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平成24年度(第46回)臨床検査精度管理調査

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11.血液学的検査

A.全般について

 血液学的検査は赤血球、白血球などの全血算と活 性化部分トロンボプラスチン(AP T T)などの凝固 検査の2部門にて行われた。昨年度は凝固検査にお ける試料の一部に不具合が生じ、一部評価を行わな い措置に至ったが、今年度はこのような問題はなく、 評価することができた。

(1)試料

 試料は前者では加工ヒト全血2濃度(試料番号20、 21)を冷蔵状態で、後者の凝固用には基準範囲域(試 料番号22)と異常域(試料番号23)の2種類を凍結 乾燥状態にてそれぞれ配布した。試料配布にあたり 問題となったのは血液学的検査の狭義の血液学的検 査(以下CBC)では試料の溶血であり、例年どおり 直接冷気が検体に当たらないように工夫をした。凝 固用試料では蒸留水を加えた後、強力な攪拌装置に て攪拌して再構成をすると凝固因子の活性化が懸念 されたために、このような方法を極力とらないよう に指示した。凝固検査用のうち異常域試料、今年度 も抗凝固療法モニター用のワルファリン服用患者検 体を用いた。

(2)溶血に関して

 血算に対する溶血の影響は前にも述べたように懸 念されるところであるが、各施設から1)溶血が認 められない(約70%;昨年度約63.4%)、2)軽度の 溶血あり(約28%;昨年度約29.6%)、3)中等度の 溶血あり(約3%;昨年度約6.4%)、4)強度の溶血 あり(約0.2%;昨年度約0.6%)との回答を得た。 一昨年度はそれぞれ、57、31、9.8、1.2%であった ことから、3年連続で溶血の割合は低下しており、 適切な試料配布が進んでいると考えられる。  溶血による検査値に対する影響は赤血球数では当 然ながら、ヘマトクリットも低下が考えられる。血 小板数では破壊された赤血球膜断片の程度により血 小板として計測される可能性もあり若干の影響が考 えられる。一方、ヘモグロビンは溶血させて測定す るところから影響はなく、また白血球数では通常赤 血球の溶血程度では影響を受けることは少ないと考 えられる。今回の溶血についての各施設からの回答 とこのような試料間でのCBCの成績には大きな差異 は認められず、また、特に溶血が強度と報告した施 設の評価が悪いという結果は得られなかったことか ら、結論として配布した試料では溶血の報告はある ものの、今回の成績には影響がなかったと判断した。

(3)評価

 評価は昨年度と同様に項目ごとの下限CV(コンセ ンサスCV)を設定し、また評価が著しく変動する項 目については補正共通CV(報告値の表示幅の補正) による評価とした。そして表1に示すようにコンセ ンサスCVと補正共通CVを適切に組み合わせた評価 基準を設定して評価した。表1にはCBCと凝固検査 の基本統計量とともに、評価用CVを示す。

(4)誤登録、記入ミス

 従来より、回答票への誤登録、記入ミスが散見さ れるが、これは各施設が「評価せず」となることの みならず、本調査自体への影響は大きく、信頼性も 損なわれることから回答にあたっては十分に点検を 行って回答されることを希望する。インターネット 回答では万が一間違った登録を行うと警告が出る項 目もあるので、極力インターネットでの回答をする のが望ましいと思われる。 平成24年度(第46回)臨床検査精度管理調査結果報告書

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B.各項目について

(1)血液学的検査

 狭義の血液学的検査(以下CBC)は赤血球数、ヘ モグロビン、ヘマトクリット、白血球数、血小板数、 であり、MCV、MCH、MCHCの赤血球指数は参考 調査である。今年度のCBCの参加施設は3,140(昨年 度は3,114)、と若干増加した。ただし、測定不能と 回答された施設は施設数の統計から除外されてい る。表2にはCBC(試料20、21)の項目別基本統計 量を示す。 1)ヘモグロビン  本項目は用いる試薬、機器による差異はあるもの の、測定値の差異はほとんどないことは昨年度と同 様であった。補正後変動係数は試料20で1.2%、試料 21で1.4%と昨年度とほぼ同等の成績が得られた。図 1に双値図を示す。機種別分類した場合の方法内変 動は試料20で0.94%、試料21で0.89%、昨年度はそれ ぞれ0.95%、1.05%であり昨年度同様の良好な成績が 得られた。方法間変動では同様に0.83%、1.15%でこ れも昨年度のそれぞれ0.86%、0.87%と同等の良好な 成績が得られた。補正共通CVは試料20では1.16%、 試料21では1.01%であったが、評価用CVは昨年度と 項 目 試料No. 総平均 方法間CV 方法内CV 共通CV 補正共通CV コンセンサスCV 単位幅報告 評価用CV ヘモグロビン 20 21 11.291 14.228 0.83 1.15 0.89 0.94 0.75 0.73 1.16 1.01 2.0 2.0 0.1 0.1 2.002.00 赤血球数 20 21 409.517 482.418 1.39 1.31 0.94 0.97 0.79 0.80 0.83 0.83 1.5 1.5 1.0 1.0 1.501.50 白血球数 20 21 116.110 30.840 4.01 4.75 9.10 1.77 1.49 2.33 1.72 3.99 4.0 2.0 1.0 1.0 2.004.00 血小板数 20 21 15.588 32.762 8.86 6.50 2.80 4.02 3.28 2.29 3.34 2.31 4.0 4.0 0.1 0.1 4.004.00 ヘマトクリット 20 21 32.157 39.946 4.03 3.99 1.46 1.43 1.22 1.21 1.26 1.23 2.0 2.0 0.1 0.1 2.002.00 プロトロンビン 23/22 2.415 15.24 3.33 2.84 2.87 3.0 0.0 3.00 時間 INR 2.674 11.53 3.84 3.40 3.42 4.0 0.0 4.00 APTT 22 23 29.524 46.832 10.36 6.72 3.97 2.98 2.30 3.11 2.33 3.12 4.0 3.0 0.1 0.1 3.004.00 フィブリノゲン 22 23 229.185 259.759 5.32 3.60 3.74 3.61 3.17 3.40 3.20 3.42 4.0 4.0 1.0 1.0 4.004.00 表1 基本統計量と評価用CV 表2 血液検査試料(試料20、21)の項目別基本統計量 試料 番号 補正前 補正後(1回切断) 方法間 CV 方法内 CV 補正共通 CV 評価用 CV 施設数 平均 標準偏差 変動係数 施設数 平均 標準偏差 変動係数 ヘモグロビン 20 3,111 11.28 0.16 1.5 3,100 11.28 0.14 1.2 0.83 0.94 1.16 2.00 21 3,111 14.18 0.25 1.8 3,100 14.19 0.19 1.4 1.15 0.89 1.01 2.00 赤血球数 20 3,110 408.7 6.9 1.7 3,093 408.6 6.5 1.6 1.39 0.97 0.83 1.50 21 3,110 481.3 9.0 1.9 3,091 481.5 7.2 1.5 1.31 0.94 0.83 1.50 白血球数 20 3,110 115.3 5.6 4.9 3,087 115.4 4.7 4.0 4.01 1.77 1.72 2.00 21 3,110 32.8 22.7 69.2 3,085 31.0 3.1 10.0 4.75 9.10 3.99 4.00 血小板数 20 3,109 15.80 2.62 16.6 3,094 15.74 1.39 8.8 8.86 4.02 3.34 4.00 21 3,109 33.31 5.44 16.3 3,088 33.25 2.13 6.4 6.50 2.80 2.31 4.00 ヘマトクリット 20 3,109 32.00 1.39 4.3 3,089 32.01 1.25 3.9 4.03 1.43 1.26 2.00 21 3,109 39.85 1.91 4.8 3,087 39.86 1.54 3.9 3.99 1.46 1.23 2.00 項目

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174 同様に、コンセンサスCVである2%を適用した。  メーカー別の統計量を昨年度と同様に示す(表3)。 今回の結果も昨年度と同様に、メーカー間の変動係 数(CV)は1.0〜2.6%とバラツキはあるが総平均±0.15g/ dLに収束し、施設間差も少なく、昨年度と同様に一 定の標準に達しているものと考えられる。 2)赤血球数  補正後変動係数は試料20で1.6%、試料21も1.5% であった。図2には双値図を示す。  機種別分類した場合の方法内変動は試料20で 0.97%、試料21で0.94%、昨年度はそれぞれ0.98%、 1.04%であった。方法間変動では同様に1.39%、1.31% DATE= 2013/1/8 PAGE= 70 12.8 13.4 13.9 14.5 15.0 15.5 16.1 10.1 10.5 10.9 11.4 11.8 12.2 12.6 ヘモグロビン 試 料21 ヘモグロビン 試料20 検査項目: 42.ヘモグロビン シスメックスSE-9000シリーズ [15] シスメックスSF-3000 [49] シスメックスKX-21、21N [202] シスメックスK-4500 [111] シスメックスXEシリーズ [942] シスメックスXTシリーズ [925] シスメックスpocH-100i [13] シスメックスXSシリーズ [165] シスメックスXNシリーズ [25] 堀場LC170~275、LC550 [16] 堀場PENTRA60、80 [35] 堀場LC-660シリーズ、667CRP [15] ベックマン・コールターMAXM [83] ベックマン・コールターLH700シリーズ [174] ベックマン・コールターDxH800 [15] シーメンスHCD120、2120、2120i [114] アボットジャパンCD3500、3700 [21] アボットジャパンCD3200 [26] アボットジャパンCDサファイア [48] アボットジャパンCDルビー [53] 光電MEK-6108-6308 [22] 光電MEK-6318-7222 [14] 光電MEK-6400-8222 [28] 表3 メーカー別の統計量(ヘモグロビン) 施設数以外の統計量は、3SDで1回切断後のデータを示す。施設数が20以上のメーカーを対象とした。 試料番号20 試料番号21 施設数 平均 標準偏差 変動係数 施設数 平均 標準偏差 変動係数 シスメックス 2,452 11.29 0.11 1.0 2,452 14.23 0.16 1.1 ベックマンコールター 282 11.17 0.13 1.2 282 14.00 0.14 1.0 アボットジャパン 148 11.38 0.22 2.0 148 14.12 0.24 1.7 シーメンス 114 11.26 0.13 1.1 114 13.96 0.13 1.0 日本光電 66 11.28 0.30 2.6 66 14.20 0.35 2.4 堀場 67 11.13 0.21 1.9 67 13.96 0.23 1.7 全体 3,140 11.28 0.15 1.3 3,140 14.19 0.21 1.5 図1 ヘモグロビンの双値図 平成24年度(第46回)臨床検査精度管理調査結果報告書

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175 でこれは昨年度のそれぞれ1.52%、1.76%とほぼ同 様であった。補正共通CVは試料20では0.83%、試料 21では0.83%であったので評価用CVは昨年度と同様 に1.5%を適用した。  メーカー別の統計量を昨年度と同様に示す(表4)。  今回の結果も昨年度と同様に、メーカー間の変動 係数(CV)は1.0〜2.4%とバラツキはあるが総平均 ±6.8万/μLに収束し、施設間差も少なく、ヘモグロ ビンと同様に一定の標準に達しているものと考えら れる。 3)ヘマトクリット  通常の検査に用いられる新鮮血と今回のような精 度管理に用いる人工的な加工血との間にさまざまな 図2 赤血球数の双値図 表4 メーカー別の統計量(赤血球数) 施設数以外の統計量は、3SDで1回切断後のデータを示す。施設数が20以上のメーカーを対象とした。 試料番号20 試料番号21 施設数 平均 標準偏差 変動係数 施設数 平均 標準偏差 変動係数 シスメックス 2,452 409.9 5.4 1.3 2,452 483.2 5.3 1.1 ベックマンコールター 282 398.7 4.1 1.0 282 468.8 5.0 1.1 アボットジャパン 148 412.7 4.8 1.2 148 487.4 6.5 1.3 シーメンス 114 404.1 5.3 1.3 114 475.7 5.8 1.2 日本光電 66 404.1 8.7 2.2 66 473.4 9.7 2.0 堀場 67 404.7 9.7 2.4 67 475.9 10.3 2.2 全体 3,138 408.6 6.8 1.7 3,138 481.5 7.6 1.6 DATE= 2013/1/8 PAGE= 71 445 457 468 480 492 503 515 376 388 400 412 423 435 赤血球数 試料21 赤血球数 試料20 検査項目: 43.赤血球数 シスメックスSE-9000シリーズ [15] シスメックスSF-3000 [49] シスメックスKX-21、21N [201] シスメックスK-4500 [111] シスメックスXEシリーズ [943] シスメックスXTシリーズ [925] シスメックスpocH-100i [13] シスメックスXSシリーズ [165] シスメックスXNシリーズ [25] 堀場LC170~275、LC550 [16] 堀場PENTRA60、80 [34] 堀場LC-660シリーズ、667CRP [15] ベックマン・コールターMAXM [83] ベックマン・コールターLH700シリーズ [174] ベックマン・コールターDxH800 [15] シーメンスHCD120、2120、2120i [114] アボットジャパンCD3500、3700 [21] アボットジャパンCD3200 [26] アボットジャパンCDサファイア [48] アボットジャパンCDルビー [53] 光電MEK-6108-6308 [22] 光電MEK-6318-7222 [14] 光電MEK-6400-8222 [28]

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176 問題があることは今年度においても同様であり、昨年 度同様に測定原理別、機種別の分類をして集計した。  用いる試薬、機器による差異はあるものの、測定値 の差異はほとんどないことは昨年度と同様であった。 図3には双値図を示す。補正後変動係数は試料20で 3.9%、試料21で3.9%と昨年度とほぼ同様の成績が得ら れた。機種別分類した場合の方法内変動では試料20、 21はそれぞれ1.43%、1.46%であった。昨年度は1.56%、 1.98%でありやや低値となった。方法間変動では同様 に4.03%、3.99%でこれは昨年度のそれぞれ4.24%、 4.66%に比して良好の値が得られた。補正共通CVは試 料20では1.26%、試料21では1.23%であったが、評価用 CVは昨年度と同様に、コンセンサスCVである2%を適 用した。表5にはメーカー別の統計量を示す。 図3 ヘマトクリットの双値図 DATE= 2013/1/8 PAGE= 74 32.9 35.6 38.3 41.0 43.7 46.4 49.1 26.5 28.7 30.8 33.0 35.1 37.2 39.4 ヘマトクリット 試料21 ヘマトクリット 試料20 検査項目: 46.ヘマトクリット シスメックスSE-9000シリーズ [15] シスメックスSF-3000 [49] シスメックスKX-21、21N [201] シスメックスK-4500 [111] シスメックスXEシリーズ [943] シスメックスXTシリーズ [924] シスメックスpocH-100i [13] シスメックスXSシリーズ [165] シスメックスXNシリーズ [25] 堀場LC170~275、LC550 [16] 堀場PENTRA60、80 [35] 堀場LC-660シリーズ、667CRP [15] ベックマン・コールターMAXM [83] ベックマン・コールターLH700シリーズ [174] ベックマン・コールターDxH800 [15] シーメンスHCD120、2120、2120i [114] アボットジャパンCD3500、3700 [21] アボットジャパンCD3200 [25] アボットジャパンCDサファイア [48] アボットジャパンCDルビー [53] 光電MEK-6108-6308 [22] 光電MEK-6318-7222 [14] 光電MEK-6400-8222 [28] 表5 メーカー別の統計量(ヘマトクリット) 施設数以外の統計量は、3SDで1回切断後のデータを示す。施設数が20以上のメーカーを対象とした。 試料番号20 試料番号21 施設数 平均 標準偏差 変動係数 施設数 平均 標準偏差 変動係数 シスメックス 2,451 32.17 1.02 3.2 2,451 40.00 1.24 3.1 ベックマンコールター 282 32.08 0.55 1.7 282 40.32 0.59 1.5 アボットジャパン 147 30.12 1.59 5.3 147 37.50 2.22 5.9 シーメンス 114 29.81 0.51 1.7 114 37.37 0.68 1.8 日本光電 66 34.47 1.69 4.9 66 43.26 2.03 4.7 堀場 67 31.16 1.03 3.3 67 39.08 1.21 3.1 全体 3,137 32.02 1.27 4.0 3,137 39.88 1.57 3.9 平成24年度(第46回)臨床検査精度管理調査結果報告書

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177 4)血小板数  血小板もヘモグロビン等のCBC用試料20、21とし て配布した。補正後変動係数は試料20で8.8%、試料 21で6.4%であった。図4には双値図を示す。機種別 分類した場合の方法内変動は試料20で4.02%、試料 21で2.80%、昨年度はそれぞれ3.78%、3.94%であり ほとんど変わらない成績が得られた。方法間変動で は同様に8.86%、6.50%でこれは一昨年度、昨年度 に比して変動が小さくなった。補正共通CVは試料20 では3.34%、試料21では2.31%であったので評価用 CVを、4%とした。付図1-39には試料20と試料21の 測定法別分布図を示す。  さて、表6、付図1-39に示すごとく、メーカー間 の統計量は昨年度同様の差異が見られたが、今回の 試料が基準値よりやや低めとやや高めのものであっ たため、昨年度ほどメーカー間の差異はなかった。 図4 血小板数の双値図 DATE= 2013/1/8 PAGE= 73 25.2 29.3 33.4 37.5 41.6 45.7 49.8 9.6 12.1 14.6 17.1 19.6 22.1 24.6 血小板数 試料21 血小板数 試料20 検査項目: 45.血小板数 シスメックスSE-9000シリーズ [15] シスメックスSF-3000 [48] シスメックスKX-21、21N [201] シスメックスK-4500 [110] シスメックスXEシリーズ [943] シスメックスXTシリーズ [925] シスメックスpocH-100i [13] シスメックスXSシリーズ [165] シスメックスXNシリーズ [25] 堀場LC170~275、LC550 [16] 堀場PENTRA60、80 [35] 堀場LC-660シリーズ、667CRP [15] ベックマン・コールターMAXM [83] ベックマン・コールターLH700シリーズ [174] ベックマン・コールターDxH800 [15] シーメンスHCD120、2120、2120i [114] アボットジャパンCD3500、3700 [21] アボットジャパンCD3200 [26] アボットジャパンCDサファイア [48] アボットジャパンCDルビー [53] 光電MEK-6108-6308 [22] 光電MEK-6318-7222 [14] 光電MEK-6400-8222 [28] 表6 メーカー別の統計量(血小板数) 施設数以外の統計量は、3SDで1回切断後のデータを示す。施設数が20以上のメーカーを対象とした。 試料番号20 試料番号21 施設数 平均 標準偏差 変動係数 施設数 平均 標準偏差 変動係数 シスメックス 2,450 15.81 1.08 6.8 2,450 33.35 1.38 4.1 ベックマンコールター 282 13.78 0.57 4.1 282 29.75 0.81 2.7 アボットジャパン 148 18.12 0.79 4.4 148 36.78 1.35 3.7 シーメンス 114 14.13 0.37 2.6 114 31.07 0.65 2.1 日本光電 66 18.11 1.48 8.2 66 39.15 2.65 6.8 堀場 67 16.27 1.98 12.2 67 34.36 2.41 7.0 全体 3,136 15.74 1.40 8.9 3,136 33.26 2.16 6.5

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178 今回のような基準値に近いデータでは施設間、メー カー間のバラツキは少ないが、基準に外れるような 血小板減少症、増多症への対応も望まれる。 5)白血球数  白血球もその測定原理より、電気抵抗法と、光学 法があり、血小板と同様にメーカー間で差異が認め られている。  補正後変動係数は試料20で1.72%、試料21で3.99% であった。機種別分類した場合の方法内変動は試料 20で1.77 %、 試 料21で9.10 %、 昨 年 度 は そ れ ぞ れ 1.82%、3.09%であり昨年度に比し低値試料で昨年度 より悪化した。方法間変動では同様に4.01%、4.75% でこれは昨年度のそれぞれ3.44%、8.11%に比して変 動がみられた。補正共通CVは試料20では1.72%、試 料21では3.99%であったので評価用CVは昨年度と異 なり、試料20では2%、試料21では4.0%を用いた。図5 には双値図を示すが、シスメックスpocH-100iは少数 表7 メーカー別の統計量(白血球数) 施設数以外の統計量は、3SDで1回切断後のデータを示す。施設数が20以上のメーカーを対象とした。 試料番号20 試料番号21 施設数 平均 標準偏差 変動係数 施設数 平均 標準偏差 変動係数 シスメックス 2,451 115.8 4.1 3.6 2,451 30.8 3.3 10.7 ベックマンコールター 282 118.5 2.8 2.3 282 33.7 1.2 3.7 アボットジャパン 148 106.3 2.0 1.8 148 30.3 0.7 2.2 シーメンス 114 109.1 2.3 2.1 114 29.9 0.7 2.4 日本光電 66 112.7 2.9 2.5 66 31.6 1.3 4.3 堀場 67 118.6 3.3 2.8 67 33.3 1.7 5.2 全体 3,137 115.4 4.6 4.0 3,137 31.0 3.1 10.0 図5 白血球数の双値図 DATE= 2013/1/8 PAGE= 72 16 20 25 30 34 39 43 64 76 87 99 111 122 134 白血球数 試料21 白血球数 試料20 検査項目: 44.白血球数 シスメックスSE-9000シリーズ [15] シスメックスSF-3000 [48] シスメックスKX-21、21N [201] シスメックスK-4500 [111] シスメックスXEシリーズ [943] シスメックスXTシリーズ [924] シスメックスpocH-100i [13] シスメックスXSシリーズ [165] シスメックスXNシリーズ [26] 堀場LC170~275、LC550 [16] 堀場PENTRA60、80 [35] 堀場LC-660シリーズ、667CRP [15] ベックマン・コールターMAXM [83] ベックマン・コールターLH700シリーズ [174] ベックマン・コールターDxH800 [15] シーメンスHCD120、2120、2120i [114] アボットジャパンCD3500、3700 [21] アボットジャパンCD3200 [26] アボットジャパンCDサファイア [48] アボットジャパンCDルビー [53] 光電MEK-6108-6308 [22] 光電MEK-6318-7222 [14] 光電MEK-6400-8222 [28] 平成24年度(第46回)臨床検査精度管理調査結果報告書

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179 ながら、両試料とも他に比して著しく低値を示した。 6)総括 1. 今年度も評価用CVはそれぞれの項目で一部変更 し、表のような値とした。 2. 昨年度と同様に、ヘモグロビン、赤血球数、血 小板については一定程度の標準化ができたといえ るが、異常値ではメーカーによる差異が若干見ら れた。白血球もほぼ同様であった。

(2)凝固検査

 凝固検査は例年どおり、プロトロンビン時間(P T)、 活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、フィ ブリノゲン(Fbg)の3項目について調査を行った。 P Tは配布された基準範囲域試料と、異常域の2種類 (試料番号22、23)の凍結乾燥品を試料とし、それ ぞれの秒数、プロトロンビン比(試料23の秒数/試 料22の秒数)およびこの比を用いて計算されたINR 値を調査した。ただし、P Tの評価・評点はINR値で 行った。INRの記載のない場合はプロトロンビン比 で行った。凝固検査の中でも、INRは抗凝固療法治 療時に最も重要な検査であるので、AP T T、Fbgに 優先してその精度管理を行う目的のために、異常域 検体は人工的な加工血ではなく、抗凝固療法モニ ター用試料を用いた。  一方、AP T Tは秒数で、フィブリノゲンは濃度(mg/dL) で評価・評点を行った。今年度の評価CVは表8にあ るように、PTINRは4.0%、APTTでは試料22は3.0%、 23は4.0%とした。またフィブリノゲンは、2試料と も4.0%とした。大量出血時にはフィブリノゲン値測 定が重要であることが明らかになってきており、今 後は特に低値領域のフィブリノゲンの精度管理も考 慮したい。  評価は昨年度と同様に、試薬と機器の組み合わせ により各群別に行った。凝固検査では試薬と機器の 組み合わせが多く、個々の例数は相対的に少なくな り、統一的な精度管理という趣旨からは外れること が懸念される。   1)PT  今年度の参加施設は2,258であり、昨年度より増加 した。使用試薬は図6で示すように、平成21年度か ら今年度までのISI別試薬の使用状況は大きく変わっ てきており、ISIが1前後の試薬は24年度には21年度 の約2倍と急激な増加が見られており、抗凝固療法 モニターの目的としてのP T INR算出には極めて有利 である。中でも、トロンボレルSシリーズは全体の53.2% にも達している。  今回の試料の1回切断後の補正にて得られた平均 値、方法間変動、方法内変動は試料22の基準範囲域 試料はそれぞれ12.16秒(12.47秒)、6.36%(6.37%)、 2.60%(2.67%)であり、試料23の異常域はそれぞれ 29.87秒(30.04秒)、18.31%(19.24%)、3.93%(4.02%) であった(カッコ内は昨年度分)。  INRの方法間変動、方法内変動は表8のごとく、 項目 <補 正 前> <補正後(1回切断)> 試料 番号 施設数 平均 標準偏差 変動係数 施設数 平均 標準偏差 変動係数 方法間CV 方法内CV 共通CV 補正共通CV コンセンサスCV 評価用CV ISI 2,139 1.169 0.816 69.8 2,095 1.155 0.304 26.3 22 2,140 12.21 2.00 16.4 2,127 12.16 0.80 6.6 プロトロンビン時間 23 2,140 29.87 5.39 18.0 2,116 29.87 5.34 17.9 23/22 2,138 2.454 0.631 25.7 2,117 2.448 0.361 14.7 15.24 3.33 2.84 2.87 3.0 3.0 INR 2,135 2.661 0.337 12.6 2,108 2.668 0.312 11.7 11.53 3.84 3.40 3.42 4.0 4.0 APTT 22 23 2,039 29.61 2.15 2,039 46.83 5.33 11.4 2,011 46.80 5.08 10.9 10.36 3.97 3.11 3.12 7.3 2,011 29.58 2.13 7.2 6.72 2.98 2.30 2.33 3.0 4.0 3.04.0 フィブリノゲン 22 1,740 229.5 15.9 6.9 1,715 229.9 14.4 6.2 5.32 3.61 3.17 3.20 4.0 4.0 23 1,740 258.8 15.5 6.0 1,724 259.1 13.2 5.1 3.60 3.74 3.40 3.42 4.0 4.0 表8 凝固検査試料(試料22、23)の項目別基本統計量

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180 11.53%、3.84%で昨年度はそれぞれ9.93%、4.94% であったことから方法間変動、方法内変動とも昨年 と大きく変化はなかった。  2試料の試薬・機器の組み合わせによる双値図と分 布図を示す。全体の双値図は図7-1に示すが、今年 度も用いた試料がワルファリン服用のものであり、 興味深い結果が得られた。トロンボチェックPTなど のISIが大きい組織因子を用いた検査により得られた 図6 ISI別PT試薬の変遷 図7-1 プロトロンビン時間の双値図(全体) DATE= 2013/1/8 PAGE= 75 14.8 20.6 26.4 32.3 38.1 43.9 49.7 9.7 10.9 12.0 13.2 14.4 15.5 16.7 プロトロンビン時 間 試料2 3 プロトロンビン時間 試料22 検査項目: 47.プロトロンビン時間 シンプラスチンエクセルS:協和COAGTRON-180 [11] トロンボチェックPT:シスメックスCA-500、600シリーズ [132] トロンボチェックPT:シスメックスCA-1500、6000 [71] トロンボチェックPT:シスメックスCSシリーズ [35] トロンボチェックPT:シスメックスコアグレックス800 [53] トロンボチェックPT:積水メディカルコアプレスタ2000 [37] トロンボチェックPT:シスメックスCA-50 [32] トロンボチェックPTプラス:シスメックスCA-500、600シリーズ [16] トロンボチェックPTプラス:積水メディカルコアプレスタ2000 [41] コアグピアPT-N:積水メディカルコアプレスタ2000 [96] STA試薬シリーズPT:ロシュSTAシリーズ [70] ドライヘマトPT:A&Tドライヘマトシステム [139] トロンボレルS:シスメックスCA-500、600シリーズ [412] トロンボレルS:シスメックスCA-1500、6000 [290] トロンボレルS:シスメックスCA-7000、8000 [56] トロンボレルS:シスメックスCSシリーズ [240] トロンボレルS:ロシュSTAシリーズ [10] トロンボレルS:シスメックスコアグレックス800 [57] トロンボレルS:積水メディカルコアプレスタ2000 [81] トロンボレルS:シスメックスCA-50 [41] デイドイノビン:シスメックスCA-500、600シリーズ [39] デイドイノビン:シスメックスCA-1500、6000 [22] デイドイノビン:シスメックスCA-7000、8000 [11] デイドイノビン:シスメックスCSシリーズ [19] STAネオプラスチンR:ロシュSTAシリーズ [20] ヒーモスアイエルリコンビプラスチン:三菱化学メディエンスSTACIA [18] ヒーモスアイエルリコンビプラスチン:三菱化メディエンスFuturaシリーズ [67] ヒーモスアイエルリコンビプラスチン:三菱化MACL9000シリーズ [24] 491 542 731 802 200 193 200 413 1425 1316 1059 745

ISI:1.5- ISI:1.1-1.5 ISI:0.9-1.1

平成21年度

平成22年度

平成23年度

平成24年度

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181 図7-2 プロトロンビン時間の双値図(ISI 1.5以上) 17.1 18.3 19.6 20.9 22.1 23.4 24.6 10.0 10.6 11.1 11.7 12.2 12.7 13.3 プロトロンビン時間 試 料23 プロトロンビン時間 試料22 トロンボチェックPT:シスメックスCA‐500、600シリーズ [129] トロンボチェックPT:シスメックスCA‐1500、6000 [70] トロンボチェックPT:シスメックスCSシリーズ [34] トロンボチェックPT:シスメックスコアグレックス800 [53] トロンボチェックPT:積水メディカルコアプレスタ2000 [36] トロンボチェックPT:シスメックスCA‐50 [31] ドライヘマトPT:A&Tドライヘマトシステム [138] 場合には試料22の正常域検体でも、試料23のワル ファリン服用検体でも短めの秒数を示した。この試 薬を使用している施設は図でも見られるように年々 減少している(図7-2)。ISIが1.1から1.5未満では広 く分布しており(図7-3)、一方、ISIが1前後のトロ ンボレルS、ヒーモスアイエルリコンビプラスチン は長めに(図7-4)値を示した。INRの分布図(図8) では1.0から4.0と分布しているが、ISIの大きい組織 因子を用いた値はやや高値に、1前後の者ではやや 低めの値が得られた。ドライへマトPTは昨年度と同 様に平均値より30%程度高値を示した。試薬による INRの違いは抗凝固療法のコントロール検査として のプロトロンビン時間に重要な影響を与えることか ら、精度管理とともに試薬の統一化が望ましい。  最後に、用いている試薬は異なるが、大きく離れ ている施設は昨年度と同様に散見され、試薬の変更、 機器の変更を含めた根本的な検討がされることを希 望する。 2)APTT  今年度の参加施設は2,148であり、昨年度の2,113 に比し増加した。使用試薬は昨年度とほぼ同様の傾 向であり、主要試薬はデータファイAP T T、トロン ボチェックAP T T、トロンボチェックAP T T-SLA、 コアグピアAPTT-N、ドライヘマトAPTTであった。  今回の試料の1回切断後の補正にて得られた平均 値、方法間変動、方法内変動は表8のごとく、試料 22の 基 準 範 囲 域 試 料 は そ れ ぞ れ29.58秒、6.72 %、 2.98%であり、試料23の異常域はそれぞれ46.80秒、 10.36%、3.97%であった。  2試料の試薬・機器の組み合わせによる双値図は図 9に示すが、そのパターンは昨年度同様に、中央値 近くの集団が一塊になっている。ドライヘマトA P T T、 STA試薬シリーズAP T Tでは、正常域検体、異常域 検体ともに、前者は短めに、後者は長めのデータが 得られたのは昨年度と同様であった。

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182 図7-3 プロトロンビン時間の双値図(ISI 1.1〜1.5未満) 22.0 26.0 30.1 34.1 38.1 42.2 46.2 10.7 11.7 12.7 13.7 14.6 15.6 16.6 プロトロンビン時間 試 料23 プロトロンビン時間 試料22 シンプラスチンエクセルS:協和COAGTRON‐180 [11] トロンボチェックPTプラス:シスメックスCA‐500、600シリーズ [16] トロンボチェックPTプラス:積水メディカルコアプレスタ2000 [41] コアグピアPT‐N:積水メディカルコアプレスタ2000 [42] STA試薬シリーズPT:ロシュSTAシリーズ [70] トロンボレルS:ロシュSTAシリーズ [10] デイドイノビン:シスメックスCA‐500、600シリーズ [10] 図7-4 プロトロンビン時間の双値図(ISI 0.9〜1.1未満) 25.1 29.1 33.0 37.0 40.9 44.8 48.8 9.9 10.9 11.8 12.8 13.7 14.6 15.6 プロトロンビン時 間 試料2 3 プロトロンビン時間 試料22 コアグピアPT-N:積水メディカルコアプレスタ2000 [54] トロンボレルS:シスメックスCA-500、600シリーズ [412] トロンボレルS:シスメックスCA-1500、6000 [289] トロンボレルS:シスメックスCA-7000、8000 [55] トロンボレルS:シスメックスCSシリーズ [239] トロンボレルS:シスメックスコアグレックス800 [55] トロンボレルS:積水メディカルコアプレスタ2000 [75] トロンボレルS:シスメックスCA-50 [41] デイドイノビン:シスメックスCA-500、600シリーズ [29] デイドイノビン:シスメックスCA-1500、6000 [20] デイドイノビン:シスメックスCA-7000、8000 [10] デイドイノビン:シスメックスCSシリーズ [18] STAネオプラスチンR:ロシュSTAシリーズ [19] ヒーモスアイエルリコンビプラスチン:三菱化学メディエンスSTACIA [18] ヒーモスアイエルリコンビプラスチン:三菱化メディエンスFuturaシリーズ [67] ヒーモスアイエルリコンビプラスチン:三菱化MACL9000シリーズ [24] 平成24年度(第46回)臨床検査精度管理調査結果報告書

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183 DATE= 2013/1/8 PAGE= 76 14.5 23.9 33.2 42.6 52.0 61.3 70.7 19.3 22.3 25.4 28.4 31.4 34.5 37.5 活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT ) 試料23 活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT) 試料22 検査項目: 48.活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT) トロンボチェックAPTT:シスメックスCA-500、600シリーズ [163] トロンボチェックAPTT:シスメックスCA-1500、6000 [95] トロンボチェックAPTT:シスメックスCA-7000、8000 [10] トロンボチェックAPTT:シスメックスCSシリーズ [47] トロンボチェックAPTT:シスメックスコアグレックス800 [68] トロンボチェックAPTT:積水メディカルコアプレスタ2000 [84] トロンボチェックAPTT:シスメックスCA-50 [20] トロンボチェックAPTT(S):シスメックスCA-500、600シリーズ [10] トロンボチェックAPTT-SLA:シスメックスCA-500、600シリーズ [132] トロンボチェックAPTT-SLA:シスメックスCA-1500、6000 [82] トロンボチェックAPTT-SLA:シスメックスCA-7000、8000 [17] トロンボチェックAPTT-SLA:シスメックスCSシリーズ [114] トロンボチェックAPTT-SLA:シスメックスコアグレックス800 [38] トロンボチェックAPTT-SLA:積水メディカルコアプレスタ2000 [44] トロンボチェックAPTT-SLA:シスメックスCA-50 [13] デ-タファイ・APTT:シスメックスCA-500、600シリーズ [213] デ-タファイ・APTT:シスメックスCA-1500、6000 [145] デ-タファイ・APTT:シスメックスCA-7000、8000 [40] デ-タファイ・APTT:シスメックスCSシリーズ [96] デ-タファイ・APTT:積水メディカルコアプレスタ2000 [12] デ-タファイ・APTT:シスメックスCA-50 [22] アクチンFSL:シスメックスCA-500、600シリーズ [50] アクチンFSL:シスメックスCA-1500、6000 [57] アクチンFSL:シスメックスCSシリーズ [32] コアグピアAPTT-N:積水メディカルコアプレスタ2000 [108] プラテリンLⅡ:協和COAGTRON-180 [10] ヒーモスアイエルAPTT-SP:三菱化メディエンスFuturaシリーズ [13] ヒーモスアイエルAPTT-SP:三菱化MACL9000シリーズ [15] ヒーモスアイエルシンサシルAPTT:三菱化学メディエンスSTACIA [18] ヒーモスアイエルシンサシルAPTT:三菱化メディエンスFuturaシリーズ [56] ヒーモスアイエルシンサシルAPTT:三菱化MACL9000シリーズ [17] STA試薬シリーズAPTT:ロシュSTAシリーズ [37] ドライヘマトAPTT:A&Tドライヘマトシステム [98] STAセファスクリーン(APTT):ロシュSTAシリーズ [63] 図9 APTTの双値図 図8 INRの分布図 方法間CV= 11.53%(0.31) 方法内CV= 3.84%(0.10) 共通CV= 3.40%(3.42%) 評価用CV= 4.00%(コンセンサスCV) 総平均 2.674 -90%-80%-70%-60%-50%-40%-30%-20%-10% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 47.プロトロンビン時間  INR シンプラスチンエクセルS:協和COAGTRON-180 [11] トロンボチェックPT:シスメックスCA-500、600シリーズ [130] トロンボチェックPT:シスメックスCA-1500、6000 [71] トロンボチェックPT:シスメックスCSシリーズ [35] トロンボチェックPT:シスメックスコアグレックス800 [53] トロンボチェックPT:積水メディカルコアプレスタ2000 [36] トロンボチェックPT:シスメックスCA-50 [32] トロンボチェックPTプラス:シスメックスCA-500、600シリーズ [15] トロンボチェックPTプラス:積水メディカルコアプレスタ2000 [41] コアグピアPT-N:積水メディカルコアプレスタ2000 [96] STA試薬シリーズPT:ロシュSTAシリーズ [70] ドライヘマトPT:A&Tドライヘマトシステム [139] トロンボレルS:シスメックスCA-500、600シリーズ [411] トロンボレルS:シスメックスCA-1500、6000 [290] トロンボレルS:シスメックスCA-7000、8000 [56] トロンボレルS:シスメックスCSシリーズ [240] トロンボレルS:ロシュSTAシリーズ [10] トロンボレルS:シスメックスコアグレックス800 [57] トロンボレルS:積水メディカルコアプレスタ2000 [81] トロンボレルS:シスメックスCA-50 [41] デイドイノビン:シスメックスCA-500、600シリーズ [39] デイドイノビン:シスメックスCA-1500、6000 [22] デイドイノビン:シスメックスCA-7000、8000 [11] デイドイノビン:シスメックスCSシリーズ [19] STAネオプラスチンR:ロシュSTAシリーズ [20] ヒーモスアイエルリコンビプラスチン:三菱化学メディエンスSTACIA [18] ヒーモスアイエルリコンビプラスチン:三菱化メディエンスFuturaシリーズ [67] ヒーモスアイエルリコンビプラスチン:三菱化MACL9000シリーズ [24]

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184 3)フィブリノゲン  今年度の参加施設は1,878であり、昨年度の1,854 に比してやや増加した。使用試薬は昨年度とほぼ同 様の傾向であり、主要試薬はデータファイ・フィブ リノゲン、トロンボチェックFib(L)、トロンボチェッ クFib、コアグピアFbg、STA試薬シリーズでその使 用頻度は昨年度とほぼ同様であった。  今回の試料の1回切断後の補正にて得られた平均 値、方法間変動、方法内変動は表8のごとく、試料 22の基準範囲域試料はそれぞれ229.9mg/dL、5.32%、 3.61 % で あ っ た。 試 料23は そ れ ぞ れ259.1mg/dL、 3.60%、3.74%であった。2試料の試薬・機器の組み 合わせによる双値図は図10に示すが、今回の試料は いずれも正常域値であったためにそのパターンは昨 年度同様以上に、中央値近くの集団が一塊になって いる。 図10 フィブリノゲンの双値図 4)総括  CBCと異なり試薬、機器ともその種類が多く、両 者の組み合わせは結果として多くなっている。した がって、その解析結果は組み合わせによっている。  プロトロンビン時間については昨年度も指摘した が、本来外因系のスクリーニング検査としてもっぱ ら利用されてきたが、現在では抗凝固療法のコント ロールとして重要になっており、その意義は以前に も増して大きい。  精度管理はそれぞれの検査において用いる試薬、 機器、或いは方法が適切であるかを総合的にチェッ クするものであり、単なる的確な数値を出すという のではないことの認識は重要である。その意味で、 プロトロンビン時間測定試薬がISI値は1前後の試薬 に変遷してきていることは重要である。APTT、フィ ブリノゲンは基準域試料、異常域試料の双値図では ほぼひとつにまとまっており、一定の標準化が見ら れている。 DATE= 2013/1/8 PAGE= 77 193 215 236 258 279 300 322 167 190 213 236 259 282 305 フィブリノゲン 試料23 フィブリノゲン 試料22 検査項目: 49.フィブリノゲン トロンボチェックFib:シスメックスCA-500、600シリーズ [94] トロンボチェックFib:シスメックスCA-1500、6000 [64] トロンボチェックFib:シスメックスCA-7000、8000 [16] トロンボチェックFib:シスメックスCSシリーズ [21] トロンボチェックFib:シスメックスコアグレックス800 [21] トロンボチェックFib(L):シスメックスCA-500、600シリーズ [185] トロンボチェックFib(L):シスメックスCA-1500、6000 [185] トロンボチェックFib(L):シスメックスCA-7000、8000 [20] トロンボチェックFib(L):シスメックスCSシリーズ [207] トロンボチェックFib(L):シスメックスコアグレックス800 [86] トロンボチェックFib(L):積水メディカルコアプレスタ2000 [40] データファイ・フィブリノゲン:シスメックスCA-500、600シリーズ [148] データファイ・フィブリノゲン:シスメックスCA-1500、6000 [119] データファイ・フィブリノゲン:シスメックスCA-7000、8000 [32] データファイ・フィブリノゲン:シスメックスCSシリーズ [56] コアグピアFbg:シスメックスコアグレックス800 [11] コアグピアFbg:積水メディカルコアプレスタ2000 [202] STA試薬シリーズフィブリノーゲン:ロシュSTAシリーズ [98] ドライヘマトFib:A&Tドライヘマトシステム [47] ヒーモスアイエルフィブC(Ⅱ),CXL:三菱化学メディエンスSTACIA [12] ヒーモスアイエルフィブC(Ⅱ),CXL:三菱化メディエンスFuturaシリーズ [30] ヒーモスアイエルフィブC(Ⅱ),CXL:三菱化MACL9000シリーズ [18] ヒーモスアイエルリコンビプラスチン:三菱化メディエンスFuturaシリーズ [28] 平成24年度(第46回)臨床検査精度管理調査結果報告書

(14)

185 5)参考  平成23年度の試料23で高頻度に発生した不溶物の 分析を行い、不溶物を推測した(図11)。 1.分析結果:  (1)分析に用いた試料15バイアル中、9バイアル に不溶物の発生が認められた。  (2)この不溶物はプラスミンで消化されること、 抗フィブリノゲン抗体に反応することから、 フィブリン、フィブリノゲンの類であることが 推測される。  (3)この不溶物を用いてウエスタンブロットを 行った結果、不安定化フィブリンと少量の安定 化フィブリンが混在していると推測される。 2.結 論:   次の分析結果より、不安定フィブリン(フィブ リンポリマー)に少量の安定化フィブリンが混在 したものと推測される。  〔詳細〕   (1)不溶物および調製した不安定フィブリン (フィブリンポリマー)、安定化フィブリンを材 Lane 材料 処理 1 2 3 4 5 6 7 8 マーカー 試料23 不安定フィブリン(フィブリンポリマー) 安定化フィブリン 試料23 不安定フィブリン(フィブリンポリマー) 安定化フィブリン マーカー プラスミン消化 DTT(還元剤) 処理後、 プラスミン消化 1 DD/E DD D 250kDa 50kDa 75kDa E 2 3 4 5 6 7 8 フィブリノゲン トロンビン フィブリンモノマー フィブリンポリマー 安定化フィブリン FXⅢa, Ca2+ 図11 平成23年度試料23(凝固試料)の不溶物の分析結果

(15)

186 料とした。  (2)それぞれをプラスミン消化したものと、DTT (還元剤)処理の後にプラスミン消化したもの を材料としてウエスタンブロットを実施した。  (3)考察     1) 試料23の不溶物をプラスミン消化したとこ ろ、主にDD画分、D画分にバンドを認めた (Lane2)。バンド濃度は濃淡はあるが、その 存在は不安定フィブリン(Lane3)と類似し ており、試料23が不安定化フィブリンである 可能性が示唆された。    2) 調製した不安定フィブリン(フィブリンポ リマー)(Lane3,6)、安定化フィブリン(Lane4,7) には特徴的なバンドを認めた。   3) 還元剤処理を行った後にプラスミン消化し たところ、いずれの材料もD画分より小さい 分子に分解された(Lane5,6,7)。不安定フィ ブリン(Lane6)には認められないD画分が 試料23(Lane5)および安定化フィブリン (Lane7)に認められることから、少量ではあ るが試料23には安定化フィブリンが混在して いるものと推測される。 (髙松) 平成24年度(第46回)臨床検査精度管理調査結果報告書

参照

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