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論文審査の結果の要旨

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Academic year: 2021

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論文審査の結果の要旨

β-catenin-dependent transcription is central to Bmp-mediated formation of venous vessels.

βカテニン依存的転写が、BMP による静脈形成の中心である

日本医科大学大学院医学研究科 呼吸器感染腫瘍内科学分野 大学院生 柏田 建 Development 2015年 第142巻 第3号掲載

βカテニンは生物の発生、成長や再生に際し重要な役割を果たす転写調節因子である。これまでの報告よ り、βカテニンは血管形成に必須であると考えられているが、βカテニンの転写調節因子としての機能が、

血管形成過程で、どのように作用しているか不明であった。申請者等は、①血管内皮細胞特異的に、「転写因 子 TCF のβカテニン結合領域」と「Gal4 の DNA 結合領域」の融合蛋白質を発現する遺伝子 ②「Gal4 転写因 子の認識配列」による制御下に「緑色蛍光蛋白 GFP」を発現する遺伝子を持つ遺伝子改変ゼブラフィッシュ ラインを樹立し、内皮細胞特異的に、βカテニン依存的転写を可視化できるモデルを構築した。まず、尾側 静脈形成に着目し、形成は①静脈原基と呼ばれる細胞群が動脈から分化し、②その一部が腹側に Migration し、③最終的に生存して一本の管を形成する という過程を経ていた。この過程で最終的な静脈形成内皮細 胞でのみβカテニン転写活性は認められた。次に、内皮細胞特異的にβカテニン転写活性を抑制するゼブラ フィッシュラインを作成し、βカテニン抑制により内皮細胞は静脈血管形成過程でアポトーシスを起こし、

尾側静脈形成が阻害されることを明らかにした。この現象は動脈細胞では観察されなかった。また、Bmp(bone morphogenetic protein)は、βカテニン依存的転写を介して、尾側静脈の形成を制御していることが分かっ た。さらに、βカテニン転写活性のある細胞で、Klippel-Trenaunay 症候群の原因遺伝子とされている Aggf1 (Angiogenic factor with G patch and FHA domains 1)が多く発現し、βカテニンと synergistic にβカテ ニン依存的転写を制御していた。その他の機能解析も含め、Bmp が Aggf1 を介して、βカテニン転写活性を 亢進させ、Bmp 抑制、Aggf1 抑制で、静脈特異的にアポトーシスの亢進を認めた。最後に、静脈形成時βカテ ニン依存的転写標的を探索した。βカテニン依存的な転写は、静脈内皮の生存を制御するが、別に Nr2f2 を 介した静脈分化を制御している可能性が示唆された。

第二次審査では、尾側静脈の位置づけ、Aggf1 の機能、Wnt signal の動静脈での違い、実験系による Wnt signal への影響などについて質疑があり、十分な知識をもとに的確な回答を得た。

本研究は、静脈形成におけるβカテニン依存的な転写の役割を明確に示した初めての研究であり、得 られた知見は極めて価値あるものと考えられる.以上より、本論文は学位(医学博士)論文として十分 に価値あるものと認定した。

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