フランスにおける集団的労使関係の国際化と国際労 働関係法の展開
著者 川口 美貴
雑誌名 静岡大学法政研究
巻 2
号 3‑4
ページ 55‑160
発行年 1998‑03‑10
出版者 静岡大学人文学部
URL http://doi.org/10.14945/00008709
靱
フ ラ スン おに け る集 団 的 労 使 関 係 の国 際 化 と 国 際 労 働 関 係 法 展の 開
︿目 次
﹀ は じ め に 第 一章 労 働 者 代 表 一 労 働組 合 A フラ ン スに おけ る労 働 組合 法制 1 労 働 組合 の自 由 2 労 働組 合 概の 念 と組 織 3 組 合 活動 B 国 化際 と労 働 組合 1 労 働 者 と 労働 組 合 の自 由 フラ スン おに るけ 集団 的労 使関 係の 国際 化と 国際 労働 関係 法の 展開
法政 研究 二巻 三
・四 号
︵一 九九 八年
︶ 2 多 国籍 企 業 と組 合 活 動 一一 従 業 員 代 表 A フラ スン にお け る従 業 員代 表 法 制
︐ 1 従 業 員 代表 の設 置 2 従 業 員 代表 の権 限 3 従 業 員 代表 の保 護 B 国 際化 と従 業 員代 表 1 労働 者 と従 業 員代 表 2 多 国籍 企 業 従と 業 員 代 表 一 小括 第 二章 労 使 自 治 労と 使 紛 争 一 団体 交 渉 と労 働 協 約 A フラ ン スに おけ る団 体交 渉
・労 働協 約 法 制 1 団 体交 渉 2 労 働協 約 B 国際 化 と団 体 交 渉
・労 働協 約 1 国 際 労 働関 係 と国 内 労働 協 約 2 国際 労 働 協約
一一 集 団的 労 使紛 争 A ラフ ン ス にお け る集 団 的 労 使 紛争 法 制 1 同 盟罷 業 の定 義 2 同 盟罷 業 の適 法 性 3 同 盟 罷 業 と労 働 契 約 B 国 化際 集と 団的 労 使 紛 争 1 国 際 労 働関 係 と国 内 集 団的 労 使紛 争 2 国 際 集 団的 労 使 紛争 一 小括 結 び に かえ て は じ め に 1 問題 の所 在 資本 の国 際 化 およ び 労 働 者 の国 際 移 動 は︑ 一方 に お い て︑ 個﹁ 別的 労 働 関 係 の国 際 化
﹂︑ す な わ ち︑ 使 用者 の国 籍
︵法 人 であ れば 本 社 所在 地
︶︑ 企 業 の事 業 所 たま は 業企 グ ルー プ を構 成 す る各 企 業 の所 在 地 労︑ 働 者 の国 籍 居︑ 住 地 労︑ 務 給 付地
︑ 契 約 締結 地 等
︑ 労働 関 係 に関 わ る要 素 が 一つ の国 に集 中 せず
︑ 複 数 の国 に関 連 す る と いう 労 働 契 約 の展 開 もを た ら す︒
フラ スン にお るけ 集団 労的 使関 係の 国際 化と 国際 労働 関係 法の 展開 五 七
法政 研究 二巻 三
・四 号
︵一 九九 八年
︶ 五八 こ のよ う な︑ 労 働 関 係 に関 わ る要 素 が つ一 の国 に集 中 せず 複︑ 数 の国 に関 連 す る労 働 契 約 を
﹁国︑ 際 労 働契 約 oユ→ 露 一 o魚 鶏キ
︼︻︼諄
①ヨ oけい
●
︼こ と 一応 定 義 す るな らば
︑ 国 際労 働 契 約 の展 開 は︑ 労 働法 の領 域 に お てい 第︑ 一に
︑ 国 際労 働 契 約 事 件 の裁 判 管 轄 第︑ 二 に︑ 国 際労 働 契 約 の適 用 法 決定 と いう 法的 課 題 を 提起 す る︒ 他方
︑ 国 際 労 働契 約 の展 開 は︑ 雇 用 労¨ 働条 件 を規 整 す る各 国 の実 質 法 の近 接 化 よお び 国 際 レ ベ ルに おけ る雇 用
・労 働 条 件 基準 の引 き上 げ を よ り 一層 要 請 す る こと にな る︒ し かし な が ら︑ 資 本 の国 化際 お よび 労 働 者 の国 際移 動 は︑ 他 方 に お い て︑
﹁集 団 的労 使 関 係 の国 際 化
﹂を も進 展 させ る︒ 第 一は
︑ 集 団 的 労使 関 係 の主 体 の国 際 化 であ る︒ これ は労 働 者側 に つい ては
︑ 第 一に
︑ 団 結 の主 体 であ る労 働 者 の国 際 化
︑ す な わ ち︑ 外 国 人労 働 者 およ び 外 国駐 在 労 働 者 の増 大 であ り︑ 第 二 に︑ 団結 自 体 の国 際 化
︑ す な わ ち︑ 国際 ン ベル の労 働者 組 織 の発 展 あで る︒ ま た︑ 使 用者 側 に つい ては
︑ 第 一に
︑ 使 用 者 の国 際 化
︑ す な わ ち︑ 多 国籍 企 業 の展 開 あで り︑ 第 二 に︑ 国 際 ンベ ル の使 用者 団体 の発 展 であ る︒ 第 二 は︑ 集 団 的 規 整 対の 象 とな 個る 別 的 労働 関 係 の国 際化 と集 団的 交 渉
・規 整 レ ベ ルの 国 際 化 あで る︒ 具体 的 には
︑ 第 一に
︑ 集 団的 労 使 関 係 の規 整 の対 象 と な る個 別 的 労 働関 係 と し て︑ 国内 労 働契 約 のみ な らず
︑ 国 際労 働 契 約 を射 程 に 入 れ る こと の必 要 性
︑ 第 二 に︑ 国 際 ベレ ルに おけ る労 使 の集 団 的 交 渉 の進 展 およ び 集 団 的紛 争 の出 現 の可 能 性 であ る︒ こ のよ う な︑ 集 団的 使労 関 係 の国 際化 は︑ 集 目的 労 使 関係 法 の分 野 にお いて 労︑ 使 自 治 によ る集 団 的雇 用
・労 働 条 件 規整 労と 働 者 の労 働 権 保 障 と いう 目的 に照 らし 実︑ 質 法 およ び 抵 触 法 に関 わ る多 く の法 的 課 題 を提 起 す る︒ 第 一は
︑ 労 働 者 の国 際 移 動 資と 本 の国 際化 に伴 う新 たな タイ プ の労 働者
︑ すな わ ち︑ 外 国 人労 働 者 と 外 国駐 在 労働 者 の権 利
︑ 利 益 擁 護 を 可能 にす たる め の︑ 労働 者 代 表 法制 にお け る こ られ 労働 者 の権 利 の保 障 あで る︒ これ は︑ 具 体的 に は︑ 自 主 的 団 結 に関 し て 団は 結 権 の保 障 従︑ 業 員 代表 に関 し ては 参 加
・関 与 権 の保 障 であ る︒
第 二は
︑ 国 化際 す る使 用者
︑ す な わ ち︑ 外 国 企業
・多 国 籍 企業 に対 す る労 働 者 の集 団的 交 渉 管と 理運 営 への 参 加 を 可 能 すに るた め の︑ 労 働 者 代表 法 制 の構 想 であ る︒ これ は︑ 具体 的 には
︑ 外 企国 業
・多 国 籍 企 業 にお け る労 働 組 合 権 の保 障 と従 業 員代 表 制 の適 用 あで る︒ 第 二は 国︑ 際 労 働 契約 の進 展 に対 応 す る︑ 集 団的 労 使関 係 法 の適 用範 囲 の検 討 であ る︒ これ は︑ 具 体的 には
︑ 国際 労 働 契 約 対に す る労 働 協 約 適の 用 と 国際 労 働 係関 にあ る労 働 者 の争 議 権 に関 す る適 用法 決 定 であ る︒ 第 四 は︑ 国 際 ンベ ル おに いて
︑ 国 際 法.の みな らず 労.使.
自.治 ︒ によ る集 団 的 雇 用
・労 働 条件 規 整 機を 能 さ せ︑ 雇 用
・労 働 条 件 引の き上 げ 可を 能 とす たる め の︑ 労使 自 治 と労 使 紛 争 シ ステ ム の検 討 であ る︒ これ は︑ 具体 的 には
︑ 国 際 ベレ ル に おけ る集 団 的 労使 関 係 を 規整 す る法 的枠 組 み の検 討 であ る︒ これ ら の課 題 は︑ まず 第 一に 国︑ 内 法 に対 し て︑ 実 質 法 よお び 抵 触 法 を含 新む たな 法 の枠 組 みを 要 請 す る︒ す な わ ち︑
① 実 質 法 に つい ては
︑ 国 化際 対に 応 し た集 団的 労使 関 係 法 の修 正
②︑ 抵 触 法 に つい ては
︑ 国内 集 団的 労 使関 係 法 適の 用 範 囲 の確 定 と国 際 集的 団的 労 使 係関 への 適 用 法決 定 規 則 の確 立
︑ あで る︒ し かし な がら
︑ 国内 法 には そ 規の 整 範 囲 に限 界 が あ り
①︑ 他 国 の国 内 法 規の 整 範 囲 に つい ては 介 入 きで ず
︑
② 国 際 レ ベ ルの 規 整 と枠 組 み の設 定 に つい ては
︑ 国際 的 合 意 が 必要 であ る︒ し たが てっ
︑ 第 二 に︑ 国際 規 範 によ る︑
① 各 国 国内 法 調の
整
︑ 近 接 化︑ およ び
②︑ 国際 レ ベル にお け る集 団的 労 使関 係 シ ステ ム の設 定 が 要請 さ れ る こ と にな ろ ︵ぇ
︒ わ が国 に お いて も︑ 日 本 業企 の海 外進 出 と外 国 業企 の日 本 進出
︑ よお び
︑ 日本 に おけ る外 国 人 労働 者 と海 外 駐在 労 働 者 増の 大 に伴 い︑ 個 別 的 労働 関 係 のみ な ずら 集 団的 労 使 関 係 領の 域 おに いて も︑ 国 際化 は︑ 後今 ま す ま 多す く の課 題 を 提 起 す る と思 わ れ る︒ し かし なが ら
︑ こ のよ う な国 際 化 が 集 団的 労 使関 係 提に 起 す る法 的 課 題 に つい ても
︑ ま だ議 論 が 十 分 展に 開 さ れ て いな いの が現 状 であ る︒ し た が てっ 集︑ 団 労的 使 関 係 の国 際 化 に対 し ては 新︑ たな 国 際 要的 素 の考 慮
︑ フラ スン にお るけ 集団 労的 使関 係の 国際 化と 際国 労働 関係 法 の展 開 五九
法政 研究 二巻 三
・四 号
︵一 九九 八年
︶ ェハ○ およ び
︑ 速 いテ ポン で発 展 す 資る 本 と労 働 力 の国 際 化 に対 応 し う る労 働 者代 表 労と 使自 治 シ ステ ム の構 築 と いう 観 点 か ら︑ 国内 およ び 国 際 ベレ ルに おけ る集 団 労的 使 関 係 に関 わ る法 の新 た な枠 組 みを 検 討 す る こと が
︑ 現在 の重 要 な課 題 と し て要 請 さ れ て いる と いえ る であ うろ
︒ 2 考察 対 象 フラ ン スに お いて は︑ す で に肛
種 に お いて 述 べた よ う に︑ 集 団的 労 使 係関 の国 際 化 に対 す る法 整規 ヽ およ び
︑ 国 内 法 の適 用範 囲 の確 定 と適 用 法 決 定 は︑ 個 別 労的 働 関 係 の国 際 化 にお け る︑ 国 際 働労 契 約 事件 の国 際 裁 判管 轄
︑ およ び
︑ 国 際 労 働契 約 の適 用 法 決定 と もと に︑
﹁国 際労 働関 係 法 o︵針 き ミ一﹃
自 q︻詳
● けいor こ一 と し てヽ 労 働法 にお け る つ一 の重 要 な 領法 域 とし てそ の体 系 化 が進 め ら れ て いる
︒ 他 方
︑ フ ラ ン スも そ の構 成 国 であ る欧 州 連 合
︵EU
︶ にお いて は︑ 集 団的 労 使関 係 の国 際 化 に対 す る国 内 法 の対 応 の 限界 を克 服 す るた め に︑ 国 規際 範 の設 定 によ る︑ 各 構 成 国 の国 内 集 団 的 労使 関 係 法 の調 整
︑ 近 接化
︑ お よび 国際 レ ベ ル で の集 団 的 労 使関 係 シ ステ ム の構 築 に努 め て いる
︒ し た が てっ
︑ 集 団的 労 使 関係 の国 際 化 を め ぐ る︑ フ ラ ン ス にお け る実 質 法 およ び 抵 触 法 を含 む国 内 法 の対 応︑ な らび に︑ 州欧 連 合 に おけ る各 構 成 国 の国 内 法 の近 接 化 と国 際 ベレ ルに おけ る集 団 的労 使 関 係 シ ス テム の構 想 の考 察
・検 討 は︑ わが 国 に お いて
︑ 国 際的 労 働 係関 を め ぐ る問 題 に対 応 す る 当に たり
︑ 重要 な示 唆 を与 え る であ ろう
︒ 本 稿 に お いて は︑ フラ ン ス にお け る国 際 労 働関 係 法 に つ いて
︑ 国 際 働労 契 約 事件 の裁 判 儀﹂
︑ 国際 労 働契 約 の適 肛灘 を検 討 し た これ ま で の論 稿 に引 き続 き 集︑ 団 的 労使 関 係 の国 際化 に対 す る法 規 整
︑ およ び
︑ 国 内 法 の適 用範 囲 の確 定 と 適 用法 決 定 を 考察 対 象 と す る︒ 欧 州 連 合 おに け る︑ 国 際規 範 の設 定 よに る︑ 各 構 成 国 の国 内 集 団 的労 使 関 係 法 の調 整
︑