〈研究ノート〉
連邦取引委員会による原産国表示規制
内田 耕 作
1 はじめに 連邦取引委員会による原産国表示規制は,一般に,連邦取引委貝会法に基 づいて行われている。しかし,特定の製品に関しては,それは,特別法に基 づいて行われている。すなわち,羊毛製品に関しては羊毛製品ラベル表示法 (Wool Products Labeling Act)によって,毛皮製品に関しては毛皮製品ラ ベル表示法(Fur Products Labeling Act)によって,繊維製品に関しては 繊維製品識別法(Textile Fiber Products Identification Act)によって行 われている。 本稿では,これらのうち,適用対象が一般的である連邦取引委員会法と繊 維製品識別法とを代表としてとりあげ,連邦取引委員会による原産国表示規 1) 制の具体的様相を明らかにすることにする。 ところで,連邦取引委員会による原産国表示規制としては,虚偽の原産国 2) 表示の規制が行われているだけではない。積極的な原産国表示の義務づけも 1)本稿は,昭和63年度に公正取引委員会事務局が㈲公正取引協会に委託して実施した「欧 米諸国等における原産国表示規制に関する調査研究」に関連して筆者がまとめた「欧米 諸国等における原産国表示規制」をもとにして,連邦取引委員会による原産国表示規制 に焦点を絞って書き直しを行ったものである。なお,本稿で用いている基礎資料は,そ の際,公正取引委貝会事務局より提供を受けたものである。また,海外調査に際しては, 多くの方々にお世話になっている。ここに記して謝意を表したい。 2)本稿においては、「積極的な原産国表示の義務づけ」という用語は、当該の原産国表示/行われている。後者が行われているということで,連邦取引委員会による原 3) 産国表示規制は,ECおよび英国における原産国表示規制と大きく異なって いる。そこで,本稿では,とりわけ,積極的な原産国表示の義務づけに焦点 をあてることにする。 まず連邦取引委員会法に基づく原産国表示規制について,続いて繊維製品 識別法に基づく原産国表示規制について述べる。 II 連邦取引委員会法に基づく原産国表示規制 原産国表示規制の根拠規定となるのは,第5条(a)(1)である。それは,次の ようである。すなわち,「商業におけるまたは商業に影響を及ぼす不公正な競 争方法および不公正または欺隔的な行為または慣行は,これを違法と宣言す る」。 そこで,まず,虚偽の原産国表示がこの規定のもとで規制されうるかいな か,簡単に検討することにする。そして,その後,この規定に基づき,積極 的な原産国表示の義務づけを行うことができるかいなかについて検討するこ とにする。 ① 虚偽の原産国表示の規制 虚偽の原産国表示は,欺隔的な行為または慣行となり,規制の対象となる と一般にいうことができる。このことは,虚偽の原産国表示がつけられてい る製品が国産品である場合も外国製品である場合も,同様にいうことができ る。 (2)積極的な原産国表示の義務づけ 原産国表示をつけないことが不公正または欺隔的な行為または慣行となる ということであれば,原産国表示を積極的に行うことは,義務づけられてい るとみることができる。以下,規制の考え方,規制の歴史,規制の内容に分 \が虚偽であるかいなかを問わずに積極的に原産国を表示させることを意味するものとし て用いている。 3)拙稿「ECおよび英国における原産国表示規制」香川法学10巻3・4号(1991年)参照。
けて,この点についての検討を行うことにする。 (a)規制の考え方 まず一般的なルールについて,続いてそれに対する 例外について述べる。そして,その後,一般的なルールを支える基本的な考 4) えの解明に及ぶ。 (の 一般的なルール 一般的なルールとなるのは,次のようなことであ る。すなわち,「外国製品の原産国を開示することなく,それを販売したり, または販売のために申し出たりすることは,不公正である」,ということであ る。 このことは,次のことを意味する。すなわち,第1は,外国製品について は,原産国表示の積極的な義務づけが問題になるということである。 第2は,国産品については,原産国表示が積極的に行われていないとして も,それは,不公正とはならないということである。したがって,国産品に ついては,連邦取引委員会法に基づいて原産国表示を積極的に義務づけさせ ることはできない。 (イ)一般的なルールに対する例外 一般的なルールに対しては,わずか の例外が確立・指摘されてきたにすぎない。例外は,次のような場合に認め られる。 (i)外国製品が米国で生産されないタイプのものである場合 たとえば, 養殖真珠,天然真珠,ダイヤモンドのように,外国製品が米国で生産されな いタイプのものである場合,連邦取引委員会は,外国原産の開示がなされる ことを要求しない傾向にあるということを指摘してきた。 その理由は,次のところにある。すなわち,保護すべき国内の競合事業が 5) 存在しないので,公共の利益は開示を要求しない,ということである。 (ii)外国製品に優越する選好を公衆が米国製品に対してもっていない場合 4)以下の叙述は,ほぼ全面的に,Foreign Origin,3Trade Reg. Rep.§7551(1988> に依拠した。 5)なお、公共の利益の存在は、連邦取引委員会による訴追の要件である。連邦取引委貝 会法5条(b)参照。
たとえば,葉巻,香水,キァビア,スコッチのように,外国製品に優越 6) する選好を公衆が米国製品に対してもっていない場合,外国製品の原産国の 開示はおそらく要求されないであろう。 その理由は,次のところにある。すなわち,米国製品に対する公衆の選好 が存在するということが,製品の外国原産が開示されることを要求する根本 的な理由となる,ということである。 ㈹ 米国製品よりも低い価格が外国製品につけられている場合 比較可 能な米国製品よりも低い価格が外国製品につけられている場合,外国原産の 不開示が不公正な慣行とならない場合が希にある。 その理由は,次のところにある。すなわち,外国製品に低い価格がつけら れている場合,より高い米国製晶に対して公衆の選好が存在しない場合があ 7) りうる,ということである。 (ウ)一般的なルールを支える基本的な考え 一般的なルールを支える基 本的な考えは,次のようなものである。すなわち,購買公衆の相当部分は, 国産品を選好する。そこで,製品が国産品でないという情報が与えられない なら,購入者は,その製品が国産品であると想定する。それゆえ,外国原産 である旨の情報が与えられないなら,購入者はだまされることになる。 このように,米国においては,消費者が製品の原産について多大な関心を 8) もっているということが,外国原産の開示を強いる最大の理由となっている。 (b)規制の歴史 外国原産の開示要求は,第2次世界大戦以降,1970年 代後半まで,活発に行われてきた。しかし,その後,それは,ほとんど行わ れなくなった。以下,それぞれについて述べることにする。 6)このことは,事業者の方が立証しなければならない。 7)なお,以前は,外国製品よりも米国製品を公衆が選好するということを連邦取引委貝 会が立証しなければならなかったが,今日では,事業者の方が,外国製品よりも米国製 品を公衆が選好することはないということを立証しなければならないことになっている。 8)米国企業を保護するということも,外国原産の開示を強いる理由の1つになるように 思われる。しかし,それが前面に出ることは少ないであろう。前述(イ)(i)参照。
9) (7)開示要求活発化の経緯 連邦取引委員会によって最初に確立された ことは,米国の公衆の相当部分は,米国の労働者が生産した,国内の原材料 を含んでいる製品を選好するということであった。したがって,販売のため に提供される商品が輸入されたものであるということは,購買決定にとって 重要な要素であった。 連邦取引委員会によって次に認定されたのは,次のことであった。すなわ ち,公衆は,輸入商品につけられた原産国のタッグを見る習慣を身につけて きたので,マークがつけられていない商品は国産であると想定する,という ことであった。 事実にかかるこれら2つの前提が結合することによって,外国製品である ということを開示することなく販売することは,不表示によって欺病的とな る,との結論が導かれた。その後,この結論は,一連の事件において追随さ れるに到った。 実際のところ,これらの事件はありふれたものとなり,1962年には,これ らの事実を公知とみなす準備ができていると連邦取引委員会によって宣言さ れるほどであった。また,国産品に対する選好は,各々の事件において立証 される必要はなく,広範囲の製品に当てはまるであろうということが,連邦 取引委貝会によって注記された。 もっとも,消費者選好の正当性に関しては,特定の立場が連邦取引委員会 によってとられたわけではなかった。それは,次のようにいう。すなわち, 消費者の選好が,愛国心に由来しようと偏見に由来しようと,理由があろう となかろうと,それは我々の関心事ではない。我々の関心事は,選好が存在 するかどうかである。 (イ)開示要求休止の経緯 1970年代後半以降になると,原産国にかかる 10) 事件の訴追は休止されるに到った。問題はその原因が何かということである。 9)以下の叙述は,Dee Pridgen, Consumer Protection and the Law§10.07[4]に依拠 している。 10) See Pridgen, id. at 10−34.
この点,1つの原因は,米国製品の質が相対的に低下したことに伴い,製 品が米国製であるかどうかに消費者があまり関心をもたなくなったというこ とに求めることができるように思われる。 そして,もう1っは,財政事情の悪化を契機として,連邦取引委員会の執 行のプライオリティーがより重要な問題に移ったということに求めることが できるように思われる。 また,今日では,外国製品に対する積極的な原産国表示の義務づけが貿易 11) 障壁となりうるということも,考慮されるようになってきている。 それゆえ,これらの障害が克服されない限り,今後,原産国の開示に向け 12) ての連邦取引委員会の訴追は復活されることはないであろう。 そうであれば,今日,一般原則だけが原則として存在し続けることが,逆 に問題になってくる。 13) (c)規制の内容 次の順で検討を加えることにする。すなわち,第ユは, どういつだ製品について原産国表示が要求されるのかということである。第 2は,どういつだ媒体において原産国表示が要求されるのかということであ る。第3は,どういつだ態様で原産国表示がなされなければならないのかと いうことである。また,原産国表示の隠ぺい,抹消,除去は違法となりうる のかということにも,ふれることにする。 (7)原産国表示が要求される製品 連邦取引委員会法5条のもとでは, 外国製品についてのみ原産国の表示が要求されるにすぎず,国産品について は原産国を表示することは要求されない。問題は,どういつだ製品が外国製 品と判断されるのかということである。 11) Cf. Comments of the Bureau of Consumer Protection Submitted to the U. S. Customs Service Department of Treasury on Proposed Regulations Concerning Country−of−Origin Marking of Jewelry (19 CFR 134) IO−12. 12) Cf. Pridgen, supra note (9), at 10−35. 13)以下の叙述は,全面的に,Foreign Origin, supra note(4)に依拠した。また,キント ナー(内田耕作ほか訳)・誇大広告および欺隔的商行為取締法(1982年)145−49,177− 80頁をも参照。
この点,ポイントとなるのは,次の2つの要素である。すなわち,1つは, 製品の構成要素(component)が米国産であるのか外国産であるのかという ことであり,もう1つは,当該製品が米国で作られたのか外国で作られたの かということである。 この2つの要素を組み合わせると,外国原産の表示要求が問題となりうる 製品は,次のように類型化することができる。すなわち,①外国産の構成要 素だけを用いて外国で作られる製品,②外国産の構成要素を用いて米国で作 14) られる製品,③米国産の構成要素を用いて外国で作られる製品,である。以 下,それぞれについて簡単に検討することにする。 (i)外国産の構成要素だけを用いて外国で作られる製品 これについて は外国原産の表示が要求される。このことについては,問題はない。 (ii)外国産の構成要素を用いて米国で作られる製品 これについては, 外国原産の表示が要求される場合と,要求されない場合がある。外国原産の 表示が要求されるかいなかを判断する基準としては,次の2つのものがある。 すなわち,1つは,外国原産の構成要素が製品の機能または外観の本質的特 徴を保持しているかどうかであり,もう1つは,外国における製造,組立て, 部品の費用が何パーセントを占めているのかということである。 この点,前者がしばしば用いられる基準である。この基準によれば,外国 産の構成要素が製品の機能または外観の本質的特徴を保持している場合,外 国原産の開示は要求されるということになる。それに対して,外国産の構成 要素がその同質性を失っている場合,外国原産の開示は要求されないという ことになる。 他方,後者は,補完的に用いられる基準である。それによれば,外国にお ける製造,組立て,部品のいずれかの費用のパーセンテージが高い場合には, 外国原産の開示が要求されるということになる。 ㈹ 米国産の構成要素を用いて外国で作られる製品 米国産の構成要素 14)なお,米国産の構成要素だけを用いて米国で作られる製品には,外国原産の表示が要 求されることはない。
82 彦根論叢第268号 が最終製品の製造費の90パーセントを構成し,外国での組立てが残りの10パ ーセントを構成する製品が問題となった事件では,米国産の構成要素を用い て作られる製品の外国での組立ての開示は要求されないであろうという判断 が示されている。 このことは,次のことを意味するように思われる。すなわち,米国産の構 成要素が製品の機能または外観の本質的特徴:を保持しており,かつ,米国産 の構成要素の費用のパーセンテージが高い場合には,外国原産の開示は要求 されないが,米国産の構成要素が製品の機能または外観の本質的特徴を保持 していないか,米国産の構成要素の費用のパーセンテージが低い場合には, 外国原産の開示は要求されうる,ということである。 (イ)外国原産の表示が要求される媒体 外国原産の表示が要求される媒 体としては,①製品それ自体または包装・容器,②広告またはカタログ,③ サンプル,がある。 (i)製品それ自体または包装・容器 外国原産の表示は,一般に,製品 それ自体だけではなく,その包装または容器にも要求される。 しかし,製品の大きさにより,またはその性質により,開示を行うことが できない場合には,製品それ自体での開示は要求されない。他方,包装また は容器の性質が,製品上の原産国マークを隠してしまわないようなものであ る場合には,包装または容器上での開示は要求されない場合がありうる。 (ii)広告またはカタログ 外国原産の開示は,しばしば,店頭広告や販 売促進の資料において要求される。 また,それは,通信販売のカタログや通信販売を請うその他の広告で要求 される。というのは,通信販売における買主は,購入前に製品それ自体での 開示を調べる機会をもたないからである。 なお,外国原産の開示は,広告一般において要求される場合もありうる。 鱒 サンプル 販売が,注文を促進するためのサンプルによってなされ る場合には,外国原産の開示は,サンプル上でなされなければならない。 (O)外国原産の表示の態様 ここでは,①外国原産国の名称の特定性,
②外国原産の表示の明瞭性が問題となる。 (i)外国原産国の名称の特定性 外国原産国の名称は,通常,特定され なければならない。この点,「輸入された(imported)」ということばは,製 品に関しては少なくとも,充分ではない。 しかし,容器に関しては,それは,一定の条件のもとで充分な開示となり うる。たとえば,次のような条件がすべて満たされる場合がそうである。す なわち,①2つ以上の商品が,異なった国から輸入されており,かつ,同じ 容器に詰められている,②輸入される商品それ自体に,原産国のマークが明 確につけられている,③容器の中の商品は,購入に先立ち容易に,検査目的 で取り出すことができる,といった条件である。 (ii)外国原産の表示の明瞭性 はっきりしない開示や,小さくて読めな い開示は,もちろんのこと,充分な開示とはなりえない。 (i)外国原産の表示め隠ぺい・抹消・除去 これは,不公正な行為また は慣行となりうる。それは,たとえ関税法違反となちないとしても,連邦取 引委員会法面反となる場合がある。 111 繊維製品識別法に基づく原産国表示規制 原産国の表示規制にかかわりをもつ特別法のうち,適用対象が一般的であ る繊維製品識別法をとりあげ,そのもとでどういつだ原産国表示規制が行わ 15) れているのかを明らかにするのが,ここでの課題である。 まず,虚偽の原産国表示の規制について簡単に検討する。そして,その後, 15)なお,羊毛製品ラベル表示法においても,また毛皮製品ラベル表示法においても,そ れぞれ特性はあるが,同様の規制が行われている。前者については,See 15 U. S. C. A。 g 69d (a) ; Rules and Regulations under the Wool Products Labeling Act of 1939, 16 C. F. R. g300.25. See also Associate Director for Enforcement, Questions and Answers Relating to the Wool Products Labeling Act and Regulations 15−17, 22 (1986).後者については,See 15 U. S. C. A.§§69b(2),69c,69f(b);Rules and Regula− tions under Fur Products Labeling Act, 16 C. F. R. g S 301.12−301.18. 繊維製品識別法をはじめとして,羊毛製品ラベル表示法,毛皮製品ラベル表示法の概 要については,キントナー・前掲(注13)481−98頁参照。
84 彦根論叢第268号 積極的な原産国表示の義務づけについてやや詳しく検討することにする。 (1>虚偽の原産国表示の規制 原産国について虚偽表示(misbranding)が行われたり,虚偽または欺隔的 な広告が行われたりしている場合,それは,禁止されうるということができ る(3条(a)ないし(c))。このことは,対象となる製品が外国製品である場合も 国産品である場合も同様にいうことができる。 (2)積極的な原産国表示の義務づけ 叙述は,次の順序による。すなわち,①スタンプ,タッグ,ラベル等での 積極的な原産国表示の義務づけ,②通信販売のカタログ・販売促進資料での 積極的な原産国表示の義務づけである。なお,スタンプ,タッグ,ラベル等 の除去・切取りの禁止についても,ふれることにする。 (a)スタンプ,タッグ,ラベル等での積極的な原産国表示の義務づけ 繊 維製品に関しては,はっきりと読むことができることばおよび図形でもって 次のことを表示するスタンプ,タッグ,ラベルまたはその他の識別手段が, 製品上または製品につけられていなければならない(4条(b)(4),(5))。すなわ ち,繊維製品が輸入されたものである場合には,加工されたか製造された国 の名称,繊維製品が米国で加工されたか製造されたものである場合には,そ の旨である。 この点,輸入されたものだけではなく,米国で加工されたか製造されたも のにも原産国表示が義務づけられていることが,繊維製品の場合の大きな特 徴である。 16) 以下,「繊維製品識別法に基づく規則及び規制」を手がかりとして,若干の 17) 敷角を行うことにする。 輸入される繊維製品については,加工されたか製造された国の名称でもつ 16) Rules and Regulations under the Textile Fiber Products ldentification Act, 16 C. F. R, S303. 33. 17) See also Associate Director for Enforcement, Questions and Answers Relating to the Textile Fiber Products ldentification Act and Regulations 14−15 (1986).
てラベル表示が行われなければならない。 米国で作られた材料を用いて米国で完成される繊維製品については,「米国 で製造される(Made in U. S. A.)」という用語またはその他の同等の用語 を用いてラベル表示が行われなければならない。 輸入された材料を全部または一部用いて,米国で作られる繊維製品につい ては,これらの事実を開示するラベルが含まれなければならない。「輸入され た生地を用いて米国で製造される(Made in USA of imported fabric)」, 「輸入された紡績糸を用いて米国で編まれる(Knitted in USA of imported yarn)」といったラベル表示をその例としてあげることができる。 外国で一部製造され,米国で一部製造される繊維製品については,ラベル の上に,外国および米国における製造工程が含まれなければならない。「輸入 された布地,米国において完成される(Imported cloth, finished in USA)」,「輸入された構成要素を用いて米国において縫製される(Sewn in USA of imported components)」,「(外国)において製造され,米国におい て完成される(Made in(foreign country), finished in USA)」といったラ ベル表示をその例としてあげることができる。 (b)通信販売のカタログ・販売促進資料での積極的な原産国表示の義務づ け 通信販売のカタログ・販売促進資料においては,繊維製品が米国で加 工・製造されたのか,輸入されたのか,またはその両者であるのかが,繊維 18) 製品の説明に際して明確かつ目立つように述べられなければならない(4条 (i))o (c)スタンプ,タッグ,ラベル等の除去・切取りの禁止 繊維製品につ けられることが本法によって要求されるスタンプ,タッグ,ラベルまたはそ の他の識別手段は,繊維製品が州際商業に置かれてから,最終消費者に販売 されるか引き渡されるまでの問,除去されたり切り取られたりしてはならな い(5条(a))。 18) See also Rules and Regulations, supra note (16), at g 303, 34 ; Associate Director for Enforcement, id. at 23.
したがって,このことは,原産国表示とのかかわりでは,原産国表示が示 されたスタンプ,タッグ,ラベルまたはその他の識別手段が,除去されたり 切り取られたりしてはならないということを意味する。 IV むすび 以上,連邦取引委員会法に基づく場合と繊維製品識別法に基づく場合とを 対象としてとりあげ,連邦取引委員会による原産国表示規制の具体的様相を 19) 明らかにしてきた。その結果は,次のようにまとめることができる。 第1は,虚偽の原産国表示の規制が,両法のもとで,製品が国産品である 場合も外国製品である場合も同様に行われているということである。 第2は,虚偽の原産国表示の規制のみならず,積極的な原産国表示の義務 づけが,両法のもとで行われているということである。 第3は,積極的な原産国表示の義務づけは,連邦取引委員会法のもとでは, 外国製品についてのみ要求されており,国産品については要求されていない のに対し,繊維製品識別法のもとでは,外国製品について要求されているだ けではなく,国産品についても要求されているということである。この点で, 連邦取引委員会法に基づく規制と繊維製品識別法に基づく規制とは,大きく 異なっている。 第4は,連邦取引委員会法のもとでも,また繊維製品識別法のもとでも, 判例法または規則を通じて,原産国表示が義務づけられる対象製品,内容, 媒体,態様等について,具体的な基準が示されるに到っているということで ある。 ところで,わが国においては,今日,公正取引委員会が積極的な原産国表 示の義務づけを行うことはないように思われる。しかし,虚偽の原産国表示 19)なお,第2次世界大戦以降活発に執行されてきた原産国表示の義務づけも,1970年代 後半になってからはほとんど執行されなくなったということも,まとめとして付け加え ておかなければならない。このことは,連邦取引委員会法についていうことができるだ けではなく,繊維製品識別法についても同様にいうことができるように思われる。
の規制に際してその虚偽牲を排除するために,積極的な原産国表示を要求す るということは,現にありうることである。その限りで,積極的な原産国表 示を義務づけている連邦取引委貝会の規制は,わが国において原産国表示規 制を考えるにあたっても大いに参考になるように思われる。