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女子大学理系学科の 存在意義について

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Academic year: 2021

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1.研究の目的

 日本の大学進学率は5割を超えているが、少子化の影響による入学者確保の手段として、どの大学も女子にターゲットを 置き、学生獲得に懸命である。さらに、文部科学省の女子中高生の理系進路選択支援事業など女子理系学生を増やす運動 も始まっている。そこで、我が東京女子大学文理学部数理学科(2009年度より現代教養学部数理科学科)の特徴、学科の 存在意義を調査することを目的とし、在学生の意識を調査し検討した。

2.アンケートの内容と目的

 調査したい項目は主に、女子大学を卒業することについての満足度、理系であることについての認識の2点である。数理 学科を選んだ理由、女子大についての入学前と現在のイメージ、進路決定の時期や理由、に加え、出身校や第一志望の大 学および学部なども参考にできると考え、アンケート項目に加えた。さらに、家族に理系がいるかどうか、理系家族の影響 が進路決定を左右しているか、女子大卒業の家族がいるかどうかも項目に加えた。

 アンケートは数理学科在学生2〜4年生および大学院生を対象に行った。数理科学科1年生は数学専攻と情報理学専攻で あるため、来年度以降にアンケート項目を見直した後、調査を行う予定である。

 アンケート回答方法としては、WebClassという東京女子大学図書館が管理する学習管理システム(LMS)1)を用いた。

https://webclass.library.twcu.ac.jp/にログインし、Web上で行うアンケートであり、数理学科学生および理学研究科大学

院生を対象に2回まで(やり直しを考慮し)回答する権利を与えた。アンケートがあることを授業等にて口頭で伝え、好きな 時に回答してもらったが、対象者全員に伝えることができず、よって回答数も学年によって差が出る結果となってしまった ことが悔やまれる。 

3.数理学科学生へのアンケート調査とその結果

■ 進路を決定した時期について

高校1年の時が35.8%、高校2年の時が18.9%と圧倒的に多かった。これに次いで中学3年の時が11.3%であった。合わ せて、高校生で62.2%、中学生で28.2%という結果であった。

■ 理系に決めた理由について

複数回答を認めたのだが、回答全体を100%としたときに、「数学が好き」が35.5%、「文系が嫌い」が18.7%、「情報が好き」

が13.1%であった。「家族の勧め」「家族以外の勧め」はどちらも2%未満であり、自分自身で進路を決定したことがうか がえる結果であった。

■ 入学前と比較した女子大についてのイメージについて

全体的に好印象であり、「今は好き」が43.4%、「入学前から好き」が28.3%、「入学前も今も嫌だ」が3.8%で、「入学後に 嫌いになった」は0%であった。「その他」の意見としては、「中学や高校から女子校だから意識していない」「良く知らなかっ たので入学前は特別なイメージは持っていなかった」「高校の方が良かった」「嫌いではないが共学に行きたかった」などが 挙げられていた。

■ 女子大かつ理系であることについて

「良い」が64.2%、「良くも悪くもない」が35.8%で、「悪い」と考える学生は一人もいなかった。また、「良い」理由とし て挙げられているのは、「共学だと、男性が多く理系学科に入学しにくいと思う女性もいると思うから」「共学に比べ女子 学生にとって勉学のしやすい環境が整っているから」「女子は男子の数学を考える能力には勝てないと高校のときに実感 したので、女子大でのびのびと勉強するのもいいと思うから」「周りを気にせずに理系科目に集中して勉強できるから」「就 職の時に選択肢が広いと思うから」「みな穏やかな雰囲気で勉強に取り組んでいると思うから」「一般社会には男女共存し ているため、女子大の感覚では、支障が出ることもあるかもしれないが、女子大ということで、共学よりも授業等で自 己を主張しやすいというメリットがあるし、理系は男性が多いため、理系の女性は非常に価値ある存在であると思う」「理 系であると女子の割合は普通少ないが、女子大である事により理系である女の人との繋がりを多く持て、色々な話をし あえるから」などで、「良くも悪くもない」の理由としては、「女子大だから理系だからといって特別だったことがないから」

個 人 研 究 経 過 報 告

女子大学理系学科の 存在意義について

1)  

Learning Management System

の略で、

e

ラーニングの一部の学習者の学習履歴や課題、試験の成績などを総合的に管理するシステム。

● 2009年度個人研究員 小舘 崇子

Takako Kodate

(2)

9

「女子大では自分のペースで勉強がしやすいという点があるが、逆にみんな同じように勉強をすすめるといった点で刺激 が共学よりも少ないように感じたから」「就職率が良いが、専門的に学びたい分野が学べないから」「女子大かつ理系とい う意識を普段はもっていないから」「女子大は比較的厳しいことや、女性だけの環境でとても清潔であるし、とても学び やすいけれど、男子がいないため競争範囲が狭いのではと感じるため、社会に出た時に男性と同じような位置で活躍で きるのかという不安があるから」「数学はやはり男性の得意科目だと思うので、それを女性だけで行う事が良いか悪いか 言えないから」などがあった。

■ 理系の家族について

「父」が30.7%に次いで「誰もいない」が24.0%、「祖父」が16.0%であった。その他兄弟姉妹、母が理系というのは10%

未満でそれほど多くはなかった。

■ 女子大卒の家族について

「母」が20.8%、「祖母」が9.4%であったが、「姉妹」はどちらも3.8%と少なかった。「誰もいない」が62.3%と圧倒的に多 かったが、他の女子大と比較してみないとこの結果は何とも言えない。ただ、「女子大に入って祖母がとても喜んだ」と 話す学生も少なくないことを考えると、家庭環境も女子大を選ぶことに多少の影響があると思われる。

■ 総合的に判断し理系であることについて

「良い」が81.1%、「どちらでももない」が18.9%で、「悪い」と考える学生は一人もいなかった。

■ 総合的に判断し女子大で学ぶことについて

「良い」が67.9%、「どちらでもない」が28.3%で、「悪い」が3.8%であった。

■ その他の意見

「女子大学の理系学科で学ぶこと」について自由に記述してもらった意見を抜粋し、以下に挙げておく。前項の「女子大で学 ぶこと」について、「どちらでもない」と回答した学生は「専門的な勉強ができない、勉強したいことが学べればどの大学で も良い」など勉強の内容についての意見が目立ち、反対に女子大で学ぶのは「良い」と回答した学生は、「男子学生を気にす ることなくのびのび学べる、同じ志向の友達が作りやすい」など周囲の友人についてのメリットを挙げる意見が目立った。

 論理的な考え方をするようになったということが大きな実感だ。

  女子大学の理系学科は、のびのびとしていて、女子が理系をじっくりと学ぶにはいい環境だと思う。理系の男子のなか には容赦なく追いつめようとする人もいるから、そういうぎすぎすした雰囲気もなくてよかった。

 どこの大学であろうと自分の勉強したいことができればいいと思う。

 理系は男性が多い中で、女子大で学べることは、とても心強い。しかし、理系の設備はあまり整っていないと思う。

 あまり専門的な事をやっていないところが、少し不安だ。

 もう少し実験を増やしたり、理系学科を増やした方がいいと思う。

 同世代の男性の意見も聞きながら学びたい。

 理系教育の基礎を学びたい。

  共学の理系ではどうしても男子と女子の割合に大きく差が出るが、女子大の理系なら全員が女子であり、授業外の学 校生活も楽しく過ごせる。

 女子で理系が好きということでみんな集まるわけだから、気が合う人が多いと感じる。

 少人数で研究を行えることはよいが、理系に関して図書館の蔵書数や大学からのサポートが少ないと思う。

4.結 論

 今回のアンケート結果を見て言えることは、学生が、理系であることに満足しており、女子大であることもマイナスには 考えていないということである。家庭環境が理系を選ぶことに影響を与えていると考え、家族が理系かどうかという質問を したが、これには父親が理系という回答が3割を超えた程度であり、それほど影響を与えているようには見受けられなかった。

しかし、同時に家族が文系かどうかという質問の回答では、文系の家族は誰もいないという回答が13.2%あった。文系の学 生に対してのデータがないため安易な比較は避けるべきだろうが、このことは理系を選択することへの影響となっているも のと推測する。

 アンケートについて反省すべき点は、質問項目を考慮するのに手間取り、年度末近くに始めたため、学部生3学年で50 名程度の回答しか得られなかった点である。Web上でのアンケートは、コンピュータを多く使う学生にとっては鉛筆を用意 し、文字を書くよりも短時間で済み、回答しやすいものであったと思う。そのため、予想以上に多くの意見が書かかれていた。

逆に、コンピュータを持っていない学生にとってはアンケートの存在すら知らなかったのではないか、と推測する。集計す る側にとっても紙に書かれたデータを入力する時間が省け、集計しやすいという利点がある。次年度より、同テーマでプロジェ クト研究を行うことになっており、今回のアンケート方法、アナウンス方法などを改良し、回収率を上げる努力をしたい。また、

プロジェクト研究においては、アンケート対象を卒業生にも広げ、時代背景を考慮しながら女子大の捉え方や存在意義がど のように変わっていったかについても、海外の事例も含めて調べていきたい。

(本学現代教養学部専任講師/情報数理学)

参照

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