論 説
危険ないしその不確実性情報の 公表に関する法的考察
⎜ ドイツにおける裁判例・学説の分析を中心にして⎜
下 山 憲 治
はじめに
Ⅰ 公表制度の概況
Ⅱ ドイツにおける公表の内容的分類
Ⅲ ドイツ裁判例の分析
Ⅳ 事実関係情報の中立性・専門性・客観性要請
Ⅴ 公表の手続法的・実体法的制約 おわりに⎜今後の課題⎜
はじめに
近年の行政活動では、既知・熟知による対応から未知・不知ないし不確 実性への対応という法的・制度的変化が多くの領域で認められる。それ は、その基盤となる科学的・専門的知見が高度の内在的不確実性を有する とともに、一定の条件設定のもとで知見が獲得されていることへの反応・
自省であるといえる。この種の対応によって、知見獲得プロセスに注目 し、何が未知・不知であり、どこに不確実性があるのか、それがリスクア セスメントにどう影響するのかなど、いかなる不確実性を人が意識的に引 き受けるかを自己決定するための素材が提供される。その点から、リスク 社会・情報社会では、(リスク)コミュニケーションが大きな意味をもつ。
たとえば、原子力施設等の施設法規制にみられるように、環境・相隣問 題への対応として外部に「閉ざされたシステム」によるリスク制御があ 141
る。このリスク制御では、事故等によるリスクが科学技術水準に照らして 同定できず、単に懸念があるのみで、危険の顕在化は「ありえない」と評 価されるものは受容リスクと判断されうるが、国家(主に立法・行政)に は科学技術水準の変化を参照し、それにリスク制御を適合させる義務が
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ある。また、ある物質の使用・活用に関する個々人の自己決定レベルの問 題ではなく、エネルギー利用や国民の生活水準の向上のような「公益実 現」といわれる視点から、使用・活用の可否、その条件(フェールセーフ などの手法を用いたリスク低減措置を講じた上での残存リスクの水準等)を設 定し、他者(近隣住民等)への被害について保険や賠償などによる調整を 制度化すると共に、残存リスクが社会的に妥当な、受容・受忍されるべき ものと決定される。このリスク問題領域では、国・自治体レベルでの意思 決定あるいは一定の法的制約のもとで行われる事業者等の私人の意思決定 が最終的なものと位置づけられ、意思決定者と想定される被害者が異なっ ている。個々人の受容リスクの水準が他者によって決定され、強要される からこそ、民主的なリスクコミュニケーションを含めた意思決定の仕組み やその公正さ・透明性が少なくとも必要となるのである。
他方で、食品、医薬品などの製品法・物質法規整にみられる「市場に開 いているリスク制御システム」では、前記のような科学技術水準による対 応という最低限のリスク規整に加え、市場での行動など個人に帰責される リスク問題領域がある。たとえば、医薬品の場合には、残存リスクの受容 の可否について、最終的には使用者個人の意思決定に帰責され、意思決定 者と想定される被害者が一致する。このリスク決定の典型領域では、個々 人の判断を尊重すると共に、個々人が十分判断できるよう条件整備(危険 情報の公表や表示など)をする必要があり、自己決定・自由な意思決定の 前提として市場の透明化と信頼確保のため、あるいは、基本権保護義務に 基づき、警告・説明ないし表示義務の設定が国家(2) (主として立法者と命令 制定者)に義務づけられる。
本稿では上記の問題状況を意識した上で、製品法領域を念頭におき、し 早法 81巻3号(2006)
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かも、事業者に対する表示規制ではなく、行政機関自らが情報を発信する 場合に限定して検討を進めたい。また、申請等に対する情報提供・情報公 開といった法制度化された特定者に対する情報提供ではなく、各種メディ アを通じた不特定多数者を名宛人とする「公表」を検討対象とする。行政 による公表形式には、一般的な行政活動の現状や実績等の報告を目標とす る広報等もあれば、法違反者の公表のように制裁としての機能をもつも の、また、危険ないしその不確実性情報に関する日常対応型の公表と緊急(3) 時対応型の公表などがある。このように、多種多様な形式・内容、目的を(4) 持つもの、そして、それらが複合したものがある。本稿では、目標・目的(5) と内容による区別である警告的公表(Warnung)、科学的・技術的な事実 関係情報の公表(Information)、そしてある製品などの勧奨等にみられる 推奨的公表(Empfehlung)とを区別し、研究成果の蓄積があるドイツの
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議論を参考にしながら検討を進める。
わがくにでは、従来、名誉毀損型・プライバシー侵害型の分類があり、
「公表の目的、方法、公表のインパクト、他の代替手段、より侵害的でな い方法の探究など総合的評価を行い、それらが必要最小限度の原則を満た すべき」であることや事前手続の必要性などが指摘されていた。他方で、(7) O−157カイワレ訴訟で争点となった公表は、特定施設の一定時期の製品(8) と表現されていたものの、市場の反応は「カイワレ大根」という製品群と 食中毒とが関連づけられたが、本来は妨害除去・緊急時対応型のもので
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ある。本稿では、これらの点も念頭におきながら、ドイツ国家賠償請求
(職務責任)訴訟に関する裁判例を含めて分析する。
コミュニケーションは、情報・伝達・理解という三層構造からなり、情(10) 報では、いかなる事実ないし事項を選択するか、伝達では、いつ、いかな(11) る手段で伝達するか、どのように伝達するか、そして、理解では、伝達を 受けた相手方の受け取り方がそれぞれ問題となり、そのサイクルがコミュ ニケーションの最小単位となる。それゆえ、この三層構造を念頭におきな がら、情報を更に、科学的・経験的な「事実」関係の知見情報(以下、
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「事実関係情報」と記す)とその事実関係情報をもとにした行政機関の評価 ないし価値判断や意思決定に関する情報(以下、 評価情報」と記す)にそれ ぞれ区分する。「事実」が偽であれば、それに基づく情報の公表は原則と(12) して違法となりうるし、過失があれば国家賠償・職務責任の問題ともなり うる。他方で、公表された事実が「真実」でも、公表方法やそれまでの経 緯・文脈により、危険防除措置としての警告的公表と同じ機能を有するこ とがある。それゆえ、コミュニケーションに際し、いかなる「事実」が情 報として選択され、それをいつ、いかなる手段でどのように伝達するの か、そして、伝達を受けた者の受け取り方が問題となることも念頭にお き、分析をすすめたい。
Ⅰ 公表制度の概況
⑴ わがくにの概況
わがくにの実定法では勧告・公表を緊急措置として認めるもののほか、(13) 法規違反の場合の消費生活用製品安全法31条や欠陥の場合の同法82条によ る事業者自身に対する命令を介して、事業者による公表・回収が行われる 場合もある。この点は、食品衛生法でも、54条で回収命令を発することが できると共に、63条で違反者名等の公表について規定されている。この点(14) からすれば、わがくに法制度上は、事業者責任を第一次とし、それゆえ、
行政機関が事業者と消費者との間に、直接、危険情報等の公表という形式 で介入するよりも、自発的な事業者自身の危険情報の公表と回収等の適切 な対応が求められている。他方で、事業者が応答しないとか、間に合わな い、その対応では不十分である場合には、行政機関による危険防除ないし リスク対応措置が講じられる場合がありうる。この点は、近年、わがくに の消費者条例でも、重大な危害発生のおそれがある際の緊急措置としての(15) 公表や、製品等で消費者の健康を損ない、身体に危害を及ぼす「疑い」が ある段階で、調査を行い、その結果「疑い」が解消しないときは安全であ
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ることの立証を事業者に求める一方、それに応じないときは一定手続を経 て、応じないことの公表を認めるものがある。また、消費者の健康及び身 体の安全を確保するため必要があると認めるときはその調査の経過や結果 を公表することとしている。以上のように、製品の危険性に関わる公表に は、制裁または実効性を担保するための公表と、調査の経過や結果のよう(16) に事実関係を明らかにするもの、また、危害発生防止ないし緊急措置とし ての公表がある。
⑵ EU及びドイツの概況
製品にかかわる警告的公表制度は、たとえば、EU一般製品安全指令を(17) 実施するドイツ製品安全法(Produktsicherheitsgesetz)にみられる。同法(18) 8条によれば、行政庁は、製品由来の危険にさらされうるすべての者に、
適時に適切な形式で、製造者等に対してその危険の公表を命じることがで き、切迫した危険があり、他に有効な措置を講じることができないときに 限り、行政庁自らが公衆に対して警告的公表ができることとなっている。
EU食品基本規則10条では、情報の公表についてつぎのように定めて
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いる。すなわち、「ある食品又は飼料が人の健康又は動物の衛生に対する リスクを必然的に伴いうる十分な疑いがあるときは、公的機関は、……当 該リスクの性質、重大さ及び規模に応じて、健康リスクの性質について公 衆への情報提供を行うために適切な措置を講ずる。その場合、当該食品若 しくは飼料又はその種類を、可能な場合には、それと結びついたリスク と、当該リスクを予防、低減又は除去するため既に講じられた及びこれか ら講じられる措置を可及的・包括的に知らせるものとする」。EU食品基 本規則の章立てから、この規定は透明性原則を実行する制度であると共 に、実質的には予防的措置でもある。同条でいう「十分な疑い」、すなわ(20) ち、疑いの合理的な理由は、人の健康又は動物の衛生に対するリスクを判 明させうる事実関係の認定・アセスメントの問題であり、結局、同条によ(21) る公表の三要素(①リスクの性質、重大さ及び規模、②健康リスクの性質及び 危険ないしその不確実性情報の公表に関する法的考察(下山) 145
③適切な措置)の総合的な価値判断・比較衡量を要する。(22)
ドイツ連邦食品日用品法(LMBG)に関連して、たとえば、バイエル ン州では、2003年の健康局・消費者保護法(Gesundheitsdienst‑
und Ver-
braucherschutzgesetz)
により、健康に対する危険または少なくとも危険の疑いがあるとき警告的公表(25条1項)ができる。更に、健康への危険(23) ないしその疑いはないが、特に食品法、食肉衛生法または飼料法領域で違 法行為があり、公衆・第三者に特別の利害があるとき、製品・事業者名を 公表できる(同法26条)。後者の公表は、後述のビアケル事件のような飲 食に適さない食品(同法26条2項1号)に対し、販売禁止や執行罰・過料 で対応が不十分となる場合などの補完的措置として行われ、また、グリコ ール混入ワインスキャンダルのような特定の事業者に起因する市場の自己 規律不能な混乱に対し、適正な事業者・製品の保護をはかる必要がある場 合に行われる。他方、行政庁は、危険の疑いが確認できなかったとき等の(24) 場合、遅滞なくその旨を知らせなければならないが、その方法は、事業者 の不利益とならないよう事業者の意見を聴取した上で決定される(同法25 条2項及び26条6項)。
Ⅱ ドイツにおける公表の内容的分類
2002年6月26日、ドイツ連邦憲法裁判所は、連邦政府によるジエチレン グリコール混入ワインリストの公表は、ドイツ基本法(GG)12条1項が 事実を内容とする適切な公表から保護していないのであるから、職業の自 由への介入ではない、と判断した。この点について、さまざまな批判が(25)
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あるが、連邦政府の公表が、市場にとって重要な情報のみを内容とするか や、国家による介入措置の代用手段、すなわち、介入と同等のものかどう かが法律の留保論にとって重要となることが明らかにされている点は注目 すべきである。ただし、本決定は、統治主体の連邦政府による応急的対応(27) である公表が問題となったケースであって行政庁による行政活動ではない
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から、その射程は狭いとする見方によれば、一定の公表には作用法上の根(28) 拠が必要である。そこで、この点と関連して、公表の分類についてドイツ(29) の議論の分析からはじめたい。(30)
⑴ 事実関係情報の公表
事実関係情報の公表とは、一定の科学的・経験的事実に関する知見の説 明・表明で、評価・価値判断を欠くものをいう。具体的には、ある製品の(31) 原料や含有物質などに関する知見の説明・表明を要素とし、その知見は、
真偽の基準により判定される。それゆえ、後述する警告的公表及び推奨的 公表と異なり、無視を含めて、名宛人たる国民自らがその事実をもとに意 思決定をすることになる。事実関係情報の公表は、純粋に知見の伝達であ るから、原則として、基本権への介入ではなく、通常、作用法上の根拠も 要しない。ただ、事実関係情報を公表することによって、その時期・社会(32) 的文脈からボイコット等が生じうる場合には、事実関係のみを指摘するも のであっても、警告的公表等と同様の機能を発揮することもある。(33)
⑵ 危険防除手段としての警告的公表
警告的公表とは、消費者の行動を変化させることで一定の行政目的を達 成しようとする行政機関の評価・価値判断ないし意思決定の表明のうち、
健康に有害なため食品法・製品安全法違反その他の理由で、危険または危 険源等に対する警察法上の危険防除措置と位置づけられるものをいう。典(34) 型的には、健康保護や環境保全などの理由から何らかの行動を名宛人たる 消費者・国民が控えることが意図されている。この種の警告的公表は、① 法規定に違反する製品に対するもの、②具体的な警告か抽象的な警告、③ 国家による直接的な行動制御手段を補充ないし補強するため用いられる、
他の許認可等の権限にかかわる警告などの分類もされている。(35)
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⑶ 事前配慮手段としての推奨的公表
危険防除措置である警告的公表とは異なり、推奨的公表とは、流通可能 で適法な製品の中で、健康事前配慮とか、環境親和性といった基準に基づ き、いくつかの選択肢ないしある特定機能を持つものなど行政目的にあっ たものの選好を行政機関が表明するものをいう。それゆえ、警告的公表と は異なり、名宛人にはそれ以外の選択肢も残されている。この推奨的公表 は、警告的公表と同様、事実関係情報と評価情報から構成される。ただ、
「使用・摂取しない方がよい」という消極的内容を表す趣旨の推奨的公表 は「リスクの警告的公表」(予防的公表)といえ、警告的公表との区別が困 難となる場合もある。また、特定の製品のみを推奨的公表により勧奨する ことは、それ以外の製品にとっては警告的公表と同じ機能をもつ場合もあ りうる。それゆえ、目的は異なるものの、警告的公表と、ある特定の製品(36) に関するマイナスイメージを内容とする推奨的公表との実質的な境界線は 必ずしも明確ではない。(37)
⑷ まとめ
結局、たとえば、野生きのこの放射能汚染が健康を危殆化するレベルに は達していないことの公表が⑴の例、そのきのこの過剰摂取を控えるよう 表明するのが⑶の例、そして、過度に放射能汚染された野生きのこを消費 しないよう警告する公表が⑵の例としてあげられる。このような区別は、(38) その影響力の集約度を段階的に表すと同時に、とりわけ、警告的公表と推(39) 奨的公表は、公表の発現形態を理念型として現したもので、リスクの存在 を推奨的公表で行うように明確な線引きが困難な場合も少なくない。それ ゆえ、この区別は一つの目安であるといえるが、基本権保護領域への介入 にあたるかどうかの判断に際し、後述するように事業者名や製品名を特定 して行われるかどうかなどの情報の種類や公表・提供方法などの事情を全 体として考慮しなければならない。
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Ⅲ ドイツ裁判例の分析
⑴ ビアケル(とき卵スキャンダル)事件
ビアケル事件の事実関係はつぎのとおりである。1985年8月初旬、各メ(40) ディアで「とき卵スキャンダル」として麵製品の不快な残留物(特に、鶏 の糞、雛の胚、バクテリア及び残留薬物を含んだ孵化卵の使用によるもの)に ついて報道されていた時期に、バーデンヴュルテンベルク州(Y)シュツ ットガルト行政区長官府での報道発表やインタビューで、問題のある他社 製品と並列的に、ビアケル社(X)の5製品が「微生物 に 汚 染 さ れ た
(mikrobiell verdorben)」ものであると発表された。しかし、検査員は、5 製品中3製品は一定品質のとき卵のみが使用され、乾燥卵が使用されてい ないことを前提にした検査結果であり、再度確認する必要があることを注 記し、また、他の2製品について同検査員は添加物を誤って認識してい た。XはYに職務責任に基づき、公表によって生じた損害の賠償請求訴訟 を提起した。
シュツットガルト地方裁判所(LG)は、Xの社会的評価に対するYの 批判的内容は正当化されず、公表もされるべきでなかったから、違法な加 害行為であるとしてXの請求を認容した。すなわち、LGは、本件公表を 警告的公表ととらえ、Xの営業活動とその信用を侵害する単純高権的行政 作用であり、健康への危害を防除するLMBG8条ではなく、本件残留物 のような添加物の使用を禁止するLMBG17条による保護法益侵害の「危 険」(ないしその疑い)と、Xの信用利益との比較衡量によれば、事実関係 の包括的な究明が第一次的に必要で、行政庁は、検査結果の内容が無条件 にまたは一定の前提条件の下でのみ妥当するものかどうか、検査が適切な 事実関係を前提としていたかどうか、審査しなければならない。他方、不 適切な警告的公表により回復困難な結果が予想されるから、公表前にXに 対する意見聴取をするべきであった。さらに、LGは、本件報道発表で
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「微生物に汚染された」との表現は、消費者の大部分が汚染された食品は 健康に有害であると誤解させるもので、消費者が自己責任の下で意思決定 できるよう完全で包括的な公表でなければならなかった、と判示した。
シュツットガルト高等裁判所(OLG)は、一部理由を変更したうえで 請求を認容した。すなわち、検査結果中「微生物に汚染された」とX製品 が判定されたことは一応正しいものとしうるが、本件のような内容で報道 発表することは職務義務違反であるとするのである。つまり、健康に有害 であれば警告的公表も許容されうるが、「微生物に汚染された」という概 念は標準的消費者にその種の汚染された麵類の摂取は健康を危殆化しうる と誤解され、また、この概念をわかりやすく説明せず、健康危害はないこ とを明確にしなかった点を職務義務違反の主要な理由とした。
LGは、事業者等を特定した本件報道発表が消費者保護を意図し、「と き卵スキャンダル」に関する行政庁の認識等を知らせることが目的で、伝 統的な介入形式とは異なる事実上の基本権介入である警告的公表と位置づ け、警察法の介入シェーマを用いたのに対し、OLGは、警告的公表か、(41) 事実関係情報の公表かについて明確にしていない。ただ、双方の裁判所と も、報道発表の際に、X製品を特定する結果・影響を考慮して公表方法が 選択されなければならず、麵製品が微生物に汚染されていないこともあり うると検査員が留保していたこと、仮に汚染されていたとしても、消費者 の健康に危害を及ぼさないことを説明しなかったのは職務義務違反である としたのである。
⑵ 森林泉水事件
原告Xは、訴外Wと「森林泉水(Forster Quellen)」の用益賃貸借につ いて交渉していた。1987年7月末にニーダーザクセン州議会会派緑の党が 記者会見で、類地での結果をもとに、同泉から約3
km離れた旧軍需工
場からの有毒な排水による環境への危険を警告した。被告郡Yの郡長は、関連報道により住民に混乱が生じたため、同泉の水質検査をしたところ、
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8月中旬の検査結果では微量のジニトロベンゼンが検出されたこと、ま た、それが健康に有害か明らかではなかったので追加検査とアセスメント が行われることをプレスの照会に応じて報道発表した。追加検査ではジニ トロベンゼンが検出されなかった。Xは、この公表による用益賃貸借交渉 の不首尾、また、同泉水の商品化が遅れたため、職務責任に基づき損害賠 償請求訴訟を提起した。(42)
ゲッティンゲン地方裁判所は、郡長の行為はドイツ民法典(BGB)
824条2項に基づき不法行為でないことから職務責任を否定した。すなわ ち、BGB824条によれば、ある事実が真実でないにもかかわらず公表し た者は過失責任を負う(1項)が、公表者または情報受領者に正当な利益 がある場合は不実であることを知らないで伝達しても賠償責任は負わない
(2項)。それゆえ、ここでは、2項の情報受領者である公衆に正当な利益 があるか、生じうる健康危害情報に関する消費者の利益と信用毀損を回避 するXの利益との利益衡量が必要となる。同裁判所は、消費者の健康は高 次の法益であり、健康被害の強度とその発生の蓋然性に関する情報が重要 であること、本件当時、危険の疑いがあったのであり、郡長による発表内 容は、消費者が自己責任をもって意思決定できるよう、不確定事項を含め 当時としては可能で必要であった程度に完全で包括的であったとしたうえ で、「Xは、最終消費者ないし仲買人が危険の疑いがはれるまであるいは 根拠のないものとなるまで、同泉水の購入を控える意思決定をするリスク を負担しなければならない」と判示した。そして、郡長による検査結果の 伝達は、Xの財産上の利益と比較して優越する消費者の健康に対する危険 について説明を受ける利益を擁護するためであったから、郡長の行為は正 当化された。
BGB839条1項に基づく職務責任における職務義務として、特段の規 定がない限り、BGB823条以下に定める一般不法行為法による侵害を行 わないことが含まれる。⑴事件で、OLGは明示していないが、LGはそ(43) の公表が危険防除措置であると共に公衆への伝達行為で、一般私人とは異 危険ないしその不確実性情報の公表に関する法的考察(下山) 151
なり高度の注意義務を負うのであるから、消費者利益の視点からしても信 用を毀損する不適切な事実を公表することは正当化されないと判示してい た。他方で、⑵事件では、取水等に関する警告を目的・内容としておら ず、プレス照会に応じた事実関係情報の公表を前提として判示している。
Ⅳ 事実関係情報の中立性・専門性・客観性要請
前記各判決では、事実関係情報はできるだけ包括的で誤解がないよう公 表されなければならないこと、また、特に、健康に危害を及ぼすおそれが ある(その疑いを含めて)などLMBG8条により流通が禁止されている 場合には、警告的公表を含めた権限行使が認められるが、LMBG17条の 飲食には適さないが健康に有害でない食品に対する警告的公表の可否につ いては、GG12条1項の職業の自由とのかかわりで争いが(44) ある。他方で、(45) 純粋な広報活動や消費者への啓蒙活動は、それが特定の商品や事業者に向 けられていない限り、介入とはいえない、また、一般的な行動を勧奨する(46) 推奨的公表は、たとえば環境負荷を理由とする一定の製品群の不買のよう にその内容・機能がある特定の製品を勧奨しないという意味で警告的公表 と同様となる場合を除き、介入ではないとされている。それゆえ、事業者(47) や製品を具体的に特定する場合は一定の目標をもち、基本権の保護領域へ の介入となる場合が多いと考えられている。(48)
本稿で対象としている行政機関による危険ないしその不確実性情報の公 表問題は、もともとは市場の失敗の要因のひとつである「情報の非対称 性」への対応、すなわち、消費者と事業者間での情報の質・量の格差是正 や消費者の意思決定の自由・自己決定を保障する条件整備と、基本権保護 義務の観点からとらえられる。そして、GG12条1項の保護の目的は機能(49) 的な競争の維持にその本質があり、この競争は市場の透明性によって有効 に機能するといえ、事実に適合した適切な情報のみがこの透明性に貢献す るのであり、そのような情報による市場の反応は市場参加者によって負担(50)
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されるべきリスクである。この考え方からすれば、本稿で検討対象として(51) いる情報の種類に応じて異なるものの、少なくとも事実関係情報の公表の 基本的な機能は、消費者がその種の情報を得た上で自己のリスク決定を行 い、自律を保障することにある点には注目すべきである。(52)
行政機関による公表のうち、その内容が適切かつ中立的で、専門的知見 にかかわる事実関係情報の公表が介入に当たるかについては議論がある。(53) そして、ここでは、私人(財団法人製品テスト)による消費者啓発行為の 適法性の前提として、連邦通常裁判所(BGH)の判決で示された調査・(54) 検査の中立性・専門性と共に、客観的に正当なテスト結果を探求する努力
(客観性)の三点との関連がでてくる。
中立性要請とは、検査を受ける者から検査をする者が十分独立している ことを意味し、その性質上、検査者・審査者は必要な専門的知見を有して いなければならない(専門性要請)こととなる。また、客観性要請は、特 段の注意を払い完全な事実の調査を探求し、事実に適合したアセスメント を行う義務があることを意味する。そして、市場を概観でき透明にすると いう消費者サイドの利益は事業者サイドの利益に優越するとともに、GG 5条1項の意見・出版の自由の観点からも真実に対応した批評(評価情 報)を当該事業者は受忍すべきこととなる。このBGHの判示内容は、国(55) 家は意見・出版の自由の享有主体ではなく名宛人であること、また、事実(56) 関係情報に関する客観性要請については行政機関による公表内容の正確性 は原則として十分証明されなければならないことなどの点から、ここでの(57) 検討対象である国家、とりわけ、行政機関による公表に関しては妥当しな いという主張もある。この見解はさらに、市場経済の下では、事実関係情 報の公表等によって、仮に売り上げが落ちたとしても、それは市場システ ムに内在するリスクであって、事業者自身が負担するものであるという発 想に対し、そもそも対等な市場参加者ではない国家によって表明された結 果について、事業者が負担すべき市場リスクであるとはいえないとする考 えと軌を一にする。しかし、市場の透明化を図るという目的と情報提供な(58) 危険ないしその不確実性情報の公表に関する法的考察(下山) 153
いし公表という手段そのものは、私人によるものであれ、国家によるもの であれ、同一であり、また、国家の場合には、市場の透明性と信頼確保・(59) 維持や市場における情報の非対称性の是正が当事者の対等性を確保し、消 費者自身の自己決定を保障する意味も有する、いわば補完的機能を果たし ていることは見落とされてはならないと指摘されている。いずれにして(60) も、事実関係情報に関するこのような各種要請と同様のものは、平等原則 や法治国原理から導かれうるコロラリーであるといえるから、この点を前(61) 提として評価情報とのかかわりを含め、危険ないしその不確実性情報の公 表の違法判断要素について分析を進めたい。
Ⅴ 公表の手続法的・実体法的制約
相互に関連するものもあるが、グジィ(Gusy)によれば、警告的公表と 推奨的公表の法的許容性に関する各種要請がつぎのように整理・指摘され ている。すなわち、組織規範の根拠が必要であることはいうまでもなく、(62) その上で、事業者等の特定が原則となる警告的公表については、手続法的 要請として①事前の意見聴取、実体法的要請として②警察法における権限(63) 行使のきっかけとなる危険ないしその疑いの存在、③警告的公表内容の正(64) 確性、すなわち、表明された事実の適切さが要請され、④設定目的及び講(65) じられる手段が憲法上許容されること、その目的達成にふさわしい手段で あること(Geeignetheit)、手段について同一効果を持つ他の負担の少ない ものを選択するというようにその手段が目的達成のために必要であること
(Erforderlichkeit)、そして、設定目的と手段とが比例性を保つこと(An-
gemessenheit
)によって構成される比例原則に適合する(66) こと、最後に、⑤(67) 恣意的ではないことをあげている。また、手続法的要請として公表を合理 化するための理由づけ義務も加えられることが多い。他方、推奨的公表に(68) ついては、介入と同様の内容をもつ場合には警告的公表と同じ要請が妥当 し、そうではなく第三者にとって介入とはいえない場合には平等原則から早法 81巻3号(2006)
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つぎのような要請が導かれるとする。すなわち、①平等原則から中立性要 請が生じ、②事実の正確性という意味での内容的適切性要請、すなわち、
評価結果(さまざまな商品間の相違等)は事実に適合した理由づけが必要で あり、事実に関係ないあるいは恣意的なものは許容されないこと、③議論 はあるが比例原則適合性も要請される。(69)
つぎに、上記のような評価情報に焦点をあてた議論のみではなく、事実 関係情報も検討対象とする本稿の視点から整理するため、グリコール混入 ワインリストの公表に関するドイツ連邦憲法裁判所決定の一部をここでと りあげる。すなわち、「提供される情報内容の正確性は、市場での透明性(70) と市場機能発揮に必要であり、国家権力の担い手は、その情報の内容的正 確性がいまだ最終的に確定していないときであっても、一定の条件の下 で、各種情報を公表する権限が認められ」、その場合の適法性判断は、「可 能な限り、慎重で、利用可能な情報源(必要に応じて関係者の意見聴取の上 で)を駆使して、しかも、諸般の事情のもと達成可能な信頼性を求めて尽 力した上で、公表前の事実関係が解明されていたか」による。仮に不確実 性がある場合は、「消費者リスク」のように市場参加者の自己決定に当た って重要な事情が明らかにされることに公益性が認められるときは、その 公表は許容されるが、当該情報の不確実性を示したうえで、その不確実性 に関し市場参加者が自己決定できるように、包括的に公表されなければな らない、としている。同裁判所は、さらに続けて、法治国原理や恣意専断 の排除の視点から、「この情報は、事実適合性が要請され、事実に関係の(71) ない(sachfremd)考慮事項に基づく評価は許されない」とすると共に、
公表は「関係事業者の不利益を考慮して必要な情報に限定するべきである が、職業の自由の保障領域への侵害となるのは、公表される情報が市場参 加者の市場における行動の自由の自己決定を準備するための範囲を超える こと、……また、当該情報が事後に正しくないことが判明し、その情報が 引き続き市場行動にとって重要であるが、当該情報が正しくないことを公 表しない、または、当該情報の修正をしないときである」としている。
危険ないしその不確実性情報の公表に関する法的考察(下山) 155
以上から、情報内容に対する要請として、 疑い」や不確実性を含めた公 表対象たる事実関係情報については、中立性・専門性・客観性が、そして、
その要請を充足した事実関係情報に基づく評価・評価情報には事実適合性 が要請される。また、公表方法に関する要請として、不確実事項を含めた 包括的で完全な内容を公表する要請がある。さらに、手続的要請として、
事実関係の変化や新たな知見の獲得等への自省的対応要請(公表内容の修 正や公表の廃止等)もある。このグリコール混入ワインリスト公表事件で は、ワイン市場の混乱に対する緊急対応としての公表が問題となっている が、具体的な下命・禁止等の代替手段として用いられる場合のように公表 の機能が警告的公表と同じであれば、前述のグジィによる指摘がそのまま 妥当するといえる。しかし、市場参加者が十分に情報を得、自己責任の下 で市場における自律した意思決定を可能とする条件整備をおこない、市場 における透明性と信頼の確保という目標を達成するために行われる一定の 不確実性を含む市場にとって重要な事実関係情報の公表との相違には注意 が必要である。また、行政機関による評価情報を加えた場合(72) (警告的公表 等)であっても、いかなるきっかけ(切迫した危険かどうかなど)があるの か、公表による被侵害利益と保護法益との比較衡量などに応じて、予防の(73) 観点からの公表が検討される必要がある。
おわりに⎜今後の課題⎜
現代社会における科学技術の急速な進歩と社会的利用の拡張は、その動 態性のみならず、複雑性・複合性を伴っているため、実体法による規律内 容が十分に確定的ではなくなっている。それにもかかわらず、国家には、
国民自らが制御できない危険ないしリスクから国民を保護しようとする場 合、受容・保有不能と認められるリスクの削減・回避・移転などによる規 整を施し、一定ないし最低限の安全性を確保する必要がでてくる。そし て、リスク領域にある知見の欠如・不確実性に対応するため、リスク情報
早法 81巻3号(2006)
156
の収集やアセスメントとそれを基底とした多様な価値の比較衡量が必要と なり、知見が著しく動揺し、またダイナミックな展開を見せる領域とかか わるときは、法そのものは固定的・確定普遍といった性質を保持し続ける ことができず、その時々の科学技術の知見を参照し、適合化を行うと共 に、それを継続し改善していく学習・自省を法そのものが要請する場合が ある。その一環として本稿では、危険ないしその不確実性情報の公表とい う方法による危険ないしリスク対応の法的問題を検討した。
この種の対応(コミュニケーション)が消費者自身の市場における行動 に関する自己決定を保障する点にその本質があることを念頭におけば、消 費者が食品を識別し、購入等の意思決定に当たって、一方的な公表のみで はなく、双方向のコミュニケーションや事業者に対する表示規制等を含め て、総合的に検討する必要がある。この点に関する検討は、今後の課題と(74) したい。
(1) この点については、拙稿「不確実性の条件下における行政決定の法的制御に関 する一考察」福島17巻3号1頁以下(2005年)及び同「科学性・透明性原則と行政 組織構造に関する法的分析」福島18巻2号26頁以下(2005年)参照。
(2) Di Fabio, in :Maunz/Durig,Grundgesetz,Art.2Abs.2Rn.89(Feb.2004); Murswiek, in :Sachs, GG,3. Aufl.,2004, Art.2Rn.204f.;Pitschas, Staatliches Management fur Risikoinformation zwischen Recht auf informationelle Selbst-
bestimmung und gesellschaftlichem Kommunikationsvorbehalt, in : Hart (Hrsg.), Privatrecht im ,,Risikostaat“,1997, S.215;Stoll, Sicherheit als Auf- gabe von Staat und Gesellschaft,2003, S.288;Starck, in : Mangold/Klein/ Starck,Grundgesetz,Bd.I,5. Aufl.,2005,Art.2Abs.2Rn.233;Streinz,Wie viel ist Nichts? Ist Nichts zuviel?―Rechtliche Probleme der Definition von Grenz-
werten im Lebensmittelrecht, ZLR2002,690(701f.).
(3) 内閣府食品安全委員会『食の安全に関するリスクコミュニケーションの現状と 課題』(2004年7月)。
(4) 食品安全委員会緊急時対応基本指針」(2004年4月15日食品安全委員会決定) 9⑴および「食品安全関係府省緊急時対応基本要綱(2004年4月15日関係府省申合 わせ)6⑴参照。
(5) Vgl.Heinzen, Behordliches Informationshandeln bei ungewissem Sachver- halt, NuR 1991,301;Kloepfer, Staatliche Informationen als Lenkungsmittel,
危険ないしその不確実性情報の公表に関する法的考察(下山) 157
1998.
(6) Vgl.Di Fabio,Information als hoheitliches Gestaltungsmittel,JuS1997,1;
Danwitz, Verfassungsfragen staatlicher Produktempfehlungen,2003;Grosch- ner,Öffentlichkeitsaufklarung als Behordenaufgabe,DVBl.1990,619;Kloepfer, Umweltrecht,3. Aufl.,2004, 5Rn.311, insb. Rn.381ff.また、勢一智子「環境 情報の行政法的機能について」川上宏二郎先生古稀記念論文集刊行委員会編『情報 社会の公法学』(2002年・信山社)239頁(246頁以下)参照。
(7) 鈴木庸夫「行政機関の公表行為とその法理」法令解説資料総覧49号95頁(104 頁)(1985年)。その他、阿部泰隆「違反企業の公表」山田・市原・阿部編『演習行 政法(上)』(1979年・青林書院新社)362頁以下参照。
(8) 東京地判2001年5月30日判時1762号6頁、大阪地判2002年3月15日判時1783号 97頁、東京高判2003年5月21日判時1835号77頁、大阪高判2004年2月19日判例集未 登載。この件に関する判例評釈としては、阿部泰隆・判地自236号114頁(2003年)、
久 保 茂 樹・自 治 研 究48巻 1 号122頁(2003年)、鈴 木 秀 美・判 時75巻12号116頁
(2003年)、瀬 川 信 久・判 タ1107号69頁(2003年)、藤 原 静 雄・判 評529号168頁
(2003年)、村上裕章・ジュリ1258号112頁(2003年)がある。この公表に関する統 計学上の議論では、中間報告は公表に値するという意見(柳本武美「公的意志決定 に必要な証拠の程度」統計数理46巻1号65頁(1998年))もあれば、そうではなく 世論対策に過ぎないという指摘(津田敏秀・山本英二「柳本論文に関してのコメン ト」同1号76頁(1998年))もある。
(9) 本件は、ドイツの議論によれば、食中毒事件がすでに発生し、原因食材が特定 されていない状況であるから、妨害、すなわち、危険が顕在化しており、危険究明 介入ではなく、妨害者究明介入(Storererforschungseingriff)が問題となる(Os- senbuhl,Staatshaftungsrecht,5.Aufl.,1998,S.401ff.)。そして、外見上の妨害者 かどうか等によって補償の要否が決定される(vgl.Pieroth/Schlink/Kniesel, Po- lizei und Ordnungsrecht,2002, 4Rn.47ff., 9Rn.20ff. und 22Rn.15ff.;
Rachor, in : Lisken/Denninger(Hrsg.), Handbuch des Polizeirechts,3. Aufl.,
2001,L Rn.42ff.拙稿「危険の予測とその防止手段に関する一考察」佐藤英善・首
藤重幸編『行政法と租税法の課題と展望』(2000年・成文堂)181頁以下参照)。
(10) この詳細は、邦語文献としては、ルーマン(佐藤勉監訳)『社会システム論
(上)』(1993年・恒星社厚生閣)214頁以下及び馬場靖雄『ルーマンの社会理論』
(2001年・勁草書房)44頁以下参照。
(11) それゆえ、事実そのものの選択と評価も同時に行われることになるが、この点 に関しては、宮川公男『意思決定論』(2005年・中央経済社)87頁以下を参照。
(12) Ossenbuhl, Umweltpflege durch behordliche Warnungen und Empfehlun- gen,1986, S.58f.なお、オセンビュールは、この二つに加え、 主張(Appelle)」
も区別して取りあげるが、本稿では、価値判断や意見表明自体がその文脈を背景と して主張を含むあるいは含みうるから、あえて明示的に主張という要素を別個にと
早法 81巻3号(2006)
158
りあげる必要はないと考える(Vgl.Danwitz, Anm.6, S.21ff.)。
(13) たとえば、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律9条参照。
(14) 食品衛生法63条は、 食品衛生上の危害の発生を防止するため」、同法及び同法 に基づく処分に違反した者を公表し、危害状況を明らかにするよう努めることが規 定され、軽微で直ちに改善された場合を除き、同法違反で処分ないし書面による行 政指導を受けた者は処分・書面による行政指導の後速やかに、氏名及び住所、対象 食品・施設等、処分・行政指導の理由とその内容及び措置状況について、報道発 表・ホームページ掲載等により、公表するものとされている(厚生労働省医薬局食 品保険部長通知、2002年9月6日・食発第0906001号参照)。
(15) たとえば、東京都消費生活条例10、45、49及び50条、また、神奈川県消費生活 条例6、7、8及び20条参照。
(16) 本稿では、この点について、つぎの指摘にとどめる。すなわち、たとえば、J AS法にみられた同法違反の表示をした場合の公表自体の規定が、近年削除されて きている。ここでは、情報公開法との関連で、行政情報の公開に具体的な根拠を要 しないとの内閣法制局の判断もあって(食品衛生研究会監修『新訂早わかり食品衛 生法』(日本食品衛生協会・2004年)335頁参照)、いわば実効性担保手段としての 公表というよりも行政機関の活動情報の提供(公表)として特段の作用法上の根拠 は必要ではないとされているが、今後、詳細な検討を要するものと思われる。
(17) Richtlinie2001/95/EG des Europaischen Parlaments und des Rates vom3. Dezember2001uber die allgemeine Produktsicherheit.
(18) Vgl.Stoll, Anm.2, S.226f.その他、作業道具・家庭用品安全法(Geratesi- cherheitsgesetz)6条1項2文も同様の規定をおいている。また、ドイツ薬事法
(Arzneimittelgesetz)69条4項により、薬学の認識からは是認することのできな い有害な作用が薬品の使用により生じる十分な疑いがあるときは、連邦行政庁は当 該薬品のリコールと共に、自ら警告的公表をすることができる。
(19) Europaische Lebensmittel‑Basis‑Verordnung―Verordnung(EG)Nr.178/
2002DES EUROPÄISCHEN PARLAMENTS UND DES RATES vom 28. Januar2002zur Feststellung der allgemeinen Grundsatze und Anforderungen des Lebensmittels,zur Errichtung der Europaischen Behorde fur Lebensmittelsi-
cherheit und zur Festlegung von Verfahren zur Lebensmittelsicherheit.同規則40 条では、リスクアセスメントを担当するEU食品安全機関は、自発的に公衆とのコ ミュニケーションを図ることができ、各種情報について客観的で信頼でき、容易に アクセスできるようにすると規定されていることも、注目されるべきである。ま た、EU法を含めて、消費者の情報請求権等に関しては、Huber, Meldepflichten, Information und Warnung, ZLR2004, S.241;Schroeder, Der Informationsan- spruch des Verbrauchers, in : Streinz (Hrsg.), Verbraucherinformation und Risikokommunikation,2004, S.338も参照。
(20) Zipfel/Rathke, Lebensmittelrecht Loseblatt‑Kommentar, Bd. II,101, Art.
危険ないしその不確実性情報の公表に関する法的考察(下山) 159
10, Rn.2(Stand Marz2004). (21) Zipfel/Rathke, Anm.20, Rn.12. (22) Zipfel/Rathke, Anm.20, Rn.17f.
(23) その他、バーデンヴュルテンベルク州は、後述するビアケル事件後、1991年7 月9日の食品日用品法施行法の改正(AGLMBG,Bad.‑Wurtt.GBl.1991,S.473)
により、明示的に警告的公表を導入し( 13w AGLMBG)、その後、ブランデン ブルク州( 12Ag LMBG BB)、テューリンゲン州( 9Thur AG LMBG)、ザク セン州( 41Sachs LMBG)でも同種の規定が定められている。また、連邦消費 者情報法案6条も同様であった(BT‑Drs.14/8738,14/8992,14/9065; BR‑Drs.
210/02)が、成立していない。
(24) これらの詳細は、Schretter,Verbraucherschutz in Bayern nach dem Gesund- heitsdienst‑und Verbraucherschutzgesetz(GDVG), in :Streinz(Hrsg.), Anm.
19, S.143参照。
(25) BVerfGE105,252.
(26) Bethge, Zur Verfassungsrechtlichen Legitimation informalen Staatshan- delns der Bundesregierung,Jura2003,327;Huber,Die Informationstatigkeit der offentlichen Hand, JZ2003,290;Murswiek, Das Bundesverfassungsgericht und die Dogmatik mittelbarer Grundrechtseingriffe, NVwZ 2003,1;Ohler, Anmer-
kung zu BVerfG― ,,Glykolwein“,ZLR 2002,631;Porsch, Die Macht der Information,ZLR 2003,175f.また、特に、法律の留保とのかかわりで、薬品の透
明化リスト公表事件や宗教セクトに対する警告的公表・グリコール混入ワインリス トの公表事件について紹介・分析しているものに大橋洋一『行政法学の構造変革』
(1996年・有斐閣)33頁以下、西原博史「政府の情報提供活動における 警告> と 信教の自由の保障」自治研究79巻7号144頁参照(2003年)と山本隆司『行政上の 主観法と法関係』(2000年・有斐閣)415頁以下がある。
(27) Vgl.Porsch, Anm.26, S.181.本決定を基本権の内容形成の問題としてアプロ ーチするものに、Bumke, Publikumsinformation―Erscheinungsformen, Funk- tionen und verfassungsrechtlicher Rahmen einer Handlungsform des Gewahr- leistungsstaates, Die Verwaltung37(2004),3がある。
(28) Danwitz,Anm.6,S.62ff.;Fuchs,Staatliche Warnung vor Lebensmittel,in : Streinz(Hrsg.), Handbuch des Lebensmittelrechts, Rn.264(Stand2004). (29) Vgl. BVerwGE71,183 (189ff.);90,112 (122ff.); BVerwG NJW 1996,
3161.
(30) Vgl.Maurer, Allgemeines Verwaltungsrecht,14.Aufl.,2002, 15Rn.8ff.;
Kloepfer, Informationsrecht,2002, 10Rn.78ff.
(31) Vgl.Engel,Die staatliche Informationstatigkeit in den Erscheinungsformen Warnung, Empfehlung und Aufklarung,2000 ,S.7ff.また、民事不法行為法上の
取扱いについてはWagner, MunchKommBGB,4. Aufl.,2004, 824, Rn.9ff.参 早法 81巻3号(2006)
160
照。
(32) Schlecht, Behordliche Warnung vor gesundheitsgefahrdenden Produkt, 2002, S.26.
(33) Danwitz, Anm.6, S.22.
(34) Dolde, Behordliche Warnung vor nicht verkehrsfahigen Lebensmitteln, 1987, S.9;Engel, Anm.31, S.11;Groschner, Anm.6, DVBl.1990,619 (620);
Heinzen, Anm.5, NuR1991,301 (303f.);Leidinger, Hoheitliche Warnungen, Empfehlungen und Hinweis im Spektrum staatlichen Informationshandelns, DÖV1993,925 (926);Murswiek, Staatliche Warnung, Wertungen, Kritik als Grundrechtseingriffe,DVBl.1997,1021(1027);Philipp,Staatliche Verbraucher-
information,1989, S.5;Schoch, Staatliche Informationspolitik und Berufsfrei- heit, DVBl.1991,667;Voitl, Warnkompetenzen in Bundesstaat,1994, S.27.ま た、たとえば、チフスの原因がほぼ間違いなくエンダイブサラダであるとして、販 売禁止措置とその公表が争われたものにBVerwGE12,87がある。
(35) たとえば、この警告的公表が補充的手段と明示的に示されているのは、前述の 製品安全法8条である。そして、この行政庁による公表に関する職務責任訴訟で は、危険の存否の判定における専門的な事実関係調査義務と、危険認定そのものの 正否、そして、行政による警告的公表の補充性が審査されることになる(Vgl.Os- senbuhl,Anm.12,S.47ff.;Tremml/Karger,Der Amtshaftungsprozeß,1998,S.
168ff.)。
(36) Heinzen,Öffentliche Warnung als Handlungsform?,in:Becker‑Schwarze/ Kock/Kupka/Schwanenflugel(Hrsg.), Wandel der Handlungsformen im Öf- fentlichen Recht,1991, S.167(174ff.).
(37) Schlecht,Anm.32,S.23;Heinzen,Anm.36,S.167(175);Groschner,Anm.
6, DVBl.1990,619(621).
(38) Groschner, Anm.6, DVBl.1990,619(622, Fußnote17).
(39) Bohm, Information, Empfehlung und Warnung als Instrumente des Ver- waltungsrechts, JA 1997,794;Groschner, Anm.6, DVBl.1990,619 (621);
Haussuhl,Die Staatliche Warnung im System des Öffentlichen Rechts,VBlBW 1998,90;Leidinger, Anm.34, DÖV1993,925(927).
(40) LG Stuttgart NJW 1989,2257und OLG Stuttgart NJW 1990,2610. Vgl.
Dorr, Anmerkung vom LG Stuttgart,JuS1990,842;Hummel‑Liljegren,Staat- liche Warnungen vor unschadlichen Lebensmitteln sind unverhaltnismaßig, unzumutbar und verfassungswidrig, ZLR 1991,126;Stillner, Probleme der Produktwarnung im Lebensmittelrecht, NJW 1991,1340.その他、行政機関によ
る危険ないしその不確実性情報の公表に関する裁判例として、たとえば、ホルモン スキャンダルにかかわるOLG Dusseldorf, VersR1994,96がある。
(41) Heinzen, Staatliche Warnungen als Grundrechtsproblem, VerwArch81 危険ないしその不確実性情報の公表に関する法的考察(下山) 161
(1990),532 (541ff.);Ossenbuhl, Zur Staatshaftung bei behordlichen Warnun- gen vor Lebensmitteln, ZHR155(1991),329(335).
(42) LG Gottingen NVwZ1992,98. Vgl.Fiebig, Haftung der Behorde wegen Warnung vor Verbrauchsgutern, NVwZ 1992,37.
(43) Papier,in :MunchKommBGB,Bd.5,4.Aufl.,2004, 839,Rn.199und232f.
und Detterbeck/Windthorst/Sproll, Staatshaftungsrecht,2000, 9Rn83. (44) 以上の点については、たとえば、BVerwGE87,37 (39); BVerfGE 32,311
(317);BVerwG NJW 1996,3161;Pieroth/Schlink, Grundrechte‑Staatsrecht II, 19. Aufl.,2003, Rn.810f.;Philipp, Anm.34, S.134;Robbers, Behordliche Auskunfte und Warnungen gegenuber der O ̈ffentlichkeit, AfP1990,84 (86);
Tettinger, in :Sachs, Grundgesetz,3. Aufl.,2003, Art.12. Rn.36;Schoch, Anm.
34, DVBl.1990,667(669)参照。
(45) たとえば、比例原則への不適合のため、LMBG17条違反の疑いがある場合に 警告的公表は許容されない(Heinzen,Anm.5,NuR1991,301(303);Dolde,Anm.
34, S.27)とするものもあれば、LMBG17条違反も、公共の安全に対する妨害で あるから許容される(Philipp, Anm.34, S.218ff.;Stillner,Anm.40,NJW1991, 1340)とするものがある。後者の立場に立つ、裁判所によれば事実関係情報の公表 が問題になったものとして、LG Wiesbaden NJW 2001,1977がある。このケース では、BSE牛がドイツで確認され、市場で混乱が続いている最中、ソーセージの 材料として「豚肉のみ使用」と表示されたが、ケーシングに牛の腸を使用したこと もあってか、ソーセージから牛蛋白質が検出されたため、当該製品の製造業者を特 定して、消費者に対する重大な欺 的行為であると報道発表したものである。ヴィ ースバーデン地方裁判所は、消費者のリスク決定を保障するための表示制度と表示 内容の信頼性に対する消費者の期待や利益等の視点や比例原則、とりわけ、必要性 の視点から検討した上で、「こっそり行う製品回収(ein stiller Ruckruf)」では足 りないとして、BGB824条2項に基づき職務責任を否定した。
(46) Groschner, Anm.6, DVBl.1990,619 (621);Gramm, Aufklarung durch staatliche Produktsinformation,Der Staat 30(1991),51(77ff.);Philipp,Anm.
34, S.157f.
(47) Groschner,Anm.6,DVBl.1990,619(621);Kock,Risiko‑Information―Zur Diskussion um produktbezogene behordliche Informationstatigkeit im Umwelt‑
und Gesundheitsbereich, in :Damm/Hart(Hrsg.), Rechtliche Regulierung von Gesundheitsrisiken,1993,S.215(227).この批判としては、Porsch,Anm.26 ,ZLR
2003,175(177ff.)参照。
(48) Dolde,Anm.34,S.16f.;Groschner,Anm.6,DVBl.1990,619(621);Gramm, Anm.46, Der Staat30(1991),51(78);Heinzen, Anm.5,NuR1991,301(303);
Kloepfer,Umweltrecht,3.Aufl.,2004, 4Rn.387ff.;Philipp,Anm.34,S.157f.;
Speath, Grundrechtseingriff durch Informationen,1995,S.100f.他方で、事業者 早法 81巻3号(2006)
162
や製品を特定する警告的公表がすべて介入であるはずがないと指摘するものもある
(Kock, Anm.47, S.227)。
(49) たとえば、植草益編『社会的規制の経済学』(1997年・NTT出版)158頁以下 参照(竹中康治執筆)、また、景表法改正に向けた消費者取引問題研究会『消費者 政策の積極的な推進へ向けて』(2002年11月)も参照。このような是正は、平等原 則、チャンスないしスタート地点における平等(Starck,in :Mangold/Klein/Star- ck,Anm.2,Art.3Rn.33ff.)の観点から講じられる各種表示規制などの国家によ る情報規整の一環でもあるといえる。また、基本権保護義務については、前注2の ほか、たとえば、Robbers, Anm.44, AfP1990,84(85)参照。
(50) Lubbe‑Wolff, Rechtsprobleme der behordlichen Umweltberatung, NJW 1987,2705 (2711).その有力な批判として、Robbers, Anm.44, AfP1990,84 (86) und Heinzen, Anm.36, S.178f.がある。また、リュッベ・ヴォルフが情報の非対 称性を解消するのが国家任務ではないと理解していると思われる点も批判されてい る(Brohmer, Transparenz als Verfassungsprinzip,2004, S.143)。
(51) この点は、BVerfGE105,252(256f.)参照。
(52) Kock, Anm.47, S.220und LG Gottingen, NVwZ1992,98(99).
(53) 情報の選択とその限定的妥当性という観点から介入となりうるとするものに Di Fabio, Grundrechte im prazeptoralen Staat am Beispiel hoheitlicher Infor- mationstatigkeit,JZ1993,689(698);ders,Anm.6,JuS1997,1(6);Manssen,in : Mangoldt/Klein/Starck, Anm.2, Art.12Rn.86.他方で、市場参加者に不利益と なる場合でも、基本権介入と認めないとするものにJarass, in : Pieroth/ders, Grundgesetz,7. Aufl.,2005, Art.12Rn.14a ;Wieland, in : H. Dreier, Grund- gesetz, Bd. I,2. Aufl.,2004, Art.12, Rn.81がある。
(54) BGHZ65,324(334);BGH,NJW1987,2222(2223).Vgl.Dolde,Anm.34,S.
39und44.
(55) BGH, NJW 1987, 2746; Moller, Rechtsguterschutz im Umwelt‑und Haftungsrecht,1996, S.351.
(56) Di Fabio, Anm.6, JuS1997,1(6).
(57) Vgl. Danwitz, Anm.6, S.96;Heinzen, Anm.5, NuR1991,303ff.ただし、
ハインツェンも、危険の疑いがあるとき、製品・事業者を特定しない一般的な公表 であるとき、そして、科学的話題への関与であるときは、この客観性要請の例外で あるとしている点は注目されるべきである。
(58) Vgl. Philipp, Anm.34, S.100f.
(59) BGHZ65,325(332). (60) Moller, Anm.55, S.357f.
(61) Vgl.Engel, Anm.31, S.231ff.;Gramm, Anm.46, Der Staat30(1991),51 (75);Heinzen, Anm.5, NuR1991,301(306).
(62) Gusy, Verwaltung durch Information, NJW2000,977(985f.).
危険ないしその不確実性情報の公表に関する法的考察(下山) 163
(63) この意見聴取の保障は、法治国原理から導かれ、それを適時に行うことは、比 例原則審査の枠内で、常に、より柔和な手段が同様な効果をもたらしうるかどうか の必要性審査のみではなく、事実状況の解明にも役立つ。そして、切迫した危険が ある場合にのみ、この機会を付与しないことが許容されうる(Dolde, Anm.34, S.
48ff.;Engel, Anm.31, S.231ff.;Hufen, Fehler im Verwaltungsverfahren,4. Aufl.,2002,S.294f.;Ossenbuhl,Anm.9,S.68ff.;Philipp,Anm.34,S.227ff.)。
(64) 事案は異なるがBVerwGE82,76(81,84)参照。なお、この危険概念等に関わ る近年の論考として、Gromitsaris, Subjektivierung oder Objektivierung im Recht der Gefahrenabwehr, DVBl.2005 ,535参照。
(65) OLG Stuttgart,NJW1990,2690(2693),LG Gottingen,NVwZ1992,98(99);
BVerfGE40,287 (293). Vgl.Gramm, Anm.46, Der Staat30 (1991),51 (75);
Leidinger, Anm.34, DÖV1993,925 (932);Lubbe‑Wolff, Anm.50, NJW 1987, 2705(2711);Kloepfer,Anm.30, 3Rn.117;Ossenbuhl,Anm.9,S.75;Robbers, Anm.44, S.88.
(66) OLG Stuttgart NJW1990,2690(2693);Pieroth/Schlink,Anm.44,Rn.278ff.
さらに、緊急性を加えるものに、Di Fabio, Anm.6, JuS1997,1(6)また製品等を 特定した公表についてDanwitz, Anm.6, S.101ff.参照。
(67) OLG Stuttgart, NJW 1990,2690 (2693);Berg, Die behordliche Warnung, ZLR1990,565(570f.);Di Fabio,Risikoentscheidungen im Rechtsstaat,1994,S.
442f.;Fuchs, Anm.28, Rn.272;Ossenbuhl, Anm.9, S.60ff. und S.80ff.
(68) Berg, Risikokommunikation als Bestandteil der Risikoanalyse,in :Streinz (Hrsg.), Anm.19, S.125(137f.);Di Fabio, Anm.6, JuS1997,1(6);Danwitz, Anm.6, S.100f.
(69) この平等原則における比例原則の重畳性については、Osterloh, in : Sachs, Anm.44, Art.3Rn.8ff.参照。
(70) BVerfGE105,252(272f.).
(71) この点で、連邦憲法裁判所は、NPDに関する連邦内務大臣の連邦議会での説 明の適否が争われた事案で、恣意専断禁止の観点から、知らされた事実を正確に再 現し、事実適合的にその評価を述べる義務があることを導き出している(BVerf- GE57,1(8))。
(72) Vgl.Bumke, Anm.27, Die Verwaltung37(2004),3(28f.).
(73) Danwitz,Anm.6,94ff.;Heinzen,Anm.5,NuR1991,303;Ossenbuhl,Anm.
9,S.76;ders,Anm.41,ZHR155,336ff.;Philipp,Anm.34,S.223.Vgl.auch LG Wiesbaden,NJW2001,2977.その際、拙稿・前注12、181頁以下で論じている損害
補塡方法も検討されるべきであるが、ここでは指摘のみにとどめる。
(74) Vgl.Pitschas, Anm.2, S.258ff.;LG Wiesbaden, NJW 2001,2977. 早法 81巻3号(2006)
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