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博士学位論文審査の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博士学位論文審査の要旨

【学位論文審査の要旨】

<論文審査>

本論文は,通所リハビリテーション施設を利用する要介護者の QOL 向上に資する作業を 提供するための評価および支援の観点としてフロー概念に着目し,実証的研究の積み重ね によって実用性を切り拓いた点が高く評価できる.

人の日常生活は仕事や趣味,家事など様々な作業の連続であり,これらの作業は人に楽 しみや満足,不安,退屈などの経験をもたらす.申請者は,まず要介護者の日常的な作業 が本人にどのような経験をもたらしているか,flow model にもとづく調査を行い,作業参 加に伴う経験の質が QOL に影響する状況を明らかにした(副論文1).次に,要介護者を支 援する立場にある施設職員が,どの程度的確に施設利用者の作業参加中の経験の質を推量 できるか横断的調査研究を実施した.その結果として,施設活動(作業)中の利用者の「望 ましくない経験」を施設職員が正確に推量できる割合は 5 割程度である等の新たな知見を 示した(主論文).

以上の研究成果を踏まえ,申請者は要介護者の作業中の経験の質を改善するための支援 戦略を提案し,実際に4名の実践例を報告した(副論文3).その支援戦略は簡便で実用性 が高く,報告事例における成果も納得できるものであった.

主論文と3つの副論文からなる一連の研究は,いずれも目的が明確で適切な方法が選択 されており,倫理的な配慮も十分になされている.作業療法学の発展にも寄与するもので あり,実践現場への汎用性も高いと予想される.

フロー概念を活用した作業療法支援については,これまでにも複数の報告がある.しか しそれらの多くは事例報告である.緻密にデザインされたエビデンスレベルの高い効果研 究も僅かに存在するが,肝心の支援方法についての統制が緩く,具体的な説明に乏しい.

そうした中,本論文では明確な支援戦略が図解入りで明示されており,実際の支援のプロ セスも詳細に記述されている.これを介入の枠組みとした臨床効果研究への応用も可能と 思われ,当該分野における学術的な貢献の面からも評価できる.

但し,フロー概念はもともと若年層を対象とした研究が発端であり,高齢者への応用に ついては慎重になる必要がある.しかし,この点に言及した見解は論文中に見当たらない.

今後,研究を進めるに当たって,十分な検討を求めたい.

<最終試験>

最終試験の質疑応答では,フロー概念やモデルの適応範囲についての質問があり,概念 の誕生からその後の変遷,他分野での活用事例などを詳細に回答した.実践現場での使用 に関する質問に対しては,研究の限界や現場で安全・安心に使用して頂くために検討すべ き課題があることを述べるなど,真摯な姿勢をみせた.

本研究領域に関する確かな知識を有しており,プレゼンテーション及びコミュニケーシ ョン能力ともに十分で,誠実な態度も好印象であった.

(2)

博士学位論文審査の要旨

<結論>

以上より,本論文が博士論文に値し,申請者が博士の学位(作業療法学)を授与されるに相 当することを認め,合格と判断した.

参照

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