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住様式論の視点から

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3. 住様式論の視点から

住宅平面の時系列的変化と地域差の把握、 その変化と差を生み出す諸要因の J概念化、 諸要因の影響力の量的把握は、 住様式論の一つの課題である。 今日そ のことに関連して、住宅の地方性(地域差)とその要因に関する議論がある。ま た同時に、 第2章参考文献にあげた重要な実証的な研究があるが、 それらの重 大な欠陥は、 居住者の主観的条件である住要求の個人差とともに住要求の地域 差の実証がないことである。

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-現代の住宅平面の地域差は特に公室空間の構成において見いだされ、具体的 には床の間付和室と椅子式居間のそれぞれの保有率の差及び公室空間の分節程 度の差として捉えられる。 その地域差に作用する要因として、 一般的に、敷地 面積から制約される延べ床面積の地域差、 構造種別差、 床の間付和室と椅子式 居間への要求差、分節程度に影響するであろう領域区分要求の差などが仮説的 に概念されるはずであるが、 玉置慎悟等の研究(第2章参考文献4、 5)では、

住宅平面の地方性を敷地面積から制約される延べ床面積の地方性で説明してい こうという立場から、居住者の主観的条件である住要求の地方性の実証が捨象 されている。 また、 森本イ言明の研究 (第2章参考文献2、 3 ) では、 まとめの 段階で住要求の差について仮説的な言及はあるが、 本文中では分析されていな い。

以上のような事情は、研究者が概念している住宅平面と諸要因との関係につ いての仮説モデルが、住要求といった居住者の主観的な要因を捨象しているこ とから来るのではなく、調査の制約を含む技術的な問題からくるものと考えら れる。 意識調査を伴わないで住宅調査のみで分析する場合、 最大限得られる情 報は、 住宅平面、敷地面積、 延べ床面積、 住宅所在地、構造種別、 階数、 建設 時期、 世帯主年令、 居住者構成である。 これらをすべて揃えることも、 揃えた 上で大量なデータを得ることも容易でない。 また、 分析の段階では、 住宅平面 を如何に分類するか、住宅所在地を如何に分類するかということが要因分析を 成功させる鍵となる。

本研究では、 第2章において、住宅平面の分類を類型化のレベルにとどめる のではなく、 公室空間の分節程度という数量によって一元的に表現し、 要因分 析を行った。 地域区分は、 関東地区、 近畿地区、 その他、 という区分と、 都市 化程度をあらわすと解釈される所在市郡の主成分得点による区分を行い、数量 化I類を適用することによって、分節程度と設定した要因群との重相関係数が がO. 5 2程度であるから、 分節程度がまず居住者の個別性を反映しているこ と、 その残りの部分が、 まず、 延べ床面積に規定され、 つぎに、 構造種別に規 定され、 つぎに、 関東地区、 近畿地区、 その他の区分に規定され、 また、 都市 化程度を表す主成分得点による地域区分に規定されていること、 更に、この

1 5、 6年間の建設時期にはほとんど規定されないことを偏相関係数の計算か

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-ら見いだし、 アイテムカテゴリー数量から、 関東地区と近畿地区との分節程度 の地域差(他の要因の影響を取り除いた固有の差) が、 岡俊江等の調査分析(第 2章参考文献1) の成果である「主流のプランタイプの構成比と志向群J -図 が意味するところをある程度説明していることを見いだした。

住様式論では、 住宅平面の現状を整理して認識するために住宅平面の類型化 がなされている。 その類型化の多くは、 例えば、 既に述べた森本信明の類型化 のごとく、 LDKの有り無し(リビングルームの有り無しを含む)、 床の間付和 室の有り無し、 続き間座敷の有無しなど、 設定した構成要素の有り無しを手が かりにしている。 こうした類型で住宅平面の現状を把握して、 接客空間要求の 問題を正しく論ずることはできない。

第5章で、 椅子式居間が、 平均的に第ーに接客空間として価値づけられてい ること、 高い年令区分、 都市化程度が低い地域、 および非所有では、 対社会的 象徴的価値と同時に対社会的機能的価値 (接客) として評価する傾向が特徴的 であること明らかにしたが、 このことは、 続き間座敷がなく床の間付和室がな いLDKのみの平面型が、 接客空間要求が反映されていない平面型とは必ずし も言えないことを意味するからである。 110頁の図6 - 1で示した平面は、

続き間座敷も床の間付和室もなく、公室空間は椅子式居間(L) と食事室(D)、

それに台所 (K) のみで構成されているが、 接客空間要求の反映が希薄な平面 とは考えられない。LとDは隔てられており、領域的にはLはソトに位置し、か つて茶の間と呼ばれた空間に相当する充実したDがウチに位置し、 接客空間要 求の機能的側面である接客領域と家族の団らん領域との領域区分要求を強く反 映した平面と解釈可能であろう。 したがって、 設定した構成要素の有り無しを 手がかりにしてた類型化は、 各構成要素への志向性は明らかになるが、 それ以 上の分析には不十分であり、 接客からみた分節程度を類型化の指標として重視 する必要がある。

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-謝 辞

本研究は、 青木正夫先生 (現九州産業大学教授、 元九州大学教授) と竹下輝 和先生 (九州大学工学部建築学科教授) が中心となって、 九州大学青木研究室 あげて始められた「中流住宅の平面構成に関する研究」に啓発されて始めたも のである。 青木研究室における中流住宅の研究は、 日本建築学会大会学術講演 会において、青木先生自ら講演され、大いに注目を集めたことを記憶している。

同研究が進展している盛りの時期に、 文部省内地研究員として同研究室に在籍 させていただき、 接客空間問題における問題の所在を自分なりに把握すること ができた。 また、 本研究の主要な調査データは、 この在籍時に、 大学院生石川 貴之氏の協力のもとで収集できたものである。

九州大学在学以来、建築計画学と住居学における重要な研究概念を教授いた だき、 また、 文部省内地研究員として研究室に受け入れてくださった青木正夫 先生と、 理論的な示唆とともに調査の便宜を図ってくださった主査の竹下輝和 先生に記して深く感謝申し上げます。

片山忠久先生(九州大学総合理工学研究科教授)、 樗木 武先生(九州大学工 学部建設都市工学科教授)、萩島 哲先生(九州大学工学部建築学科教授)には 論文審査において今後の研究の発展を含む多くの貴重な御助言をいただきまし た。 深く感謝申し上げます。

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-参考論文

( 1 )都市独立住宅における続き間型平面の序列化 都城工業高等専門学校 研究報告 第18号 昭和58年12月

( 2 )設計概念と構成要素からみた戦後住宅作品の質的変化を読む資料1 都城工業高等専門学校 研究報告 第23号

平成元年1月

( 3 )住要求のヒエラルキー構造における接客室要求の位置 日本建築学会計画系論文報告集 第400号 平成元年6月

(4 )双対尺度法による住居内接客性単位空間の価値づけ構造分析 都城工業高等専門学校 研究報告 第26号

平成4年1月

( 5 )接客領域と家族の団らん領域との領域区分に関する研究 日本建築学会計画系論文報告集 第443号 平成5年1月

(6) 4つの価値次元からみた接客性空間への価値づけ構造分析 日本建築学会計画系論文集 第456号

平成6年2月

( 7

)接客から見た公室空間の分節程度の数量化とその地域的差異

日本建築学会計画系論文集 第481号 平成8年3月

( 8 )独立住宅の公室空間の分節程度に作用する諸要因の規定性について 都城工業高等専門学校 研究報告 第31号

平成9年1月

( 9 )場所性概念と地域性概念にもとづく建築設計に関する研究l 都城工業高等専門学校 研究報告 第31号

平成9年1月

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