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知 覚 的 防 衛 に 関 す る 研 究 (3)
‑ 隠 し絵発見に及ぼす情動負荷の影響‑
大 内 五 介
この論文は,一つ の実験報告であ ると共に, よ り多 くこの領域 に見 られ る論 争 の解決 の道の探求に当 て られた。
〔歴史及び問題〕
この間題については前の
2論文
(21,22)でか な り詳 しく述べたので重複を避 汁,主 に最 近 入手 した論文について簡 単に触れたい.Al
lportは か って , 「知 覚的防衛 の概念は,この理論 (知覚の
directivestatetheory)の 最 も大 腰 な 出品物 であ り革命的外観 のあらゆ る名誉 の保持者であるが,最大の理論的困難 を提供す るものである
」 (1,P.321)と述べたが,多産 な研 究 と激 しい論争 とい う
′
状態は今 も続 いてい る。次 の よ うな基本的問題,即 ち,知覚的防衛 なる現象が 果 してあるものか ない ものか ,あるとすれば有害な刺戟は早 く認め られ る (知
〜
覚的鋭敏化)のか遅 く認め られ るのか ( 知覚的防衛),又 それは知覚 なのか反 応 なのか , とい うよ うな問題す ら解決 していない。
さて最近 の研究 も雑多であ り概 括 しに くいが,聾者の見 る所 では,最近の労 作 の一つは
Goldiamond(13)の ものであろ う。 そ れ は 最 近 の 精 神 物 理 学 の
indicatormethodologyか らこの領域 の研究を 批判 し解明 しよ うとす る精力的 な試みである
。この論文は筆者 の実験 とも関係 し,且つ この領域 の研究 者が触 れずには過 ぎられ ない問題を含んでい るので,節 を改めて後述す る
。逸早 くそ の批判 にそ った研究 も発表 された。即 ち
Wiener等
(34)は注意 深い研究 の結 果 ,従来閥下知覚 と考え られていた ものは部分的 キュ ーの知覚 であるとい う考え
*知覚的防衛 とい う言葉には広い意味 と狭い意味があ り,広い意味では,知覚的鋭 敏化 も自我防衛に役立づので,知覚的防衛の中 に入 る。
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を支持 してい る
。尚
Hatfield(16)は相変 らず無 意味綴に電 撃を結びつけて認 知 閥を測 るとい う従来の方法で,鋭敏化の結果を見出 している。
その他の最近の研究では従来の一般的方法 と異なる方法を用いているものが 期せず して多 く現れた。従来の殆ん どの研究は刺戟強度を弱めた状態で認知 閲 を測 るとい う暗室的実験であ った。一部の人はそ こに難点を見出 している。即 ち
Allportは知覚の誤 りや歪みが起 り易い条件だけで実験 していると批判 し,
Prentice(24)は 日常生活か ら遠い場面だけ研究 してい ると非難 してい る。彼等 の非難が的を射 ている とは言い切れないが,それ以外の研究が余 りに も少なす ぎたのは事実である。又 Go
ldiamondに よって精神物理学的認知閲測定の問題 点を指摘 された今 日では,尚更他種の指標を用い て見 ることは意義があろ う
。その点最近の研究の興味の推移は悪い ことではないだろ う。尤 も日常 生 活 的 或は非 タキス トス コ‑プ的 とい うことを実験 意 図 と 明 示 したのは
nochbergと
Walters だけであ ったか ら.多少偶然 の一致 とい う趣 きはある
。さて この精神物理学的認知聞測定以外の方法は筆者の実験 目的 に一層直接に 関係す るので多少遡 って見てみ よ う。 この種 の研究は知覚的防衛の研究を表看 板 に しない ものに多いのであるが,筆者の見た範 囲では概ね 4 種 の方 法が 認 め られた。第一の方法は図 と地の反転現象を坂扱 うものである。 この種の もの には
Schafer等
(27)の古典的研究があ り,彼等は金銭的報酬 と結びつけ られた 図形が図 とな って現れ易い ことを見た。次いで
Smith等
(20参照)は この
Sch afer‑effectが電気 シ ョックの罰に よって も起 り, 罰された図形が図 とな りに くい ことを見た。触覚的な反転図形に電気 S /ヨックを結びつけた最近のMc
Namara等
(19)の研究 もこの種に属 し,彼等は従来 まちまちであ った変数 (図形提示か ら電撃 までの時間,電撃 の物理的強度 と主観的評定,逃避可能 と不可能条件) を組識的に変えて知覚的防衛及び鋭敏化の起 る条件を精力的に探求 してい る。
その主な結論は,①電撃が強いほ ど電撃を受けない顔を報告す る,⑧逃避条件 の方が電撃 された顔を多 く報ず る,⑧電撃の物理的強度 と主観的痛み の評定の 相関は逃避条件では高いが,逃避不能条件では低い,等であ った。
第二の方法は隠 し桧を用いる方法である
。Hochberg等
(18)は,非 タキス 十
一印
‑流 轡ご嘩撃評 等,ITI / 二 潤 筆幣 翠 ′⊥ ′‑■ J ‑ , 1< ‑ ‑ I : r i で' 閑 ' ー ′ ' 1 ㌦‑ t 、 ' /, t∫ / ‑ ‑ r Jt I : I / ヽ I : /寺† 選ご
スコープ的条件で も知覚的防衛が起 るかを見 よ うと し.その為に明るい堂で実 験を行い
.Gottschaldtの隠 し絵の発見 さるべ き図形に予め不快音を結びつけた 時,その後に測定 した明暗対比に よる認知閲が高 くなるかを調べ,肯定的結果 を得た。又
Walters(33)も, 日常 生活に近い場面を問題 とL Got
tschaldtのと 似た隠 し絵を用いた。その絵は異 った色を塗 られた二つの領域に同一図形が一 つずつ隠されている。そ してその色に別の問題解決課題に よって成功及び失敗 感を結びつけた時,後の発見作業で どの一方が発見 され るかを調べ,成功 した 色の領域 の図形を発見す る率が高い事を確めた。そ して被験者が問題解決課題 と発見作業の関係に気ずかず,反応抑制や E に対す る迎合が起 り得ないに も拘 らずa
utistic‑effectが起 るものと解釈 した。
第三 の方法は不完全な絵か ら段 々完全になる絵の系列のどの段階で正 しい認 知が起るかを見 るものである。早 くは
Smock(2 9)が この手続を用い,心理的 ス トレスをかけ られた群はかけ られない群 よ り,情 報の乏 しい段 階での早 い 反応を与えるが
(prematureclosure),一 方 正 し認 知が連れ ることを 見出 し intoleranceofam
biguityの概念で説明 した。最近では
Binder(4)が 同様の手 続 きを用い, MM PI の Pa スコアの高い ものは認知が遅れ る ( 手掛 りが豊富に
なった艮階で反応す る) ことを確めた。
第四の方法は視野交替現象を坂 り扱 うものである。既に B
agby(3)が この現 象 と要求 との関係を確かめたが,最近
Davis(7)が この方法をタキス トス コー プ同様に知覚的防衛な どの研究に適用出来 ることを見 よ うとす る予備的調査を し,語刺戟では語頻度の高い ものが現れ易いこと,絵の刺戟では正常人 と分裂 病患者で異なることを確かめ,この領域でも有力な道具 となると結論 している。
〔 G
oIdiamoTLdの批判コ
さて先述 した
Goldiamondの批判 とい うものをやや詳 しく述べてみ よう。彼 は先ず,この領域におけ る知覚研究は,精神物理学におけ る最近の展開を全然 考慮に入れていない と批判 し,Bl
ackwell等に よって展開 された最近の
indica‑tormethodolog
yは,知覚 と反応を分別す ることを可能に し,この領域 の問題 を解明す るに役立つ と強調す る
。ここで
indicatorとは 「 実 験者が受容れ る 知
‑61‑
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、 )
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覚の定義にその反応成分を 審 与す る反応の クラス 」
(13,P.373)と定 義 され,又「知覚方法論に従 って為 された実験 におけ る反応要素,従属変数」
(P.403)とも 言われ る
。そ して彼は特定の知覚の定義は とらないが と断わ りなが ら,然 し知 覚の指標が妥当でないならば,その上に加え られた如何なる解釈 も妥当でな く なるか ら,適当な指標方法論は どんな知覚理論に も必要最低限の ものであると 力説す る。
さて彼は指標に
2種類,即ち
semanticindicator(SI)とaccuracyindicator (AI)を区別す る。SIは例えは 「はい,いいえ」 とい うよ うな反応であ り,
AIは 「 三角」 とか
「5」 とい う風に刺戟の種類を限 定す る反応である。但 し これ等は外形に よって単純に区別 されてはな らず,本質的区別は次の よ うな点 にあ るとい う。
1
,ス コア
。即 ち
SIは反 応 その ものをスコア とす るが,AI においてはそ のままス コアとせず,検査者の正答表 との一致数に転換 され る。
2,ス コアに対す るコン トロ‑/ L , .即ち
AIにおいては正確 さは正答蓑 との 一致に よって定義 され るので,実験 者は正答蓑を統制す ることによってス コア を統制 出来 る。
3
,ス コアの修正.AI は,チャ ンスや反 応 の偏 りに照 ら して修正出来 る
.( 修正 の際は全反応を考慮に入れ ることが大事であるが,多 くの研究はそれを していない。大 ざっばに言えは,全反応は肯定的反応か否定的反応か,正 しい か誤 りかに よって.
4つの クラス,即 ち正 しい肯定,誤れ る肯定 , 正 しい否定 , 誤れ る否定.に分け られ る。その 4 つを全部考慮せず,一部の クラスだけに着
目すれば妥当でない解釈に導 く)
0 SIにはその よ うな修正の基準はない。
4,cross‑experimentalvalidation。AI
は反 応か ら独 立であ りうるので, 教示等の影響を受け ることが少 く,従 って妥当性の実験的再検査が容易である が
,SIはかな り反応に 依存 しているので教示等の影響を受け易 く,再検 証が 困難である
。又彼は次 の よ うに も云 う,
「AIは通常ある仕方 で刺戟を
designateす る
。‑SI
は通常 このよ うな刺戟指示の特徴を もたない。む しろSI は主観的指示物
6 2
レ ・ I . / J ∫′
(referent)を もつ よ うに見え る」(P.377)
。そ して この
2瞳 の指標を組織的に 比較 した最近の研究や決断理論 (
decision血eory)方面におけ る研究な どを見 ると,次 の よ うな ことが 言え るとい う
。即 ち言語反応 は刺戟変化に応 じて連読 的に変化 しな くとも,情報入手 は連続的に行はれ る とい う証拠が ある。 そ して 刺戟 の強 さ (雑音 と雑音 +信号の比)が大 となれは,誤肯定反応 と正肯定反応 の比は大 とな るが ,然 し何時 の場合 も誤肯定が多いほ ど正肯定が多 くなるとい う関係があ る。従 って全反応を考慮に入れ ない と,多 く間違 う者ほ ど低 い聞値 を示す よ うに見え る . この よ うに正確 さ とは悉無的事象ではな く,従来 の園の 概念 も再検討を要す る。例 えは許 され る反応 のカテゴ 1 )‑の数な どが閥値を左 右す る。即 ち許 され る反応範噂の数 (情報伝達 のチャ yネル)が.可能な弁別 反応数 ( 情報量) よ りも少い時は,閲値は人工的に高め られ る.又決断理 論か ら見れば,
SIは 自動的に決断過程 を含む と見 られ,個人 が どの程度の情 報 量 の所 である反応 をす るか否か とい う分 割 点
(cuトoffpoint)或は危 険を 冒す水準は,反応に伴 う結果 (利 ・不利)に左右 され る。更に
SIは 直 前の反 応に 引 きず られ る易い (系列 効果)。 この よ うに
AIと比較す る と
,SIは感覚的弁 別以外の要因に左右 され易 く,信 頼性が少い。尤 も指標 の妥当 性 は
,SIか
AIかに よって 決 るものではな く,適切 な方法論に結びついてい るか否か,法則 的関係を産み出すか否かに よる。以上 の よ うな観点か ら彼は閣下知覚や知覚的 防衛 を解明 しよ うとす るのである 。
先ず閣下的知覚について言えは,支持的結果を産 んだ研究 の殆ん どは,上記 の二つの指標 を併用 してい る所に問題がある。即ち 気づいたか否か を
SIに よ って決め , 弁別の聞値 を
AIに よって決め る
。所が前述 の理 由に よって , 通常
sュに よる閥値は
AIに よるそれ よ りも高 くな る
.従 って閥下的知覚 とは
SIと
AIの差か ら産み 出 された
artifactにす ぎない。
次に知覚的 防衛 の研究 を見 ると,この領域 では刺戟 も手続 も多種多様 である が,大部分の研究は,上昇極限法に よって最 初に全部を正 しく認定 した反応 で 閥値 を定め る。 これ は
AIであ り,一見妥当であ るよ うに見え る。然 し指標の 妥当性は研究対象 とな ってい る もの以外の変数を許容すれば低 まるのであ り,
‑6 3 ‑
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;jr.;I:その点で 「このよ うな指榛 と方法の組合せ以上に妥当性を欠 く知覚 の指額を探 すには余程昔の文献に遡 らねばならないだろ う
」 (P.395)。例えば この方法で は,多 くの場合 どんな刺戟が出るか分 らず,被験者は刺戟の弁別を求め られ る 他に, どんな刺戟なのか, どんな反応が良いか学はねはならず,そこに学習の 要因や適応の問題が入 って来 る
。その他に も語頻度な どが影響す る事が知 られ ているが,これ等は全て反応の偏 りとい う概念で概括出来 る。そ して知覚的防 衛や知覚的鋭敏化は反応の偏 りか ら解釈出来 る
。例えはある反応が電撃で罰せ られれば,その反応の出現頻度が少 くなるよ うな反応の偏 りが起 り,先述 した 理由に従 って閥が高 まるのは当然である
O空腹な者が食物の語や絵を早 く見つ け るもの も同様に解釈出来 る.又不安やス トレスが閥を高めるのは,反応をス テレオタイプにす るか らだ と簡単に説明がつ く
。こ う見ると, 「防衛的知覚 と 鋭敏化を,減少 した反応 と増大 した反応 と言い換えて見 るとよ り明確
」(P.40 0) に理解出来 る
。その他 この領域 の一部では強制選択法が用いられている。 この方法は
Black‑wel
lが妥当性の高い方法 として推奨す るものである
。然 し
Blum達は どれが正 しい反応か不明 な状態 で使 ってお り, AI としてよ りは SI として使 われてい る
。当然他の要因を許容す る事になる
。このよ うに知覚の分散を分離す ることを可能に した最近の指標方法論での知 見によれは,この領域で従来知覚に影響す ると考えられていた変数は反応に影 響す る変数であ り,知覚の変化 と考えられていた ものは反応の変化である。そ して,それ故にこそ,知覚的課題に対す る反応が人格の理解に重要な鍵 とな り 得 るのであると彼は主張す るのである
。⊂実験 日的〕
この実験は上述 した よ うな所 に問題を認めることによって, 日常生活に近い 場面で,そ して精神物理学的な認知聞ではな く
performanceを指標 として研究
*この実験の遂行に当 っては,弘前大学教育学部心理学科の鳥谷拓磨君の協力を 得た事を記 し,感謝の意を表す る。尚結果の概要については, 日本応用心理学 会第2
7回大会に於て発表 した。
二ヨ 一一
ヽ
す る意図で為 された ものであ る
。その為 に暗室 でな く明宝で,刺戟を窮めるこ とをせず,代 りに多義的 な図形を用いるとい う条件 で為 された
e具体的には隠 し絵 の中か ら発見さるべ き図形に前以て情動的条件づけを しておいた場合,そ の図形の発見が遅れ るか早 まるかを見 よ うとす るものである. この実験は,佳) 明宝で行われた ,⑧条件づけ刺戟 として聴刺激を用いた,⑧ 同種の隠 し絵を用 いた とい う点で
Hochbergの実験 と共通であ るが,次の点で異 る。即 ち,①不 快刺戟だけでな く快刺戟 も用 いた,⑧条件づけの回数 も変数 とした,
⑧ Hodl・ bergの指榛は,明暗 対比閲 であ るとは言え,精神 物理学的 に 測定 された 認知 聞であるが, この実験では作業遂行 の時間を指榛 と した。
亡方 法コ
〜
材料は
Gottschaldt(15)の実験図形 よ り選び,発見 さるべ き単純 な幾何 図形 即 ち
a‑Figurは
3種
(Ⅰ, 丑,Ⅴ番),それを含み なが ら粉 らほ しく隠 してあ る複雑な図案即 ち
b‑Figurは各
a‑Fig.ごとに
4種 ,合計
12種を用いた
。b‑Fig.を選ぶに当 っては,
Gottschaldtが調査 してい る発見 の 困難度を参考に し,な るべ く困難度が偏 らぬ よ う配慮 した。情動的条件づけには,不快刺戟 としては ヤカ ンの縁をヤカンゐ蓋で擦 った音,快刺戟 としてはオル ゴr lt , の旋律 (白鳥 の湖)を用いた。 これ等の音は全てテ ープ レコーダ ーに録音 して用いた。手読 きは,条件づけ と発見作業の二つに分かれ ,その間に 5 分の休憩をはさんだ。
条件づけの手続 きでは,問 題 の 3 図形の他に妨害図形 として 2 種の図形
(Gottschaldt
の Ⅰ,I V)を も加え,合 計
5種 の図 形を ラyダムな 順序で 提示 した . 一 回の提示時間はそれ ぞれ
10秒であ り,間隔 も
10秒である。音 と結びつけ られ
る図形では,提示されてい る間 じゆ う音が鳴 り続け る。教示 としてほ「これか ら 蓑 1 実 験 計 画 い くつかの図形を見せ ますか ら注意 して見てい
的影響を見 られ るよ うに した。
て下さい」 と言い,音 については触れなか った
。
どの図形に どの音が結びつけ られ るかは,慕 1に示す よ うに,被験者の群に よって異な り, 全体 として図形特有な発見困難度 とは別に情動 ここで中性 とは何の音 とも結びつけ られ ない こ
‑6 5 ‑
J .. . r
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∴・・・‑ ,IJ ・:I,;] ・・,軒 ,.・ =.,. ,:..li t," il l:;,14 i ・:・‑. L i・..i ;・賢 ・.;. ・..、: / i;,, I.
..・・J.+...TJ,[1・rL/1.TL.).,..I.i・L・.・〜.Iとである 。 尚妨害図形 も音 とは結びつけ られない。
被験 者は大学生 3 6 名で,殆 ん ど心理学専攻以外の学生であ り,誰 も実験 日朗 については知 らなか った。被験者は上記 の
3群 に同数ずつ ラ ンダ ムに配属 され た。条件づ けの回数 も変え られ,各群の半数は
2回,半数は
5回条件づ け られ たo各条件 ごとに半数は見 半数は女が選げれた.
発見作業は出来 るだ け早 く見つけて,見つけた ら赤鉛輩 でた どって書 き示す ことである
。本実験に入 る前にⅣの図形を含む一枚の図案で練習させ,課題を 了解 させた。本実験 では.発見 さるべ き
a‑Fig.を
b‑Fig.と一緒には 印 刷 せず
3種 の
a・Fig.を一括 していつ も前方 に出 しておいた。 これは選択を忌避す る自 由を許す為 である。ち‑
Fig.の担云順序は,含 まれ るa‑
Fig.が ランダ ムに 現は れ るよ うに し,又
Gottschaldtの困牛皮調査を参考に しく,後になるほ ど困難 になるよ うに ‑した。そ して書 き始 めの時間 と書 き終 りの時間を測定 した。
〔結果と考察コ
この実験 の主た る指標は書 き初めの時間なので,先ずその分析をす る。発見 時間の分散分析は表
2の通 りであ り,解釈 に必要 な平 均 値
(b‑Fig.一枚 当 り 表
2発 見 時 間 の 分 散 分 析 の発見時間) を表
3‑5に示 した。表
2に 見 られ る如 く ,最 も大 きい 分散比を示 し た のは男女差 である。 これ は女は この種 の課題に不得 意 なのだ と解 釈 され る 。
(註)
MSの小 数 点以下 四捨五 入, 'X'・・‑・5%,榊 ・・・・・11%.‑66
‑
閤 毛 毒 撃 警 撃 琴 琴
肇撃野 讐 琴 粁 幣 等葦 葦撃深≡ ・ サ ‑ l '
7/ : 一 ・ 〜
‑滞 貨p/・Ly‑ " ・ 京子笹 葦 寸
表
3.男性平均発見時間 ( 砂)
表
5.全体平均発見時間 ( 秒)
岩下 増 快 L中性 l不可 l平均
平 均
127・Ol23・5126・2日25・6表
4.女性平均発見時間 ( 秒)
次に図形差 も有意であ ったが;これ は困難度の近い ものを選ぼ うとしたに も拘 らず ,実 際には差が あ った ことを 示す
.又図形は性 との交互作用 におい て有意であ ったが, これは平均値に見 られ る通 り (平均値蓑は困難 な順序に図形を酉己 置 してあ る),困難度の順序は 男女に差がないが,女性の勾酉己 が急であ った ことを示 してい る
。条件づけの回数は,単独で も, 又交互作用において も有意差を示 さなか った。
これは 「注意 して見ていて下 さい」 とい う教示の結果,割合に少い回数で効果 を及ぼ したのか も知れ ない。
Hochbergの実験において も3 回 とい う少い回数 が有意 な効果を及ぼ してい るのである
。次 に主要 な研究 目的である情動は単独では有意 な要因 とはな り得 なか ったが 性及び図形 との交互作用において有意 な効果を示 した。そ こで順次にそれを検 討 して行 こ う。先づ全体の結果を見 ると有意ではない とは言え,中性図形は早
表
6間違いの数 ( %)
㌻ \ 讐1 快 l中性 L不快 I L平均
平 均
112.5110.1113.2*
く見つけ られ,快及び不快図形は発見 が遅れ る傾 向が見 られ る
。ここで
蓑 6及び蓑 7 に示 された補助的分析が参考 になろ う 。 即ち相補 う事実 ではあるが 廟動的に負荷 された図形は,そ うでな い図形に比べて,間違い も少 く,且つ分散 も少い.特に,間違 い と分散におい
# 「間違い」 とは,他の図形 と勘違い して書 き直 した場合の ことである。
‑67‑
を改めて詳述 した いので, ここでは深 く立 ち入 らず,単に情動が一種 の撹乱作
*用 を もつ よ うに見え る事 を指摘 してお こ う
。Spence(31)も情動が一定方 向の 変化を起す とい うよ り撹乱作用 を もつ と仮定 し,従 っで 情動 の効果は平均値 よ りもむ しろ分散 に現れ ると主 張す る
。尚 この点 に 関 して
Murphy(20)が,情 動は快‑不快 とい う次元で反対 の方向へ影響す るのではな く,同 じ方 向へ影響 す る と し,結果は直線的でな く
Uカ ーブにな ると仮 定 して い る の は 興 味 深
いo
次に有意な効果 を示 した図形 との交互作用について言えは .蓑 5 に見 られ る よ うに,発 見の困難な図形においてほ情動は妨害的に,易 しい図形では促進的 に働 き,特 に不快において顕著であ るこ とを示 してい る
。そ して これは後述す
#i るよ うに充分 あ り得 ることであ る。
やは り有意 な効果を示 した男女差
(ExS)は,平均値か ら見 て,女において ほ情動 (特に不快)が妨害的 に働いた のに反 し,男性においては不快が促進的 に働いた点にある
。これ と軌を一 にす る結果は過去の文献に も見 られ ,興味深 い問題を提供 してい る。 例 えはPos
tman(23),Freeman(ll), 後藤与一
,(14)は 共に女性に
defenseの傾 向が強い こ とを認め,Pus
tell(25)は女は
defense,男 は
vigilanceを示す こ とを確 め,青木
(2)も同 様 な傾 向を見 てい る
。さて, こ
♯尚,意図 された快刺戟が果 して実際に快であ ったかには疑問があ る。 内省報皆 に よれば,錬音 された音が高過 ぎて,快には感 じられなか った とい う報告が割 に見 られた。む しろ,強い不快刺哉 と雑居 させ られ る事に よ って,一種の シ ョ
ックを与 え得た とも推測 され よ う。
文 Murphy(20)が考 え るごとく.快刺戟 と はそれに向 って積極的な接近運動 を引 き起す もの,追求 され るもの と定義すれ ば,いずれに しろそのよ うな意味での快刺戯であ り得そ うもない。
*斗尚,図形のⅡ とⅤはやや紛 らわ しい形であることを指摘 してお く必要があ る。
‑68‑
I ,,EtE
‑ I , ‑ t J t■ ゝ t L j
の結果を解釈す る手掛 りは二つあるであろ う
。一つは,女性に とってこの種の t 作業が不得意 (困難)である事であ り,他の一つは,不快感は女性の方が襲い
〜
らしい事である。内省報告に よる評定では,最高 の艮階に属す る者が女性の 6 1
%を占め るのに,男性では4
0%にす ぎず,女は全般的に高い艮階に属 した。内省報告における表現を過信出来ない まで も,女性に不快感が強か った ことは事 実 ら しく思われ る。
乱 知覚的防衛 は個人 の人格 との関係において見ねはならず ,集団の平均か ら論ず るのは危険であるとの主張が
Eriksen始 め多 くの人に よって主張 されて い ることは前の論文
(22)で触れた。事実 ,男に も女に も一般の傾 向に反す る個 人は見 られたが, この実験 では人格調査を してないので,その点について何 も 言えないのは残念であ った。その他 ,この実験 の手続 きに若干不満な点に気づい た ので ,目下
crossIValidationの為 の実験 を遂行中であることを断 ってお きたい 最後に,情動は知覚 に影響 したのか反応に影響 した のか とい う疑問が起 るで あろ う。 この実験では認知聞 ではな く
perfom anceの時 間を 指 標 とした ことが更に疑 いを強め るか も知れ ない。然 しこれは,節 を改めて論ず るよ うに,知 覚 の定義 に関わ るのであ る
。筆者 自身は範噂的認定 までを知覚過程 と認め る。
この実験か らほ情動が認定以後の嘩程 (反応過程)に影響 しない と言い切 る事 は困難であるが,然 し,早 く見つけて書 くことが適応的であるよ うに条件構成 された事及び内省報告か ら,情動は知覚に影響 した と考え る方が よ り正当であ ると考え る。 (後述参照)
⊂知覚的防衛の性質及び メカニズムコ
知覚的防衛については基本的 な問題で論争が あることは前に述べた。然 し広 い領域 で今 ま. で為 された多 くD研究及び筆者のささやかな研究か ら,か な り統 一的理解が出来 る艮階に達 してい るよ うに思 う.以下,紙面 の都合で簡略では あるが この線にそ って考察を試みたい。
知覚的防衛が適応に役立つ とい う解釈は,機能主義 の枠 内に留 まるか ぎ り今 半例えば 「 逃げ出したくなった
」,「 いらいらして寒気がした
」 ,「 頭が痛くな
った」など。何 「 殆んど平気」という報告は男性の一人に見られたにすぎない。
一 閃‑
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も正 しいであろ う。有機体にその よ うな安定機能が あ り,その多 くが無意識的 に働 ら くことについては,異論 を挿む人はない と思われ る。然 し問題はその よ うな結果が どんな メカニズムに よって もた らされ るかで ある
。単に見 ることを 避け るとい うよ うな説明は
Freudの時代を一歩 も出ない ことである。メカニズ ムの説明には先づ知覚過程 の理解が必要 であ るが, こJ 3点では,知 覚は範疇 化 と決断の過程 であるとい うBr
uner(5)の理論が有効であろ う。即ち 彼 に よれば,知覚 とは キ ューを利用 し,最 もよ く適合す る範噂へ分類 し,決断 す ることである,そ して このキ ュー利用の 過程は推理 ( 屡 々無意識的 な)を含 む とい うのである
。次 に この知覚過程 に及ぼす情動の効果を理解す るには手掛 り利用 の範 囲
(rangeofcue‑utilization)とい う概 念が有 効である と考え る
。特 に最 . 近 この概 念を情動 の問題に関連 して精細に考察 した
Easterbrook(8)の 見解が役立つだ ろ う。彼 に よれ ば 「情動生起は一貫 して手掛 り利用の範 囲を狭 くす る」 とい う命題 は変更す る必要のない一般命題で ある。筆者 もこの見解を 重要 な拠 り所 としたい。
所で この手掛 り利用範囲の狭小化には二つ の メカニズムが関係す る と考えた い。一つ の メカニズ ムはいわば
extrinsicで受動的 な ものであ り, 他は
intrinsicで能動的或は主体的 な ものである。先づ前者か ら述べれば,情動は一種 の撹乱 作用を もつ よ うに見え る。 その メカニズ ムを生理的 な水準で考えれ ば,
Hebb (17)の提唱 してい るよ うt T : こ位相連鎖 の時間関係を虫; わ しそれ を破壊す ることで あるか も知れ ない。そ うす るこ とに よって既 存の手掛 りを利用困難 な ものに し 或は新 ら しい手掛 りの形成を妨げ る
。既述 した
Spenceや ,筆者の結果 もそのよ うな観点か ら理解出来 るよ うに見え るo
次に第二の メカニズムは,不快 な情動を起す よ うな (適応困難な)● 場面では 適応 の努力が手掛 り利用範囲の狭小を もた らす。即ち既存の手掛 りに集 中 し, 新 ら しい場面 で も多 くの手掛 りが探索 されずに反応 され る。 この ことは決断理 論 では分割点
(cut‑offpoint)の低下, Tolmanの理 論 では認 知 地 図の狭
′ J \ 化 といえ るだ ろ うし,又 Br
unerの理論 で云えは一定の範噂 に符号化す るに必要 な特性数を少 くす ることであろ う。 そ して
Brunerに よれ は・一つの範噂
‑70
‑
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町. ' ・ ・ t t ・ て
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JL f ‑ F ' ' ・ . : き ' ' ̲ t L S ・ ! ? ; L ・ ・ : 曙‥ \ , I : I : 翠 ‑ i : : : L T ・ + . : i . :I . 1 7 J・ 二 . ● 、
的認定
(identification)が起ればその他の手 掛 りが gating‑outされ るのである。
Smock(29,30)が,心理的 ス トレスを与え られた被験 者は早い (手掛 り が少い)段階でせ っか ちな反応 を与え るが ,正 しい認知は遅れ ると言 ってい る
〜
の も, この よ うな観点か ら説明出来 よ う。
所 で情動は手掛 り利用範囲を狭小 にす るとして も,情動は促進的に も影響す る事が ある事は以前か ら周知 の事実 である。知覚的防衛 の研究に も数多 くの例 が 見 られ るが ,最 も端的な例は , 正反応に対 して与え られた電撃
(rightshock)の学 習 促 進 効果であろ う。 ここで,促進的か妨害的か を決定す る条件は何か が問題にな り,知 覚 的 防 衛 の領域 で も多 くの人が適 求 して来た設 問であ った
(22
参照)0
さて この条件 につ いて も 有益 な示唆を 提供す るのは やは り
Easterbrookである。彼 は手掛 り利 用 範囲の狭小が活 動 を
organizingす るよ うに影 響す るか
disorganizingす るよ うに影響す るかは関係 してい る行動に依 存す る とし,そ の方 向を決め る一つの要因は課題 の困難度 に あると見 る.即 ち,多 くの手掛 り を必要 とす る仕事では手掛 り利用範囲の狭小が破壊的に働 くが,小数 の手掛 り しか必要でない場合には不適切 な手掛 りが排除 され ることに よって却 って促進 的に働 くと し,各 々の仕事 に手掛 り利用の最適 の範囲が あると推定す る
。これ は重要な示唆であ り, この事は次 のよ うな推定に導 くだ ろ う
。即ち難か しい課 題ほ どよ り弱い情動に妨害 され易 く,易 しい課題ほ どよ り強 い情動 も促進的に 影響す る。か くて促進的か妨害的かは情動 の強 さ と課題 の困 難 度 との相 対 的 関係に よって決 り,単な る情動 の強 さほ特定 の場合に のみ方 向を決定す る要因 とな ることを示唆す るだ ろ う。筆者の実験 に見 られた情動 と性及び図形 との交 互作用は この よ うな観点か ら理解 出来 る。又 r
ight・shockの領域 で電撃 の 適時性 とい うことが言われ ,学習が ある程度進 んだ時に与 えた方が促進効果が大 き い とい うの も同 じことを示 してい る と推 定 出来 る
(32参照)。学 習が進 んだ と
井向.
SmOCkは認知前臆測は不安を伴 った場合にのみ知覚 を妨害す ると解釈す るが これは一 部は正 しく,一部は誤 りであ り.不安を伴 った場合の方が よ り妨害的で あ ると言 うのが正当で あろ う。
・ ‑71 ‑
い うことは.特定 の刺戟がある事態を代表す る機能 (象徴化,手掛 り化)が進 んだ ことであ り,特定の事態に反応す るのに少数の手掛 りしか要 らな くな るこ とを意味す る。単にや さ しい仕事 とは以上 の意味だか らであ る。
さて,課題の困難度はいわば認知的要因 と云 うことが出来 よ う。然 しそれだ
*
けでな く,適応的要因を見逃す ことが出来ないだ ろ う。先づ,情動は快 であれ 不快 であれ適応の努力を高めることに よって促進的に影響す ることが仮定 され ねばな らないだ ろ う。又 この事は適応的解決の道が開かれてい るか閉ぢられて いるかに よって異 るだ ろ う。開かれ ていれば一層促進的にな るだろ うし,閉ぢ られ ていれば手掛 り利用範囲狭小化の破頃的影響だけが前面に出る事になろ う
。 この点,
Reece(26)や
McNamara等(
19)が,電撃に対す る逃避可能 と不可能 場面を比較 してい るのは当を待てお り,彼等 の結果はやは り,逃避可能場面に おけ る促進効果 と不可能場面におけ る妨害効果を確めてい る。
次 には,早 く反応す る事が適応的か正確に反応 する事が適応的かに よって違 って来 るだ ろ う
。概 して言えば,前者においては促進的に,後者においては妨
**
害的に作用す ると仮定出来 よ う。又前述 した手掛 り利用範囲狭小化の第二の メ カニズムは早い反応を求め られ る場面で特に前面に出るであろ う。尚,細かい 問題では,困難 な課題 においては
frustrationとい うよ うな 二次的 情動が現象 を複雑にす る可能性 も,適応的要因の一つ として考えねはな らぬだ ろ う。
以上を要約すれば,情動が促進的に影響す るか妨害的に影響す るかは,様 々 な要因の複雑な絡み合いに よって規定 され,そのよ うな要因の中には,情動 の 強 さ,課題の困難度,適応的解決の道が開かれてい るか否か ,早い反応が求め られ るか正確な反応が求め られ るか,等の要因があると仮定す るのである。 こ の よ うに理解すれば, この論文の始めに述べた基本的争点を解決出来 るのでは
*知覚場面が一種の課題解決場面であることは
,Eriksen(9)がつとに指摘 している ことであり.文知覚的反応の殆んどは
operantなものであることは
Goldiamondが指摘する通 りである。
**但し.せ つかちな反応が見かけ上,正確な認 先l 閲を低める可維性がある事は
Go) diamolldの指摘する通 りである。
‑ R l 暫‑
lL . .LL A き .ー. 去
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ないか と考える。即ち情動は促進的に も妨害的に も働 き得 る し,条件に よっ<
は何等の効果 も表面に現れない こともあ り得 るのである。
〔 知覚の概念 : G
oldiamoTLdに対する批 判〕
最後に基本的なそ して最 も深刻な争点である,知覚か反応か とい う問題につ いて,
Goldiamondを批判 しつつ論争解決 の道を考察 したい。
Goldiamondの 論文が重要 な貢献である事は先に述べた。従来確かに この領域 の心理学者が, 閥 とい うものを単純正考えていた傾向があ り,その点では特に,①反応 の範噂 を適当に選ぶ必要 のあ る事,⑧知覚の指標 として一部の反応だけを とってはな らず,全反応を尉酌 しなければな らない事,⑧知覚的反応 も道具的反応 である と考えねばな らない事,等の彼 の警告は傾聴 に値 しよ う。
所 で,知覚的防衛は知覚の変化ではな く,反応 の変化であるとい う彼 の結論 には議論 の余埠がある。知覚か反応か とい う問題は,知覚的防衛の領域に限 ら ず ,知覚心理学全般において長い間熱い論争 の的 であ った。筆 者の前の論 文 (
22)において も簡 単にその事に触れたが,筆者はその中で, この種の論争は知 覚 の概念の瞭昧 さに よって起 るものである事,対立す る論者の間で言われ てい る事 の実鷹 の内容は見かけほ ど違わない事を指摘 して, 蝿牛角上 の皐に誓 えた。
このことは
Goldiamondの論文に も正 しく当ては ま り,皮肉に言えは,知 覚の 概念の瞭昧 さと混乱 (他面か ら言えは知覚に対置 された反応 の概念の暖昧 さと 混乱)が この論文を長い ものに してい ると思え る。彼 は知覚の定義 として三つ の例を挙げなが ら, 「 知覚の定義の問題で何等 の立場 もとらないだろ う
」(13,
P.373)と断 り, 「これは方法論的に適切 な研 究をや るのに関 係のない 哲学的 問題である」
(P.403 )とし,定義の 問題を避け てい る。 これは 一見賢明な振舞 に見え るがそ うでない。事実,板上げ る問題が問題だけに避け られ る筈はな く 避けた筈の知覚 の定義や哲学的問題(?)が,時にはほのかに時には明白に随所 に言及 され てい るのである。
さて,知覚の簡単 な定義 としては次 の二つがあ り得 ると思 う,即ち知覚は① 直接所与或は主観的経験 である,②反応か ら推測 され る構成概念
(construct )或 は仲介変数 である。所 で第‑の定義は, 日常生活での否 々或は被験者の側では
‑73‑
成 り立 ち得 て も,実敬 者 (或は実険 b理学) の側 では第 二の定義 の立場 に立た
〜ね は な らぬ事は誰 も異論は ないであろ う。例 えば以前には
Garner等
(12)が知 覚 を仲介変数 と見 な さね はな らぬ事 を力説 してい る し,
又 Goldiamondも 「知 覚 とは観察 者 との関係において方法論 的 に定義 され,
indicatorに よって 測 ら れ る
concept或 は
schemaであ る と考え る事が 出来 る」(P.
374)と述べ,概 念或 は 図式 よ りも
constructとい う言葉 の方が好 ま しい と断 ってい るの も正 しく同 じ立場 に立つ事 を表明 してい る と言え よ う。然 しこれは特定 の人 の立場 ではな く,心理学者の主 な仕事が , 刺戟 と反応 の関係を明 らかに し, 行動 を説明す る事 であ る とい うこ とは現代 心理学者のはば共通 した理解 であ る と思われ る。知覚 心理学者は反応 を坂扱 わない訳 ではな く,知覚 の実験 t
##l lおい て も唯一 の観察 の 対象は反応 であ る事は言 うまで もない。 この点 では対立があ る訳 では ない。
次 に知覚的反応 の過程 につ いて も研 究者の間に さ した る喰違 いが ない と考え る。・ 聾者は前の論 文
(22)で知覚的 反応 の過程 を三つ の位相に分けた 図式を提 示 したが, ここでは位相 を更に細分 し,説明の便宜上番号を打 ってお くことに し よ う.典型的 な知覚的反応は次 の よ うになろ う :信)感覚 器 の興奮
(input), ㊨ 中枢 までの伝達 ,⑧範l 壕的認定 ,即ち中枢 に達 した手掛 りが吟味 され ,既 存 の
***範噂 に適合 され る。主観的知覚が起 るのは この度階 と推測 され る,④ 道具的判 断,即 ちある反応が有利か不利か判 断 され ,運 動器官に指令が発せ られ る,( 9
キ定義とは一,二行で書かれ る命題に尽 きるものでな く,定義 されるものに関わる 全体の知識或は理論体系である事は云 うまでもない。叉この二つの定義は一方が 正 しければ一方が誤 りであるとい うのではな く,次元が異ると考えるべ きである 何,目下の論争は人間の知覚についてであるから,私 もその線にそ って論旨を進 めて行 く。動物の知覚を含める時は若干の困難な問題が入 って来 る事は認めざる を得ない。
*井この反応の中には勿論所謂現象的報告 も含まれ る。現象報告 も一つの反応 として 他種の反応 と対等の権利をもつ.勿論その報告が,研究 されている変数 と一義的 に関係するか否かは,理論体系に照 らしてチェックしなければならないが,その 点では他種の反応 も同様である.正 しく,
Goldiamorx lが言 うごとく,指標の安 当性は,どんな反応かによるのではな く,方法論の適切 さ,及び如何に法則的関 係を生み出すかとい う事によって決るのである。
…
尤 も,意識は運動系の興奮(聞上或は閲下の)と密接に関係するものではないかと 思われる節がある
(17参照) が,それでもこの図式は変える必要はない。
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反応
(output)。無論様 々な理論 に よって 強調点が違 うことは認 め られ る。例 えは,情報理論 では 目下の所① と( 昏だけが問題に され途中の メカニズムについ て明細化 しよ うとす る努力が乏 しい し,又決断理論では④が強調 され るが⑧の 過程については余 り述べない。然 しこの種 の理論では,例えば 「ペ ニスに見え たのだが恥か しいか ら言はなか った」 とい うよ うな反応 の説明は困難になろ う
。 又 B
runerの範時化理論 では⑧が強調 され て④ には余 り触れ ていないが然 し これ も触れ なか
っただけ で否定す る訳 では ないだろ う。要す るに以上 の よ うな 過程 につ いては現 今の学者の間でそ う対立す る問題はない よ うに思 う
0所が以下に述べ るよ うな点にな る と分岐 して来 るのである。各論 者が明確に 説明 してい る訳 ではないが,次 の よ うに分現すればは っき りす る と息はれ る。
第一 の立場はいわば伝統的立場であ って,その特徴 は,主観的 な意味に近い知 覚 (直接所与)或はそれに相応す るもの (例えは範噂的認定)を*J b的構成概 念 と して据 える所にある と思はれ る。 この立場 では,知覚的過程 とは上述の図 式の⑧ までを示す であろ う。従 って知覚的反応 と呼ばれ る反応の クラスを得 る には⑳以降におけ る歪みを少 くす るよ うな方法を とる,即ち,被験者にあ りの ままの印象を正確 に伝 える構 えを作 らせ て刺戟を観察 させる。具体的に言えは 正確にあ りのままを伝 えることが質 され ,反応 を抑制す る事や嘘を云 うことが 罰せ られ る (適応的でない) よ うな条件 で観察 させ る。要す るに刺戟を呈示す る事 と,被験者に上記 の構 えを作 らせ る事 とい う二つ の操作が最底の本質的 な もの とな る。 この立場 では , この よ うな方法論 に よって得 られた反応 の クラス
井☆が知覚的反応であ ると定義出来 る。従 って この立場では , 記憶,期待 , 構 え,要
井勿 論これは典型的な過程であって,途中のプロセスが省略きれることもあり得る し,各プロセスの間に頻繁な
feedbacl亡があるだろうことも,前の論文で指摘し た通 りである。
辛☆しばしば,超感覚
(ESP)的実験や道具的判断による歪みを自由に許すような実 験結果から, 「 知覚でなく反応である」とい う批判が為 されるが, ・ 方法論的に見 て的外れと言えよう。又知覚的防衛の実験で, 「 見えないのではなく言わないの だ」と結論することは,操作の失敗の表白を意味する。
‑7 5‑
求 , 情動
etc.が知覚的反応を変 え るとい うことに , 不思議 も不都 合 もない。現今 の知識 に よれ は,学 習要因や動機 づけ的要因が,⑧か ら⑤ の間の過程に影響す るだけでな く,②か ら⑧ の間で も影響す る事は明 白で ある。例 えは⑧の過程す
〜
らも中枢の支配を受け るとい う証拠が ある
(6参照)
。又現今では,知覚 と感覚 を区別 し, 知覚は意味 を伴 った把垣であ る とか ,知覚はc
opyではな くc
onstruc・ tionであ る と考え るのが一般的で あるが ,それ もこの立場に立つか らである。
次に第二の立場を見 よ う。Gol
diamondについ て言えはかな り暖味 で ある 。
彼 は時には感覚的弁別 と言い,時には知覚 と言い換 え る.反応 について も例 え は,治療 の進んだ群 の方が脅威語を早 く認 め るとい う
Chodorkoffの実験結果
**
を,単に言語反応 を抑制 しな くな っただけだ と解釈 してい る際は,反応 に よっ て④ 以後の過程を指 してい るよ うに見え る。然 し彼 の本心は知覚 を 「最 も狭い 意味」
(P.402)に解す る所に あることは明 白である.全体の文意か ら推測す ると 彼 の立場 を明確にす る為 には知覚 を次 の よ うに定義すべ きであろ う,即ち知覚 的反応 とは刺戟変化 と共変す る反応成分 である
。そ して所謂 形式主義者か機能 主義 者を批判す る際に とる立場 も実は この立場 で あると解す ることが出来 よ う
(e.g.24)(私は この 意味 での反応 を. 第一 の立場 での 知覚的反応 と区別す る 為に 感覚的反応 と呼ぶ ことを提 案 した い)。所 で この立場 に立 ては . 知覚的防衛が知 覚 の変化 でない ことを論証す るには長い紙数は要 らないのであ って,数行で片 付 く種類 の もので ある。知覚的防衛 の実験が この意味 での知覚 を問題に してい
・ るのでない事はその手続 きを見れば明 らか で あろ う
。な るほ ど刺戟強度は変化
#尤 も.情動が知覚的反応過程の どこに どの よ うに働 くかはまだ分 らない.
Bruner
が仮定す るよ うに , 中枢への伝達の途中において情報が遮 断 され るのか も 知れない し
,Hebbが仮定す るよ うに位相連鎖の
timingを狂わす事によ って影響 を及ぼすのか も知れない.最近
Erikse n
(10)は,情動 的弁別が知覚的弁別に先立 つ とい う
Lazarus等の仮説 を実験的に否定 し,情動的弁別は知覚的弁別 と同時か む しろ遅い事 を示唆 した。 この見解は正 しいだろ うけれ ども,然 し知覚的弁別 を 明確な意識 を伴 った ものに限 る場合にのみ言 え る事であろ う。実 際の範境的認定 までの過程は,詳 しく言えば,期待一情報入手一 仮説一 手掛 り探求一 仮説一手掛 り探求・ . A ‑確認 とい う事 になろ う。そ して何番 目かの仮説が 情動 を触発す る事に よ って,意識的知覚 に影響す ることは充分考 え られ る肇であ る。
**これは曲解であろ う。批判は前述の よ うな方法論によ って しなければな らない。
‑76・‑
/(、