綜
説
傑三野三王1三三)
皮膚とビタミン
東京女子留學降砂學校皮膚科學教室教授中村敏郎
ナカ ムラ トシ ヲ 一般にビタミンの薄湿乃至不足,或は過剰に際して入興は色々の影響を受け∼その結果種々(p症欣 が誘襲されるのである。就中皮膚への膨化は直接肉眼で精細に観察し得る鮎で極めて明瞭である。そ .れ故讐學方面に於けるビタミン研究の樹照としで,皮膚への攣化を観察することは興味もあり,併も 重要なことである。この意味で,妓に私は特に皮膚に關係ある各種ビタミンに就いての研究業籏の一端を紹介し,併せて細迄柳か私共醗桝破婚瀬域に鄭る附的慮職績を編して述べて
みたいと思ふのである。猛ビタ・綱・の灘撫幽勺事項明媚略し・肝腫凱ビ・・γをAB噸に射て・
夫々の皮膚への作用,臨林的効果等を述べてみる心算である。其他に皮膚のビタミン吸牧作用,皮膚 ノ疾患への豫防爆効果などに細してぽ,他日報告し得る機會があ臼うと考へてるる。 (1) Vitamih A 上皮細胞庇護ビタミン 〔不足一鞭乏の場合〕 皮膚は脂肪の努泌が仰制せられ,表皮は乾燥,落屑,肥厚,載裂,毛嚢性角化異常を起し,毛髪も 亦乾燥し裂毛,冬毛を來す。又皮膚の細菌感染が容易となり,殊に各種の膿皮症例へば毛嚢炎,膿痂 疹,痙瘡等を生ず。 廉瀾面,潰蕩に於て底上皮及び肉芽形成が不充分で治癒機蒋が遅れ為。猶,疹癬,小芽胞菌症等に罹患し易く,癩の感染素因になると云ふ報告もある。又,妊婦のVitamin A不足の場合に胎児は
屡々胎脂を招くと云ふ。 〔過剰の場合〕 却って皮膚に障害を起し,脱毛,聞擦疹様攣イヒ,滅疹,手掌の炎舞性丘疹等の認められるごとがある。 〔皮膚科領域への慮用〕 まつ維口的に皮膚結核,凍瘡,痙瘡等の場合に用ぴるが,特に肝油の型で内服することが多い。叉皮膚結核に賞揚されるGersOn無臨食餌療法に於ては必ず燐肝油が併用されてるる。次に外用して
はそめ殺菌作用と細胞の酸化現象による肉芽形威作用とから火傷及び凍瘡に基く廉繭や潰瘍,その他の慢性潰瘍,孚隣職裂,B・・i・氏硬藩誰紅斑,壌疸駈疹」VI結核疹腺離苔癬なE’lg用ふ。この場 合にも肝油の儘使用するか,叉な肝油1,ワゼリン3,或は20%肝油軟膏として用に供するのである。 (2)Vitamin. Bゴ抗神経炎性ビタミン 〔不足一一一一tw乏の場合〕 艦丙の炭水化物代謝に關係してその際の酸化作用に失調を來し,.有害なる中問産物の生成は血液ア チド■一一一シスをも招來し,この結果皮膚の感受性は昂進し,種々¢)アレルギー性皮膚疾患の温床となり, 奪麻疹,皮膚癌痒症,痙瘡,幼兇脱毛等に屡遭遇するのである。 ’,叉,心議機能障害に起因しては水代謝作用に異常を來し,皮膚は黄色調を帯び,艶がなくなり,屡 k美容上の1忌みを醸すに至る。 〔過剰の点食〕 喜々に嫉験維がなv、が,帯状萢疹を、認めたとの報告がある。 〔皮膚科領域今の耐用〕 上述の如きB1の生理作用から番明かな様に, B1の投與は有害物質の獲生を防ぎ,肝臓機能を高め
て騰面骨乱し・抗アレ輝一幽・作用ずる故・翻疹薄歯髄癖踊扇・、帷小魚雛
指話角皮症等に用ぴら解,更に内分泌機能を促進し,アセチールビヨリシの作用を補彊するので,圓 形禿髪症の場合のアセチ』ルビヨリン療法に併用する。又尋常性白斑に用ぴて奏効することもある。. (3) Vitamin B2篠合艦 Vi七amin BかちB,を除い㍗熱に比雷雨安定な部分で,複合騰として種々(p因子を含んでみる。恥・D高詠灘因子(Vitamin
ユしak亡oflavin)2)撚ラダラ性断(Nic卿酸>3)・嫉
膚炎性因子(Vitamin B6, Y因子,1因子a Adermin, Pyridoxin等と濾過性抗皮膚炎性因子(F, F因子)なるPan施σten酸あの。4).抗貧血1・Xk因子くHamogen)5)抗白毛性因子, ’16)W因子,等 約12種の因子を有す。就中,B2複合膿中の各種の抗皮膚炎性因子は協同して抗皮膚炎性因子としで の主要なる役割を慮るのであって,皮膚との關係は密接なものである。 〔不足一敏乏の場合〕 、一ハに膿の成長が阻害されるが・皮膚は艶を失ひ・落胤乾燥粗羅と零り・屡々口角炎,ペラグラ 様皮膚炎を起し,一般に感受性が高くなるのである。 〔遇剰の場合〕 :不詳 〔皮膚科領域への慮用〕 多方面に使用されて良い数果を學:げてるるが,・その主なものは次の様な場合である。B2 Laktofla− vin)を多形滲出性紅斑,口内炎,口角炎, L・in・・民剥脱性紅皮症,ペラグラ,乾雛中毒疹,凍瘡 等に用ひ,.ニコチン酸を各種の日光性皮膚炎,紅斑性狼瘡,ロ内炎:,叉ペラゲラには特敏的数果があ 一 2・ 一一
3
るが,その紳経症歌には必ずしも奏数せず,寧ろB,複合艦と’して更にB全膣の投與が有敷であ
る。 B6は抗皮膚炎性因子として蛋白質代謝に關係し,過敏症を防止し,ヒスタミンの解毒作用がある 竜のとして,漁疹,蓉麻疹,小児スFPフルス,多形滲出性紅斑,酒麟,口内炎凍瘡等に使用されて るる。パントテン酸も亦之と略記檬に,一義疹,慧麻疹,凍瘡,小児ストnフルス,魚鱗癬等に推奨し 得る。 倦て是等抗皮膚炎性因子の中B6とパントテン酸は共に最近治療舞皇に登場したものであって,殊 にパントテン酸を臨抹的に使用したのは創めての試みであうた。これ等に就ては更に詳細を表示して 設朋しよう。 第一表 パントテン酸(dlパソトテと酸カルシウム)使用皐例 病 名著効
有効
無効.6
9
3
0
5
2
0
2
1
2
5
2
1
3
0
3
未決定 } 急 性 灘 暴 慢 性 灘 疹脂 漏 性 灘 疹
急 性 藝 麻 発
送 性 蓉 麻 疹
人工性旧記 疹
固 定 毒 胱 疹
皮 膚 神 脛 症
皮 膚 蜜 痒 薄
暮 、 疹小兜ストロブルス
乾 癬 魚 鱗 癬 凍 』 瘡多形滲出性紅斑
白 、 髪 0 1 0 1 1 0 0 0 0 0 4 0 0 3 0 0 13 20 1 1 8 1 0 1 0 1 22 1 1 0 0 0 11 8 0 0 7 1 1 0 0 0 19 2 2 0 1 0計
〔備考〕 使用量 成入 1日量 小児 ク 幼見 〃 到 定 (内服) 1−3日 著効 7日 有効3週以上無効
10 70 44 15−20mg(内服) Lcc(30mg)(注射) 10mg 112量5mg ㌔量
(注確当・) 1・一3回注射 著効 3−5回 有効 5回以上 無効 52第二表 ビタミンB6使用症例 病 名
有効
無効
未決定「 急 性 慢 性脂 漏 性
急 性 奪
慢 性 …i妻 ク ヰ ソ 饗乾 性.皮
魚 鱗 凍 、漁 疹 灘 疹 灘 疹 麻 島 民 疹ケ氏三三
等 分 漏 癬 瘡 8 1 0 0 2 0 0 0 0 12 o o 3 0 0 0 0 0 0 6 4 1 0 1 2 1 1 2 1 0 〔備考〕 計 使用量 門人1日量 判 定 第一表に同じ 23 1.5mg(内服) 9 13 第1表に示す様にパ/トテン酸は一般に漏疹,葺麻疹,・小児ストロフルス,凍瘡等に有妓の場合が 多く,聴に急性濾疹s慢陸難癬疹,小鬼ストPtフ7vx.凍瘡に封しては從來ゐ治療法に比較して遙か に数果的であったと思はれることが少くなかった。併もこれらの疾患は詠唱判定の甥照として可成り 適切な疾患である猶,MGrgeh, Cook, Davison達の唱へる黒鼠の抗白毛性ビタミンが濾過性因子であるといふ意見
に從って,白髪の場合にパントテン酸を使用してみたが無数に絡つた。
第1表と第2表で制る様に,パントテン酸とB6とは化學的及び物理的性状を異にするにも拘らず
臨沐上には可成り似た作用を示すのであっ℃,爾者の併用によってはBrugiの藥剤併用律:の如く更
に治療敷果の長上が期待出写るのである。
更に蝕に附言したいのは,凍瘡とVitaminとの關係であって,曾ては旺んにVitamin Aの豊富
な肝油が三鷹されたが,1940年Ch。Chanipy, A・Girond, R・Coujard等が凍瘡の内因をB敏乏 に因る植物神経:炎であると云ぴ,叉1938年St, Gy6rgy竜白鼠のB6鋏乏に因る皮膚炎は外界の氣 溜の低V・場合に起り易V・といふことを観察し,凍瘡への慮用に注目したのである。.其後井上,小島等
はB6の敷果を報告し.吾kも亦B6及びパシトテン酸共に凍瘡に有数な場合を認めるが,反回に全
然無敷の場合をも繧験した。文其他のB2複合艦の諸因子例へばB,(Laktoflavin)Niko七in三等に 就ても同様のことを言びうるのである。(4)Vitamin C抗壊血病性ビタミン
人,猿,天竺鼠以外の動物は艦内で形成するので問題にはならないが, 〔敏乏一一不足の場合〕一4一
5 高度なれば壌血病を起すが,’その程度に至らない迄も,一般に出血し易く,貧血を來し,叉細菌, 温度,毒物等に樹する生禮の抵抗力が低下も,疲勢し易くなるのである。特に皮膚への症歌としては 皮下出血,病的色素沈著.tt角化異常,水萢形成などが認められる。 〔過剰の場合〕 紅斑,皮膚標記症を認めると云ふが,量的なC過剰とv・ふよりは寧ろ質的に起る場合が多い様で ある。 〔皮膚科領域ぺの謄1用〕 皮膚色素旧著に属する肝斑,雀卵斑,日焦,藥疹等に敷果があるが,・殊に副腎皮質ホルモン叉は, Viねmin B2を同時に併用して有敷である。次に所謂過敏症に於ては導麻疹,申毒疹,サルニミルサン
過三等の場合に三下舳症では鞘に封して糊する’・この作膿鄭嚇では齢力油髄
の緊密作用と血液の凝固作用の促進,骨髄に作用して小血糎の産出等によると考へられてφる6叉毛 嚢性角化症の回るものに有敷で影るとの報告がある。 (5) Vitamin D 抗何f目病性ビタミン’Vitamin Aと同様脂溶性のビ・タミンであるが, Aよりは抗熱性で, Egosterin,7−Dehydro−
cholesterin,22−DekydrGergo呂terln等に紫外線を照射して形成される。即ちVitamin D2,D,,D, が夫々乏に二二する。是等Dは要するに上皮保護作用を有するビタミンどして皮膚との關係が知ら れてみる。 〔不足:一一Eft乏の場合〕 皮膚腺の獲育が不良と.なり,’毛髪は繊細となる。表皮の形威が害はれるので歴欄や潰蕩の治癒が遽 れる。文Dはカルシウム代謝に關係があるので,この場合皮膚は過敏になり抵抗が減少する。復っ て一般に皮膚炎及び康欄を起し易くなるのである。 〔過剰の場合〕 脱毛と石工の沈着が認められてみる。 〔皮膚科領域への慮用〕 漁疹殊に小見濃疹に叉雄婦の萢疹1伏膿痂疹に内服し,外用としてはその表皮及び肉芽形成作用と細 菌慮染防止作用があるのでVitamin Aの場合と同様に,慢性潰瘍に1一一2%の軟膏として貼布する のであるQ
(6)Vitamin E抗不姓性ビタミン
Tocopherolと構する油歌物で,皮膚科領域での三三は殆んどなく,,唯皮脂漏の場合に用ぴて有敷 であると云はれてるるQ (7) Vitamin F Linol酸の如き不§三和脂肪酸で,動物實験では訣乏の場合,、尾に炎症を起して燐歌尾となり,出血壌疽,脱毛等を認めるとのことである。