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クラウドに対する
ミッドティア市場の
企業の不安を解消
スポンサー:
EMC
Laurie McCabe、パートナー
Sanjeev Aggarwal、パートナー
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2012年10月
クラウドに対するミッドティア市場の企業の
不安を解消
今日のように常にネットワークにつながっている「ハイパー・コネクテッド(超接続型)」 の世界では、テクノロジーがビジネスの成功に不可欠な要素の 1 つとなっています。経済的 価値の確立に欠かせない要素であるカスタマー・エンゲージメントの向上、従業員の生産性 の向上、革新性と差別化の創出のためには、テクノロジーが不可欠であると、あらゆる規模 の企業が考えています。しかし、IT のリソースと予算が限られているのが一般的であるミッ ドティア市場の企業では、ビジネスで必要なテクノロジーへの対応にも苦戦する場合があり ます。 クラウド・コンピューティングは、ミッドティア市場の企業がITの方程式におけるコストと 複雑さを削減し、成長に必要な柔軟性と俊敏性を手に入れるのに役立つと有望視されていま す。ただ、クラウドへの明確な道のりを描くことは必ずしも容易ではありません。つまり、 クラウドを取り巻くマーケティングの宣伝合戦をすり抜け、さまざまなタイプのクラウド・ コンピューティング・モデルのメリットとデメリットを理解し、解析する必要があります。 さらに、自社の戦略にはどのクラウド製品が最適なのかを判断しなければなりません。具体 的な判断基準として、ワークロード、パフォーマンスとセキュリティに関するニーズ、社内 のIT専門技術、現在と将来の両方において「自力で実施する」ことへの意欲が挙げられます。 本書は、クラウドに関する疑問をなくすことを目的としています。さまざまなクラウド・コ ンピューティング・モデルを調査し、それぞれが最も対応を得意とする要件のタイプを説明 します。また、クラウド・ソリューション・プロバイダに関してミッドティア市場の企業が 注目すべきポイントを検討します。セクション
1:クラウド・コンピューティングとは
クラウド・コンピューティングは、ソフトウェア、サーバ、ストレージ、その他のコン ピューティング・リソースへのアクセスを提供します。これらのリソースは、ユーザーがイ ンターネットまたはプライベート・ネットワークを介してプロビジョニングします。これら のリソースは場所の制限がないため、一般には、リソースが物理的にどこに存在するのかを ユーザーが管理する必要はなく、意識する必要もありません。ユーザーは必要に応じて IT リ ソースを取得して使用し、使用したサービスの料金を使用量に基づいて支払います。 クラウド・コンピューティングは、仮想化テクノロジーを基盤として構築されており、柔軟 なリソース・プールから IT サービスをプロビジョニングできます。仮想化によって、1 台の 物理マシンを複数の仮想マシンに分割できます。仮想マシンは、独立した物理リソースであ るかのように、それぞれ独立して他のデバイス、アプリケーション、データ、ユーザーと相 互に作用します。3
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1 台の物理コンピュータのリソースを共有しながら、別々の仮想マシンで異なるオペレー ティング・システムや複数のアプリケーションを実行できます。個々の仮想マシンは他の仮 想マシンから分離されているため、1 つがクラッシュしても、他の仮想マシンには影響はあ りません。仮想化テクノロジーを使用して 1 台のマシンを複数の仮想マシンに分割するだけ でなく、仮想化を使用して複数の物理リソースを 1 つの仮想リソースにまとめることもでき ます。その最たる例がストレージ仮想化であり、複数のネットワーク・ストレージ・リソー スを 1 つのストレージ・デバイスに見える状態にプールし、ストレージ・リソースの使用と 管理をより容易かつ効率的にします。 仮想化は、ハイパーバイザ・ソフトウェアによって可能になります。このソフトウェアは仮 想化マネージャとも呼ばれ、ハードウェアとオペレーティング・システムの間で機能し、オ ペレーティング・システムとアプリケーションをハードウェアから分離します。ハイパーバ イザは、オペレーティング・システムとアプリケーションが必要とするアクセスの量を、プ ロセッサと、メモリやストレージ・システムなどの他のハードウェア・リソースに割り当て ます。クラウド・プロバイダは、提供するサービス(ストレージ、コンピューティング、帯 域幅、アクティブなユーザー・アカウントなど)のタイプに関連した測定機能を使用して、 リソースの管理と最適化を行います。セクション
2:クラウド・コンピューティング・サービスと環境
企業は、増え続けるクラウド・ベースの IT サービスの中から選択して使用し、さまざまなタ イプの環境に導入することができます。 次に、最も一般的なタイプの「サービスとしての IT」の提供内容を図 1 に示します。 SaaS(サービスとしてのソフトウェア)は、インターネットを介して、ユーザーにソ フトウェア・アプリケーションへのアクセスを提供します。これらのリソースは、購 入、ご使用のコンピュータまたはデバイスへのインストール、更新、管理を行うので はなく、Web ブラウザ経由でアクセスして使用します。SaaS プロバイダが、ユー ザーに代わってクラウド上のソフトウェア、処理能力、ストレージを管理します。ほ とんどの SaaS ソリューションはパブリック・クラウド(後述)で実行され、サブス クリプション・ベースまたは無料サービスとして提供されています。よく知られた SaaS アプリケーションの例として、Salesforce.com、Google Apps for Business、 SAP SuccessFactors などのオン・デマンド・ビジネス・アプリケーション、LinkedIn や Twitter などの無料のソーシャル・ネットワーキング・ソリューションがあります。 PaaS(サービスとしてのプラットフォーム)は、統合されたクラウド環境で、SaaS アプリケーションの開発、テスト、実行、管理に必要なインフラストラクチャとコン ピューティング・リソースを提供します。インターネットに接続しているあらゆる ユーザーは、ハードウェア、オペレーティング・システム、データベース、ミドル ウェア、その他のソフトウェアの調達、購入、管理を行うことなく、クラウド・ベー スのソリューションを利用したり、開発したりできます。ほとんどのPaaSベンダーは、 JavaScript、Adobe Flex、Flashなど、従来のプログラミング・ツールよりも使いやす いツールを提供しています。ユーザーは、開発環境を所有しておらず、管理してもい ませんが、自身が開発し、それを基盤として展開するアプリケーションを管理します。 比較的知名度が高いPaaSプロバイダとして、Google App Engine、Windows Azure、 SalesforceのForce.comが挙げられます。4
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IaaS(サービスとしてのインフラストラクチャ)は、処理能力、ストレージ、ネット ワーク、その他の基本的なコンピューティング・リソースをプロビジョニングするた めの、ホストされたITインフラストラクチャをユーザーに提供します。IaaSプロバイ ダは、このインフラストラクチャの実行と管理を行い、ユーザーは、それを基盤とし て、自身で選択するオペレーティング・システムとアプリケーション・ソフトウェアを 実行できます。IaaSプロバイダの例として、Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)、 Verizon Terremark、Google Compute Engineがあります。図 1:クラウド・コンピューティング IT サービスの提供内容
出典:SMB Group、2012年
これらのクラウド・サービスは、図 2 に示すように、次のタイプの環境で提供できます。 パブリック・クラウドは、おそらく、現在最も広く知られており、使用されているク ラウド環境です。パブリック・クラウドは、サード・パーティのクラウド・プロバイ ダによって構築、管理、維持され、サーバ、ストレージ、ネットワーク・インフラス トラクチャ、アプリケーションは加入者間で共有されます。その名前が示すように、 パブリック・クラウド上のサービスを購入したいユーザーは誰でも利用でき、従量価 格モデルが適用されるのが一般的です。通常は広告収入によって運営されている無料 のパブリック・クラウド・サービスも利用できます。パブリック・クラウドは、通常 はセルフ・サービス型であり、ユーザーは、使用したいリソースを自身でプロビジョ ニングします。5
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プライベート・クラウドは、1つの組織専用であり、インフラストラクチャ上のすべて のリソースが特定の企業に属しています。プライベート・クラウドのインフラストラ クチャは、物理的に組織のファイアウォール内に配置する場合と、サード・パーティ のホスティング・ベンダーのサイトに配置する場合があります。プライベート・クラ ウドを自社で管理するか、サード・パーティのサービス・プロバイダに管理を委託す ることができます。どちらの場合も、通常は市販のインフラストラクチャ・ハード ウェア、ハイパーバイザ、管理ソフトウェアを使用してプライベート・クラウドを構 築し、管理します。 ハイブリッド・クラウドは、パブリック・クラウドとプライベート・クラウドの両方の リソースで構成され、内部ITスタッフとサード・パーティ・プロバイダの両方が所有者 であり、管理者です。このITインフラストラクチャのコンポーネントの一部はパブリッ ク・クラウドに存在し、残りのコンポーネントは組織の施設内に存在します。たとえば、 要件に応じて、データはプライベート・クラウド内の自社サイトに保持するが、分析処 理はパブリック・クラウドで実行する場合や、その逆の場合が考えられます。図2:クラウド・コンピューティング環境
出典:SMB Group、2012年
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セクション
3:ミッドティア市場の企業がクラウド・コンピュー
ティングを検討する理由
クラウド・コンピューティングは、迅速な問題解決、俊敏性、柔軟性のメリットをもたらし ます。このことにより、企業の期待や行動は、クラウド・ソリューションを支持する方向に 移りつつあります。限られた IT 予算とリソースに苦慮することの多いミッドティア市場の企 業では、クラウド・コンピューティングのメリットにますます関心を寄せています。クラウ ド・コンピューティングでは、従来のコンピューティング・モデルと比べて、次のようなメ リットを得られる可能性があります。 ビジネス・アジリティの向上。クラウド・コンピューティングでは、ITインフラスト ラクチャのリソースのプロビジョニングと再割り当てが、より迅速かつ容易になりま す。企業は、必要に応じて新しいアプリケーションまたはインフラストラクチャをす ばやくプロビジョニングしたり、ビジネスの条件に応じてそれらのリソースの使用規 模を変更したりできます。IaaSと統合されたPaaS開発プラットフォームを使用するこ とで、開発者は、再利用可能なツールとテンプレートを適用し、開発とテストのプロ セスの加速および合理化を実行できます。また、クラウド・コンピューティングの ユーザーも、いつでも、どこからでも、デバイスを問わず、アプリケーションとデー タにアクセスできるというメリットを享受できます。 効率性の向上。E-コマースなどの一部のワークロードでは、ピーク時に、閑散時の数 倍もの処理能力が必要になります。従来のITインフラストラクチャは、ピークとなる使 用期間に対応できるように設計されるため、ほとんどの時間は、ハードウェア容量の大 部分がアイドル状態になります。たとえば、平均サーバ使用率は、合計容量の5%~ 15%と推測されます。これに対し、クラウド・インフラストラクチャでは、必要に応じ て容量が割り当てられます。パブリック・クラウド環境では、ユーザーは、使用したと きに使用した容量の分だけ支払います。プライベート・クラウドでは、より効率的に ハードウェア・リソースを使用することで、使用率が大幅に向上し、ハードウェアのコ ストとそれに関連する管理、電力、データセンターのコストが削減されます。 コストの予測可能性と管理性の向上。クラウド・コンピューティングにより、企業は、IT インフラストラクチャやビジネス・アプリケーションなどの高価なリソースの使用を、使 用量や、実際のリソースおよび容量の要件に基づいて測定できるようになります。企業は、 必要に応じて、ユーティリティのようなモデルでクラウド・コンピューティング・リソー スを購入します。フルに活用される可能性が低いリソースへの事前の設備投資に多額の資 金を投入する代わりに、運用コストとしてパブリック・クラウド・コンピューティングを 「使用量に応じて購入」することになります。一方、プライベート・クラウドのシナリオ では、物理ITインフラストラクチャと人的なITリソースの両方を、組織全体でより効率的 に割り当てることができるため、より適切なコスト管理が可能です。 信頼性の向上。クラウドと仮想化のプラットフォームにより、ライブ移行、ストレー ジ移行、フォルト・トレランス、高可用性、分散型のリソース・スケジュール設定の 機能が提供されます。これらの機能は、アップタイムを向上させ、予期しない停止か らの迅速なリカバリを可能にします。 災害復旧対応の向上。クラウド・コンピューティングでは、本番環境の物理サーバの台数 を統合して、より低コストでレプリケーション・サイトを構築できます。レプリケーショ ン・サイトに同一のハードウェアを持つ必要がないため、より低コストのハードウェアを 配置できます。また、多くのクラウド・プラットフォームや仮想化ソリューションには、 災害が発生した場合の自動フェイルオーバーを支援するソフトウェアが含まれています。7
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最適化された品質と整合性。クラウド・コンピューティング環境は、開発と展開のプ ロセス全体にわたってエラーやバグの削減に役立ちます。仮想化によって、IT 部門は、 新しいハードウェアを使用せずにテスト環境をセットアップできます。また、事前に テストされ、標準化された構成を作成して整合性を確保できるため、不測の事態が発 生しにくくなります。パブリック・クラウドで問題が発生した場合、プロバイダはす べてのインスタンスにわたって対応策を適用できるため、より迅速かつプロアクティ ブな問題解決が可能です。 これらのメリットにより、クラウド・ベースのソリューションへの需要は高まっています (図 3)。デスクトップとサーバの仮想化、Web 設計/ホスティング、コラボレーション、 ビジネス分析などのアプリケーションでは、すでにクラウドへの移行が急速に進んでおり、 すべての分野で移行計画が増加しています。図 3:クラウドへ移行するミッドティア市場の企業
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4:パブリック・クラウドに関する懸念がプライベー
ト・クラウドとハイブリッド・クラウドへの関心を促進
興味深いことに、クラウドの支持者がメリットとして挙げることは、クラウドに懐疑的な 人々からは障害物と見なされています。これらの障害物があるために、一部の企業は、ミッ ション・クリティカルなアプリケーションや極秘データをクラウドに移動することを避けて きました。また、それが、プライベート・クラウドやハイブリッド・クラウドへの関心が高 まる要因にもなっています。 セキュリティ・リスクは、パブリック・クラウド環境を使用する場合の最大の懸念事 項です。コンピューティング・リソースが共有されるため、データがハッキングまた は盗難に遭う可能性が高くなり、不正ユーザーがアプリケーションに侵入しやすくな ることは、十分に考えられます。パブリック・クラウドを取り巻くセキュリティの懸 念は、ミッション・クリティカルなアプリケーションとデータ用のプライベート・ク ラウドのオプションの検討を促進する最大の要因となっていました。 共有環境で一貫性のないパフォーマンスも、パブリック・クラウドの使用に関連する 一般的な懸念事項の1つです。結局のところ、お客様のビジネスがリソースを奪い合う ような状況であるのに、パブリック・クラウドに十分なインフラストラクチャが提供 されていない場合は、パフォーマンスが低下する可能性があります。ただし、契約に 基づくSLA(Service Level Agreement)によって、この懸念が和らげられる場合もあ ります。 制御不能という理由で、利用を踏みとどまっている企業もあります。社内のIT部門は すべてを管理することに慣れており、サービス・プロバイダに手綱を渡すことを警戒 する可能性があります。その理由は、その能力に関する純粋な懸念である場合も、雇 用確保に関する不安である場合もあります。 実際には、ほとんどの大規模なパブリック・クラウド・プロバイダはほぼ無制限の容量を用意 しており、平均的なミッドティア市場の企業がかき集められる容量を上回っていることは確実 です。また、セキュリティ対策を強化しており、より高度な可視性と制御を求めるお客様向け に、リアルタイムの情報とプロセスへのアクセスを、より利便性の高い形で提供しています。 しかし、肝心なのは、すべての企業が自社の要件を評価し、必要な機能、価値、安心を得る ために最適なオプションがどれなのかを検討する必要があるということです。セクション
5:クラウド・ソリューション環境を選択する方法
ミッドティア市場の企業がクラウド環境のタイプ(パブリック、プライベート、ハイブリッ ド)を選択した場合、その導入には多くのオプションがあります。他のあらゆるソリュー ション分野と同様に、お客様が実行できる最も重要なステップは、選択するソリューション が、現在と将来における自社の要件を満たすことを確認することです。 ワークロード、ビジネス要件、リソースの制約によっては、パブリック・クラウドが好都合で ある傾向がありますが、条件が異なれば、プライベート・クラウドまたはハイブリッドのアプ ローチの方が好都合である場合もあります。明確なルールはありませんが、どのクラウド環境 が自社のビジネスに最適なのかを評価するときの主な考慮事項として、次の点が挙げられます。9
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新しいソリューションか、既存のソリューションのアップグレードか。ソーシャル・セ ンチメント分析や企業の業績管理などの新しいソリューションのために企業で必要にな りそうなすべてのリソースを調達、購入、展開するプロセスには、多くのリソース、専 門技術、時間が費やされます。そのどれかが十分に得られない場合は、パブリック・ク ラウドが第1候補になります。その反面、会社の財務管理をアップグレードする場合は、 このようなリソースや能力が問題になる可能性は尐ないと思われるため、より効率的な プライベート・クラウドへのアップグレードの移動が最善である可能性もあります。 ビジネスにおけるソリューションの重要性。ワークロードがミッション・クリティカ ルで差別化されたものである場合は、ソリューションのカスタマイズ、構成、アップ グレード、管理、その他の領域で、より大きな制御を行使できるように、プライベー ト・クラウドまたはハイブリッド・クラウドのモデルを選択するべきです。たとえば、 高度にカスタマイズされた物流または調達のシステムによって、明らかな競争優位性 を得ているケースです。対照的に、メールはビジネス・クリティカルですが、競争優 位性を得るための手段として使用または重視されることはほとんどありません。した がって、パブリック・クラウドの使用は、極めて実用的なオプションと考えられます。 ソリューションの本番稼働までの時間に関する要件。新しいソリューションの本番稼 働までの期限が厳しい場合、必要なリソースを数分以内に使用できるパブリック・ク ラウドには、明らかなメリットがあります。
データの機密性。極秘データや機密データを保護する必要がある企業は、追加の保護 対策を導入できるプライベート・クラウドが望ましいと考えるでしょう。状況によって は、ハイブリッドのアプローチを選択し、アプリケーションをパブリック・クラウドで 実行して、データをプライベート・クラウドに格納するという方法が考えられます。
トランザクション量と更新頻度。パブリック・クラウド・ソリューションは、大量の トランザクションが発生するアプリケーションを使用する企業に役立つ場合がありま す。特に、年間の特定の時期にピークが発生する場合は効果的です。その例として、 E-コマースでのギフト・シーズンの要件が挙げられます。パブリック・クラウド・ソ リューションでは、これらのピーク期間のリアルタイムのパフォーマンス要件に合わ せて、よりコスト・パフォーマンスの高い方法でスケールアップやスケールアウトを 行うことができます。セクション
6:クラウド・サービス・プロバイダの選択
使用するクラウド・プロバイダの決定は、ある程度、前述の意思決定プロセスの結果と、パ ブリック、プライベート、ハイブリッドのどのクラウド・アプローチを選んだかによって異 なります。たとえば、既存の ERP をプライベート・クラウドに移行する場合は、プライベー ト・クラウドにおけるその特定のアプリケーションの展開と構成に実績のあるプロバイダが 望ましいと考えるでしょう。 通信事業者からホスティング・プロバイダ、従来のアウトソーシング企業など、サービス・ プロバイダにもさまざまな「タイプ」がありますが、ミッドティア市場の企業は、自社の ニーズにプロバイダがどのくらい的確に対応できるかを調査する必要があります。大規模な エンタープライズ企業を主なターゲットとするサービス・プロバイダもあれば、より小規模 な組織に特化しているサービス・プロバイダもあります。 ただし、いくつかの一般的な考慮事項も重要であるため、それらを図 4 に示します。10
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図 4:クラウド・サービス・プロバイダの選択に関する考慮事項
出典:SMB Group、2012年
評価基準 注目するべき対象 アップタイム 最低 99.9%のアップタイムを SLA で保証 システム停止からの復旧時間に関する SLA プロバイダが SLA を満たせない場合の金銭的なペナルティ インフラストラクチャ サポートされる仮想化テクノロジーとベンダー プライベート・クラウドへの移行に関するサポート(一般には VMware ベース) お客様が使用する特定のビジネス・アプリケーションがコンピューティング・シス テムでサポートされている(特に高パフォーマンスまたは大量トランザクションの サポート) バーチャル・ストレージ・ソリューションの拡張性、パフォーマンス、統合 変更管理 スケジュール設定された保守、アップグレード、セキュリティ・パッチに関して定 義され、ドキュメント化された変更管理プロセス セキュリティとモニタリング 物理(データセンター)および仮想のセキュリティおよびモニタリングについて定 義され、ドキュメント化された実践手順 不正な物理アクセスおよびデジタル・アクセスに対する保護 他のユーザーからの感染に対する保護 サービス停止とデータ消失に対する保護 バックアップとアーカイブ バックアップ/アーカイブ・データのパラメータと場所 アーカイブ方法、使用するバックアップ・ソリューション、データへの直接アクセ スが必要な場合に企業のバックアップ・アプリケーションに適合しているかどうか を制御するために、データの所有者としてのユーザーに提供されるオプション ユーザーのデータに関するバックアップ・スケジュールと災害復旧計画 特定のバックアップ/アーカイブ手順に責任を負う担当者の明確化 相互運用性 マルチ・プラットフォームのオペレーティング・システム、セキュリティ・パッチ の展開、システム管理/モニタリングに関するサポートとサービス プロバイダ自身のパブリック・クラウドとプライベート・クラウド、他のパブリッ ク・クラウド、ユーザー自身のデータセンター(該当する場合)にあるプライベー ト・クラウドの間の相互運用性のサポート 移行 クラウドへのワークロードの移行を支援するサービス 社内にある仮想マシンをクラウドに移動するサービス 拡張性 CPU、メモリ、ストレージ、帯域幅、ユーザーなどの拡張または縮小の要件、サ ポート、容易さ ビジネス継続性 システム停止をサポートするための冗長データセンター 災害復旧サービス 可視性 容易にアクセスできる、パフォーマンス、アップタイム、セキュリティなどに対す るリアルタイムの可視性 オープン・スタンダード クラウドへの投資を保護し、特定ベンダーへのロック・インのリスクを軽減する、 オープン・スタンダードのサポート サービス/サポート 標準のサービス契約に含まれる内容(コミュニティ・フォーラム、ライブ・チャッ ト、電話など) それらのリソースが利用可能な時間(24 時間 365 日、その他) 利用可能なプレミアム・サービスとそのコスト 問題への対応と解決に関する SLA クラウド・サービスの計画、導入、使用を問題なく実施するために必要なガイダン スを提供するプロフェッショナル・サービスをプロバイダが提供しているかどうか ユーザーを問題なくサポートするための、技術とビジネスの専門技術を両方ともプ ロバイダが持っているかどうか11
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もちろん、プロバイダの能力を検証するには、下調べが必要です。評価プロセスの間に明確 な SLA、レポート、証明、監査情報を提供するようにベンダーに依頼し、それらを提供して もらえると考えるべきです。 一般に、標準の SLA には交渉の余地があることを覚えておいてください。たとえば、標準の アップタイム契約に不満がある場合や、より高度なテクニカル・サポートが必要な場合は、 それを契約に追加して、それらのサービスを有料で受けることができます。セクション
7:独自のプライベート・クラウドの導入と運用に関
する考慮事項
プライベート・クラウドへの関心は、特にセキュリティとコンプライアンスの要件が厳しい 業界で高まっています。しかし、プライベート・クラウドの導入、運用、管理は、従来の データセンターの運用とは異なります。その場合の評価プロセスに関する詳細な分析は本書 では扱いませんが、重要な考慮事項として次の点が挙げられます。
現在のIT組織のリソースと能力をプライベート・クラウドの要件にマップする。仮想 化への依存が高まるということは、ミッション・クリティカルなアプリケーションと ワークロードを仮想化環境に移動するケースが増えることを意味します。仮想化に よって物理サーバの台数は減りますが、仮想サーバ・インスタンスの数は増える可能 性が高くなります。仮想化に関する社内の経験が限られている場合は、プライベー ト・クラウド環境特有の新しい管理のアプローチを確立するためのトレーニングと教 育に投資する必要があるでしょう。特に、IT部門は、サービス・モデルとSLAに合わせ て、セキュリティ、アプリケーション、サーバ、ストレージ、ネットワーク、運用を 調整し、協調させる必要があります。そのタスクに追加する必要のある能力を評価お よび特定し、ギャップを埋めるための採用やトレーニングを実施します。 ビジネス上の利害関係者を早期に関与させる。ユーザーが求めるサービス・レベルを 理解し、それを計画プロセスに組み込むことが重要です。企業に課されるデータの保 存と管理に関する規制条件を考慮し、それに対応する計画を作成することも必要です。 さらに、どのアプリケーション・コンポーネントとデータがミッション・クリティカ ルであるかを判断し、それらのパフォーマンス、バックアップ、災害復旧を最適化す る必要があります。最後に、プライベート・クラウドでのアプリケーションと処理に 関して、ビジネス上の利害関係者が必要と考えている拡張要件を確実に理解しておき ます。12
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どのテクノロジー・ソリューションが自社の要件に最適であるかを評価する。まず、 プライベート・クラウドをサポートするさまざまな仮想化テクノロジーのうち、可用 性、拡張性、バックアップ、パフォーマンス最適化に関する自社のニーズに最も適合 するアプローチを採用しているのはどれであるかを評価します。効率的な高パフォー マンスのストレージ・インフラストラクチャは、サーバのパフォーマンスの向上およ び追加のバックアップ要件に対応するために不可欠なコンポーネントです。また、既 存のアプリケーションとワークロードを仮想マシンに移行するとどのような結果にな るのかと、ミラーされたプライベート・クラウド環境がサポートされているかどうか を検討します。さらに、プライベート・クラウドをセットアップし、データとアプリ ケーションをそこに移行するために何が必要なのかを調査します。これらのタスクに 対して、ベンダーやそのパートナーがどのようにサポートを提供するのかも確認しま す。次に、管理ツールの使いやすさと、自社のスタッフが習得に要する期間を考慮し ます。ほとんどのミッドティア市場の企業にとって、統合された包括的なプライベー ト・クラウド・ソリューションを導入する方が、さまざまなポイント・ソリューショ ンをつなぎ合わせ、習得し、統合するよりも合理的です。また、環境全体の可視性が 得られやすく、レポート作成も容易です。直感的なユーザー・インタフェースや、す でに使用している他のシステムと統合できるかどうかを確認します。ソリューション は、証拠開示とレポート作成、キャパシティ・プランニング、セルフ・サービス・オ プション、ライフサイクル管理、変更/構成管理、リソース最適化、ポリシーの自動化 の機能を備えている必要があります。 TCO(総所有コスト)を計算する。プライベート・クラウドの構築に関係するハード ウェア、ソフトウェア、サービスのコストに関する明細を把握します。インフラスト ラクチャ、コンサルティング、場合によっては追加のITスタッフに対して事前の投資 を行うことになるため、プライベート・クラウドを社内に展開するための初期コスト は、サービス・プロバイダの資産を使用する場合よりも高くなるでしょう。プライ ベート・クラウドのTCO(総所有コスト)は、時間の経過とともに低くなる可能性が ありますが、これは、本書では扱わない多くの要因に依存します。 自動管理ソリューションを使用して管理を容易にする。多くのミッドティア市場の企 業にとって、ITスタッフを無制限に追加することは、現実的なアプローチではありま せん。つまり、IT部門がよりプロアクティブかつ効果的にプライベート・クラウドを 管理するのに役立つ自動管理とレポート作成の機能が必要になります。プロビジョニ ング、廃止、キャパシティ・プランニング、アラートなどの管理タスクを自動化する ことで、より尐ないITスタッフでプライベート・クラウドを管理でき、サービスも向 上します。 ミッドティア市場の企業には、この分野での計画的で体系的なアプローチが必要です。要件 と選択肢を事前に評価することに多くの時間を費やすことで、適切なソリューションと良好 な結果を得られ、長期的にはコストが回収されます。13
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SMB
G
ROUP
によるまとめと見通し
短期的には、クラウド・コンピューティングはミッドティア市場の企業に、ビジネスとテク ノロジーの主な課題(図 5)に取り組むための新しいアプローチをもたらし、最終的には、 ビジネスにおける IT の考え方と利用方法の変革をもたらします。図 5:ミッドティア市場の企業におけるビジネスとテクノロジーの主な課題
出典:「2011 Small and Medium Business Routes to Market Study」、SMB Group
クラウド・モデルがもたらすスピード、俊敏性、拡張性は、従来のデータセンターや IT イン フラストラクチャのアプローチによって強いられる限界と好対照です。その結果、クラウ ド・コンピューティングによってミッドティア市場の企業は、新しいビジネス・チャンスを 獲得し、多様化して、新しい市場に参入するための比類の無い能力を得ることができます。 しかし、クラウドは同種環境ではなく、ニーズが同じである企業や同じ道を選ぶ企業は2つ とありません。肝心なのは、企業のそれぞれが、クラウドまでの独自の行程を計画しければ ならないということです。企業の意思決定者がクラウドへの移行に着手する場合は多いもの の、クラウドと仮想化の戦略を首尾よく実施するには、IT部門のガイダンスと関与が極めて 重要です。ビジネス部門とIT部門の両方のリーダーが協力し、部門の枠を超えた作業チーム を編成して、セキュリティ、信頼性、パフォーマンスに関する要件を損なうことなく、ス ピードと柔軟性に対するビジネス・ニーズを確実に満たすことが必要です。 同時に、多くのミッドティア市場の企業にとって、クラウドは依然として未知の領域です。