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中世小説『あめわかみこ』天稚系研究の現在

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長崎大学教育学部人文科学研究報告 第五十三号  〜十六︵一九九六︶

中世小説﹃あめわかみこ﹄天稚系研究の現在

勝 俣 隆

A GENERAL SURVEY OF THE RECENT STUDIES

ON Amewakamiko THE MEDIEVAL TALE

Takeshi KATSUMATA

中世小説﹃あめわかみこ﹄は︑天華系と七夕系に分かれるが︑本稿

では︑天煙雨に関する現時点での研究の状況について︑纏めてみた

い︒

一︑天華系の諸本についての研究

 ﹃あめわかみこ﹄天測系の諸本については︑主なものとして︑次

の研究がある︒

 ︻書誌的研究︼

 ①﹃近古小説解題﹄ ︵平出錘二郎著︑明治四十二年五月初版︒本 稿は︑昭和四十九年九月︑名著普及会の復刊に拠る︒︶  本書では︑帝国図書館蔵本︵翻刻の項で述べる﹁国立国会図書 館蔵﹃あめ若物かたり﹄一冊︑天保十年写のこと︶に基づき天稚 系の梗概が述べられた後︑帝国図書館蔵本と︑明暦元年版本につ いて言及し︑帝国図書館蔵本は︑誤りが多い悪本であるとしてい

る︒

②﹃室町時代物語集﹄巻二︑︵昭和十三年五月初版︒本稿は︑昭

(2)

勝  俣

 和三十七年五月︑井上書房の復刊に拠る︒︶

 本書には︑尾崎久弥氏の﹃たなばた﹄ ︵明暦元年版︶・東大図書

館蔵﹃たなはた﹄ ︵松会開板︶・古癖堂文庫蔵﹃あめ岩みこ忍び物

語﹄・岩瀬文庫蔵﹃あめ若物かたり﹄の翻刻があり︑さらに︑諸本

として︑守屋孝蔵氏蔵﹃雨わかみこ﹄︑横山重氏蔵﹃雨若御子の物

かたり﹄︑宮内省図書寮蔵﹃七夕の草紙﹄︑帝国図書館蔵﹃あめ若

物かたり﹄の存在を挙げている︒そして︑この四本については︑書

誌学的な考察を行い︑本文の違いについても︑大きな異同について

言及している︒諸本についての︑最初の本格的な研究といえる︒

③﹃室町時代小説集﹄ ︵昭和十八年十二月︑横山重氏︑昭南書

房︶

 本書では︑校訂者の横山重氏が所蔵されていた﹃雨若御子の物

かたり﹄を翻刻し︑解題を付し︑ ﹃たなばた﹄ ︵明暦元年刊本︶

と﹃あめ若みこ忍び物語﹄ ︵西村傳兵衛板︶が︑第二類に属する

ことを述べている︒

④﹃室町時代物語類現存本簡明目録﹄ ︵昭和五十七年八月︑奈良

絵本国際会議編﹃御伽草子の世界﹄所収︑三省堂︶

 本書では︑諸本を次のように分ける︒ ︵★印は増訂版で付加さ

れたもの︒︽   ︾は︑記述が訂正されたもの︒︶

ω 慶応・寛永七年写本︵﹁たなばたのほんじ﹂︶一冊

  明暦元年刊絵入本︵内題﹁たなばた﹂︶ ︵★赤木・天理・★

 大阪中之島︶

  同右無刊記後印本︵★資料館・★都立中央︶ 隆

ω③

 ω

 ⑤

★⑥ ★ω

 最初の本格的な諸本の分類である︒

系でないものも含まれており︑

︹寛文延宝︺云々刊絵入本 二巻︵内題﹁たなはた﹂︶

︵東大・竜門・★東北大狩野︶

★神宮徴古館・奈良絵本三冊

★市古貞次・写本 一冊

★︹宝永正徳︺鱗形二恩絵入中本︵資料館・藤井隆 首丈︶

 ︹宝永正徳︺西村伝兵衛刊絵入本 二巻︵内題﹁あめ岩み

こ忍び物語﹂︶ ︵大東急・東大・天理・鼻欠︶︿室七二﹀

★︹元禄宝永︺刊絵入中本︵あめ毒物かたり︶︵岩瀬・京大

国文︶︽︹鱗形屋刊本︺の無刊記後印本︵岩瀬・京大研︶︾

イ 国会・天保6年奥書本の天保10年写本 一冊

ロ 書陵部・写本︵題箋﹁七夕の草紙﹂︶一冊

赤木・寛永20年写本 一冊

★慶応︽守屋孝蔵・奈良絵本 三帖︾

真鍋広済・写本・大一冊

東北大狩野・写本︵あめわかみこ︶大一冊

       但し︑版本については︑天稚

       問題も残る︒

⑤﹃日本古典文学大辞典﹄第一巻︵昭和五十八年十月初版︒本稿

は昭和六十三年七月の第三刷に拠る︒岩波書店︶

 本書の﹁あめわかみこ﹂の項︵今西實氏担当︶において︑梗

概・構想・特徴が述べられた後︑諸本として︑次のものを挙げて

いる︒ ω明暦刊絵入本

  慶応義塾図書館蔵写本

(3)

㈲ ω

 諸本については︑      具体的な書

誌については言及していない︒④の目録の⑤﹁守屋孝蔵﹂が﹁慶応

義塾図書館蔵﹂と所蔵先を変えた以外は︑ ﹃室町時代物語類現存本

簡明目録﹄の分類をそのまま踏襲している︒ 寛文・延宝頃刊絵入本 宝永・正徳頃刊絵入本﹁あめ警みこ忍び物語﹂ 刊年不明本﹁あめ若物がたり﹂ 国会図書館蔵写本﹁あめ若物がたり﹂ 宮内庁書陵部蔵写本﹁七夕の草紙﹂ 赤木文庫蔵写本﹁雨若御子物がたり﹂ 慶応義塾図書館蔵奈良絵本﹁雨わかみこ﹂       伝本の存在と所蔵者を示すのみで︑

⑥﹃室町時代物語大成﹄巻二︵昭和四九年二月初版︒本稿は︑平

成二年八月の八版に拠る︒横山重・松本隆信氏︒角川書店︶

 本書では︑赤木文庫蔵﹃雨富みこ︵寛永写本︶﹄の翻刻があ

り︑明暦元年版に近いとする︒また︑ ﹁たなぼた﹂ ﹁七夕の本

地﹂と題する伝本と比べ︑単なる異本関係以上の相違があるとす

る︒

⑦﹃室町時代物語大成﹄巻八︵昭和五五年二月初版︒本稿は︑平

成元年一二月の六版に拠る︒横山重・松本隆信氏︒角川書店︶

 本書では︑慶応義塾図書館蔵﹃たなばたの本地﹄の翻刻を行

い︑天稚系を第二類と呼び︑伝本を次のように分類している︒

ω ﹃たなぼた﹄ ︵明暦元年刊本二冊︑赤木文庫・天理図書館

  蔵︶   ﹃たなばた﹄同無刊記後印本︵室町時代物語集巻芯所収︶   ﹃たなばた﹄ ︵寛文・延宝荒鳥会刊本二慨︑東大図書館・東   北大図書館︶ ② ﹃あめ若みこ忍び物語﹄ ︵宝永正徳ごろ西村伝兵衛刊本二   冊︒室町時代物語集里長所収︑大東急記念文庫・東大図書館   蔵︶   ﹃あめ若物かたり﹄ ︵元禄虚無刊記本一冊︒岩瀬文庫・京大   研究室蔵︶   ﹃あめ若さうし︵仮題︶﹄ ︵宝永正徳頃無刊記本二冊︒大洲   市立図書館蔵︶ ⑧  ﹃雨若御子の物がたり﹄ ︵寛永二十年写本一冊︒室町時代小  説集所収︒赤木文庫蔵︶ ω ﹃雨わかみこ﹄ ︵奈良絵本三帖︒慶応義塾図書館蔵︶ ㈲ ﹃七夕の草紙﹄ ︵写本一冊︒龍谷大学国文学叢書﹁中世物語  集︵一︶﹂所収︒真鍋広済氏蔵︶ ⑥  ﹃あめ若物がたり﹄ ︵天保十年写本一冊︒国会図書館蔵︶ の ﹃七夕の草紙﹄ ︵写本一冊︒宮内庁書陵部蔵︶ ⑧﹃慶応義塾図書館蔵﹃雨わかみこ﹄の翻刻及び解題﹄︵昭和五 十八年一月︒勝俣隆︒新居浜工業高等専門学校紀要人文科畔編 第十九巻︶  本稿では︑慶応義塾図書館蔵﹃雨わかみこ﹄の錯簡を直した上 で︑翻刻を行い︑また︑本書の特徴を他の伝記との比較において 考察した︒黒本については︑版本と写本を次のように分けた︒

 版本 ω 明暦元年版﹃たなばた﹄ 赤木文庫蔵他

中世小説﹃あめわかみこ﹄ 天稚系研究の現在

(4)

写本 勝  俣

② 寛文・延宝頃刊本﹃たなばた﹄ 東大図書館蔵他

③ 宝永・正徳頃刊本﹃あめ若みこ忍び物語﹄ 古梓堂

 文庫蔵他

④刊年不明版﹃あめ若物語﹄京大図書館蔵他

ω 慶応義塾図書館蔵﹃雨わかみこ﹄ 本書

②高松宮御所蔵﹃七夕の草紙﹄ 一冊︑書写年不明︒

③ 国立国会図書館蔵﹃あめ若物がたり﹄ 一冊︑天保

 十年 ④ 横山重氏蔵﹃雨垂御子の物かたり﹄ 一冊︑寛永二

 十年 ㈲ 慶応義塾図書館蔵﹃たなばたの本地﹄ 一冊︑寛永

 七年

㈲真鍋広済氏蔵﹃七夕の草紙﹄ 一冊︑書写年不明

 このうち︑版本については︑ωとω︑⑧とωは︑それぞれ︑内

容・本文とも︑ほぼ全く同一と言えるもの故︑版本は︑結局︑二系

統存在するとした︒また︑この時点では︑㈲は︑未見であったが︑

表に入れなかったが︑F女子大学蔵﹃天稚彦物語﹄を披見してい

た︒

⑨﹃室町時代物語大成﹄補遺一︵昭和六二年二月初版︒松本隆信

氏︒角川書店︶

 本書は︑慶応義塾図書館蔵﹃雨わかみこ﹄の翻刻を載せ︑守屋

孝蔵氏の旧蔵本であることを述べる︒なお︑本書が守屋孝蔵氏の

旧蔵本であることの指摘や︑本翻刻における錯簡の訂正等は︑す 隆 べて︑著者に寄贈した拙稿⑧に拠ったものと思われるが︑ との言及は見られない︒

そのこ

⑩﹃東北大学附属図書館蔵﹃あめわかみこ﹄の翻刻及び解題﹄

︵平成元年三月︒勝俣 隆︒長崎大学教育学部人文科学研究報告

第三十八号︶

 本稿では︑東北大学附属図書館蔵﹃あめわかみこ﹄の翻刻を行

い︑また︑本書の特徴を他の伝本との比較において考察した︒

 伝本については︑版本と写本を次のように分けた︒

 版本 ω 大洲市立図書館蔵﹃あめ若さうし﹄ 刊年不明

    ② 京都大学文学部蔵﹃あめ若物語﹄ 刊年不明

    ⑧ 宝永・正徳頃刊本﹃あめ若みこ忍び物語﹄ 小梓堂

     文庫蔵他

    ω 明暦元年版﹃たなばた﹄ 赤木文庫蔵他     ︶

写本 6 寛文・延宝頃刊本﹃たなばた﹄ 国立国会図書館蔵  他

ω 東北大学附属図書館蔵﹃あめわかみこ﹄ 本書

ω 国立国会図書館蔵﹃あわ若物がたり﹄ 一冊︑天保

 十年 ⑧ 高松宮御所蔵﹃七夕の草紙﹄ 一冊︑書写年不明︒

ω 慶応義塾図書館蔵﹃雨わかみこ﹄ 大型奈良絵本三

 冊︑書写年不明︒

⑤ 横山重氏蔵﹃雨車御子の物かたり﹄ 一冊︑寛永二

 十年 ㈲ 慶応義塾図書館蔵﹃たなばたの本地﹄ 一冊︑寛永

(5)

      七年

     ① 福岡女子大学附属図書館蔵﹃天稚彦物語﹄ 奈良絵

      本二巻︒書写年不明

   他に︑本書で漏らしたが︑真鍋広済氏蔵﹃七夕の草紙﹄一

  冊︑書写年不明がある︒

   その後︑天稚系について︑新たな組唄は確認されていないの

  で︑現時点では︑この分類が︑最も完備したものと言えよう︒

  ︻翻刻︼

 諸本の翻刻については︑次のものがある︒以下︑所蔵者︵刊年︶

書名︑刊年︑翻刻者︑翻刻の掲載された出版物︑出版年月の順に示

す︒

  版本 ω 大洲市立図書館蔵﹃あめ若さうし﹄ 刊年不明

      ︵﹁大洲市立図書館蔵﹃あめ若さうし﹄の翻刻及び解

      題﹂ 勝俣 隆︒ ﹃新居浜高専紀要人文科学編﹄二一

      巻二号︑昭和六十年三月︶

     ②  ﹁京都大学文学部蔵﹃あめ若物語﹄ 刊年不明

      ︵﹁京都大学文学部蔵﹃あめ若物語﹄の翻刻及び解

      題﹂ 勝俣 隆︒ ﹃新居浜高専紀要人文科学編﹄二二

      巻二号︑昭和六十一年三月︶

     ⑧宝永正徳ごろ西村伝兵衛刊本﹃あめ若みこ忍び物

      語﹄

      ︵大東急記念文庫・東大図書館蔵・古梓堂文庫蔵︑

     ﹃室町時代物語集﹄巻二所収︑横山重氏︑昭和十三年五

     月初版︶

     ω 明暦元年版﹃たなばた﹄ ︵赤木文庫蔵他﹃室町時代 写本  物語集﹄巻二所収︑横山重氏︑昭和十三年五月初版︶ ⑤ 寛文・延宝頃刊本﹃たなばた﹄ 国立国会図書館蔵  他

  ︵﹁国立国会図書館蔵﹃たなはた﹄の翻刻及び解

 題﹂勝俣 隆︒ ﹃新居浜高専紀要人文科学編﹄二二巻  一号︑昭和六十一年一月︶ ω 慶応義塾図書館蔵﹃雨わかみこ﹄ 大型奈良絵本三  冊︑書写年不明︒ ︵①﹁慶応義塾図書館蔵﹃雨わかみ  こ﹄の翻刻及び解題﹂勝俣 隆︒ ﹃新居浜高専紀要人 ︐文科学編﹄十九巻︑昭和五十八年一月︒︶

  ②﹃室町時代物語大成﹄補遺一︵昭和六二年二月初

  版︑松本隆信氏︒角川書店︶

② 東北大学附属図書館蔵﹃あめわかみこ﹄ 一冊︑書

 写年不明︵﹁東北大学附属図書館蔵﹃あめわかみこ﹄

 の翻刻及び解題﹂勝俣 隆︒ ﹃長崎大学教育学部人文

 科学研究報告﹄第三十八号︑平成元年三月︶

㈹ 国立国会図書館蔵﹃あめ平物かたり﹄ 一冊︑天保

 十年写︒ ︵﹁国立国会図書館蔵﹃あめ若物かたり﹄の

 翻刻及び解題﹂勝俣 率由 ﹃新居浜高専紀要人文科学

 編﹄十七巻︑昭和五十六年一月︶

④高松宮御所蔵﹃七夕の草紙﹄ 一冊︑書写年不明︒

 ︵﹁高松宮御所蔵﹃七夕の草紙﹄の翻刻及び解題﹂勝

 俣 隆︒ ﹃新居浜高専紀要人文科学編﹄十八巻︑昭和

 五十七年一月︶

⑤ 横山重氏蔵﹃雨若御子の物かたり﹄ 一冊︑寛永二

中世小説﹃あめわかみこ﹄ 天稚系研究の現在

(6)

勝  俣 隆

      十年

      ︵①﹃室町時代小説集﹄昭和十八年十二月︑横山重

      氏︑昭南書房

       ②﹃室町時代物語大成﹄巻二︑昭和四十九年二月初

       版︒横山重・松本隆信氏︒角川書店︶

     ⑥ 慶応義塾図書館蔵﹃たなばたの本地﹄ 一冊︑寛永

      七年

      ︵﹁室町時代物語大成﹂巻八︑昭和五五年二月初版︒

      横山重・松本隆信氏︒角川書店︶

     ω 真鍋広済氏蔵﹃七夕の草紙﹄一冊︑書写年不明︒

      ︵龍谷大学国文学叢書﹁中世物語集︵一︶﹂所収︒︶

     ⑧ 福岡女子大学附属図書館蔵﹃天稚彦物語﹄奈良絵本

      二巻︒書写年不明︵﹁福岡女子大学附属図書館蔵﹃天

      稚彦物語﹄翻刻と書誌﹂︑松谷真弓・井上敏幸氏︑

      ﹃香椎潟﹄二十八号︑昭和五十八年三月︶

 以上のように︑自筆系の伝唱は︑現在知られている限り︑ほとん

どすべての翻刻がなされている︒

二︑天稚系の内容についての研究

 ︻風葉和歌集との関係について︼

①中野荘次氏の研究

 中世小説﹃あめわかみこ﹄の天還来が︑散逸物語﹃夢ゆゑ物思

ふ﹄の改作であることは︑中野荘次氏の﹁風葉和歌集考︵下︶﹂に        よって最初に指摘された︒

 氏は︑京大研究室蔵﹃あめわか﹄と平出鰹二郎氏﹃近古小説解 題﹄を主な手掛かりとして︑風葉和歌集の散逸物語﹃夢ゆゑ物思 ふ﹄と﹁別本天稚彦物語﹂ ︵所謂︑本稿で言う﹁あめわかみこ﹂天 稚系︶が︑ ﹁あめわかみこ﹂という主要人物の名︑全体の趣向︑歌 の一致から︑関連あるものとされた︒氏は︑次のように述べる︒    要するに︑別本天稚彦物語は︑ ﹁夢ゆゑ物思ふ﹂なる古物語   の後商である︒この圧平の異本は︑製麺の順序を示すものであ   ると言える︒  その場合︑氏が考察されたのは︑風葉和歌集所載の﹁夢ゆゑ物思 ふ﹂の歌三首のうちの一首のみである︒ ︵但し︑帝の歌の下句の一 致︑即ち︑ ﹁心の松にか・る藤なみ﹂と﹁こ・ろのはるにか・るふ ちなみ﹂の類似についても言及されているので︑その場合は︑四首 中の二首となる︒︶  中野氏が︑ ﹃あめわかみこ﹄天稚系と﹃夢ゆゑ物思ふ﹄を初めて 関係付けた点は︑高く評価できよう︒さらに︑この歌の一致の程度 から︑ ﹁あめわかみこ物語﹂ ︵国立国会図書館蔵﹃あめ若物かた り﹄︶が﹁たなばた﹂ ︵明暦元年版﹃たなばた﹄︶よりも古いとさ れる平出氏の説を支持されているのは︑納得できるし︑優れた見方 である︒  ②三谷栄一氏の研究  三谷栄一氏は︑ ﹁天稚御子の物語と七夕物語﹂の論で︑風葉和歌       レ 集と﹃あめわかみこ﹄天稚系の関連を論じられた︒  三谷氏は︑中野荘次氏や平出鎧二郎氏のロン踏まえて︑次のよう に述べている︒    ﹁夢ゆゑ物思ふ﹂の物語と近古小説﹁あめわかみこ﹂との間

  の密接さは︑もはや否定しえない事實である︒さうしてそれは

(7)

  ﹁古典の省略﹂の中に前述した如く︑鎌倉時代から近古時代に

  行はれた物語の簡略化の一つであって︑⁝それが故に︑ ﹁夢ゆ

  ゑ物思ふ﹂の物語に常葉院などいふ院號があったけれども︑そ

  れを省略してしまってみるのであらうと思ふ︒

 氏の研究の功績は︑ ﹁夢ゆゑ物思ふ﹂の物語と中世小説﹁あめわ

かみこ﹂との間の関係を﹁物語の簡略化﹂ ﹁省略﹂という観点で捉

えた点にあろう︒この点については︑後で再び論じたい︒

 ③松谷真弓氏の研究

 氏は︑井上敏幸氏と共に︑福岡女子大学附属図書館蔵﹃天稚彦物

語﹄を翻刻され︑さらに︑﹁福岡女子大学附属図書館蔵﹃天稚彦物        ヨ  語﹄について﹂の論文の中で︑同書について︑諸本と比較された︒

 氏は︑国会図書館蔵﹃あめ若物かたり﹄・宮内庁書陵部蔵﹃七夕

の草子﹄・赤木文庫蔵﹃雨域御子の物かたり﹄・古里堂文庫蔵﹃あ

め若みこ忍び物語﹄・尾崎久弥氏蔵﹃たなはた﹄と女子大本を比較

され︑ ﹃風葉和歌集﹄の第H歌︵これやさはかきりなるらんうば玉

のよなくみえし夢の通路︶を継承しているのは女子大本のみだと

され︑ ﹁女子大本によって﹃天稚彦物語﹄と﹁夢ゆゑ物思ふ﹂の物

語との関係がさらに明らかとなったと言えるであろう︒﹂と論じら

れた︒氏の論は︑昭和五十三年度の卒論を基にされたもので︑発表

まで五年の時間が経過したので︑その間︑拙論によって︑慶応義塾

図書館蔵﹃雨わかみこ﹄には︑女子大本よりももっと﹁夢ゆゑ物思

ふ﹂に良く似た歌が存在していることが報告されたので︑氏の発表

の意味合いが薄れてしまったが︑昭和五十三年の時点で︑女子大本

の優位さを指摘した点は高く評価できよう︒  ④拙論  現在までに︑次の論文等によって︑散逸物語﹃夢ゆゑ物思ふ﹄と 中世小説﹃あめわかみこ﹄の関係について論じてきた︒ ω  ﹁中世小説﹃あめわかみこ﹄の本文に関する一考察−慶応大  学蔵﹃雨わかみこ﹄についてIE﹂ ︵﹃国文談話会報﹄26号︑静  岡大学人文学部︑昭和五十五年十二月︶   本稿では︑風葉和歌集所載の散逸物語﹃夢ゆゑ物思ふ﹄の残存  歌三首のうち︑従来指摘されてこなかった恋二・八七七の歌につ

 いても︑慶応大学蔵﹃雨わかみこ﹄とF女子大学蔵﹃天稚彦物

 語﹄には︑一致する歌があることを発見して︑報告した︒即ち︑  ﹃夢ゆゑ物思ふ﹄には︑中宮の歌として︑     これやさはかきりなるらんうは玉の

     よなくみえし夢のかよひち

   があるが︑慶応大学蔵﹃雨わかみこ﹄には︑     これやさはかきりなるらんむはたまの      よなノ\・みゆるゆめのかよひち    同じく︑F女子大学蔵本には︑     これやこのかきりならましうはたまの      よるく.見えしゅめのかよひち    が存在する︒歌詞では︑慶応大学蔵本の方が﹃夢ゆゑ物思   ふ﹄に近いが︑どちらも良く似ている︒また︑詠み手は︑慶応   大学蔵本では︑後の后となる姫君の歌であるが︑F女子大学蔵   本では天稚御子の歌であり︑慶応大学蔵本の方が整合性が高い

  ことを指摘した︒また︑慶応大学蔵本は︑ ﹃夢ゆゑ物思ふ﹄の

  雑一・一一八一の歌﹁数ならぬ身には雲みの藤の花こ・ろの松

中世小説﹃あめわかみこ﹄ 天稚系研究の現在

(8)

勝  俣 野

  もいか・しるへき﹂とも一致する歌を有していることを指摘し

  た︒ ︵この点については︑後述する︒︶

  他の伝本と異なり︑ ﹃夢ゆゑ物思ふ﹄の残存歌三首のうち二首

 が一致していることは︑慶応大学蔵﹃雨わかみこ﹄が︑由緒正し

 い本分を伝えている可能性が高いとした︒

 さらに︑慶応大学蔵﹃雨わかみこ﹄には︑本分の末尾近くに︑︑

  いかにやむかしのゆめのかよひちのあめわかみこまいりたり

  とあって︑ ﹁あめわかみこ﹂に冠せられた﹁ゆめのかよひち﹂

 という表現は︑ ﹃夢ゆゑ物思ふ﹄の恋二・八七六・八七七の歌詞

 ﹁夢のかよひち﹂を意識しており︑その意味でも︑慶応大学蔵

 ﹃雨わかみこ﹄と散逸物語﹃夢ゆゑ物思ふ﹄の関係は密接である

 とした︒         ② ﹁国立国会図書館蔵﹃あめ操物かたり﹄の翻刻及び解題﹂

  ︵新居浜工業高等専門学校紀要人文科学編第十七号︑昭和五十

  六年一月︶

 本稿では︑国会図書館蔵本と慶応大学蔵﹃雨わかみこ﹄は︑散逸

物語﹃夢ゆゑ物思ふ﹄の︵雑一・一一八一︶と一致する歌を有する

が︑五句目に注目すれば︑国会図書館蔵﹃あめ盛物かたり﹄の方

が︑ ﹃夢ゆゑ物思ふ﹄の︵雑一・一一八一︶に近いとした︒          ㈲  ﹁慶応義塾図書館蔵﹃雨わかみこ﹄の翻刻及び解題﹂  ︵新

  居浜工業高等専門学校紀要人文科起呼第十九号︑昭和五十八年

  ︻月︶

 本稿では︑いままで︑拙稿で︑慶応大学蔵﹃雨わかみこ﹄ ﹃七夕

の本地﹄としてきたものを︑慶応義塾への問い合わせにより正式名

称である慶応義塾図書館蔵﹃雨わかみこ﹄ ﹃七夕の本地﹄に変更し た︒ ﹃夢ゆゑ物思ふ﹄と慶応義塾図書館蔵﹃雨わかみこ﹄の関連に ついては︑ωの拙稿で述べたことと趣旨は変わっていない︒       ハア   ω  ﹁中世小説﹃あめわかみこ﹄と散逸物語﹃夢ゆゑ物思ふ﹄  ︵﹃国語と教育﹄第十三号︑長崎大学国語国文学会︑昭和六十三

年十一月︶

  本稿では︑笹葉和歌集所載の散逸物語﹃夢ゆゑ物思ふ﹄の残存

 歌と中世小説﹃あめわかみこ﹄の伝本四種に残る該当歌の比較を

 行った︒拙論③までで︑慶応義塾図書館蔵﹃雨わかみこ﹄・国立

 国会図書館蔵﹂ ﹃あめ並物かたり﹄・F女子大附属図書館蔵﹃天

 稚彦物語﹄の三本に残る該当歌の比較を行ってきたが︑今回︑こ

 れに︑東北大学附属図書館蔵﹃あめわかみこ﹄を加えることが出

 来た︒また︑F女子大附属図書館蔵﹃天稚彦物語﹄とは︑福岡女

 子大学附属図書館蔵﹃天稚彦物語﹄のことであることを明かにし

 た︒福岡女子大が﹃天稚彦物語﹄の翻刻を公にしたので︑所属を

 伏せておく必要がなくなったからである︒

 東北大学附属図書館蔵﹃あめわかみこ﹄は︑二首該当歌を持つ︒

 一首目は︑ ﹃夢ゆゑ物思ふ﹄の中宮の歌

  これやさはかきりなるらんうは玉の

   よなよなみえし夢のかよひち

 の歌に相当するものである︒即ち︑

   姫君も⁝かなしみて

  これやこのかきりなるらんむは玉の

   よるくかよふ夢のかよひち

 この歌は︑慶応義塾図書館蔵﹃雨わかみこ﹄の該当歌

   ひめきみもせきあへたまはす︑

(9)

  これやさはかきりなるらんむはたまの

   よなくみゆるゆめのかよひち

 同じく︑福岡女子大学蔵﹃天稚彦物語﹄の

       ︵きノ誤りカ︶

   天のかミあめわかみこ⁝なみたせすあへす

  これやこのかきりならましうはたまの

   よるく見えしゅめのかよひち

 と比べると︑詠み手が﹃夢ゆゑ物思ふ﹄と一致している東北大学

附属図書館蔵本は︑整合性の点で︑少なくとも︑福岡女子大学蔵

﹃天稚彦物語﹄に優ると言える︒

 二首目は︑ ﹃夢ゆゑ物思ふ﹄の中宮の歌

  数ならぬ身には雲居の藤の花

   こ・ろの松もいか・しるへき

 に対するもので︑この点については︑後述する︒

 いずれにせよ︑東北大学附属図書館蔵﹃あめわかみこ﹄は︑ ﹃夢

ゆゑ物思ふ﹄と二首の一致を見る点において︑慶応義塾図書館蔵

﹃雨わかみこ﹄に次いで︑由緒正しい本文を継承している可能性が

あることを伺わせるとした︒         ⑤  ﹁東北大学附属図書館蔵﹃あめわかみこ﹄の翻刻及び解題﹂

  ︵長崎大学術育学部人文科学研究報告第三十八号︑平成元年三

  月︶  本稿での︑指摘は︑ωと同様である︒

 以上の考察から言えることは︑風葉和歌集所載の﹃夢ゆゑ物思

ふ﹄の残存歌との比較から︑慶応義塾図書館蔵﹃雨わかみこ﹄が最

も由緒正しい本文を有し︑東北大学附属図書館蔵﹃あめわかみこ﹄ がそれに次ぎ︑以下︑国立国会図書館蔵﹃あめ島物かたり﹄︑福岡 女子大附属図書館蔵﹃天稚彦物語﹄が︑その後に続くことである︒ そこで︑諸本の優劣の判定のために︑天皇の本歌の下の句と併せて 並べてみると︑次のようになる︒   風葉和歌集︑雑一︑=八一   常葉院の御位のとき︑ふちの花につけて︑ ﹁心の松にか・る藤  刻﹂と聞えさせ給へる御かへし  ﹃夢ゆゑ物思ふ﹄の中宮

①慶応義塾図書館蔵﹃雨わかみこ﹄ ︵書写年不明︶

 人しれすいまやくとあふ事をこ・ろのまつにか・るふちなみ

かすならぬ身には雲井のふちの花こ・ろのまつもかひやなからん

②東北大学附属図書館蔵﹃あめわかみこ﹄ ︵書写年不明︶

 人しれすいまやくとあふさかのこ・ろのまつにか・るふしな

釧  かすならぬ身にはおもひのふしの花まつふくうらにかひやなか

らん ③国立国会図書館蔵﹃あめ春物かたり﹄ ︵天保十年書写︶

 あふことをいまやくとまつほとにご・ろのまつにか・る藤な

釧  かすならぬ身にもくもみのふちの花こ・ろのまつもいか・しら

まし ④高松宮御所蔵﹃七夕の草子﹄ ︵書写年不明︶

 あふ事も今やくとまつほとに心のまつにか・るふちなみ

千とせふるこ・ろのまつにふちの花か・りて移はかひやなからん

⑤福岡女子大学附属図書館蔵﹃天稚彦物語﹄ ︵書写年不明︶

中世小説﹃あめわかみこ﹄ 天稚系研究の現在

(10)

勝  俣 隆

 あふことをいまやくとおもふよりこ・ろのまつにか・るふち

 ちよをふるこ・ろのまつにふちの花か・れるえたになミやこゆ 釧

⑥慶応義塾図書館蔵﹃たなぼたの本地﹄ ︵寛永七年写︶

 あふ事をいまやくとおもふまに心はまつにか・るふしなみ

千とせふるまつに心のふちの花か・りてのちにかひやなか覧

⑦明暦元年版﹃たなばた﹄        ママ

 あふことをいまやくと思ひふまに心はまつにか・る藤なみ

千とせふるまつに心の藤の華か・りてのちにかひやなからん

⑧寛文・延宝頃刊﹃たなぼた﹄

 あふことをいまやくとおもふまにこころはまつにか・る藤な

千とせふるまつにご・ろの藤の花か・りてのちに・かひやなから

刈 ⑨宝永正徳ごろ西村伝兵衛刊﹃あめ若みこ忍び物語﹄

 あふ事をいまやくとまつほどにご・ろのはるにか・るふちな

剃  ちよをふるこ・ろのまつにふちのはなか・りてのちにかいやな

からむ ⑩京都大学文学部蔵﹃あめわか物語﹄ ︵刊年不明︶

 あふ事をいまやくとまつほとにご・ろのはるにか・るふちな

 ちよをふるこ・ろのまつにふちの花か・りてのちにかひやなか 釧 ⑪大洲市立図書館蔵﹃あめ若さう七﹄ ︵刊年不明︶

 あふ事をいまやくとまつほとにご・の春にか・るふちなみ

千代をふるこ・ろのまつにふちの花か・りて後にかひやなから

 剤

 ここで︑①の慶応義塾図書石蔵﹃雨わかみこ﹄は︑風葉和歌集と

の関係において︑最も古形を残していると推測されるので︑最初に

持ってきた︒②の東北大学附属図書館蔵﹃あめわかみこ﹄は︑①慶

応義塾図書館蔵﹃雨わかみこ﹄の帝の歌の麗句の一部﹁あふ事を﹂

が﹁あふさかの﹂に変わったり︑姫君の返歌の上句﹁雲井﹂が﹁お

もひ﹂に︑下句﹁こ・ろのまつも﹂が﹁まつふくうらに﹂になるな

ど︑本文の劣化が進んでいるが︑豆本と比べれば︑慶応義塾図書館

蔵﹃雨わかみこ﹄との関係は明らかに強く︑それ故︑ ﹃夢ゆゑ物思

ふ﹄とも関連が深いとした︒

 ③国立国会図書館蔵﹃あめ煎物かたり﹄は︑帝の歌の上上が﹁あ

ふことをいまやくとまつほとに﹂となっていて︑①慶応義塾図書

館蔵﹃雨わかみこ﹄や東北大学附属図書館蔵﹃あめわかみこ﹄の該

当歌と異なるが︑姫君の歌は︑下句が﹁こ・ろのまつもいか・しら

まし﹂とあって︑ ﹃夢ゆゑ物思ふ﹄の中宮の歌の下句﹁こ・ろの松

もいか・しるへき﹂に極めて近く︑その点で︑①②に次ぐものとし

た︒

 ④高松宮御所蔵﹃七夕の草紙﹄は︑③国立国会図書館蔵﹃あめ若

 物かたり﹄の帝の歌の上質﹁あふことをいまやくとまつほと

 に﹂に助詞が一字違うだけの﹁あふ事も今やくとまつほとに﹂

 という本文を持つため︑③に次ぐものとした︒しかし︑姫君の返

 歌については︑国立国会図書館蔵本の﹁かすならぬ身にもくもみ

(11)

のふちの花こ・ろのまつもいか・しらまし﹂に対して︑ ﹁千とせ

ふるこ・ろのまつにふちの花か・りて後はかひやなからん﹂と大

きく異なり︑共通しているのは︑ ﹁こ・ろのまつ﹂と﹁ふちの

花﹂のみなので︑国立国会図書館蔵本と高松宮御所蔵﹃七夕の草

紙﹄の間には︑やや断絶があるだろうと推測した︒

⑤福岡女子大学附属図書館蔵﹃天稚彦物語﹄では︑④高松宮御所

蔵﹃七夕の草紙﹄と比べ︑帝の二伸の上句﹁あふ事も今やくと

まつほとに﹂が﹁あふことをいまやくとおもふより﹂に変わ

り︑また︑姫君の返歌でも︑ ﹁千とせふるこ・ろのまつにふちの

花か・りて後はかひやなからん﹂が︑ ﹁ちよをふるこ・ろのまつ

にふちの花か・れるえたになミやこゆらむ﹂と︑ ﹁千とせ﹂が

﹁ちよを﹂に︑ ﹁か・りて後はかひやなからん﹂が﹁か・れるえ

たになミやこゆらむ﹂と大きく変わっているので︑④より後生的

本文であるとした︒ ﹁千とせ﹂と﹁ちよを﹂は草書体が似ている

ので︑単純な書写的ミスによって生じたものであろう︒後者は誤

写とするにはやや違いが大きく何らかの理由で変更されたもので

あろう︒また︑福岡女子大学蔵本を受け継ぐ本文が見られないた

め︑独自の変化を遂げたものと判断して良いと考える︒なお︑福

岡女子大学附属図書館蔵﹃天稚彦物語﹄は︑全体としては︑由緒

正しい本文を伝えていると推測されるが︑この歌のみに関して

は︑高松宮御所蔵﹃七夕の草紙﹄よりも︑ ﹃夢ゆゑ物思ふ﹄から

遠くなっていると言えよう︒

⑥慶応義塾図書館蔵﹃たなばたの本地﹄は︑帝の贈歌に関しては

⑤福岡女子大学附属図書館蔵﹃天稚彦物語﹄の﹁あふことをいま

やくとおもふよりこ︑ろのまつにか・るふちなみ﹂と近い本

文︑即ち︑ ﹁あふ事をいまやくとおもふまに心はまつにか・る ふしなみ﹂を有するが︑姫君の返歌に関しては︑④高松宮御所蔵

﹃七夕の草紙﹄の﹁千とせふるこ・ろのまつにふちの花か・りて

後はかひやなからん﹂と近い﹁千とせふるまつに心のふちの花

か・りてのちにかひやなか覧﹂と作る︒帝の歌の﹁おもふまに﹂

が﹁おもふより﹂︑姫君歌の歌の﹁こ・ろのまつ﹂が﹁まつに心

の﹂︑ ﹁後は﹂が﹁のちに﹂になっている︒

⑦明暦元年版﹃たなぼた﹄︑並びに⑧寛文・延宝頃刊﹃たなぼ

た﹄は︑基本的に︑⑥慶応義塾図書館蔵﹃たなぼたの本地﹄と同

じ本文を有しており︑⑥の系統を受け継ぐ島本と言える︒

⑨宝永正徳ごろ西村伝兵衛刊﹃あめ若みこ忍び物語﹄・⑩京都大

学文学部蔵﹃あめわか物語﹄・⑪大洲市立図書館蔵﹃あめ若さう

し﹄の三本は︑この部分に関して同じ本文を有している︒即ち︑

⑪大洲市立図書館蔵﹃あめ若さうし﹄の本文で示せば︑

 あふ事をいまやくとまつほとにご・ろの春にか・るふちなみ

千代をふるこ・ろのまつにふちの花か・りて毎にかひやなから

刈 と作る︒注目されるのは︑脚本で︑ ﹁こ・ろのまつにか・るふちな

み﹂ ︵慶応義塾図書館蔵﹃雨わかみこ﹄︶とあるところが︑ ﹁こ・

ろの春にか・るふちなみ﹂ ︵⑪大洲市立図書館蔵﹃あめ若さう

し﹄︶とあって︑ ﹁まつ︵松︶﹂と﹁春﹂が入れ替わっているとこ

ろである︒この点に関しては︑風葉和歌集所載の﹃夢ゆゑ物思ふ﹄

と︑最も隔たった本文と言えよう︒しかしながら︑姫君の返歌につ

いて言えば︑

千代をふるこ・ろのまつにふちの花か・りて移にかひやなから

中世小説﹃あめわかみこ﹄ 天岩井研究の現在

+一

(12)

勝  俣 野

+二

刈 は︑⑥慶応義塾図書館蔵﹃たなばたの本地﹄

  千とせふるまつに心のふちの花か・りてのちにかひやなか覧

と比べ︑より新しいとはすぐには言えない︒というのは︑⑥慶応義

塾図書館蔵﹃たなぼたの本地﹄よりも︑本文が優れていると判断さ

れる④高松宮御所蔵﹃七夕の草紙﹄の

  千とせふるこ・ろのまつにふちの花か・りて琶はかひやなから

刈 と比べてみると︑二句目の﹁こ・ろのまつに﹂に近いのは︑⑥慶応

義塾図書館蔵﹃たなばたの本地﹄ではなくて︑⑪大洲市立図書館蔵

﹃あめ若さうし﹄の方であるからである︒それ故︑ ﹁松﹂と﹁春﹂

の誤写を除けば︑むしろ⑨⑩⑪の方が︑⑥⑦⑧より︑善い本文を伝

えているという可能性も否定できないのである︒

 ︻音楽南天稚御子のモチーフ︼

 中世小説﹃あめわかみこ﹄を考察する上で︑重要な点の一つが︑

音楽神天蚕御子のモチーフである︒この点について︑最初に本格的

に論じられたのは︑三谷栄一氏であった︒

 ①三谷栄︸氏の研究

 氏は︑ ﹁天稚御子の物語と七夕物語﹂の論の中で︑ ﹁天質御子と         音楽﹂という節を設けて︑次のように論じられた︒

   平安時代の末近くになり︑眼に見えて文学史上に現れてくる

  ものの一に頑丈御子に関する説話がある︒⁝天中御子は或る時

  は天から降って楽器を製作し︑又漬る場合には妙音に誘はれて

  天降りして居る︒⁝それほどに天稚御子はよく天降り︑また音   楽に関係あるやうに︑この時代の人々は考へてるたらしい︒⁝   かやうに平安末期から鎌倉時代にかけての物語作品を見ると︑   妙音を奏でると︑必ず何かが天から降るやうに描写してみる場   合が多い︒⁝当時の人々が如何に天空に澄み昇る妙音に対し   て︑神秘的な感激をもつて︑何事か起ると疑催したことは︑作   り物語以外の実録に近い記録にすら多く伝って居り︑全く当時   の世相を物語るに十分であった︒⁝音楽の神たる天稚御子の説   話が︑急に文字上に現はれて来たのも︑この思想の影響を考へ   なくてはならなかったのである︒  これは︑実に注目すべき発言であって︑中世小説﹃あめわかみ こ﹄を考察するには欠かせない視点であると思われる︒さらに︑氏

は︑

   風葉和歌集以後に出たと目される小夜衣の物語に︑ ︵中略︶   ﹁⁝天稚御子のめで給ひけむ琴の音もかぎりあれば︑これには  まさらじ﹂という一節があって︑丁稚御子の賞でたのを琴の音と  してみる︒笛なら狭衣物語を指すに相違ないが︑琴の音で︑しか  もはっきりと天稚御子と書いてあるところがら見ても︑恐らく︑  小夜衣の先輩格たる︑この天主御子を中心とした﹁夢ゆゑ物思  ふ﹂の物語の降臨の段を指してみるのではないかと思ふ︒即ち物  語には︑主人公の姫が︑琴のかき鳴したその妙音に誘れて︑その  夜︑天稚御子が出現したのではなかったかと想像しいみるのであ  る︒ と論じて︑中世小説﹃あめわかみこ﹄の古形たる﹃夢ゆゑ物思ふ﹄ では︑驚異御子が姫君の琴の妙音に誘われて天降る描写があったで

あろうと推定されたのである︒これは︑実に卓見である︒ただ︑氏

(13)

の対象とされた中世小説﹃あめわかみこ﹄の質量の中には︑妙音に

誘われて天降る音楽神天稚御子の姿を見いだすことは出来なかっ

た︒それゆえ︑氏は︑

   即ち天稚御子は︑何時の間にか出現するのであって︑平安時

  代の物語の如く︑はっきり妙なる音楽に誘はれて天降したとは

  書いてみないのである︒⁝それを鎌倉時代から室町時代にかけ

  ての梗概化︑省略化の機運に乗じたのと︑一つには琵琶や笛の

  妙音に誘れて天降りするとが︑余りにも言ひ古されてみた為

  に︑近古小説化する場合︑この部分を極めて簡略に取り扱った

  ものではなかったかと思ふ︒

とされた︒確かに︑中世小説﹃あめわかみこ﹄が︑その古形たる

﹃夢ゆゑ物思ふ﹄に比べて︑簡略化されていることは事実のようで

ある︒しかしながら︑妙音に誘われて天降る音楽神西稚御子の姿

は︑中世小説﹃あめわかみこ﹄で全く消えてしまったわけではな

く︑実は︑その姿が残っている二本が存在することを発見した︒そ

こで︑次に︑その点について述べる︒

 ②拙 論

 ω  ﹁中世小説﹃あめわかみこ﹄の本文に関する一考察一慶応

  大学蔵﹃雨わかみこ﹄について一に﹂

   本稿では︑中世小説﹃あめわかみこ﹄の諸本で︑天稚御子が

  姫君の許へ天降った理由を︑姫君の﹁御すがた﹂ ﹁御かたち﹂

  の麗しさに求めている中で︑慶応大学道﹃雨わかみこ﹄のみ

  は︑姫君の琴の音の素晴らしさに魅せられて天降ったと作り︑

  妙音に天降る音楽神天稚御子のモチーフが見出されることを報

  告した︒また︑天稚御子が﹁たまの御ふえふきならし﹂ながら   登場し︑姫君に素性を明かす場面があるが︑これも宝達御子の   音楽神的性格を示すものだとした︒         ② 慶応義塾図書館蔵﹃雨わかみこ﹄の翻刻及び解題    本稿の解題で︑慶応義塾図書館蔵﹃雨わかみこ﹄には︑姫君   の琴の妙音に天降る音楽藩命稚御子のモチーフが見出されるこ   とを述べた︒その理由として︑ωの論文で述べた理由の他に︑   琴に興じる姫君を父母が答める条に︑次のような一文があるこ   とを挙げた︒    よふくるほとに︑み・たつる人もありぬべし︒とくくいら   せたまへ︒   これは︑姫君の琴の妙音に耳を立てて︑近づく人もあるかも知  れないから注意しなさいという意味の一文で︑妙音に対し得体の  知れないものが降臨することを恐れた当時の人々の気持ちがその  まま現われた表現と判断した︒       ア   ③ 中世小説﹃あめわかみこ﹄と散逸物語﹃夢ゆゑ物思ふ﹄    本稿では︑琴の妙音に天降る音楽神天覧御子のモチーフが︑   慶応義塾図書館蔵﹃雨わかみこ﹄の他に︑東北大学附属図書館   蔵﹃あめわかみこ﹄にも見出されたことを指摘した︒        き   ω 東北大学附属図書館蔵﹃あめわかみこ﹄の翻刻及び解題    本稿でも︑㈹同様に︑東北大学附属図書館蔵﹃あめわかみ   こ﹄にも︑琴の妙音に天降る音楽神道稚御子のモチーフが見出   されることを指摘した︒  なお︑以上指摘した天稚御子の降臨の理由が︑明確に区別できる ように︑該当部分を対比して示すと︑次のようになる︒

 ①慶応義塾図書館蔵﹃雨わかみこ﹄

中世小説﹃あめわかみこ﹄ 天稚系研究の現在

+三

(14)

勝  俣 隆

+四

 きみのきんのねのあまりにおもしろかりしかは︑き・すてかた

くて参りたり︒

②東北大学附属図書館蔵﹃あめわかみこ﹄

 あまりにきんの音のおもしろく侍りて︑あくかれ出て︑何とな

くちかつきたてまつり︑

③国立国会図書館蔵﹃あめ若物かたり﹄

 御すかたを見まみらせて︑あまくだりたり︒

④福岡女子大附属図書館蔵﹃天稚彦物語﹄

 御すかたをみまいらせ候ひてミつからあまくだりてちきりまい

らせしなり

⑤高松宮御所蔵﹃七夕の草紙﹄

 月をなかめてましくし御すかたをみまいらせて︑身つからあ

まくだりぬ︒

⑥慶応義塾図書館蔵﹃たなばたの本地﹄

 御身のかたち︑すくれさせ給ふゆへ︑われく︑あまくだりて

ちきりをなしまいらせ候︒

⑦赤木文庫蔵﹃雨若みこ﹄

 八月十五夜の月を︒ながめてをはしましたる︒御すかたを︑み

つから︑あまくだり︒あやめくさ︑ねがたく人に︑ひかれんず

る︒

⑧明暦元年版﹃たなはた﹄

 身の御かたちすぐれさせ給ふゆゑ︒我々あま下りて︑ちぎりを

なしまいらせ候︒

⑩国立国会図書館蔵︵寛文・延宝頃刊本︶ ﹃たなはた﹄

 御身のかたちすぐれさせ給ふゆへ︑我々あま下りてちぎりをな  し参らせ候︒  ⑨宝永・正徳頃刊︑西村伝兵衛刊﹃あめ若みこ忍び物語﹄   てんのかみ︑あめわかみこと申は︑此ひめきみを御らんして︑  扱もうつくしきすかたかな︑にほんの人とちきらん事︑思ひもよ  らぬことなれども︑このま・懸をはらさずは︑りんゑのこうと︑  なるへきなり︑しのひくのたわふれは︑くるしからぬとおほし  めし︑  ⑪京都大学文学部蔵﹃あめわか物語﹄   てんのかみ︑あめわかみこと申は︑此ひめ君を御らんじて︑  ﹁扱もうつくしきすかたかな︑にほんの人とちぎらん事︑おもひ  もよらぬ事なれども︑此ま・懸をはらさずは︑りんゑのこうと成  べきなり︑しのびくのたわふれは︑くるしからぬ︒﹂とおほし  めし︑  ⑫大洲市立図書館蔵﹃あめ若さうし﹄   てんのかみ︑あめわかみこと申は︑此ひめ君を御らんじて︑  ﹁扱もうつくしきすがたかな︒にほんの人とちぎらん事︑おもひ  もよらぬ事なれとも︑此ま・懸をはらさすは︑りんゑのこうと成  へきなり︑しのひくのたはふれは︑くるしからぬ︒﹂とおほし  めし︑  以上の如く︑①慶応義塾図書館蔵﹃雨わかみこ﹄と②東北大学附 属図書館蔵﹃あめわかみこ﹄の二本の本文と︑それ以外の本文の淫 庭は大きく︑①②のみが︑妙音に天降る音楽神天稚御子の姿を継承 している点において︑由緒正しい本分を伝えていることは明らかで あろう︒

(15)

︻挿絵と本文の省略について︼

挿絵については︑次の研究がある︒

①﹃室町時代物語集﹄巻二の解題並びに図版

 本書では︑明暦元年版﹃たなぼた﹄・松会開板﹃たなはた﹄・

西村伝兵衛改刊﹃あめ顧みこ忍び物語﹄・京大本﹃あめ若物かた         の り﹄・岩瀬文庫本﹃あめ若ものかたり﹄・守屋本﹃雨わかみこ﹄

の諸本の中から︑一部の挿絵を掲げ︑解説している︒版本の挿絵

が︑松改開板の挿絵が吉田半兵衛風︑京大本は︑菱川風であると

言った指摘はあるが︑挿絵と本文の関係についての言及はない︒

②﹁福岡女子大学附属図書館蔵﹃天稚彦物語﹄について﹂松谷真

弓氏︑並びに︑ ﹁福岡女子大学附属図書館蔵﹃天稚彦物語﹄翻刻       ハヨけ と書誌﹂松谷真弓・井上敏幸氏

本稿では︑福岡女子大本が︑奈良絵風の絵を持った絵巻物で︑上

巻に九面︑下巻に十面持つが︑ ﹁その絵はどこか少し稚拙な感じ

がするものである︒﹂としている︒全十九図が写真版で掲載され

ているのは有り難いが︑挿絵と本文・内容の関係について︑具体

的な指摘はない︒

③拙論         ω 慶応義塾図書館蔵﹃雨わかみこ﹄の翻刻及び解題

  本稿では︑本書の挿絵第一図では︑姉妹の琵琶と琴の演奏が

 描かれているのに︑本文では︑妹姫君の独奏となっており︑挿

 絵と本文に齪鶴が見られ︑不審であるとした︒        ② 大洲市立図書館蔵﹃あめ若さうし﹄の翻刻及び解題

  本稿では︑本書の挿絵第一・皇図において︑ ﹁は・うへきた

 り給ふ﹂という群馬詞があるが︑本文では︑ ﹁遵うへ⁝たび   くつかひ有ければ﹂とあり︑使いをよこすだけで︑直に訪れ   ていないので︑挿絵と本文の問に齪酷があるとした︒  ㈲ 中世小説﹁あめわかみこ﹂における挿絵と本文の主語につい   て           1姫君の琴の演奏と歯軋御子の降臨一   本稿では︑慶応義塾図書館蔵﹃雨わかみこ﹄における挿絵と本  文の齪酷︵ω参照︶は︑挿絵に古形が残るという一般法則や︑先  行文献の同様の場面の描写との比較から︑挿絵に描かれた姉妹の  合奏の描写の方が古く︑妹姫君の独奏の本文は︑ ﹃夢ゆゑ物思  ふ﹄が簡略化される過程で︑姉君の記述が省略されて生まれた後  生的本文の可能性が高いとした︒         ω 国立国会図書館蔵﹃たなはた﹄の翻刻及び解題    本稿では︑第三図の画中豊に﹁あめ若ちうもんに五膳ふ﹂と   あるが︑本文では︑ ﹁らう門にたYずみ﹂とあって齪鱈が見ら   れる点の考察をした︒本書と同系統の明暦元年版﹃たなばた﹄   や慶応義塾図書館蔵﹃たなぼたの本地﹄では︑ ﹁ちうもん﹂と   作るので︑挿絵に古形が残るという一般法則を適用すれば︑本   来﹁ちうもん︵中門︶﹂の方が正しく︑明暦元年版﹃たなば   た﹄や慶応義塾図書館蔵﹃たなばたの本地﹄の方が古い本文を   伝えていることが裏付けられたとした︒       の   ⑤ 京都大学文学部蔵﹃あめわか物語﹄の翻刻及び解題    本稿では︑本書の挿絵の壷中詞の手が本文と明らかに異なる   こと︑また︑ ﹃あめ企みこ忍び物語﹄と挿絵は極めて近いが︑   服装の模様等が簡略化され︑後印本の性格を窺わせるとした︒

以上のように︑挿絵と本文の関係については︑まだ端緒に付いたば

中世小説﹃あめわかみこ﹄ 短呼系研究の現在

+五

(16)

勝  俣 野

+六

かりであり︑今後も大いに研究の余地が残されていると言える︒

三︑まとめ

 以上︑種々の面から︑現在までの研究を振り返って︑現時点にお

ける到達点を確かめてみた︒内容面について言えば︑実は︑これ以

外にも︑色々な考察がなされている︒物語中に多数を占める歌が︑

﹃夢ゆゑ物思ふ﹄に由来するものか︑後から増補されたものかは︑        ア  拙論で︑少し検討したが︑今後に残された課題である︒また︑島津       ユヨ 

久基氏﹁天稚彦物語と其の異伝﹂におけるような素材の検討︑ま

       ユる  た︑南里みち子氏﹁﹃天稚彦物語﹄についての一考察﹂に見られる

ような民俗学的視点からの考察等︑他にも解明すべき問題点は多数

   エら 

存在する︒ただ︑今回は︑紙幅の関係もあり︑指摘するに止めてお

く︒

 注

ω  ﹃国語国文﹄二巻四号︵昭和八年四月︶所収

②  ﹃物語文学史論﹄新訂版︵有精堂出版︒昭和四十年十月︒旧版は︑昭

 和二十七年四月発行︒︶所収︒但し︑本文の引用に当たっては︑漢字の

 字体は新字体に直した︒

㈹  ﹃香椎潟﹄第二十八号︵昭和五十八年三月︶

の 静岡大学人文学部﹃国文談話会報﹄二十六号︵昭和五十五年︶

剛新居浜工業高等専門学校紀要人文科学璽+七巻︵昭和辛六空

 月︶ ω新居浜工業高等専門学校紀要人文科学編第十九巻︵昭和五十八年一

 月︶

ω 長崎大学国語国文学会﹃国語と教育﹄十三号︵昭和六十三年十一月︶ ㈲ 長崎大学教育学部人文科学研究報告第三十八号︵平成元年三月︶ ⑧ 新居浜工業高等専門学校紀要人文科学編第二十一巻第二号︵昭和六十  年三月︶ ゆ 愛媛大学法文学部国語国文学会﹃言文﹄第二十一号︵昭和六十年七

 月︶

ω 新居浜工業高等専門学校紀要人文科学編第二十二巻第一号︵昭和六十  一年一月︶ 鋤 新居浜工業高等専門学校紀要人文科学編第二十二巻第二号︵昭和六十  一年三月︶ 捌  ﹃旅と伝説﹄ ︵通巻三十五号︶ 剛﹃福岡女子短大紀要﹄第+七号 剛藤井隆斥市岡真理氏等の御研究などについても・当然言及すべきで  あったが︑都合で割愛させて頂いた︒なお︑脱稿後︑塚本宏氏﹁﹃七夕  の草紙﹄考﹂ ︵﹃和洋國文研究﹄30号︒平成七年三月︶の存在を知っ  た︒翻刻の項に入れるべきであったが︑またの機会に訂正したい︒

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