• 検索結果がありません。

はじめに(近代日本の教科書のあゆみ : 明治期から現代まで)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "はじめに(近代日本の教科書のあゆみ : 明治期から現代まで)"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

このたび、滋賀大学附属図書館は『近代日本の教科書のあゆみ―明治期から現代まで―』を 刊行することとなった。本書の出版企画は2006年春に浮上した。その理由は、滋賀大学附属図 書館教育学部分館が1985年以来開催してきた教科書展が、昨年ついに第20回の記念展を迎えた ことである。この機会に、これまでの教科書展関連の解説資料の再活用を兼ねて出版物を編む 企画が持ち上がり、大学としても出版費用の一部を助成して本書の刊行を後押しすることとな った。 本学教育学部の図書館分館は、1875(明治8)年の滋賀県小学教員伝習所の創立から昭和戦 前期まで、県下の義務教育の要としての役割を果たすために備えられた約8500冊の「旧教科書」 を所蔵しており、その中には江戸期に庶民の教科書として寺子屋で使われていた「往来物」も 含まれている。これらは質量ともに全国有数のコレクションであるといって過言ではないが、 それらの公開は本学の社会的使命であり、同時に展示・解説の準備を通じて本学関係者が教科 書に対する自らの研究理解を深める大切な機会であると考えてきた。 近代教育制度が成立し整備されるにつれて、学校教育では、教科書を通じて教え学ぶという ことが基本となった。それだけに、教科書が果たす役割と影響はまことに絶大で、歴史、文化、 社会、経済、政治、国際関係などあらゆる方面において教科書の内容が国民の教養や意識、価 値観の形成に圧倒的な影響を及ぼしてきた。それゆえに、日本の教科書の歴史的変遷を眺める ことは、日本の近代社会と国民の精神的文化のあゆみをふり返ることにもなる。このことは、 本書の基本的な意義とかかわることであり、本書の「おわりに」においては、「本書から教科 書の何が見えてくるか」として、「自分の使った教科書から自分の育った時代や社会が見えて くる」「日本の近現代史の社会と密接にかかわった学校教育が見えてくる」、さらにそこから 「未来の社会ではどうあったらよいのかを考えるきっかけをつかむことができる」といった点 を指摘している。 わが国の教科書といえば、学校教科書の内容が戦前と戦後で断絶していることがまず話題と なるのは当然であるが、他方、教科書が時代や地域によってどのような特徴や多様性をもって いたのかについては、あまり知られていない。実は戦前の教科書は、その特徴として、郷土性 に立脚し、地域の事象や人物をかなり豊かに扱っていたようである。本書では、その辺りも念 頭において、第Ⅲ部では、「旧教科書」で取り上げられていた近江の人物、近江八景を紹介し ている。しかし、「旧教科書」ではそれらが次第に偏狭な郷土愛や国家主義に陥っていったこ とから、偏狭な郷土愛や極端な国家主義に陥らない教科書のあり方ということが歴史の教訓と して提起されている。今日、さまざまな分野において教育と教科書のあり方が問われ、歴史教 育では国際的共同研究の必要性といったことも強調されている。本書が、それらにとって有意 義な検討素材を提供することになればさいわいである。 2006(平成18)年10月 滋賀大学長

成 瀬 龍 夫

は じ め に

参照

関連したドキュメント

(注1)支払証明書にて証明可能な範囲は、発行申 込みのあった当月の請求分を含み、直近 15 ヶ月分

当日は,同学校代表の中村浩二教 授(自然科学研究科)及び大久保英哲

欧米におけるヒンドゥー教の密教(タントリズム)の近代的な研究のほうは、 1950 年代 以前にすでに Sir John

明治33年8月,小学校令が改正され,それま で,国語科関係では,読書,作文,習字の三教

解析の教科書にある Lagrange の未定乗数法の証明では,

年度まで,第 2 期は, 「日本語教育の振興」の枠組みから外れ, 「相互理解を進 める国際交流」に位置付けられた 2001 年度から 2003

第1条

開会のあいさつでは訪問理美容ネット ワークゆうゆう代表西岡から会場に坂