北川隆明*,富安隆一・*
Analysis of Parametric 3/2‑Harmonic Oscillation by
Takaaki KITAGAWA and Ryuichi TOMIYASU
(Electrical Engineering)
It is known recently that parametric 3/2−harmonic oscillation occurs when 3/2 times excitation frequency in a self・excited coefficient excitation circuit is in the neighborhood of the resonance frequency of the circuit.
In this paper, pararnetric 3/2−harmonic oscillation is discussed analytically by using a nonlinearized Mathieu equation, The fundamental equations concerning with the amplitudes of parametric 3/2−harmoDic oscillation assuming the frequency components of 1/2・and 3/2−harmonic oscillations are derived, and discussed graphically. :Numerical computations are carried out for the fundamental equations, and response curve, jump phenomenon, and hysteresis for the case when the parameters vary are described. Furthermore, the stability of the periodic solution is analyzed.
1.まえがき
係数励振形自励振動回路において, 励振周波数の n/2倍が回路の共振周波数に近ずいたときには,励振 周波数のn/2倍の周波数成分が強く現われ,いわゆる パラメータn/2調波振動が発振することは最近では 実験的によく知られているが,この現象の解析的研究 は数少ないようである1)2)3).また方程式の問題とし ては非線形化Mathieu方程式で弦の高調波パラメー タ振動4),あるいはパラメータ振動とは異なる現象に おける3倍調波振動5)について解析した例はあるが,
いわゆるパラメータ3/2調波振動の発振特性,発振条 件,安定性などについて詳細に解析したものは我々の 知る限りでは見当らないようである.
本文はパラメータ3/2調波振動について非線形化 Mathieu方程式で解析的に検討したものである.まず 第2章で3/2調波振動においては1/2調波と3/2調 波の2つの成分の周期解があるとして,それらの振巾 と回路定数との間の関係式,すなわち基礎方程式を導 入し,第3章ではこの基礎方程式を図式的にも検討し て周期解の定常特性を求めた.さらに第4章では周期 解の安定性について論じた.ただし振巾カミ零の場合の 安定[生すなわち発振条件は解析的に求められたが,周
*電気工学教室
二二の安定性は数値例により検討した.
その結果,3/2調波振動の発振特性は従来の1/2調 波振動の場合と同様に励振周波数の低い側で跳躍現象 が生じ,また3/2調波振動が発振する範囲は1/2調 波振動の場合に比べて非常に狭くなった.
2.基礎方程式の導入
係数励振形自励振動回路における回路電流面こつい て一般に次の非線形化Mathieu方程式で特性を調べ ることがよく行なわれている.
誰+磯+ω1(1+β・ ・+・・i・2ω。t)オー・(・)
ただし,んは損失を表わす係数ωrは微小電流に よる回路の共振角周波数,β1は非線形度.rは励振 率,2ω0は励振角周波数である.
周期が3π/ω。すなわち3/2調波振動成分(3ωo)
が含まれるときの(1)式の解は一般に 盛づA2」一・si・(21−1)ω。t
J・=1 r
+ΣB2」一・c・・(2j−1)ω。t (2)
1=1
で表わすことができる6).ところで(1)式において 3/2調波振動が強く発振するのはωoの3倍がωr に必ずいたときであり,このときのその他の調波振動
パラメータ%調波振動の解析 成分は小さいはずである.そこで(2)式において
j≧5すなわち5/2以上の調波振動成分を無視したつ.
ぎの式で(1)式の解を近似することができるものと
する.
名=・AIsinωot十BIcosωot
十A3 sin 3ωo t十B3 cos 3ωo t
ただし,振巾A1, B1, A3, B3は時間の関数とす
る.
さて,(3)式を(1)式に代入し,ハーモニック
・バランス法で両辺の係数を比較して振巾間の関係式 を求めるのであるが,さらにつぎのような仮定を設け る.すなわちA1, B1, A3, B3はωoに比べて非常 に徐々に変化しているとして,d2A1/dt2, d2B1/dt2,
d2A3/dt2, d2B3/dt2は無視することができるとする.
(3)式を(1)式に代入して,A1, B1, A3, B3 の関係式を求めれば,つぎの四つの式が得られる.
んA1−2ωoB1一んωoB1一ωぎA1
+ω1[A・+β{A釜+A・Bl+2A・A器+2A・B§
一AIA・+BIA・一2A・B・B・}+(B・一B・)・/2]一・
(4)
乃壱・+2ω・入・+ゐω・A一ωIB・+ω碁[B・+β
・{Bl+AそB・+2B・Al+2B・B§一A呈B3+BIB・
+2AIB・A・}+(A・+A・)r/2]一・ (5)
砥・一6ω・自・一3なω・B・一9ω若A・+ω1「A・+β
×{A§十A3B§十2AIA3十2BIA3十AIBI−A竃/3}
+B・r/2]一・ (6)
ん言・+6ω・入・+3んω・A・一9ω8B・+ω;[B・+β
・{B§+A§B3+2AIB3+2B呈B3−AIB・+Bl/3}
一A・・/2]一・ (7)
ただし,β=3β /4であり,記号・は彦に関する1回 微分をあらわす.
ところで3ωo≒ωrであるから,A1, B1はA3,
B3に比べて小さいはずである.そこでA1,B1を2 回忌項まで取り, 3乗の項を無視すれば,(4)〜
(7)式は
砥1−2ω・ゴ画・・B・一ω言A・+ω1[A・+β ×{2A1(A§十B§)一A呈A3十BIA9−2AIBIB3}
+(B・一B・)・/2]一・ (8)
んも・・+2ωもA・+乃ω・A・一ω若B・+ω;[B・+β
×{2B1(A§十B§)一AIB3十BiB3十2AIBIA3}
+(A・+A・)r/2]一・ (9)
砥・一6ω・自・「3なω・B・一9ωIA・+ω1[A・
+βA・{(A§+B§)+2(A釜+Bl)}+B・r/2]一・
(10)
語・+6ω・入・+3もω・A・一9ωIB・+ω1[B・
+βB・{(A器+Bl)+2(Al+B釜)}+A・T/2]一・
(11)
となる,以下,(8)〜(11)式を3/2調波振動の基礎 方程式として解析を行なう.
3,定常特性
まず(8)〜(11)式から定常特性を求める.定常 状態においては,A1, B1, A3, B3は一定であるか
コ
ら,A1, B1, A3, B3は零になる.したがって(8)
〜(11)式から定常値は
ω1「A・+β{2A1(Al+B§)一A釜A・+B釜A、
一2A・B・B・}+(B・一B・)・/2]一んω・B1
一ω&A・一〇 (12)
ω曇[B1+β{2B・(A§+B§)一AIB・+BIB・
+2A・B・A・}+(A・+A・)r/2]+乃ω・A・
一ω琶B1=0 (13)
ω呈[A・+βA・{2(A呈+Bl)+(Al+B舞)}+B・
・r/・]一3んω・B・一9ω若A・一・ (14)
ω1[B・+βB・{2(A呈+Bl)+(A§+B§)}
一A・耽]+3んω・A・一9ω器B・一・ (15)
で与えられる. ここで解析を簡単にするため,1/2,
3/2調波振動成分をそれぞれの振巾を2乗,すなわち y1=Ai十Bl
y3=A§十B§
としてy1, y3によって3/2調波振動の定常特性を求 めることにする.これから(12)〜(15)式よσA1,
B1, A3, B3を消去して, y1, y3についての方程式 を導くことにする.
(14),(15)式にそれぞれA3, B3を乗じて加え ると
ω曇(AIB3−BIA3)r/2={ω;一9ω&+βω曇 ×(2y1十y3)} y3 (16)
となり,(14),(15)式にそれぞれB3, A3を乗じて 差を取ると
ω1(A・A・+B・な・)r/2−3なω・y・ (17)
となる.そこで(16),(17)式の両辺を平方して加え れば
[{峰9ω&+βω1(2y・+y・)}・+9ん・ω3]・・
一ω会r2y・/4 (18)
が得られる.
つぎに(12),(13)式にそれぞれA1, B1を乗じて 加えると
(ω二一ω&+2βω曇y3)y1一ω曇(AlB3−BlA3)
×r/2=・一βω曇{(3B呈一Aそ)AIA3+(B釜一3 ・Al)B・B・}一ω1(2AfB・)r/2 (19)
となり,(12),(13)式にそれぞれB1, A1を乗じて 差を取ると
んωoy1+ω曇(AlA3+BIB3)r/2コーβω曇 ・{(3Bl−A釜)A・B・一(Bl−3Al)B・A・}一ω1
×(Al−Bl)r/2 (20)
∴平なる. (19),(20)式の両辺を平方して加えれば
\ {(ω呈一ω&+2βω曇y3)y1一ω呈(AlB3−BlA3)
・r/2}2+{ゐω・y・+ω曇r(A・A・+B・B・)}2 =β2ω妻y3y皇一βω曇r(AIB3−BlA3)y呈
+ωlryl/4 (21)
となる.(16),(17)式を(21)式に代入すれば
[(ω1一ω&+2βω1・・)・・一ω1−9ω召
+βω1(2・・+・・)}・・]2+伽・・y1+3な…
×y3}2=β2ω≠y3y塁一2βω呈y呈{ω呈一9ω9
+βω曇(2y1+y3)}y3+ω妻r2y釜/4 (22)
が得られる.
て,(18),(22)式のすべてを無次元量にすればつぎ のようになる.
{(α十2Y1十Y3)2十。2(1十α)2}Y3−r2Y1/4=0(23)
{Y§十αY3十(8一α)Y1/9}2十。2(1十α)2(Y3 十Y1/3)2−r2Y12/4十(2α十3Y1十2Y3)
×Y釜Y3=0 (24)
Y1, Y3は振巾の2乗であるから,(23),(24)式の Y1−Y3平面での曲線の交点が第1象限に存在すると き3/2調波振動が発振する.また同時に1/2調波振 動も発振する.
<3.1> 図式解法
いま代数的に(23),(24)式を満足するY1, Y3を 求めるとする.(23)式をY1の2次方程式として解 いて(24)式に代入すれば,(24)式はY3につい ての高次の方程式となり,αの関数形にして検討する ことはむずかしいが,励振周波数を変化させたときの 特性はαをいろいろ変化させながら計算機で数値的 に解を求めることになる.ただし,(23),(24)式の Y1−Y3平面における交点をFig,1のように図式的 に検:生すれば,解の存在範囲,解の個数および周期解 の安定性も調べることができる.
0.3
タ0.2
§ 要 く
0.1
0
/
equation(23)
cquation (24)
〆
(18),(22)式を解けば,y1,y3は求められる.なお,
数値計算を行なうため,iβly1=Y1,1βIy3=Y3とす る.β<0(軟非線形)の場合とし,さらに離調率αを
(3ωo)2/ω1=1+α,回路損失。をん=3ωocとし
0
Fig.1.
0.01 0.02 0・03 0・04・
Amplitude Y監
An・example of intersections of equations(23)land (24)in Y1, Y3 plane (c=0.01, r=0.5,α=一〇.3).
(23),(24)式の交点を連らねて特性を求めるまえ に,(23),(24)式の平面曲線の概形などについて検 討する.(23)式はY3の3次式であり,(24)式は の4次式であるから,それぞれ3次方程式,4次方程 式と呼ぶことにする, またY1, Y3は振巾の2乗で あるから,これらが正でなければ意味を持たないが,
必要に応じて他の象限についても論じる.
パラメータ%調波振動の解析
(3.1.1) 3次方程式
初めに3次方程式の曲線の概形などについて論じ,
そのあとで数値例を示すことにする.
曲線がY1軸を切る点は(23)式でY3=0とすれ
は:
r2 Y1/4=0
となるから,Y1=0となる.
Y3軸を切る点はY1=0とすれば
Y3=0およ■び一α土、〉/一。2(1十α)2
となるから,c≠0のときはY3〒・0だけであり,
c=0のときはY3=0およびY3=一d(二重根)で
ある.
以上により,c≠0のとき曲線は原点以外では座標 軸を切らない.c=0のとき曲線は原点を通り, Y3=
一αでY3軸に接する.
座標軸以外での曲線を追跡する.この曲線は常に原 点を通るから,原点を通り方向係数が の直線 Y3=αY1 (25)
を考え,(23),(25)式の交点から(23)式の曲線の 性質を判断する.(25)式を(23)式に代入すると
[{(・+・)Y・+α}・+・・(1+α)・一r・/(4・)]Y・
=0
となるから,交点は一般に3個存在し,原点はそのな かの一つである.Y1≠0の場合の交点のY1, Y3は αを補助変数と考えて
Y1一B率2{一α土ゾー器一・・(1+α)・}(26)
Y・一。睾2{一α土ゾー器一・・(1+α)・}
(複号同順)
となる.
(26)式で,α一→+0とすれぽ
Y一→土。。,Y3一→±:0 (複合同順)
が得られ,Y1軸は漸近線になる.
(23)式のY1−Y3平面におけるY3の極大,極 小値は
Y3淫(一4α土へ/16α2十δ)/(4δ)
ただし,δ=2{「2+8c2(1+α)2}である.
となる.ところで原点における曲線の方向係数α1は α1=r2/〔4{α2十。2(1十α)2}〕 >0
となり,またY1軸は漸近線であるから,第1象限に 極大値が,第3象限に極小値が存在する.
また(23)式はY1の2次式であるから, Y1が実 数であるためのY3の条件は
一4α一Uα2+δ≦Y・≦一4α+部6α2+δ
(27)
となり,(23)式の曲線のY3の範囲すなわち解の存 在範囲が求められた.
最後に(23)式の曲線をFlg.2に示す.
0.5
0.4
ヌ
名ご0,3 暑 ξ 【0.2
0.1
0
c=0.01
∫ =0.5
α一一〇.4
α罵一〇.3
α一一〇.2
α一一〇.1
0 0.01 0.02 0.03 0.04・ 0.05 0.06
Amp旺tude YL
Fig.2. Curves of equation(23)in Y1,Y3 plane.
(3.1.2) 4次方程式
(24)式は陰関数:の高次の方程式であり,相当複雑 になるので,座標軸を切る値あるいは原点が二重点で あることなどについて述べ,そのあとで数値例を示す ことにする.
曲線がY1軸を切る点は(24)式にY3=0を代入 すれば
[{(8一α)/9}・+・・(1+α)・/9−r・小呈一6
であるから,Y1=0(二重根)となる.
Y3軸を切る点はY1=0を代入すると
{(Y3十α)2十。2(1十α2)}Y§=0
となるから,c≒0ならばY3ニ0(二重根)となり,
c=0ならばY3=・0およびY3=一α(二重根)とな
る.
以上により, (24)式の曲線は。≒0ならば原点以 外では座標軸を切らないが,c=0ならば原点を通り Y3=一αでY3軸を切る.
座標軸以外での曲線を追跡する.この曲線は常に原 点を通るから,(25)式との交点より(24)式の曲線 の性質を判断する. (25)式を(24)式に代入すると (AoYl十2Bo Y1十Co)Yl=0
ただし,Ao=α4十2α2十3α, Bo=αα3十(8一α)
×α2/9十αα,Co={αα十(8一α)/9}2十。2(1 +α)2(α2+1/3)2−r2/4である.
となり,(25)式との交点は一般に4個存在するが,
Y1=0は二重根であるからY1≒0では
;凱緊鑑∴(複号同順)}(28)
ただし,Do=B若一AoCo である.
となる.
つぎに原点における方向係数を求める.
(24式)の左辺をG(Y1, Y3)とおいて, Y1, Y3で 偏微分して,Y1=Y3=0を代入すると
∂G(0,0)/∂Y3=∂G(0,0)/∂Y1=0
となるから,原点は特異点である.さらに微分して,
Y1=Y3=0を代入すると
∂2G(0,0)/∂Y§=2{α2十。2(1十α)2}
∂2G(0,0)/∂Y3∂Y1=2{α(8一α)/9 十。2(1十α)2/3}
∂・G(…)/∂Y…一2[{(8一・)/9}・
+・・(1+α)・/9−r・/4]
となるから,一般に原点は二重点である.そこで原点 における方向係数mをTaylorの定理を利用して求 めると
㎜=(一Q±,㌧/Q2−Po R)/Po (29)
となる.
ただし,Po=α2十ζ, Q=α(8一α)/9+ζ/3,
R={(8一α)/9}2十ζ/9一:P2/4,ζ=c2(1十α)2 である.
つぎに(28),(29)式より(24)式の曲線が第1象 限に存在するための条件はQ2−PoR>0,かつQ<0
またはR〈0,すなわち
r2(α2十ζ)/4−16ζ(2一α)2/81>0 かつ
α(8一α)/9十ζ/3<0または(8一α)/9}2十ζ/9
−r2/4<0
となることであるが,本文では3/2調波振動を対象 としているから,α<0なることが必要である.
最後に,4次方程式の原点付近の曲線だけをFig.3
に示す,
以上で(23),(24)式の曲線についての論議は終る が,c=0とすれば(23)式の曲線はY3=一αでY3 軸に接し,また(24)式の曲線はY3=一αでY3軸 を切るから,α<0とき,Y1=0, Y3=一αも(23),
(24)式の解になる.ところが(12),(13)式よりY1
=0ならぽ:Y3=0になるから, Y1=・0, Y3=一αは
(1)式の解ではない.ところでこの解はrに無関係で あるから,「=0とすると,(1)式は外力のない無損 失のDuffingの方程式となる.いまβ1<0であるか ら初期条件によって周期的振動がおこったり,振巾が 無限に増大したりはする7)が,無損失のDuffingの 方程式の振巾が周波数の関数として与えられたことに
なる.
<3.2> 数値例による定常特性
Y1, Y3一α平面の曲線をFig.4に示したが, こ の応答は励振周波数を変化させた場合の発振特性であ
、
c−O.Ol ノ冒孟0.5
、、、
〉、
ノ ヘ ノ / \ B 、、 1
∴ i
、幅、・/ i ヘヘ サ ロ
、、T、、
=二ニーr外\i∵ \、 ,・
、、一一__ ㍗ 、、 、、
」LL____⊥_一一一一}・1∠
セ
「o・2
10.1
A O
0.5
0・
ヌ
婁
葺 窪
0.4
タ0.3 息 合…
0.1
0
α一一〇,4
α箒一〇.3
α一一一〇.2
ロニ ロユ
」
c−0.OI r−0.5
0 0.01 0.02 1 0.03 0,04 0.05 0.06
Amplitude Yl
Fig.3. Curves of equation(24)in Y1,Y3 plane.
一〇・5 −0.4 0・3 −0・2 −0.1E O
Detuning factor α
Fig,4. Amplitude characteristic of parametric 3/2・harmonic oscillation.
る.α<0のとき振巾が大きくなることは現象と一致 している. またY1はY3に比べてかなり小さな値 となっている.さらに非線形系であるから,現象とし て現われない不安定な解(短破線で示す)もある,ま た安定な解も二つ存在することがあり,初期条件によ っていずれかの解に落ち着く.いま初期条件としてα を正の方から下げるとする.Fig.4においてY3は OABCDの路をたどり, Bで跳躍して発振は停止す る.この付近からαを上げれば,DCEFAOとなり,
Eで跳躍して発振する.BCEFBは興野一周波数平面
パラメータ%調波振動の解析『
におけるヒステリシス現象である.Y1はαを下げる と,OAB CDの路をたどり,この付近からαを上げ ると,DCEF AOとなる.また初期条件としてαを 低い方から上げると,Y3はDCEFA, Y1はDCEF/A となる.以上により,AE間では3/2調波振動は常に 発振する.EC間では振巾が零の状態も安定であるこ とは周期解の安定性のところで述べる.αの小さい側 にヒステリシス現象がある.
つぎにrおよび。の影響について述べる.「を大 きくしていくとFig.4に対応する曲線はαの負の方 向へずれた.またrを小さく,あるいは。を大きく すると,次章の発振条件が満足されず,オ=0なる解 はすべてのαに対して常に安定となる(α〈0).それ ぞれの発振特性の例をFig.5,6に示す.
ここでα>0の場合について少し論じる.αが小さ な値では(24)式の曲線は第1象限に存在しないから,
、
、、
、、\\A
/\\
と・
_ミ
、、
\4
、
、
c輩0,01
/一〇.3
0.4
.0,3
莞
嘆
』」
一〇.4 −0.3 一一〇.2 −0.1
Detuning factor α Amplitude characしeristic 盾
オ=0だけが解であるが,α≒8になると方向係数が正 となり,曲線が第1象限に存在し,ωo≒ω,であるか ら現象としては1/2調波振動成分Y1が強く発振す るはずである.しかし(23),(24)式は(4)《7)
式でA1, B1の3乗の項を無視して導いたのである から,振巾の特性は調べることはできないが,発振条 件は安定性の解析において,A1=B1=A3=B3=0の ときのことであるので,1/2調波振動の場合も同時に 求めることができた.α>0の場合の振巾特性は省略 を行なわない(4)〜(7)式で検討しなければなら
ない.
またFig.4のようなY1, Y3一α平面の特性曲線 がα軸を切る点すなわちY3=Y1=0となるときの α1,α2はつぎのように求めることができる.Y3,Y1 が零の近傍では,線形化してY1=αoY3(αoは定数)
が成り立つものとする.この式を(23),(24)式に代 入すると,Y3,αoは
[{(2・・+1)Y・+α}・+・・(1+α)・]一・r・/4一・
(30)
{Y3十α十αo(8一α)/9}2十。2(1十α)2(1十αo/3)2 一α&r2/4十α呂Y3(2α十3αoY3十2Y3)・=0
一〇.5
Fig.5.
0
parametrlc
3/2・harmonic oscillation when r is small.
c=0.05 r−0,5
!脳
」、3
端{
葦
(31)
、
\ 、、
、、\、
/\、
で 一...ミ
ここ4_
〜
_⊥__⊥ __」一=====」__
0.1
0 一〇.5 _一 Z.4 −0.3 −0.2 −0・1 0
Detulling factor α
Amplitude characteristic of parametric 3/2−harmonic oscillation when c is large,
で与えられる. (30),(31)式よりそれぞれ αo=乃
(Y3),αo=西(Y3)と表わすことができたとすると,
Y3は
αor煮(Y3)=乃(Y3) (32)
の一つの方程式の解となるから,Y3一→+0として
(32)式をαについて解けば,α1,α2は求められる ことになる.ただし,(30),(31)式はαoについて 高次であるから,(32)式の形で表わすのが困難であ る.そこで先にY3一→+0とすれば,αoは
α2十。2(1十α)2一αor2/4==0
{α十(8一α)αo/9}2十。2(1十α)2(1十αo/3)2 一 α& r2/4==0
で与えられる.この一式より未定係数αoを消去して 整理すると
[4{。,+鍔+α),}+8言α]2+・・(・+α)・
・[ r24{α2十。2(1十α)、}+吉]÷・(33)
Fig.6.
となる.(33)式はαの4次式であるから,αは一 般に4個存在するが,ここではα1,α2は四つのう ち原点に近い二つのαで与えられる.なお(33)式 は次章の安定性の解析より求められる3/2調波振動の 発振条件の限界曲線と一致し,また1α1一α21は発 振の巾に一致する.
4.周期解の安定性
ここでは,定常解にわずかの撹乱を与えたときに,
その解にもどろうとするか,あるいはその解からさら に離れようとするかによって周期解の安定性を検討す ることにする.
いま褐藻A1, B1, A3, B3を定常値Alo, Blo,
A30, B30と時間の関数である微小変化分△A1,△B1,
△A3,△B3とに分ける.すなわち
A1(t)=Alo十△A1(t),B1(t)=Blo十△B1(t)
A3(t)=Ado十△A3(t),B3(t)=B30十△B3(t)
とする.定常値Alo, Blo, A30, B30は(12)〜(15)
式で与えられるものであるから,改めてA1, B1, A3,
B3と書くことにする.
変化分の関係式は(8)〜(11)式よりつぎのよう になる.ただし,変化分についての高次の項は無視す
る.
乃△A1−2ωo△B1十A△A1十B△B1十C△A3 十D△B3=0 (34)
ん△B1十2ωo△A1十E△A1十F△B1十G△A3 十H△B3=0 (35)
ん△A3−9ωo△B3十1△A1十J△B1十K△A3
十L△B3==0 (36)
ん△B3十6ω04A3十M△A1十N△B1十〇△A3
十P△B3=0 (37)
ただし
A一・βω曇{(A§+B§)一(A・A・+B・B・)}
+ω呈一ω乙
B=・一2βω曇(AlB3−BlA3)一乃ωo+ω呈「/2 C一βω曇{4A・A・一(A釜一B錫
D=βω曇(4AIB3−2AIB1)一ω曇「/2 E=一2βω呈(AlB3−BlA3)+んωo+ω曇「/2 F=2βω曇{(A§+B§)+(AlA3+BlB3)}+ω婁
一ω&
G=βα孝(4層目A3+2AlB1)+ω曇「/2 H一βω1{4B・B・一(A月一B釜)}
1=・4βω呈AIA3 J=4βω曇BlA3+ω曇r/2
K一J2(A§+B§)+2(A子+Bl)+(A§
一B§)}
L=・2βω呈A3B3−3んωo M−4βωIA・B・一φ曇r/2 N雛4βω曇BIB3・
0コ2βω曇A3β3+3んωo
P一βω曇{2(A§+Bl)+2(Al+B釜)一(Al −Bl)}
である.
したがって(34)〜(37)式の特性方程式は たS十A −2ωoS十B C D
2ωoS十EんS十FG H
=O I J ゐS十K −6ωoS十L (38)
MN6ωoS十〇みS十P
となる.あるいは展開して
R4S4十R3 S3十R2 S2十RI S十Ro=0 (39)
で表わすことができる.
ところで特性方程式のすべての根の実数部が負であ れば. △A1,△Bユ,△A3,△B3は時間の経過とと もに零に収束するがら,このときの解は安定な解であ る.また特性方程式の根のうち一・つでも実数部が正に なれば,△A1,△B1,△A3,△B3は発散し, この ときの解は不安定な解である.
さて,Routh・Hurwitzが導いた結果によれば4次 方程式すなわち(39)式のすべての根の実数部が負で あるための必要十分条件は
髭・轟1一三『遥>1}(4・)
なることであるから,つぎにそれぞれの定常解が(40)
式を満足するかどうかを調べる.
<4.1> 乞=・0の場合
(1)式は名=0なる解をもっているので,この解 の安定性について調べ,さらにこの解が不安定,すな わち3/2調波振動が発振する条件を求める.
A1=B1=A3=B3=0を(38)式に代入して展開す ると,R4〜Roは.
R・一ω1(1+α)2(c2+4)(c2+4/9)
R・一4ω話ん(1+α){c2(14+5α)/9+4(6+α)/9}
R・一ω1(1+α)[・・(・+α)・/9+{(6−3「2!4)
十20(1十α)/9十262(1十α)2/81}c2十4{α2/9
パラメータ%調波振動の解析
+(3α一8/3)・/9+512/81−3r・/4}/9]
R・一2礁{・2(1+α)2(12+2α)/9+α2(10+α)
/9十(8一α)2(2十α)/9十r2(13−14)/36}
R・一ω1(γ・+・)[{αr・/4(α・+・)+(8一α)
/9}・+ζ{r・/4(α・+ζ)+1/3}・一r・/4]
ただし,ζ=c2(1+α)2である.
となる.左・=0(c・=0)であるならば,R3=R1=0とな:
るから,普通の意味では不安定となるが,実際上では 必ず。>0である.したがってα〉一1であるから明 らかにR4>0, R3>0である.また。<「〈1である ことからR2>0, R1>0となる.ところが
{_娯_+8一α4(α2十ζ) 9}2+ζ{頑藁)+春}2
一撃く・ (41)
であるならばRo<0となるから,少なくとも(41)
式が成立する範囲では乞=0は不安定な解すなわち 3/2調波振動が発振する.なお(40)式の第2式につ いては次節で数値的に検討するが,.(41)式が3/2調 波の実質的な発振条件になる.ところで前述のように
(41)式の境界値は(33)式と一致している.
Fig.7.8は(41)式より3/2調波振動の発振範 囲をそれぞれ「,cをパラメータとして示したもので,
3/2調波振動はα<0およびα号8の近傍で発振する.
ところでα;8では1/2調波振動が強く発振するか ら, Fig.7,8のα>oにおける発振範囲は従来の 1/2調波振動の発振範囲に相当し,このときの3/2調 波振動は1/2調波振動の高調波成分として含まれるも のである.したがって3/2調波振動の発振範囲は1/2 調波振動の場合に比べて非常に狭くなり,発振するた
0.2
%一h・・一1・
§ き 量 o1電=0.8
\
\
⊥. ∠
一〇,4 (expa[lded)
0,1
ノ』0.5
f
飢
[
%一harmOnic
/ 1.0
0.8
0.6 c−0.05
c−0
02ト
=
§ 署
:草
月
%一harmonic
c−0.05
← c=0
}6−harm・nic
/∬■=0.8
〆
1. 一〇,5
10 12
一〇・4−0・2 04 6 8 10 12
(expanded) Detuning factor α
Fig.8. Regions in which parametric 3/2−harmonic oscillation are sustained (shaded).
めには「は1/2調波振動の場合より大きいことが必
要である.
<4.2> 拝0の場合
_0.2 04 6 8
DetUning factor α
Fig.7. Regions in which parametric 3/・harmonic oscillation are sustained (shaded).
(38)式はAIB1, AIA3, AIB3, BIA3, BIB3,
A3B3, Al−Bl, Al−Blを含んでいるので,(12)
〜(15)式を利用してこれらをy1, y3の関数の形で 表わして, (38)式に代入して前と同様にして無次元 化すると,R4〜RoはY1, Y3の関数として表わされ るから,Y1−Y3平面で定常解の安定性を調べること
ができる.
R4は定数で常にR4>0になった. R3=0はY1,
Y3軸をそれぞれY1≒6+α, Y3≒0.6で切る直線に なり,この直線の原点側ではR3>0になった. した がってY1, Y3が小さいときでは常にR3>0である.
ところがR2, R1, RoはY1, Y3の高次の関数とな るので,数値的にR2, R1, Ro>0およびRIR2R3
−RoR32−R12R4>0となる範囲をY1−Y3平面に 求めることにする. なおこの数値計算によってオ=0 なる解についても検討する.
数:値例としてFig.4(c=o,01,「=o.5)の場合の 定常解が安定となる範囲(斜線部)をFig.9に示す.
なお,たとえば(a)ではRo>0なる範囲しか描いて いないが,この場合のその他の条件は(a)の範囲で は正となった. (b),(c)についても同様である.
(a)は第1象限に定常解が一つ存在する場合であり,
この解は安定な解であるが.乞=0は不安定な解であ るから,必ず発振する. (b)は定常解が第1象限に 二つ存在する場合で,斜線部内の解は安定であるが,
他方は不安定であり,また =0は安定な解であるか
畦
鍔0.04
§
蒼 蕉 0.02
,0
\
ひ
σ
(c=0.01 r−0.5 α茸一〇.07
0 0.001 0.002 Amplitude Y1
(a) One stab16 periodic solution (α=一〇.07).
c冒0.01
0.3
メ0.2 彗 言 零一
〇.1
0
Ro−0
グ\
o
1つ一〇.5
α一一〇.3
o
ら,初期条件によっては発振する. (c)は第1象限 に定常解が二つ存在するが,どちらも不安定な解にな る場合であって, =0だけが安定であるから発振す ることはない.なおこの数値例ではαが一〇.35付 近より小さくなると,二つの定常解(Y1, Y3>0)は
どちらとも不安定となり,オ=0だけが安定な解とな った.すなわちα<一〇.35では3/2調波振動は発振 しない.以上により,Fig.4の短破線で示した応答は 不安定であるから現象として現われない.
またFig.5,6についても同様にして安定性を検 討したものであり,短破線で示した応答は不安定であ
る.
0.01 0.02
Amplitude Y1
0.03 0.04
5.むすび
0
(b) One stable and one unstable periodic solution
0.3
畜。.、
.署 量
0.1
(α=一〇.3).
c二〇.01 r=0,5 α一一〇.4
ヒ ザ じほレ しほトむ
\
o
零\R2−0
しコむ R・一・ /
/
7 RI−0
O
本文では,係数励振形自励振動回路における,いわ ゆるパラメータ3/2調波振動を非線形化Mathieu方 程式で解析的に検討して,発振特性,発振条件などを 求めた.
3/2調波振動の発振特性は徒来の1/2調波振動の場 合と同様に励振周波数の低い側に跳躍現象が生じる.
また3/2調波振動の発振範囲は1/2調波振動の場合 に比べて非常に狭くなり,発振するためには「が1/2 調波振動の場合よりも大きいことが必要である.
なお,本文では発振特性を(4)〜(7)式におい てA1,B1の3乗の項だけを無視して求めたが,解析 を簡単にするためさらにA1, B1の2乗の項も無視し た場合の特1生は,Y1が小なるときだけ本文の結果と 大体一致した.
参考 文 献
0
1)Goto, E.:Pro.IRE,47,1304(1959)
2)池野:電学誌82,542(昭37)
3)牛田,小林,池野:南学誌87,2175(昭42)
4)田形:信学会非線形問題研究会資料NLP70−6(1970)
5)Ueda, Y.:Some Problems in the Theory of Nonlinear Oscillation;Nippon Printing&Publi−
shing Co.,(1968)
6)椹木:非線型振動論,P.85(昭40)
7)清水:非線型振動論,P.170(昭45)
0 0.02 0.04 0.06
Amphtude YI
(c)Two unstable periodic solutions(α二一〇.4).
Fig.9. Stability criterion for the periodic solutions in Y 1,Y3 plane(c=0.01,=0.5).
The solution Y1=Y3=O is unstable in (a),bul stable in (b) and (c).