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Vol.63 No.8 2009 SHINTOSHI中心市街地
の
再生
に向けて
~認定基本計画の取り組み~
連 載
1.はじめに
静岡市は、平成 15 年 4 月 1 日に旧静岡市と旧清 水市が合併して誕生し、平成 17 年 4 月 1 日に政令指 定都市に移行しました。その後、蒲原町、由比町と の合併を経て、人口 727,553 人(平成 21 年 6 月末現 在)、面積 1,411.82㎢の都市となっています。 静岡市清水区(旧清水市)の歴史は、清水港とと もにありました。戦国時代から、今川氏や武田氏な どに戦略上の要所として利用され、水運・海運の拠 点となりました。明治以降、開港場に指定され、茶 を扱う外国商社が多く置かれ、戦前まで茶の主要輸 出港として栄えました。そして、現在は、特定重要 港湾として、港湾関係の産業・海運の拠点機能を有 するとともに、港町風情を残す町並みや、港から富 士山を望む優れたロケーションを備え、海洋文化・ レクリエーション拠点として、多くの市民から慕わ れています。㛁ᴡḧ
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日本平からの眺望(清水港・富士山) また、最近は、平成 21 年 6 月に開港した富士山静 岡空港をはじめ、新東名、中部横断自動車道、清水 港の拡充など、大規模交通インフラが整備されつつ あり、交通の要衝として大きな期待が寄せられてい ます。 さらに、清水区は同区出身の漫画家さくらももこ 氏原作の漫画「ちびまる子ちゃん」の舞台として知 られているほか、日本有数のサッカー王国としても 有名で、J リーグ 1 部「清水エスパルス」のホーム タウンとしてその名を全国に轟かせています。 駿 清水港 河湾 南アルプス 静岡市の位置2.計画策定の経緯
本市では、総合計画等において JR 静岡駅を中心 とした静岡都心と JR 清水駅を中心とした清水都心 を主要な拠点として位置付けています。そして、こ の 2 つの拠点(中心市街地)の活性化を図るととも に、それぞれの特性を踏まえた機能分担と相乗効果 の創出により、市全体の持続的発展を図っていくこ とを目指しています。 中心市街地の活性化については、これまで、旧静 岡市、旧清水市がそれぞれに策定した中心市街地活 性化基本計画に基づいて取り組んできましたが、改 静岡市経済局商工部参与兼商業労政課長小長谷 重之
静岡市中心市街地活性化基本計画
(清水地区)について
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正中心市街地活性化法に基づき社会・経済環境の変 化を踏まえ、合併後の静岡市として 1 市 2 地区の新 たな基本計画を策定することになりました。 特に、清水地区の活性化の取組に当たっては、静 岡地区の活性化方針との差別化を図り、清水地区中 心市街地が抱える「弱み」(=都市機能、商業機能の 低下、居住人口の減少)を改善し、「強み」(=観光・ 集客資源の存在)を活かすとともに、「効果」(各機 能の連携、相乗効果)を最大化していくという、総 合的な視点に立った戦略的な展開が必要です。3.中心市街地の区域
清水地区中心市街地は、天然の良港「清水港」を有 し、港町及び東海道の宿場町としての歴史とともに 発展してきました。JR 清水駅や清水港を中心とした 南北に細長く伸びる約 140ha の区域には、古くから 様々な都市機能が集積しており、現在も、行政機関、 ホテル、商店街、飲食店、事業所、娯楽施設、文化 施設、公園などが集積しているものの、全国事例に 違わずモータリゼーションの進展の影響を受け、一 部都市機能は拡散する傾向にあります。4.計画の概要
オイルショック以後、造船不況やコンテナ革命の 影響により、清水の繁栄を支えてきた港湾関連の主 要産業が構造的に転換したことに影響を受け、また、 総合病院の郊外移転やバス路線の統廃合等により中 心市街地の拠点性・利便性が薄れ、加えて居住人口 の減少と高齢化や、中心市街地の大型店閉店や商店 街の業績悪化による商業機能の衰退により、清水地 区の中心市街地は急速に衰退しました。 このように清水地区の中心市街地では、「利用者、 居住者の減少」→「公共施設、生活利便施設の流出・ 縮小」→「中心市街地の都市・商業機能の低下」→ 「まち・居住地としての魅力低下」という「衰退のス パイラル」に陥っており、このままでは中心市街地 が喪失しかねない、危機的な状況となっています。 一方で、近年、港周辺の再開発が進み、いくつか の集客力のある観光交流施設が整備され、観光、交 流拠点としてのにぎわいが芽生えています。 しかし、これらの施設と商店街等の拠点との間の 連携が不十分であることから、そのにぎわいは施設 周辺に限られたものとなっており、中心市街地全体 への波及効果は十分とは言えません。 中心市街地区域図好循環
利��、居住�の�� 中心市街地の �市・����の�� 公共施設、 生活利便施設 の��・�� まち、居住地 としての ��の�� 持続的発展の スパイラル化 にぎわいの 面的シナジー目指すべき活性化モデル
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Vol.63 No.8 2009 SHINTOSHI 連 載 好循環 利��、居住�の�� 中心市街地の �市・����の�� 公共施設、 生活利便施設 の��・�� まち、居住地 としての ��の�� 持続的発展の スパイラル化 にぎわいの 面的シナジー 目指すべき活性化モデル まち全体の 一体連携 まちなか一体で… 観光・交流地 としての ��の�� 悪循環 まち、居住地 としての ��の�� 中心市街地の �市・����の�� 利��、居住�の�� 公共施設、 生活利便施設 の流�・�� 観光・交流地 としての ��の�� 衰退の スパイラル化 にぎわいの 点的芽生え 現在の状態 まち全体の つながり不足 まちなか全体では… まちなかの一部では… 以上のような衰退要因に対し効果的な対策を講 じ、構造的に中心市街地全域の活性化を図っていく 必要があるため、活性化に向けて取り組むべき 3 つ の課題を抽出しています。 <取り組むべき課題> ① 機能・活力の底上げ ② にぎわいの増幅 ③ つながりの強化 【中心市街地の主な現状データの推移】 ○休日の歩行者通行量 H3:30,190 人 → H18:8,394 人(約 72%減) ○年間小売販売額 H3:646 億円 → H16:220 億円(約 66%減)5.計画の概要
課題に基づいて設定した、「中心市街地活性化の コンセプト」「基本方針」「目標」「方策」「数値目標」 は次の通りです。 ○中心市街地活性化のコンセプト みなとまち清水 暮らし・にぎわいルネッサンス ~ひと、まち、港がつながる豊かな暮らし・にぎ わい拠点づくり~ ○活性化に向けた基本方針 基本方針 1 暮らしやすい生活基盤づくり 便利で暮らしやすい生活環境の実現を図り、暮ら し拠点としての魅力を向上することにより、まちな かに居住を推進し、安定して持続的に発展していく 活力ある中心市街地の再生を目指します。 基本方針 2 みなとまちを楽しむにぎわいづくり 最大の地域資源である港の持つ観光・レクリエー ションとしての機能を最大限に活かし、市内外から 多くの人が訪れ、地域の文化に親しみ、活発に交流 するにぎわい拠点としての中心市街地の再生を目指 します。 基本方針 3 魅力がつながる連携づくり 中心市街地における拠点間の機能的な連携や、空 間的なつながりを促進し、地域の魅力全体の発信を 図ることにより、現在の港周辺のみのワンストップ 型利用から、まちなか全体での回遊、滞在型の利用 を積極的に提案し、にぎわいの相乗効果の最大化を 目指します。 ○目標と方策 目標 1:暮らしたくなるみなとまち 方策 1 - 1 都市・文化機能の向上 方策 1 - 2 商業の活性化 方策 1 - 3 まちなか居住の推進 目標 2:にぎわいあふれるみなとまち 方策 2 - 1 観光施設機能の向上 方策 2 - 2 イベント交流機能の向上目標
指標
現況値(H19)
目標値(H25)
暮らしたくなる
みなとまち
居住人口
6,715人
7,484人
にぎわいあふれる
みなとまち
観光交流客数
(施設利用者数込)
728万人/年
800万人/年
魅力がつながる
みなとまち
休日の
歩行者通行量
8,394人/日
8,400人/日
JR 清水駅西口周辺再開発(イメージ図)SHINTOSHI Vol.63 No.8 2009