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 岩手医科大学歯学部歯科理工学講座

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Academic year: 2021

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岩医大歯誌 26巻1号 2001

51

演題2.根管充填材料としてのジェルトンとワックス 演題3.歯科用石膏系骨補填材料に関する研究   の熱可塑性

○林  正規,荒木 吉馬,桂  啓文

 平雅之,斎藤設雄,昆隆一

 岩手医科大学歯学部歯科理工学講座

○工藤 義之,南  清隆,久保田 稔,

 植田 正彦*

岩手医科大学歯学部歯科保存学第一講座 太平化学産業株式会社*

 従来の熱可塑性根管充填材より軟化温度が低く,適 度な流動性と硬化性とを併せもっ新しい材料の開発を 目的として,天然の熱可塑性物質3種を用いて混合物 を作製し,成分間の相溶性ならびに混合組成と軟化温 度および流動性との関係を検討するため,X線回折,

示差走査熱量分析ならびに粘度測定を行った。

 基材として,ガッタパーチャ系樹脂の中でも軟化温 度が低いジェルトン(Jelutong以下J)を用いた。ま た,軟化後の流動性を調節する添加成分として,2種 の結晶性ワックス,蜜蝋(Bee s wax以下B)および 木蝋(Japan wax以下P)を用いた。実験試料は,こ れらの2ないし3成分混合物で,混合組成を変化させ

た。

 X線回折ならびに示差走査熱量分析の結果,2成分 混合物では,JはBとわずかな相溶性を示し, Pとは 極あて高い相溶性を示した。また,Jの比率が高くな

るほどB,Pそれぞれの結晶の融解温度が低下した。

3成分混合物においても,Jは混合物の融解温度を著 しく低下(約10℃)させた。また,混合物の融解温度 範囲は,Bの比率が高いと広くなり, Pの比率が高い

と狭くなった。

 混合物の軟化後の粘度は,各成分固有の粘度と,成 分間の相溶性によるワックス成分の相転移温度の低下 にも影響され,低くなった。Jは軟化後の粘度を高く 維持する傾向が2成分混合物で認められた。また,3 成分混合物では,Bの比率が高いものは40℃において 高い粘度を示したが,45℃以上ではBおよびPの比率 によらず,ほぼ同程度の低い粘度を示した。

 以上から,本系混合物は成分間の相溶性による熱可 塑性の変化に基づき,従来の材料より低い温度で軟化 させ,かっ,混合比に応じて流動性を調節できる根管 充填材の熱可塑性マトリックスとなることが示唆され

た。

 古くから使用されている石膏系骨補填材の組成や理 工学的特性は明らかでない。石膏系骨補填材の生物学 的効果の検索に先立って,高純度の石膏を得る為に,

高品質の生石灰と硫酸から試作石膏を合成し,市販石 膏とともに,その組成と理工学的特性を検討した。

【材料,方法】試作石膏 (試作),市販骨補填用石膏

(Surgiplaster⑧:SP), WAKO純薬社製焼きセッコ ウ(WK)を使用した。 X線回折,250℃乾燥減量,粒 子形状,平均粒径,粉末残留度,ヒ素濃度,pH,硬化 時間,硬化膨張,ヌレ圧縮強さ,崩壊率を検討した。

【結果,考察】X線回折の結果,3種共に単斜晶系半水 石膏であったが,SPは一部無水物が含まれている可 能性が示唆された。X線回折と250℃乾燥減量の結果 から,試作はCaSO、半水塩であることが示唆された。

粒子形状は,試作は針状,SPは不定形で一部板状,

WKは不定形であった。平均粒径は,試作7.32μn, SP 5.88μn,WK&45μnであった。粉末残留度は,420μnで

は3種共に0%,149μnでは,試作0.6%,SPO。5%, WK 2.1%であった。ヒ素含有量は,試作0.2卿未満,SPO.3 卿,WKO.41脚であった。硬化時間は,試作10.8分, SP 3.0分,WK14.2分であった。硬化膨張は,試作0.08%,

SPO.11%, WKO.14%であった。 pHは試作8.15, SP

7.05,WK6.78であった。ヌレ圧縮強さは,試作2.33 MPa, SP7.30MPa, WK7.53MPaであった。崩壊率

(96時間後)は,試作14.80%,SP13.10%, WK12.93%

であった。

 高品質の生石灰と硫酸から石膏を試作した結果,ヒ 素濃度が02騨未満の石膏の合成が可能であった。ま た,市販石膏系骨補填材の組成と理工学的性質の一部 を明らかにできた。今後は生体内における吸収速度,

生物学的効果についての検討が必要であると考えられ

た。

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