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ニホンナシの盛土式根圏制御栽培法 この盛土式根域制限栽培法 ( 以下 根圏制御栽培 ) は 遮根シートにより地面と隔離した培土量 150 Lの盛土に苗を植付け 樹齢 生育時期別に測定した吸水量に基づき 樹の成長に合わせて設定した灌水を行うことができる 培地を盛土にすることで滞水による湿害の発生がなく

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技術【果樹】

安定生産を可能とする技術

技術名 技術の特徴 開発機関名 ページ ブドウの施設栽培でのLEDランプの利 用による品質向上 無加温ハウス下のポット植栽ブドウ樹を供試して、夜間(日没後3時間および夜明け前3時間)に青色光LEDの照射を行った。LED の照射期間は満開後25日以降収穫日までとした。ハウス内の温度は露地に比べ1度程度上昇した。青色LED光の照射は、無処 理に比較して有意にブドウ果皮のアントシアニン合成を促進し、さらにブドウ糖、ショ糖、果糖など糖濃度の上昇を促進した。LED 照射による果実品質への影響としては、ブドウの場合、特に植物ホルモン:アブシシン酸との関連が考えられたが、本研究では青 色LED光の果実への影響としては、青色波長のアントシアニン合成関連遺伝子への直接的な影響が強いと推察された。赤色光 LEDの照射も糖濃度の上昇を促進したが、着色については青色光に比較し、その影響は小さかった。 千葉大学 1 作業性の良いモモ低樹高開張型樹形 モモの低樹高開張型樹形は、添え竹や吊り支柱の利用により骨格枝を開張することで低樹高に整枝した樹形である。当樹形は 慣行樹と同等の品質と収量が見込まれ、作業性が良く労働負担の軽減が図られる。 1  低樹高開張型樹形は主枝角度を30度前後に開張することにより、樹高3.5m以下の低樹高に維持することができる。 2 樹を開張することで樹冠占有面積の拡大が早く、早期多収性がある。また、病害虫防除の面からは薬液の到達性が高く、防 除効果の向上が期待できる。 3 骨格枝を開張することによって高さ1.5~3.0mに多くの側枝を配置することが可能になり、作業時間の削減など作業性の向上 が図られる。 福島県農業総合センター 2 新病害「モモ果実赤点病」の発生生態 と防除対策 モモ果実赤点病は、本県および和歌山県で発生が確認されている新病害である。被害果は商品性を著しく低下させるため、早急 に防除対策が必要なことから、発生生態の解明や有効な薬剤の選抜を行ってきた。その結果、防除対策として果実への感染が 多い6月下旬~7月中旬にダコレート水和剤1,000倍またはベルクート水和剤1,000倍を散布することが有効であることが明らかと なった。 1 本病は、Ellisembia sp.による病害であることが明らかとなり、これまでウメシロカイガラムシの加害症状と誤認されてきたが、 吸汁痕がないので識別できる。生育適温は25℃~30℃、生育温度は10℃~35℃である。 3 伝染源は枝に形成された分生胞子であり、分生胞子は6月上旬~9月上旬まで飛散し、捕捉数は降雨後に多くなる傾向を示 した。 4 果実への感染は6~7月の梅雨期に多いことから、6月下旬~7月中旬にダコレート水和剤1,000倍またはベルクート水和剤 1,000倍を散布したところ、いずれも防除効果が認められた。 福島県農業総合センター 5 リンゴ「ふじ」の省力密植栽培に適し た不織布ポット栽培 1 不織布ポットの容量が小さいほど樹高や樹幅が小さく抑えられる傾向があり、作業の面から望ましい樹高を3.5m程度とする と、JM7台の15リットルポット栽培がこの条件を満たす。 2 JM7台利用樹では、ポット容量が異なっても果実品質には有意な差は認められない。 3 JM7台の15リットルポット栽培では樹体がコンパクトに押さえられ、日当たりも良好であることから、花芽分化率が高い。 4 JM7台の15リットルポット栽培は、作業性が良く、10a当たりの作業時間が少ない。 福島県農業総合センター 8

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ニホンナシの盛土式根圏制御栽培法 ・ この盛土式根域制限栽培法(以下、根圏制御栽培)は、遮根シートにより地面と隔離した培土量150 Lの盛土に苗を植付け、樹 齢、生育時期別に測定した吸水量に基づき、樹の成長に合わせて設定した灌水を行うことができる。 ・ 培地を盛土にすることで滞水による湿害の発生がなく、培土量、灌水量および施肥量などにより樹勢を制御することができる。 ・ この方法により、植付け2年目に慣行成園並の2t/10a、4年目以降慣行の2倍の6t/10aと早期多収に加え、超多収が可能とな る。また、品質(糖度)も慣行よりも高い。 ・ 給水方法を点滴灌水の他、底面給水法とすることで、灌水関係経費の削減が図られ低コストでの導入が可能である。 ・ 移植による未収益期間が短く、早期に高所得が得られることから、農家経営改善効果の高い栽培方法である。 栃木県農業試験場 17 早期多収で省力化が可能なスモモの 樹体ジョイント仕立て栽培 スモモの樹体ジョイント仕立て栽培は、優良側枝が確保できるため慣行の二本主枝栽培と比べ約1.5倍の増収となり、早期多収 が可能である。また、側枝を一定方向に配置するため樹形が直線的となり、人工受粉やせん定等の管理作業時間を慣行の二本 主枝栽培より27%短縮できる。 群馬県農業技術センター 19 樹木の樹体ジョイント仕立て 主枝を片側一方方向へ延長し、先端部を隣接樹の主幹肩部へ接ぎ木により連結し、複数樹を直線状の集合樹に仕立てる技術。 【特徴】 ①樹勢の均一化が得られる。 ②早期成園化が図れる。 ③整枝・剪定作業の省力化が図れる。 神奈川県農業技術センター 20 ブドウ「シャインマスカット」の専用カ ラーチャートの開発  収穫期前後の「シャインマスカット」の果粒写真を画像ソフトに取り込み、果皮の平均色を求め、濃緑色~黄緑色の5段階にした 「シャインマスカット」専用のカラーチャートを開発した。 「シャインマスカット」の果粒はカラーチャート値が大きくなるにしたがって糖度が高くなり、カラーチャート値3以上になると県の収 穫基準である18 Brixを越える。 「シャインマスカット」の果粒はカラーチャート値が大きくなるにしたがって「かすり症」の発生度が高まる傾向にあるので、カラー チャート値3以上になったら順次収穫する。 山梨県果樹試験場 21 モモ、スモモ、オウトウの貯蔵花粉の 発芽率を向上させる順化方法  モモ、スモモ、オウトウの貯蔵花粉を温度4~20℃、湿度90%の多湿条件下で2時間程度順化させることで、室内で前日から順 化させる慣行の方法に比べて、高い発芽率が得られる。多湿条件で順化した花粉を用いて人工受粉すると結実が向上する。  ・多湿条件:クーラーボックスなどの密封容器内に濡らしたタオルなどを入れる。  ・吸湿のムラを防ぐため、十分な容量の容器を使用、花粉は少量ずつ小分けに順化。  ・保存が利かないので、一度に使用するだけの花粉をその都度順化する。 山梨県果樹試験場 22 チャノキイロアザミウマによる「ロザリ オビアンコ」の「かすり症」類似被害の 識別と抑制   ・「ロザリオビアンコ」は、成熟期にチャノキイロアザミウマに果粒表面を加害されると「かすり症」に類似した被害が発生する。 ・被害果粒の表面を観察すると、チャノキイロアザミウマの被害では吸汁された細胞がモザイク状に見られる。「かすり症」では微 小な亀裂が見られる。被害は、100倍以上の顕微鏡等で識別できる。 ・除袋直前まで防除を行い、本種の発生を抑制することにより、果粒および穂軸の被害を抑制できる。 山梨県果樹試験場 23

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りんご・なし・ももの交信攪乱剤による シンクイムシ類、ハマキムシ類等の防 除  交信攪乱剤は殺虫効果がなく、交尾を阻害し次世代の増殖を抑制する効果がある。設置園では、交信攪乱対象害虫に対する 殺虫剤の散布回数削減が可能である。ただし、ほ場内やほ場近隣の対象害虫の発生源をよく確認して、取り組み前に薬剤散布 等で密度を減らしておく。また、設置初年目から殺虫剤を削減せず、ほ場内の対象害虫の発生がなくなったことを確認してから殺 虫剤の削減に取り組む。 長野県果樹試験場 25 りんごの新わい化栽培 リンゴ新わい化栽培はこれまでのわい化栽培と比べ後述のような特徴を持ち、地上から70%の果実が収穫できることを主な目標 とする。 (1)M.9ナガノ台木を台木法で利用し、切返し、芽かき、ビーエー液剤散布処理で養成された2年生苗木を利用すること。 (2)列間3.5~4m、樹間1.25~2mの並木植えで、10a当たり栽植本数は125~200樹とすること。 (3)仕立て法は従来と同様の細型紡すい形で、側枝は水平に誘引して、花芽の着生を促すなどにより、樹高は3m程度、結実部 位の高さは2.5m程度で、樹幅は1.5~2m程度となる。従来の矮化栽培と比べ小型樹を長期にわたり維持できる。 主要数品種の4☓2m植えでの定植8年後までの収量について、定植2年目で多くの品種で2~3kg/樹の初期収量があり、定植7 年目で最大収量となった。10aあたり収量は「ふじ」が約6.6tと最も高く、「秋映」は3.2tとやや低かった、「シナノゴールド」「シナノス イート」はいずれも約3.9tであった。 長野県果樹試験場 26 リンゴの2年生フェザー苗の生産方法 りんごのわい化栽培の開園にあたっては、側枝(フェザーと呼ばれている)を有する2年生苗木の利用価値が高い。この2年生苗 木の育成ほ手法は、(1)1年間育成して圃場に植えたままの状態の1年生苗木に対し、発芽前までに接木部から約40cm程度の 高さで切り戻しを行う。(2)展葉を過ぎた頃、頂端付近の旺盛な新梢を1本残して芽かきを行う。(3)1本の新梢が20cm程度に伸長 した頃、新梢全体にビーエー液剤を散布する。(4)以後概ね10日間隔で新たに伸長した新梢の先端から15cm程度までの部分に ビーエー液剤を散布する。というものである。また、密植度の高い栽培に適する2年生わい性台木苗木とは、主に側枝本数で評 価し、長さ5cm以上50cm未満の側枝本数が概ね10本以上であることを目標にする。 長野県果樹試験場 27 水稲育苗ハウスを利用したぶどうの アーチ栽培技術  遊休期間が長く有効活用が求められていた水稲育苗ハウスを利用して、収益性の高いぶどう栽培が可能である。  アーチ栽培は、育苗ハウスアーチに沿ってぶどう主枝を誘引する短梢せん定無核栽培をベースにしたコンパクトな樹形で、新規 にはじめる人でも高度なせん定技術を必要としない。開園費用は苗木を含めて約7万円/aで、ハウス資材や針金を利用しての自 家施工も可能である。  「シャインマスカット」の場合、植栽2年目で収穫が始まり、3年で樹形が完成して開園費用が回収できるようになる。また、4年 目からは成園化が可能で、150~200kg/aの収穫量が見込める。  年間の労働時間は、24.2h/aで水稲の主要作業時期との競合は少ない。水稲育苗は、通常どおり行うことができる。 新潟県農業総合研究所 28 日本ナシの降雨後の溶液受粉による 着果安定  開花期に降雨が続き花が濡れていると、ぼん天や市販の受粉器による受粉ができなくなるが、「溶液受粉」は、降雨が続いて も、数時間の晴れ間がれば、花が多少濡れた状態でも受粉可能で、40%程度の着果率が確保できる。種子数は、慣行(ぼん天 受粉)に比べ、低下するが、1果重に大きな差は見られない。  また、従来の「溶液受粉」では、受粉器としてハンドスプレーを用いているが、ぼん天の先端部をスポンジに変えることで、手の 石川県農林総合研究センター農業試験場 30

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クリの大果生産のための徒長枝の摘 心処理時期の解明 ・8月下旬に未展開葉部分を摘心処理することで、二次伸長を防ぐことができ、翌年の徒長枝1本当たりの着毬数および収量が増 加し、大果率も高まる。 ・摘心処理により徒長枝長が短くなり、風害による折損被害が軽減できる。 石川県農林総合研究センター農業試験場 34 イチジクにおける主枝更新剪定(リフ レッシュ剪定) 樹の骨格となる主枝を毎年新しく入れ替え、イチジクの樹を常に若い状態に保つことができる新しい剪定法を開発した。 具体的には、4 本程度の1年枝(前年の結果枝)と、これを支える枝だけを残し、他の枝を全て切除する。残した1年枝は適度な 角度に曲げ、翌年の結果母枝と主枝を兼ねた枝として活用する。この作業を毎冬行うことによって、通常は半永久的に残る主枝 を毎年更新することができる。 大阪府立環境農林水産総合研究所 36 柿苗の周年生産方法および苗 ポット等や施設を利用し、従来2年かかっていたカキ苗を1年以内で生産できる技術 奈良県農業総合センター 37 早生ウンシュウミカンの新しい灌水指 標にもとづくWeb灌水情報 ①5カ年の現地調査結果から高品質M級果実理想生育モデルと生育ステージ区分を導き出し、各ステージ毎のLWP適範囲(日没 直後)を設定した。 ②基準園(3園)の土壌体積含水率をTDRセンサーで連続的に計測し、前述のLWP適範囲に対応する土壌体積含水率域をステー ジ別に導くとともに、適水分域の下限に達した際、上限に復帰させる為に必要な灌水量を算出した。 ③気象台観測値をパラメータとして算出できる蒸発散位と、TDRセンサーで計測する土壌体積含水率現況値をもとに、現況値測 定日以降の土壌水分消費ペースを予測した。 ④Web上(※)には土壌体積含水率の現況、および望ましい水分域を基準園別に示すとともに、適水分域の下限に到達すると予測 される日を「次の灌水日」、適水分域の上限に復帰させるのに必要な灌水量を「1回当たり灌水量」、その後も晴天が続くという仮 定で再び下限に到達し、再灌水が必要となるまでの日数を「間断日数」として明示した。なお、閲覧者は各々の条件に近い基準 園の情報を参考にできる仕組みとした。 ※和歌山県果樹試験場ホームページ(http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/070109/gaiyou/002/002.htm)あるいは、有田みか んデータベース(http://www.mikan.gr.jp/)からアクセス。 和歌山県果樹試験場 38 簡易キットの利用によるカンキツウイ ルス病の簡易診断 カンキツの主要なウイルス病である温州萎縮病(SDV)と接ぎ木部異常病(ASGV)を個別にまたは同時に、約15分間で診断でき る。 福岡県農業総合試験場 40 ○大苗育苗方法 ナシの大苗育苗は、不織布製ポット(25ℓ)にピートモス等を混和した土壌を利用しそこに植え付け、一年間育成する方法です。 ・ポットへの苗木の定植、設置 ポットの大きさに合わせて深さ30 ㎝ほどの溝を掘り、ポットを並べ、植え付けます。 植付け後は必ずかん水を行って、麦ワラを敷き、支柱を立てておきます。この苗を1年間育苗することで細根が多い2年生の大苗 を育成します。

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隔年交互結実栽培技術を活用した 「清見」の完熟栽培 「清見」はを4月まで樹上完熟させることで、糖度が高い高品質な果実を生産することができるが、隔年結果により生産が不安定と なる。そこで、温州みかんで実践されている隔年交互結実栽培を活用し、人為的に生産樹、遊休樹をつくり、毎年交互に生産させ ることで、高品質な果実の安定生産が可能となる。 佐賀県果樹試験場 50 ハウスミカン園で発生する‘にせ黄斑 病’に対する防除対策    春芽利用型ハウスミカン園では,展葉中期(発芽20日後)以降に1~2回無機銅剤を散布することで‘にせ黄斑病’の発生を抑 制できる。夏芽利用型ハウスでも新梢伸長期に銅剤が散布されている場合には発病が少ない。 新梢伸長期にボルドー液を使用する場合,石灰による葉やけや穿孔等の薬害の発生を防ぐためにパラフィン系展着剤(アビオ ンE)を1,000倍で加用する。  夏芽利用型ハウスでは,銅剤との近接散布でビーエー液剤の効果が低下するので,銅剤散布からビーエー液剤散布までの間 隔を最低60日以上確保する。 佐賀県上場営農センター 52 カンキツのチャノキイロアザミウマ発 生予察の精度向上  チャノキイロアザミウマの適期防除のためには発生予察が有効であり、既に静岡県など主要カンキツ産地の県によって有効積 算温度を利用した世代別の発生ピークを予測するシステム(JPP-NET有効積算温度シミュレーション)が構築されている。しかし、 そのシステムを本県で利用するためには、現地での有効性を確認する必要があったため、チャノキイロアザミウマの発生消長と 有効積算温度に基づく予測との適合性を調べ、それらのデータの活用法を明らかにした。 ○研究の成果  有効積算温度によってチャノキイロアザミウマの発生ピークを予測し、約5日間隔の黄色粘着トラップ調査で発生量と発生ピー クを確認することで、効率的かつ精度の高い発生予察が可能となり、防除適期の目安として活用できる。 ○普及上の留意点 ・有効積算温度の算出に利用する気象データをアメダスから入手する場合には、調査園地とそこから最寄りのアメダス地点の標 高を考慮し、標高補正(0.55℃× (アメダス地点の標高(m)-調査園地の標高(m)) /100)を行う必要がある。 ・各世代の発生ピークがチャノキイロアザミウマの要防除水準(2.5頭/日/トラップ片面; 黄色粘着トラップの面積は20cm× 10cm)以上に達した場合に防除を実施する。 熊本県農業研究センター果樹研究所 53 性フェロモンを用いた交信かく乱によ るヒメボクトウ被害の低減技術 ヒメボクトウ幼虫がリンゴ、ナシなど果樹の枝幹に穿入・食害する被害が、東北地方、北関東地方、長野県、三重県、徳島県など で大きな問題になっている。幼虫が樹体内に潜るため、従来の防除法では防除効果が薄かったが、交信かく乱により成虫の交尾 を阻害することにより、次世代密度を低減させることが可能になった。 千葉大学 56 短梢せん定栽培のぶどう「ナガノパープル」において、満開時新梢基部径(第4~5節間の最大径)が10mmを越える強樹勢樹で、 前年の果てい部着色が赤紫色に達しなかった樹に対して、環状はく皮処理を実施すると、果実品質が向上する。

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モモのジョイント仕立て栽培 ナシで開発されたジョイント仕立て栽培をモモに適用した。  従来の仕立て法と比較し摘蕾、摘果・袋かけ、収穫の作業時間では短縮効果が認められる。  脚立を使う必要がなくなり,すべての作業で作業強度が低下する。  定植後3年で成園化する。 広島県立総合技術研究所農業技術センター 61 晩霜害対策技術 早春、果樹類の開花時は低温に対する耐性が弱く、晩霜に遭遇する機会が多い。 このため、晩霜害回避のために、多目的防災網、防霜ファン、燃焼資材の組合せによる防霜対策技術を確立した。 栃木県農業試験場 64 各種袋・カサ資材利用によるブドウ 「シャインマスカット」の果皮黄化抑制 および「かすり症」発生軽減 ブドウ「シャインマスカット」の袋かけにおいて、緑色もしくは青色袋を使用すると、慣行の白色袋と比較して果皮色の黄化を抑制 する。また、カサかけにおいても、緑色もしくは不織布製カサを使用すると、慣行の乳白カサと比較して果皮色の黄化を抑制す る。 袋管理とカサ管理を、慣行の白色資材で比較すると、袋で「かすり症」の発生および果面のこすれが少なくなり外観が優れる。一 方、カサでは糖度の上昇がやや早まり早熟傾向となる 山梨県果樹試験場 65 白色シートのマルチ処理による垣根 仕立て赤ワイン用ブドウの熟期前進 色シートのマルチ処理により、「カベルネ・ソーヴィニヨン」では糖度の上昇、酸含量の低下、およびpHの上昇が早くなり、1~2週 間熟期が前進する。同様に「メルロ」でも1週間程度熟期が前進する。 白色シートをマルチ処理した場合、「カベルネ・ソーヴィニヨン」では約2週間、「メルロ」では約1週間早く収穫しても、糖度、pHは同 程度である。 白色シートをマルチ処理した場合、「カベルネ・ソーヴィニヨン」および「メルロ」とも同程度の収量であればアントシアニン含量は増 加する。 山梨県果樹試験場 66 受粉する時間帯の違いがスモモ、オ ウトウの結実に及ぼす影響 スモモでは、年次変動はあるものの、受粉する時間帯により結実率に大きな差はみられないため、どの時間帯の受粉も結実確保 が可能であることから、日中に受粉ができない場合や受粉作業が遅れている場合等に活用する。 一方、オウトウでは受粉する時間帯により結実率が異なり、10~14時の受粉で良好な結実が得られるが、早朝や夕方の受粉で は結実率が低下する。オウトウでは、従来どおり気温が高い日の10~14時を中心とした受粉が効果的である。 山梨県果樹試験場 67 ブドウの害虫クビアカスカシバの防除 体系 クビアカスカシバの幼虫に対して、パダンSG 水溶剤は高い殺虫活性を示し、食入防止効果は散布後30 日程度認められる。成虫 発生の初期(6月上~中旬)と中期(7月上~中旬)の薬剤散布により、高い防除効果が得られる。 山梨県果樹試験場 68  50℃の温水点滴処理により地温を35℃で6時間程度維持することで、リンゴ紫紋羽病菌を防除できる。温水点滴処理の基本条 件や手順の概略は下記のとおりである。 1 温水点滴処理の基本条件 ・50℃の温水を使用する。 ・点滴チューブを用いて温水を土壌表面に点滴する。 ・処理終了の目安は、深さ10cmおよび30cmの地温を各3ヵ所で測定し、①深さ30cmの地温が3ヵ所とも35℃を超えたとき、あるい は②深さ10cmの地温が45℃を1ヵ所でも超えたときのいずれかとする。 2 処理時期

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ナシ病害防除支援情報システム「梨 病害防除ナビゲーション」の開発 「梨病害防除ナビゲーション」はMicrosoft Excel 2003 等で稼働し、ナシ開花日(始期)、ナシ黒星病感染危険度、農薬散布日及び 散布農薬を入力設定すると、病害防除支援チャートとして、防除要否を判断するために必要なナシ生育期の黒星病菌胞子の飛 散状況、潜伏期間後の予測発病度、幼果の高感受性期間、農薬の残効期間等の情報をパソコン上に示す。 千葉県農林総合研究センター 71

果実の付加価値向上に資する鮮度保持技術・加工技術

技術名 技術の特徴 開発機関名 ページ 果実蜜の製造法  果実から、果汁を精製・濃縮することにより、蜂蜜状の食品素材を開発した。  果汁を精製し、低温(40℃)条件下でBrix値を75~80まで減圧濃縮することにより、粘度が7~9Pa・Sの透明性があり、果実フ レーバーの残る蜂蜜様食品(「果実蜜」)となる。  「果実蜜」は原料果実の成分を反映し、グルコース、フルクトース、スクロース及びソルビトール等の糖やクエン酸、リンゴ酸及び 酒石酸等の有機酸、カリウムを多く含む。 福島県農業総合センター 74 ウメ乳酸発酵飲食品およびその製造 方法  ウメ果汁またはウメ果実を含む組成物がpH3未満の範囲で、耐酸性を有しウメ果実の 発酵に適した乳酸菌であるLactobacillus sp.FPL2(NITE P-692)、該乳酸菌含有物、その処理物の少なくともひとつを 含有してなること、を特徴とする飲食品。 福井県農業試験場 76 白干梅整列板の開発  塩漬け加工したウメを天日干しする際に、新たに開発した整列板を用いることにより、従来の手並べ方法に比べて作業が省力 的で、果実品質の向上を図ることができる。  整列板はセイロの形に合わせた58㎝×58cm、厚さ12mmの合板で、果実サイズL~3Lの直径の穴をそれぞれ144~225個配置 し、FRP塗装を施したもの。  整列板をセイロの内側にはめ込み、その上から塩漬け加工した果実を投入し、水洗いしながらセイロ全体に果実を広げ、各穴 に1個ずつ果実を配置する。そのまま干し場へ運搬し、慎重に整列板をセイロから引きぬく。 福井県農業試験場 77 柿タンニンの高速抽出方法 「柿渋」として流通している柿タンニンは、従来その製造に3年以上必要だったが、この技術は、その製造期間を約2週間に短縮し、臭いの少ない扱いやすいタンニンが得られる。また、果実の状態を選ばず、あらゆる果実から抽出が可能になる。 奈良県農業総合センター 78

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カンキツの高温処理による減酸・着色 促進技術  カンキツにおいて収穫時に着色が不良な場合や酸度が高い場合に、果実を収穫直後に、高湿度(100%)条件下で高温処理 (35℃、3日間)することで一度に大量の果実の着色と減酸を促進することができる。 佐賀県果樹試験場 83 カンキツ「不知火」果実のMA包装資 材活用による長期貯蔵技術  カンキツ「不知火」は、全国的な生産増大に伴い、3~4月に出荷量が集中し、価格が低下している。そのため、出荷量を平準化 し、価格の維持・向上を目的として、出荷期間を7月まで延長可能な長期貯蔵方法を明らかにした。 1.カンキツ「不知火」のMA包装資材を活用した長期貯蔵での減酸の推移を明らかにし、7月に出荷するための指標を明らかに した。 2.「不知火」果実では、1月中旬の収穫時、または3月上旬の MA個装時のクエン酸濃度がわかれば、MA個装果実の貯蔵後 のクエン酸濃度が推定できるため、長期貯蔵して出荷するための指標にできる。 3.3月下旬に収穫・予措した果実をMA個装し、貯蔵温度8℃、12℃、16℃、20℃および常温で検討した結果、12℃が果皮色お よび果肉色ともに最も優れ、食味が良好で、貯蔵性においても12℃で貯蔵した果実は、腐敗果の発生がほとんど見られず、こは ん症およびヘタ枯れ発生率も少なかった。そのため、MA個装した「不知火」果実の長期貯蔵温度は、12℃が最も適している。 熊本県農業研究センター果樹研究所 88 氷温貯蔵によるモモ果実の品種別鮮 度保持効果と出庫後の温度管理 モモ果実は、氷温貯蔵により果実品質の低下が抑えられ、品種間差はあるが28~42日間貯蔵できる。さらに、出庫後は5℃保冷 により果実品質が保たれる。 山梨県果樹試験場 91

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その他の技術

技術名 技術の特徴 開発機関名 ページ ナツハゼの抗インフルエンザウイルス 作用 ブルーベリー類にはインフルエンザウイルス吸着阻害活性があり、総ポリフェノール含量と高い相関がある。特にナツハゼの活性 は高く、株が異なるインフルエンザウイルスに対しても吸着阻害活性を有し、加熱をしてもその効果は失われない。 1 ブルーベリー類の3%果汁のインフルエンザウイルス吸着阻害活性を調べた結果、ナツハゼの活性が最も高く、ブルーベリー ではラビットアイ系やエリオットが高かった。 2 ブルーベリー類のインフルエンザウイルス吸着阻害活性と総ポリフェノール含量には正の相関があり、活性を示す成分はポリ フェノールである可能性が示された。 3 4種のウイルス株を使ってナツハゼのインフルエンザウイルス吸着阻害活性を調べた結果、10%濃度では100%の阻害活性 を示したが、株によって活性が異なることが示された。 4 加工法によってナツハゼ果汁のインフルエンザウイルス吸着阻害活性は異なるが、ポリフェノール含量と同じ傾向を示した。ま た、130℃30分の加熱によっても活性が失われないことが明らかとなった。 福島県農業総合センター 92 近赤外分光法によるクリ「ぽろたん」と 「国見」の非破壊判別の試み  光センサーとして糖度や酸度の非破壊測定に用いられる近赤外分光法 により、クリ「ぽろたん」と「国見」は非破壊(鬼皮付きの状態)で 概ね正しく判別できる。 茨城県農業総合センター園芸研究所 94 ブドウ園におけるリン酸・カリ低減型 肥料と家畜ふん堆肥を用いた環境保 全型施肥  リン酸・カリ低減型肥料を主体に牛ふん堆肥と鶏ふんをあわせてブドウ園に施用すると、化学肥料由来の窒素比率は24%と低 く抑えられ、窒素流亡の少ない環境保全型施肥となる。  また、土壌中のリン酸、カリ蓄積は回避され、慣行施肥と同等の果実生産が可能となる。 山梨県果樹試験場 97 センチピードグラスは樹園地草生栽培 に適した草種である 長野県では既にトールフェスク、ペレニアルライグラス、ケンタッキーブルーグラス及びレッドトップを樹園地の草生栽培用草種と して普及に移しているが、これらと比較して、センチピードグラスの地上部乾物生産量および窒素の含有量は同等か多い。また、 全面わらマルチ、全面清耕、全面雑草草生栽培の地表面管理法と比較して、土壌溶液中の硝酸態窒素の濃度が極めて低いこと から、センチピードグラスのち密な草生を維持することで、環境にやさしい果樹栽培が実践できる。  樹園地の列間土壌の除草を行い、浅く耕起して凹凸をなくす等の事前準備をして、5~6月にセンチピードグラスを2g/㎡以上 播種する。センチピードグラス草生への雑草の侵入量は少なく、長期間にわたり、雑草の少ない草生が維持できる。  センチピードグラスは暖地型牧草だが、標高360mの当試験場でも十分生育した。また、耐寒性に優れる品種では、標高560mお よび標高870mの現地ほ場でも、十分生育した。 長野県果樹試験場 98

(10)

STSマーカーによるイチジクの品種識 別 イチジク品種間のISSR等に基づいた多型のSTS化により開発した8種のマーカーを用いることで、8時間程度で国内主要15品種を 識別できる。 福岡県農業総合試験場 100 クリ「ぽろたん」の果頂部の果皮黒変 と腐敗との関係 「ぽろたん」は、渋皮が剥けやすいため青果用並びに加工用として期待が大きい新品種であるが、果頂部が黒く変色した果実が 多くみられ、腐敗果になる危険性が高いという理由で、産地においては選別時に除外して市場出荷を行っていた。しかし、果皮の 黒変と腐敗との関係について調査した結果、健全な果実と黒変のある果実と腐敗果の発生に差は見られず、収穫時に果皮黒変 が見られる果実が腐敗する結果とはならなかった、 熊本県農業研究センター球磨農業研究所 103 ライチ品種「篤姫」の着果における結 果母枝の実態 天草地域の特産果樹として、有望視されているライチであるが、 着房・着果が不安定で、着果しても翌年は強い隔年結果性を示 す。しかしながら安定した着房や着果の要因についてはこれまで明らかにされていない。そこで、比較的安定した着房・着果性を 持つ「篤姫」を用い、優良結果母枝の実態を把握した。  ハウス栽培ポット植え、ライチ品種「篤姫」では、樹冠上部および赤道部の結果母枝は、発生角度が大きいほど、また長いほど 着果率が高い。特に発生角度が80度以上の長い結果母枝の着果数が多い。 熊本県農業研究センター天草農業研究所 106 R-BIPマーカーによるカキの品種識別 カキゲノムにおけるレトロトランストランスポゾンの挿入位置の違いに由来するR-BIPマーカー14種を用いることで、国内主要19 種を識別できる 福岡県農林業総合試験場 107 ブルーベリー収穫用作業台車 ・一粒一粒手作業で収穫する必要があり、肩や腰に付けたカゴの重さが体への負担となっているブルーベリーの収穫作業の軽労 化のため、収穫用作業台車を開発した。 ・開発した作業台車は、逆円錐状の果実受けホッパを備え、手で摘み取った果実をホッパに投入すると損傷することなくコンテナ に収納される。 ・収穫作業時間は慣行作業と同程度~やや短縮となる。 ・収穫後の果実の損傷やブルーム剥離状態は慣行作業と同程度である。 ・作業台車を使用することで、慣行作業に比べて作業者の疲労が少なくなる。 群馬県農業技術センター、(株)マツモト 110 ブドウ「シャインマスカット」の省力栽培 ブドウ「シャインマスカット」の短梢せん定栽培において、省力技術を組み合わせることにより、果実品質を低下させずに開花から 収穫期の作業時間を約35%短縮できる。 1 花穂整形は、花穂整形器を利用することで作業時間を約60%省力化することができる。 2 1新梢2房利用によりジベレリン処理および摘房作業を約35%省力化することができる。 1新梢に2房着房させても、果粒肥 大、糖度の低下など果実品質への影響はみられない。 3 花穂の先端が帯化・分岐した異常花穂は、副穂を利用することで摘粒作業を約35%省力化することができる。 4 果実軟化期以降は副梢の摘心作業を省くことで、新梢管理作業を約75%省力化することができる。 5 これらの省力技術によって、開花から収穫前までの10aあたりの作業時間が242時間から157時間となり、約35%の短縮が可能 である。また、果実品質や翌年の花芽への影響はみられない。 群馬県農業技術センター 111

(11)

機関名 千葉大学 部署名 大学院園芸学研究科 記入者氏名 近藤 悟 電話番号 047-308-8800 e-mail

[email protected]

品目 技術名 特徴 活用が想定される場面 (または、当該技術の活用によって 解決が期待される課題) 特許権、実用新案権の有無 登録年月日 ※特許権、実用新案権が有の場合 登録番号 ※特許権、実用新案権が有の場合 普及状況 (普及している地域、面積、その他参考 情報※を記載願います。) 開発機関名 千葉大学大学院園芸学研究科 果樹 ブドウの施設栽培でのLEDランプの利用による品質向上 無加温ハウス下のポット植栽ブドウ樹を供試して、夜間(日没後3時間および夜明 け前3時間)に青色光LEDの照射を行った。LEDの照射期間は満開後25日以降収 穫日までとした。ハウス内の温度は露地に比べ1度程度上昇した。青色LED光の 照射は、無処理に比較して有意にブドウ果皮のアントシアニン合成を促進し、さら にブドウ糖、ショ糖、果糖など糖濃度の上昇を促進した。LED照射による果実品質 への影響としては、ブドウの場合、特に植物ホルモン:アブシシン酸との関連が考 えられたが、本研究では青色LED光の果実への影響としては、青色波長のアント シアニン合成関連遺伝子への直接的な影響が強いと推察された。赤色光LEDの 照射も糖濃度の上昇を促進したが、着色については青色光に比較し、その影響 は小さかった。 早期収穫を目的とし、施設下で加温栽培されるブドウでは、日照量の不足などか ら着色および糖濃度不良の問題が指摘されるが、本実験の結果から青色LED光 の補光により解決される可能性がある。本技術はブドウの早期栽培、二期作栽培 などでも応用可能と考えられる。

(12)

機関名 福島県農業総合センター 部署名 企画経営部企画技術科 記入者氏名 遠藤敦史 電話番号 024-958-1700 e-mail [email protected] 品目 技術名 特徴 活用が想定される場面 (または、当該技術の活用によって 解決が期待される課題) 特許権、実用新案権の有無 登録年月日 ※特許権、実用新案権が有の場合 登録番号 ※特許権、実用新案権が有の場合 普及状況 (普及している地域、面積、その他参考 情報※を記載願います。) 開発機関名 備考 モモの主産地である県北地方において、当該樹形に準ずる仕立て方法が50ha 程度で導入されている。 福島県農業総合センター 果樹 作業性の良いモモ低樹高開張型樹形 モモの低樹高開張型樹形は、添え竹や吊り支柱の利用により骨格枝を開張する ことで低樹高に整枝した樹形である。当樹形は慣行樹と同等の品質と収量が見 込まれ、作業性が良く労働負担の軽減が図られる。 1  低樹高開張型樹形は主枝角度を30度前後に開張することにより、樹高3.5m 以下の低樹高に維持することができる。 2 樹を開張することで樹冠占有面積の拡大が早く、早期多収性がある。また、病 害虫防除の面からは薬液の到達性が高く、防除効果の向上が期待できる。 3 骨格枝を開張することによって高さ1.5~3.0mに多くの側枝を配置することが 可能になり、作業時間の削減など作業性の向上が図られる。 1 作業性の良いモモの樹形が明らかになり、モモ栽培における整枝・せん定の 改善につながる。 2 早期多収性が期待され、農家所得の向上につながる。 無

(13)

実用化技術情報

作業性の良いモモ低樹高開張型樹形

福島県農業総合センター

果樹研究所栽培科

部門名

果樹-モモ-整枝・剪定、作業技術

担当者

阿部和博、志村浩雄、木幡栄子、相原隆志、増子俊明、高野靖洋、畠良七、佐久間宣昭、額田光

彦、安部充

新技術の解説

要旨

モモの低樹高開張型樹形は、添え竹や吊り支柱の利用により骨格枝を開張することで低樹高に整枝した樹形で ある。当樹形は慣行樹と同等の品質と収量が見込まれ、作業性が良く労働負担の軽減が図られる。 (1) 低樹高開張型樹形は主枝角度を30度前後に開張することにより、樹高3.5m以下の低樹高に維持することがで きる(図1、表1)。 (2) 樹を開張することで樹冠占有面積の拡大が早く、早期多収性がある(図2)。また、病害虫防除の面からは薬液 の到達性が高く、防除効果の向上が期待できる。 (3) 骨格枝を開張することによって高さ1.5~3.0mに多くの側枝を配置することが可能になり、作業時間の削減など 作業性の向上が図られる(表3)。

期待される効果

(1) 作業性の良いモモの樹形が明らかになり、モモ栽培における整枝・せん定の改善につながる。 (2) 早期多収性が期待され、農家所得の向上につながる。

適用範囲

県内全域

普及上の留意点

(1) モモ樹を低樹高に整枝すると樹幅が大きくなりやすいので、新規植栽や改植の際の植栽距離は広めとする。ま た、徒長枝の発生も多くなりやすいので、摘心、夏季せん定などの新梢管理を徹底する。 (2) 本樹形は、平成22年度科学技術情報「モモの作業負担を軽減する側枝の高さと作業姿勢」において、作業性が 良く、作業負担が軽減される樹形であることが明らかとなっている。

(14)

具体的データ等

主枝2本×亜主枝4本 樹高:3.5m 結果部:3.0m以下 主枝角度:30度 主枝長:5m 側枝:高さ1.5m~3.0mに80%を配置 図1 目標となる低樹高開張型樹形 表1 樹形別の樹体生育(11年生樹) 表2 樹形別の果実着色と糖度の比較 図2 樹齢別の10a当たり収量と平均果重 の推移 表3 果実1t生産に要する作業時間(10年生樹) (単位 時:分)

その他

樹高 結果部高 樹幅 樹幅 主枝角度 (cm) (cm) (cm) (cm) (度) 低樹高開張 373 302 1,163 1,163 28.4 開心自然 449 329 959 959 36.2 F検定 ** n.s. ** ** ** 注1)**は危険率1%で有意差有り。 樹形 合計 摘らい 摘花 予備摘果 仕上摘果 修正摘果 小計 冬季 夏季 秋季 小計 X+Y+Z 低樹高開張 26:09 7:30 6:51 2:33 1:56 45:01 10:14 04:57 00:38 01:16 06:52 62:08 開心自然 25:27 8:56 7:55 3:15 1:59 47:34 11:42 04:45 00:46 01:27 06:59 66:15 F検定 n.s. n.s. n.s. n.s. ** n.s. n.s. n.s. n.s. ** n.s. * 樹形 収穫Y 注1)**、*は危険率1%、5%で有意差有り。 着果管理X せん定Z 6年 7年 8年 9年 10年 6年 7年 8年 9年 10年 低樹高開張 196 195 200 190 188 12.7 12.2 11.7 11.5 11.0 開心自然 196 195 197 184 184 12.8 12.2 11.6 11.2 10.7 樹形 着色度(非破壊果実品質) 推定糖度(非破壊果実品質)

(15)

機関名 福島県農業総合センター 部署名 企画経営部企画技術科 記入者氏名 遠藤敦史 電話番号 024-958-1700 e-mail [email protected] 品目 技術名 特徴 活用が想定される場面 (または、当該技術の活用によって 解決が期待される課題) 特許権、実用新案権の有無 登録年月日 ※特許権、実用新案権が有の場合 登録番号 ※特許権、実用新案権が有の場合 普及状況 (普及している地域、面積、その他参考 情報※を記載願います。) 開発機関名 普及指導活動の中で生産者の理解が深まり、防除の適正化が進んでいる。 福島県農業総合センター 果樹 新病害「モモ果実赤点病」の発生生態と防除対策 モモ果実赤点病は、本県および和歌山県で発生が確認されている新病害であ る。被害果は商品性を著しく低下させるため、早急に防除対策が必要なことから、 発生生態の解明や有効な薬剤の選抜を行ってきた。その結果、防除対策として果 実への感染が多い6月下旬~7月中旬にダコレート水和剤1,000倍またはベル クート水和剤1,000倍を散布することが有効であることが明らかとなった。 1 本病は、Ellisembia sp.による病害であることが明らかとなり、これまでウメシロ カイガラムシの加害症状と誤認されてきたが、吸汁痕がないので識別できる。生 育適温は25℃~30℃、生育温度は10℃~35℃である。 3 伝染源は枝に形成された分生胞子であり、分生胞子は6月上旬~9月上旬ま で飛散し、捕捉数は降雨後に多くなる傾向を示した。 4 果実への感染は6~7月の梅雨期に多いことから、6月下旬~7月中旬にダコ レート水和剤1,000倍またはベルクート水和剤1,000倍を散布したところ、いずれも 防除効果が認められた。 1 防除を実施した場合には、果実被害を無散布の約50%から10%以下に抑制 可能である。 2 ダコレート水和剤1,000倍とベルクート水和剤1,000倍は、すでに灰星病および ホモプシス腐敗病の一般的な防除薬剤であり、両剤の使用によって本病との同時 防除が可能である。 3 両者の診断ポイントが明らかとなったことから、診断に基づく防除指導が可能 である。 無

(16)

実用化技術情報

モモ果実赤点病の発生生態と防除対策

福島県農業総合センター

果樹研究所病害虫科

部門名

果樹-モモ-病害虫発生、病害虫防除

担当者

菅野英二・藤田剛輝・三瓶尚子

新技術の解説

要旨

モモ果実赤点病は、本県および和歌山県で発生が確認されている新病害である。被害果は商品性を著しく低下さ せるため、早急に防除対策が必要なことから、発生生態の解明や有効な薬剤の選抜を行ってきた。その結果、防除 対策として果実への感染が多い6月下旬~7月中旬にダコレート水和剤1,000倍またはベルクート水和剤1,000倍を散 布することが有効であることが明らかとなった。 (1) 1998年に伊達地方の山間部のモモ園において、中生種の「あかつき」および晩生種の「あぶくま」で着色期ころ に果実表面に赤色の小斑点を生じる障害が確認された(図1)。2004年以降には伊達地方の平坦部や福島市に も発生拡大し、早生種の「日川白鳳」以降に収穫される主な品種でも発生が確認されている。 (2) 本病は、 Ellisembia sp.による病害であることが明らかとなり、これまでウメシロカイガラムシの加害症状と誤認 されてきたが、吸汁痕がないので識別できる(図4)。生育適温は25℃~30℃、生育温度は10℃~35℃である。 (3) 伝染源は枝に形成された分生胞子(図2)であり、分生胞子は6月上旬~9月上旬まで飛散し、捕捉数は降雨後 に多くなる傾向を示した(図3)。 (4) 果実への感染は6~7月の梅雨期に多いことから(図5)、6月下旬~7月中旬に、ダコレート水和剤1,000倍また はベルクート水和剤1,000倍を散布したところ、いずれも防除効果が認められた(表1)。

期待される効果

(1) 防除を実施した場合には、果実被害を無散布の約50%から10%以下に抑制可能である。 (2) 本県ではダコレート水和剤1,000倍とベルクート水和剤1,000倍は、すでに灰星病およびホモプシス腐敗病の防除 薬剤として使用されており、両剤の使用によって本病との同時防除が可能である。 (3) 両者の診断ポイントが明らかとなったことから、診断に基づく防除指導が可能である。

適用範囲

本病の発生が確認されているモモ栽培産地

普及上の留意点

(17)

具体的データ等

図1 被害果実(左;着色開始期、右;着色期) 図2 分生胞子 図4 本病の症状と類似したウメシロカイガラ ムシによる被害果

その他

執筆者

三瓶尚子

研究課題名

0 20 40 60 80 100 0 50 100 150 200 250 5 / 2 2 -5 / 2 7 5 / 2 7 -5 / 2 9 5 / 2 9 -6 / 2 6 / 2 -6 / 6 6 / 6 -6 / 9 6 / 9 -6 / 1 2 6 / 1 2 -6 / 1 9 6 / 1 9 -6 / 2 4 6 / 2 4 -6 / 2 6 6 / 2 6 -6 / 3 0 6 / 3 0 -7 / 3 7 / 3 -7 / 7 7 / 7 -7 / 1 0 7 / 1 0 -7 / 1 5 7 / 1 5 -7 / 1 7 7 / 1 7 -7 / 2 4 7 / 2 4 -7 / 3 1 7 / 3 1 -8 / 7 8 / 7 -8 / 1 2 8 / 1 2 -8 / 1 4 8 / 1 4 -8 / 1 9 8 / 1 9 -8 / 2 1 8 / 2 1 -8 / 2 6 8 / 2 6 -8 / 2 9 8 / 2 9 -9 / 2 9 / 2 -9 / 5 9 / 5 -9 / 1 8 降水 量( ㎜) 胞子 捕捉数( 個 ) スライドグラス設置期間(月/日) 図3 果実赤点病発生樹おける分生胞子の飛散消長(2008年) 降水量 月舘町「あぶくま」 月舘町「紅博桃」 注1)散布は2009年6月25日、7月6日、7月17日の計3回十 分量散 布した。 注2)防除価は発病度より算出した。 表1 モモ果実赤点病に対する薬剤の防除効果(品種「あかつき」、霊山) 供試薬剤 希釈 倍数 調査 果数 発病 果率(%) 発病度 防除価 薬害 ダコレート水和剤 1,000倍 150 7.3 1.4 91.8 -ベルクート水和剤 1,000倍 150 6.9 1.2 92.9 -無散布 - 150 47.3 17.4 0 20 40 60 80 100 0 20 40 60 80 100 6 月 1 2 日 6 月 2 0 日 7 月 1 日 7 月 1 1 日 7 月 2 0 日 7 月 2 9 日 8 月 1 4 日 8 月 2 4 日 全 期 間 無 袋 慣 行 期 間 降 水 量 ( ㎜ ) 発 生 果 率 ( % ) ・ 発 生 度 果実袋の除袋月日 図5 曝露期間の違いが発生に及ぼす影響(2006年) 注1)品種は「あぶくま」を用いた。 注2)被袋は6月6日に、調査は8月30日に行った。 注3)慣行は7月10日に被袋、8月20日に除袋した。 発生果率 発生度 期間降水量

(18)

機関名 福島県農業総合センター 部署名 企画経営部企画技術科 記入者氏名 遠藤敦史 電話番号 024-958-1700 e-mail [email protected] 品目 技術名 特徴 活用が想定される場面 (または、当該技術の活用によって 解決が期待される課題) 特許権、実用新案権の有無 登録年月日 ※特許権、実用新案権が有の場合 登録番号 ※特許権、実用新案権が有の場合 普及状況 (普及している地域、面積、その他参考 情報※を記載願います。) 開発機関名 備考 リンゴにおけるポット栽培についての理解が進んでおらず、現場での導入は見ら れない。 福島県農業総合センター 果樹 リンゴ「ふじ」の省力密植栽培に適した不織布ポット栽培 1 不織布ポットの容量が小さいほど樹高や樹幅が小さく抑えられる傾向があり、 作業の面から望ましい樹高を3.5m程度とすると、JM7台の15リットルポット栽培 がこの条件を満たす。 2 JM7台利用樹では、ポット容量が異なっても果実品質には有意な差は認めら れない。 3 JM7台の15リットルポット栽培では樹体がコンパクトに押さえられ、日当たりも 良好であることから、花芽分化率が高い。 4 JM7台の15リットルポット栽培は、作業性が良く、10a当たりの作業時間が少 ない。 5 JM7台相当のわい性台木を使用した低容量のポット栽培樹は、植栽距離4.5 ×2.5mの密植条件でも樹が植栽距離内に無理なく収められ、早期多収を可能と するリンゴの密植栽培に有効な栽培方法である。 1 JM7台相当のわい性台木を使い低容量ポットで植栽することにより、現在問 題となっているリンゴのわい化栽培樹の樹の大型化と園地の混み合い、果実品 質の低下の問題が改善される。 2 樹のコンパクト化により、作業性が向上し省力化できる。 無

(19)

実用化技術情報

永山宏一・遠藤敦史・斎藤祐一・木幡栄子・安部充

1

(1) (2) (3) (4) (5)

 

2

(1) (2)

3

 

4

(1) (2) (3)

リンゴ「ふじ」の省力密植栽培に適した不織布ポット栽培

JM7台相当のわい性台木を使用した低容量のポット栽培樹は、植栽距離4.5×2.0mの密植条件でも樹が植 栽距離内に無理なく収められ、早期多収を可能とするリンゴの密植栽培に有効な栽培方法と判断される。

要旨

 植栽距離4.5×2.0mの密植栽培を可能とする「ふじ」の栽培技術を確立するため、「みしまふじ」を供試し、樹勢 の異なる3種類の台木容量の異なる不織布ポットを組み合わせて樹体生育および果実品質を比較検討した。そ の結果、根域制限によりわい化効果が期待でき、果実品質も優れる台木と不織布ポット容量の組み合わせはJM 7台の15Lポットであった。 不織布ポットの容量が小さいほど、樹高や樹幅が小さく抑えられる傾向があり、作業の面から望ましい樹高を 3.5m程度とすると、JM7台の15Lポットがこの条件を満たす(表1、図2)。 JM7台利用樹では、ポット容量が異なっても果実品質には有意な差は認められない(表2)。

部門名 果樹-リンゴ-植栽様式・植栽密度

担当者 畠 良七・志村浩雄・額田光彦・佐久間宣昭・

福島県農業総合センター 果樹研究所栽培科  

JM7台相当のわい性台木を使い低容量ポットで植栽することにより、現在問題となっているリンゴのわい化 栽培樹の樹の大型化と園地の混み合い、果実品質の低下の問題が改善される。 樹のコンパクト化により、作業性が向上し省力化できる。 ポットで苗木を養成し移植することで植え傷みも少なく、より早く成園化できる。 JM7台の15Lポット樹は樹体がコンパクトに押さえられ、日当たりも良好であることから、花芽分化率が高い (表1)。

適用範囲

 

新技術の解説

本試験で使用した不織布ポットは根を通すタイプのものであるが、10年生時点で根がポットを貫通し樹勢が 強まる症状が見られたことから、このような場合、それ以後の樹の生育にバラツキが生じることがある。  リンゴ栽培可能地域

普及上の留意点

地力等の条件により、最適のポット容量は異なる可能性がある。 JM7台の15Lポット樹は、樹体がコンパクトであり作業性も良く、10a換算の作業時間が少ない(図1)。

期待される効果

(20)

1

畠 良七

その他

執筆者

具体的データ等

図1 JM7台「みしまふじ」の作業時間(2008)

表1 JM7台「ふじ」におけるポット容量の違いと樹体生育(2008、9年生) 試験区 樹高 東西樹幅 南北樹幅 幹断面積Z 頂芽 cm cm cm cm2 kg/樹Y kg/10a 花芽率% 15L 370 261 266 45.7 48.4 5367 1.10 b 67.5 30L 404 269 273 51.8 51.7 5733 0.90 67.2 80L 416 292 265 55.2 46.4 5147 0.84 ab 61.7 150L 427 305 270 62.3 50.5 5604 0.81 a 60.0 対照 439 292 264 71.4 48.6 5389 0.69 a 48.8 F検定 3.06△ 1.43 0.01 2.44 0.07 0.07 2.66△ 注1)30L区は紫紋羽病の発生により2樹となり反復数(1区1樹4反復)が確保できず、統計処理未実施。 注2)**は1%、*は5%、は10%水準で有意差あり。TUKEYの多重検定によりアルファベット異符号間で有意差あり。 注3)東西樹幅は列間方向、南北樹幅は樹間方向を示す。 7.08** (Y/Z) 収量 生産効率 表2 JM7台「ふじ」におけるポット容量の違いと果実品質(2008、9年生) 試験区 果重 着色度 RM示度W蜜入指数 裂果 青実果 g CS値 % 発生率% 発生率% 15L 367 196 15.8 2.3 10.6 5.7 30L 373 188 16.3 2.8 6.3 10.6 80L 355 192 16.1 1.4 4.2 10.4 150L 364 187 15.5 2.0 7.6 10.2 対照 364 192 15.7 2.4 6.3 7.8 F検定 0.18 1.30 1.39 3.12△ 1.78 2.21 注3)着色度はファンテック製カラーソーターの計測値(数値が高いほど着色良好) 注4)蜜入指数:1(蜜入り微)~5(蜜入り多) 注2)** は1%、* は5%、△ は10%水準で有意差あり。TUKEYの多重検定によりアルファ ベット異符号間で有意差あり。 注1)30L区は紫紋羽病の発生により2樹となり反復数(1区1樹4反復)が確保できず、 統計処理未実施。

図3 JM7台「みしまふじ」の10a当たり

  収量の推移

250 300 350 400 450 500 550 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 c m 15L 30L 80L 150L ポッ ト無し 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 2003 2004 2005 2006 2007 2008 k g 15L 30L 80L 150L ポット無し 0 120 240 15L 30L 80L 150L 無 ポット 時 間(h/10a) 冬季せん定 人工受粉 予備摘果 仕上摘果 夏季せん定 修正摘果 摘葉・玉回し 収穫

図2 JM7台「みしまふじ」の樹高の推移

(21)

機関名 茨城県農業総合センター園芸研究所 部署名 果樹研究室 記入者氏名 冨田恭範 電話番号 0299(45)8340 e-mail [email protected] 品目 技術名 特徴 活用が想定される場面 (または、当該技術の活用によって 解決が期待される課題) 特許権、実用新案権の有無 登録年月日 ※特許権、実用新案権が有の場合 登録番号 ※特許権、実用新案権が有の場合 普及状況 (普及している地域、面積、その他参考 情報※を記載願います。) 開発機関名 シャインマスカットを導入した県内のブドウ農家(約150戸) 茨城県農業総合センター園芸研究所 果樹 ブドウ「シャインマスカット」の果粒肥大を促進させる生育条件・管理方法  ブドウ「シャインマスカット」は、着房位置の葉が大きく、開花期の副梢葉枚数が 多い新梢や、新梢先端側の花穂に優先して着果させると果粒肥大が良い。 開花期の副梢葉枚数が中程度(7枚)以上の新梢では、摘心後発生する副副梢 を適宜摘除すると果粒重が大きくなる。  高品質な「シャインマスカット」生産のために、果粒が肥大する条件を明らかにす ることにより、一粒重15g以上の高品質果実として付加価値が高くなる。

(22)

ブドウ「シャインマスカット」の果粒肥大を促進させる生育条件・管理方法

[要約]

ブドウ「シャインマスカット」は、着房位置の葉が大きく、開花期の副梢葉枚数が多

い新梢や、新梢先端側の花穂に優先して着果させると果粒肥大が良い。開花期の副梢葉

枚数が中程度(7枚)以上の新梢では、摘心後発生する副副梢を適宜摘除すると果粒重

が大きくなる。

農業総合センター園芸研究所

平成24年度

成果

区分

技術情報

1.背景・ねらい

本県において、ブドウ新品種「シャインマスカット」は一粒重 15g 以上を高品質果実

の目標としている。そこで、高品質な「シャインマスカット」生産のために、果粒が肥

大する条件を明らかにする。

2.成果の内容・特徴

1)開花期における着房節の葉身長が大きいと、果粒重が大きくなる(図1)。

2)新梢を着房節の先5枚を残して摘心し、果房より先端側の副梢を 1 節当たり1枚、

基部側の副梢を 1 節当たり5枚で管理した場合、開花期における果房より基部側の副

梢枚数が少ないと、果粒重が小さくなることが多い(図2)。

3)着房節3節目の新梢と比較して、着房節が5節目の新梢では着房節の葉身長が大き

く、開花期の副梢枚数が多い(図1、2)。着房節が先端側になるに従って果粒重 が

大きくなる(図3)。

4)開花期の副梢枚数が中程度~多い新梢では、新梢や副梢を摘心した後発生する副副

梢を適宜摘除すると、副副梢を放任した場合と比較して果粒重が大きくなる(図4)。

副副梢を放任すると開花期の副梢枚数による果粒肥大の差がなくなる(図4)。

3.成果の活用面・留意点

1)本試験は、着房数を 2.5 房/㎡、着粒数を 45~50 粒/房の管理である。「シャインマ

スカット」では 1.8t/10a が収量の目安である。葉身長が大きく、副梢枚数が多く、形

のよい花穂を優先して残し、生育の悪い新梢の花穂は早めに摘除する。

2)1新梢に2つ以上花穂が着生した場合、基部から離れた花穂を残して1新梢1花穂

に整理する。ただし、花穂の形が極端に悪い場合は、花穂の形の良い方を優先して残

す。

(23)

4.具体的データ

図 1 「 シ ャ イ ン マ ス カ ッ ト 」 着 房 節 葉 身

長と果粒重(H22~24)

凡 例 は 着 房 節 を 示 す 。 供 試 樹 は 無 加 温 パ イ プ ハ ウ ス 内 根 域 制 限 栽 培・短 梢 剪 定 平 行 整 枝( 7 ~ 9 年 生 )

図2「シャインマスカット」開花期房基副

梢枚数と果粒重(H22~24)

凡 例 は 着 房 節 を 示 す 。 供 試 樹 は 無 加 温 パ イ プ ハ ウ ス 内 根 域 制 限 栽 培 ・ 短 梢 剪 定 平 行 整 枝 ( 7 ~ 9 年 生 )。新 梢 は 房 先 5 枚 で 摘 心 し 、着 房 位 置 よ り 基 部 の 副 梢 を 1 節 当 た り 5 枚 、 着 房 位 置 よ り 先 の 副 梢 を 1 節 当 た り 1 枚 で 管 理

図3「シャインマスカット」着房節と果粒

重(H22~24)

供 試 樹 は 無 加 温 パ イ プ ハ ウ ス 内 根 域 制 限 栽 培 ・ 短 梢 剪 定 平 行 整 枝( 7 ~ 9 年 生 )。デ ー タ 数 は 着 房 位 置 3 節 目 が 36 房 、 4 節 目 が 63 房 、 5 節 目 が 15 房

図 4 「 シ ャ イ ン マ ス カ ッ ト 」 の 開 花 期 房

基 副 梢 枚 数 お よ び 新 梢 管 理 方 法 と 果

粒重(H23)

供 試 樹 は ト ン ネ ル 栽 培 ・ 短 梢 剪 定 平 行 整 枝 14 年 生 。開 花 期 の 房 基 部 副 梢 枚 数 の 平 均 は 、多 い: 14 枚 、中:7 枚 、少 な い:2 枚 で あ っ た 。図 2 と 同 様 に 摘 心 を 行 い 、 摘 心 区 は 発 生 し た 副 副 梢 を 適 宜 除 去 し 、 放 任 区 で は 開 花 期 以 降 8 月 ま で 副 副 梢 を 放 任 し た 。 上 部 の 縦 棒 は 最 大 値 ・ 最 小 値 の 幅 を 示 す 。 デ ー タ 数 は 各 区 8 房

(24)

機関名 茨城県農業総合センター園芸研究所 部署名 病虫研究室 記入者氏名 冨田恭範 電話番号 0299(45)8340 e-mail [email protected] 品目 技術名 特徴 活用が想定される場面 (または、当該技術の活用によって 解決が期待される課題) 特許権、実用新案権の有無 登録年月日 ※特許権、実用新案権が有の場合 登録番号 ※特許権、実用新案権が有の場合 普及状況 (普及している地域、面積、その他参考 情報※を記載願います。) 開発機関名 備考 県内ブドウ産地(277ha)を対象。 茨城県農業総合センター園芸研究所 果樹 QoI剤耐性ブドウべと病菌発生圃場における効果的な防除体系 QoI剤(ミトコンドリア電子伝達系のチトクロームbc1複合体のQo部位に 作用する薬剤)耐性ブドウべと病菌が発生する圃場では、QoI剤の 防除効果は低く、CAA剤(カルボン酸アミド)等の防除効果が高い。 CAA剤やキャプタン水和剤等を導入し、QoI剤の使用回数を削減した 防除体系は、べと病に対して高い防除効果が認められる。 近年、県内でブドウべと病が多発傾向にあり、全国的にも問題となっている。 その一因として、主要防除薬剤であるQoI剤に対する耐性菌の発生が確認され、 山梨県では防除効果の低下が認められている。平成23年には、本県においても QoI剤耐性菌が遺伝子診断により確認された。 そこで、本県で発生するQoI剤耐 性ブドウべと病菌の各種殺菌剤に対する防除効果の新たな知見は、露地巨峰参 考防除例等の技術資料に導入することにより、現場での防除に活用される。

(25)

1.背景・ねらい

近年、県内でブドウべと病が多発傾向にあり、全国的にも問題となっている。その一

因として、主要防除薬剤である QoI 剤(ミトコンドリア電子伝達系のチトクローム

bc

1

複合体の Qo 部位に作用する薬剤)に対する耐性菌の発生が確認され、山梨県では防除

効果の低下が認められている。平成 23 年には、本県においても QoI 剤耐性菌が遺伝子

診断により確認された。そこで、本県で発生する QoI 剤耐性ブドウべと病菌の各種殺

菌剤に対する防除効果を明らかにし、露地巨峰参考防除例に導入した場合の防除効果

を検討した

2.成果の内容・特徴

1)QoI 剤耐性べと病菌が発生する露地圃場において、QoI 剤を主成分とするアゾキシ

ストロビン水和剤(商品名:アミスター10 フロアブル)やシモキサニル-ファモキ

サドン水和剤(商品名:ホライズンドライフロアブル)は、他系統の薬剤に比べて

防除効果が低い(表)。

2)QoI 剤耐性べと病菌が発生する露地圃場においては、CAA(カルボン酸アミド)系

剤を主成分とするシモキサニル-ベンチアバリカルブイソプロピル顆粒水和剤(商

品名:ベトファイター顆粒水和剤)およびマンジプロパミド水和剤(商品名:レー

バスフロアブル)の防除効果が高い(表)。

3)露地巨峰病害虫参考防除例で3回使用されていた QoI 剤をマンジプロパミド水和

剤やキャプタン水和剤等により2回削減した防除体系(図1)は、べと病(図2)

に対して高い防除効果が認められる。

4)本防除体系は、主要病害である褐斑病(図3)や灰色かび病(データ省略)に対

しても高い防除効果が認められる。

3.成果の活用面・留意点

1)QoI 剤耐性ブドウべと病菌は、県内のブドウ圃場で確認されている(平成 23、24

年病害虫防除所調査)。

2)県内では QoI 剤耐性ブドウ褐斑病菌の発生が確認され、防除効果の低下が認めら

れている(平成 21 年度農業総合センター主要成果)。

3)CAA 系剤、QiI 剤(ミトコンドリア電子伝達系複合体Ⅲの Qi 部位に作用する薬

剤)、フェニルアミド系剤は、QoI 剤と同様に耐性菌が発達しやすい系統であること

QoI剤耐性ブドウべと病菌発生圃場における効果的な防除体系

[要約]

QoI 剤耐性ブドウべと病菌が発生する圃場では、QoI 剤の防除効果は低く、CAA 剤等の

防除効果が高い。CAA 剤やキャプタン水和剤等を導入し、QoI 剤の使用回数を削減した防

除体系は、べと病に対して高い防除効果が認められる。

農業総合センター園芸研究所

平成24年度

成果

(26)

4.具体的データ

シモキサニル-ベンチアバリカルブイソプロピル水和剤 CAA 2,000 50 22.0 6.5

88

マンジプロパミド水和剤 CAA 2,000 50 28.0 7.5

86

マンゼブ-メタラキシル水和剤 フェニル アミド 1,000 50 33.0 9.3

83

シアゾファミド水和剤 QiI 1,000 50 43.0 12.0

78

マンゼブ-メタラキシルM水和剤 フェニル アミド 1,000 50 49.0 14.0

74

シモキサニル-ファモキサドン水和剤 QoI 2,500 50 87.0 30.0

44

アゾキシストロビン水和剤 QoI 1,000 50 91.0 37.5

31

無処理 - - 50 92.0 54.0

**供試薬剤はH25年2月1日現在、露地巨峰栽培で使用可能な薬剤 1)発病度=Σ(発病指数別葉数×指数)×100/(4×全調査葉数)  発病指数 0:病斑なし、1:葉面積の10%以下、2:葉面積の11~30%、3:葉面積の31~50%、4:51%以上 2)防除価=(1-試験区の発病度/無処理区の発病度)×100 *薬剤散布は各試験区にべと病の発生を確認したH24年7月10日に実施。1区10新梢50葉の2連制。調査は7月20日に実施。 表 QoI剤耐性ブドウべと病菌発生圃場における各種殺菌剤の防除効果 薬剤名 薬剤 系統 希釈倍率 (倍) 調査葉数 (枚) 発病葉率 (%) 発病度 1) 防除価2) 休眠期 3月中~下旬 ジチアノン水和剤 休眠期 3月中~下旬 ジチアノン水和剤 発芽期 4月下旬 クレソキ シムメチ ル 水和剤 発芽期 4月下旬 有機銅水和剤 展葉2~3枚 5月上旬 マンゼブ水和剤 展葉2~3枚 5月上旬 マンゼブ水和剤 展葉5~8枚 5月中旬 キャプタン-ホセチル水和剤 展葉5~8枚 5月中旬 キャプタン-ホセチル水和剤 開花直前 5月下旬 フェンヘキサミド水和剤 開花終期 6月上旬 ジエトフェンカルブ-チオファネートメチル水和剤 落花期 - シプロジニル-フルジオキソニル水和剤

小豆粒大期 - テブコナゾール水和剤 大豆粒大期 - ア ゾキ シストロビン水和剤 大豆粒大期 - テブコナゾール水和剤 - 7月上旬 シ モキサ ニ ル-ファモ キサドン水和剤 - 7月上旬 シ モキサ ニ ル-ファモ キサ ドン水和剤 袋がけ直後 7月下旬 シアゾファミド水和剤 袋がけ直後 7月下旬 シアゾファミド水和剤 - 8月上旬 塩基性硫酸銅水和剤 - 8月上旬 塩基性硫酸銅水和剤 - 8月中旬 塩基性硫酸銅水和剤 - 8月中旬 塩基性硫酸銅水和剤 変更前 変更後 開花終期 6月上旬 フェンヘキサミド水和剤 マンジプロパミド水和剤 落花後~ 小豆粒大期まで - キャプタン水和剤

図 1 露地巨峰栽培における QoI 剤を削減した病害防除体系

(注:網掛けは QoI 剤を示す) 図 2 QoI 剤を削減した防除体系を実施した場合の 図 3 QoI 剤を削減した防除体系を実施した場合の 0 20 40 60 80 100 5 月 10 日 5 月 25 日 6 月 9 日 6 月 24 日 7 月 9 日 7 月 24 日 8 月 8 日 8 月 23 日 防除区 無防除区 発病葉 率 (%) 0 20 40 60 80 100 5 月 10 日 5 月 25 日 6 月 9 日 6 月 24 日 7 月 9 日 7 月 24 日 8 月 8 日 8 月 23 日 防除区 無防除区 発病 葉 率 (%)

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