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マ ウス

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 梅 津 正 明

学 位 論 文 題 名

マ ウス SULT2Blb 遺 伝子 プロ モーター領域の解析 学位論文内容の要旨

  

基 質 の 官 能 基 に ス ル フ オ ン 基 (

sulfonate group

S03

― ) を 転 移 す る 反 応 は 硫 酸 化

sulfonation

) と 呼 ぱ れ て い る が 、 こ れ は 生体 内 にお ける 共有 結合 性修 飾を もた らす 普遍 的 な 反 応 の ー っ で あ る 。 こ の 修 飾 を 受 け る こ と に よ っ て 基 質 に は 他 の 分 子 が付 加さ れそ の生 化 学 的 性 質 が 変 化 す る 。 こ の 反 応 を 触 媒 す る 酵 素 は 硫 酸 基 転 移 酵 素 (

sulfotransferase

)と 呼 ぱ れ て い る 。 硫 酸 基 転 移 酵 素 は 細 胞 質 型 硫 酸 基 転 移 酵 素 (

SULT

) と 膜 結 合型 硫酸 基転 移酵 素 の

2

っ に 大 別 さ れ 、

SULT

は ホ ル モ ン や 神 経 伝 達 物 質 、 胆 汁 酸 と い っ た 比 較 的 分 子 量 の 小 さ な 生 体 内 物 質 や 薬 物 な ど を 基 質 と し て い る 。

SULT

の 生 理 作 用 と し て は 、 ス テロ イド ホル モン 、 甲 状 腺 ホ ル モ ン 、 カ テ コ ー ル ア ミ ン 類 な ど の ホ ル モ ン を 硫 酸 化 す る こ と によ りそ の活 性を 調 節 し て い る こ と が 挙げ られ る。 また 硫酸 化は 薬物 や 非生 体物 質の 代表 的な 解毒 ・代 謝反 応で あ る 硫 酸 抱 合 反 応 と し て も 知 ら れ て い る が 、 そ の 機 序 と し て 硫 酸 抱 合 反 応 によ って 基質 の受 容 体 へ の 結 合 カ が 減 弱 し て 生 化 学 的 活 性 が 低 下 す る こ と や 、 ス ル フ オ ン 基 が負 に荷 電し てい る こ と か ら 基 質 の 極 性 が 変 化 し 、 疎 水 性 物 質 か ら 親 水 性 物 質 へ と 特 性 が 変 わる こと で輸 送、 代 謝 が さ れ 易 く な る こ と が 知 ら れ て い る 。

  SULT

は 触 媒 す る 基 質 に よ っ て 分 類 さ れ る 遺 伝 子 フ ァ ミ リ ー を 構 成 し て い る が 、

SULT2Blb

は コ レ ス テ ロ ー ル を 筆 頭 に

DHEA

pregnenolone

を 基 質 と す る 酵 素 で あ る 。

SULT2Blb

の 発 現 に は 組 織 特 異 性 が 認 め ら れ る が 、 特 に 皮 膚 に お い て は

SULT2Blb

が 多 く 発 現し てお り、 角化 細 胞 内 の コ レ ス テ ロ ー ル と そ の ス ル フ オ ン 基 付 加 体 で あ る 硫 酸 コ レ ス テ ロ ール の量 的バ ラン ス を 規 定 し て い る 主 要 な 因 子 と し て 注 目 さ れ て い る 。 硫 酸 コ レ ス テ ロ ー ル には 細胞 膜機 能の 調 節 や

protein kinaseC

等 の 酵 素 活 性 の 制 御 な ど 様 々 な 生 理 作 用 が 報 告 さ れ て い る が 、 皮 膚 に お い て は 分 化 マ ー カ ー で あ る

involucrin

transglutaminaseI

を 介し て角 化細 胞の 分化 を誘 導 し て い る と 想 定 さ れ て い る 。 硫 酸 コ レ ス テ ロ ー ル の 生 化 学 的 な 作 用 機 序 につ いて は不 明な 点 が 多 い が 、

SULT2Blb

遺 伝 子 の 転 写 制 御 機 構 を 解 析 す る こ と は そ の 解 明 に 繋が ると いう 意味 も 持 っ て お り 極 め て 意 義 深 い と 思 わ れ る 。

  

プ ロ モ ー タ ー 領 域 の 解 析 を 行 う に あ た っ て 最 初 に 転 写 開 始 点 の 同 定 を 行っ た。 マウ ス角 化 細 胞 由 来 細 胞 株

PAM212

か ら 総

RNA

を 抽 出 し 、

RLM

RACE

法 に よ っ て 得 ら れ た

cDNA

を 塩 基 配 列 決 定 し て 検 討 し た 結 果 、 異 な る

12

箇 所 の 転 写 開 始 点 の 存 在 を 確 認 し た 。 この うち 最上 流の 転 写 開 始 点 を 十

1

と 定義 し た。

RLM

―RACE法 にて 同定 し た転 写開 始点 を確 認す るた めに 、最 上流 の 転 写 開 始 点 の 上 流 と 下 流 に 特 異 的 セ ン ス プ ラ イ マ ー を 設 定 し 、 第

2

エ ク ソ ン 内 に 設 定 し た ア ン チ セ ン ス プ ラ イ マ ー と の 間 で

RT

PCR

を 行 っ た 。 十

1

よ り 下 流 の セ ン ス プラ イマ ーで のみ バ ン ド を 認 め た こ と から

RLM

RACE

法に て決 定し た十

1

が最 上流 の転 写開 始点 であ ると 判断 した 。 転 写 開 始 点 近 傍 の 塩 基 配 列 を 検 索 し た 結 果 、 マ ウ ス

SULT2Blb

遺 伝 子 の プ ロ モ ー タ ー は

TATA

ボ ッ ク ス や

CAAT

ボ ッ ク ス を 認 め な い

TATA

less

プ ロ モ ー タ ー で あ る こ と を明 らか にし た。 同 部 位 の 塩 基 配 列 を ラ ッ ト お よ び ヒ ト と 比 較 し た と こ ろ 、 マ ウ ス ( 翻 訳 開 始コ ドン から

2 01bp

上 流 ま で ) と ラ ッ ト ( 同

203bp

上 流 ま で ) で は

98

% と 極 め て 相 同 性 が 高 く 、 ヒ ト ( 同

247bp

上 流 ま で ) で も

67

% と 比 較 的 よ く 保 存 さ れ て い る こ と が 判 明 し た 。

‑ 36

(2)

  

次に プロモー ター領域 を含む

5

側上流ゲノ ム

DNA

断片を 単離し、 これをラ イゲーシ ョン し た レ ポー タ ーコ ン ス トラ ク トを 用 い て欠 失 実 験を 行 った 。 最 上流 転 写開 始 点 +1から

―1117bpの位置にセンスプライマーを設定し、+55bpの位置に設定したアンチセンスプライマ ーとの間 で

PCR

を行い

5

側上流 ゲノム

DNA

断 片を単離し た。これ をルシフェラーゼ発現ベク ターであ る

pGL3 basic vector

にライ ゲーショ ンしpGL3―1117/+55を作製した。このコンス トラ ク ト を鋳 型 とし て 特 異的 プ ライマー を用いて

5

側より 順に欠失 させたDNA断 片を

PCR

法にて単 離した後 、同様に

pGL3 basic vector

にライゲ ーションし各レポーターコンストラ クトを作 製した。 各レポー ターコン ストラクトをPAM212細胞に遺伝子導入して転写活性を比 較検討し たところ ,ー66/−46の

21bp

を欠失さ せると活性 が最も顕著に低下した。この21bp 中の 転 写 因子 結 合配 列 を 検索 し たところ 、−

65/

―59bpに

Sp/KLF

ファミリ ー結合配 列が、

―51/―57bpにAP―2結合配列が含まれていることが判った。さらに‑39/―34bpと―13/―4bpに位 置するSp/KLFフ ァミリー 結合配列 にも転写を正に制御している可能性が示唆された。これら の配列に 変異導入 したレポ ーターコ ンストラクトを作製して変異導入実験を行ったところ、

―65ノー59bpと―

13/

ー4bpに位置する

Sp/KLF

ファミリー結合配列が転写を正に制御していると予 想された。

  Sp/KLF

ファミリ ーが発現 していな い細胞株 としてショ ウジョウバェ胚由来細胞株SL2細胞 を選択し 、転写因 子発現ベ クターを 用いて転写因子SplおよぴSp3を発現させた。同時にpGL3

−66/+55とこの配列中に含まれる―

65/

―59bpおよぴ―13/−4bpのSp/KLFファミリー結合配列に 変異導入 したレポ ーターコ ンストラ クトを遺伝子導入して転写活性がどのように変化するか を比較検討した。これらの実験の結果から

Spl

はー65/―59bpおよぴー

13/

ー4bpのSp/KLFファミ リー結合 配列を介 してアク チベータ ーとして機 能するこ と、これらの配列に結合したSplは 互い に 協 調し て 機能 す る こと を 確認した 。また、

Spl

とSp3を同時 に発現さ せた場合 、

Sp3

Spl

に 対 す る り プ レ ッ サ ー と し て 機 能 し て い る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。

  

本研 究ではマ ウスSULT2Blbのプ ロモータ ー領域を解 析し、

Sp/KLF

フ ァミリー による転 写 制御機構 への関与 を明らか にしたが 、今後更に解析を進めることによって硫酸コレステロー ル の 生 化 学 的 な 作 用 機 序 の 解 明 が よ り 深 ま る こ と が 期 待 出 来 る と 考 え た 。

37

(3)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

マウ ス SULT281b 遺伝子 プロモー ター領域の 解析

基 質 の 官 能 基 に ス ル フ オ ン 基 を 転 移 す る 反 応 はsulfonationと 呼 ば れ て い る が 、 こ れ は 生 体 内 に お い て 共 有 結 合 性 修 飾 を も た ら す 普 遍 的 な 反 応 の ー っ で あ る 。 こ の 修 飾 を 受 け る こ と に よ っ て 基 質 の 生 化 学 的 な 性 質 が 変 化 す る 。 こ の 反 応 を 触 媒 す る 酵 素 はsulfotransferaseと 呼 ば れ て お り 、 そ の 中 で 細 胞 質 に 存 荏 す る 酵 素 は 特 にSULT 略 し て 呼 ば れ る 。SULTは 触 媒 す る 基 質 に よ っ て 分 類 さ れ る フ ァ ミ リ ー を 構 成 し て お り 、SULT2Blbは コ レ ス テ ロ ー ル を 筆 頭 にDHEApregnenoloneを 基 質 と す る 酵 素 で あ る 。SULT2Blbの 発 現 に は 組 織 特 異 陸 が 認 め ら れ る が 特 に 皮 膚 で 多 く 発 現 し て お り 、 ケ ラ チ ノ サ イ ト 内 の コ レ ス テ ロ ール と その ス ルフ オン 基 付加 体 であ る 硫酸 コ レス テロ ー ル の 量 的 バ ラ ン ス を 規 定 し て い る 主 要 な 因 子 と し て 注 目 さ れ て い る 。

マ ウ ス SULT2Blb遺 伝 子 の プ ロ モ ー タ ー 領 域 の 解 沂 を 行 う に あ た っ て 、 最 初 にRLMRACE法 に よ る 転 写 開 始 点 の 同 定 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、 こ の 遺 伝 子 に は 異 な る12箇 所 の 転 写 開 始 点 が 存 在 し て い る こ と が 分 か り 、 こ の う ち 最 上 流 の 転 写 開 始 点 を +1と 定 義 し た 。 さ ら にRTPCR法 に て 十1が 最 上 流 の 転 写 開 始 点 で あ る こ と を 確 認 し た 。 転 写 開 始 点 近 傍 の 塩 基 配 列 を 検 索 し た 結 果 、 マ ウ スSULT2Blb遺 伝 子 の プ ロ モ ー タ ー はTATAボ ッ ク ス CAATボ ッ ク ス を 認 め な ぃTATAlessプ ロ モ ー タ ー で あ る こ と を 明 ら か に し た 。 次 に プ ロ モ ー タ ー 領 域 を 含 む 5 側 上 流 ゲ ノ ムDNA断 片 ( ー1117 +55bp) を 単 離 し 、 レ ポ ー タ ー ア ッ セ イ を 用 い た 欠 失 実 験 、 続 い て 変 異 導 入 実 験 を 行 っ た 。 こ の 結 果 、 −65ノ ー59bpと ー13/‑4bpに 位 置 す るSp/KLFフ ァ ミ リ ー 結 合 配 列 が 正 の 転 写 制 御 に 関 与 し て い る こ と を 確 認 し た 。 こ の 結 果 を 基 にSp/KLFフ ァ ミ リ ー が 発 現 し て い な い 細 胞 株 に 転 写 因 子Splお よ びSp3 発 現 さ せ 、 同 時 に‑66/+55bp、 お よ び こ の 中 の‑65/59bp、 ―13/4bpの 配 列 に 変異 導 入し た レポ ー ター コ ンス トラ ク ト を 遺 伝 子 導 入 す る レ ポ ー タ ー ア ッ セ イ を 行 っ た 。 こ の 実 験 の 結 勵 ゝ らSplは ―65/59bpと ―13/4bpのSp/KLF フ ァ ミ リ ー 結 合 配 列 を 介し てア ク チベ ー ター と して 作 用す るこ と 、こ れ らの 酉 己歹l亅 に結 合 したSplは 互い に 協調 して 作 用 す る こ と を 確 認 し た 。 ま た 、SplSp3を 同 時 に 発 現 さ せ た 場 合 、Sp3Splに 対 す る り プ レ ッ サ ー と し て 作 用 す る の で は な い か と 予 想 し た 。

副 査 の 畠 山 鎮 次 蓼 授 か ら は 、 @ ス ル フ オ ン 化 は 他 の 修 飾 を も た ら す 反 応 と 比 較 し て 生 体 内 で の 重 要 度 は ど の よ う に 考 え ら れ て い る の か ◎ 転 写 開 始 点 の 決 定 にRLM‑RACE法 を 用 い て い る が そ の 妥 当 性 は ど う 評 価 し て い る の か ◎SULTの 組 織 特 異 的 な 発 現 を 誘 導 す る 機 序 で 知 ら れ て い る こ と は 無 い の か に つ い て 質 問 が あ っ た 。 こ れ に 対 し て 申 請 者 は ( SULT281が 基 質 と す る ス テ ロ イ ド ホ ル モ ン で は ス ル フ オ ン 化 は そ の 活 性 調 節 に お い て 中 心 的 な 役 割 を 果 た し て い る ◎RLM‑RACE法 で 得 ら れ たc畊 乢 へ は シ ー ク エ ン ス で 特 に 問 題 を 認 め ず 、 メ ジ ャ ー と な る 転 写 開 始 点 も 同 定 で き た の で 信 用 で き る 結 果 で あ る と 判 断 し た ◎ 今 回 の 実 験 結 果 を 含 め て 、SuTの 組 織 特 異 的 な 発 現 を 誘 導 す る 機 序 を 解 明 し た 報 告 は 無 い と 回 答 し た 。 副 査 の 吉 岡 充 弘 教 授 か ら は 、 ( 王 §p1は ホ モ 複 合 体 を 構 成 し て 協 調 的 に 作 用 し て い る と し て い た が , そ の 作 用 棚 芋 は ど う な っ て

38

夫 次

隆 鎮

池 山

小 畠

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

いる のか ◎SULT2Blb遺伝 子が

Spl

とSp3の量的バラ ンスによって転写制御され るのであれば、さらに上 位にSplやSp3遺伝子の制御 を行っている機隣があると 考えて良いのかについて質問 があった。これに対 して申請者は◎

Spl

はTFnDの構成蛋白のーつ

TAFu130

を介して機能すること

、Cofactor requiredfbrSp1舶ns酬襾o耐a而v面0n(CI迩P)と呼ばれているコファクターを介して機能すること が言われているが詳細f瑚翠明されていない◎文献的にもSp1とSp3の上位にそ加ぞ加ーの転写調節機構が存 在しているとされていると 回答した。主査の小池隆夫 教授からは,(髑

I

恥281b以外のSULTは同じような 転写調節機構を持っている のか◎今後,代謝|内分泌分野に応用していくためにどのような方向を考えて いるのかについて質問があ った。これに対して申請者 は@他のsIHTについてのプロ モーター解析は報告 が少なぃが、検索した範囲 ではそれぞれ構造が異なるようであり、それぞれの遺伝子が異なる転写制御機 構を備えていると予想して いる◎我々はこれまでにウ サギSI凡r281bが動脈内皮細胞に発現していること を報 告し てい る が、

sIH

B1b

は抗 動脈硬化ホルモ ンとされているDHEAも基質 としており,動脈硬化巣 にお ける

SuJ281b

の発 現を 調 べる こと によ っ てDHEAの 作用 を解明することに っながるのではないかと 考えていると回答した。

  

この論文は、コレステロール等のsu脇nationに深く関係しているSIH,他B1bに関して、マウスSIH T281b 遺伝子のプロモーター領域 の解忻を初めて行い、転写 因子Sp1およびsp3による転写 制御機購を明らかに した点が高く評価され、今後更に解析を進めることによって硫酸コレステロールの生化学的な作用機序の解明 がより深まることが期待出来るとされた。

審査員一同は、 これらの成果を高く評価し 、大学院課程における研鑚や取得単位なども併せ申請者が博 士(医学)の学 位を受けるのに充分な資格 を有するものと判定した。

‑ 39―

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