「学校・保護者・貴所の三者による連 絡会の実施」(28.5%),「『 気になる児童』の担任教諭等による貴所への巡回」(28.0%), 「学校で行われる研修や研究会等( 障 害 児 保 育 に 関 す る も の 等 )への指 導 員 の 参 加」 (18.8%)などは少ない。 「気になる児童」に関する情報の共有. 87.0%. 「気になる児童」に関する支援・指導ノウハウの共有. 64.9%. 「気になる児童」の担任教諭等との懇談機会の確保. 56.5%. 「気になる児童」の担任教諭等による貴所への巡回. 28.0%. 学校で行われる研修や研究会等(障害児保育に関 するもの等)への指導員の参加. 18.8%. 指導員による授業参観等の機会の確保. 28.5%. 学校・保護者・貴所の三者による連絡会の実施. 28.5%. 図1. 特に要望することはない. 3.3%. その他. 2.9%. 「気になる児童」が所属する学校に対する要望(全体調査). ② 山梨県 山梨の場合は ,『 「 気になる児童』に関する情報の共有 」(85.5% ),『 「 気になる児童』 に関する支援・指導ノウハウの共有 」(62.3% ),『 「 気になる児童』の担任教諭等との懇 談機会の確保」 (42.0%), 「『気になる児童』の担任教諭等による貴所への巡回」 (34.8%),. - 94 -.

(5) 山 梨 障害 児教 育学 研 究紀 要 第 5号 (平 成 23年 2月 1日). 「学校・保護者・貴所の三者による連絡会の実施」(31.9%)が挙がっている。一方,「指 導員による授業参観等の機会の確保」(17.4%)や「学校で行われる研修や研究会等(障 害児保育に関するもの等)への指導員の参加」(4.3%)は少ない(図2参照)。. 「気になる児童」に関する情報の共有. 85.5%. 「気になる児童」に関する支援・指導ノウハウの共有. 62.3%. 「気になる児童」の担任教諭等との懇談機会の確保. 42.0%. 「気になる児童」の担任教諭等による貴所への巡回 学校で行われる研修や研究会等(障害児保育に関 するもの等)への指導員の参加. 34.8% 4.3% 17.4%. 指導員による授業参観等の機会の確保. 31.9%. 学校・保護者・貴所の三者による連絡会の実施 特に要望することはない その他. 図2. 1.4% 4.3%. 「気になる児童」が所属する学校に対する要望(山梨県). ③ 考察 全体調査の結果や山梨県の結果の双方とも,85%以上の指導員が,「気になる児童」に 関する情報の共有を学校に対して要望しており,支援・指導ノウハウの共有や懇談機会の 確保も高い数値を示した。これは,指導員が「気になる児童」へのかかわり方に不安を感 じているため,とにかく「気になる児童」にかかわる情報や個々に応じた支援・指導ノウ ハウなどを知りたいとする表れだと考えられる。一方で,自ら積極的に出向いて授業参観 や研修会に参加する姿勢でなく,受け身の姿勢がうかがえる。担任教諭への巡回の要請は, 全体調査では少ないが,山梨県は比較的高い傾向が見られる。これは,指導者の相談機関 が少なく ,「気になる児童」の情報が入ってこないため,普段かかわっている担任教諭か ら「気になる児童」の情報を得ようとする表れだと思われる。. 2.B票 (1)「気になる児童」への支援・指導についての困難に感じていること ① 全体調査 現在入所している,または以前入所していた「気になる児童」への支援・指導について 困難に感じていること(複数回答)については次のとおりである 。「気になる児童」への 支援・指導については ,「他の入所児童たちとのトラブルとその対応 」(61.5% ),「突発 的な 行 動や 落ち 着き のな い行 動 から 目が 離せない 」(57.9% ),「生 活 支 援 ・ 指 導」 (52.1%),「パニックを起こしたときの対応 」(46.0% ),「集団に適応できにくい『気に. - 95 -.

(6) なる児童』への対応 」 (44.3%), 「『気になる児童』の保護者との考え方の違い」 (43.0%) な ど が 多 い 。 一 方 ,「加配指導員とチームで動く難しさや加配指導員との役割分担」 (13.3% )「トラブル時の保護者間の仲介に苦労 」(16.2% ),「他の入所児童の保護者か らのクレーム対応」(17.5%)などは少ない(図3参照)。. 図3. 「気になる児童」への支援・指導についての困難に感じていること(全体調査) 学習支援・指導. 26.5%. 生活支援・指導. 52.1%. 「気になる児童」の担任教諭や、所属する学校との連携. 28.2%. 他の入所児童たちとのトラブルとその対応. 61.5%. 突発的な行動や落ち着きのない行動から目が離せない. 57.9%. パニックを起こしたときの対応. 46.0%. 人手が足りず十分なサポートができない. 30.4%. 他の入所児童たちが「気になる児童」を受け入れ、理解できる ようなはたらきかけが困難. 28.8%. 学童保育所内のスペースや安全面での問題. 29.4%. 集団に適応できにくい「気になる児童」への対応. 44.3%. 「気になる児童」とのコミュニケーションが難しい・進展しない. 21.0%. 「気になる児童」の保護者との考え方の違い. 43.0%. 他の入所児童の保護者からのクレーム対応. 17.5%. トラブル時の保護者間の仲介に苦労. 16.2%. 障害や生活・学習上の困難への対応、支援・指導の難しさ. 32.4%. 加配指導員とチームで動く難しさや加配指導員との役割分担 特にない その他. 13.3% 2.6% 4.9%. ② 山梨県 山梨の場合も全体調査同様に, 「他の入所児童たちとのトラブルとその対応」 (53.2%), 「突発的な行動や落ち着きのない行動から目が離せない」(47.9% ),「生活支援・指導」 (41.5% ),「パニックを起こしたときの対応 」(35.1% ),『 「 気になる児童』の保護者と の考え方の違い 」(34.0%)がなど多い。一方 ,「他の入所児童の保護者からのクレーム 対応」 (8.5%)や「加配指導員とチームで動く難しさや加配指導員との役割分担」 (4.3%) などは少ない(図4参照)。 ③ 考察 全体調査の結果や山梨県の結果の双方とも ,「気になる児童」に対する支援・指導の実 際においては,半数以上の指導員が他児とのトラブルや生活上の突発的な行動や落ち着き のない行動に困難を感じている。これは,集団行動が苦手な「気になる児童」における支. - 96 -.

(7) 山 梨 障害 児教 育学 研 究紀 要 第 5号 (平 成 23年 2月 1日). 援・指導の研修を受けておらず,また,誰に相談してよいかも分からないまま,毎日を不 安のまま過ごしている様子がうかがえる。. 学習支援・指導. 21.3%. 生活支援・指導. 41.5%. 「気になる児童」の担任教諭や、所属する学校との連携. 25.5%. 他の入所児童たちとのトラブルとその対応. 53.2%. 突発的な行動や落ち着きのない行動から目が離せない. 47.9%. パニックを起こしたときの対応. 35.1%. 人手が足りず十分なサポートができない. 29.8%. 他の入所児童たちが「気になる児童」を受け入れ、理解できる ようなはたらきかけが困難. 21.3%. 学童保育所内のスペースや安全面での問題. 24.5%. 集団に適応できにくい「気になる児童」への対応. 27.7%. 「気になる児童」とのコミュニケーションが難しい・進展しない. 16.0%. 「気になる児童」の保護者との考え方の違い. 34.0%. 他の入所児童の保護者からのクレーム対応. 8.5%. トラブル時の保護者間の仲介に苦労. 11.7%. 障害や生活・学習上の困難への対応、支援・指導の難しさ. 24.5%. 加配指導員とチームで動く難しさや加配指導員との役割分担. 4.3%. 特にない. 4.3%. その他. 5.3%. 図4. 「気になる児童」への支援・指導についての困難に感じていること(山梨県). (2)「気になる児童」の所属する学校との連携方法 ① 全体調査 現在入所している,または以前入所していた「気になる児童」が所属する学校との連携 方法(複数回答)については次のとおりである(図5参照 )。「必要がある場合いつでも話 し合う 」(64.1%)が多く,次いで「学校の授業参観に出かける 」(33.3%)や「担任教 諭との懇談の時間を設定する」 (23.0%), 「児童の送迎時に担任教諭と話をする 」 (17.2%) となっている。 ② 山梨県 山梨の場合は, 「必要がある場合いつでも話し合う」 (57.4%)が最も多い。しかし, 「学 校の授業に出かける 」(4.3%)が低く ,「特に連絡を取っていない 」(23.4%)が特徴的 である(図6参照)。. - 97 -.

(8) 日常的に連絡を取る. 9.1%. 必要がある場合いつでも話し合う 連絡帳等を利用する. 64.1% 7.1%. 児童の送迎時に担任教諭と話をする. 17.2%. 学校の授業参観に出かける. 33.3%. 担任教諭との懇談の時間を設定する. 23.0%. 特に連携を取っていない. 15.9%. その他. 図5. 10.4%. 「気になる児童」の所属する学校との連携方法(全体調査). 日常的に連絡を取る. 6.4% 57.4%. 必要がある場合いつでも話し合う 連絡帳等を利用する. 4.3% 10.6%. 児童の送迎時に担任教諭と話をする 学校の授業参観に出かける. 4.3%. 担任教諭との懇談の時間を設定する. 9.6% 23.4%. 特に連携を取っていない その他. 図6. 9.6%. 「気になる児童」の所属する学校との連携方法(山梨県). ③ 考察 全体調査の結果や山梨県の結果の双方とも,必要がある場合はいつでも学校と連絡が取 れる体制になっていると6割以上が回答している。これは,指導者が他機関との連携に対 する意識の高さを感じる。一方,山梨県では特に連携を取っていない指導者もおり,実際 に連携を行っている指導者とそうでない指導者との意識の違いがうかがえる。さらに,授 業参観に消極的な傾向から,直接,自分から働きかける意識も低いと考えられる。 (3)「気になる児童」の所属する学校と連絡を取っていない理由 ① 全体調査 現在入所している,または以前入所していた「気になる児童」が所属する学校と特に連 絡を取っていない理由(複数回答)については,「連携体制が確立していない」(57.1%) が最も多く ,「時間的な余裕がない 」(14.3%)や「連携の必要性を感じない 」(14.3%) とする結果も出ている(図7参照)。 ② 山梨県 山梨の場合は,「連携体制が確立していない 」(59.1%)が最も多く ,「時間的な余裕が ない」 (13.6%)や「連携の必要性を感じない」 (9.1%)とする結果も出ている(図8参照)。. - 98 -.

(9) 山 梨 障害 児教 育学 研 究紀 要 第 5号 (平 成 23年 2月 1日). 連携体制が確立していない. 57.1%. 時間的な余裕がない 財政的な余裕がない. 14.3% 2.0%. 人材的な余裕がない. 8.2%. 連携を取る手段・方法がない. 10.2%. 連携を取る手段・方法がわからない 連携を取る相手がいない 連携を取る相手がわからない. 10.2% 2.0% 4.1%. 連携の必要性を感じない. 14.3%. その他. 図7. 32.7%. 「気になる児童」の所属する学校と連絡をとっていない理由(全体調査). 59.1%. 連携体制が確立していない 13.6%. 時間的な余裕がない 財政的な余裕がない. 4.5%. 人材的な余裕がない. 13.6%. 連携を取る手段・方法がない. 13.6%. 連携を取る手段・方法がわからない. 13.6%. 連携を取る相手がいない. 4.5%. 連携を取る相手がわからない. 4.5%. 連携の必要性を感じない その他. 図8. 9.1% 27.3%. 「気になる児童」の所属する学校と連絡を取っていない理由(山梨県). ③ 考察 全体調査の結果や山梨県の結果の双方とも,学校と連絡を取っていない理由として,連 携体制が確立していないことを挙げている指導者が約6割近くいることから,連携体制の 確立が ,「気になる児童」への支援・指導の困難さの改善につながるものと考えられる。 また,学校との連携に対して必要性を感じていない指導者もおり,実際に連携を行ってい る指導者とそうでない指導者との意識の違いがうかがえる。. Ⅴ.おわりに. 今後は,学童保育は民間委託へと徐々に進んでいくことが予想されるため ,「気になる 児童」の入所状況も変化し ,「気になる児童」に関するさらなる情報の共有を学校に求め ていく必要があろう。特に,他児とのトラブルや生活上の突発的な行動や落ち着きのない 行動に対する支援・指導の方法を指導者の方から積極的に学校や研修機関に求めていく姿 勢が問われてくると思われる。さらに,学校も,今までのように放課後の生活は家庭で過. - 99 -.

(10) ごすという概念から地域で過ごす体制づくりへと視野を広げ,受け皿の一つである学童保 育とも積極的に連携する必要があろう。 今回は東京都・神奈川県と山梨県との比較を試みたが,代表的な項目のみでは地域差は あまり見えなかった。今後,本結果に基づき,詳細な統計的分析と考察を行うなかで地域 差が見えるかもしれない。 なお本調査は,全国保育士養成協議会の平成21年度関東ブロック研究・研究費助成を受 けて行われたものである。. 引用・参考文献 1)伊藤篤・小嶋詠子(2008)神戸市内学童保育所における障害児受け入れに関する調査 報告書.神戸大学大学院人間発達環境学研究科ヒューマン・コミュニティ創成研究セ ンター子ども家庭支援部門報告書. 2)岩崎沙知子・高橋智(2001)障害児の放課後保障と学童保育の課題-東京都下自治体 への障害児学童保育実態調査から-.東京学芸大学教育学部附属教育実践総合セン ター研究紀要,25,99-124. 3)金子省子・鎌田郁子(2004)学童保育に関する現状と課題-松山市における調査か ら-.愛媛大学教育学部紀要,51(1),143-151. 4)小林美代子(2006)序によせて-子どもの居場所としての児童館・学童保育は,い ま.21世紀の児童学童保育Ⅶ/児童館・学童保育の施設と職員-多機能,複合化する 施設と職員の専門性,11-22. 5)全国学童保育連絡協議会(2009)学童保育情報〈2009-2010〉,93-95,179-182. 6)全国学童保育連絡協議会(2007)学童保育の実態と課題2007年版実態調査のまとめ, 43. 7)全国学童保育連絡協議会報道発表資料(2010)2010年5月1日現在の学童保育の実施状 況調査結果.(http://www2s.biglobe.ne.jp/~Gakudou/2010kasyosuu.pdf) 8)野呂アイ(2008)養護をめぐる幼少の連携から-小学生の放課後の生活と居場所を考 える-.保育学研究,46(1),51-61.. - 100 -.

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