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大規模災害に際し人文科学とコンピュータ研究がなしうること

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Academic year: 2021

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(1)「人文科学とコンピュータシンポジウム」 2011年12月. 特別セッション. 大規模災害に際し人文科学と. コンピュータ研究がなしうること 1. 本セッションの狙い 2011 年 3 月 11 日に東日本大震災が起こって 9 か 月が経過する。この間、地震・津波・そして原子力 発電所事故による放射性物質の問題と、現代の日本 社会とって、まさに未曾有の災害が起こった。 東日本大震災は、人文科学研究にも多くの問題を 突きつけた。人の心のケアや、町が一瞬で消えると いうことを現代社会の中で目の当たりにすることの 衝撃。そして、強制的に人が避難せざるを得なくな った街の「ゴーストタウン」となった様子などは、 人の生活のありようについて、重い問題を突きつけ られたといえる。 また、あわせて文化基盤・歴史基盤の喪失という 事態にも見舞われた。 たとえば、文化基盤の喪失ということでは、それ を支える人々の喪失がまず挙げられる。死亡してし まった人だけではなく、被災した人々が散り散りに なってしまっている。このことによって、失われる、 変質する民俗行事などがある。このような、地域の 文化が失われるのも、大規模災害の特徴であるとい えるであろう。また、あわせて文化基盤の施設・機 能が失われるという問題もある。図書館・博物館・ 文書館といった MLA 組織の喪失が、その地域の文 化的基盤を失わせているといえるであろう。 また、歴史基盤も喪失している現状がある。地域 にあった古文書は失われ、多くの文化財も津波での 流失の被害に見舞われた。このような地域の記録の 喪失は、地域の記憶の喪失へと直結する問題となっ て、現在直面している。 もちろん、大規模災害に際しては、人命の優先が 第一である。人命を救うという第一段階を経たのち、 次のステップとして、これらの文化基盤・歴史基盤 の回復は、経済基盤の回復として行われなければな らないものであろう。文化基盤の回復は、人々の復 興の「よすが」にもなりうる重要なものである。 このような問題を解決する動きは、いくつかあげ られる。まず、文化財を救うという動きでは、文化 庁を中心とする「文化財レスキュー」の活動がある。 これは、震災により被害を受けた文化財を、復旧さ せるために、文化財関係者が被災地に入り、作業を する試みである。また、あわせて公文書類や、古文 書類を救う、歴史資料ネットワークの一連の活動や、 全国歴史資料保存利用機関連絡協議会の活動がその 事例として挙げられよう。そして、今後住宅を新た に建てるなどの状況になった時には、地下にある遺 跡の発掘の問題が生じてくる。このような発掘を迅 速を進めるための準備も考古学者によって行われて いる。. このような活動は、なにも人文科学研究者だけが 行うものでもない。情報技術の文脈からは、デジタ ルデータの分散と長期保存の問題がある。被災地の 市町村では、戸籍のデジタルデータがコピーも含め て被災し、あわや戸籍そのものが失われる危機にあ ったこともある。このようなデータの保存問題は情 報技術分野の側で解決すべきものであろう。 また、先述のような人文科学的問題を情報技術に よって解決すべき動きもある。本セッションでは特 にこの問題を取り上げたい。 文化基盤の復旧に関して、その支援を情報技術を 用いて行おうという動きがある。その一例が、 saveMLAK である。saveMLAK は、MLA 施設の救 援情報を情報技術によって集積することで、被害状 況を把握すると同時に、これら施設の復興に役立て ようという試みである。本セッションでは、この saveMLAK を代表し、阿児雄之氏と日下九八氏に依 頼を行った。このような事例は、まさに初例であり、 歴史資料ネットワークが阪神淡路大震災の際にさま ざまな教訓を得て立ち上がったのと同様、多くの成 果と課題を共有し、次に進めるものであると考えて いる。 また、国立の文化基盤組織も情報技術による文化 基盤の集積を行っている。国会図書館は、この震災 に関連して、多くのデジタル・アーカイブを行うこ ととなった。中には日本のみならずハーバード大学 などと共同でアーカイビングを行うような事例もあ る。この国会図書館の事例について、国会図書館関 西館の大場利康氏に報告を依頼した。 加えて一般応募論文のうちから、震災に強く関わ るものを本セッションに加えた。「東日本大震災か ら見る文化財を取り巻く情報インフラ整備の問題」 は、情報技術、とりわけ GIS を応用して、被災した 遺跡・文化財情報を集積した事例である。この動き は CEDACH プロジェクトとして継続して続けられ ている。また、「Post-Disaster Reconstruction of Cultural Heritage: Citadel of Bam, Iran」は、海外 における文化財復旧事例とデジタル応用の問題であ る。 なお、一般応募論文については、査読を経たもの であり、「本セッションの狙い」とは別途掲載して いるので、そちらを参照されたい。 人文科学とコンピュータ研究は、今回のような抱 きの災害とは縁遠いものに感じられる向きもあるが、 決してそのようなことはない。多くの可能性があり、 失われた文化基盤・歴史基盤の復旧に十分役立ちう るものである。 (文責・後藤真(花園大学)). (c) Information Processing Society of Japan. -1-.

(2) The Computers and the Humanities Symposium, Dec.2011. 発表者プロフィール(依頼分) 阿児雄之(あこ たかゆき)氏 東京工業大学博物館特任助教、saveMLAK 編集者。 文化財に関する情報技術の開発と利活用に従事。特に博物館収蔵品情報や考古学情報を対象として研究する。 saveMLAK には、その前身のひとつである save museum の時より参加。博物館情報の特性に対処しつつ、 情報編集をおこなっている。. 日下九八(くさか きゅうはち)氏 ウィキペディア日本語版「利用者:Ks aka98」。2005 年 12 月から参加、管理者(2006 年 11 月から)、ビュ ーロクラット、チェックユーザー、オーバーサイト、OTRS メンバー。2009 年、2010 年のウィキメディア・ カンファレンス・ジャパンにもスタッフとして運営に参加した。saveMLAK には ML 立ち上げ時からの参加。. 大場 利康(おおば としやす)氏 国立国会図書館関西館 電子図書館課長。1967 年生。1990 年東京大学教養学部教養学科卒。2004 年東京 大学大学院人文社会系研究科文化資源学研究専攻修士課程修了(社会人)。1990 年国立国会図書館入館。洋 図書整理、古典籍資料の閲覧、旧上野図書館(現国際子ども図書館)の保存改修工事、レファレンス関連の システム開発等を担当。2006 年より関西館電子図書館課課長補佐として、近代デジタルライブラリー、イン ターネット資料収集保存事業などの電子図書館事業に関わる。2009 年関西館図書館協力課長に着任、総合目 録ネットワーク事業、レファレンス協同データベース等の全国の図書館との連携に関する事業を担当。2010 年 4 月より現職。. (c) Information Processing Society of Japan. -2-.

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参照

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