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環境温度と運動負荷試験時の心拍数,血圧,皮膚血流

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262 米子監誌

J

Y onago Med Ass 42, 262-268, 1991

環境温度と運動負荷試験時の心拍数,血圧,皮膚血流

鳥取大学医学部公衆衛生学教室(主任能勢隆之教授)

黒沢洋一・大城等・岩井伸夫・

飯塚舜介・能勢隆之*

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仰 が ABSTRACT Twelve healthy men performed graded leg exercise (25W -125W) at different ambient temperatures of 16, 21, 26 and 310 C. Heart rate (HR), blood pressure (BP) and forearm skin blood flow (FSBF) were measured during exercise. The increses in HR and FSBF during exercise at 310

C were greater than those at lower temperatures. There were no significant differences in HR and FSBF during exercise between at 21 and 160

C.Systolic blood pressure during exercise at 160 C was higher than that at 310 C. Six subjects with exercise habits were compared with 6 subjects without exercise habits with regard to狂R, BP and FSBF during exercise at each ambient temperature. HR during exercise in the subjects with exercise habits was lower than that in the subjects without exercise habits. There were no significant differences in BP and FSBF between the two groups. 今日運動医学に関する関心が高まり,運動負荷 試験は体力や循環器疾患の評価などに重要な位置 を占めている.しかし,適切で安全な運動負荷試 験のためには主体的因子や環境因子等さまざまの 条件を考慮、して行なう必要がある.環境温度は運 動時の循環動態に大きな影響をあたえると考えら れる.Nielsenら6)は5-30oCの環境温度では,直 腸温の上昇は運動強度によって決まり,環境温度 (Accepted on March 5, 1991) の影響を受けないと報告している. Dillら4)は 温が一定温度 (200 C付近)までは,運動中の心拍 数は環境温度の影響をうけず,環境温度がそれよ り高い場合には環境温度の上昇に応じて心拍数が 増加すると報告している.以上のような報告があ るが,さまざまの環境温度下での運動中の心拍数, 血圧,皮膚血流を同時に測定した報告はその測定 方法の困難さもあって少ない.

(2)

潔境温度と運動持の心拍数仮庄,皮!議JIfl流 今回我々は

4

段階の環境温度を設定し,自転 車エルコ守メターでgradedleg exerciseを行った ときの心拍数,血圧,皮膚血流の変化を比較した ので報告する.また,運動習慣のある人とない人 で運動時の心拍数,血圧,皮膚血流の差を調べた ので報告する. 対象と方法 医学部の男子学生12名を対象とした.平均年齢 は24.2歳であった.着用衣服は半袖丸首Tシャツ とした.運動習慣ありとは,週3日以上1回1時 間以上の運動を行なっている人とした.運動菅慣 のある対象者は6名であり,平均年齢23.0歳であ った.運動習'慣のない対象者は6名で,平均年齢 は25.3歳であった. モナーク社製自転車エルゴメターを用いて,立 イ立で、多段階斬増式の運動負荷を行った. 1分間の ウォーミング後5分間休憩し, 50Wより運動をは じめ, 25Wずつ増加していき, 125Wまで運動強度 を増加した. 1段階の運動時間は3分間とした. ペダルの回転数は50rpm とした. 測定項目は心拍数,上腕収縮期および拡張期血 圧,前腕皮膚血流とした.心拍数,上腕血圧は運 動負荷用血圧監視装置 (CM-4001) をもちいて 3 分毎に測定した.前腕皮膚血流はlaser-Doppler

HR

(beats/min) 150 140 130 120 110 100 90 80 70 50

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必ゴ 1OOW 75W 50卜 5OW flowmetry (Advance)をもちいて,肘下方3cmの 位置で測定した. 温度の設定は,運動負荷試験の検査室の温度条 件として18'C-22'Cが良い1)とされているので, 21'Cを最適温度として,中性温度としてお℃を, 低温条件として16'C,高温条件として 31'Cを選ん だ. 4月- 5月に 16'Cまたは 21'C, 5月-6月に 26'Cまたは 31

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で実験した.相対温度はいずれも 50%とした.設定温度になれるため,人工気候室 に入室して 1時間安静にした後,上記のように実 験を行なった. 環境温度による差を心拍数,上腕収縮期血圧, 拡張期血圧,前腕皮膚血流について比較した.ま た,運動習'慣のある人とない人で運動時の心拍数, 血庄,前腕皮!脅血流量について比較した.尚,こ の実験は,矩時間の運動であるので発汗の影響は 無視した. 多 重 比 較 の 統 計 的 有 意 差 の 検 定 は Kruskal-Wallisの方法で検定し,さらに 2群の比較には Tukeyの方法を用いた.運動習慣のある人とない 人の2群の比較には, Wilcoxon rank sum test を用いた.存意水準はp<0.05とした. 結 果 12例のそれぞれの環境混度下での運動中の心拍 125W イ

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2 3 4 5 6 7 8 9 1 0 1 1 1 2 1 3 14 1 5 1 6 1 7 18 min Fig.l Heart rate (HR) during graded leg exercise in different ambient temperatures(ムー16'C

口一

21'C

0

…26'C x…31'C)

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264 BP (mmHg) 180 170 160 150 140 130 120 110 100 90 80 FSBF 黒沢洋一・大城 等・岩井伸夫・飯塚舜介・能勢隆之 Systolic blood pressure Diastolic blood pressure 4 5 6 7 9 1 0 1 1 1 2 1 3 1 4 1 5 1 6 1 7 1 8 mln Fig.2Blood pressure (BP) during graded leg exerCIse in different ambient temperatures (ム-160 C

口一

210 C 0…260C x

31"C) (ml/ min/ 1 OOml) 12 11 10 ヨ 8 7 6 5 4 3 2 O

2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 Fig.3 Forearm skin blood flow (FSBF) during graded leg exercise in

different ambient temperatures (ム-160

C

-210

C 0-260

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(beats/min) 170 160 150 環境温度と運動時の心拍数,血圧,皮膚血流

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75W -'-50W

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Fig.4Comparison of heart rate during leg exercise at 21"C between the subjects with (・) and without(0) exercise habits.

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(beats/min) 170 160 150 140 130 120 110 100 90 80

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5 0 W │ 川 100W Fig.5 Comparison of heart rate during leg exercise at 31"C between the subjects with (・) and without(0) exercise habits.

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266 黒沢洋一・大城 等・岩井伸夫・飯塚舜介・能勢隆之 、B a J m n U F 山 口 ︼ c u ↓ F 町 0 m m ( i25W │OOW 8ト 75W 5OW 7

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2 3 4 5 6 7 8 9 1 0 1 1 1 2 1 3 1 4 1 5 mln Fig.6 Comparison of forearm skin blood flow during leg exercise at 21.C between the subjects with(・)and without(0) exercise habits. FSBF (ml/min/IOOml) 14 13 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2

。。

2 3 4 5 6 7 8 9 10 1 1 12 1 3 1 4 15 min Fig.7 Comparison of forearm skin blood flow during leg exercise at 31.C between the subjects with (・) and without(0) exercise habits.

(6)

環境温度と運動時の心拍数,血圧,皮腐I血流 数の変化を図lに示した.安静時は, 31'Cで他の 環境担度よりも心拍数が多かった.運動中は,心 拍数は運動強度とともに直線的に増加しているが, 31

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で他の環境温度に比較して心拍数は有意に増 力日していた.16'Cと21

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てやは差がなかった.26'C での心拍数は16'Cと21

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に比較して有意の差では ないが,増加傾向がみられた.運動中止直後は心 拍数は急激に減少し 2分後よりゆっくりと減少 し安静時の心拍数に近づいてきた. 12例の環境温度での運動中の上腕収縮期風圧と 拡張期血圧を図2に示した.運動中,上腕収縮期 血圧は運動強度とともに車線的に増加していた. 125Wの負荷時に, 31

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と16'Cで差がみられた.安 静時より16'Cの環境温度下の収縮期血圧は 31'Cに 比較して有意に高い傾向がみられた.拡張期血 は初期にはほとんど増加せず,運動強度が強くな ると増加したが,室温による楚はなかった. 運動時の前腕皮膚血流を図3に示した. 16'C, 21'C, 26'C, 31'Cでの安静時の皮膚血流は,それ ぞれ

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0 . 3, O.4土0.2,l.1士0.5,2. 0

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3.4, 1l.0土2.2m1/100 ml/minにまで増加した.安静時, 31

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の前腕皮}脅 血流量は他の環境温度下での血流よりも有意に増 加していた.26'Cにおいても, 21'Cと16'Cの環境 温に比較して皮膚血流が有意に増加した.どの環 境温でも運動中の皮膚血流は運動強度の増大とと もに増加するが,どの運動強度でも31'Cの前腕皮 膚血流量が最も多く,次に26'Cで増加した. 16'Cと 21

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では運動時の前腕皮膚血流量に蓋がなかった. 図4, 5に21'Cと31'Cの環境温度における運動 時の心拍数を運動習慣のある人とない人で比較し て示した.心拍数はどの環境温度でも運動習慣の ない人のほうが増加していた.図6,7に21

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と 31

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の環境温度における運動時の前腕皮膚血流量 を運動習慣のある人とない人で比較して示した. 皮膚血流はどの環境温度でも 2群間に有意の差が なかった.収縮期と拡張期血圧は, どの環境温度 でも

2

群聞に有意の差がなかった. 考 察 人の運動中の皮膚鼠流は,その非観血的測定方 法が困難なためあまり行われていない.従来, plethysmography9)法や131Xeクリアランス法2)な どが用いられてきたが,前者は皮膚と筋肉の血流 の合計を測定しており,後者は簡便におこなえる 方法とは言えない.laser-Doppler flowmetryは 筋肉の影響をうけず皮膚血流が測定でき71,運動 中の皮腐血流の測定にも使用されはじめた8) 運 動強度が増すにつれて皮膚血流量は増加した.こ. れは,運動強度が増すにつれて身体の熱産生が高 まり,熱放散のため皮膚血流量を増加させるため と考えられている.この機序については,交感神 経の緊張の低下,または皮!脅血管拡張神経の存在 が推測されているが,未だ不明である.最近, Kurozawaら5)は,神経ペプタイドを枯渇させる capsaicin処理した皮膚では,運動中の皮膚のlUI. 流増加が処理前ほど生じないことを観察し,神経 ペプタイドとの関連を推測している. 運動中の皮膚血流は31

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に比較して有意に増加 していた.心拍数も31

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で有意に増加していた. 被験者は31'Cの環境問Lでは他の撮度に比較して早 期に疲労感を訴える傾向があった.これは31'Cで は他の環境温度に比較して熱放散のための皮膚・血 流増加に対応して心拍数が増加したためと考えら れる.Dilj3)らは高温度下で自転車エルコ守メ ター を行い,体温や血中乳酸はそれほど増加しなかっ たけれども心拾が162-180屈/分になって,これが 制約四子になったと報告している. …方, 16'Cと21

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では,運動中の皮膚の血流お よ び 心 拍 数 に は 差 が な か っ た .Dillら4)は O -20'C付近までの環境温度では運動時の心拍数は 温度の影響を受けないと報告しており,今回の結 果と一致している.これは, 16'Cと21'Cの環境混 度では運動中の前腕血流量に差がなかったことよ り,熱放散のための皮膚への血流の再分配に差が ないためと考えられる. 収縮期血庄は, どの環境温度でも運動強度が増 すにしたがって直線的に上昇した.31'Cと16'Cで は収縮期j血圧に差がみられた.これは環境温度の 違いによる末梢血管抵抗の差のためと考えられる. 拡張期血圧は,運動の初期はほとんど上昇しない が,運動強度が増すにしたがって軽度上昇する傾 向がみられた.収縮期血圧では環境温度により楚 がみられたのに対し,拡張期血庄では環境温度に 差がみられなかったことについては不明であるが, 拡張期鼠圧の非観血的な測定方法の問題があるの かもしれない. 以上のように16'C,21'C, 26'C, 31'Cの環境温 度でも運動中の心拍数,上腕血圧,前腕皮膚血流

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268 黒沢洋一・大城 等・岩芥伸夫・飯塚舜介・能勢陵之 に差がみられた.ある温度 (21

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-26'C)以上に なると熱放散のための皮潜血流量が増加し心拍数 もより増加する.従来行なわれている運動負荷試 験を考えると,基準の18'C-23'Cの範囲ではther -mal stressの影響が少なく運動時の心拍数は環境 温度の影響をほとんどうけないといえる.しかし, これ以上の環境温度ではthermal stressの影響 を受け, 18'C-23'Cでの運動負荷の結果をそのま まあてはめることはできないといえる.運動負荷 試験においては環境温度の設定・管理は重要で、あ り,その目的に応じて環境温度を設定する必要が あろう. 運動習慣のある人とない人の比較では, どの環 境温度でも心拍数は運動群が少ないが,前腕皮膚 血流では2群に有意の差がなかった.体温維持の ための皮膚血流増加には運動群と非運動群で差が ないが,運動習慣のある人では運動習慣のない人 に比較して少ない心拍数でその皮膚血流増加に対 応できるといえる. 結 語 健康な12人の男性について環境温度, 16'C, 21"C, 260 C, 310 Cでの自転車工ルゴメターによる運動負荷試 験中の心拍数,上腕収縮期血圧,拡張期血圧,前腕皮 !爾血流を比較した .31'Cで,心拍数と前腕皮膚血流は, 他の環境温度に比較して有意に増加していた .16'Cと 21'Cでは差がなかった.収縮期血圧は, 160 Cで有意に 上昇していた. 6人の運動習慣のある人と 6人の運動 習慣のない人を比較すると,心拍数は運動習慣のある 人のほうが低かったが,前腕皮膚血流では差がなかっ た 文 献

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