九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
現代住宅における接客空間要求に関する実証的研究
樋口, 栄作
https://doi.org/10.11501/3135209
出版情報:Kyushu University, 1997, 博士(工学), 論文博士 バージョン:
権利関係:
第4章 住要求のヒエラルキー構造における接客空間要求の位置
4.
1はじめに
本章の目的は、 住要求のヒエラルキー構造を描き直すと同時に、 その構造に おける接客空間要求の位置を明らかにすることである。
接客空間要求に関する調査研究は、 日本建築学会における住居計画論もしく は住様式論の関心が、 計画的住居、 特に公営住宅から民間独立住宅へ、 地方住 宅へと移った時点から多くなり、 特に、 青木正夫・竹下輝和他の「中流住宅の 平面構成に関する研究文1)Jは、 近代住居論注1)の再構築の必須要件として、 こ の接客空間要求の問題をとりあげ、注目された。その後、 この問題に関して、そ の他の意義あるいくつかの議論文2)�文5)が提出された。 このような状況の本質 が何であるかに対しいくつかの捉え方が可能であるが、 諸々の住要求相互の序 列的関係=住要求のヒエラルキー構造に対する描像注2 )のあいまい化として捉 えることができる。 したがって、 その構造を可能な限り正確に記述しておくこ とが、 この面での議論を進展させる上で必要である。
いくつかの研究報告が批判しているところは、 戦後の近代住居論が、 住要求 のヒエラルキー構造に対する描像を接客空間要求を過小評価して描き、 それを そのまま計画段階で規範化した結果、今日の矛盾が生じているという点である。
このことが、 接客空間または接客空間要求を研究する動機となっている。 しか し、 それらの多くは接客空間要求の問題をそれ自体単独で取り扱っており、 や やもすれば接客空間要求の過大評価になる危険がある。 接客空間要求を過小で も過大でもなく、 客観的に評価する必要がある。 接客空間要求は、 その有り無 しが問題なのではなく、要求の強さが問題であり、その強さの客観的把握は、接 客空間要求を住要求のヒエラルキー構造の中で位置づけてはじめて可能である。
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4. 2 住要求のヒエラルキー構造と実在的意味
本章で対象としている住要求は、 接客、 団らん、 夫婦就寝、 子供部屋などの 基本的な項目に関するものである。 それらの大半は、 接客行為と家族団らん行 為の分離要求といったような、行為・生活過程の状態に関するものであるが、椅 子式居間の要求とか、床の間付和室の要求とかの、 空間の要求も含めている。な ぜならば、 接客空間要求は、 行為としての接客をほかの行為から分離独立させ たいという意味の要求と同時に、 接客空間として文化的且つ歴史的に価値づけ された空間の要求も含んでいるからである。 具体的な内容は表4-3に示して いる。
次ぎに、 ヒエラルキー構造の定義と記述の方法について述べる。 ただし、 以 下明らかなように、 その定義は一つの手続きであって、 概念的なものではない ので、 そのような手続きから得られるヒエラルキー構造の実在的な意味につい ても述べる。
夫婦が寝ている同じ部屋に小学生の子供が寝ているという事実とか、 茶の間 と寝室とが兼用になっている事実とかを、ここでは居住状態と便宜的に称する。
これら居住状態それぞれに対する生活主体のもつ矛盾感や不充足感の大きさは 同じではない。 いま、 N個の居住状態{Ll, L2,・ ・ ・, L n}のなかの任 意のL i, L jにつき、 生活主体の矛盾感や不充足感の大きさの差を利用する など、 なんらかの手続きで不等号関係(L i
>
L jまたはL i<
L j )が得ら れたとすると、 これらを基に、 N個の居住状態全体としての序列的関係が得ら れる。 得られたものは矛盾感のヒエラルキー構造であるが、 これを住要求のヒ エラルキー構造と定義する。 潜在としての居住状態に対する矛盾感が顕在とし ての要求に強く関連している訳であるから、 矛盾感のヒエラルキー構造をもっ て住要求のヒエラルキー繕造とした。以上のような定義での住要求のヒエラルキー構造の実在的な意味について述 べる。
住要求あるいは住(価値)意識の研究においては、 主に類型的認識方法がと られてきた。 それは、 社会学あるいは心理学のパーソナリテイの性格類型に模
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して、 住要求と住意識を型として捉えようとするものである。 この方法に関し さまざまな議論ができるが、 本研究との関連で言うと、 住要求(住意識)の型 は、 個人の住要求の傾向を表現したものである。 ある住要求の型がある社会階 層つまり集団に特徴的であるといっても、 それは、 その集団に、 その型が多く 見い出せるということであって、 あくまで個人の住要求の型である。 これに対 して、 本章では、 LiとL jとの不等号関係を1人の住意識データから得てお らず、集団のデーターから得ているから住3)、個人の住要求のヒエラルキーの構 造ではなく、 その集団における住要求のヒエラルキー構造の平均像である。 本 章で描いた住要求のヒエラルキー構造は、 結果的に今日の住宅平面様式や居住 様式の特徴と強く関連している。 様式は個人の事実ではなく、 集団の事実であ るから、 このことからも、 平均像と言える。
LiとL jとの不等号関係をもとめる手続きは、 その基となる調査データの 制約によって違ってくる。 つぎの節で、 使用した調査データの概要を述べる。
4. 3 調査データの概要
使用したデータは、 表4-1に示すように二種類である。 調査Iの本章に関 係する部分の内容は、 表4-3に示すように、 設定した居住状態(LYl"-'
L Y
10)のそれぞれについて、それらが生じているか否かの事実を回答させ、
その事実に対する居住者の意識を4段階評定で回答させるものである。 この調 査Iのデータは、 そのまま直接、 構造化注4) に使用できる。 なお、 市職員を対 象としたのは、特定の団地・住宅地の場合よりも回答の信頼性、回収率の高さ、
流動層の少なさを期待したからである。 一方、 調査Eは本章のような構造化を 目的に企画された調査ではないが、 内容が多項目にわたっており、 居住水準を 判定し得るだけの住み方に関する情報を含み、 かつ、 部屋の広さなどを中心と した居住者の改善要求や要求室の種類などが含まれている。
構造化は、 調査サンプル(回答者)の6通りのグルーピングそれぞれに対し て行った。 そのグルーピングとは、 調査Iでは、 全サンプルでのグループ、年
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令区分による2グループ、 それに、 表3-2 (第3章掲載)に示すような主成 分分析の主成分得点に基づく、 都市化度の高い都市(福岡 春日 熊本 大牟 田の4都市)に属するサンプルグループ、 相対的に都市化度が低い都市(鳥栖 大川 津山 日田 八代 玉名 庄原の7都市)に属するサンプルグループ、
の計5グループで、 調査Eでは、サンプル(回答者)が、 3DK賃貸住宅居住 者という一つの住宅階層であるので、 一つのグループとして扱った。 各グルー プの長子年令分布、住宅規模の分布等の主なサンプル属性の分布は表4-2に 示している。 ただし、 年令区分での2グループのものは割愛した。
以上の主なサンプルグループについて住宅階層上の位置づけをすると、 調査
Iの都市化度の高い都市のサンプルグループのDKを含む平均室数は5. 6室 であり、床の間付和室所有率は76%で、椅子式居間所有率は50%である。調 査Iの都市化度の相対的に低い都市のサンプルグループの平均室数は6. 8室 で、 床の間付和室所有率は91%で、 椅子式居間所有率は48%である。 これ らを、 全国の建売住宅を対象として接客空間を論じた参考文献9)が指摘して いる、 全国平均室数が5室で、 床の間付和室所有率が85%という事実と比較 すると、 前者のサンプルグループの住宅像はこの建売住宅の平均像に相当し、
それぞれの都市域での中間的な住宅階層と思われる。後者のサンプルグループ では、 室数規模、 床の間付和室所有率とも前者を上回っており、 地元出身定着 層という性格も強く、 中間層をやや超える住宅階層であろうと思われる。 調査 Eのサンプルグループは、 地方中核都市公営賃貸住宅入居層である。 家族の成 長段階を表す長子年令からみると、 調査Eでは、 中学生を長子とする家族が7 割を占めるが、 調査Iの場合では、 回答者(既婚者)の年令が偏らないように 調査票を配布して調査したので、 長子年令の分布に偏りがない結果となった。
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表4-1 調査概要
調査|
調査名称 住宅と住生活についてのアンケート 調査時期 1 984年11月
調査対象 福岡 春日 熊本 倉敷 大分 大牟田 久留米 佐賀 鳥栖 大川 津山 日田 八代 玉名 庄原の各都市の市職員(既婚)
※各都市のプロフィールは表3-2に、
年令分布、 長子年令分布などの回答者属 性は、 表4-2に示す。
調査内容 居住状態 住意識 価値意識
調査方法 各機関に年令が偏らないよう配布依頼、 後 日回収(留置アンケート方式)
有効回答数 1 652票 (1 8 3 0票配布) 有効回答率
90%
調査11
調査名称 すみよい公共住宅を計画するための調査 調査時期 1 980年8月
調査対象 福岡県公営賃貸住宅入居者
※家族構成などは表4-2に示す。
調査内容 多項目にわたる。 本研究に関係する項目は 住み方 改善要求 要求室
調査方法 留置アンケート方式
有効回答数 2 1 1 9票(3DKで夫婦が揃っており 必要なデータに欠落がないもの)
有効回答率 3DK全体の有効回答数は2 9 6 4票で 有効回答率は82%
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表4-2 調査対象属性(長子年令、 住宅規模) 調査| 調査| 全体 調査| 調査i
1
5都市合計 4都市合計※2 7都市合計※3 回答者(既婚者 サンプル総数 サンプル総数 サンプル総数 年令分布 1652 612 636
2
0才代128 5 3 5 3
3
0才代550 205 225
4 0才代
617 233 249
5 0才代
349 117 109
6 0才代
8 4
。長子年令分布
夫婦のみ
132 5 8 4 2
長子0"-'2才
133 6 1 5 4
3"-'5才
158 6 2 6 0
6"-'8才
147 5 2 7 0
9"-'11才
166
54
74
12"-'14才
191 8 2 6 7
15"-'17才
199 7 4 7 7
1 8才以上
526 169 192
住宅規模分布(室数)※1
2 1 5 8 5
3 9 8 5 8 1 9
4 195 106 4 9
5 267 126 8 0
6 353 148 130
7 312 8 3 133
8"-'10 3 6 0 8 0
1 8 81 1 "-' 5 2 3 3 1
平均室数
6. 3 5. 6 6. 8
調査11 公営住宅3DK 家族型相対度数分布(%)単純家族・夫婦のみ 1
1.2
複合家族4. 2
単純家族・長子年令 欠損家族8. 2
0"-' 5才 3 4. 4
単身家族 1.2
6"-'
1 1才24. 8
12"-'
1 7才9. 9
1 8才以上
6. 1
※1 rDKを含む部屋数は」という質問による室数
※2 福岡 春日 熊本 大牟田
※3 鳥栖 大川 津山 日田 八代 玉名 庄原
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表4-3 調査Iの調査票例
11
01"'10の各々に、 例にならって回答して下さい。倒、 来客時、 家族が日常食噂する部屋で客とすごすことがありますか。 -
4段階評定 十一 1 不 2 可シー,,:5一→1←
-
4ι � �、Em�,こっLてどう 感 川すb� r
1抵抗を感じなL1
2 あまり低抗感じないi 哩炉
感川
4州に抵抗感じる)
ぼ.-/.、2�、いえ
ì
』もしそうなら,とう感� ,,,,,yじま�す�, u- ��9かま1 I
5気にならなL、^ . ._ , わない. 1I I 10少しこ.
6あまり気にならむ‘_ , . __ まる.
_ I I 117気になるこまる. _ I:
. _ ,.. 12非常にこまる8非常に気になる�j |
L一一感じてる気持に憲も近レ曾薫を1-12の中から1つ選んで下さい。一一」
(※) 回寄例は、 質問に該当し、 気持を表わす言葉としてr3、 抵抗を感じる」がビッタリする場合です。
o , 現在、 中学生以上の子供部屋が兄弟文は姉妹の兼用になっていますか。 LY1
o 2 夫婦が就寝する部屋に4"'6才の幼児が就寝していますか。 LY2
o 3 床の間付きの和室に夫婦が就寝していますか。 LY3
o 4 来客時、 夫婦が就寝する部屋で客とすごすことがありますか。 LY4
o 5 来客時、 家族が日常団らんする部屋で客とすごすことがありますか。 LY5
o 6 日頃よりかたづけて普段使用しないでおく部屋がありますか。 LY6
o 7 あなたの家に「床の間付和室Jがありますか。 LY7
o 8 あなたの家に「椅子式の居間(リビングルーム)Jがありますか。 LY8
o 9 収納部が不充分で家の中がかたづかないですか。 LY9
, 0 浴室、 洗濯場、 便所など狭く設備が不充分ですか。 LY10
表4-4 一対比較マトリックス(調査I全サンプル)
LY11 LY21 LY31 LY41 LY51 LY62 LY72 LY82 LY91 LY101
L Y11 10/9 14/5 18/11 40/22 27/24 9/7 26/17 35/103 23/66
4.3l (l5_6) L8_5l í141 will (lli) (8_4 LY21 9/9 10/20 33/48 17/35 9/14 24/24 16/147 14/86
(61) (270) (119) (52) (170) (181) (118) LY31 12/35 25/40 19/40
本木22/27 17/141 12/83
(117)
(239) (152) (146) (177) (120)
表の見方
LY41 70/55 55/51 23/25 52/38 49/164 42/107
i行j列において
(266) (180) (82) (181) (206) (152) N 1 i j /N J i j L Y51 90/131 35/39 115/96 92/602 86/356
N i j
の(538) (224) (692) (788) (549
N i jはLYimかつLYjmの
LY62 46/38 98/64 95/338 84/215
居住状態にある世帯数。 LYimを問題(190) (374) (434) (331)
視する意識程度がLYjmのそれより大きいかLY72 36/32 28/127 29/1
等しい事例数がNI j i, LYjmを問題視す(180) (165) (161)
る意識程度がLYimのそれより大きいか等しいLY82 65/393 56/250
例数がN
J
i j。 ただし、 意識程度を示す評定値(510) (373)
が2者とも2以下の場合、 カウントしない。LY91 374/293
mの値は1または2で、質問に対し肯定の場合lで、(483)
否定の場合2であり、 不充足状態となる方をとりあげている
ー65 -
4. 4 住要求のヒエラルキー構造における後客空間要求の位置
4. 4. 1 調査Iによる構造化と接客空間要求の位置
調査Iの全サンプル(1652)データから、 表4-4のように、 任意の一 対の居住状態についての不等号関係が得られる。 LYiとは、 表4-3の調査 票例の質問iの内容である。 LYimのmは、 m=lのとき質問LYiに対す る肯定(1はい)を、 m=2のとき否定(2いいえ)を表している。 この表4 -4の数値からヒエラルキー構造を読みとることができるが、 全体像がつかみ にくいので、 N 1 i jとN J i jとの比を、 LYimとLYjmとの距離とみ なした距離行列を作り、 それを多変量解析法の一つであるメトリックMDS (計量的多次元尺度法)で処理すると、図4-1のようなヒエラルキー構造図が
得られる。 この図は表4-4の数値的関係の全体を空間的に表現したものであ るが、 部分的に矛盾注5 )が見られるので、 矢印で上位下位の関係を示した。 矢 印の方向が上位である。 また、 同位の場合(N 1 i jとN J i jの比が1. 0 の場合)、 曲線で囲んでいる。
以上とまったく同じ手続きで、 都市類型化のための主成分分析での主成分得 点が高い、 したがって都市 化度が相対的に高いと解釈される4都市 (福岡 春 日 熊本 大牟田)の612サンプルを基に、 図4-2を作成。 また、 主成分 得点がマイナス(-)の、 したがって都市化度が相対的に低いと解釈される7 都市(鳥栖 大川 津山 日田 八代 玉名 庄原)の636サンプルを基に、
図4-3を作成した。 これらは、 地域性という軸で分析するためである。 さら に、 世代性という軸で分析するために、 全サンプルを便宜的に45才以下と4 6才以上との二つの年令グループに分け、 前者に対応して図4-4を、 後者に 対応して図4-5を作成した。 なお、 全サンプルの場合のように、 一対比較マ トリックス表は掲載していない。 各図中の記号Liの意味が分かりづらいの
で、 各図の下に居住状態L1"-'L10を示している。 LiがLjより上位であ るとは、 Liの状態の改善要求がL jの状態のそれより強いことを意味する。
図4-1の全サンプルでの場合でみると、 L9収納部要求、 L1 0設備要求
-66 -
が最も上位にあり、 L 1子供部屋要求がその次ぎに位置し、 L2夫婦と幼児同 室就寝の解消要求、 L3床の間付和室夫婦就寝の解消要求が最も下位にあるこ とが分かる。 接客空間要求に関連するものは、 L6かたづいた部屋要求、 L7 床の間付和室要求、 L8椅子式居間住6)要求で、 間接的に関連するものは、 L 5団らんの場と接客の場の重複の解消要求、 L4夫婦寝室と接客の場の重複の 解消要求であるが、 これらは子供部屋要求に続いて、 (L 4, L 6, L 7) >
L5>L8の序列になっている。
図4-2と図4-3との比較で地域差を見ると、 地域差は、 L2夫婦と幼児 同室就寝の解消要求の構造全体での位置、 L7とL8の序列関係に見られる。
都市類型化主成分得点の高い4つの都市のサンプルグループの方が主成分得点 の低い7つの都市のサンプルグループよりも、 L2夫婦と幼児同室就寝の解消 要求の全体での位置と、 L8椅子式居間要求のL7床の間付和室要求に対する 位置が高い。 両グループは回答者年令分布、長子年令分布ともほぼ同じなので、
かなりの確からしさで言える。 L6かたづいた部屋要求の位置は両グルーフと も変わらず、 子供部屋要求の次ぎに位置している。 なお、 L5団らんの場と接 客の場の重複の解消要求は両グループとも低い位置にあることが分かる。
図4-4と図4-5とを比較して世代的な差異を見ると、 差異は、 L6、 L 7, L 8の相互の序列関係に見られ、 45才以下では、 L6>L8>L7の序 列関係であるのが、46才以上ではL7>L6>L8の序列関係になっている。
上の世代ほど床の間付和室の要求が強いといえる。 L2の位置にも世代差が見 られるが、 地域比較の場合ほどはっきりとした差は見られない。。
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ー・・ーーー-ーーーー孟ニ孟二三ーーーーーーー・ーー・ー --- ---ーーーー・・ーーー・--ーー・ーーー・ー・ーーー・ーーーーーーー---・ーーーー-ーー-ーーーーーーーーー-ーーーー・・・・ーーーー・・・ーーーー・・・・・・ーー・ー・・・・・ーーーー・
X = 1 Y = 3
全サンプル 1 652 今OVA'A?AYA,A'AVA,A,A'A'A,A
I
本*窓 TORGERSON'S METRIC MDS 念念*
---ーーーーーーーーー一 ・ーー・ーーーーーーーー・・ーー-ーーーーー---ーーーーー・・ーーーーー-ーーーーーー-ーーーーーーーー- ---ーーーー・・・ーーー・・・ーー・・ーー・ーー,ー・ーーーーーー・・・・・ー・・ーーーー
図4-1 ヒエラルキー構造1 (調査I全サンプルの場合)
L
1中学生以上の子供部屋が兄弟又は姉妹の兼用になっている。
L2 夫婦が就寝する部屋に4�6才の幼児が就寝している。
L3 床の間付の和室に夫婦が就寝している。
L4
来客時、 夫婦が就寝する部屋で客とすごすことがある。L
5 来客時、家族が日常団らんする部屋で客とすごすことがある。
L6 日頃よりかたづけて普段使用しないでおく部屋がない。
L7 床の間付和室がない。
L8 椅子式居間(リビングルーム)がない。
L9 収納部が不十分で家の中がかたづかない。
L 10浴室、 洗濯場、 便所など狭く設備が不十分である。
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ーーーーーーーーーーーーーーーー.
ーーーーーー・・ーーー・ー・ー・・ーーーーーーーーーー ー
===:=:===�========�============ーーーーーーー・ーー-ーーーー・・4・ーーーーーーーー ーーーーーーーーー
X = 1 Y = 2
都市類型化主成分得点上位1イ立 の4都市(福岡 春日 大牟田 熊本市)サンプル総数 6 12
VAYA'A守AYAVAVA?AマATAVAVAVAVAVA
L t 0
念窓** TORGERSON'S METRIC MDS 念本本*
ーーーー白ーーーーーー一ーーーーー一一一ー・・ーー・・ーーーー -- 竺 ー ==========================ま========================
図4-2 ヒエラルキー構造2 (調査I主成分得点上位4都 市合計での場合)
L
1 中学生以上の子供部屋が兄弟又は姉妹の兼用になっている。L2 夫婦が就寝する部屋に4""6才の幼児が就寝している。
L 3 床の間付の和室に夫婦が就寝している。
L4 来客時、 夫婦が就寝する部屋で客とすごすことがある。
L 5 来客時、家族が日常団らんする部屋で客とすごすことがある。
L6 日頃よりかたづけて普段使用しないでおく部屋がない。
L7 床の間付和室がない。
L8 椅子式居間(リビングルーム)がない。
L9
収納部が不十分で家の中がかたづかない。L 10浴室、 洗濯場、 便所など狭く設備が不十分である。
ー6 9 -
ーーーーー・ーーーー-ーーーーーー・ー---ーー・=
ーーーー・---ーーーーーーーーーー・・・ーー-'・ーー・ーーーーーー・ー・・ーーーー, ーーーー ーー・・・ー・ーーーーーーー-ーー ーーーーーーーー---ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー-ーーーー- ー
X = 1 Y = 3
3 1
都市類型化主成分得点(一) の7都市サンプル総数636
**家本 METRIC MDS 念念念念
ー---ーーーーーーーーーーー・ー・ーーーーー"ー======::
ーーーーーーーーー---ーーーーーーーーー・ー=========ーー---ーーーーーーーーーーーーーーーー-ー-ーーーー ーーーーーーーーーーーーーーーー-ーーーーー・・ーーー
図4-3 ヒエラルキー構造3 (調査I主成分得点マイナス 7都市合計での場合)
L
1中学生以上の子供部屋が兄弟又は姉妹の兼用になっている。
L2 夫婦が就寝する部屋に4"-'6才の幼児が就寝している。
L
3床の間付の和室に夫婦が就寝している。
L4 来客時、 夫婦が就寝する部屋で客とすごすことがある。
L
5来客時、家族が日常団らんする部屋で客とすごすことがある。
L6 日頃よりかたづけて普段使用しないでおく部屋がない。
L7 床の間付和室がない。
L8 椅子式居間(リビングルーム)がない。
L9 収納部が不十分で家の中がかたづかない。
L 10浴室、 洗濯場、
便所など狭く設備が不十分である。ー7 0-
ー--・ーー一一ーー一一一一一 一一
ー--一_.,;;. ;;.五二三二��=====================================================
X = 1 Y = 3
年令2 0才代...,45才 サンプル数 1 0 6 4
---vlu
内‘u'a.,aa,ES'a.,E.. ,EAT--,Ea.,,‘,,‘,E&,a.,a-VEゐ,,‘,EA
qh L
**怠* TORGERSON'S METRIC MDS ***念
ーーーーーー・・ー・・・・ー-ーーーー・ーーー---ー-- --・・・・・e・・ーー・・・ーーーーー・ー・ーーーーーーーーー・ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー-ー-ーー-ーーーーーーー-ーーーーーーーーーーーーーー-ーー-ー-ーーーー-ーー
図4-4 ヒエラルキー構造4 (調査I年令2 0才代~
4 5才のサンプルでの場合)
L
1中学生以上の子供部屋が兄弟又は姉妹の兼用になっている。
L2 夫婦が就寝する部屋に4'"'-'6才の幼児が就寝している。
L
3床の間付の和室に夫婦が就寝している。
L4 来客時、 夫婦が就寝する部屋で客とすごすことがある。
L
5来客時、家族が日常団らんする部屋で客とすごすことがある。
L6 日頃よりかたづけて普段使用しないでおく部屋がない。
L7 床の間付和室がない。
L8
椅子式居間(リビングルーム)がない。L9 収納部が不十分で家の中がかたづかない。
L 10浴室、 洗濯場、 便所など狭く設備が不十分である。
ー71 -
ー-ーー一一ーーーー・ーーーーーー・・
一一一一一ーーーーーー・ーー一一一一 て二二ι一一一ーーーーーーー 一一一一ー一一一ーーーー・・ーー一一一一ーて一一一ーーーーーーーーーー一一一一一一一ーー ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー一一一二 一ー
一ーーーーーー・ーーーー一ー一一一 ーーーーーーーーーーーーーーーー・・ー'ーーーーーーーー・ーーーー
x = 1 Y = 3
年令4 6才..._, 6 0才代 サンプル数 588
本志掌* TORGERSON'S METRIC MDS 念念念*
I
一一一一一一一一一ーーーーーーーーーーー 一 一一一一ーーーーーーーーーーー-ー・・・ーーー・ーーー ���==�===============�;�;孟ーーーー---ー
=== ======::;ニーー・ーーーーーーーーーーーー-ーーーー一一一一
図4-5 ヒエラルキー構造5 (調査I年令4 6才"-'60才 代のサンプルでの場合)
L
1中学生以上の子供部屋が兄弟又は姉妹の兼用になっている。
L 2 夫婦が就寝する部屋に4""'6才の幼児が就寝している。
L3
床の間付の和室に夫婦が就寝している。L4
来客時、 夫婦が就寝する部屋で客とすごすことがある。L 5
来客時、家族が日常団らんする部屋で客とすごすことがある。L6 日頃よりかたづけて普段使用しないでおく部屋がない。
L7
床の間付和室がない。L8
精子式居間(リビングルーム)がない。L9 収納部が不十分で家の中がかたづかない。
L 10浴室、 洗濯場、 便所など狭く設備が不十分である。
ー72 -
4. 4. 2 調査日による構造化と接客空間要求の位置
調査Hのデータの形式は、 調査|のそれとは違っているので、次のような構 造化の方法をとる。
構造化対象は、 団らん室(居間)確保要求、 子供部屋要求、 夫婦寝室独立要 求、 接客室要求、 の4項目とする。 そして、 これら4つの要求の発生の基継と して、 4つの居住状態を設定する。 すなわち、 状態1として団らん室不確保状 態、 状態2として子供部屋の不充足状態、 状態3として夫婦専用寝室不確保状 態、 状態4として接客室不確保状態である。 これらの状態が実際に生じている かどうかの判別は、 表4-6に示すがごとく、 平均居住水準と最低居住水準の クリアー判定に使われている1 7のアイテムに基づいて、 表4-6のように行 う。 例えば、 状態1は、 LCBR: :茶の間と主寝室 (夫婦寝室) 重複、 LKB R:茶の間と子供寝室重複、 LWOR:茶の間と子供の勉強部屋重複のいずれか に該当していれば、 状態1が生じていると判断する。 3DKという小規模住宅 であれば、一つの世帯のうちに二つ以上の状態が生じていることが期待される白
要求iと要求jとの不等号関係は、 対応する状態iと状態jが同時に生じて いる条件下で、 要求iに関係がある室要求と、 要求jに関係がある室要求との いずれの室要求が多く指摘されるかで決める。指摘が多い方が要求iならば要 求i>要求jとなるロ
以上述べた手続きを経て、 表4-5の一対比較マトリックス表が得られる。
そして、 (4. 4. 1)で、行ったような、 距離行列化、 多次元尺度構成法による 処理によって、 図4-6のヒエラルキー構造を得る。 それらによると、 ヒエラ ルキーの上位から、 子供部屋要求>接客室要求>夫婦寝室独立要求>団らん室 (居間)確保要求、 という序列になっていることが分かる。団らん室不確保状態 にあっても、団らん室注7)確保要求よりも接客室注8 )確保要求の方が強く出てい るのが注目される。 これは、 最低居住水準に対応した3DKにおいて寝室とし て計画されているある部屋を団らん室(居間)として使用している状況下で、居 間二団らん室があくまで家族の団らんの場である限りにおいて他の家族的用途 と重複していても団らん室が不確保とは意識されていなくて、 この団らん室=
居間を接客の観点からみると、 接客室の不確保として意識されて接客室要求の
- 73 -
方が強く顕れたと解釈されるが、 本章のデータだけでは、 そのような解釈に十 分な根拠を与えることはできない。
居住水準の判定基準をベースにして、 上述のような作業を行った理由は、 あ る世帯の改善要求がその世帯の現在の居住水準を、 例えば、 最低居住水準以下 から最低居住水準へ、 更に平均居住水準へと引き上げる方向へ要求されている かをも明らかにするためである。 現在までの、 住み方に関する居住水準は、 食 寝分離、就寝分離(夫婦寝室の確保、 個の尊重、プライバシイーの実現)、 居間 の確保を目標にして設定されたものである。 当然その背景には、 接客空間要求 を極めて低く評価した、 住要求の構造、 改善要求の方向が観念されている。 そ こで、 居住者の改善要求が現在の居住水準をどの方向に引き上げるよう要求さ れているかを見るために作成したのが、 表4-7である。
3DK居住世帯2 1 1
9のうち、 現在最低居住水準以下で、あるものは
13
14世帯で、そのうち、改善要求から推定される<仮想の改善後の居住水準>注9) が、 最低居住水準以下そのままにとどまるものは77%で、 最低居住水準に達 するのが
16%で、平均居住水準まで向上するのは7%である。また、現在、最 低居住水準にあるものは805世帯で、 そのうち<仮想の改善後の居住水準>
が最低居住水準そのままにとどまるものは93%である。
以上のように改善要求の方向は、 最低居住水準以下から最低居住水準へ、 更 に平均居住水準へと向かう方向から逸れている。 このような結果になるのは、
調査方法、 推定方法に議論の余地があるものの、 その最大の理由は、 子供部屋 要求、 接客室要求が上位に位置する住要求のヒエラルキー構造にあると考えら れる。現行居住水準の見直しが一部の研究者注1 0)で言われているが、接客空間 要求を組み込んだ新しい住要求のモデル化と、 それに基づく新たな居住水準の
設定が求められていると言える。
一74-
表4-5 一対比較マトリックス(調査II)
子供部屋 夫婦寝室 接客室 {状態2 } {状態3 } {状態4 } 団らん室 {状態1 }
27/130 60/107 69/158
子供部屋 {状態2 }265/92 289/168
夫婦寝室 (状態3 }
154/236
表の見方 左上 27/130とは、居住状態が状態lかつ状態2である 場合に、団らん室要求の世帯数が27、子供室要求の世帯数が
状態1 状態2 状態3 状態4
130であることを示す。
団らん専用の部屋(居間)が確保されていない状態 子供部屋が不充足の状態
夫婦専用の寝室が確保されていない状態
客間応接室がなく接客室が確保されていない状態
-ーーーー・・・ーー・・ーーーーーー���������=�======�=:=s==== =c・・・ーー・ーー::=:::::::=::::
ーー ーーーーー-ー-ー-ー・・・・・・・--ーー-ーー-ーー・・・・・ー・・・・ ー・ー-・ ------
X = 1 Y = 2
接客室要求
。。!
団らん室(居間)要求 子供部屋要求---ど けうトミー… アどー 1
i-夫婦寝室要求
**本 TORGERSON'S METRIC MDS 本*本
===================================================================
図4-6 ヒエラルキー構造6 (調査II)
ー75 -
記 号
BUNR CKK
CK孟6 CK孟4HKK
HK孟6 HKと4MB<6 MB<8 KKK
SB<4 LKBR LCBR NP18 NP15 LWOR SEXC
表4-6 居住状態判別表
意 味
:夫婦が分離就寝
:夫婦と二人以上の子供が同室就寝
:夫婦と満6歳以上の子供が同室就寝 :夫婦と満4歳以上の子供が同室就寝 :片方の親と一人以上の子供が同室就寝 :片方の親と6歳以上の子供が同室就寝 :片方の親と4歳以上の子供が同室就寝 :主寝室(夫婦寝室)が6畳未満 :主寝室(夫婦寝室)が8畳未満
:ニ人以上の子供が同室就寝:品IJ寝室が4. 5畳未満 :茶の間と子供寝室重複
:茶の間と主寝室(夫婦寝室)重複 : 1
8歳以上の子供が個室でない: 1
5歳以上の子供が個室でない:茶の間と子供の勉強部屋重複 : 1
2歳以上の異性が同室就寝状 態
。
。
。
状態1 団らん専用の部屋(居間)が確保されていない状態 状態2 子供部屋が不充足の状態
状態3 夫婦専用の寝室が確保されていない状態
状態4 客間応媛室がなく媛客室が確保されていない状態
状 状 態 態
2 3
。
。 。
。 。
。 。
。
。
。
。
。
。
。
。
注1)3 DKでは原則として接客室は確保されていないと 見なす
表4-7 居住水準と改善要求
現・居住水準 改善要求から推定した居住水準
状 態
4
注1
最低居住水準以下 最低居住水準平均居住水準 最以低下居住水準
1314 1014 204 96
要 接客室269 240 28
求 夫婦寝室
146 72 60 14
室 子団供部屋422 275 141 6
らん室
65 58 7 。
最低居住水準
805 754 51
要 接客室
137
求 夫婦寝室
64 。
室 子供部屋
160 。
団らん室
44 。
注)現・居住水準で、平均居住水準が成立しない理由は、 調査対象の3DKで 主寝室8畳の条件を満たすものがないためである。
ー76 -
4. 5
結論住要求のヒエラルキー構造を定義し、福岡市を含む西日本の1 5の都市の市 職員を対象とした、 居住状態と意識の 調査(調査1 )と、 福岡県の公営3DK 入居者を対象とした住み方と意識の 調査(調査II)をもとに、 住要求のヒエラ ルキー構造を記述することができた。それをもとに接客空間要求の位置を分析 したところ、 つぎのような知見が得られた。
( 1 )調査iで、都市化度の高い都市のサンフルグルーフでの場合と、相対的 に都市化度が低い都市のサンプルグルーフでの場合の差異は、椅子式居 間要求と床の間付和室要求の序列関係であり、椅子式居間要求の序列が 上になるのは、 都市化度が高い都市のサンプルグループである。
年令の低い(4 5才以下)サンプルグループと年令の高い(4 6才以 上)サンプルグループとの差異は、 椅子式居間要求と床の間付和室要求 の序列関係であり、 床の間付和室要求の序列が上になるのは、年令が高 い都市のサンプルグループである。
全体的に見ると、接客を念頭に置いた日頃片付けて普段使用しないで おく部屋の要求は、子供部屋要求についで上位にあり、団らんの場と接 客の場の重複の解消要求は、夫婦と幼児の同室就寝の解消要求と共に低 い位置にある。 夫婦寝室と接客の場の重複の解消の要求は団らんの場と 接客の場の重複の解消要求よりも上位に位置する。
( 2 )調査Eで、3DK居住者を1サンプルグループとして、ヒエラルキー構
造を記述したところ、子供部屋要求>接客室要求>夫婦寝室独立確保要 求>団らん室確保要求、 の序列になった。このグループの、居住状態の改善要求の方向は、 最低居住水準から平 均居住水準へという方向から逸れており、これに与える接客室要求の影 響は大きいと考えられる。
ー77 -
第4章 参考文献及び注
参考文献
1 )青木正夫・竹下輝和他:中流住宅の平面繕成に関する研究(第1報) � (第2 報)、 日本建築学会大会学術講演梗概集、 1982年10月
2)黒田友子・重村力他:非日常生活行為としての儀礼・行事について、 住宅計画 における公室空間の意味目的についての計画論的考察その2 、日本建築学会大 会学術講演梗概集、 1984年10月
3
)小津紀美子・野村緑子:住居観と住生活の実態、に関する研究、日本建築学会大
会学術講演梗概集、 1984年10月4)和田一郎他:住居における客間のあり方に関する 調査、 日本建築学会大会学術 講演梗概集、 1984年10月
5 )江上 徹:集合住宅に於ける 接客の場について、 日本建築学会大会学術講演梗 概集E、 1986年8月
6 )斎藤尭幸;多次元尺度構成法、 朝倉書店、 1980年
7 )林知己夫・飽戸弘:多次元尺度解析法、
ーその有効性と問題点一、 サイエンス
社、 1976年8 )林知己夫:多次元尺度解析法の実際、 サイエンス社、 1984年
9 )岡俊江・青木正夫・竹下輝和他:接客空間と団らん空間を指標とする類型 化と 平面構成の考察、 日本建築学会計画系論文報告集、 No.383,1988年1月
注
1 ) 近代住居理論また は近代住居論という言葉を使用している 文献には、参考文献 1 )がある。 文献2) では、 近代住居論とは言っていないが、 それ に近い 意味 で、 nLDK論という言葉を使用している。いずれ も用語の概念規定をしてい ないが、 就寝分離要求、 食寝分離要求を規範化し 、 さ ら に、 団らん室=居間
確保要求を規範化して、寝室+LDK型(n LDK型) を規範とする 住居の計 画論ということを観念している。
2 ) 計画の段階、 規範化以前に、 日常経験的に、 ある い は調査によって形成されて いる客観的存在に対する 観念であるが、規範化の作用を部分的に受けて、ある べき姿として観念されていることもある。
3 )回答数、 回答率などから導いている。
4) 構造を定義したうえで、 対象を構造として記述すること。
5 )本来、 3次元以上の多次元空間上で表現しなければならない 関係を、2次元で 表現していること、一対比較マトリックスの数値上の序列関係に一部矛盾(エ ラーではない) がみられることが原因である。
ー78 -
6 )床の間付和室は無論のこと、椅子式居間が接客空間要求に関係あることは、 第 5章で明らかである。
7 )調査票では、 団らん専用の部屋(居間)、 となっている。
8 )調査票では、 客間(応接室、 座敷)、 となっている。
9) 居住者が示した改善要求の内容から、 ある規則にしたがって、 表4-6の居住 水準判定にかかわる1 7アイテムのいずれかを消去(クリアーしたと見なし) 後、 あらためて判定した居住水準。 (消去 規則の例、 子供部屋要求の時、
CKK, CKミ6、・・・、 NP18、 NP15、 SEXCなどが消される) 10 )仲江肇・青木正夫・竹下輝和他:公的賃貸住宅における最低居住水準の見か
けの達成率と実質達成率について、 日本建築学会大会学術講演梗概集F (公的賃貸住宅3DKでは、 居住家族員を操作的に基準どおり適当な部屋に割
り当てて判定した場合の見かけ上の最低居住水準達成率は高いが、実際の住み 方での最低居住水準達成率は低いと指摘しており、居住水準策定の前提となっ ているモデルを見直すべきではないのかという問題提起をしている。)
ー79 -
第5章 四つの価値次元から見た接客性空間への価値づけの地域差及び世代差
5.
1はじめに
本章は、 第1章の住要求の構造と接客空間要求の構造の仮説にもとづき、 住 要求の基本的構成因子であると考えられる機能性一象徴性因子と、対社会性一 個人性因子とで導き出される四つの価値づけの次元を設定し、 接客空間要求の 具体的な対象である床の間付和室と椅子式居間への人々の価値づけの構造を、
地域と世代というこつの分析軸を設けて分析することで、 これら接客性空間の 存在の意味、 意味の変容を明らかにすることを目的としている。 なお、 床の間 付和室と椅子式居間は必ずしも接客空間ではないが、 接客可能性をもつものと して接客性空間と称している。
近年の接客空間をめぐる議論の発端であり、 かつ、 接客空間要求を住居計画 論のなかで肯定的に評価する根拠となっているものは、 独立住宅の住宅平面実 態である。 その点で重要な住宅平面実態調査として、 まず最初にあげられるべ きものは、服部写生の「平面類型からみた住様式の動向に関する研究」文1)とし てまとめられている住宅平面実態調査である。 これはまさに、 住様式論と住居 計画論での接客空間をめぐる議論の発端になった。 つぎにあげるべきものは、
岡俊江、 竹下輝和等の「接客空間と団らん空間を指標とする類型化と平面構成 の考察」 文2) としてまとめられている大規模な住宅平面実態調査である。 これ は、 住宅平面の変容に関する仮説にもとづいた独立住宅平面の類型方法を提示 した点と、信頼できる大量の住宅平面サンプルを集計し現代独立住宅の主要な 型を確定してみせた点とで高く評価される。 また、 更に、 森本信明の「延床面 積と生産タイプ別に見たLDKと床の間付和室の構成」文3)としてまとめられて いる住宅金融公庫融資住宅の住宅平面実態調査がある。 これは、 データ数の多 さと、 都市化度に相関すると解釈される生産タイプ別の平面構成の特徴を示す
ー80 -
ことで、 都市化による住宅平面構成の変容に関する基礎認識を与えたこととで 注目される。 また、 本研究では、 第l章で独立住宅の公室空間の分節パターン の実態という視点で一つの平面実態を明らかにした。
以上のように、 信頼すべきいくつかの住宅平面実態調査によって、 住宅計画 論と住様式論において、 現代の独立住宅平面の全国的な平均像や地域的な差異 のイメージは固まりつつあり、 わが国の住宅平面様式を 論じる基礎は固まりつ つあると考えられる。
ところで、 住様式論には、 住宅平面実態という基礎的な情報が最初に必要で あるが、 それらでもって、 住宅平面様式もしくは典型平面といったものを特定 するに留まってよいはずはなく、更に、特定された住宅平面様式、 典型平面、 そ の構成要素の存在の意味や意味の変容が論じられなければならない。 確かに、
それらの意味の解釈はなされているが、それらは概ね、住宅平面と生活との、住 宅平面と住要求との関係に関する既存の常識的な知見に基づいたものであり、
続き間座敷、 床の間付和室が有れば、 接客空間要求があり、 といった単純な解 釈が少なからず見られる。 床の間付和室要求とは今日どういう要求なのかと いったことが、 あらためて問われなければならない。
住様式論的な議論、 すなわち、 住宅平面様式の存在の意味や変容に関する議 論を進めるためには、住宅平面実態分析とは別の道具建てが必要と考えられる。
その中で重要なものの一つに、 既に少なからず行われてきた、 住み方に関する 法則的な認識を得るための、 いわゆる住み方 (使われ方) 調査がある。 これに よって、特定の空間の必要・不必要、 空間と空間の特定の関係性(空間構成)の 必要・不必要が理解され、 そこから、 住宅平面様式やその構成要素の必要・不 必要が理解され、 それらの存在が根拠づけられたり、 変容が予測されることが 期待される。 特に、 フィジカルなものとしての住宅平面の変容が明らかでない 段階で、 住み方の変容が捉えられることで、 将来の平面の変容を予測する重要 な知見を得る可能性が、住宅平面実態調査にない住み方調査の有効性であろう。
しかしながら、 住み方とは、 あくまで機能的なことがらであり、 様式化された 空間や住宅平面様式は、 必ずしも機能的な必要性からのみ要求あるいは欲求さ れているとは限らない。 このことに関しては、 第l章で既に論じた。 また、 機 能的な側面に限定しても一義的な必要性から要求されているとは限らない。 空
- 81 -
聞を価値体現物と見なすとき、 これを受容する人々の価値づけは、 多元的 (多 義的)であり、個人や年令階層、 地域によって少しずつ違った価値づけのもと にあると考えられる。 このようなことは、 本来、 機能的なことがらに属する住 み方・使われ方調査では捉え難いことである。 ここに、空間への多元的な価値 づけの構造を調査分析する意義がある。
つぎに、 椅子式居間と床の間付和室を特にとりあげて、 対比的に分析する理 由を述べる。
先にあげた岡俊江等の論文によれば、1階が椅子式居間(リビングルーム)と 床の間付和室とDKで構成されている住宅は、 調査サンプル全体の2/3以上 を占め、 また、 先にあげた森本信明の論文によれば、 調査サンプル全体の8
0
%が床の間付和室を有しており、 椅子式居間と床の間付和室とは、 現代独立住 宅平面の重要な構成要素である。 これが第一の理由である。 椅子式居間を団ら ん空間、床の間付和室を接客空間と言った一義的なあるいは割りd切った解釈か ら、 床の間付和室、 更に、 続き間座敷の存在をもって接客空間要求の証左とす る研究がみられるが、次節の床の間付和室と椅子式居間の価値構造で示すごと く椅子式居間も接客空間である。 また、 森本信明は先にあげた論文で、 床の間 付和室は接客空間といった一義的な定義ではなく、接客可能性を確保するため の空間と規定する一方、 椅子式居間も接客可能性を確保する空間としている。
また、 接客領域の拠点が、 床の間付和室からリビングルーム (椅子式居間)に 移行しつつあることは、江上徹が多くの住み方調査文4 )で示したところである。
つまり、 これらの点から、 続き間座敷や床の間付和室を有する平面が減少した からといって必ずしも接客空間要求の後退を意味しない。
更に、 後に本章の分析で明らかにするごとく、 家の格式性を床の間付和室より も椅子式居間におく階層の存在が示唆されるのである。 このように、 フィジカ ルな空間(平面)の変容が表面化しなくても、 それらの意味や価値は変容しつ つあり、 まさに、 椅子式居間と床の間付和室の価値づけられ方の構造と変容を 対比的に分析することは、現代の住様式の変容を解明する一つの大きな手がか りになると考えられる。 以上の二点が、 両空間をとりあげ対比的に分析する理 由である。
- 82 -
5. 2 研究の方法と調査概要
5. 2. 1 四つの価値の次元と価値づけ項目の設定
研究は、 アンケート調査によって、 椅子式居間と床の間付和室それぞれにつ き、 価値づけ項目ごとに回答者の評定を得て、 それを統計的に分析するという 方法をとっている。
価値づけ項目として、 図5
-
1中に示す1 5項目を設定した。 図中に示して いるのは項目名ではなく、 アンケート調査の質問において実際に使用した表現 で示している。 接客性空間への価値づ、けは、 評定者によって異なるはずで、 し たがって、 設けるべき価値づけ項目は様々多くの項目が考えられたが、 あまり 多く設けると回答者にとって煩雑であり、それによって回答データの信頼性が 低下する可能性があるので、 敢えて簡単な表現の15項目に絞った。 これら1 5の価値づけ項目は、第1章の住要求の構造と接客空間要求の構造の仮説にも とづき、 住要求の基本的構成因子であると考えられる機能性-象徴性因子と、対社会性一個人性因子とで導き出される四つの価値づけの次元、
1 . 対社会的機能的価値、 11. 対社会的象徴的価値、
111. 個人的象徴的価値、
IV. 個人的機能的価値、の何れかに位置づけられる。ここに、対社会に 対して個人を設定しているが、対 社会 (ソト) に対して家族 (ウチ) も考えられるので、 個人的は「家族内的」、
「家族的」の意味も含むことにしている。 これら四つの価値づけの次元は、社会 学者の見田宗介の価値意識の理論 文5)における価値意識の類型軸や、 同理論に 依拠した中島喜代子等の論文「住居観に関する実証的研究」文6 )での住居観型の 仮説と矛盾せず、 しかも、 それらよりも基本的な概念である。
価値づけ項目は、結局、言葉で表現せざるを得ないため、回答者(評定者)に よっては、 本研究の位置づけとは違った次元に意味づけされる可能性がある。
例えば、í1 5. 家らしい家であるために」の<家らしさ>とは、象徴性に属す る事柄であるが、 それが回答者個人の成長過程、 特に幼児期の「家」の体験に もとづく一つの感情なのか、それとも家についての外的な社会的規範が内面化
- 83 -
N. 個人的・家族的機能的価値 5. 家族がのびのびできるために
6. ゆったりとくつろげるために
7. 育児がやりやすいために
8. 家事がやりやすいために
1 1 .家族の節句・祝いごとのやり 方にとって
機能性
1 3.趣味・稽古ごとができるために
個人性
3. 落ちついた気持ちになれる ために
4. 安心した気持ちになれるために
1 2. 家を美しく整えるために
1 4. 我が家という実感がもてる ために
1 5. 家らしい家であるために
皿. 個人的象徴的価値
象徴性
1. 対社会的機能的価値 9. あなたの来客のもてなし)J
にとって
l O. あなたの余・正月のむかえ 方にとって
1 1. 家族の節句・例いごとのやり }jにとって
対社会性
1. 社会的に立派な家であるために
2. 位間並・標準的な家であるた めに
1 5. 家らしい家であるために
n. 対社会的象徴的価値
図5 -1 四つの価値の次元と1 5 の価値づけ項目
した結果の感情なのかは、 回答者によって異なると考えられ、 対社会的象徴的 価値、 個人的象徴的価値のいずれの次元にも位置づけられる。 この例のような 場合は、 二つの次元にまたがって位置づけておき、 データ処理の結果の出方で 解釈し直すことにした。
- 84 -
表5 - 1 調査票及び回答例
III
01 あなたは、 次の1---15の項目について、 「床の間付和室」の必要性をどのぐらい感じます か。 1"-'5の番号の適当なものにO印をして下さい。
1 . 社会的に立派な家であるために 2. 世間並み、 標準的な家であるために 3. 落ちついた気持になれるために 4. 安心した気持になれるために
5. 家族がのびのびできるために 6. ゆったりとくつろげるために 7. 育児がやりやすいために
8. 家事がやりやすいために
9. あなたの来客のもてなし方にとって 10. あなたの盆正月のむかえ方にとって 11. 家族の節句祝いごとのやり方にとって 12. 家を美しく整えるために
13. 趣味、 稽古ごとができるために 14. 我が家とし、う実感がもてるために
15. 家らしい家であるために
LI-ー
ふ
-4二
51一一2
一一@一
一- 51--2--3
-@-
S1--2--
θ--
4ー 51--2
一一6)-
4一一51--
6)--
3 -- 4 -- S1:二二二
1--2--3
ーイ)--
S1--2--3 --4
ベ ジ
1--2--3 --4
→ 9
1ー2
--Q-
4--51--2
--Q--
4-- S 1--2--6)-
4--51--2
--θ--
4--502 あなたは、 次の1 ""15の項目について、 「ソファ ・テーブル等のある椅子式の居間(リピ ンゲルーム) Jの必要性をどのぐらい感じますか。 1"-'5の番号の適当なものにO印をし て下さい。
5. 2. 2 調査概要
表5 - 1の調査票に示すように、精子式居間と床の間付和室それぞれにつき、
図5-1中の表現でもって、 表現内容の観点での該当空間の必要性の程度を5 段階評定で回答してもらった。 5段階とは、 1 (全く必要ない)、 3(必要であ る)、 5(ぜひ必要である) を基本とし、 3と5の中間として4が、 lと3の中 間として2がある。 これらは、 評定項目(価値づけ項目)ごとに、 l直線上に 並んでいる。 椅子式居間と床の間付和室とも、 評定内容、 評定方法、 項目数は まったく同じである。 例えば、 床の間付和室の19. あなたの来客のもてなし 方にとってjの質問の場合、 回答者が、 来客をもてなすために床の間付和室が ぜひ必要と思って、 5(ぜひ必要である)、 にOを付ければ、 評定値5を得る。
3と5の中聞に位置する4にOを付ければ、 評定値4を得る。 回答者は、 第3 章の表3-2にあげる15都市の市職員(既婚者) であり、 有効回答数は16 5 2サンプルであった。 第3章及び第4章に共通の調査Iで回答を得た。 回答 者の年令分布、 長子年令分布、 住宅規模分布、 床の間付和室所有率、 椅子式居 間所有率などについては、 第4章に示しているが、 特に回答者属性についてそ の概略を述べると、 回答者はすべて市職員で、 既婚者である。 全員、 市職員と いうことで職業階層が揃っており、 しかも、 地元定着層や地元出身層が比較的 多いと考えられるので、 世代差や地域差を比較分析する本研究のような場合、
比較的有効な調査対象であると考えられる。 各都市の有効回答数は、 表5-2 の都市名欄のサンプル数として示しているが、全体での年令分布は、 2 0才代 128サンプル、 30才代550サンプル、 40才代617サンプル、 50才 代349サンプル、 6 0才代 8サンプルであった。 第3章で既に述べたよう に、 人口規模、 人口密度、 第一次産業人口率の3変量にもとづいた主成分分析
(P
CA) によって各都市の第1主成分得点1を、 また、 人口密度と第一次産業 人口率の2変量にもとづいた主成分分析によって各都市の第l主成分得点2を 得ている。 これら主成分得点は、 いずれもその都市の都市化度を表すものと解 釈でき、 値が大きいほど都市化度が高いと解釈できる。 主成分得点がプラス(+
)の都市全体での、 DKを含む平均室数は5. 6室であり、 床の間付和室所 有率は70%、 椅子式居間所有率は50%であった。 主成分得点がマイナス- 86 -
表5-2 都市の主成分得点と区分(Ul, U2, U3)
都市名
(A) S61 (8) S61 (C) S61
A B Cでの B C での(サンフ。ル数) 人口規模 人口密度 第一次産業 PCA分析 PCA分析
人 人/附 人口率% 主成分得点1 主成分律点
2
福岡440 1127, 253 3346. 75 2. 2 4. 290 2.088
春日
42 76, 028 5331. 56 0.9 2. 930
3.540U1
熊本
98 544, 766 3172.41 3. 9 2. 478 1. 769
倉敷101 414, 271 1385. 57 5.4 O. 878 O. 422
大分
98 385, 046 1072. 46 4.5 O. 718 0.327
大牟田
32 160, 752 1995. 68 4.7 0.676 O. 904 U2
久留米110221,694 1788. 86 8.0 O. 319 0.370
佐賀93 165, 632 1597. 53 7.5 O. 117 O. 306
鳥栢58 55, 549 773. 34 8.2 - O. 750 - O. 316
大川98 48, 580 1450. 58 12. 9 - O. 909 - O. 443
津山
108 85, 189 458. 89 11. 4 - 1. 241 - O. 908
日 田
93 65, 816 243. 06 12. 0 - 1. 493 - 1. 122 U3
八代99 110, 170 750. 99 19. 5 - 1. 952 - 1. 698
玉名93 46, 389 513. 72 23. 9 - 2. 779 - 2. 386
庄原87 22, 799 93. 14 25.5 - 3. 283 - 2. 854
注)主成分得点1、 主成分得点、2は、 いずれも第1主成分得点
(一)の都市全体での、 DKを含む平均室数は6. 8室であり、 床の間付和室所 有率は91%、 椅子式居間所有率は48%であった。 1 5都市全体での平均室 数は6. 3室数であった。