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原稿種別:実践研究

表題:

ドイツのハンドボールにおける育成年代初期の選手育成活動に関する歴史的変遷:ドイ ツハンドボール協会発行の機関誌(1988~2018年)を対象に

Historical transition of athlete development in U-10 German handball: Focus on journal articles (1988-2018) published by the German Handball Federation

著者:

1)中山紗織 NAKAYAMA Saori 2)會田宏 AIDA Hiroshi

所属先:

1)日本体育大学総合スポーツ科学研究センター

Comprehensive Sport Science Research Center, Nippon Sport Science University 2)筑波大学体育系

Faculty of Health and Sport Sciences, University of Tsukuba

所属先住所:

1)〒158-8508 東京都世田谷区深沢 7-1-1 7-1-1 Fukasawa, Setagaya, Tokyo, 158-8508 2)〒305-8574 茨城県つくば市天王台 1-1-1

1-1-1 Tennodai, Tsukuba, Ibaraki, 305-8574

ランニングタイトル:ドイツハンドボールの選手育成活動に関する歴史的変遷

キーワード:テキストマイニング分析,一貫指導,小学生年代

Key word: text mining analysis, long-term athlete development, school-aged

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Abstract:

The aim of this study was to clarify the historical transition of U-10 athlete development in German handball. We performed a text mining analysis regarding the articles about U-10 athlete development in the monthly journal “handballtraining” (1988–2018) and quarterly journal “handballtraining JUNIOR” (2012–2018) published by the German Handball Federation. The historical transition of U-10 athlete development was divided into 5-year periods from 1988.

The main results were as follows. For the first 5 years, the need for “children’s handball” was encouraged by presenting the ideas, which are to develop game sense systematically and in the long term, and to recommend using balls suitable for children. The next central theme was encouraging children to learn offensive defenses by playing games and developing individual skills in attacks. Afterward, the long-term athlete development system was established, and the mandatory game format was implemented. A recent central theme was proposed to develop individual attack skills through practices that the children could enjoy.

It was inferred that the turning point in the U-10 athlete development occurred in 2003 when the offensive defense became obligatory in the game. One of the reasons for the obligatory adoption of defense formation could be that the content and method of the training activities were not changed by coaches even when they were provided seminars and practice drills to help realize the children-specific concept in handball.

We conclude that for Japan, to work on a new U-10 athlete development in handball, providing a guiding philosophy on the kind of players who should be developed and how to train them is an urgent issue. As a policy for accomplishing this idea, it would be suitable to change the game format, as done in Germany, or to change the education of the coaches, which might have been ineffective in Germany. These results suggest the need to develop a new policy and implement the necessary changes in one of the aforementioned methods.

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Ⅰ.緒言 1.球技における育成年代初期の選手育成活動 近年,球技では,長期的な選手育成を目的に国ごとや競技種目ごとに様々な取り組みが 行われている.特に,育成年代初期注 1)においては,身体的特徴に対する適応および個の 育成を目指してコート,ゴール,ボール,競技時間,プレー人数,プレー方法に関して成 人 と は 異 な る 子 ど も 特 有 の 競 技 規 則 で 試 合注 2 )が 行 わ れ る 場 合 も あ る (Deutscher Basketball Bund, 2016;Deutscher Fussball Bund, online;公益財団法人日本バスケッ トボール協会,2018;財団法人日本サッカー協会,2012).このことは,「子どもは小さな 大人」ではない(ルソー,1978)という理念に基づく長期的視野に立った選手育成の取り 組みであると考えられる. ハンドボールに着目すると,国際競技力に差がある様々な国において,6 歳から 12 歳の 試合で成人とは異なる競技規則が導入されている.その競技規則は,大きく2 つに分類で きる.一つは,スウェーデン,フランスのように,コート,ボール,競技時間,プレー人 数に関して成人とは異なる競技規則である(Fédération Française de Handball,2019; Svenska Handboll Förbundet,online).このような競技条件のスモールサイズ化は,育 成年代初期の選手に対して成人に近いプレー条件を提供すること,すなわち子どもの身体 的特徴に対する適応を目指した取り組みであるといえる.

もう一方は,これらの変更に加えて,オランダ,ブラジル,ドイツおよび日本のように 積 極 的 な 防 御注 3 )の 採 用 の 義 務 化 , ま た は 推 奨 を す る 競 技 規 則 で あ る (Deutscher Handbalbund,2003;公益財団法人日本ハンドボール協会,2014;Leonardo and Scaglia, 2018;Nederlands Handbal Verbond, 2015).これらの国では,育成年代初期において, マンツーマン防御などの積極的な防御を採用させることによって個の育成内容を明確に している(Feldmann, 2013,pp.4-5;公益財団法人日本ハンドボール協会,2015;Pombo Menezes et al., 2011).そこでは,主に体力および戦術力注 4)の養成が目指されている.体 力に関しては,マンツーマン防御によって生じるゴールエリア前の広いスペースにおいて, ボールを持たない時に動くことで運動強度を上げ,体力の向上を図ることが養成目標とし て挙げられている(Feldmann,2013,pp.4-5;Nederlands Handbal Verbond,2015). また,防御戦術注 5)に関しては,自分と対峙する相手プレーヤーおよびボールの位置を常 に把握すること,相手からボールを奪うことが,攻撃戦術に関しては,ボールを持たない 時に動くことによって相手のマークを外すことが,それぞれ養成目標として挙げられてい

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る. 2.ハンドボールの育成年代初期において積極的な防御の採用を義務化または推奨してい る国々の取り組み 積極的な防御の採用を義務化または推奨する競技規則を導入している国々の取り組み に着目すると,オランダでは2015 年から,ブラジルでは 2016 年から義務化され,日本で は 2015 年から推奨されている.そして,男女代表チームおよび男女ユース・ジュニア代 表チームの国際大会での成績をもとに作られた,国際的な競技力の評価基準である国際ハ ンドボール連盟(IHF)ランキングにおいて長年 1 位の成績を維持している(2020 年 9 月 時点)ドイツでは,日本やオランダ,ブラジルよりも10 年以上前の 2003 年から育成年代 初期の試合において積極的な防御の採用が義務化されている.このことは,ドイツでは育 成年代初期における試合や練習での独自の取り組みに関する歴史がどの国よりも長く,そ の理念が国内で浸透していることを示していると考えられる. 一方,日本の育成年代初期における選手育成活動に着目すると,その歴史は短く,指導 者へ向けて十分に発信されてきたとは言えない.その理由として,日本ハンドボール協会 が育成年代初期に対する育成活動の取り組みとして導入した積極的な防御を推奨する競 技規則は2015 年であったこと,全国小学生ハンドボール大会が初めて開催された 1988 年 から2018 年までの過去 31 年間では技術力および戦術力の養成が目指されてきたものの, その練習の方法については中心的なテーマとなっていなかったこと(中山・會田,2019) が挙げられる. これらのことから,過去の無知は,現在の理解を妨げるのみならず,現在における行動 自体を危うくしてしまう(ブロック,2004) ことを考え合わせると,日本のハンドボー ルにおける育成年代初期の選手育成活動に対して有用な知見を得るためには,ハンドボー ル強豪国で選手育成活動に関する歴史の長いドイツが,育成年代初期の選手育成活動にお いてどのような問題を発見し,どのような理念,目標,プログラムを作成し,それを育成 年代初期の選手に携わる指導者へ発信してきたのかを明らかにする必要があると考えら れる.ドイツの取り組みについて詳細に解釈することができれば,日本の取り組みに対し ても「他者の視点」を持って批判的に分析できる(中矢,2019)と考えられるからである. そして,単に日本がドイツとの差異性や共通性に着目して,ドイツの成功事例を真似るの

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ではなく,日本の育成年代初期における選手育成活動の現在地を俯瞰することによって, 今後の取り組みを成功させるための方向性を示す有用な知見が得られるであろう. 3.様々な競技の強豪国および日本における選手育成活動に関する先行研究 選手育成活動の実態を明らかにするための先行研究では,ハンドボールや様々な競技に おける強豪国および日本を対象とした,競技団体の選手育成担当者へのインタビュー調査 や文献調査(河村ほか,1981;町田,2018;山田ほか,2013),現地でのコーチングやト レーニングに関する実践報告(松原ほか,2009;須田ほか,2019)が行われている.選手 育成活動の方針を明らかにするための先行研究では,ハンドボールの強豪国(ドイツ,ハ ンガリー,デンマーク)および日本の一貫指導プログラムを対象に,テキストマイニング 分析を用いた研究が行われている(永野ほか,2017).これらのことから,ハンドボール や様々な競技において,日本およびそれぞれの競技の強豪国を対象に調査時点の選手育成 活動の内容や方針を明らかにすることを目的とした研究が行われているとわかる. 選手育成活動の歴史的変遷についての研究は,僅かではあるが行われている.永野ほか (2019)は,日本のバレーボール,サッカーおよびハンドボールにおける一貫指導システ ムの構築方法について,それぞれの競技団体の一貫指導に関連している委員会メンバーに 対するインタビュー調査を行った.また,日本のハンドボールにおける育成年代初期の選 手育成活動に関する歴史的変遷について,日本ハンドボール協会が発行している機関誌を 対象としたテキストマイニング分析も行われている(中山・會田,2019).しかしこれら はいずれも国内における競技団体を対象としており,国外における育成活動の歴史的変遷 についてはこれまで明らかにされていない. 4.ドイツのハンドボールにおける育成年代初期の選手育成活動に関する文献 ドイツの育成年代初期における選手育成の変革は1990 年代初頭から本格化した(Eberl and Baum, 2015).また,選手育成に関する取り組みの理念,目標,プログラム等に関す る公式な情報は,主にそれぞれの国の競技団体が発行する機関誌で得ることができる(中 山・會田,2019).ドイツハンドボール協会の機関誌である『handballtraining』(月刊誌) は 1986 年 か ら , 12 歳 以 下 の 選 手 を 指 導 し て い る 指 導 者 向 け の 機 関 誌 で あ る 『handballtraining JUNIOR 』( 季 刊 誌 ) は 2012 年 か ら 発 行 さ れ て い る . 『handballtraining』の 1988 年 4 月号において,著者のシュペーテは,今後も育成年代

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の選手育成に関する記事を載せる(Späte, 1988)と述べている.また,『handballtraining JUNIOR』の 2012 年第 1 号において,当時のドイツハンドボール協会選手育成委員会委 員長であるブラントは,季刊誌『handballtraining JUNIOR』を通して,12 歳以下の子ど もを対象とする指導者にとって実践現場で役立つ助言や提案をしていくと述べている (Brand, 2012).これらのことから,当初から現在まで,機関誌は,特に選手育成に関す るドイツハンドボール協会の意思を反映・発信していると捉えられる. 5.テキストマイニング分析を用いる意義 文章・音声・映像などさまざまな質的データを分析するための方法として内容分析があ る(樋口,2018,p.1).内容分析では多くの場合,データをいくつかのカテゴリーに分類 した上で分析を進めていく(樋口,2018,p.1).しかし,大量データのコーディングを人 手で行う場合,すべてのデータを一貫性をもって分類することが難しい上に,分析の客観 性を担保することも困難である(岩見ほか,2015).そこで近年は,コンピュータを利用 したテキストマイニング分析が注目されている.このテキストマイニング分析を用いた研 究については,テキストデータがそのテキストの執筆者の意図を的確に反映するという保 証がないこと(稲葉・抱井,2011),文字になっていないものは,機械では分析できない こと(李ほか,2017)というような限界が指摘されている.一方,人手では扱えないよう な膨大な量の文字や数値データを統一的な視点から分析することが可能である(岩見ほか, 2015)という特徴もあわせ持つ.本研究では,ドイツハンドボール協会が発行する機関誌 31 年分を分析対象とするためには,テキストマイニング分析を用いることが研究目的を達 成するために有用であることを示していると捉え,採用した. 6.研究目的 本 研 究 で は , ド イ ツ ハ ン ド ボ ー ル 協 会 が 主 に 指 導 者 向 け に 出 版 し て い る 月 刊 誌 『handballtraining』の 1988 年から 2018 年までの記事,および 12 歳以下の指導者向け に出版している季刊誌『handball training junior』の 2012 年から 2018 年までの記事を 対象に,育成年代初期の選手育成に関する記載内容をテキスト化し,質的に分析すること によって,ドイツの育成年代初期における選手育成の取り組みに関する歴史的変遷を明ら かにし,日本のハンドボールにおける育成年代初期の選手育成活動に対して有用な知見を 得ることを目的とする.

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なお,ドイツハンドボール協会は,機関誌の他に『Handball pur』と呼ばれる選手育成 に関するDVDや文書を発行している.機関誌は,先述したようにドイツハンドボール協会 の意思を発信していると捉えられるため,これまでに発行された機関誌を調査対象とする ことで研究目的を達成できると判断し,強化委員会など個別の委員会によって発行された 選手育成に特化した内容の資料は調査対象としなかった. Ⅱ.研究方法 本研究では,前述した目的を達成するために以下の方法を採用した(図1). ※図 1 挿入箇所 1.資料収集 研究対象として『handballtraining』は 1988 年から 2018 年までの 31 年分,全 310 冊, 13560 ページ,『handballtraining JUNIOR』は 2012 年から 2018 年までの 7 年分,全 17 冊,1071 ページの中から,育成年代初期に関する記事を取り出した.記事は,合計で 246 件あった(表1).なお,『handballtraining』の発刊年は 1986 年だが,1986 年および 1987 年の記事は入手できなかったため,調査対象としなかった. ※表1 挿入箇所 2.分析対象資料の選別 次に,得られた資料を選別した.本研究では,育成年代初期の選手育成活動における理 念や取り組みに関する歴史的変遷を明らかにすることが目的であるため,具体的な練習メ ニューの紹介部分は分析対象外とした.また,記事の内容に,育成年代初期より上のカテ ゴリーに関する記載が含まれている場合には,育成年代初期の記載のみを取り出した. 3.年代区分の決定 分析対象資料の年代区分については,探索的因子分析の手法を参考に,筆頭著者とコー チング学の博士号を有する研究者との間で協議して決定した.探索的因子分析とは,因子 の構造などを何も仮定せずに行い,どのような潜在的因子が存在しているかを探索する手 法であり(松尾・中村,2002,p.55),因子の数を決める作業および因子の質を決める作業 に分けられる(松尾・中村,2002,p.57).因子の数を決める作業としては,固有値(計算

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過程での数学的な基準)または解釈可能性(主観的ではあるが,因子分析では重要な基準) によって決める方法がある(松尾・中村,2002,p.55). 本研究では,年代区分を決める作業として,記事の発行年をもとに 31 年分の分析対象 資料を複数の年代に分けて予備的に分析した.そこでは,後述するテキストマイニング分 析を用いて,各年代において得られたサブグラフ(関連の強い語のグループ)を命名し, それぞれのサブグラフの解釈可能性を基準に年代区分の検討を行った.その結果,6 つよ り少ない年代で分けた場合には,それぞれの年代において得られたサブグラフの内容の抽 象度が高く一般的であったこと,6 つより多い年代で分けた場合には,サブグラフの内容 の具体度が高く,再度データをまとめる必要があったことから,6 つの年代で区切った場 合に解釈可能性が最も高いと判断した.具体的には,1988 年から 5 年ずつに区切り,最後 の2013 年から 2018 年のみ 6 年間とした. 4.テキストマイニング分析 本研究では永野ほか(2017),中山・會田(2019)の方法に倣い,内容分析の方法にテ キストマイニング分析を採用し,ソフトウェアとしてKH Coder(Ver. 3. Alpha. 14)を 用いた. (1)分析ルールの作成 テキストマイニング分析を行うにあたり,まず強制抽出する語の指定および使用しない 語の指定をした.強制抽出する語の指定とは,例えば「1 gegen 1(1 対 1)」というひとま とまりの言葉が「1」,「対」,「1」の 3 語として認識されることを防ぐ手続きである(樋口, 2018,p.133).使用しない語の指定とは,例えば,「z. B.(例えば)」という言葉は,「z」, 「B」の 2 語として認識されてしまうため,「z」,「B」の 2 語を使用しない語とする作業で ある.これらの語の指定に関する分析ルールの作成は,KH Coder(Ver. 3. Alpha. 14)に よって抽出された語の一覧を確認した後に行った. また,テキストマイニング分析について,岩見ほか(2015)は,単純に分析対象語を増 やした場合には,語の関係性などを可視化した結果が複雑になることを指摘している.そ のため,少ない論点を特定できるような対象語を客観的に抽出する方法の検討が必要であ ると述べている.そこで,テキストマイニング分析を用いた多くの研究では,抽出する品 詞を限定することによって,研究目的により適した分析対象データを取り出す試みが行わ

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れている.例えば,研究の動向を明らかにするための研究では,過去の論文題目およびキ ーワードを分析対象に,名詞のみを抽出して分析している(佐久嶋ほか,2012;須永,2017). また,助動詞や助詞はどのような文書の中にでも出現することから,分析には利用しにく いと考えられている(樋口,2018,pp.110-111).そのため,論文題目よりも長い文書を 対象とした研究では,助動詞や助詞を分析対象としない研究もある(大槻ほか,2018;財 津,2016). そこで,本研究では,まず全ての品詞を分析対象語として抽出し,予備的に分析した. その結果,動詞については,「machen(する)」,「spielen(プレーする)」などが, 副詞については「sehr(とても)」,「ganz(全ての)」などが,助動詞については,「können (できる)」,「müssen(しなければならない)」などが多く出現した.このように多く 出現する語は,どのような文書にも出現する一般的な語であるとも,その文書において重 要な語であるとも考えられる.しかし,予備的な分析においては,これら3 つの品詞を加 えて分析した結果と比べた場合,3 つを削除した方がそれぞれの年代の特徴をより詳細に 取り出すことができた.これらのことから,本研究では,名詞,形容詞,形容動詞を抽出 し,動詞,副詞,助動詞,助詞は分析対象としなかった.なお,ドイツ語において,助詞 は独立して使用されないため,分析対象とならなかった. 抽出する品詞を決定する際には,その妥当性を確保するために1 名の研究者と十分に確 認しながら進めた.この研究者は,日本スポーツ協会公認コーチ 4(ハンドボール)の資 格を有し,コーチング学の博士号を有する者であった. (2)共起ネットワーク分析 テキストマイニング分析によって抽出された語がどの語と関連して使われていたのか を調べるため,共起ネットワーク分析を行った.そこでは,得られた語と語のネットワー クを,比較的強くお互いに結びついている部分を自動的に検出してグループ分けを行う 「サブグラフ検出媒介性」(樋口,2018,p.160),およびそれぞれの語がネットワーク構 造の中でどの程度中心的な役割を果たしているのか示す「次数中心性」(樋口,2018,p.160) によってサブグラフを検出した.なお,本研究では,生田(2015),永野(2017)に倣い, 共起ネットワーク上での描写数を30 語に設定した. 5.本文引用

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それぞれのサブグラフを解釈するために,各サブグラフ中で中心性の最も高い語および その語と最も共起の高い語の 2 語を含む文章を引用した.その際,「前後で連続した 2 文 以内にこの2 語が含まれている」という条件を満たす文章を引用した.引用文の数は,各 サブグラフで3 文になるまで検索した.ただし,2 文以内に指定された 2 語がなかった場 合には,中心性の最も高い語とその語と2 番目に共起の高い語の 2 語を含む文章を同じ条 件で引用した.それでも引用文が3 文に満たない場合には,サブグラフ内で 2 番目に中心 性の高い語とその語と最も共起の高い語の2 語を含む文章を引用し,サブグラフを解釈で きる引用文を2 文以上検索した.ここまでの手続きはドイツ語のみを用いた. 本文引用の具体例を1988 年から 1992 年における共起ネットワーク(図 2)で示す.サ ブグラフ1 で中心性の最も高い語は「kind(子ども)」,その語と最も共起の高い語は「ball (ボール)」であった.連続した 2 文以内に kind と ball の 2 語が含まれている文章を検 索したところ,「子どもに提供されているボールは子どもの小さな手には適していない…」 を含む3 つが引用文として取り出された(表 2). ※図 2 挿入箇所 ※表 2 挿入箇所 6.翻訳 その後,引用文を日本語へ翻訳した.翻訳は,筆頭著者が行った.筆頭著者は,ドイツ 語の語学能力証明書として Goethe-Zertifikat B2 を持っていた.この語学能力証明書は 「 自 分 の 専 門 領 域 で は 専 門 的 な 議 論 も 理 解 す る こ と が で き る ド イ ツ 語 力 」(Goethe Institut,online)を意味しており,適切な翻訳が行われたと捉えた. 7.解釈と考察 サブグラフを理解しやすくするために引用文の日本語訳を概念化した. 解釈と考察に関しては,筆頭著者が行った.筆頭著者は日本スポーツ協会コーチ 3(ハ ンドボール)およびドイツオリンピックスポーツ連盟資格C 級コーチ(ハンドボール)の 資格と,日本およびドイツにおいて育成年代初期の選手に対するハンドボールの指導経験 を持っていた.これらのことは,ドイツの育成年代初期のハンドボールにおける考え方を 適切に解釈,考察できる能力を有すると考えられる.なお,解釈における恣意性をできる 限り排除するために,筆頭著者と日本スポーツ協会公認コーチ 4(ハンドボール)の資格

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およびコーチング学の博士号を有する研究者でトライアンギュレーションを行った. なお,引用文が2 文に満たないサブグラフ,意味のある解釈ができないサブグラフに関 しては概念化しなかった.そのサブグラフは,図においては点線で囲い,表においては記 載しなかった. Ⅲ.結果 1.1988 年から 1992 年 1988 年から 1992 年の 5 年間の記事内容は,10 のサブグラフに分類された(図 2). 表2 にサブグラフを解釈する引用文とその概念化を示した. 1 つ目のサブグラフの中で中心性の最も高い語は「子ども」であった.引用文には,「ボ ールは子どもの手に適していなければならない」,「シュート時に子どもがしっかりと握れ るくらい小さなボールを使用」などがあった.このことから,このサブグラフを「子ども に適したボールの推奨」と概念化した. 2 つ目のサブグラフの中で中心性の最も高い語は「クラブ」であった.引用文には,「新 しい連載…では…クラブ…の…『新人指導者』…に対する現場で役立つ内容」,「クラブで の実践が提案された…新しいシリーズ」などがあった.このことから,このサブグラフを 「クラブで実践すべき新たな学習内容の提示」と概念化した. 3 つ目のサブグラフの中で中心性の最も高い語は「系統的な」であった.引用文には, 「系統的なコンセプトを提供」,「ゲーム能力注 6)を育成するための系統的なコンセプト」 などがあった.このことから,このサブグラフを「系統的なコンセプトの必要性」と概念 化した. 4 つ目のサブグラフの中で中心性の最も高い語は「育成年代の・青少年の」であった. 引用文には,「育成年代においては,発達段階に適した練習内容」,「練習内容…に関する上 位目標は,青少年を生涯スポーツへ導くこと」があった.このことから,このサブグラフ を「育成年代に適した練習内容」と概念化した. 5 つ目のサブグラフの中で中心性の最も高い語は「育成・発展」であった.引用文には, 「何年も前に…長期的なゲーム能力の育成を目指した練習プログラムを…提供」,「コンセ プトの目的は…何年にもわたって基本的なスキルと能力を徐々に高め…ゲーム能力を育 成すること」などがあった.このことから,このサブグラフを「ゲーム能力の長期的な育 成」と概念化した.

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6 つ目以降の残りのサブグラフにおいて,中心性の高い語は,「異なる」,「練習ドリル」, 「小さな」,「注意点」,「頻繁に」であったが,これらに関しては意味のある解釈ができな かった. これらのことから,1988 年から 1992 年の 5 年間では,子どもに適したボールの使用の 推奨や長期的なゲーム能力の育成,すなわち子ども特有のハンドボールに関する理念が提 示されたと理解できる(表2). 2.1993 年から 1997 年 1993 年から 1997 年の 5 年間の記事内容は,6 つのサブグラフに分類された. 1 つ目のサブグラフの中で中心性の最も高い語は「1 対 1」であった(表 3).引用文に は,「ボールを保持した相手プレーヤーに対する1 対 1」,「1 対 1 状況における防御プレー を育成」などがあった.このことから,このサブグラフを「1 対 1 状況を個人で解決する 防御能力の育成」と概念化した. 2 つ目のサブグラフの中で中心性の最も高い語は「子ども」であった.引用文には,「(遊 びの中でのウォーミングアップ)では,すべての子ども,または少なくとも2 人に 1 つは ボール」,「子ども向けの遊びの中での基礎学習」などがあった.このことから,このサブ グラフを「遊びの中での育成」と概念化した. 3 つ目のサブグラフの中で中心性の最も高い語は「防御」であった.引用文には,「防御 では…積極的な位置でプレーする」,「積極的な防御に対する攻撃方法」などがあった.こ のことから,このサブグラフを「積極的な防御とそれに対する攻撃」と概念化した. 4 つ目以降の残りのサブグラフにおいて,中心性の高い語は,「能力」,「選手」,「防御プ レーヤー」であったが,これらに関しては意味のある解釈ができなかった. これらのことから,1993 年から 1997 年の 5 年間では,積極的な防御とそれに対する攻 撃を遊びの中で練習させることが中心的なテーマであったと考えられる(表3). ※表 3 挿入箇所 3.1998 年から 2002 年 1998 年から 2002 年の 5 年間の記事内容は,6 つのサブグラフに分類された. 1 つ目のサブグラフの中で中心性の最も高い語は「空間・スペース」であった(表 4). 引用文には,「ボール保持者が積極的な防御に対して広いスペースを使えるように」,「防御

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プレーヤーを引きつけて味方にスペースを与える」,「消極的な防御に対してはスペースが 狭い」などがあった.このことから,このサブグラフを「積極的または消極的な防御に対 する攻撃」と概念化した. 2 つ目のサブグラフの中で中心性の最も高い語は「道」であった.引用文には,「ボール 保持者がゴールへの道も見つけなければならない」,「ゴールからゴールまでの長い道のり」 などがあった.このことから,このサブグラフを「ゴール方向へボールを運ぶ意識」と概 念化した. 3 つ目のサブグラフの中で中心性の最も高い語は「ボール」であった.引用文には,「様々 な(大きさや種類の)ボールを使った活動」などがあった.このことから,このサブグラ フを「様々な大きさや種類のボールを用いた練習」と概念化した. 4 つ目のサブグラフの中で中心性の最も高い語は「2×3 対 3」注 7)であった.引用文に は,「『2×3 対 3』という試合形式」,「『ランナー』がいない 2×3 対 3注 8)では,非常に激 しいゲーム局面と休息局面が交互に…起こる」などがあった.このことから,このサブグ ラフを「2×3 対 3 での試合形式のトレーニング」と概念化した. 5 つ目のサブグラフの中で中心性の最も高い語は「個人の」であった.引用文には,「育 成志向であり,その内容は個の育成」,「プレーヤーのタイプに基づく個の育成」などがあ った.このことから,このサブグラフを「個の育成」と概念化した. 6 つ目のサブグラフにおいて,中心性の高い語は「選手」であったが,これに関しては 意味のある解釈ができなかった. これらのことから,1998 年から 2002 年の 5 年間では,攻撃における個の育成が中心的 テーマであったと考えられる(表4). ※表 4 挿入箇所 4.2003 年から 2007 年 2003 年から 2007 年の 5 年間の記事内容は,8 つのサブグラフに分類された. 1 つ目のサブグラフの中で中心性の最も高い語は「ドイツハンドボール協会一貫指導コ ンセプト」であった(表 5).引用文には,「ドイツハンドボール協会一貫指導コンセプト …では,積極的な防御を規定」,「ドイツハンドボール協会一貫指導コンセプトの中心的な テーマは,育成年代初期における新しい試合形式である.…将来の世代はマンツーマン防 御の中でハンドボールを学ぶ」などがあった.このことから,このサブグラフを「積極的

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な防御を規定するドイツハンドボール協会一貫指導コンセプト」と概念化した. 2 つ目のサブグラフの中で中心性の最も高い語は「内容」であった.引用文には,「練習 の内容はドイツハンドボール協会一貫指導コンセプト…に従うが,子どものハンドボール では…ゲーム形式の練習においてゲーム能力が育成されるべき」,「正しい練習内容の推奨 だけではうまくいかなかった.つまり,学習,練習,試合は統一されていなければならな い」があった.このことから,このサブグラフを「育成方針の反省と一貫指導コンセプト の確立」と概念化した. 3 つ目以降の残りのサブグラフにおいて,中心性の高い語は,「1 対 1」,「大きい」,「選 手」,「良い」,「U10(E-Jugend)」,「ゲーム能力」であったが,これらに関しては意味の ある解釈ができなかった. これらのことから,2003 年から 2007 年の 5 年間では,一貫指導体制の確立が中心的テ ーマであったと考えられる(表5). ※表 5 挿入箇所 5.2008 年から 2012 年 2008 年から 2012 年の 5 年間の記事内容は,7 つのサブグラフに分類された. 1 つ目のサブグラフの中で中心性の最も高い語は「4+1」注 9)であった(表6).引用文 には,「4+1 でのゲーム…に加えて…3 つの形式からなる試合」,「U8 では 4+1,U10 で は通常のコートでの 6+1」などがあった.このことから,このサブグラフを「10 歳以下 での試合形式」と概念化した. 2 つ目のサブグラフの中で中心性の最も高い語は「初心者」であった.引用文には,「初 心者には…初めからハンドボールのゲームをさせる」,「どのようにして初心者を…育成で きるかについて,第一段階(5〜8 歳/U8 の年齢層)では,『スモールゲーム』を通して状 況解決スキルを身につけさせるべき」などがあった.このことから,このサブグラフを「ゲ ームを通した初心者指導」と概念化した. 3 つ目のサブグラフの中で中心性の最も高い語は「実行」であった.引用文には,「試合 構造の改革…の現状について詳細に報告し,新しいアイデアの実行に注目し続ける」,「試 合構造に関するルールの実行」などがあった.このことから,このサブグラフを「規定(義 務化)された試合形式の実践への適用」と概念化した. 4 つ目のサブグラフの中で中心性の最も高い語は「HVW」であった.引用文には,

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「Württemberg 州協会(HVW)は…子どものハンドボール独自の概念を発展させる方針 へ変更した」,「Württemberg 州協会(HVW)もこのトピックを詳細に扱う」などがあっ た.このことから,このサブグラフを「Württemberg 州での活動内容の紹介」と概念化し た. 5 つ目以降の残りのサブグラフにおいて,中心性の高い語は,「さらに」,「U10(E-Jugend)」,「攻撃」であったが,これらに関しては意味のある解釈ができなかった. これらのことから,2008 年から 2012 年の 5 年間では,試合形式の義務化とその適用が 中心的テーマであったと考えられる(表6). ※表 6 挿入箇所 6.2013 年から 2018 年 2013 年から 2018 年の 6 年間の記事内容は,6 つのサブグラフに分類された. 1 つ目のサブグラフの中で中心性の最も高い語は「練習」であった(表 7).引用文には, 「子どもには可変的でモチベーションが上がるような練習」,「それぞれの子どもに適した 練習を行うために,創造性あふれる内容にする」などがあった.このことから,このサブ グラフを「子どもが楽しめる多面的な練習」と概念化した. 2 つ目のサブグラフの中で中心性の最も高い語は「練習ドリル」であった.引用文には, 「次の記事では…練習ドリル…を紹介」,「この記事で説明している練習ドリル」などがあ った.このことから,このサブグラフを「練習ドリルの紹介」と概念化した. 3 つ目のサブグラフの中で中心性の最も高い語は「ボール」であった.引用文には,「ゴ ールへ向かってボールをうまく投げる」,「ボールを持ってゴールへ向かって動く」などが あった.このことから,このサブグラフは「ゴール方向へ攻める動き」と概念化した. 4 つ目のサブグラフの中で中心性の最も高い語は「空間・スペース」であった.引用文 には,「(空いているスペースの代わりに)防御プレーヤーへ向かって」,「空いているスペ ースを利用」などがあった.このことから,このサブグラフは「空いているスペースを利 用した攻撃」と概念化した. 5 つ目以降の残りのサブグラフにおいて,中心性の高い語は,「チーム」,「攻撃プレーヤ ー」であったが,これらに関しては意味のある解釈ができなかった. これらのことから,2013 年から 2018 年の 6 年間では,楽しめる練習で攻撃力の育成が 中心的テーマであったと考えられる(表7).

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※表 7 挿入箇所 Ⅳ.考察 1.ドイツのハンドボールにおける育成年代初期の選手育成の取り組みに関する歴史的変 遷 ドイツの育成年代初期における選手育成の取り組みをまとめると,1988 年からの 5 年 間では,子どもに適したボールの使用の推奨や長期的なゲーム能力の育成,すなわち子ど も特有のハンドボールに関する理念を提示することによって「子どものハンドボール」の 必要性を促し,1993 年からの 5 年間では,遊びの中で積極的な防御とそれに対する攻撃 を習得させることに,1998 年からの 5 年間では,攻撃における個の育成に取り組んでい たと解釈できる.また,2003 年からの 5 年間では,一貫指導体制を確立させ,2008 年か らの5 年間では,義務化した試合形式を実践に適用させ,2013 年からの 6 年間では,楽 しめる練習で攻撃力の育成に取り組んだと解釈できる. 長期的な選手育成において重要な一貫指導のコンセプトに着目すると,ドイツでは,積 極的な防御を規定することが掲げられていたとわかる(表 5).積極的な防御については, 1993 年から 2012 年にかけて中心的なテーマとなっていたことから(表 3,表 4,表 5, 表6),積極的な防御を採用させることがドイツの育成活動において中心的なテーマであっ たと推察される. Brand et al.(2009)は,2002 年までに行われた育成年代初期における選手養成改革の 実現のための講習会,練習ドリルなどの提示では実際の試合構造と練習は変わらなかった こと,そのため競技規則を変えることによって練習を変えるという考え方に方針を変え, 2003 年から育成年代の試合において特別な競技規則が導入されたと報告している.この ことは,理念や価値観の提示では実践現場における選手養成の内容や方法が変わらず,実 質的な効果をあげられないこと,強制的な競技規則変更によってその競技規則の下で勝つ ために選手が習得すべきプレーがトレーニングされる可能性があることを示している. そして,2016 年には,ドイツハンドボール協会青少年・学校・教育委員会副委員長のクラ ーク氏が,2003 年から育成年代において導入されている競技規則について,その内容は国 際ハンドボール連盟の方針に沿って適宜修正されており,選手の将来を見据えた育成活動 の取り組みとして正しい方向へ進んでいると評価している(Deutscher Handballbund, 2016).

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これらのことから,ドイツの育成年代初期における選手育成の取り組みは,積極的な防 御を採用させることが中心的なテーマであること,そして,その防御の採用が義務化され た2003 年が育成活動の転換期であったと推察される. 2.ドイツのハンドボールにおける育成年代初期の練習内容と方法 ドイツの育成年代初期における練習の内容と方法については,「育成年代に適した練習 内容」(1988〜1992 年),「遊びの中での育成」(1993〜1997 年),「様々な大きさや種類の ボールを用いた練習」,「試合形式のトレーニング」(1998〜2002 年),「ゲームを通した初 心者指導」(2008〜2012 年),「子どもが楽しめる多面的な練習」(2013〜2018 年)と概念 化された. このことから,ドイツにおける育成年代初期の練習は,ドリル形式の練習によって技術 力を養成し,ゲーム形式の練習によって戦術力を養成するという要素還元的な考えに基づ いた練習(會田,2012)ではないことがわかる.むしろ,「試合形式」,「多面的」,「ゲーム を通した」,「遊びの中で」が概念化のキーワードになっていることから,技術力と同時に 戦術力も発揮しなければならない練習であり,練習で設定された状況の解決を選手が試み ることで技術力と戦術力が統一されたゲーム能力の育成を 1988 年から一貫して目指して いると捉えられる.また,このことは,ドイツでは子ども特有のハンドボール指導に関す る理念が遅くとも 1988 年から掲げられていたこと,その内容は 2018 年まで一貫してい ると理解できる. 3.日本の育成年代初期における選手育成の変革に資する提言 日本の育成年代初期における選手育成の取り組みは,2015 年から本格化し,育成年代初 期に身につけさせるべき技術や戦術が示されているものの,その練習の方法についてはほ とんど発信されておらず(中山・會田,2019),日本における子ども特有のハンドボール 指導に関する理念の浸透を目指した取り組みは十分でないと言える. このことは,ドイツの取り組みを踏まえると,日本の選手育成活動における変革の現在 地は「解凍」段階(Lewin,1951),すなわちこれまで信じてきた信念が必ずしも望ましく なく,何らかの変革が必要であることを組織成員に認識させることに重点を置く段階にあ る(山岡,2006)と考えられる.今後日本が長期的な視点に立って育成年代初期の選手育 成活動に関する取り組みの変革を起こすためには,まずは,子ども特有のハンドボールに

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関する理念の提示,すなわち子どもに適したボールの使用を推奨することおよび日本ハン ドボール協会が選手育成の初期段階においてどのような選手をどのように養成するべき なのかを示すことが急務であると考えられる. 本研究の結果から,ドイツの選手育成活動の転換期は,積極的な防御の採用を義務化し た 2003 年であることが推察された.防御隊形の採用を義務化する方針となった背景の一 つとして,子ども特有のハンドボールの理念を実現させるために行った講習会や練習ドリ ルなどの提示では,実際の育成活動は変わらなかったことが挙げられた. これらのことから,今後日本がよりよい選手育成活動を導くためには,子どものハンド ボールの理念を実現させるために育成活動の方針の転換が不可欠であると考えられる.そ の方針は,ドイツと同様に競技規則を変えることによって理念の実現を目指すのか,また はドイツでは効果をあげることができなかったと考えられている指導者育成の方法を変 えることによって効果を上げるのか,変革の方針について考え,実行する必要がある. Ⅴ.結論 本研究では,ドイツのハンドボールにおける育成年代初期の選手育成活動に関する歴史 的変遷を明らかにし,日本の選手育成活動の変革に資する知見を得ることを目的とした. この目的を達成するために,ドイツハンドボール協会が指導者向けに出版している月刊誌 『handballtraining』(1988 年から 2018 年)の記事,および 12 歳以下の指導者向けに出 版している季刊誌『handballtraining JUNIOR』(2012 年から 2018 年)の記事を対象に, 育成年代初期の指導に関する記事を選別した後,テキストマイニング分析を行った.本研 究で得られた知見は以下の通りである. ドイツにおける育成年代初期の選手育成活動の変遷を,1988 年から 5 年ごとに区切る と,まず,子どもに適したボールの使用の推奨や長期的なゲーム能力の育成,すなわち子 ども特有のハンドボールに関する理念を提示することによって「子どものハンドボール」 の必要性を促し,次に,遊びの中で積極的な防御を習得させること,攻撃において個を育 成することを中心的なテーマとしていた.その後,一貫指導体制を確立させ,義務化した 試合形式を実践に適用させ,子どもが楽しめる練習で攻撃力を育成させることに取り組ん でいったと解釈できた. ドイツにおける育成年代初期の選手育成活動の転換期は,2003 年に積極的な防御の採 用が義務化された時であることが推察された.義務化された背景としては,指導者講習会

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や練習ドリルなどの提示では,実際の育成活動は変わらなかったことが挙げられた. これらのことから,今後日本が育成年代初期の選手育成活動に関する新たな取り組みを していくためには,まずは子ども特有のハンドボールに関する理念を提示することが急務 であると考えられた.そして,その理念を実現させるためには,ドイツと同様に競技規則 を変えること,またはドイツでは効果をあげることができなかったと考えられている指導 者育成の方法を変えることの必要性が示唆された. 付記 本研究の一部は,科学研究費補助金(基盤研究C 課題番号 20K11357)を受けて実施さ れた. 注 注1)ドイツでは,最も低い年齢カテゴリーとして,U8(8,9歳),U10(10,11歳), U12(12,13歳)というように2歳刻みのカテゴリーが設定されている(ノイハウス, 2016,pp.6-7).本研究では,初めて対外試合が認められるカテゴリーを選手強化活動 の始まりと捉え,それについて「育成年代初期」という用語を使う.具体的には,ドイ ツではU10(10,11歳)である. 注2)本研究において,ドイツ語の“Wettkampf”は「試合」,“Spiel”は「ゲーム」と翻訳し た.翻訳箇所以外において,本研究では,特定のルールに則って練習中に行われる対戦 は「ゲーム」という用語を使い,ハンドボールの競技規則に則って大会中に行われる対 戦は「試合」という用語を使う. 注3)自陣のフリースローラインより外側,すなわち守るべきゴールから遠いエリアで行わ れる防御について「積極的な防御」という用語を使う. 注4)相手の行動に合わせて自分の行動を調整することによってゲームや試合の目標に照 らして,相手に対して優位を得ることができる能力という意味で「戦術力」という用語 を使う(朝岡,2006). 注5)最も良いゲームや試合の結果を得るために,相手の行動や状況に応じて自らの行動を 調整し,個人で,または味方と協力して行う具体的・実践的な行為もしくは行為の事前 計画という意味で「戦術」という用語を使う(會田,2006).

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注6)ドイツ語の“Spielfähigkeit”は「ゲーム能力」と翻訳した.翻訳箇所以外において, 本研究では,球技における個人の競技力,すなわち,戦術力,技術力,体力,心的・知 的能力の4つの要素からなる複合的達成力について,「ゲーム能力」という用語を使う(會 田,2019). 注7)「2×3 対 3」のゲームとは,2 つのチームが通常の選手数(6 人のコートプレーヤー と1 人のゴールキーパー)でプレーするゲームである.通常のコートを自陣と敵陣の半 面に分け,それぞれのコートに,各チーム3 人ずつのコートプレーヤーが入る.センタ ーラインを超えてプレーすることは禁止されており,いずれのコートでもマンツーマン 防御でプレーする(ノイハウス,2016,p.10).すなわち,積極的な防御を用いたゲーム である. 注8)ランナーがいない「2×3 対 3」とは,前述した「2×3 対 3」と同義である.一方, 「2×3 対 3+ランナー」と呼ばれるゲームがある.それは,「2×3 対 3」のルールおよ び人数に加えて,各チーム1 人ずつがセンターラインを超えてプレーすることが許され ているゲームである(Uhrmeister, 2003).これらのゲームを区別するために「ランナー がいない『2×3 対 3』のゲーム」という用語が使われている. 注9)「4+1」のゲームとは,2 つのチームが 4 人のコートプレーヤーと 1 人のゴールキー パーの計5 人でプレーするゲームである(ノイハウス,2016,p.8). 文献 會田宏(2006)球技の戦術.最新スポーツ科学事典.平凡社,pp.178-179. 會田宏(2012)球技における個人戦術に関する実践知の理解の仕方.スポーツ運動学研究, 25:17-28. 會田宏(2019)競技力の構造.日本コーチング学会編,球技のコーチング学.大修館書店, p.65. 朝岡正雄(2006)戦術・戦術力.最新スポーツ科学事典.平凡社,p.207. ブロック:松村剛訳(2004)歴史のための弁明.岩波書店,p.22.

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資料収集 解釈と考察 翻訳 テキストマイニング分析 (1)分析ルールの作成 (2)共起ネットワーク分析 分析対象資料の選別 本文引用 図1 本研究における分析手順 年代区分の決定

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gro folgend wichtig verschieden hoch h ufig m glich jung klein kurz weit ball kind gut spiel f higkeit

spieler trainer bung_leiter bewegung handball bung ziel neu regel jugendliche inhalt entwicklung jahr motorisch bedingung vorbemerkung bung_form methodisch konzept verein m glichkeit .71 .65 .67 .69 .65 .7 .7 .67 .67 .7 .67 .67 .7 .67 .68 .74 .65 .75 .75 .71 .65 .65 .67 .67 .67 .65 .65 .73 .67 .82 .69 .73 .73 2 4 6 8 Centrality: Coefficient: 0.65 0.70 0.75 0.80 Frequency: 40 80 120 160 ö Ü Ü ö ä Ü ß ä サブグラフ1 サブグラフ2 サブグラフ3 サブグラフ4 サブグラフ5 図2 ドイツの1988年から1992年における共起ネットワーク s s

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表1 分析対象資料の内訳 記事数 分析対象ページ数 1988-1992 22 67 1993-1997 45 96 1998-2002 51 111 2003-2007 47 88 2008-2012 13 32 2013-2018 68 123 合計 246 517

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表2 ドイツの1988年から1992年のサブグラフにおける引用文とその概念化 サブ グラフ 中心語 共起語 引用文 引用文の 概念化 ボールは「手の器の大きさ」でなければならない.=ボールは子どもの手に適してい なければならない. 初心者にステップシュートを習得させる際には,シュート時に子どもがしっかりと握 れるくらい小さなボールを使用させる. 子どもに提供されているボールは子どもの小さな手には適していないことが多いた め,ボールへ力を伝えることができない. 間違いを防ぐために,新しい連載「Handball-1x1」では,以下のことを決めた.そ れは,クラブには一番下のカテゴリーを指導するという難しい課題を担う「新人指導 者」がいるため,そのような指導者に対する現場で役立つ内容にした. ドイツハンドボール協会によってクラブでの実践が提案されたコンセプト「4+1での ミニハンドボール」が登場し,1989年には新しいシリーズ「ハンドボールハンドブッ ク」(ドイツハンドボール協会公式指導書)の第1巻(「子どもとのプレーや練 習」)が発刊された. 積極的に青少年の活動へ参加している全てのクラブおよび州協会の力がここに集らな ければならないでしょう.構造的な問題,競争思考,目標,そして学習内容は新しく 考えられなければならない. 重要なことは,ハンドボールの導入段階のために系統的なコンセプトを提供すること である. 試合で成功することや試合自体を目標としない,ゲーム能力を育成するための系統的 なコンセプト. 成人スポーツのような活動ではなく,年齢に応じて教授的・系統的に調整されたコン セプトが実践されなければならない. 育成年代においては,発達段階に適した練習内容を選択する必要がある. 練習内容および練習中の態度に関する上位目標は,青少年を生涯スポーツへ導くこと である. 何年も前に,ハンドボールを学びたい子どもたちに対する長期的なゲーム能力の育成 を目指した練習プログラムを指導者に提供した. コンセプトの目的は,U8からU12まで,何年にもわたって基本的なスキルと能力を 徐々に高めていくことであった.すなわち,試合での成功や試合自体は目標にしな い,ゲーム能力を育成することである. ドイツハンドボール協会による育成年代チームの発展に関する統計(1988年)では, 大きな減少傾向が見られる. 過去5年間で,育成年代のチーム数は2565に減少した. 1 子ども (Kind) ボール (Ball) 子どもに適した ボールの推奨 2 クラブ (Verein) 新しい (neu) クラブで実践 すべき新たな 学習内容の 提示 3 系統的な (methodish) コンセプト (Konzept) 系統的な コンセプトの 必要性 4 育成年代の• 青少年の (jugendlich) 内容 (Inhalt) 育成年代に 適した練習 内容 5 育成・発展 (Entwick-lung) 年 (Jahr) ゲーム能力の 長期的な育成 中心的テーマ:子ども特有のハンドボールに関する理念の提示

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表3 ドイツの1993年から1997年のサブグラフにおける引用文とその概念化 サブグ ラフ 中心語 共起語 引用文 引用文の 概念化 相手 プレーヤー (Gegner) ボールを保持した相手プレーヤーに対する1対1において,防御プレーヤーは相手プ レーヤーと自チームのゴールの間に立つ. 育成・発展 (Entwiclung)1対1状況における防御プレーを育成するための良い出発点となる. 個人の (individuell) 目標 (Ziel) 個人または協同的なプレーにおける認知的な目標は,事前に情報を把握することであ る. 練習における最初の部分(遊びの中でのウォーミングアップ)では,すべての子ど も,または少なくとも2人に1つはボールを持たせることが重要である. 「子ども向けの遊びの中での基礎学習」というテーマにおいて,「スポーツの土台の 養成」および「ハンドボールをプレーすることによって学ぶ」の2つのビデオ教材が 発売される. これらの指導者は子どもや青少年に対して遊び心のある発達を阻害する.後者はルー ルロボットになる. 基本的に防御では,アクティブかつ積極的な位置でプレーする. この議論は,積極的な防御に対する攻撃方法として理解されるべきである. 攻撃プレーヤーは,積極的な防御に対しては,ボールを受け取るために先に動かなけ ればならない. 1 1対1 (1 gegen 1) 1対1状況を 個人で解決 する防御能力の 育成 2 子ども (Kind) 遊びの中で (spielerisch) 遊びの中での 育成 3 防御 (Abwehr) 積極的な (offensiv) 積極的な防御と それに 対する攻撃 中心的テーマ:積極的な防御とそれに対する攻撃を遊びの中で練習させること

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表4 ドイツの1998年から2002年のサブグラフにおける引用文とその概念化 サブグ ラフ 中心語 共起語 引用文 引用文の 概念化 ボール保持者が積極的な防御に対して広いスペースを使えるように,他の攻撃プレー ヤーは防御プレーヤーを引きつけて味方にスペースを与える. 消極的な防御に対してはスペースが狭いため,ボール保持者はそれを明確に行うこと ができない. 攻撃 プレーヤー (Angreifer) パスした後の攻撃プレーヤーの動き方としては, 次のボール所有者のためにゴール 前のスペースを空けることが重要であるが,消極的な防御に対してはゴール前の狭い スペースでプレーすることになる. ボール保持者がゴールへの道も見つけなければならないことを意味している. 2×3対3ではゴールからゴールまでの長い道のりを避けられるため,技術的に優位なプ レーヤーの単独プレーが不可能になる.つまり,全てのプレーヤーが積極的にゲーム に関わることとなる. ボール保持者が本当にゴールへの道を模索していることを意味している. 様々な(大きさや種類の)ボールを使った活動も含まれる. 異なる球技,すなわち様々な(大きさや種類の)ボールを使用しなければならない. ボールを異なる高さ,異なる早さでドリブルする. 例として,「2×3対3」という試合形式を挙げる.この試合形式において,グループ・ チーム戦術はあまり有効ではないが,個人の戦術力を育成するためのゲームとして非 常に優れている. 試合に出場する人は全員,自分の能力を発揮すべきである. 広い空間,小さなユ ニット,強度の高い中でプレーすることは,初心者育成においても役立つ.「ラン ナー」がいない2×3対3では,非常に激しいゲーム局面と休息局面が交互に何度も繰り 返し起こる. 子どものハンドボールにおけるコンセプトは育成志向であり,その内容は個の育成で ある. 異なるポジションでの育成だけでなく,プレーヤーのタイプ(シューター,オールラ ウンダーなど)に基づく個の育成も含まれる. 個の育成という意味では,攻撃が数的有利のゲームは適していない! 2 道 (Weg) ゴール (Tor) ゴール方向へ ボールを運ぶ 意識 1 空間・ スペース (Raum) 防御 (Abwehr) 積極的または 消極的な防御 に対する攻撃 3 ボール (Ball) 異なる・ 様々な (unter-schiedlich) 様々な大きさや 種類の ボールを 用いた練習 4 2×3対3 (zweimal 3 gegen 3) 試合 (Wettkampf) 2×3対3での 試合形式の トレーニング 5 個人の (individuell) 育成 (Ausbildung) 個の育成 中心的テーマ:攻撃における個の育成

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表5 ドイツの2003年から2007年のサブグラフにおける引用文とその概念化 サブグ ラフ 中心語 共起語 引用文 引用文の 概念化 ドイツハンドボール協会一貫指導コンセプト2002-2007では, 積極的な防御を規定して いる. 2002-2007年版ドイツハンドボール協会一貫指導コンセプトでは,試合構造の変更 (積極的な防御)に加えて,試合運営に関する変更について示されている.そこでは 部分的に義務化(U8ではコートを横に区切った4+1でプレーされる)または推奨され ている. マンツー マン防御 (Mann-deckung) 2002-2005年版(原文ママ)ドイツハンドボール協会一貫指導コンセプトの中心的な テーマは,育成年代初期における新しい試合形式である.積極的な防御は特殊ではな く,将来の世代はマンツーマン防御の中でハンドボールを学ぶだろう. 育成 (Ausbildung) 器械体操や陸上競技は,ミニハンドボールにおいても重要な役割を担う.もちろん, 練習内容はドイツハンドボール協会一貫指導コンセプトのガイドラインに従うが,子 どものハンドボールでは,バルシューレに加えて,ゲーム形式の練習においてゲーム 能力(連携,ルールの理解,最初の戦術的原則,パフォーマンスおよびパフォーマン スの違い,試合)が育成されるべきである. 学習 (Schulung) 15年間にわたる,適切な指導者研修や正しい練習内容の推奨だけではうまくかなかっ た.つまり,学習,練習,試合は統一されていなければらない. 1 ドイツハンド ボール協会一 貫指導コンセ プト (DHB- Rahmentrai- ningskon-zeption) 積極的な (offensiv) 積極的な防御を 規定する ドイツハンド ボール協会 一貫指導 コンセプト 2 内容 (Inhalt) 育成方針の反省 と一貫指導 コンセプトの 確立 中心的テーマ:一貫指導体制の確立

参照

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