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自己組織化法による光合成超構造の人工構築

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Academic year: 2021

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自己組織化法による光合成超構造の人工構築

著者 宮地 秀和

雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告

巻 19

ページ 218‑220

発行年 1998‑03‑30

出版者 静岡大学大学院電子科学研究科

URL http://hdl.handle.net/10297/1568

(2)

氏名。

(本

籍 )         秀    和 (兵 庫県 ) 学位 の種類   博    (工 )

学位記番号    工博甲第  1   号 学位授与の日付    平 成 9年 3月 22日 学位授与の要件    学位規程第 5条 第 1項 該当 研究科 ・ 専攻の名称    電子科学研究科   電子材料科学

学位論文題目    自己組織化法による光合成超構造の人工構築

論 文 審 査 委 員

   (委

員長)

教 授 長 村 利 彦   教 授   弘 教 授   藤   波     雄    教 授   小夫家   芳   明 助老 暖   伊 ヶ崎 泰 宏

文 内 容 の 要 旨

太陽光は生物 にとつて究極的なエネルギー源 を提供 していることか ら、光合成反応 を用いる光 一化 学エネルギー変換機能は従来から多 くの注 目を集めている。本研究は、この光合成反応中心のスペシャ ルペアーや光捕集アンテナ錯体を自己組織化法を用いて人工的に構築することにより、生体膜のエネ ルギー変換 システムの本質的理解を深めると共に、光合成をモデルとする人エエネルギー変換機能を 有する分子機能材料 を開発することを目指 している。紅色光合成細菌の光合成反応が膜 タンパ ク中の ヒスチジン残基

(イ

ミダゾール基

)の

配位 によって固定化 されたバ クテリオクロロフイル(Bchl:中 心金 属 Mg)の 3次元配置によって制御 されている観点から、ポルフィリンの対面するメソ位置に配位子 とし てイミダゾール基 を導入 した新規ポルフイリン、及びその金属置換体 を合成 し、イ ミダゾールの中心 金属への配位 を用いた自己組織化について、吸収スペ ク トル、蛍光スペク トル、 NMRス ペク トルを用 いて検討 した。

まずは じめに、ポルフィリンの中心金属 に5配位性のZnを 導入することにより、ポルフィリンに導入 したイミダゾールの協同的な配位 により中心 をず らしてポルフィリン面がスタッキングした光合成の スペシャルペアーに類似 した構造の2量体を組織化 させ、この構造に特徴的な吸収スペク トルの長波長 シフ トを観濃

1し

た。また、 lH― NMRス ペク トルでは、ポルフィリン面が互いにスタッキングした部分は 環電流効果により、大 きく高磁場 シフ トが観測 された。蒸気圧降下法による分子量測定によリクロロ ホルム中で2量体の分子量が得 られた。この2量体は、溶液中で非常に安定であ り、良好なスペ シャル ペアーモデルを提出した。なお、本年 Zn̲ク ロロフイルをスペシャルペアーとする光合成細菌が発見 さ

‑218‑

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れている。

さらに、ポルフィリンの中心金属に6配位の可能な Mgを 導入することにより、 lH‐ Mス ペク トルに おいて、高磁場 シフ ト成分の積分比の増加か ら組織化の進行を確認 し、光合成のアンテナ錯体 (LH2) B850に 類似 した構造の多量体の形成が可能であることを示 した。

また、光合成の光駆動 プロ トンポンプに見 られる電子―プロ トンの共役輸送媒体の開発を目指 して、

イミダゾールを置換 したポルフィリンの水素結合か らなる組織体 を形成 させ、その組織化能を水素結 合の起 こらない N― メチルイミダゾールを置換 したポルフィリンと比較 した結果、 1「 M以 上で水素結合

による組織化が起 こっていることが示唆 された。

これ ら、 自己組織化ポルフィリンを固体 として析出させると濃度効果により、ポルフィリン平面を 積層 させた。連続 した π― スタッキング構造体が得 られると考えられる。導電率を測定 した結果、多量 体への組織化 に伴 う導電率の増加 と活性化エネルギーの減少を確認 した。

また、 ヒ ドロキシル基力沌 へ配位 した超分子構造が示唆 されているクロロソームに見 られるアンテ ナ錯体の人エモデルとして、 ヒ ドロキノンを

1つ

導入 したポルフィリンの Mg錯 体 を新たに合成 し、 lH¨

Mス ペク トルの濃度可変、温度可変測定により、高濃度、低温においてスタッキング部分の顕著な 高磁場 シフ トが観測 され、その配位組織化が示 された。 さらに、 ヒ ドロキノン部分のフェノール性水 酸基のプロ トンを解離 させたフェノラー トアニオンと金属 カチオンとの間で電気的に中性 な強力な組 織体 を形成 させ、 NMRス ペ ク トルによりその組織化 を明 らかにした。

ポルフィリンの中心金属以外の金属 イオンを用いた配位組織化 を検討するため、強力なアニオン性 の配位子であるオキシン

(8‐

キノリノール

)を

導入 したポルフィリンを合成 し、金属の価数や金属固有の 立体配置 を利用 した組織化 を試み、 NMRス ペク トルによりそのZn錯 体は2量体へ、 Ga錯 体は meridiOnd な 3量 体への自己組織化 を明 らかに した。アンテナ錯体の リング構造 (B850)に 見 られるようなエネル ギーの非局在化が、 Ga錯 体の3量体間で も起 こっているかどうか検討するため、単量体 と3量体 に消光 剤を加え、消光の度合を比較 したところ、3量体の方が消光の度合が約2倍大 きく、効率良 くエネルギー 移動することか ら、今回合成 したモデル物質の3量体間で もアンテナ錯体のようなエネルギーの非局在 化が起 こっていることが示 された。

本研究において、金属配位結合 を用いる自己組織化法により、光合成反応中心のスペシャルペアー

及びアンテナ錯体の構造 を忠実 に模倣 した安定なモデル錯体 を組織化で きることを明 らかにした。

(4)

論 文 審 査 結 果 の 要 旨

太陽光は生物 に究極的なエネルギー源 を提供 していることか ら、光合成反応 を用いる光二化学エネ ルギー変換機能は多 くの注 目を集めている。本研究では、光合成反応中心のスペシャルペアや光捕集 アンテナ錯体の超分子組織構造 に着 日し、 この構造 を自己組織化法 を用いて人工的に構築することに より、光合成反応 に対する本質的理解 を深めると共に、光合成 をモデルとする人エエネルギー変換材 料の開発 を目指 している。

1章

では光合成の超分子構造体 について説明 し、本論文の目的について述べている。

2章 ではスペシャルペアの構造に着 日し、 N― メチルイミダゾールを置換 したポルフィリンの自己組 織化 により2量 体 を形成 させ、吸収、蛍光、2次元 NMRス ペ ク トルによりその構造 を明確 にし、スペ

シャルペアの構造 に類似 したモデル錯体の構築に成功 している。

3章 ではビス (N‐ メチルイミダゾール )置 換ポルフィリンの中心金属や回転異性体 を選択することで 組織化 を制御 し、光捕集アンテナ錯体 (LH2)の B850に 見 られる連続 した πスタッキング構造体の形成

に成功 している。

4章 では光合成の光駆動プロ トンポンプ機能を目指 して、水素結合の可能なイミダゾールを置換 し たポルフイリンを合成 し、水素結合 を用いたポルフィリンの自己組織化 について述べている。

5章 では自己組織化ポルフィリンの導電率を測定 し、活性化エネルギーを評価することによってそ の組織化能を評価 し、ポルフイリンの π

̲ス

タッキングを介 した超分子伝導体 としての可能性 を示 して いる。

6章 ではヒ ドロキノンを置換 したポルフイリンを合成 し、 ヒドロキシル基の Mgへ の配位 を用いた自 己組織化 により人エアンテナ錯体の形成 について述べている。

7章 ではさらに強力な組織体の構築 を目指 してフェノラー ト型アニオンと金属 カチオンとの静電的 相互作用に基づ く自己組織化について検討 し、 Ga錯 体の溶液中での2量体構造 を明 らかにしている。

8章 ではヒ ドロキシキノリン

(オ

キシン

)を

置換 したポルフィリンを合成 し、オキシンの金属錯化 を 用いた強力な人エアンテナ錯体の構築について報告 している。この Ga錯 体は3量体 を形成 して効率的な 消光が起 こることを示 し、 3量 体間のエネルギーの非局在化 を示唆 した。

9章 では本研究の成果についてまとめ、今後の課題 を述べている。

以上のように、本論文は金属への配位や水素結合 を利用 した自己組織化法 を用いて、ポルフィリン を光合成のスペシャルペアやアンテナ錯体 に見 られるような超分子構造体 に組織化することに成功 し てお り、光合成の構造―機能相関の解明並びに人工光合成に対する新規の有力な方法論 を提供 してい る。 よって本論文は博士

(工

)の

学位 に値すると認定する。

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