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(1)

修士論文発表要旨(2008年度)

ドライビングシミュレータを用いた感性 ドライビングシミュレータを用いた感性 ドライビングシミュレータを用いた感性

ドライビングシミュレータを用いた感性を考慮した を考慮した を考慮した路面評価に を考慮した 路面評価に 路面評価に関する研究 路面評価に 関する研究 関する研究 関する研究 A Study of Road Surface Evaluation Taking into Account Human Factor Using Driving Simulator

土木工学専攻

39

号 向中野 聡

Satoru MUKAINAKANO

1. 背景 背景 背景 背景

我が国の高速道路や国道の現行の路面管理基準 は路面の主な損傷形態であるわだち掘れ,ひび割れ,

縦断方向ラフネスのそれぞれに対して管理上の閾値を 設けるか,上記損傷

3

形態の総合評価指標である舗装 管理指数(MCI: Maintenance Control Index)を用いて路 面の状態を管理する方法が取られてきた.しかしこれら は補修の時期を数値化して評価するための基準である ため,本来道路サービスを受ける立場にある道路利用 者の評価がほとんど組み込まれていないことが課題と なっている.近年,管理者側の立場からの工学的な基 準と利用者側の立場からの評価を組み合わせた新たな 路面管理基準が求められている.

2. 目的 目的 目的 目的

路面性状と乗り心地の関係については過去に多くの 研究が行われているが,その多くは乗り心地を主観的 評価により検討したものである.主観的評価は被験者 が感じたものを直接表現することができる点において非 常に優れているが,別々の環境で行われた評価間にば らつきが大きく,定量化することが難しいことが問題とな っている.また近年,客観的評価の指標として発汗量や 心拍数に着目した感性評価研究が行われているが,い ずれも実用レベルに至っていないのが現状である.

本研究では,客観的評価ツールとして脳波を用いた 乗り心地評価法を検討すること,脳波による乗り心地評 価と路面性状の関係を示すことで利用者の立場に立っ た路面管理基準の提言を行うことを目的とする.

3. ドライビングシミュレータ ドライビングシミュレータ ドライビングシミュレータ ドライビングシミュレータ

実車に近い運転環境を模擬出来る機能を備えてい るドライビングシミュレータを用いて評価を行った.

3. . . .1. . . . システム システム システム システム構成 構成 構成 構成

本研究で用いたドライビングシミュレータのシステム 構成図を図

3.1

に示す.本ドライビングシミュレータは汎 用車両運動モデルである

TruckSim

の出力を用いて運

動することで高精度シミュレーションを行うと同時に,6 軸モーションシステムにより走行振動等の感覚を模擬 することが可能である.また路面プロファイルデータを読 み込んでシミュレーションに入力する機能を有している.

モックアップ

動揺装置 スクリーン

模擬視界発生装置 演算処理装置 模擬視界表示装置

動揺装置制御装置

3.1:システム概要図

3. . .2. . . . 運動 . 運動 運動 運動再現性 再現性 再現性 再現性

乗り心地評価では,実道を走行している状態をドライ ビングシミュレータで正確に再現することが求められる ことから,運動の再現性,特に乗り心地に影響のある上 下方向加速度の再現性を検証した.

3. . .2. . . .1. . . . . 実験概要 実験概要 実験概要 実験概要

本ドライビングシミュレータは

TruckSim

の出力結果 を用いて運動しているため,運動再現性の検証には実 測加速度と

TruckSim

出力加速度,TruckSim出力加速 度と

DS

再現加速度に分けて検証を行った.

2006

11

16~18

日に実車を用いて座席下

3

軸 加速度測定を行った.表

3.1

に実験パラメータを示す.

3.1:実験パラメータ

場所 品川区八潮国道

357

積載物 水

積載量

0,3.8t

走行速度

40,60km/h

路面プロファイル

IWP,OWP

(2)

3. . . .2. . . .2. . . . 実験結果 実験結果 実験結果 実験結果

実験の結果,実車における上下方向の加速度と

TruckSim

で模擬走行させた際の加速度の出力結果お

よびドライビングシミュレータの再現加速度はほぼ同一 であることを確認した.図

3.2

TruckSim

出力加速度と ドライビングシミュレータの再現加速度の比較結果を示 す.

0 40 80 120

-4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4

V er ti ca l A cc el .( m /s

2

)

Time(s)

TruckSim

出力出力出力出力

DS

再現再現再現再現

3.2:加速度比較

またそれぞれの加速度の周波数解析を行った.その 結果,ISO2631で規定されている人体に影響を与える

周波数帯

4~8Hz

についてはほぼ同一の傾向を示してい

ることを確認することができた.図

3.3

TruckSim

出力 加速度とドライビングシミュレータの再現加速度の

FFT

解析結果比較を示す.

1 10

10

-10

10

-9

10

-8

10

-7

10

-6

10

-5

10

-4

8 4

P S D ( m /s

2

/H z)

周 波数 周 波数 周 波数 周 波数

(Hz)

TruckSim

出力出力出力出力

DS

再現再現再現再現

3.3:FFT

結果比較

3. . . .2. . . .3. . . . 考察 考察 考察 考察

乗り心地評価を目的としたドライビングシミュレータ の運動再現性の検証を行った.その結果,本研究で用 いるドライビングシミュレータは乗り心地に大きな影響を 与える上下加速度の運動に関して実測とほぼ同じ挙動 が再現されていることを確認した.また

FFT

解析の結果,

乗り心地に影響を与える周波数帯について同一の傾向 を示していることを確認した.これらのことから,本ドライ

ビングシミュレータは乗り心地を評価することができるこ とを確認した.

4. 脳波 脳波 脳波 脳波

本研究では乗員の乗り心地を示す客観的な指標とし て脳波に着目した.脳波は実験中に連続して測定する ことが最も望ましいが,既往の研究で振動によるケーブ ルの揺れや運転操作によるアーチファクトが脳波に混 入することが確認されている.そこで本研究では乗り心 地評価に適した脳波の測定方法,解析方法を検討し た.

4. . .1. . . . 脳波測定 . 脳波測定 脳波測定 脳波測定方法 方法 方法 方法

脳波電極は国際

10-20

電極配置法に基づいて計

12

点に取り付けた.脳波電極装着位置を図

4.1

に示す.

Fp1 Fp2

F3 F4

Fz

P3 P4

O1 O2

T3 T4

A2

4.1:脳波電極装着位置

脳波は走行時のアーチファクトの影響を検証する為,

20

分の走行時と走行前後

5

分間の閉眼安静時の合計

30

分間連続して測定した.図

4.2

に実験条件を示す.

走行前 走行中(60km/h) 走行後

閉眼安静 開眼走行 閉眼安静

運転状態 被験者 の状態

5min 25min 30min

4.2:実験条件 4. . .2. . . . 脳波解析 . 脳波解析 脳波解析 脳波解析

脳波の定量化には感性スペクトル解析を用いた.こ の手法は感情状態を「ストレス」,「悲しみ」,「喜び」,「リ ラックス」の

4

感性成分に解析するもので,式-1 を用い て求められる.ここで[C]:感情マトリックス,{x}:状態ベク トル,N1:ストレス,P1:悲しみ,N2:喜び,R:リラックスを 示す.

 

 

 

 

=

 

 

 

 

 +

 

 

 

 

 

 

 

 

R

P

d d d d

x x x

C C

C

C C

C C

C C

C

2 1 1

4 3 2 1

135 2 1

135 , 4 2

. 4 1 , 4

135 , 3 1

, 3

135 , 2 1

, 2

135 . 1 2

, 1 1 , 1

     

M

 

L

O O

L

(式-1)

(3)

解析には脳機能研究所の感情スペクトル解析装置

(ESAM)を用いた.

4. . . .3. . . . 解析結果 解析結果 解析結果 解析結果

4.3

に解析区間の違いによるストレス変化の比較 を示す.走行中の脳波データを解析範囲に含めるとア ーチファクトの影響で解析結果が過大もしくは過少評価 されてしまうことがわかった.

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 -0.4

-0.2 0.0 0.2 0.4

0.6

走行前走行前走行前走行前 走行中走行中走行中走行中 走行後走行後走行後走行後

ス ト レ ス ス ト レ ス ス ト レ ス ス ト レ ス

時間(分) 時間(分) 時間(分) 時間(分)

解析対象区間 解析対象区間解析対象区間 解析対象区間 全区間 全区間 全区間 全区間 安静時のみ 安静時のみ 安静時のみ 安静時のみ

4.3:解析対象区間の違いによる結果の比較

4.4

に走行後のストレスの変化を示す.走行終了

3

分後を境に解析結果に大きな変化を確認することが出 来る.

1分後 2分後 3分後 4分後 5分後

-0.4

-0.2 0.0 0.2 0.4 0.6

ストレスストレスストレスストレス

4.4:走行後のストレスの変化

4. . . .5. . . . 考察 考察 考察 考察

脳波測定の全区間を脳波解析区間に適用すると解 析結果が過大,もしくは過少評価されてしまうことがわ かった.このことから脳波解析区間は走行前後の閉眼 安静時のみを対象とすることで走行振動や運転動作に よるアーチファクトの脳波への混入を最小限にとどめる ことができ,信頼性のある評価が可能となった.

また走行

3

分後に解析結果が大きく変化しているこ

とを確認した.これは脳波がタスク終了後

3

分前後で平 常に戻る可能性があることを示している.

5. 乗り心地 乗り心地評価 乗り心地 乗り心地 評価 評価 評価

5. . .1. . . . . 脳波を用いた客観的乗り心地評価 脳波を用いた客観的乗り心地評価 脳波を用いた客観的乗り心地評価 脳波を用いた客観的乗り心地評価

脳波解析区間,走行後の解析結果の変化を考慮し 脳波を用いて乗り心地評価を行った.

5. . .1. . . .1. . . . . 実験概要 実験概要 実験概要 実験概要

5.1

に実験パラメータを示す.また実験の流れは 図

4.2

と同様である.

5.1:実験パラメータ

被験者

3

名(20代男性)

IRI(mm/m) 2,3,4,5,6,7,8

速度

60km/h

走行時間

20

分 走行前後安静時間 各

5

5 . . . . 1 . . . . 2 . . . . 乗り心地解析 乗り心地解析 乗り心地解析 乗り心地解析結果 結果 結果 結果

本実験では,乗り心地を示す指標として喜び+リラッ クスを用いる.また個人差による影響を最小限に抑える 為に,感性スペクトル解析結果を式-2を用いて規準化し た.ここで

X

avg

:解析対象全区間の解析結果の平均,σ:

解析対象全区間の解析結果の分散,Xn

:規準化する解

析結果の値とする.

σ X Z

n

X

n avg

= −

5.1

IRI

と喜び+リラックスの変化量の関係を示 す.ここで変化量とは走行直後

3

分間の最低値から走 行前

5

分間の平均を引いたものを表す.解析の結果,

IRI

2mm/m

から

4mm/m

の間で急激な評価の減少が

確認された.

1 2 3 4 5 6 7 8 9

-1.0 -0.5 0.0 0.5

(喜 び + リ ラ ッ ク ス )の 変 化 量 (喜 び + リ ラ ッ ク ス )の 変 化 量 (喜 び + リ ラ ッ ク ス )の 変 化 量 (喜 び + リ ラ ッ ク ス )の 変 化 量

International Roughness Index (m/km)

被験者① 被験者① 被験者① 被験者① 被験者② 被験者② 被験者② 被験者② 被験者③ 被験者③ 被験者③ 被験者③

5.1:IRI

と喜び+リラックスの変化量の関係

(式-2)

(4)

5. . . .2. . . . 客観的 客観的 客観的 客観的評価検証実験 評価検証実験 評価検証実験 評価検証実験

脳波を用いた客観的な感性評価を従来からの感性 評価方法であるアンケートを用いた乗り心地評価と比較 し,その妥当性を検証した.

5. . . .2. . . .1. . . . 実験概要 実験概要 実験概要 実験概要

5.2

に実験パラメータを示す.

5.2:実験パラメータ

被験者

16

IRI(mm/m) 2,4,6,8

速度

60km/h

各路面評価区間長

1,600m

乗り心地アンケート用に

MultiGen Creator

を用いて 延長

8km

の円周コースを作成した.路面評価区間の前 後

200m

に加速区間,減速区間および停止線を設けた.

被験者は各路面を走行する毎にアンケートに答えるよう 指示した.アンケート項目は乗り心地を

4

段階で答える 設問(非常に良い,良い,悪い,非常に悪い)と各路面を 修繕する必要性の有無を問い,修繕する必要があれば 1通行当たりいくらまで修繕費を負担できるかを

0~

9,999

円の範囲で答える設問を設けた.

5. . . .2. . . .2. . . . 検証 検証 検証結果 検証 結果 結果および考察 結果 および考察 および考察 および考察

乗り心地に関する設問の選択肢に次のようにポイン トを与えた.{非常に良い,良い,悪い,非常に悪い}=

{+2,+1,-1,-2}.各路面の評価の平均をとったものを 乗り心地ポイントとした.

同様に修繕費についても各路面の評価の平均をとっ たものを修繕負担金とした.乗り心地ポイントと修繕負 担金の関係を図

5.2

に示す.IRIが

2.7mm/m

付近で乗り 心地ポイントが

0

になっていることが確認出来る.

1 2 3 4 5 6 7 8 9

-30 -25 -20 -15 -10 -5 0 5

10 乗り心地ポイント 乗り心地ポイント 乗り心地ポイント 乗り心地ポイント 修繕負担金 修繕負担金 修繕負担金 修繕負担金

International Roughness Index (mm/m)

800 700 600 500 400 300  

(

)

5.2:IRI

毎の乗り心地ポイントと修繕負担金

5.3

に喜び+リラックスの変化量と修繕負担金の関 係を示す.客観的評価である喜び+リラックスの変化量 と主観的評価である修繕負担金はほぼ同一の傾向を

示していることから,脳波を用いて乗り心地を示すこと が可能であること,乗り心地を費用化することが可能で あることがわかった.また

IRI

3.5mm/m

付近で変化量 が

0

になっていることが確認できる.

1 2 3 4 5 6 7 8 9

800 700 600 500 400 300

修繕費負担金 修繕費負担金 修繕費負担金 修繕費負担金

(喜び+リラックス)の変化量 (喜び+リラックス)の変化量 (喜び+リラックス)の変化量 (喜び+リラックス)の変化量

International Roughness Index (mm/m)

修繕費負担金 (円)修繕費負担金 (円)修繕費負担金 (円)修繕費負担金 (円)

-0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4 0.6

(喜び+リラックス)の変化量(喜び+リラックス)の変化量(喜び+リラックス)の変化量(喜び+リラックス)の変化量

5.3:喜び+リラックス変化量と修繕負担金の関係

6. まとめ まとめ まとめ まとめ

本研究で得られた知見を以下に示す.

本研究で用いたドライビングシミュレータによって乗 り心地評価評価することができる

解析区間に走行中の脳波を含めるとアーチファクト の影響で解析結果に影響が出ることを確認した.

脳波を用いた乗り心地評価の指標に喜び+リラック スを用いることで,客観的な乗り心地評価が可能で ある.

従来のアンケートを用いた乗り心地評価を併せて 用いることで脳波を用いた乗り心地評価の費用化 が可能である.

道路利用者の立場から

IRI=3mm/m

を目安に管理 することが望ましい.

今後の課題を以下に示す.

本研究で得られた乗り心地の費用化を用いたライ フサイクルコストを考慮した新しい路面管理基準の 提案

乗り心地の客観的および主観的評価実験の実験 パラメータの拡大(速度,走行時間,被験者数) 参考文献参考文献参考文献

参考文献

1)路面のプロファイリング入門,土木学会舗装工学ライブラリー1

2)向中野聡,増山幸衛,姫野賢治:

大型車を想定したドライビング

シミュレータの上下方向加速度の再現性の検討,第

62

回土木学 会全国大会

3)石田樹,川村彰,他: 心拍数変動を用いた路面の乗り心地評価

方法,土木学会舗装工学論文集第

13

図 4.2:実験条件  4.. .2... .     脳波解析.脳波解析脳波解析 脳波解析  脳波の定量化には感性スペクトル解析を用いた.こ の手法は感情状態を「ストレス」,「悲しみ」,「喜び」,「リ ラックス」の 4 感性成分に解析するもので,式-1 を用い て求められる.ここで[C]:感情マトリックス,{x}:状態ベク トル,N1:ストレス,P1:悲しみ,N2:喜び,R:リラックスを 示す.   = + 

参照

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